真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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二十七話

新兵訓練もひと段落ついてきたのと、張三姉妹の舞台兼事務所が完成したとの報告を受けたため一刀と一緒に張三姉妹を案内したのだが、

 

「やーだー!こんな狭いとこで歌えないー!」

 

「ちぃも天和姉さんと同意見よ。こんなところで舞台に上がるなんて、恥かくだけよ。」

 

と上の二人が駄々をこねる。

 

如月「俺らももう少し大きくしたかったんだが・・・・」

 

と言っていると、

 

「ううん、これで十分」

 

「人和ちゃん!?」

 

「人和?ちょっと正気なの?ちぃたちの力はこの程度だって思ってたの?」

 

「違うわ。最初の一歩はこの程度の小屋で十分。あとは私たちが稼いで大きくすればいいだけ。・・・・姉さんたちは私たちにその力はないって思ってるの?」

 

「そうだよね!こんなボロ小屋、私たちが稼いで大きくすればいいんだもんね。」

 

「いやまあ、そうだけどさ・・・・」

 

すごいな、人和の一言で二人とも納得しちまったよ。

 

「それにしても・・・・こんな所にみんな来てくれるかなぁ・・・・」

 

「来てくれるじゃなくて、来させるのが天和姉さんたちの仕事でしょ。」

 

「そーそー!ちーちゃんの魅力にかかれば一発コロリでしょ♪」

 

一刀「そう言ってもらえると助かるよ。」

 

如月「宣伝の方は俺達も手伝うからさ。」

 

「・・・・じゃあこれ」

 

人和がギラリと目を光らせ、俺達に一枚の書簡を渡してきた。

 

「宣伝に使った瓦版屋の請求書。必要経費なんだから、城で払ってくれるんでしょ。」

 

一刀「まぁ、それくらいはしないとね。どれどれ・・・・なんじゃこりゃ!?」

 

如月「どうした?一刀?・・・・なんじゃこりゃー!」

 

一刀「こんなに作ったのか!?この値段だと、軍馬が百頭買えるぞ!?」

 

「とうぜんでしょう。こういうのは、最初に大きく風呂敷を広げる方が効果があるの。」

 

「そうそう。要はハッタリだよねー。」

 

「うんうん」

 

一刀「分かったよ。けど下りるかなぁ、これ」

 

如月「まぁ、なんとかするしかないな」

 

「じゃあ、さっそく取りに行って。そして配っておいてね。」

 

如月「了解。じゃあ、受け取りに行くか。さっさと配っちまおうぜ」

 

一刀「そうだな。そうするか。」

 

 

一刀「ふぅ・・・・華琳の方はなんとかなったけど、これからどうするかな。」

 

如月「二人で配っても、配りきれるかなぁ・・・・」

 

酒家の半分くらいを埋め尽くす量のチラシ。こんな量作らなくてもいいだろと思っていたら、

 

「お腹すいた―」

 

「今日は何食べようかな・・・・あれ、きー兄様たち?」

 

一刀「季衣に流流か。飯食いに来たのか?」

 

「うん、そうだよ。兄ちゃん達何か面白いことやってるねー。」

 

「何かお手伝いしましょうか?」

 

如月「そうだな。二人にも手伝ってもらうか。」

 

「良いよー♪それで、何を手伝えばいいの?」

 

如月「実はな、ここにあるチラシ・・・・広告紙をみんなに配って欲しいんだ。」

 

「へぇ、これをみんなに配って宣伝するんですか?」

 

「なんだか面白そうだね!・・・・ねぇねぇ、きー兄ちゃん。これ何て読むのー?」

 

如月「どれどれ?・・・・やくまんしまいかな?なんか言いにくいな。」

 

一刀「数え役萬しすたーずでいいんじゃないか?」

 

如月「しすたーずか・・・・なるほど!」

 

「しすたーずってなに?」

 

一刀「天界の言葉で姉妹って意味だよ。」

 

「そうなんだー」

 

如月「よし。じゃあ、これを道行く人たちに配っていこう。」

 

「おー!」

 

「がんばりましょう!」

 

なんとか二人のおかげで、大量のチラシを配り終えたが、夜までかかってしまった。

店の前でチラシ配りをやっていたのは気が引けたが、店の集客効果もあったみたいで、店の店員さんにお礼を言われてしまった。

 

如月「季衣、流流、ありがとう!すっげー助かった。」

 

「うー・・・・手伝ったのは失敗だったなー。お腹すいたー。」

 

一刀「ごめんごめん。・・・・はい、これ。お駄賃。ちょっと色つけといたから。」

 

「おー!兄ちゃん話せるねー♪」

 

「じゃあ、これで晩御飯でも行こうか。」

 

如月「じゃあな、二人とも。気を付けて帰れよ。」

 

