仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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霧島によってついに始まったレジェンドライダークロニクル。ゲームエリアにいる人間がレジェンドライダーを模った戦士 レジェンドプレイヤーとなって戦い合うゲームだ。仮野明日那ことポッピーピポパポは仮面ライダーポッピーとして仮面ライダー響鬼、仮面ライダーゴーストの力を借りてレジェンドプレイヤーを助けるために戦った。CRのメンバーたちは今日も日本各地でオペに当たる。


第3話「駆り立てるthumbs up!」

助手席に座っていた俺は正面からの眩しい日差しを手で抑えながら目を凝らす。道路の左側に目的である九郎ヶ岳の出口の看板が見えた。

 

 

「ここだぞ。」

 

「わかってる。運転なら俺に任せてくれ。」

 

 

そうですかい。数年前の医師免許はく奪の際に少し警察に世話になっていたことがあった。だから今横で運転しているこの男は刑事だと聞いてから正直苦手意識を持っている。

 

 

「大我!バンバンウォーズのローディングは終わってるからいつでも使う時は私に言いなよ!」

 

 

後ろの席からニコの奴が大声で叫びやがる…。ったく、いいからバンバンウォーズガシャットを俺に預けておけばいいんだ。他のガシャットと違いこのガシャットは使用限界時間を超えるとしばらくローディングが必要らしい。この間の最上魁星との戦いでこのガシャットを使えなかったのはそのせいだ。強いガシャットにはそれなりの代償や制約があるってことだな。

 

 

「イチャイチャしてるとこ悪いけどこれから偉い人に会うんだ。頼むから無礼な真似だけは勘弁してくれよ。」

 

「「イチャイチャなんてしてねえ!」」

 

 

くそ…ハモっちまった。ドライブはニヤリとからかうように笑ってスピードを緩めた。

 

 

 

 

 

そもそもこうなったのには深い…いや対して深い理由はない。いつもの通り俺は花家医院からレジェンドプレイヤーたちのオペに行こうと外に出たらこの男が立っていたのだ。

 

 

「アンタが花家大我先生だな。こういうものだ。」

 

 

そう言って警察手帳を取り出す。

 

 

「お巡りさんが何のようだ。俺は忙しいから邪魔すんな。」

 

「宝条永夢先生…仮面ライダーエグゼイドからアンタを紹介された。レジェンドライダークロニクルのことで至急力を貸してもらいたい。」

 

 

エグゼイド…俺を何だと思ってやがる。大学病院に所属していないからって便利屋じゃねんだぞ。

 

 

「オペか?」

 

「話が早いな、そういうことだ。長野県警のお偉いさんから直々に警視庁に救援要請が入ってな。聖都大学付属病院のCRのドクターを連れてきてほしいとのことだったんだが…。」

 

「CRのメンバーはあいにく誰も手が空いてない。そこでエグゼイドは俺にそれを押し付けたと…。」

 

「…泊進ノ介だ、よろしく。」

 

 

都合の悪いことは聞こえないとでも言いたげな悪戯っぽい笑みを浮かべて横に止めてあった刑事らしくもない車のドアを開けた。

 

 

「泊進ノ介…?ドライブか。」

 

「永夢先生から聞いてたか。そ、俺は元仮面ライダー。ドライブとして市民の安全を守っていた。」

 

「Dr.パックマンの時には世話になったみたいだがそれとこれとは話が別だろ。」

 

「まだ粘る気か。衛生省の大臣官房審議官からの許可は既にとってあるぞ。」

 

 

…日向審議官か…。どうやら今の俺には行くしか選択肢はなさそうだ。あとアイツを呼ばないとまたいじけるからな。

 

 

「ニコ!出てこい!長野に行くぞ!」

 

 

 

 

 

俺とドライブ、ニコは九郎ヶ岳警察署の一室に通された。長野県警が管轄している今回の事件を受け持つ課長がそこで待っていた。

 

 

「お待たせしました、一条警視!」

 

「あぁ泊、ご苦労様。こちらが…?」

 

「はい、花家大我先生です。」

 

「わざわざご足労をお掛けして申し訳ない。私は長野県警の一条といいます。未確認…いや今は仮面ライダー…と呼ばれているんでしたね。その事件で是非お力をお借りしたく及びさせて頂きました。」

 

 

40代にしては若く見える一条という男は誰もいない対策本部のパイプ椅子を引いて俺にそこへ座ってくれと手で指した。

 

 

「正確には仮面ライダーを模したレジェンドプレイヤーだ。」

 

「なるほど…我々の方にはゲーム病の知識を持っている者がおらず、お恥ずかしい話ですが手を拱いているところなんです。」

 

「来たからにはオペはする。いくらだ?」

 

「え?」

 

「オペ1人したらいくらもらえるのかって聞いてんだ。」

 

「おい、金の問題じゃないだろ。人が苦しんでるん…」

 

 

ドライブは俺に説教垂れ込もうとしたようだが一条はそんなドライブを止めた。

 

 

「大我、アンタも調子のんない!もう闇医者じゃないんだから。」

 

 

ニコは小声で俺の脇腹を突いてきた。突くな…!

