仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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監察医務院に勤めていた監察医 九条貴利矢は檀黎斗によって命を奪われ、クリアすれば現実世界で命をコンティニュー出来るゲーム「爆捜トレジャー」をプレイすることとなった。真のクリア条件を見つけ出しラスボスである黒貴利矢を倒した貴利矢だったが、次に現れたのは仮面ライダーゲンムで…!


第5話「Continueのその先へ!」

爆捜トレジャーの中でゲンムが現れて何度か交戦した。ゾンビゲーマー レベルXに変身しないだけマシだが、それでもゲンムは強敵だ。

 

何度か戦う中でわかったことがある。

 

このゲンムに意識はない。恐らくセキュリティプログラムのようなものなんだろう。あるいはラスボスを倒した後に自動で現れる”裏ボス”とでも言うべきか。

 

とにかく自分がクリアするためにプロトガシャットを捜す中でゲンムはことごとく邪魔してくる。自分が持っていたプロトシャカリキスポーツもプロトドラゴナイトハンターZも奪われてしまった。

 

そしてまた今ゲンムが目の前に立ちふさがっている。

 

 

「今日こそプロトガシャットを頂くぜ。」

 

 

-爆走バイク!爆走バイク!-

 

 

2本の爆走バイクの起動をした。片方は黒貴利矢から手に入れたものだ。

 

 

「爆速!変身!」

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!バイバイ バイバ バイクで 爆走!ロンリーウェイ!爆走バーイク!-

 

 

自分の姿はレーザーターボ バイクゲーマー レベル0の姿に変身した。そして自分が今まで変身していたレーザー バイクゲーマー レベル2も召喚される。

 

 

「ノリノリでいくぜ!」

 

 

無言のゲンムもガシャコンバグヴァイザーを右手にビームガンモードの状態で構えている。自分はレーザーのアクセルをぶん回し、スピード全開でゲンムに向かっていく。

 

 

-ガシャコンスパロー!-

 

 

片手だけにガシャコンスパローを召喚し通りすがるタイミングで斬撃を食らわせた…と思ったが、ゲンムはすぐさまビームガンモードからチェーンソーモードに変えて斬撃を受け止めていたようだ。

 

 

「くっそ。」

 

 

レーザーを止めて切りかえそうとした自分にゲンムはガシャコンバグヴァイザーで斬りかかる。

 

 

「ぐあ!」

 

 

無言の攻撃は戦闘において有利だ。絶えず相手を見ていないとどこから攻撃してくるかわからない。何よりプログラムだけで動くボスというのは自分の意思が半分入っていた黒貴利矢と違ってほぼ完璧な動きをする。

 

こいつは自分だけじゃ厳しいのかもしれないな。だが今はそうは言ってられない。ここでライダーゲージが尽きたら全てがおじゃんなんだからな。

 

 

-爆捜トレジャー!-

 

 

どうにかして…この状況をノリきる!爆捜トレジャーを起動させた瞬間、レーザーが自分の近くに自動で走ってきた。そしてレーザーが自分に纏うように装着され…。

 

自分は体が黄色いレーザーターボ バイクバイクゲーマーレベル0となった。本来ならばこんなレーザーターボの変身はあり得ない。爆捜トレジャーによるデータ書き換えによって生まれた特殊な姿だ。フロントアームドユニットとリアアームドユニットを手にビームを出しながらゲンムへ攻撃を仕掛ける。

 

先ほどよりも攻撃は効いている。この姿…かなり強い!今ならいけるかもしれない、プロトガシャットをこいつから奪い取る…!

 

だがそううまく行かないのがゲームだ。

 

 

-タイムアップ!-

 

 

「何!?」

 

「…。」

 

 

こういう時に檀黎斗なら「ククク、どうやらその姿には限界があるようだな。」とでも言ってゲームの解説をするのだろうか。とにかく自分の体からレーザーは分離し、元々のレーザーターボの姿へと戻る。爆捜トレジャーによる書き換えは力の度合いにもよるが、ゲンムを倒すほどの変化は自分の力では時間制限があるようだ。

 

自分にはこの力を使いこなすことは出来ない…。そのためには永夢…お前の力が必要なんだ。永夢は人類で始めてバグスターウイルスに感染した人間、そしてゲームを変える不思議な力を持つはずだ。

 

アイツの力があればこのゲームをクリアできるはずだ。アイツを呼ばなくては…。そのためには爆捜トレジャーと現実の世界を繋ぐ必要がある。

 

 

ゲンムを振り切った自分はまず自分のパソコンにこのゲームをインストールさせた。データ、そしてバグスターウイルスに近い存在である自分にとっては造作もないことだ。これに誰かが気がついてくれれば元々パソコンに入っていたリプログラミングのレポートにも目を通してくれるはず。

 

永夢が書き換えをすることでゲームをクリアできるということに気がついてくれれば…。頼むぜ、永夢。それまでに自分は爆捜トレジャーを少しでもクリアしやすいゲームに書き換えておくぜ。

 

 

 

 

 

まさか飛彩が始めに来てモータスのくだりでゲームオーバーになっちまうとはな。だがそれで交代した永夢が爆捜トレジャーに参戦し、自分と共にゲンムを倒してくれた。これでプロトガシャットを全て手に入れることに成功した。これでクリアできる。これで自分は現実に戻ることが出来る。

