真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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七十四話

如月「真桜。頼まれてたもの持ってきたぞ。」

 

「おー副長ありがとさん。その辺に置いといてーな。」

 

如月「ういー。」

 

城の庭の隅にある工房設備。籠城になった時や技術開発用に矢の生産や武器の修理が出来るように作ったものだ。

今日は以前、真桜から頼まれていた材料が届いたので持ってきたわけだ。

 

如月「また誰かに頼まれたのか?」

 

「姐さんに頼まれたんよー。」

 

如月「霞に?この前三倍にしたんじゃなかったか?」

 

「姐さん、使い方が荒くてなー。」

 

如月「なるほど。それでもっと丈夫にしてくれって?」

 

「そうそう。」

 

まぁ、あれだけ戦場を駆けまくってたら消耗も激しいか。

 

「うーん……もうちょっと温度上げなかんなー……」

 

俺としゃべりながらも作業を続ける真桜。

邪魔しちゃ悪いと思い帰ろうとした時

 

「あ……」

 

如月「何?どうし……」

 

ドゴーン!

 

「けふっ……けふっ……」

 

如月「ゴホッ、ゴホッ……なんでいきなり炉が爆発するんだよ!」

 

炉が爆発する直前に真桜を引き寄せてかばったため、爆発の直撃は避けられたが、危ねー……

 

「いやー、そのな……」

 

真桜が理由をしゃべろうとした所で一刀、凪、春蘭、秋蘭の四人がやってきて

 

「酷い有様ですね。」

 

「何があった!劉備の襲撃か!」

 

如月「いや、いきなり炉が爆発してさ……」

 

「そうか。二人とも怪我は無かったか?」

 

如月「ああ、大丈夫だ。」

 

「ウチも大丈夫です。」

 

一刀「それで、どうして炉が爆発したんだ?」

 

「えっとな、姐さんに頼まれて偃月刀を作り直そうとしてな……」

 

一刀が俺と同じことを真桜に聞いていた。

ふむ、さすが種馬きょうだ……種馬ちゃうわ!

っと話がそれた……爆発の原因は炉の限界温度を越えたかららしい。

今爆発したのは研究用のやつで陳留にある作業用ほどではないらしい。

まぁ、陳留のやつなんか、華琳の協力もあってかなりの設備だからな。

 

一刀「じゃあ向こうの炉を取り寄せるって訳には……」

 

「そこまでするくらいなら、ウチが城に戻った方がなんぼか早いわ。」

 

そりゃそうだわな。でも蜀との決戦が控えてる中そんなこと出来るわけ

 

「なら戻ってくればいい。」

 

「ええの?」

 

如月「はい?どういうこと?」

 

「華琳様が午後から国元へお戻りになる。その護衛に着いていけばいい。」

 

如月「国でなにかあったのか?」

 

「いや何もない。ちょっとした野暮用だ。」

 

華琳が決戦前のこんな時に野暮用……自分のことを優先させるなんて珍しいな。

 

如月「なぁ、俺も帰ること出来ないかな?」

 

「大丈夫だと思うぞ。一応、華琳様に確認を取っておいてくれ。」

 

如月「了解。」

 

その後、工房の片づけを手伝った後、華琳に聞きにいくと

 

「ええ、いいわよ。」

 

あっさりとOKが出た

 

「あの娘たちとも全然会っていないのでしょう?しかたないことだけど、釣った魚にはちゃんと餌をあげなさい。」

 

月たちは何かあった時のために陳留に残ってもらっているため、全然会えていなかったのだ。

そうだ!月たちにもカレーを食べさせてあげよう。材料買ってくるか。

 

 

月たちに振る舞うカレーの材料(香辛料)を買いに行っていたため俺だけ遅れて出ることになった。

材料購入後トベルーラで華琳達と合流。

え?トベルーラでそのまま陳留に帰ればいいんじゃないかって?

……そんなの寂しいじゃん。みんなと一緒に帰りたいわけよ。行軍中でも駄弁ったりしているが、こんなにものほほんとしてないからな。

 

 

 

何事もなく数日後に陳留の城へ到着。

季衣と流琉は途中に故郷があったためそこで別れたよ。

城に到着後、真桜は工房へ、沙和は服を買いに街へ、華琳と一刀は二人でどこかへ。

デートという雰囲気ではなかった。

俺は月と詠に一旦帰ってきたことを知らせに行った後食堂へ。

ちょうど休憩中の料理長に今晩の献立を変更できないかの相談したら快くOKしてくれた。

今晩はカレーだ!

