最強のライダーが行く異世界転生   作:バウ

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未だに続きを待ってくれている方からメッセージが来たので、その方の為に


炎と踊れ辺境の仮面ライダー

 キバが捕らえられて一年、いや半日が経過した頃。暇を持て余していたキバとキバットバットⅡ世が昼寝で持て余した時間を消費していた。

 

「さすがに暇だな」

 

「ZZZ」

 

「キバット族も睡眠は必要と見える」

 

 そういえばワタルの所にいたキバットバットⅢ世は、ヴァイオリンの寝床で眠っていたな。

 

「む」

 

「揺れたな…空気が」

 

 小さな爆発音が遅れて洞窟内に鳴り響く。

 

「そろそろ出番の様だな」

 

「ふむ」

 

―――――――――――――――――

 

 盗賊団。どこにでも現れる奴隷狩りと間違われがちだが、厄介さは盗賊もそう変わらん。奴隷狩りは生け捕りを機基本とするが、盗賊は殺しを基本とする。違いがあるとすればそれぐらいだろう。

 

「甘く見たつもりは無かったが…ここまでとはッ!」

 

 村に押しかけて来た盗賊団が要求したのは、村にある全ての食料と女。当然そんな要求を受け入れられる訳がない。仮にその話を受けて生き延びたとしても、食料がなければ冬までも持たないだろう。そして奇跡的に冬を乗り切ったとしても、子供が生まれねば村に発展は無い。

 

「分かり切った事だがなぁ……奴ら遊んでやがるっ!」

 

 大した武力も無い辺境の開拓村だ。暇潰しに痛めつけるには丁度良い獲物だったのだろう。

 

「おらぁ!」

 

 馬を乗り回した巨漢の男が、杖を片手に暴れ回る。その都度、杖から炎が溢れだし村の家が焼け落ちる。

 

「いい加減にしねぇか!」

 

 炎舞散る地獄のような光景に抗おうと一人の老狩人が弓を射る。

 

「んぅ!」

 

 命中したのは悪漢が跨る駿馬。その巨体を支える馬を失い、地面に投げ出される。

 

「この爺ィ!」

 

 馬を失った事よりも体に付いた土の汚れに腹を立てながら、杖を大きく天にかざし呪文を唱えた。

 

「我求めしは 赤熱の槍 我が前に来りて 敵を突き崩せ ファイアーランス!」

 

「ぬぐっ!」

 

 魔法使い。それは超常現象を自らの魔力と引き換えに具象化する技術である。技術である故に習得が必要であり、技術である故に習得者の人格を問わない。

 

「なぁ~んだぁ。まだ生きてたか、しぶとい爺ィだなぁ」 

 

「ハッハッ…ッ!」

 

 盗賊の放った魔法はお返しとばかりに、ワシの左腕を持って行った。幸い炎の槍であったおかげで、傷口が焼かれて失血死はなさそうだ。

 

「片腕でも矢で突き刺す暗いは出来る」

 

 とは言え、あまり関係なさそうじゃがな。

 

――――――――――――――――

 

「へぇ、あれが魔法か」

 

「未熟な術者からは学ぶ物がないだろう」

 

「魔法は初めて見るんだが?」

 

「ならば寧ろマイナスだ」

 

「何故?」

 

「必要な物と不要な物の区別が出来ないからだ」

 

「ああ、なるほど」

 

 情報の取捨選択が出来ないから不要な情報まで必要だと判断しちまうってとこか。

 

「面白そうだし介入するかね」

 

「戦うのか?」

 

 出番が欲しそうなキバットには悪いが、今回はもっとドラマティックにするつもりだ。

 

「いいや。ただ…」

 

「む?」

 

「ただこの戦いは、あの爺さんのものだろう?」

 

―――――――――――

 

「でよう。他の奴らが見当たんねぇが、何所に隠れたんだ?」

 

 盗賊は方腕になった老狩人に村人の居場所聞き出そうと無為な時間を過ごしていた。

 