一刀「助かったよ。気を付けて帰れよ。」

 

「はい。それじゃあ、兄様、きー兄様。」

 

「バイバーイ。兄ちゃん、きー兄ちゃん。」

 

二人を見送って

 

如月「とりあえず、小屋に向かうか。」

 

一刀「そうだな」

 

もう終わったかなと一刀としゃべりながら歩いていると、なんだか向こうの方が明るい。それに大勢の歓声が聞こえる。

 

如月「まだ、やってんのか?」

 

と歩きから駆け足へとかえ、人ごみに向かうと小屋の前に大勢の人たちが集まっていた。ちょうど、最後の曲だったのか、歌い終わった三人は手を振って舞台から下りていった。その間、観客の歓声と喝采は途切れることが無かった。

 

「あー、疲れたぁ~」

 

「ちぃもへろへろ~」

 

一刀「お疲れさん!ほいよ、冷たい水の差し入れだ。」

 

水を汲んでは三人に渡す。きっと、休憩も無しに歌い続けていたんだろう。

 

如月「すっごい盛り上がっていたな。ビックリだ。」

 

「でしょでしょ?少しは私たちのこと見直した?」

 

一刀「少しどころじゃないな。正直なめてた。」

 

如月「すんげー見直した。」

 

「ふふん、分かればいいのよ。これからはちぃ達のこと、もっと大事にするように。」

 

一刀「ははっ、了解。その分頑張ってくれよ、俺達も頑張るから。」

 

五人でワイワイしゃべっていると、ふいに、人和が立ち上がり、部屋の隅に行き、箒を出してきた。

 

如月「人和何やってんの?」

 

「掃除。」

 

一刀「そんなの俺達がやっておくよ。人和は今まで仕事してたんだから、休んでていいよ。」

 

「そうだよぉ~。一刀達にまかせて私たちは休みましょ?」

 

「ダメ。こういうことは自分たちの手でやらないと、大盛況だった実感がわかない。」

 

人和は天和の言葉を一蹴して、一人で黙々と掃除を続ける。

 

如月「なら、手伝うよ。」

 

そう言って、掃除をし始める。一刀も続いて掃除をし始める。

 

「ちーちゃん、私たちも手伝おっか。」

 

「えーちぃ疲れてるんだけど。」

 

「まあまあ、そういわないの。」

 

「ちぇ、仕方ないなぁ・・・・」

 

地和はぶつくさ言いながらも掃除をちゃんとし始めた。なんだかんだ言って、三人とも仲がいいみたいだ。

 

「やっと終わった―。さぁ、打ち上げ打ち上げー♪」

 

「お腹すいたよー。れんほー。結構売り上げ上がったでしょ。それでパーッとやっちゃおう!」

 

「今回の収益が私たちの活動の元手。・・・・無駄遣いなんて出来るわけないでしょ。」

 

「ぶーぶー、私も打ち上げしたいー。」

 

「打ち上げしたいー。」

 

「ダメです。」

 

如月「今回は俺らが飯代くらい出そうか?」

 

「財布の独立こそ、真の独立につながるのよ。余計なことしないで。」

 

如月「そこまで考えているのか。なら、初舞台成功おめでとう。と言う事でならどうだ?節目、節目に騒いでもバチは当たらないし、次への活力になるからな。」

 

「しかたないわね。じゃあ一報亭のシュウマイを五人前ならいいわ。」

 

「もう一声!」

 

「ダメ」

 

「えーっ!それだと一人一人前しか食べられないよぉー」

 

「贅沢は敵です。」

 

如月「なら、俺らがあと五人前出すよ。」

 

「そんな必要ない。・・・・さっきも言った通り、財布の独立こそが・・・・」

 

如月「真の独立につながるんだろ。それは分かってるから。これは、さっきも言った通り次への活力にしてほしいのと、感動に対するお礼かな。」

 

「感動?」

 

一刀「そうさ。如月の言う通り。三人の歌を聴いて心底感動したから、良い歌を聴かせてもらったお礼だよ。それならいいだろ?」

 

「・・・・。じゃあ、遠慮なく。」

 

「「やったー!」」

 

「じゃあ、すぐに行こ♪お店閉まっちゃうよ♪」

 

「あーっ、姉さん待ってよぉ!」

 

一刀「ちょ、二人とも待ちなさい。」

 

如月「やれやれ、現金だな。さっきまで疲れたって言ってたのに。」

 

「お腹が空いてますからね。」

 

ぐぅ~。人和のお腹が鳴く。顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。

 

「あ、ちょっと!」

 

如月「ほら、俺達も行くぞ。俺も腹が減ったんだから。」

 

「・・・・うん。」

 

人和の手をとって走り出す。早く一刀たちに追いつかないとな。

 

 


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