問題児たちより少し先に1人異世界から来るそうですよ?   作:アリアドネの糸

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〝サウザンドアイズ〟に無事入ったそうです

「なっ!?」「えっ!?」「・・・」

「な、難波さんどうしてですか!?」

「〝ノーネーム〟ではなく〝サウザンドアイズ〟に入りたいと?・・・本気か、おんし?」

俺の言葉を聞いて戸惑いを隠せない3人と、

その覚悟を問うてくる白夜叉。

「あぁ、本気だ。

このことは箱庭にきてあの虎が〝ノーネーム〟の現状を語った後に

黒ウサギから〝サウザンドアイズ〟のことを聞いたあたりからずっと考えていた」

「ふむ、〝サウザンドアイズ〟に入ることを考えた理由を聞かせてくれんかの?」

「1つ目にこの下層で有力コミュニティであること、

 2つ目に俺自身が特殊な〝瞳〟を持つこと、

このコミュニティは特殊な〝瞳〟を持ったものたちの群体コミュニティと聞いたが?」

「確かにそうじゃが、おんしはどんな〝瞳〟を持つのだ?ギフトカードを見せてくれるかの?」

俺は白夜叉にギフトカードを渡した。白夜叉はそれをみて一瞬目を見開きその後俺に返した。

「ありがとう。確かに特殊な〝瞳〟を持つようだ。

それなり、どころかかなりの力も持っておるようだしの。

〝サウザンドアイズ〟に入るのには申し分ない。

後ほかには?」

「3つ目、・・・

〝魔王〟に積極的にかかわることが確定しているコミュニティには入りたくない」

「っう」

「ふむ、それですべてか?」「ああ」

「おいおい、そりゃないぜ紫香楽。」

「そうよ、あなたの力見たかったわ」十六夜と飛鳥がそう言う。

「俺は戦いを楽しいと感じる戦闘狂でもないし、

好き好んで天災にかかわりたいと思う変わり者でもない。

〝魔王〟を倒す英雄に憧れたりもないしな」

「せっかく友達になってこれから仲良くなれると思ったのに」

耀がそう言う。だが、

「別にコミュニティが違うとも仲良くすることはできるだろう?」

「黒ウサギのコミュニティには入っていただけないのですか?」

「うん、そうなる。本当にごめん、黒ウサギ」

「いいえ、入るコミュニティを決めるのは難波さんのご意思です。

黒ウサギに止めることはできません」

「ありがとう、黒ウサギ」

 

 

 

 

そして、みんなが言葉をだし終わったところで白夜叉が言う。

「よしわかった・・・

〝サウザンドアイズ〟幹部白夜叉の名をもって、

紫香楽難波の〝サウザンドアイズ〟への所属を承認する」

白夜叉がそういった瞬間、俺のギフトカードが光り輝きだした。

光が収まるとギフトカードが変化していた。

 

〝サウザンドアイズ〟 紫香楽難波 〝千里眼〟 〝質量操作〟 〝エネルギー変換〟 〝転位〟

 

名の前に〝サウザンドアイズ〟が入り、

〝サウザンドアイズ〟の旗である双女神の紋が記されていた。

 

 

「これでおんしは〝サウザンドアイズ〟の一員だ。これからよろしく頼むぞ」

「ありがとうございます。オーナー」

「あぁ、オーナーはやめてくれ」「では、白夜叉様と」

「・・まあよいか」

〝サウザンドアイズ〟に入ったからには上下関係はきちんとしないといけないと思ったが、

白夜叉様はお気に召さないようだ。

 

 

「そろそろ私たちはホームに戻りますね」

黒ウサギがそう言った。

「うむ、表まで送ろう」

黒ウサギたちを見送るため、入った道を戻り出入り口の暖簾をくぐった。

途中であの女性店員もついてきた。ここに来た時のまま無愛想な表情を貫いている。

彼女の中で黒ウサギたちは迷惑客に認定されたようだ。

「十六夜、黒ウサギ」「なんだ?」

「久遠と春日部を頼むぞ。2人はまだ〝魔王〟と戦える力はないからな」

「ちょ「あぁ、もちろんだぜ」「当然でございます」

飛鳥が何か言おうとしたが十六夜と黒ウサギが返事を返してくれた。

「今日の話でだいたい魔王がどういう存在はわかるだろうが、

おんしらはすべてを承知の上で黒ウサギのコミュニティに入るのだな?」

「そうよ。妥当魔王だなんてかっこいいじゃない」

「〝カッコいい〟で済む話ではないのだがの・・・

まったく、若さゆえのものなのか。無謀というか、勇敢というか。」

「今の力のままならただの無謀だと思いますね」

「まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。

それでも魔王と戦うことをのぞむというなら止めんが・・・

さきほど紫香楽も言ったが、そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ」

魔王と同じく〝主催者権限〟を持つ白夜叉の助言は、ものを言わさぬ威圧感があった。

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力をつけろ。

小僧はともかく、おんした二人の力では魔王のゲームを生き残れん。

嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ」

「・・・ご忠告ありがと。肝に銘じておくわ。

次はあなたの本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい」

白夜叉のその悲しげな表情から言葉の重みを感じたのだろう。

飛鳥は白夜叉の言葉を素直に受け入れた。

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えておる。

いつでも遊びに来い。・・・ただし、黒ウサギをチップにかけてもらうがの」

「嫌です!」黒ウサギが即答した。

「つれない事を言うなよぅ。

私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?

