魔法のお城で幸せを   作:劇団員A

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ゆったりした三年生
愛妹入学


俺のホグワーツでの一年生と二年生の時間は想定外のことも起きたが、賑やかに楽しく過ぎていった。そして迎える三年目、やはり俺の妹ハーマイオニーにも入学許可証が届き、ホグワーツへの登校が決定したのだ。

 

そして訪れた三年生としての登校日。喜んでハーマイオニーと一緒のコンパートメントに入ろうと思っていたら、断られてしまった。なんでも「いつまでもアイクに甘えてられないもの。もう私だって十一歳だわ。兄離れしなくちゃね」とのこと。

 

「うー、兄離れとかしなくていいのに」

「なるほど、そう言われたから凹んでるんだね」

「残念でしたね。妹さんが入学決まったときにはあんなに手紙からでも伝わるほど喜んでいらしたのに」

「これを機にアイクも妹離れしなさいよ」

「エリスが冷たい……。セド、慰めて」

「はいはい」

 

寮は別になる可能性が高いから、せめてホグワーツ特急の中では仲良くしたかったというのに。

ちなみにセドリックの背はぐんぐん伸びて、顔も幼さが抜けてハンサムになった。

ステフも背が伸びて可愛らしい雰囲気も残しつつ美しいといった印象である。

エリスは相変わらずクールビューティといった要素が強く背も伸びて更に前よりも威圧感が増した気がする。

ちなみに俺は去年の春休み開けから長髪をやめて、顔も昔よりも凛々しくなっている。がしかし背はあまり伸びていない。何故だ?!神は理不尽である。

背の順的にはセドリック、エリス、俺、ステフである。あまり言いたいことではないが、俺とステフの差はほとんどない。髪も切ったというのに未だに可愛い可愛い言われるのが腹立たしい。

 

「そういえばアイク、今年もチョークの劇やるんだよね」

「えー、うん、やるやる」

「そんなぐでっとしてないで、ちゃんとしなさい」

「なんだか溶けたアイスのようですね」

「去年、ホグワーツで大人気だった人間とは思えないわね」

 

完全に脱力しきっており、やる気が出てこない。いや、ちゃんと演目やるけどね。休みの間に原稿書いたし。

 

「はぁ……そこの溶けたアイスは放っといて、セド、今年もクディッチ頑張ってね」

「あら、エリス。他の寮の応援していいんですか?」

「私、クディッチそんなに興味ないもの。単純に友達を応援してるだけだよ」

「ありがとう、エリス。みんなの応援に応えれるように頑張るよ」

「二年生でスタメンですものね、流石ですよ」

「ありがとう、ステフ。あとキースもだけどね」

「……彼がキーパーとしてあんなに俊敏に動けるとは考えていませんでしたよ」

 

脱力している俺を放置して、三人は楽しく会話していた。薄情め!

 

「そういえばアイク今年はどんな演目にするつもりなの?」

「何個か書いたけど基本的に有名な作品か前やったやつの再構成かな、人も増えたし」

「そういえば今年、FOCの大会やるって本当かい?」

「あ、うん。各寮から五名ずつ代表だしてやろうと思ってる。寮対抗のトーナメント戦にしようと思って」

 

チョーク劇が有名になったので、それと同時にFOCも有名になったのだ。

というのも劇に参加した人たちがどうやって細かい動きを練習したか聞かれて、「対決させていた」とか話すと途端に人気になった。余談だがこの影響で色んな教室からチョークが取られたので校長直々にお小言があったのは良い思い出である。

 

FOCの主なルールとしては

・白いチョークで人型を作る

・赤いチョークは武器、剣や槍などの作成用

・青いチョークを鎧や盾、もしくは飛び道具など補助として使う

・赤と青のチョークにはチョークで作られたものを脆くする効果がある

・使えるチョークの量は各色ごとに決まっている

・核として緑の球をどこかに埋め込む必要がある

・核が壊されるか白い人型が完全に崩れ落ちるかすると敗北である。

 

ちなみにこの核はあのウィーズリー双子作成である。魔法でうまく人型を作れない人に対して人型形成を補助してくれるものである。

色々な人型タイプがあるらしく下級生を中心になかなか売上が良いららしい。

この核を双子に提案されたときに「そういえば最初は悪戯に対する復讐だったなぁ」なんてことを思い出した。

 