 

 

「わーったよ。費用に関しては後でいい。状況を教えろ。」

 

「はい、実はレジェンドプレイヤーたちはある1人の男に倒されてしまっていて今県内の病院は意識を失っている患者でいっぱいなんです。」

 

「男?」

 

「この男でして…。」

 

 

そういって一条から男の情報が書かれた紙が渡された。名前はジャン・ジェイムズ・マックエル。海外を回っていたが数年前に日本へ来てからどんな仕事をしているかはと明らかになっていないらしい。…この男、どこかで見たことがあるような…。

 

 

「普通のレジェンドプレイヤーは自らの意思が消えて戦闘をしますよね。でもこの男は違うんです。凶暴ではあるんですが自らの意識はあるみたいなんです。」

 

「通常とは異なる症状か。おもしれぇじゃねえか。」

 

 

とにかくそのジャンって男を探すしかない。俺、ニコ、ドライブ、一条は他の警察官と同様、ジャンを見つけることにした。

 

 

 

 

 

「緊急通報、緊急通報。C地区にて未確認4号の模倣態が出現。近くの警官は直ちに対象のところへ。」

 

 

見つかったようだな。偶然俺とニコはC地区の付近で探し回っていた。爆発音らしき音が聞こえない辺り、まだ戦闘は始まっていないようだ。白衣の襟を直しながら大通りに出ようと一歩踏み出した時、ちょうど曲がり角から男がこちらへ走ってきてぶつかった。

 

 

「って…。」

 

「邪魔ダ!」

 

「てめえが飛び出してきたんだろうが!ってお前…ジャン何とかとかいう奴だろ。」

 

「なんで俺のこと知ってル?」

 

「知ってるもんは知ってんだよ。ガシャットを大人しく渡せ。」

 

「渡せって言って渡す奴がいるかヨ!」

 

 

そう言ってジャンは赤いガシャットを取り出し起動させた。

 

 

-フルスロットルドライブ!-

 

 

「Game start!」

 

 

-トライ!トライ!トライ!トライドロンで爆走!ひとっ走り 付き合えよ フルスロットルドライブ!-

 

 

ジャンの体がフルスロットルドライブガシャットの力によって仮面ライダードライブの姿をしたドライブプレイヤーへと変身した。俺もバンバンシューティングガシャットを取り出し変身だ。

 

 

-バンバンシューティング!-

 

 

「第弐戦術、変身!」

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ババンバン!ババンバン!バンバンシューティング!ガシャコンマグナム!-

 

 

スナイプ シューティングゲーマー レベル2になった俺はハンドガンモードのガシャコンマグナムを即座に召喚しBボタンを押すことで連射攻撃を繰り出す。

 

ドライブプレイヤーはその機敏さで俺の攻撃を素早く避けていき近くまで一気に接近。ハンドル剣で俺に斬撃攻撃を喰らわせてきた。

 

 

「く…!」

 

「ヘヘ、ざまあないゼ!」

 

「大我!何やられてんだよ!」

 

 

-ジェットコンバット!-

 

 

エグゼイドが寄越した資料によるとレジェンドプレイヤーのライダーゲージをギリギリにして強制的に変身解除するしか救う手段はないそうだ。だからレベル2のガシャットを使う患者たち相手にバンバンシミュレーションズガシャットやバンバンウォーズガシャットを使うわけにはいかない。

 

 

「第参戦術!」

 

 

-ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ババンバン!ババンバン!バンバンシューティング!アガッチャ!ジェット!ジェット!イン・ザ・スカイ!ジェット!ジェット!ジェットコンバット!-

 

 

コンバットシューティングゲーマー レベル3にレベルアップ完了。ガトリングコンバットのグリップを握りしめ一気に急上昇する。空中から弾丸の嵐をお見舞いしてやるぜ。

 

 

「バンッ!」

 

 

ドライブプレイヤーは握っているのは緑色のシフトカー…シフトテクニックだ!それを変形させてシフトブレスに装填。タイプチェンジか!