三食首輪付きの個室も用意するし」

白夜叉の言動が幼児化している。

「三食首輪付きってそれもう明らかにペット扱いですから!」

怒る黒ウサギと笑う白夜叉。

黒ウサギたちは俺たちに見送られて〝サウザンドアイズ〟二一〇五三八〇外門を去った。

 

 

 

 

「あれ、あなたは行かないのですか?」

女性店員が不思議そうに問いかけてきた。

「あぁ、白夜叉様に

ギフトゲームにクリアした報酬として〝サウザンドアイズ〟に入れてもらいました」

「え、本当ですか?」女性店員は驚いたようだった。

「うん、これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「さて、挨拶も済んだの。おんしにはこの店に配属してもらう。これからよろしく頼むぞ」

「はい、白夜叉様」

そういうと白夜叉様は店の奥へと入っていった。

俺は女性店員に向き直る。

「そういえば、愚痴を聞く約束でしたよね」

まぁ、好みの女性の話を聞きたいという下心が入っていないわけではないが、

彼女の心労を考えると絶対聞いてあげなければいけないという気持ちのほうが大きい。

「そうですね」

「すぐにでも聞きますよ」

「お願いしますと言いたいところですが、まだ自己紹介もしていません」

「そういえばそうですね。私は、紫香楽 難波と申します」

「紫香楽さんですか。珍しいお名前ですね」

「ええ、自分でもそう思います」

「私の名前は、如月 美琴です」

如月 美琴・・・良い名前だ。

「如月先輩ですか」「先輩はつけないでください」

「如月さん?」「それでお願いします」

「はい、良い名前ですね」

「ありがとうございます。

自己紹介も終わりましたし、閉店作業を終わらせてから愚痴を聞いてもらいます」

そう言う如月さんの口角がわずかながら少し上がった。

「はい、喜んで」

如月さんと閉店作業をするために店の中へと入る。

如月に歩きながら尋ねる。

「閉店作業って何をするんですか?」

「今日売れた商品を記録したり、掃除をしたり、明日の準備をしたりですね」

「わかりました、私は何をすればよいですか?」

「いえ、今日は紫香楽さんたちがオーナーと話している間にほとんど終わらせましたので

特に任せることはないです」

「あぁ、そうなんですか」

「まだ少しあるのでそれが終わるまで少し待ってください」

「はい」

如月さんは店の奥へと小走りで行った。

 

 

・・・しばらくして如月さんが戻ってきた。

「お待たせしました」

「いえ」

「愚痴を聞いてもらうのにここではなんですから・・ついてきてください」

「はい」

そう言われ如月さんについて、和室に入る。

脚の短い大きな丸いテーブルの回りに座布団がしいていある。

如月さんと私は座布団に座った、

「それでは聞いてもらいます」「はい」

「今日、1日見ただけでわかると思いますがオーナーはいつもああなのです。

〝サウザンドアイズ〟の幹部として・・・・・・・・」

「目に浮かびます」

「それに・・・・・・」

 

 

 

 

 

「ふう、ありがとうございます。だいぶ心が軽くなった気がします」

「いえ、お役に立てたのであれば、幸いです」

日ごろ溜まってきた鬱憤を愚痴にして結構な時間吐いていたが、

すべて出し終わったのかすっきりしたような表情だ。

「またこれから何度かお願いできますか?」

「ええ、如月さんの頼みなら何度でも」

「ありがとうございます」

如月さんの表情はあった時よりかなり柔らかくなっている気がする。

その表情はとても綺麗だ。無愛想な時も十分綺麗だったが今のほうがかなり綺麗だ。

 

 

そんなことを考えていた時、ふと思った。

「今、思ったのですが私はどこで寝ればいいのですか?」

「ええと、そういえばそうですね。こちらに来たばかりでお金も持ってないでしょうから・・・

オーナーに聞いてみますね。あなたを入れたのですからそれぐらいは考えているでしょう」

「ありがとうございます」

「少し待っていてください。オーナーに聞いてきますね」

「はい」

私にそういうと如月さんは襖を開けて廊下に出て行った。

 

 

