仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング 作:エクシ
「風魔はドクター・フェイスと研究していた時期があるなら奴が使うガシャットのデータを把握しているはずだ。ドクター・フェイスはゲームクリエイターじゃねえ。そう簡単に新しいガシャットを作ることなんてないはずだ。」
「確かに…。…まさか!」
「あぁ、風魔から聞いた情報を幻夢の社長に持ってけ。それで対ドクター・フェイス用のガシャットを作って至急アメリカへ送れ。」
「分かりました。でも黎斗さんに頼んだ方が…」
「コイツに余計なことはさせるな。」
音声を切っているおかげで黎斗の叫び声は聞こえなくなっている。大我が部屋を出ていくと永夢はまずスマートフォンを取り出し電話をかけた。
「…………あ、良かった!泊さんですか?聖都大学付属病院の宝条です。……………いえ、こちらこそ先日は…。…………はい、今南雲さんと会うことって…………え?まどかちゃんのところに?超法規的措置…よかった、わかりました!行ってみます。」
エレベーターに乗って通常のフロアのボタンを押す永夢。星まどかの病室は何度も行き慣れているから階数は把握している。エレベーターが5Fに停まるとエレベーターに入ろうとする男女とぶつかりそうになった。
「あ!すいま…って南雲さん!」
「…!宝条先生…この度は大変…」
「もういいんです!そんなことよりご協力してくれませんか!?」
幻夢コーポレーション社長 小星作は社長室で彼の原案でプロジェクトが進んでいるボーズ・オブ・テラーのプログラミングに勤しんでいた。
「あぁ…上手くいかない…。」
「失礼します!」
声と共に扉が開き早歩きで近づいてくるのはハードディスクを何個も抱えて運んできた永夢だ。
「ど…どうしたんですか!いきなり!」
「作さん、至急このデータに対抗できるゲームを作ってほしいんです!」
「対抗って…でも…私より檀黎斗の方が…」
「そうは思ったんですけど、黎斗さんは衛生省の許可がないとお願いできなくて。」
「そうは思ったんですね…。」
「あ、いや…すいません。実はこのゲームを作ってほしいって言ったのは大我さんなんです。」
「あぁ…ゾンビを倒すゲームを依頼してきた…!」
作の顔が少し緩んだ。天才ゲームクリエイターたる黎斗の陰に隠れてしまったものの自分もそれなりに努力をしてきたつもりだった。しかし皆の目はいい意味でも悪い意味でも黎斗の方にいく。そんな中、自分を頼ってきてくれたのは大我とニコだった。マキシマムマイティXガシャット完成の功績を社内で認められ、作は社長の座に座ることが出来ている。
「…わかりました!やってみます!」
「待てよ!」
永夢と作が振り向くとそこには腕組みをしたニコが立っていた。
「永夢、アンタが大我に仕事押し付けたってホント?」
「押し付けたって…。どうしてニコちゃんは大我さんと行かなかったの?」
「くっそ、大我の奴ゥゥ!!私も行く!アメリカ!」
永夢は社長室から出ようとするニコを慌てて止める。
「待ってニコちゃん!行くならこのガシャットが出来てから!完成したガシャットを大我さんに届けてほしいんだ!」
「ハァ!?なんで私がそんなこと…」
「ニコちゃんは花家医院でこれからも患者さんのために働くんだよね?」
「…うん。」
「患者さんのために…お願い。」
真剣な永夢のまなざしを見たニコは目線をそらし頷いた。作は腕まくりをしてハードディスクとパソコンを繋ぐ。
「待って、アンタのセンスだけじゃ心配だから私も見る!」
「センスが心配って…あなたたちは私を信用してるんですか?してないんですか?」
「黙ってやる!大我が待ってんだ!」
「はい!」
作とニコの2人を見て永夢はニッコリとした。自分もやるべきことをやらねば、そう思い聖都大学付属病院に戻るのだった。
「大我これ!」
ニコの奴が俺にガシャットを差し出してきた。なるほどな、エグゼイドはコイツに完成したガシャットを持たせてきたわけだ。見た目によらず人使いが荒いな。ガシャットの色は深緑、ガシャットラベルには「BANG BANG WARS」と書かれており大勢の兵士の背景と指揮官のようなキャラクターの横顔が描かれている。
「あの社長にしてはいいセンスしてんじゃねえか。」
「私が監修だからね!」
「フッ…なるほどな。じゃあ試させてもらうぜ。」
そう言って拳銃のようにバンバンウォーズガシャットを持ってプレイングスターターに指をかける。
-バンバンウォーズ!-
「このゲームのレベルは?」
「レベル?タドルホラー、ディザスターサバイバル、ヘヴンズオンライン全てのゲームに対抗できる究極のゲームはマックスを超える100に決まってんじゃん!」
「…第佰戦術、変身!」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!エマージェンシー!最終 局面 バンバンウォーズ!発射!-
俺の体は通常のスナイプに変身した後、深緑のウォーゲーマがそのまま俺にかぶさる形で装着されウォーゲーマー レベル100へと更なる段階へレベルアップする。負ける気がしない…!