 

 

-ドライブ!タイプテクニック!-

 

 

ドライブプレイヤーの姿は赤いタイプスピードから緑のタイプテクニックへとタイプチェンジした。その素早いチェンジは俺が空中から弾丸を放つまでの間の出来事。放たれた弾丸を正確に認識し逆手に持ったハンドル剣で弾く。

 

まさか姿まで変えられるとはな。ただのレベル2だとは思わない方が良さそうだ。

 

 

「…!ドライブ…だと!?」

 

 

そこに遅れてきた一条とドライブ…いやこの呼び方はややこしくなるな、泊進ノ介が到着した。ドライブプレイヤーの姿に動揺しているようだ。当然か、自分が今まで変身して戦っていた姿をした者が今立ち塞がっているのだから。

 

 

「…ベルトさん…!」

 

 

なんだ?ドライブプレイヤーというよりはドライブプレイヤーの腰に巻かれたドライブドライバーを見ているように思える。あのベルトに何か思い入れでもあるのか?俺の疑問をニコが泊進ノ介に直接訪ねる。こういう時にコイツのデリカシーの無さは役に立つ。

 

 

「何?誰よベルトさんって!もしかしてあのベルトのこと”さん”付けで呼んでんの?」

 

「…あのベルトは…市民のために戦う俺たちの仲間だった。そして俺の相棒だったんだ。そうだな…花家先生にとっての君みたいな存在だよ、ニコちゃん。」

 

 

いつもだったら揶揄いそうなニコも真剣な眼差しでドライブドライバーを見る泊進ノ介の姿から真剣な表情をしている。

 

 

「それなのにベルトさんは今悪人に使われてしまっている。それが悔しくて悔しくて仕方がない…!」

 

「泊…CRの資料によると仮面ライダーとして戦っていた頃のお前を知るものからデータを収集することでレジェンドライダーガシャットは作られたらしい。あくまであれはデータなんだ。感情で動いてしまうのは仕方ないが、まずは市民と町のことを第一に考えろ!」

 

「わかってますよ!でも…ベルトさん!正気に戻ってくれよ!アンタはそんな悪の道具になるような人じゃなかったはずだ!」

 

 

だがドライブドライバーは何も返事をしない。あくまで本物のドライブドライバーをほぼ完璧に再現した模った模倣品なのだから。

 

俺とドライブプレイヤーの戦いに参戦する形で仮面ライダークウガの姿を模ったクウガプレイヤーと仮面ライダーブレイドの姿を模ったブレイドプレイヤーが暴走しながら入ってきた。

 

 

「…未確認4号まで…!超古代文明の力まで再現できるのか、バグスターウイルスというのは。」

 

 

バグスターウイルス…とんでもないもんだ。…いや待てよ。もしかしたら…!

 

 

「ドライブ!可能性があるかもしれない!レジェンドプレイヤーはバグスターウイルスで作られた仮面ライダーの模倣品だ!」

 

「…!そうか…脳細胞が…トップギアだぜ。」

 

 

ネクタイを一番上までしめる泊進ノ介。どうやら頭の回転は早い方らしい。

 

 

「え、何々!?私全然わかんないんだけど…。」

 

「あのドライブプレイヤーの体はウイルス、つまり生命体によって過去のドライブを再現している姿ってことだ。なら感情や意識も再現されていてもおかしくはない!ベルトさん!俺だ、進ノ介だ!頼むよ、ベルトさん。また…ひとっ走り付き合えよ!」

 

 

泊進ノ介の熱い叫びにドライブドライバーからエンジンを吹かす音が鳴った。

 

 

-OK!Start Your Engine!-

 

「ベルトさん!」

 

 

フン、泊進ノ介の声に反応したバグスターウイルスがドライブドライバーの意識をも模るまでに培養されたってだけの話だ。だが泊進ノ介…いやこの場にいる全ての者は泊進ノ介の声にドライブドライバーが応えたと思うだろう。…それも間違っていないか。

 

ドライブプレイヤーの変身が強制的に解除され、ジャンの体から放たれたフルスロットルドライブガシャットは泊進ノ介の元へ飛んでいく。

 

 

「変身!」

 

 

-フルスロットルドライブ!トライ!トライ!トライ!トライドロンで爆走!ひとっ走り 付き合えよ フルスロットルドライブ!-

 

 

フルスロットルドライブガシャットを見えないシフトブレスに装填するように自らの体に挿す泊進ノ介。いやもう今の姿からドライブと呼んでもややこしさはないな。

 

 

「花家先生!アンタはブレイドプレイヤーを!俺はクウガプレイヤーをやる!」

 

