真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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五十三話

秋蘭と流流を助けに出撃したのは、俺、春蘭、季衣、霞、華琳、風、稟の七人。桂花と一刀は陳留でお留守番だ。一刀も行きたがっていたけど陳留を開けっ放しにするわけにはいかないのでお留守番となった。

 

如月「秋蘭、流流。無事でいろよ!」

 

昼夜を問わず飛ばしに飛ばした。

 

如月「みんなはどこだ?……見つけたっ!あそこだっ!」

 

 

 

 

side秋蘭

 

劉備の兵が国境付近をうろついているという報告があったため、自分と流流の二人は部隊を率いて定軍山に偵察に行くことになった。その道中

 

「そうだ、流流。」

 

「はい?なんですか秋蘭様?」

 

「如月とはうまくいっているのか?」

 

「はうっ!きー兄様……とですか?うまくいってると思います。」

 

「そうか。良かったな。」

 

「はいっ!」

 

流流と天の国で言う、があるずとーくと言うものをしつつ定軍山へ向かう。

 

 

「……ここが定軍山か。」

 

数日後、定軍山に到着した。念のため近くの村人たちに話を聞きに行かせた所、見慣れない騎馬が数騎うろついていたくらいで、特に変わった様子もなかったようだ。

 

「連中もいつもの偵察だったのだろうな。」

 

「そうだと思います。無駄足でした……かね?」

 

「来てすぐにその情報ではな。……まぁ、数日は留まって、情報を集めてみよう。」

 

「正直、もっと時間がかかると思ってましたけど……お肉、もう少し待った方がおいしくなるかなぁ。」

 

「そうか、その件もあったな。」

 

「はい。きー兄様や霞さんも呼んでみんなで楽しみましょう。」

 

「だが、あれで足りるのか?」

 

「季衣が買い足すって言ってましたから。それに足りなくてもきー兄様がどこからか持ってきそうですしね。」

 

「はっはっは。確かにあやつならやりかねんな。なら、この任務を無事に……」

 

ヒュン! ヒュン! ヒュン!

 

『ぐわっ!』

 

『ぎゃああっ!』

 

「秋蘭様!」

 

「敵襲だ!皆、敵の攻撃に備えよっ!……これは、楽な偵察とはいかなくなったな。」

 

 

あれから一晩経過したが状況は悪くなる一方だった。

 

「何人……残ってる?」

 

「ほぼ半分かと……」

 

「いたぞっ!夏侯淵だ!」

 

「ちっ!もはや森の中を逃げ回っても埒があかんな。」

 

「なら、出ますか?」

 

「仕方あるまい!」

 

森から平原へ出た瞬間、無数の矢が雨のように降り注いできて

 

『ぐわっ!』

 

『ぎゃああっ!』

 

「っ!総員……」

 

「止まるな!駆け抜けろ!」

 

流流が止めようとしたのを遮って駆け抜けるよう指示を出すが

 

「させないよ!てりゃああああああっ!」

 

「きゃっ!」

 

「流流!ちっ!」

 

馬岱に牽制のための矢を放つが

 

「外した?いや、撃ち落とされたか!」

 

「さすが夏侯淵ね。」

 

「そうか貴様が……黄漢升」

 

「悪いけど時間稼ぎはさせないわ!」

 

「くっ!」

 

「秋蘭様っ!」

 

「流流!目の前の敵に集中しろ!」

 

「それは貴方も同じでしょう!翠ちゃん!」

 

「夏侯淵!その首もらったああああ!」

 

「しまっ!」

 

如月「空から美青年参上!」

 

ガキンッ!

