真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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六十三話

皖城をほぼ無傷で手に入れた俺達は長江に渡河拠点を造ろうとしているんだが、呉の連中の邪魔にあってなかなかうまくいかない状態が続いていた。

俺もさ、連中が船出来たからバギクロスを放ってやったら、こっちにも被害が出ちゃって、全然だったんだよ。

 

如月「はてさて、どうするかねー。」

 

「補給線は伸びてしまいますが、次は本隊ごと動かすしかありませんね。」

 

一刀「どう動いても孫尚香には有利なまま……か。完全に主導権を握られたな。」

 

如月「呉の連中はこれがやりたかったんだなぁー。」

 

「それも狙いなのでしょうね。……とはいえ、背に腹は替えられないか。」

 

「軍議中失礼します!」

 

如月「どうした?」

 

「はっ。石亭を出た輜重隊が孫尚香の襲撃を受けたとの報告が!」

 

「誰か出られるものは!」

 

如月「俺が行く。俺はこのまま飛んで行って場所を確認後、空にでかい火の玉を出すから、そこに来いと俺の隊に通達を。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

如月「さてさて、ここら辺のはずだが……いた、あそこか。で、俺の隊は……あそこか。よし、空に向かって、メラゾーマ!……気付いたみたいだな。さて、下へ降りるか。」

 

 

 

 

 

「みんなー!応援はすぐに来るから、呉の連中に集中するのー!」

 

『おおー!』

 

如月「なかなかの指揮じゃないか、沙和。」

 

「え?あ!ふくちょーなの!みんなー、ふくちょーが来たのー!これで千人力なのー!」

 

『うおー!』

 

「一人増えたからって、こちらの優位は変わりありません!小蓮さま!」

 

「ええ。弓部隊、火矢を!」

 

如月「悪いけど、落とさせてもらうぜ。バギマ!」

 

「えぇ、そんな……」

 

「まさかここにも妖術使いがいたなんて!」

 

如月「総員。呉の連中を取り囲め!」

 

『はっ!』

 

「ああもう、しくじったわ!穏に応援を!」

 

ヒュン  ヒュン  ヒュン

 

『ぐわっ!』

 

『ぎゃあっ!』

 

「ひゃああああっ!?な、なんなの!?」

 

如月「俺達を狙った……」

 

「ちゅーことは……」

 

「敵増援か。」

 

 

「はああああああっ!」

 

ビュン!

 

ガキン!

 

如月「関雲長……か。」

 

「如月さんっ!」

 

如月「こっちはいい、凪!体勢を整えて、蜀の援軍に対処しろ!」

 

「……さすが如月殿。ふっ!」

 

関羽が後ろへ跳び、俺との間合いを取る。そこへ

 

「小蓮、大丈夫!?」

 

「大丈夫!それよりお姉ちゃん、どうしてここに!?」

 

「雪蓮姉様から、十分時間は稼げたという指示を伝えに来たのよ。それと……え?」

 

「如月さん!大丈夫ですか!」

 

如月「ああ、大丈夫だ……凪、こっちの状況は?」

 

「はっ。積荷の一部が燃えてしまいましたがそれ以外は無事です。兵達も幸い死者はいないようです。」

 

如月「上出来だ!輜重隊はそのまま皖城へ『あなたが……』……ん?」

 

「あなたが龍谷如月だったのね……」

 

如月「そっか……君が孫権か……」

 

「蓮華さま!これ以上は無理です!ここから引きましょう!」

 

「龍谷如月……赤壁で待つ!」

 

如月「……分かった。ああ、孫権。」

 

「……なんだ?」

 

如月「俺のことは如月でいい。」

 

「なっ!……ふんっ!」

 

返事を聞くことなく、孫権たちは撤退していった

 

「如月さん……」

 

如月「ふぅ……みんな!敵は撤退していった!追撃は無用!荷物はそのまま皖城に運ぶぞ!」

 

『はっ!』

 

「孫権とはお知り合いだったのですね。」

 

如月「まぁな……会ったのは一回だけだが……」

 

孫権たちが撤退していった方を見ながら

 

如月「赤壁かぁ……」

 

 

 

 

 

「そう……赤壁で待つ……ね。」

 

「はい。確かに孫権はそう言ってました。」

 

「凪の言う通りかと。建業から出た船団が長江を遡上しているという情報も入ってきましたし、おそらく間違いないかと。」

 

「なら、桂花。我々はどう動くべきかしら?」

 

「はっ。皖城を放棄し、合肥まで退いた後そこから北に抜けて荊州へと向かいます。」

 

「?合肥まで引き返さずに赤壁へそのまま向かえばいいのではないか。」

 

「糧食が心許ありません。呉の領土を抜けて赤壁へ向かうよりも補給に余裕のある魏側を通りたいのです。」

 

「それに、荊州の水軍と合流する必要もありますしね~。」

 

「そういうことよ春蘭。それに孫策と劉備がそろって相手をしてくれるのだから、こちらも総力を尽くすのが礼儀と言うものよ。……皆、準備を急ぎなさい。」

 

『はっ!』

 

「そういえば、如月と一刀は?」

 

「隊長と如月さんは……」

 

 

皖城から少し離れた港町のある桟橋に

 

如月「ちょうこうはひろいーなーおっきいーなー。」

 