-ガシャコンマグナム!ズ・キューン!-
ガシャコンマグナムを召喚しすぐにAボタンを選択。この形態ならばライフルモードの片手撃ちが出来そうだ。
「クク…レベル100ごときに調子に乗られてはな。」
フェイス オンラインディザスターゲーマー レベルXX-100。レベル100の力を未知数のXの力が2度も掛け合わさった姿。確かに今の俺のレベル100でも手が届かない。…レベルだけ見たらな!
「バンッ!」
ガシャコンマグナムから連射攻撃を放つ。衝撃の強いライフルモードでは従来のフォームであれば難しかったが今は容易く撃つことが出来る。しかもこの早撃ち。かわすことが出来ずフェイスに見事命中だ。
「ぐっ…!なんだこの衝撃は!?」
「バンバンウォーズは広大な土地で各国が争う戦争ゲーム!ヘヴンズオンラインだかディザスターサバイバルだか知らないけどいくらプレイヤーが多いゲームを想定してるからって幻夢コーポレーション製の他人数ゲームには敵わないんだよ!」
正確には今はタドルホラーガシャットとディザスターサバイバルが合わさってタドルディザスターガシャットになっているがな。それでもドクター・フェイス、奴が持っているガシャットに対抗するためのゲームとして作られたこのガシャットはレベル差を埋める力がある!
まずウォーゲーマーは他のガシャットの能力や攻撃を弱体化させる。風魔のVR技術を応用して俺の体の周りにVR空間を作り出しているため、ゲームエリアを異なるものにしているから…のようだ。
とは言ってもレベル0が形成するアンチバグスターエリアとは少々構造が異なる。俺のVR空間内では弱体化したバグスターウイルスを俺の力に変えることができる。レベル0ではなく100である所以だ。
ブレイブのタドルレガシーによる回復能力などの恩恵が軽減してしまうのはネックだが今の状況としてはありがたい。これでタドルディザスターから放たれているバグスターウイルスの影響をほとんど受けることがないのでライダーゲージが常に削られる現象から逃れることが出来た。
次に単純な火力増加。戦争ゲームというだけあって大勢のプレイヤーやNPCの力をこのガシャットは秘めている。数やゲームエリアが売りのタドルディザスター、ヘヴンズオンラインに勝るとも劣らないスペックになっているはずだ。
最後は…さっきももう言ったな。俺の傍に
「ククク…いいぜ。俺の体内のゲムデウスウイルスすら抑えつけるこの力を超えて見せろ、花家大我ァァ!ゲムデウスすら超える力は…より美しいはずだ!!」
バグスターウイルスを放出させながら宙を舞い、ガシャコンバグヴァイザーⅡによって銃撃を飛ばしてくるフェイス。しかしその銃撃はガシャットによる力。俺の近くになればその力は消滅する。
「な…!」
「遠距離攻撃は俺には効かねえ。俺のゲームエリア内において俺が起動したガシャット以外の能力は弱体化されるんだからな。」
「ククク…肉弾戦か、面白い!」
フェイスはバグスターウイルスの放出による加速でパンチを叩き込んでくる。ガシャコンマグナムの連射によって撃ち落とそうとするがそれを避けてきた。いいぜ、俺も近距離戦に自信がないわけじゃねえ!
ガシャコンマグナムを捨てこちらもパンチを叩き込む。2人の拳がぶつかり合い衝撃波を放つ。
「キャ!」
「下がってろ!」
ニコは頷くとポッピーピポパポと共に安全な場所へ避難する。それでいい、俺の戦う様を見ていてくれ。
「やるじゃあないか…!」
「てめえもな。だがここまでだ。」
「ここまで?ここからの間違いだろ?俺はゲムデウスの力を支配下に置く。そして俺を見離した世界に美しい姿を見せつけてやるのさ!」
「…悲しい奴だ。本当に信じられる仲間がいればまた違ったのかもな。」
右の拳に力を込めるとフェイスの体は一気に向こうの建物にまで吹っ飛んでいった。これなら勝てる…!
