真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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六十九話

黄蓋side

 

船酔いだらけの兵士ために揺れを少なくするための対策として、曹操に進言してみるとなんと許可が下りた

 

「まさか、許可が出るとはなぁ……まぁ良い。雛里、準備の方は?」

 

「はい。すでに完了しています。もうすぐ運んでくると思いますが……あっ!来ました。」

 

「おい!そこの馬車!」

 

「一足先に夏候惇に捉まってしまったな。」

 

「あわわ……どうしましょう……」

 

「なに、このままやつの所へ行って説明すればよい。いくぞ。」

 

「は、はいっ!」

 

 

「おお、待っておったぞ。」

 

「黄蓋に鳳統。これは何の一団だ?」

 

「少し前に華琳から頼まれたのだ。船酔い対策に使う、船を固定するための鎖を運ばせてきた。」

 

「そんな話は聞いておらんぞ。」

 

「先ほど急ぎで提案させてもらったのだ。なんなら確認してもらっても構わんぞ。」

 

「季衣、確認を。」

 

「はいっ。」

 

「その必要はないわ。」

 

「桂花。これは一体どういう事だ?」

 

「黄蓋の言った通りよ。船を鎖でつなぎ合わせて、揺れを小さくする。この辺りの風習だそうよ。」

 

「ああ。昼に見た時、繋いである船が多かったのってそういうことだったんですね。」

 

「黄蓋。あとの作業はこちらでやるわ。」

 

「ふむ。ならば、これを運び終えたら休ませてもらうことにするかの。」

 

「向こうに工兵の宿舎があるから、そこに置いてちょうだい。」

 

工兵の宿舎に向かう途中で

 

「ふぅー、助かったよ雛里。」

 

「姉様、声が大きいよー。」

 

「っと、わりぃわりぃ。」

 

「今の所、計画は順調です。そうですよね、祭様。」

 

「うむ。十日後の夜中には風向きが変わるだろうから、そこが決起の時になる。」

 

「風向きが変わる……ねぇ。本当かよ。」

 

「地の者しか知らんことだ。」

 

「ふーん……っとそれより、こちらの兵は置いて帰ります。魏の甲冑を纏わせているので軍の中に並べても気付かれないでしょう……決起の時に巧く使っていただければ。」

 

「助かる……雛里。」

 

「はい?」

 

「お主は劉備殿の所へ帰れ。このような死兵の戦場にいるべきではないのでな。馬超、連れてい行ってやってくれ。」

 

「黄蓋殿……」

 

「祭様……」

 

「あとは老兵の仕事よ。叶うなら、雪蓮殿や冥林に無礼なことを言ってすまなかったと……代わりに詫びておいてもらえんか?」

 

「……必ずや。黄蓋殿も……ご武運を。」

 

「うぅ……祭さまぁ……」

 

「お主らもな……行け!」

 

馬超達が鳳統を連れて戻ったのを見送り

 

「……行ったか。まったくお主らも物好きじゃのぉ。」

 

「我ら全員、黄蓋様のことが好きなのですよ。」

 

「……ふっ、はははは。バカじゃのお主ら。よし、バカ者達のためにいい酒でも振る舞ってやるかの。」

 

「いつも飲んでおられた陳留から取り寄せていたあの酒ですか?」

 

「いや、あれよりももっといいものじゃ。」

 

「それは楽しみです!」

 

ふふ、如月の困った顔が浮かぶの。まぁ、手向けにさせてもらおうかの

 

黄蓋sideout

 

 

 

城の外に出て、すぐ近くの工兵の宿舎へ

 

如月「おーい真桜。ちょっといいか?」

 

「あれ?副長、どないしたん?はっ……もしかして夜這い?でもウチの体は隊長のもんやで。」

 

如月「くらえ、デコピン!」

 

「いったー!冗談やないの……で、どないしたん?」

 

如月「工兵隊のみんなにやって欲しいことがあるんだが……」

 

「すまんが誰かおるか?」

 

「ん?誰やろ?はーい、いますよー。」

 

「失礼する。おや?如月、どうしたこんな所で?」

 

如月「いや、例の件の説明に来たところだったんだけどね。」

 

「例の件?」

 

如月「ああ、船の揺れを抑えるために船同士を繋いだらどうだって提案されて、華琳が許可したんだよ。」

 

「ああ、そのための鎖が思ったよりも早く届いてな。そしたら荀彧がここへ運んでくれと言ったので運んできたのじゃ。」

 

「もしかして、話って……」

 

如月「そう。徹夜でやって欲しいんだ。もちろん拒否権はない。」

 

「おにー!」

 

『あくまー!』

 

「では、儂は届けたからもう休ませてもらうぞ。」

 

如月「うん。お疲れ様、祭さん。」

 

「うむ。ああそうじゃ如月。」

 

如月「ん?」

 

「お主の酒もらっていくからの。」

 

如月「えっ?」

 

「またの。」

 

如月「ちょっと、祭さん!?……はぁ、行っちまった。」

 

「天誅や。」

 

如月「うるせーよ。で、真桜。話を戻すぞ。」

 

「え?まだ何かあるの?」

 

如月「ああ。この鎖の取り付け部分を簡単に外れないようにしつつ、簡単に外せるようにしてくれ。」

 

「え、何それ。マジで言うとるん?」

 

如月「真剣と書いてマジと読むくらいは。頼むよ、これは天才のお前が率いる天才軍団のお前たちにしか出来ないことなんだ!」

 

『天才……』

 

如月「やってくれるか?」

 

「よし、分かった!やったろうやないの!なあ、みんな!」

 

『おおーー!!』

 

『やってやるぜー!』

 

如月「(チョロッ!まぁ……)さすが天才真桜率いる天才工兵たちだ。これに関しては第一功になりえるからな華琳にも言っておく。これが成功すれば……」

 

「成功すれば?」

 

如月「予算アップ間違い無し!」

 

「よっしゃー!俄然燃えてきたでー!お前ら!予算勝ち取るためにもやったるでー!」

 

『おー!!』

 

 

 

 

 


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