「その大会、アイクは出るんですか?」

「迷ってるんだよね、ほら自惚れているわけじゃないけど俺、粉操ることに関しては断トツに上手いから。多分大会の審査員になるかな」

「セドは出ますか?」

「出ないよ、クディッチの練習があるからね。去年と同じように劇も観客かな」

「そうですか、残念です」

「私は出るつもりよ、大会」

「エリスが?」

「なんだか意外だね、というか周りがうるさそうだけど」

「彼女たちは去年でもう改心してるわよ」

「ならエリスと対決することになりそうですね」

「ステフも出るつもりなのね、楽しみだわ」

 

今年はどういった年になるのか、など思いを馳せながら俺たちは話していた。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

私の名前はハーマイオニー・グレンジャー。今年、ホグワーツ魔法学校に入学する一年生。

私にはホグワーツに通う兄、アイクがいる。幼少期からアイクはよく本を読んでいたし、いじめられっ子を助けたりなどしており、勤勉で勇敢な兄である。

 

私はそんなアイクを慕っていたし、尊敬していた。学校の先生にはいっぱい質問すると嫌な顔をされたりしたけど、アイクはそんな素振りも見せずなんでも答えてくれたし、わからないときは一緒に調べてくれた。

 

だからアイクはホグワーツにある四つの寮のうち、グリフィンドールかレイブンクローだと思っていた。

だけど私の予想に反して、届いたアイクからの手紙にはハッフルパフに割り振られたとのこと。ちょっと驚いたけど、よくよく考えたら納得のできることだった。

 

アイクは勤勉だし、あまりの怒ることもなかったし友達も多かった。いじめを止めたときも気づいたらみんなの輪の中心にいて円満に解決していたし、私と同じくらい本を読んでいるのに、私よりも圧倒的に友達が多かった。

 

長期の休みにはアイクは帰ってきていたけど、少し忙しそうだった。ペンを片手によく文章を書いている。何を書いているかわからなくてアイクに直接聞いたけど、「ハーミーが入学したらわかるよ」と珍しくはぐらかされてしまった。

 

でも私は正直不安があった。本当に私もホグワーツに入れるのかどうか……これが私の抱えていた不安である。

アイクは昔私に火花の魔法を見せてくれた。とても鮮やかでパチパチと輝いており、感動したことを覚えている。だけど私にはそんなことはできなかったし、不思議なことがおきていた自覚はなかった。(後でパパたちに聞いたら実はアイクよりも私の方が不思議なことが起きていたらしい)

 

そんな中、ある日一通の手紙が届いた。ホグワーツへの入学許可証である!!

私は喜んだ。そしてそれ以上にアイクは喜んでいた気がする。二回目となれば両親も慌てずにいたし、私が行きたいと行ってもとくに嫌な顔はしなかった。

 

私たち家族はアイクに連れられてダイアゴン横丁へと向かった。私は初めて目にした魔法の世界に目を丸くしていたし、パパもママも同じ顔をしていたと思う。

 

アイクはそんな様子をニコニコ笑って、みんなで色んなお店を見て回り、学校に必要なものを購入した。教材や杖、はたまた鍋など、まじまじと見たことがないものも買った。あとは制服の採寸をした。動くメジャーやひとりでに布を切るハサミなど、目を見開くものが多い。

 

そして迎えた入学初日、アイクと私は家族に見送られてホグワーツ特急へと乗り込んだ。そこで私と同じコンパートメントに入ろうとしたアイクに私は思っていたこと告げる。

 

「アイク」

「ん?なんだい、ハーミー?」

「あのね、私、思ってることがあってね」

「うん」

「あのね、ホグワーツに入ってからあまりアイクに頼らないようにしようと思っているの」

「え……」

 

私がそういうと傷ついたような顔をするアイク。その様子を見て慌てて説明する。

 

「あ、えっとアイクが嫌いになったとかじゃなくてね、私ももう十一歳だし、いつまでも甘えてられないなと思ったの」

「…………そっか」

 

しょんぼりとしたようだけどアイクは納得してくれたようなので、私たちは別のコンパートメントへ行った。私はホグワーツで自分の才能がどんなものか知りたいし、その才能を磨いてみたい。でもその為にももっと自立しなくては。私はそう思い決心したのだ。

 

 

私が覗いたコンパートメントには気の弱そうな男の子とアジア系の綺麗な女の子がいた。

 

「ここ入っていいかしら?」

「ええ、どうぞ」

「う、うん」

 

今後私の学校生活に胸をときめかせながら私はコンパートメントに足を踏み入れた。

 

 

 




この章ではハーマイオニーとハリー視点を含みます

アイクとエリスとのやりとりもこの章で書く予定です

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