「いって…こっちはレベルXX-100なんだぜ?なんだよこれ…へへへ。」
「レベルなんて関係ねえってことだな。」
「おっしゃる通りだ。俺の中のゲムデウスウイルスは一気に培養されていく。レベルXX-100で抑えてもここまで来るとは…さすがはゲムデウスだぜ。」
「お前…!」
「クク…アハハハ!!もう限界だ!抑えられねえ!!」
瓦礫を横に飛ばしながらもがき苦しむフェイス。いや、もがき苦しんでいるはずなのになぜこんなにもコイツは嬉しそうなんだ…。
フェイスの姿は金と赤、そして黒の色へと変貌していきゲムデウスフェイスへ変わっていく。かつてゲムデウスフェイスは現れたことがあるようだが、今回はオンラインゲーマも装着した強化体だ。
「ゲムデウス…本当にしつこいウイルスを作ってくれたもんだな、ゲンムは。」
「そんな…ゲムデウスがここで出てくるなんて…!」
手で口を抑え驚きを隠せないポッピーピポパポ。横でニコは不安そうな顔をしている。
「ジョニー・マキシマもしくじったようだしな。この俺が唯一無二なるゲムデウスとして暴れてやろう!」
ゲムデウスフェイスの手にはデウスラッシャーとデウスランパート。ゲムデウスの力を手にしたものが装備できる力だ。デウスランパートから伸縮自在の鞭が俺に襲い掛かる。物理攻撃には対応しなくちゃな。鞭の動きを見切って避ける俺。だが近くまでゲムデウスフェイスが接近していたことに気が付かなかった。
「何!?」
「ここだぁ!」
デウスラッシャーで一刀両断、俺のライダーゲージは一気に半分にまで低下した。
「グア…!」
「大我!くっそ、私も!」
「待ってニコちゃん!だめ!」
そうだ、ニコを止めろ、ポッピーピポパポ。アイツをこの戦いに巻き込むな。これはニコが相手出来るような次元の敵じゃねえ…!
「さすがにゲムデウスに対抗する力はバンバンウォーズに入らなかったのか!?」
「大我!違う、私がゲムデウスに対抗する力!」
「…!?」
そういうとニコは仮面ライダークロニクルガシャットを取り出しプレイングスターターを押した。
-仮面ライダークロニクル!-
「てめえ!いつの間に!」
「私はガシャットロフィーを集めた唯一のプレイヤー!私だってクロノスになれるはず!」
「ダメ!ニコちゃん!そんなことしたらまたニコちゃんの体がゲーム病に…」
いいぞポッピーピポパポ、よくニコを一瞬でも止めてくれた。俺は起動をためらうニコの横に一気に移動する。
「!」
「ニコ、もうよせ。」
「大我…でも!」
「これは俺が使わせてもらう。考えてみたらそうじゃねえか。ゲムデウスに対抗できるのはクロノスの力。このガシャットとバンバンウォーズでゲムデウスフェイスの攻略は理論上可能だ。」
「大我、バンバンウォーズだけでもかなりの不可がかかってるの。それでクロノスの力まで手にしたら…。私がクロノスに変身すればリスク分散になるじゃん!」
「いいから俺の背中を黙って見てろ。これからお前が助ける人々の為にな。」
「…大我!」
そうだ、お前はこんなところで身を滅ぼすな。これからお前の助けを待ってる患者はごまんといるんだからな。力無しにガシャットを持つニコの手から仮面ライダークロニクルガシャットを受け取った。この力…使いこなしてみせる!
-ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!エマージェンシー!最終 局面 バンバンウォーズ!発射!アガッチャ!天を掴め ライダー!刻め クロニクル!今こそ 時は 極まれり!-
「グアアアア!!」
仮面ライダークロニクル2本差しよりもかなりの負荷がかかっている…!だが俺は…死ぬわけにはいかない!
「ハアアアア!!」
体に走る電撃を振りほどきスナイプである俺の体をパネルが通り抜けていく。通り抜けた後の俺の姿はスナイプ ウォーゲーマーにクロノスのパーツであるクロノブレードクラウン、クロノブレードショルダーの肩部、腰のマントが装備されたクロニクルウォーゲーマーへと変身を完了した。