真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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真・恋姫の中で一番好きな話です。


二十一話

一刀「こっちの区画、案外スラムになってるんだよなぁ……もう少しこう、警備の人員を増やしつつ割り振っていかないと。」

 

如月「じゃあ、こっちの人数を増やして、こっちらへんで人数を調整したらどうだ?」

 

一刀「そうだな、しばらくはそうしようか。うーん、予算も人員も足りないな。見直す必要があるな。でも、あんまり無理を言うと桂花に怒られるしなぁ……」

 

如月「いやでも、足りないものは足りないんだから、必要経費だから。無駄な雑費とか見直して、申請しよう。」

 

一刀「そうだな。一回それで出してみるか。」

 

と、一刀とあれこれなやんでいると、

 

「たいちょー、ふくちょー、まいどー!!」

 

「やっほー!今日もいいお天気なのー♪」

 

バンッ!と突然部屋の扉が勢いよく開けられた。何事かと思い二人して手を止め顔を上げる。

 

「ねねねー、二人してなにしてるのー?」

 

「失礼します。」

 

「二人して部屋にこもって、はっ!まさか!」

 

一刀「んなことしてねーよ。俺らはお仕事してるんだぞー?お・し・ご・と。」

 

「えぇー、うそぉ~。」

 

如月「嘘じゃねーよ。これ、みてみろ。」

 

机上の紙を手に取り、三人の前に広げて見せた。

 

「小さい文字ばかりで、分かりづらいのー」

 

「これは……街の地図ですか?」

 

一刀「そ。街の警備計画の見直しをしてたんだ。最近どうも、区画によって格差が出来てるからさー。」

 

「あー……西地区のことか?」

 

如月「そうそう。最近ヒドイじゃん、あそこ。」

 

「あっこは元々、ガラの悪い奴らが集まっとるからなー」

 

「うんうん~。ここにしてはめっちゃ荒んでるよねー」

 

「人だけでなく、道にはゴミがあふれ、家屋もボロボロなものが多いですからね。」

 

如月「だろ。だから一刀と一緒にこんなものを考えたんだ。見てくれ。」

 

と言いながら、見出しの部分に指をさし、三人娘に渡す。

 

「なになにぃ~……『割れ窓理論』?……なんじゃそりゃ」

 

一刀「えっと……普段なら見逃してしまうような、軽微な犯罪を取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪全体を抑止できるとする……環境犯罪学上の理論のこと。」

 

「けいび……かんきょう、はんざい……?隊長~!ますますワケが分からなくなったのー」

 

如月「簡単に言うと、ゴミのポイ捨てとかの軽微な犯罪も見逃さないでバンバン取り締まって、この地区は治安がいいですよーって名実ともに住民にしっかりと体感させていって、犯罪を起こしにくいっていう印象を作り上げるってこと。」

 

「治安がええと、悪いことしにくいもんか?何かしでかすヤツは、どこいったってやるんちゃうの?」

 

一刀「心理的なものだよ。万引きなんてザラにあるって場所よりは、そうじゃないほうがやりずらいだろ。」

 

「ふむぅー、そーいわれるとなんとなーく分かるかもなのー」

 

如月「取り締まりとともに、街区の掃除や建築物の修繕なんかもして、きれいな街にするんだ。きれいな街だと心も荒みにくいし、犯罪を起こそうってなりづらいだろ。」

 

一刀「ゴミだらけの所にポイ捨てしてもなんとも思わないけど、ゴミが無い所にポイ捨てしようとすると戸惑ってしまうとか。それと同じ。」

 

「なるほど。周りに感化されやすかったり、人と『同じ』だと安心するという、人間の心理を見事についていますね。」

 

「へえぇ~、そっかそっかー。せやなぁー!ウチ、隊長たちのことちょーと見直したわ。」

 

一刀「へっへっへー。そうだろう、そうだろう。」

 

如月「まぁ、自慢したいところだが、実はこれ俺らの世界じゃ有名でいろいろな所で使われているんだ。それを活用しただけ。」

 

「それでも、西地区の改革にこの方法を思いついたんは、素直にすごいと思うで。」

 

「沙和もめっちゃ良い計画だと思うよ。ね、凪ちゃん。」

 

「ええ。隊長、副長ぜひとも実現に向けて頑張りましょう。」

 

一刀「お、お前ら……」

 

如月「そうだな。実現に向けて頑張ろう。てか、どうしたんだ三人そろって。」

 

「ウチら、隊長たちを昼ごはんに誘いに来てんから。」

 

如月「昼飯か。もう、そんな時間だったんだな。」

 

「そうそうー!カワイイ女の子とご飯なんて嬉しいよね~」

 

「……私は止めたのですが。」

 

テンションの高い真桜と沙和とは対象的に、申し訳なさそうに頭を下げた凪。きっと、仕事の邪魔をしてしまったと気にしているんだろうな。

 

如月「いや、気にするな。俺達も昼飯食いそこなわずにすんだし。なにより、カワイイ女の子たちとご飯なんて嬉しすぎるわ。」

 

うっ///と頬を染める三人娘。照れるなら自爆するなよ沙和。

 

一刀「それに、親睦も深まって一石二鳥だしな。それで何を食いに行く?」

 

