魔法のお城で幸せを   作:劇団員A

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エリスとハリー視点です
花言葉は「迷信」「敵意」「秘密」「恨み」


オトギリソウ

下級生たちの公演も無事終えて(今年は純愛物語だった。演目決めでは獅子と鷲を蛇が絞殺していた)、部内でのパーティーも終わり、月日は流れてハロウィンパーティー当日である。魔法によって飛び交うパンプキンパイやお菓子を追いかけ回して食わんと捕獲しにかかる。私たちスリザリンの生徒たちも楽しそうに追いかけましている。

 

「エリス、ターニャがパンプキンパイ取り過ぎたみたいなの。食べるかしら?」

「えへへへ」

「ありがとう、シアン、ターニャ。いただくわ」

 

そういって私の派閥の子達から渡されたパンプキンパイを一切れとって食べる。かぼちゃの程よい甘さが口に広がる。そんな風にゆったりとスリザリンのテーブルで過ごしている中、大広間の一画に寮を問わずに大勢の人が集まっていた。そこにいる人々はみなメガネを掛けておりみんなファンシーな色をした杖を虚空めがけて振るっている。私主導でフレッド、ジョージ、フレデリカと共に作り上げたものである。といってもそれは最初だけで結局は暇を持て余した同学年たちの共同開発になったのだが。まぁ無事にバジリスクが活動を始める前に開発が終了したのは良かっただろう。この眼鏡には魔眼対策としての魔法をこれでもかというほどかけている。本当に防げるかどうかは賭けであるが。

 

眼鏡をかけて人集りのほうを見ると空中に蛍光ピンクと黄色のシマシマをした巨大なドラゴンが宙をかけていた。なかなかの出来である。満足しながら遊んでいる人々を眺めていた。……なんか中に知っている栗色の髪したハッフルパフの某団長が全体の指揮をとるようにして大声をだしていたのは見なかったことにした。どうやら根が素直なアイクにとっては閉心術の修行はかなり苦労しており、かなりのストレスがきているらしくこういった遊びごと、イベントごとには率先して参加している。それでもちゃんと習得してきてはいるんだけど。

 

ハロウィンパーティーは終盤へとなり、先ほどまで眼鏡をかけてゲームで遊んでいた生徒たちも疲れと満腹で椅子に座っていた。ダンブルドア校長の挨拶でパーティーは終わり、解散となった。

 

さて、これから事件が始まっていくのね。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

僕たちが絶命日パーティーから帰ると変な声が聞こえて(ハーマイオニーやロンには聞こえてないみたいだった)、声のするほうへと向かうと壁には真っ赤な文字が書かれている。

 

『秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵よ、気をつけよ』

 

フィルチの猫、ミセスノリスがぶら下がっていた。僕たちは逃げようとするが、タイミングを逃してハロウィンパーティーを終えた生徒たちが大勢現れた。

 

ガヤガヤと騒いでいた生徒たちはこの状況を見ると一斉に沈黙した。僕たち三人はそんな中でポツンと廊下の真ん中にポツンと取り残されていた。

 

そのときマルフォイが前列まで人の波を押しのけて現れて叫んだ。

 

「継承者の敵よ、気をつけよ! 次はお前たちの番だぞ、穢れた血め!!」

 

ハーマイオニーの方を向きながらマルフォイが叫んだその声が辺りに木霊した瞬間、言葉にできないような怒号とともにマルフォイの体が吹き飛んだ。方々から悲鳴と驚きの声が響き渡る。おそらく誰かが魔法でマルフォイを吹き飛ばしたのだろう。一体誰がと思い、魔法を放ったと思われる方向を見ると僕たちは驚愕した。

 

「おい、今、誰を、なんて言った」

 

アイクが激怒していた。温厚そうな顔を怒りで歪めて、杖を折らんばかりの勢いで握りしめて壁にぶつかったマルフォイへと向けている。感情を押し殺したと思われるような嫌に静かな声が廊下に染み渡る。

 

「おい、お前。もう一度聞くぞ。今、誰を、なんて言った」

「ひぃっ」

 

マルフォイは短い悲鳴をあげる。杖を構えたままマルフォイへと迫ろうとするアイクを誰かが止める。金髪の髪を三つ編みにして、かぼちゃをイメージしたのかファンシーなドレスを着たステフだった。アイクの杖を構えていた腕にそっと手を添える。

 

「いけません、アイク。下級生相手に防げないような魔法を使うのは良くないと思いますよ。男の子同士でしたら拳で」

 

あ、違った。止めてるんだじゃなくてかなりステフも怒っている。ステフがいつものようにゆっくりとした動作で杖をアイクから取ると、対照的に慌てた様子でセドリックが飛び出してきた。

 

「ストップ、ストップ。アイクもステフも落ち着いて」

 

ガバリと後ろからアイクを羽交い締めしてマルフォイへと向かうのを止めた。体格差もあって体が地面から浮いているがそれでもバタバタ体を動かして、わけのわからない言語で叫んでいる。

そんな騒ぎを聞きつけたのか、次々とフィルチや先生たちが集まってきて猫が死んでいないことなどが判明してその場は解散となった。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

それから数日が経ってハーマイオニーが魔法史の授業で質問したり学校では継承者や秘密の部屋についてなどの話題に満ち溢れていた。そんな中で僕たちグリフィンドールとスリザリンがクィディッチの試合が行われた。その試合で僕は執拗にブラッジャーに狙われてしまい、骨が折れたのだが更に不幸なことにロックハートのせいで僕の腕の骨は消え去った。

そして、その治療のためあまりの激痛に耐えているとドビーが現れて、ブラッジャーが彼の仕業だとわかった。肝心なことを隠しているドビーと話していると突然凍りついたようになり、バチッと消えた。廊下から話し声が聞こえ、保健室に複数の足音が聞こえて隣のベッドにどさりと何か重いものが置かれる音がした。それも三回も。

 

「まさか一夜にして3()()も被害者が出るとは……」

「私が見つけたのはコリン・クリービーだけでしたが……。まさか他にも被害者がいるとは……」

 

ダンブルドア先生とマクゴナガル先生の声だ。胃がひっくり返るような思いのなかそっと、ベッドの中の石像たちを視界に入った人物たちに息を呑んだ。そこにいたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 

 

 

 


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