その後、詰め所へも顔を出しに行き

 

「兄上!おかえりなさいなのです!」

 

と俺の姿を発見したねねが胸に飛び込んできた。

 

如月「ただいま。ねね。」

 

と飛び込んできたねねを抱きとめ、

 

「ねね。変わったことはなかったかい?」

 

「はい!恋殿を始め警備隊のみんなの頑張りのおかげなのです!」

 

俺達が留守にしている間は恋が見回りを、ねねが事務仕事を行ってくれてたのだ。

 

「あ、如月……」

 

ちょうど警邏から戻ってきた恋が部屋に入るなりトコトコと寄ってきてギュっと抱き着いてきた。

 

如月「恋も俺達がいない間、頑張ってくれてありがとな。」

 

「(フルフル)恋、この街やこの国が大好きだから。当たり前のことをしただけ。」

 

そんな嬉しいことを言ってくれる恋の頭を優しく撫でたあと、詰め所を出てシスターズの事務所へ。

天和と地和は練習してたため人和と打ち合わせ。

みんな忘れてるかもだけど、俺マネージャーやってるからな。

 

如月「この後の予定は建業を中心に活動して、徐々に呉での活動範囲を広げていってくれ。蜀との戦が終わった後は蜀での活動になる。」

 

「分かりました。あ、護衛や雑用の手が足りないのだけれど……」

 

如月「それらの確保は人和たちに任せる。あとで報告してくれ。」

 

「了解です。」

 

如月「ふぅ~。これで決めることはもうないかな?」

 

「はい。これで終わりです。」

 

そう言ったあと椅子から立ち上がり、こちらへ回ってきた人和は俺に抱き着いてきて

 

「ん……ちゅ……」

 

キスをしてきた。

唇同士だけじゃ物足りないと言わんばかりに舌も絡ませてくる人和。

そこまで求められて答えないなんて男じゃない!とことをなそうとしたら、

 

「ふぅ、練習終わり。人和、話おわ……あー!」

 

「どうしたのちーちゃん……あー!」

 

ちっ……これからって時に戻ってきやがった……

 

「姉さん達のバカ……空気読んでよね……」

 

「な、何言ってんのよ!こんな所でやろうとしてる方がいけないんじゃない!こうなったら如月!あんたのおごりで一報亭のシュウマイ食べに行くわよ!」

 

「そうだ!そうだー!如月さんのおごりだー!」

 

如月「へいへい分かったよ。おごるから許してくれ……人和ゴメンな。」

 

「はぁ……しかたないです。こんな所でしようとしてた私たちが悪いんですもの……」

 

その後、一報亭に赴き、たくさん注文されました。

あ、おっちゃん。お代は北郷一刀に請求しといて。

 

 

人和たちと別れたあと、商人組合へ。

以前頼んでいたトマトとアスパラの苗が手に入ったとの報告を受けていたので向かうことに

 

如月「お久しぶりです。皆さん。」

 

「おお!副長さん。お久しぶりです。以前おっしゃっていたトマトとアスパラガスと言うものが手に入りました。」

 

如月「ありがとうございます!」

 

うん。両方とも状態が良い。さっそく農場へ持って行って植えよう。でもすぐに出て行かなくちゃならないから栽培方法を書かなくちゃ。(クイクイ)……ん?

 

「副長さん。あとこんなものも手に入ったんですが……」

 

おっちゃんが見せてくれたものはなんんと!

 

如月「じゃ、ジャガイモ!?」

 

は?確かこの時代には無かったはずだが……

 

「さすが副長さん。この名前を知っているとは。これもお譲りいたしますよ。」

 

如月「い、いいんすか!?」

 

「はい。いつもお世話になっていますので。」

 

よっしゃ!トマトとアスパラだけじゃなくジャガイモまで手に入るとは!

よし、すぐに農場へ行くぞ!

 

 

 

如月「これがトマトの育て方で、こっちがアスパラの育て方で、それがジャガイモの育て方ね。初めて育てるものをこんな形で押し付けちゃってスマン。」

 

「いえ、こんなにも詳しく書いてくださっているのですから如月様の顔に泥を塗るようなことはいたしません。」

 

如月「ありがとな。この戦が終わったらすぐに来るから。これらが収穫出来たら皆で収穫祭でもやるか!」

 

その言葉にみんなは「やったー!」と声を上げる。

収穫祭もあるんだから負けられない理由がまた一つ増えたな。

 

 

晩御飯に月たちを始め料理長たちにもカレーを振る舞ったが、大量に用意したはずなのにすぐに無くなってしまった。

恋がもう無いの?って顔でこっちを見ていたのですごく悪いことした気分になっちまった。

次はたくさん用意するからね。

 




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