一刀「なぜその歌?まぁ、いいけど……で、何考えてるの?」

 

如月「んー……何にも……しいて言うなら、やっぱり赤壁が起こるのかってくらいかなぁ……」

 

一刀「そうだなぁ……まぁ、俺達は勝つための努力をしていくしかないよなぁ……」

 

如月「なぁ……一刀は天下統一がなったら、やりたいこととかあるか?」

 

一刀「そうだなぁ……まだ漠然とだけど、学校を各地に作りたいなぁ……如月は?」

 

如月「そうだなぁ……おれは農林漁業と工業を発展させたいなぁ……農林水産“将”如月って名乗りたいなぁ……」

 

一刀「なにその二つ名は……」

 

一刀と一緒にやりたいことを話していると

 

「おーい!兄ちゃん達ー!」

 

如月・一刀「「ん?」」

 

「ほら一刀に如月。迎えに来たでー。」

 

一刀「あれ?」

 

如月「霞、なんでこっちに?合肥にいたんじゃないの?」

 

「建業攻めが中止になってな、こっちに合流しろって。」

 

一刀「そうなんだ。」

 

「そんなことより、本隊は荊州に向かって出立しとるから、早よう合流すで。でないと、華琳に怒られるで。」

 

如月「それは嫌だな。ならさっさと行きますか。」

 

そう言って抜け駆けするように走り出す

 

「あっ、きー兄ちゃん待ってよー!」

 

「きー兄様、おいて行かないでくださーい!」

 

「ほら一刀も行くで。来いひんとおいてくでー!」

 

一刀「あっ!ちょっ!待ってよ!みんなー!」

 

 

黄蓋side

 

「はぁ、暇じゃ、暇じゃ、暇じゃー!」

 

「黄蓋様ぁ……静かにしてくださいよ~……」

 

「しょうがないじゃろ。暇なんじゃから。」

 

「そんなこと言われましても、自業自得じゃないですか。」

 

「そりゃそーなんじゃが……うー暇じゃー!あっ!そうじゃ!ここはひとつ酒でも……」

 

「それは無理です。」

 

「そんなきっぱり言わなくても……うっ!」

 

「どうなさいました!?」

 

「先ほど打たれた傷が、少々な……すまぬが、薬を持ってきてくれんか?」

 

「はっ!おい、黄蓋様に傷に効く薬を!」

 

「はっ!」

 

「(複数いたか……まぁ、そうじゃろうなぁ……あ、そうじゃ!)なぁ……」

 

「はっ。」

 

「薬が届いたら、塗るのを手伝ってほしいのじゃが……」

 

「いえ、それは出来ません。お部屋に入るのはちょっと……」

 

「ての届かぬ背や尻の傷口に塗ってくれるだけでも良いのだが……」

 

「し、尻……しょうがないですねぇ。たしかに傷跡が残ったら大変ですもんね!」

 

「薬をお持ちしました。」

 

「黄蓋様。薬が届きましたので良ければお塗りしましょうか?」

 

「おい、周瑜様から部屋に入るなと……」

 

「尻と背中の傷口に手が届かぬそうなのだ。それを手伝ったらすぐ戻るから、お前は誰か来ないか見張っていてくれ。」

 

「し、尻!だったら交代で塗ろう!」

 

「分かった分かった。では、失礼します。」

 

「うむ。確かに。」

 

「……」

 

「……(ぬりぬり)」

 

「……」

 

「どうした?ジロジロと?」

 

「い、いえ!?」

 

「気になるのか?」

 

「「気になります!」」

 

「そ、そうか……外のやつも待てないようだから、背中を塗ってもらおうかの。」

 

「は……はいっ!」

 

「おい早く代わってくれよ?……ん?何やつ……ぐはっ!」

 

「どうした!……ぐっ!」

 

「……すまんのぉ。お主はあまり儂の好みではないのだ。」

 

そういって兵を縛り上げる

 

「そりゃないっすよ……」

 

「はっはっは。ほら、開いてるぞ?」

 

「失礼したします。黄蓋殿とお見受けいたしますが、よろしいですか?」

 

「いかにも、儂が黄蓋だが……お主らは?冥林の手の者か?」

 

「い、いえ……」

 

「ならば何者か。名を名乗れ!」

 

「ひっ!」

 

「ほら、しっかりしな。」

 

「あ……はい……私は鳳統。あなたの意志を貫くためのお手伝いをしに参った者です。」

 

「誰の差し金だ?冥林か?それとも、御大将か?」

 

「……申し訳ありません。口にするなと。」

 

「儂を前にして名乗れんと……面白い。儂も所用があるのでな。貴様らに付き合ってやろう。」

 

「はい。では、参りましょう。黄蓋様!」

 

「うむ。だがその前に……」

 

縛っている兵の前へ行き

 

「お主には少々眠ってもらおう。」

 

「えーそこまでやります?」

 

「一応な。」

 

「はぁ……黄蓋様。」

 

「ん?」

 

「ご武運を」

 

「分かっておったか。」

 

「何年あなたの部下をやってるとお思いですか?」

 

「はっはっは……では、行ってくる。」

 

「はっ……」

 

兵を気絶させ

 

「すまぬな。では、行くかの。」

 

 

黄蓋sideout

 

 

 

 

 


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