 

「なっ!」

 

「な、なぜお前がここにいるんだ……如月。」

 

sideout秋蘭

 

 

「な、なぜお前がここにいるんだ……如月。」

 

如月「そりゃ、大切な仲間が危機にさらされているんだから助けに来るのは当たり前だろ?イオラ。」

 

「なっ!爆発したですって!」

 

「す、すごいっ!」

 

「なっ!ふざけるなっ!」

 

如月「おっと!」

 

馬超の薙ぎ払いを受け止め、鍔迫り合いの形に

 

「母さんの仇を討てるはずだったのに、邪魔しやがって!」

 

如月「それは悪かったが、そうかカッカするなよ。可愛い顔が台無しだぞ。」

 

「ななっ、なっ、何変なこと言ってんだよっ!」

 

「交戦中にナンパとは。さすが如月だ。」

 

「きー・に・い・さ・ま?」

 

「あらあら。」

 

「戦場で口説き落とそうとする人初めて見た。」

 

如月「えっ、いや、そんなつもりじゃなかったんだが…」

 

「秋らーん!」

 

「流流ー!」

 

如月「おっ、ほら、増援が来たぞ!」

 

「あらま。大変!翠ちゃん!たんぽぽちゃん!撤退するわよ!」

 

「あ、ああ。」

 

「うんっ!」

 

 

 

 

「無事か?秋蘭。」

 

「流流も大丈夫?」

 

「二人とも無事か?」

 

「姉者に季衣、霞まで。」

 

「私もいるわよ。」

 

「「華琳様っ!?」」

 

「華琳。ウチらで追撃に入るけど、ええか?」

 

「ええ。私たちも負傷兵を纏めて、すぐに追いかけるわ。」

 

「あの…華琳様。この事態は…一体?」

 

「如月と一刀が、貴方達の危機だって教えてくれたのよ。ちゃんと礼を言っておきなさい。」

 

「そうだったのか。ありがとう如月。」

 

「ありがとうございます。きー兄様。さっきの件は無かったことにしますね。」

 

如月「いいや、気にするな秋蘭。流流さん。寛大なご配慮を賜り感謝しております。」

 

「何があったのよ…」

 

如月「内緒で…」

 

そんなやり取りをしつつ、追撃部隊と合流。稟の報告で馬超達は近くの城にこもっているらしい。籠城するかなと思ったが、城の門が開けっ放しになっていた。

 

「様子を見てくる必要がありそうね。風、付いてらっしゃい。護衛は……季衣と流流、如月も付いてきなさい。」

 

『はいっ!』

 

『はーい』

 

城に近づいて様子を見る

 

「間違いなく、星ちゃんの策ですね。」

 

「あなたの友人は、本当に肝が据わっているわね。」

 

如月「で、攻めるの?」

 

「いいえ、攻めないわ。けど、少し用があるのよね…呼べば誰か出てくるかしら?」

 

如月「さすがに出てこないだろー。」

 

「おーい!誰かいるかー!」

 

「ここにいるぞー!」

 

如月「出てきたし…」

 

「馬岱だったかしら?馬超に取り次いでもらえる?」

 

「…姉様、あなたに会いたくないって。」

 

「なら、彼女に伝えておいて。馬騰は城の侍女に命じて西涼の流儀で葬らせてもらったと。馬騰と雌雄を決せられなくて、残念がっていたと。」

 

「それ、ホント?」

 

「こんな嘘をついても仕方ないでしょう?墓の場所を教えておくわ。すぐにわかると思うけど。」

 

「分かった。姉様に伝えておく。」

 

「ならば用は済んだわ。帰るわよ。」

 

「あれ?そっちのお兄さん。姉様、口説いていかないの?」

 

如月「いや!何言ってるの!」

 

「だって『可愛い顔が台無しだぞ』って言って口説き落とそうとしてたじゃん。」

 

「何をやっているのよ。あなたは…」

 

「きー・に・い・ちゃ・ん?」

 

「如月さん?」

 

如月「あ、いや…つい、思ってたことを口にしちゃって…」

 

「姉様って奥手だけど、お兄さんカッコいいから、大丈夫だよ!あっ、その時はたんぽぽも一緒にねっ!」

 

如月「ちょっ!馬岱ちゃん。何言ってるの!?(ガシッ)あの…季衣さん?流流さん?何で両手掴んでるの?あっ、ちょっと引きずらないで!風!助けて!えっ?おはなしがある?霞も一緒?いや!違うから!いや、違わないけど、違うから!」

 

「あれ…たんぽぽ…余計なこと言った?」

 

「いいえ。問題ないわ。それじゃ、帰るわ。」

 

 


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