 

とは行かないのが自分なんだな。

 

プロトガシャットを手に入れたことで復活の”チャンス”は手に入った。しかしチャンスが手に入っても復活の手順がなされなければ復活出来ないとはな。手順ってのは簡単なことだ。ガシャコンバグヴァイザーなどでプロト爆走バイクから自分のデータを取り出してもらえばいい話。

 

でもそれが中々なされる機会がない…と思いきやそのチャンスが舞い降りる。自分が現実世界で目覚めたのは暗い機械室の中だった。自分を現実世界に出したのは…確か檀正宗。檀黎斗の父親だ。彼からゼロデイの真実や永夢の真相を聞いたから何となくは覚えているが1度しか会ったことないからな。どういう人物なのかはわからない。

 

だがデータの中をウロウロして得た情報と今の状況でなんとなーく嫌な奴だってのはわかる。絶望に打ちひしがれたような顔をした飛彩。白衣を着ていない彼を初めてみる。そして同じ言葉しか繰り返さない百瀬小姫…確か飛彩の恋人だった女性だった。正宗は飛彩を脅している現場…というやつなんだろうか。とりあえず情報が必要だ。

 

 

「自分を復活させてくれたのはアンタか?元社長さん。」

 

「今は社長に復帰してね。人が本当に復活できるのかとタドルファンタジーに問われたので試しに君を復活したまでだ。」

 

「へぇ…大先生。アンタレベル50にまで上がったのか。」

 

 

自分の復活に驚く飛彩だがすぐにそんなことは関係ないとでも言いたげな表情を見せる。自分の恋人の心が失われちまってるんだ、そりゃそうだよな…。

 

 

「さて九条貴利矢…いや爆走バイク。君はもう用済みだ。私の洗脳下で左腕として役立ってもらおうか。」

 

 

何だと…!洗脳なんてされたら永夢たちに協力なんて出来なくなっちまう。ここをノリきるためには…嘘しかねえ!

 

 

「おっと待ってくれよ、社長さん。自分はアンタに協力するぜ。」

 

「何?」

 

「アンタが復活させてくれなければ自分はずっとプロトガシャットの中にいた。アンタのお陰でまた生き返ることが出来たんだ、感謝しかねえよ。」

 

「監察医…正気か!?」

 

「黙りたまえ、タドルファンタジー。下がるんだ。」

 

 

正宗の言われるがままに飛彩は機械室を出ていく。本当に恋人の為に言いなりにされているのか。

 

 

「フフ…だが君の働きぶりによるね。本当に私に協力するのかどうか。その忠誠心を見せたまえ。」

 

 

忠誠心ねぇ…仕方ねえか。

 

 

「爆捜トレジャーガシャットのマスターデータは自分の体内に入ってる。それで少しでも仮面ライダークロニクルに役立てるだろ。」

 

「うーん、すでにバグスターの生命管理にそのシステムは使われている。大した価値はないな。」

 

 

くっそ…それなら…。

 

 

「タドルレガシーのデータも入ってるぞ。」

 

「タドルレガシーだと?」

 

 

お、食いつきがいいじゃねえか。

 

 

「ゲーム世界にいた大先生から貰ったもんだ。バグスターウイルスを培養することでレベルを上昇させる力がある。」

 

「ほう…その力と同じタドルシリーズであるタドルファンタジーを組み合わせれば更なる強力なガシャットが作れるはずだ。デンジャラスゾンビ抜きでもな。」

 

 

デンジャラスゾンビ…息子のことも商品扱いか。

 

 

「それは素晴らしいぞ、爆走バイク。これでマキシマムマイティXを凌駕出来る。リプログラミングすらも跳ね返す力が手に入るかもしれないな。」

 

 

リプログラミング…。現実世界でもリプログラミングを自分の力にしてくれたんだな。

 

 

「これで自分のこと少しは信用してもらえた?」

 

「あぁ、私は成果をあげたものには報酬を与える。これを受け取りたまえ。」

 

 

そう言って正宗はアタッシュケースから1本のガシャットを取り出し、自分に渡した。これはプロトシャカリキスポーツか。

 

そしてアタッシュケースの中にはすべてのプロトガシャットがあるのが見える。すべてのプロトガシャットを正宗が牛耳っているわけだ。こいつは見逃すわけにはいかないな。プロトガシャットには消滅した患者の命のデータが保管されてんだ。こんな奴にプロトガシャットを預けておくわけにはいかないな。

 

さぁてと、これからまた嘘をしばらくつかなきゃな。永夢やポッピーに怒られそうだが…これも患者のためだ。分かってくれよ、永夢。

 

自分の嘘にノれ!

 

 

 

 

 

社長室のデスクには機器に接続されたガシャットギアデュエルβが置かれている。そのよこに置かれている電話を正宗は取って電話番号を打ち込む。

 

 

「私だ。今からそちらにタドルファンタジーとタドルレガシーのデータを送る。その2つのデータを使って新たなタドルレガシーを作ってくれ。頼んだよ、霧島明…いやハリケーンサバイバル。」


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