「では、麻婆で」

 

如月「即答かい!」

 

と裏拳で凪にツッコミを入れるが不思議そうに首を傾げる。

 

「……なんですか?」

 

如月「遠慮してた割に答えが早かったから。しかも麻婆だろ。ちょっと意外だなと。」

 

「ふくちょー、あんな!凪は激辛料理が大好きやねんっ!」

 

「っ!!」

 

真桜は勢いよく凪の後ろに抱き着き、首に腕を回し、指先でちょんちょんとほっぺを突っつく。

 

「……や、やめ……副長の前で……」

 

「なー♪好きやんなー、辛いもん。よう食べてるし。」

 

「そんなことはない。別に、普通……」

 

「ねーねー、凪ちゃんに質問そのいち~!麻婆茄子と茄子田楽どっちが好きー?」

 

「麻婆」

 

「そのに~!麻婆春雨と拉麺は?」

 

「麻婆」

 

「さいご~!唐辛子と茘枝はー?」

 

「……唐辛子」

 

「ってなわけや」

 

「副長たちには誤解してほしくないのですが、私は決して辛い料理だけが好きだとか、辛い料理だけを食べているとか、そういうワケではなく……」

 

如月「うんうん、わかった、わかった。それじゃあ、昼飯は辛いものにしよっか。」

 

「はいっ!」

 

うん、いい返事だ。こういう一面もあるんだな。そして、食べる店を探すために外に出る。

 

如月「そういえば、どこかオススメの店とかあるの?」

 

「そういうのはねー、凪ちゃんが詳しいのー」

 

「そうそうこう見えても凪は、ウチらの中で一番の食通だからなぁ~!どっか飲み食いしにいくっちゅう時は、いつも凪に案内してもらうねん。」

 

一刀「へぇ~、そうなんだ?」

 

「確かに食べることは好きですが、華琳様達のように上等な食事を好むというワケでもなく、値段や見た目にはこだわらず、ただおいしい料理を食べ、出来ればそれを自分の手で再現したいと思っているだけです。」

 

如月「自分で再現?ってことは凪は料理が趣味なのか?」

 

「その件に関しては重要機密のためお教えできません。」

 

如月「そっか、重要機密か。それじゃあしょうがないなぁ。じゃあ凪、オススメの店に案内してくれ。」

 

「はいっ!」

 

凪に案内してもらった店に入り、真桜が麻婆豆腐と炒飯、沙和は麻婆茄子と炒飯と餃子、俺と一刀は店主オススメの麻婆豆腐とご飯にし、俺はご飯大盛りと焼売を追加し、凪は

 

「麻婆豆腐、麻婆茄子、辣子鶏、回鍋肉、全部大盛り唐辛子ビタビタで。」

 

如月「はっ?」

 

一刀「ちょっ!?」

 

「あいよっ!いつもありがとよ」

 

如月・一刀「「いつもなの!?」」

 

一刀「いや……凪が大丈夫なら、俺は全然かまわないけど、さ。」

 

「あははははっ。誰でもビックリしちゃうよねー。沙和も最初はそんなに食べて平気?って聞いちゃったもん。」

 

それからほどなくして、テーブルの上に全員分の料理が並ぶ。ある一角から辛いにおいが漂っているが。

 

一刀「……これが『唐辛子ビタビタ』……」

 

「……おいしそう。」

 

如月「そうか、そうか。おいしそうか。」

 

「……はい」

 

如月「じゃあ、全員分そろったから……」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

沙和と真桜が漫才みたいなやり取りをしていると、真桜が一刀の方を見て、

 

「うわっ!?隊長何してんの!!!」

 

一刀「へっ?」

 

一刀が麻婆丼にしていた。こっちだとみんな抵抗があるみたいだ。

 

如月「じゃあ、ちょっと食べてみるか?おいしいぞ。」

 

三人分の小皿に少量の麻婆丼を作り、三人に渡す。

 

「おわわっ!!?ウマイで、これ!」

 

「うん、おいしー。なにこれビックリー!」

 

「……意外」

 

如月「だろー?あと、こういう丼物はお腹が結構ふくれるし、手軽に出来るしな。素早く食べれるのも利点だな。」

 

ふむ、もう少し丼物の種類を増やして、丼物専門店を出してみるか。と考えていたら、

 

「こ、これは……!!?」

 

ガッシャーンと食器を落としワナワナと振るえる店主の姿

 

「白米に麻婆豆腐だと……!こんな料理未だかつて見たことがない!豆腐を木綿から絹ごしに変え、餡は片栗粉の割合を減らし……こうしてはいられない。すぐに試さなくては!」

 

オッチャンは厨房の奥へ消えていき、ガチャガチャと何かを作っている音が聞こえる。

 

如月「さっそく、作ってるみたいだし、次に来たときには麻婆丼出来てんじゃねーか?また、皆で来るか。」

 

「さんせーなの。」

 

とみんなの了承を受け、食事を再開。再開後、好奇心にかられた一刀が凪の辣子鶏の鶏肉を食べ、口から火を噴いてた。あと、華琳も辛いのが苦手らしい。今度の料理教室の時、気をつけよう。

 

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