「任せろ。速攻でキメワザだ!」

 

 

-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ジェット クリティカル ストライク!-

 

 

キメワザスロットホルダーにジェットコンバットガシャットを装填しキメワザ発動!照準をブレイドプレイヤーに合わせる。

 

 

「ベルトさん、トライドロンなしでもいけるよな!?」

 

-ないならないなりにやるしかないだろう。-

 

「それでこそベルトさんだぜ!」

 

 

-ヒッサツ!フルスロットル!-

 

 

一方のドライブは体からバグスターウイルスの一部が超スピードで培養されトライドロンが生成された。そのトライドロンが自走運転でクウガプレイヤーの周りを走る。ドライブはそこからスピードロップを炸裂!クウガプレイヤーに次々とキックを叩き込む。

 

 

-ゲームクリア-

 

 

俺もジェットクリティカルストライクによる射撃をブレイドプレイヤーに放った。ブレイラウザーによって攻撃を斬ろうとするも空しくライダーゲージは狙い通りのギリギリに。強制的にブレイドプレイヤーに変身させるガシャット キングオブポーカーブレイドガシャットが排出された。

 

そのガシャットはそのまま近くにいたジャンの足元へと転がる。しまった!

 

 

「ククク…天はまだ…俺を見離してナイ!」

 

 

-キングオブポーカーブレイド!-

 

 

「Game start!」

 

 

-キング!キング!キング!キングオブポーカーブレイド!-

 

 

ジャンはブレイドプレイヤーとなって着地した俺に再び襲い掛かってきた。怒りのボルテージが上がったせいかまた強化されたように思える…!いやそれだけではない。体内のバグスターウイルスが暴走しているのか巨大なバグスターユニオンを形成し始めた。くそ、せっかく一回倒したのによ。

 

一方のクウガプレイヤーの体から排出された冒険野郎クウガガシャットを手に持つ一条。

 

 

「私も…これで!」

 

「待ってください、一条さん。」

 

「…!」

 

 

振り向く一条。そこにはバイクから降りる若々しさが垣間見える男の姿があった。

 

 

「五代…!」

 

「お久しぶりです、一条さん。」

 

「お前…どうして…!」

 

「旅先でここがピンチだってある旅人さんから聞いて戻ってきたんです。それよりそれ、貸してください。」

 

 

そう言って五代と呼ばれた男は冒険野郎クウガガシャットを一条の手から取った。

 

 

「待て、五代!」

 

「安心してみててください、俺の…変身!」

 

 

-冒険野郎クウガ!マイティフォーム!マイティキック!冒険野郎!クウガ!-

 

 

五代の体はクウガプレイヤーの姿に変身した。…理性を保っている…?普通のレジェンドプレイヤーじゃねえ。ドライブにしてもそうだ。俺は一条の元へ行き五代について尋ねる。

 

 

「おい、アイツは一体誰だ?」

 

「五代雄介…みんなの笑顔を守った男だ。」

 

 

…九郎ヶ岳遺跡に眠っていた戦士クウガとして戦っていた仮面ライダーだったということか。本物の仮面ライダーになっていたものがガシャットを使えば抗体があるのか…とにかく理性が保たれたまま変身できるらしい。つまり今の五代の姿はクウガプレイヤーではなくクウガと呼ぶべき存在なのだ。

 

 

「クウガ、ドライブ。今度こそ終わりにするぞ!分かってんだろうな!?」

 

「大丈夫!俺クウガだもん!」

 

「あぁ!一気に突っ走るぞ!」

 

 

-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!バンバン クリティカル ストライク!-

 

-ヒッサツ!フルスロットル!-

 

 

クウガも足にエネルギーが溜まっているのが見える。3人のキックがバグスターユニオンの体に叩き込まれていく。

 

 

「ギャアアア!!!」

 

 

悲鳴とも奇声とも言うべき声を上げながらバグスターユニオンは崩壊していきジャンが少し痙攣しつつもフラフラと倒れた。

 

 

-ゲームクリア-

 

 

「くそ…俺は…くそ…!」

 

 

クウガは変身を解除しジャンに近づく。

 

 

「なんか辛いことがあったんだね。何かに当たりたくなっちゃったのかな。でもさ、俺たち人間は言葉を持ってる。言葉を使える。そんな大事なものを使わずに”これ”で解決しちゃおうだなんて…悲しすぎないかな。」

 

 

そう言ってクウガは握り拳を作っている。それを弱弱しく見るジャンの目から涙がこぼれているのが見えた。人を救うことが出来るから俺は医者になった。だが医者じゃなくても人を救うことは出来るのかもしれないな。


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