しばらくして如月さんが戻ってきた、白夜叉様を連れて。

如月さんの表情が少し硬くなっている気がする。まさか、ね・・・

「お待たせしました、紫香楽さん」

「いえ、それよりなぜ白夜叉様がここに・・・」

「その・・・すまんの。実はおんしの寝床のことだが一切考えておらんくての・・・」

嫌な予感は当たるか・・・

「それでは私はどうすれば・・・」

「もちろん、用意するが少し手狭になる。申し訳ないの」

「いえ、寝床があるだけありがたいです」

「まあ、今から案内する、ついてこい」

「はい、如月さん、また明日からお願いします。今日はありがとうございました」

「いえ、こちらこそ。今日はたくさん聞いていただきありがとうございました」

私はそう言って如月さんにお礼を言って、白夜叉様とともに部屋を出る。

そして、〝サウザンドアイズ〟二一〇五三八〇外門支店をあとにした。

「今日会ってそんなに経っておらるのに随分、仲が良くなったの。

あんなに表情が柔らかいあ奴を見たのは久しぶりだ。何かあったのか?」

歩きながら夜叉様が聞いてきた。確かに何かあったが、白夜叉様には決して言えない。

「ええまあ、色々と」

「あ奴は有能だが少しお堅いところがあるからの、これから仲良くやってくれるとありがたい」

「はい」

如月さんは真面目で本当に良い人だ。私の好みだ。

 

「そうそうおんしに聞いておきたいことが合った」

「なんですか?」

「おんしの〝恩恵〟についてじゃ。

いろいろと聞きたいことはあるはそれは明日以降に聞くとする。

1つだけ聞いておきたいのはおんしの〝瞳〟について、〝千里眼〟の具体的な力じゃ。

おんしの把握していることを話してくれんかの?」

「構いません。

 この力ですが、まず見れる距離の限界が私自身わかりません。

少なくとも38万キロメートル以上だということはわかるのですが・・・」

それは地球にいたころ月の表面を見ることで確かめた。

「ふむ、ほかには?」

「目と同じくらい遠くの声も聞くことができますし、

透視と気配を感じることもできます。

しかし1番の力は、見ようと思えば安々と数秒先の1番起こるであろう未来が見えます。

さらに見ようとすると多大な疲労が襲ってきますが・・」

「わかった・・把握しているのはこれで全部か?」

「ええ、今のところは」

「話してくれてありがとうの」

「いえいえ、ここまでしてくださっている白夜叉様ですから当然ですよ」

むしろ全然足りない。

「そんなに恩義を感じる必要はない。

まぁ、もうずぐ日も暮れそうだし少し急ぐとするぞ」

そう言うと白夜叉様は少し歩く速度を速めた。

「はい」

私は白夜叉様の速度に合わせて速度を上げた。

 

 

 

 

「さて、ついたぞ。急遽用意したので少しあれだがまあ、住むには問題ないだろう」

しばらく歩いたところで白夜叉様が立ち止まる。

そこには、そこそこの一軒家が立っていた。

「え、これ普通に住める一軒家ですよね・・・」

「紫香楽、私たちは巨大商業コミュニティだぞ。この程度の家は造作もないぞ」

私の想像ではもう少しぼろいのを思っていたいたのでこれでも本当に充分だ。

「これがカギじゃ。

カギをかければ大抵の奴は入れんくなるからちゃんとかけておくように」

そういうと白夜叉様は私にカギを手渡した。

「本当にありがとうございます。

コミュニティに入れていただいただけでなく、家まで貸してくれるとは」

「よいよい。さて、おんしの案内も終わったしわしは帰るとする」

「ありがとうございました。ああ、明日はいつ店に向かえばよいのですか?」

「いや、明日は如月に向かわせるから、待っておればよい」

「わかりました」「ではまたの紫香楽」

白夜叉様はそういうと立ち去った。

 

 

 

俺は家の中を一通り見て回ったが生活に必要なものがそろっていた。

それに日本風。床は畳。最高だ。

 

思い返してみれば今日だけで文字通り世界が変わった。

あの手紙で呼び出された時には厄介なことになったと思ったが、

今日だけでこの世界の魅力を感じている。

魔王という厄介な存在もいるようだがそれを含みに入れてなおこの世界は魅力的だ。

 

・・・今日はもう寝よう。

俺は玄関にカギをかけて階段を上る。

2階の部屋に入り、押し入れにある敷き布団を取り出し畳に敷いた。

掛け布団も取り出し布団の中に入る。

地味にこの布団も良いものだ・・・

白夜叉様には頭が上がらないな。

・・・まぁあれを除けば・・・

そんなことを考えるうちに眠気が襲ってきた。

それに眠気に誘われるまま俺は眠りについた・・・

 

 

 

 

 

 

 




原作には名前が出てきませんが、(作者の覚えている限りでは)
ヒロインに名前がないのはちょっと・・と思ったので名前を付けました。



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