ワン・フォー・ワン《独りは一人のために》   作:亡き不死鳥

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個性判明回。
メインは次なので今回はつなぎ回かな。
チート無双願望的に万能個性にしたような気がするけど、なんか見てみるとん?ってなる。


バトル

個性把握テストの翌日。

雄英における学年主任という立場が少しずつ理解できてきた。

雄英というビックネームを背負う以上、この学校はイベントが目白押しだ。

体育祭、職場見学、など一般公開するものから、ヒーロー基礎学や強化合宿など完全に学校っぽいもの擬きと多種多様。

そこには当然個性の使用が前提とされる。

個性を使って将来飯を食っていくので当然と言えよう。職人になるための特殊な免許を取るようなもんだ。

 

 

「今日はヒーロー基礎学とB組の個性把握テストか。

授業内容は昨日報告してもらったし、持ち物は……ヒーロー基礎学のコスチューム、か。

……はぁ」

 

 

ヒーロー基礎学。

名前の通りヒーローの基本的活動を学ぶ授業であり、その内容は当然多岐にわたる。

ヴィラン退治に救命活動などなど。しかもこの授業は基本的な科目のように範囲や必修科目のような扱いをされるものがないので、全てを教師の采配及び好みで決められる。

生徒同士の戦闘訓練を行う者もいれば、引ったくりなどの逃走犯を確保するために市街地を駆け巡ることだってある。

 

 

「初っ端から戦闘訓練か。

脳筋のオールマイトらしいというかなんというか」

 

 

そしてヒーロー基礎学の教師が何を隠そうオールマイトである。

実戦経験だけならプロヒーローの中でもトップクラスであるオールマイトならではの授業というものがあるのだろう。

雑用担当の学年主任としては生徒に危険が迫った際、または加減を誤った時の対処としての役割を期待されていると見るべきか。

モチベーションを下げないために俺にもコスチュームを着てくるよういわれたが、はて?

俺のコスチュームは基本真っ黒で顔の大半を黒いマスクで覆っている。

というかほぼ忍者である。

忍び装束は某ペラペラ個性のヒーローと被っているが、こちらは顔出ししていないので許してほしい。

目は出してるけどネ!

 

 

「……ま、とりあえず行くか」

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「わーたーしーがー!!

普通にドアから来た!!!」

 

「うるせえ」

 

 

バンッとドアを開け放ったオールマイトの後ろからヌルッと続いて入っていく。

オールマイトに視線が集中しているので、俺の姿は誰にも見えないんじゃないかとすら思えてくる。

 

 

「オールマイトだ!

すげえや、本当に先生やってるんだな!」

 

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ!」

 

「後ろの黒い先生誰?」

 

「ほら昨日いたじゃん。

最後になんか話してた……なんとか先生!」

 

 

覚えてないなら覚えてないって言えよ。

てか全部なんとかじゃねえか。カケラも記憶に残ってないあたりがとても俺らしい。

 

 

「今日は初のヒーロー基礎学だ!

初めからバンバン攻めていくぞ!

もちろん授業でも危険が伴う。

気を引き締めてくれよ!

担当は私と比企谷先生でいく!

早速だが今日はコレ!

『戦闘訓練』!

皆の要望に沿ったコスチュームも届いているので着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!!」

 

『はーい!』

 

 

流れるような説明と誘導。

なんか普通に先生みたいなんだけど。いや先生なんだけどさ。

マジで俺がただの置物と化してる。

そのうち俺も「え、俺っていたの?」とか言っちゃいそう。

 

 

「さあ、生徒は全員着替えに行ったし我々も行こうか!比企谷くんもしっかり準備運動しておけよ!」

 

「は?なんで…」

 

「第一回目の戦闘訓練は特に勝手の分からない屋内での戦闘だからね!

デモンストレーションが必要だろう?」

 

「……は?」

 

「第一回戦は私対君だ!」

 

「………………は!?」

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「というわけで本日は屋内での対人戦闘訓練を行う!

ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計的に見れば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。

監禁軟禁裏商売。このヒーロー飽和社会に真に賢しいヴィランは屋内(やみ)に潜む!

なので君らにはこれから「ヴィラン組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう」

 

「基礎訓練もなしにですか?」

 

「その基礎を知るための実践さ!

屋内戦はただぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ。

状況設定としては「ヴィラン」がアジトに「核兵器」を隠していて「ヒーロー」はそれを処理しようとしている!

「ヒーロー」は制限時間内に「ヴィラン」を捕まえるか「核兵器」を回収すること。

「ヴィラン」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえることが勝利条件だ

なお確保テープを相手に巻きつけることで「捕らえた」証明となるので気を配るように!」

 

「ペア決めはどうするんですかー?」

 

「ペア決めはクジだ!

では早速決めよう!……と言いたいところだが、やはり実践の一番最初というのは誰もが戸惑うところだよね!

なので順番による差を少しでもなくそうと、知恵を絞って来ました!」

 

「おお!なんなんすか!?」

 

「第一回戦目!私が実践としてこの訓練を行おう!」

 

「「「ええぇぇええ!??」」」

 

 

耳をつんざく高音が生徒から湧き上がる。

上がりまくるボルテージに相反して、俺のテンションは下降の一手を極めている。

何が悲しくてナンバーワンヒーローと戦闘訓練なんぞせにゃならんのだ。

ただのピエロじゃねえか。俺とかすごく似合いそう、噛ませ犬。

認めちゃったよ…。

 

 

「オールマイトが実際に戦ってるところ見られんのか!?」

 

「すげえ!救助活動はよくみるけど、ヴィラン退治の映像ってあんま出回んないもんな!」

 

「雄英来てよかったー!」

 

 

…ああ、この盛り上がりですよ。

次の未来がよく見える。

しかもかなり悪い未来が。

 

 

「相手を務めるのは我が助手!