「ふん、幾ら聞いても無駄だ。ワシが口を割ることは無い!」

 

≪Single Mode≫

 

「ぬぅ?!」

 

「よーし、ちゃんと避けたな」

 

 当てても良かったが、そんな幕切れだと面白くない。

 

「お、おめぇ…何で…?」

 

「…爺さん、見事に劣勢だな。まだ抗うつもりか?」

 

 何を分かり切った事をと心の声が囁く。

 

 命を懸けて戦って、片腕を犠牲にしてボロボロになっても食って掛かる。そんな姿を見たばかりだというのに。

 

「当然じゃ!」

 

「なら使え!」

 

 老狩人の即答にその言葉を待っていたと、手に携えたベルトを投げ渡す。

 

「これは…ベルト?」

 

「俺には不要の代物だ。さっさと腰に巻けっ!」

 

 訳が分かっていない様子の爺さんを急かす様に、声を投げかける。

 

「まさか…ライダーベルトか!」

 

 先に気が付いたのは盗賊の男だった。仮面ライダーに変身するキーアイテムであるベルトは、低級の物であってとしても一つあれば城を建てられるようなお宝である。

 

「なんとっ。これが!」

 

「驚いてないで変身しろ!」

 

 せっかくカッコよく危機を救うヒーローを演出していたというのに、やはりライダーには若い男の方が良かったか?

 

「つ、使い方が分からん!」

 

「だああぁぁもう!」

 

 牽制射撃で隙を作り急いで爺さんに駆け寄ると、ベルトを引ったくり腰に巻いてやる。

 

「ナックルを構えて、先端を押し付ける!」

 

「ど、何所に!」

 

「普通なら利き手と反対の掌だが…何処でもいい!」

 

 そうだった片手が無かったんだった!

 

「ならこれで!」

 

『レ・ディ・ー』

 

 老狩人は自分の胸にイクサナックルを押し込んだ。

 

「これは…知識が流れ込んでくる!?」

 

 ベルトに収めた。

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

「なかなか良い着心地だ…無くした片腕の分、利子付けて返して貰おうか」

 

 両腕を前に構えるバーストイクサ。

 

「変身すると、腕はああなるのか…」

 

 例え腕を落とされても変身すれば再生する。正確に言えばライダーの腕部を自由に操作できるとするのが正しいだろうか。自分の失った腕が生えてくる訳ではない。

 

 より正確に表現するなら、意のままに動かせる義手である。

 

「勝負あったな」

 

「同じ人間、しかもライダーと魔法使い崩れ勝負になるまい」

 

 やがて風化する綴られぬ歴史が、片腕の英雄が炎を従えた悪鬼を打ち滅ぼす伝説として語り継がれるのは――また別の話。

 

「これを、こうか!」

 

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

「お、おいま」

 

「燃やされた家を建て直すのに、どれだけ時間が掛ると思ってやがる!」

 

 老狩人は止まらない。

 

「一刀両断!」

 

 イクサの胸に太陽の紋章が浮かび上がる。

 

「ほう、あれがイクサ・ジャッジメントか」

 

 イクサカリバーで下から上に切り上げると、太陽を背負っているかのような幻影を映し出す。

 

「んじゃ、俺は他の盗賊を始末して於きますか。変身」

 

『Complete』

 

 魔法使いは盗賊団の頭だったのだろう。一人ではしゃいでいたし。

 

 ついて来たと思われる盗賊共は、やることが無かったのかとても暇そうにしていた。正直、こいつらは使い道もなさそうだから軽くひねって終わらせよう。

 

「ライフエナジーは良いのか?」

 

「低品質過ぎて使い道がない」

 

 そう考えるとリザードマンのライフエナジーは良かった。初めてだからと調子に乗って少年に全部突っ込んだのだが、少しぐらい残しておけばよかった。

 

 まぁ、その代わりにオルフェノクとしての寿命は延びただろうが。

 

「終わったらドラゴンの居場所きかないとな」




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世

偽造ステータス
名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー

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