比企谷先生だ!」

 

「………どーも」

 

「「「…………?」」」

 

「…これだよ」

 

 

20人が…いや緑谷以外の19人が一斉に首をひねる姿はコントのようだが、目線を向けられる側として溜まったものではなく気まずい。

オールマイト先生、早くなんとかしろください。

 

 

「あの、質問いいかしら?」

 

「どうぞ蛙吹くん!」

 

「雄英に勤めてるってことは比企谷先生もプロヒーローなのよね?

でも私、比企谷先生をテレビでも新聞でも見たことがないわ」

 

「うん、だろうね!

だからここで自己紹介をしてもらおうか!」

 

「俺のトラウマを抉るのは辞めろオールマイト…」

 

「何も言ってなくない!?」

 

「………はぁ。

ヒーロー名「ノーフェイス」だ。

俺がめんどくさいことになるからオフレコでな」

 

「ノーフェイス?やっぱり聞いたことないわ」

 

「あ、俺聞いたことあるぜ!

ちっちぇえ頃だけど新聞にたびたび乗ってた!」

 

「ノーフェイスはマスコミに公開されている正体不明のヒーローでね!

名前だけ明かされることでメディアへの露出の軽減と話題性で一時期人気になっていたのさ!」

 

「結局正体ずっとバレなくて人気無くなったけどな」

 

 

やっぱり見えない地味ヒーローより見える派手ヒーローに人気が集まるのは自然なのだろう。辛い。

だけどこれから始まる訓練はもっと辛い。

働きたくないでござるも今は昔。マジで辛い。

 

 

「ま!プロヒーローに相応しいかは実践を見ればわかるさ!

近くのビルにモニターと無線を用意してあるから君達はそこで見学してくれ!

1対1だからコンビネーションを見せることはできないが、気をつける点や相手の意図を読み取る練習になるだろう!

制限時間は15分!核の居場所は不明!持ち物はコスチューム付属以外は建物の見取り図と確保テープのみだ!

さあ!始めよう!」

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

side緑谷

 

 

 

「ねえねえデクくん!

なんかドキドキするね!

あのオールマイトの戦闘シーンを生で見れるなんて!」

 

「うん。でも比企谷先生……ノーフェイスも判明している個性だけでも勝算があると思う。

方法は分からないけど視界を完全に潰せる個性みたいだから、どこかでオールマイトの視界をつぶしちゃえばヴィラン側であるノーフェイスはそれだけで勝ったようなもんだよ」

 

「そんな個性があるのか…。

だがそれではあまり参考にならないかもしれないな…」

 

「いや、そうでもないよ飯田くん。

それをオールマイトが破れればそれだけで対策になる」

 

「なるほど。そういう見方もあるのか!

そうだな!ナンバーワンヒーローたる所以をしかと見届けさせてもらおう!」

 

「うん!あ、始まるよ!」

 

 

映像に制限時間とオールマイトの姿が映し出される。

今回は主にヒーロー目線を味わうためにオールマイトの近くの定点カメラを多画面で流し、オールマイトの無線から音声がこちらに聞こえるようになっている。

設定のヒーローはオールマイト、ヴィランは比企谷先生と言っちゃ悪いがマッチしたシチュエーションだ。

 

 

「ふむ。やはりオールマイトはしらみ潰しに一階からあたっているようだね」

 

「うん。オールマイトに索敵に効く個性はないからね。

だけど一度会敵すれば大抵は制圧できる個性があるから、時間制限のある今回はまずは相手の場所を絞り込んでから解決するのが得策。

比企谷先生もオールマイト相手に真正面から向かうことはないだろうから、時間いっぱいまで核兵器と一緒に逃げ回るんじゃないかな」

 

「なんかそれだと追いかけっこみたいだね」

 

 

画面のオールマイトはダダダと一階を20秒程度で踏破しながら、次の階へと進んでいく。

部屋の間取りは二階以上は同じなので少なくとも五分もしないうちに階層は突き止めてしまうだろう。

 

 

「この調子ならすぐに見つかりそうだね!」

 

「だが緑谷くんの言う通りなら見つけてからが本題だ。

視界のない中確保テープで捕らえられれば一貫の終わりだ」

 

「あ。でも比企谷先生なんか素直じゃなさそうだったし、逆に正面から行ったりして」

 

「あはは。オールマイト相手にそれは…」

 

 

ボゴン!

 

 

「「「!?」」」

 

 

突如三階を疾走していたオールマイトの足元が抜けるように崩れ落ち、速さも相成ってオールマイトがバランスを大きく崩した。

それを追いかけるように、今度は天井から大きな影が舞い降りる。

 

 

『一応勝負だしな。

俺らしく、ヴィランらしく、『捕食』させてもらうぞ』

 

 

その声に合わさるように、風の奔流がオールマイトを吹き飛ばした。




比企谷八幡
個性:『捕食』
口から体内に入ったものを操ることができる。
基本は食べたものを好きなように筋肉に変換したり肺の活動を活発化させたりする増強系だが、一度体内に入って出てきた空気も操れることが分かってからはそちらがメインになっているので増強は空気気味。
しかし捕食という身体機能故か排泄物は操ることができない。
代わりに吐瀉物(ゲロ)は操れるぞ!

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