問題児たちより少し先に1人異世界から来るそうですよ? 作:アリアドネの糸
投稿遅くなって申し訳ございません
月1ペースで出すつもりが・・・
その割に話がそこまで進まないという・・・
こんな感じで進んでいくと思いますが、
それでも良いという方は、見ていってください。
それからしばらくして、十六夜たちが店へとやってきた。
その目的は言うまでもなくこの下種だろう。
黒ウサギや久遠の表情は険しい。
やってきた〝ノーネーム〟を私たちのいる貴賓室へと案内し、
下種の対面に座らせる。
下種は入ってきた黒ウサギを見るや盛大に歓声を上げた。
「うわぉ、ウサギじゃん!うわー実物初めて見た!噂には聞いてたけど、
本当に東側にウサギがいるなんて思わなかった!
つーかミニスカートにガーターソックスって随分エロいな!
ねー君、うちのコミュニティに来いよ。三食首輪付きで毎晩可愛がるぜ?」
下種はその性格を隠す素振りも無く、黒ウサギの全身を舐めまわすように視姦してはしゃぐ。
・・・下種が
黒ウサギは嫌悪感からかさっと脚を両手で隠した。久遠も壁になるように前に出た。
「これはまた・・・
分かりやすい外道ね。先に断っておくけど、この美脚は私たちのものよ」
「そうですそうです!黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!」
・・・やはり問題児か、はあ。
突然の一方的な所有宣言に慌ててツッコミを入れる黒ウサギ。
そんな二人を見ながら、十六夜は呆れながらもため息をつく。
お、十六夜はまじめに・・・んなわけないか。
「そうだぜお嬢様。この美脚はすでに俺のものだ」
やっぱり・・・
「そうでそうですこの脚はもう黙らっしゃいッ!」
「よかろう、ならば黒ウサギの脚を言い値で」
うちの問題児様まで加わった・・・
「売・り・ま・せ・ん!あーもう、真面目なお話をしに来たのですからいい加減にして下さい!
黒ウサギも本気で怒りますよ!」
「馬鹿だな。怒らせてんだよ」
スパァーン!と黒ウサギが十六夜の頭をハリセンで一閃した。
それを見て閃いた。
「黒ウサギハリセン貸して」
「え?、ああはい」
黒ウサギに貸してもらった感触を確かめ、
それを思いっきり問題児(白夜叉様)の頭めがけて降りぬく。
その時に力を使い、本来音エネルギーになるものも全て運動エネルギーに変換した。
それは白夜叉様の頭を正確に打ち抜いた。
「ふぎゃ」
あっ・・・とてもスッキリした。
溜まっていたのが半分くらい解放された気がする
「おんし、上司の頭を叩くとは何事じゃ!」
これは・・・
「黒ウサギ」
「はい」
「これ私にくれませんか?とてもスッキリします。」
「ええ、是非」
やったぜ。
「無視をするなー!」
下種は完全に置いてけぼりを食らっているようだった、
この茶番が終わるまで唖然と見つめ、唐突に笑い出した。
「あっはははははははは!え、何?〝ノーネーム〟っていう芸人コミュティ名の君ら。
もしそうならまとめて〝ペルセウス〟に来いってマジで。
道楽には好きなだけ金をかけるのが性分だからね。
生涯面倒を見るよ?勿論、その美脚は僕のベットで毎夜毎晩好きなだけ開かせてもらうけど」
「お断りでございます。黒ウサギは礼節も知らぬ殿方に肌を見せるつもりはありません」
「へえ?俺はてっきり見せるために来てるのかと思ったが?」
「ち、違いますよ!これは白夜叉様が開催するゲームの審判をさせてもらう時、
この格好を常備すれば賃金を三割増しにするといわれて嫌々・・・・」
これもうちの問題児の仕業か・・・
「ふぅん?嫌々そんな服を着せられてたのかよ。・・・おい白夜叉」
「なんだ小僧」
キッと白夜叉を睨む十六夜。両者は凄んで睨みあうと、同時に右手を掲げて、
「超グッジョブ」
「うむ」
ビシッ!と親指を立てて意思疎通をする二人。
俺は黒ウサギから貰ったハリセンで再びうちの問題児を叩く。
今度は2倍くらいの強さで、更に力を使い、ハリセンの質量を2倍にする。
たかが2倍と思ったら大間違い。
質量は2倍でも体積は変わらないので、密度が上がる。
ハリセンの硬さが上がる。
それを先ほどと同じように叩く。
「っっぐううう、おんし、さっきから上司の頭を「さらに倍で叩きますよ白夜叉様?」
・・・はい」
問題児を有無を言わさず黙らせる。
一向に話が進まず、学理とうなだれてしまった黒ウサギ、どんまい。
「あの・・・・御来客の方も増えましたので、よろしければ店内の客間に移りましょうか?
見れば割れた食器の破片も散らかっていますし」
そのとき家屋の外から如月さんの助け舟が出された。
如月さん、ありがとうございます。
「そ、そうですね」
黒ウサギは若干疲れた様子で答えた。
一度仕切りなおすため、一同は〝サウザンドアイズ〟の客間に向かう。
私は如月さんと少し話をする。
「助かりました如月さん」
「いえ、だいぶ困っていた様子でしたので。」
「ここを片付けたほうが良いですか?」
「そうですね、放置するわけにもいきませんから、頼みます。
私は皆さんの座布団など用意していますので」
「分かりました」
如月さんは客間へと向かった。
私も早くこれを片付けていかなければ・・・
片づけを終えた私は白夜叉様たちがいる部屋へと移動する。
障子をあけて、部屋へ入る。
中では、中央に長机があること以外先ほどと変わらぬ配置でみんな座っていた。
私は白夜叉様の斜め後ろに控える。
もうすでに少し話が進んでいるようだ。
「〝サウザンドアイズ〟にはその仲介をお願いしたくてまいりました。
もし〝ペルセウス〟が拒むようであれば〝主催者権限〟名の元に」
「嫌だ」
唐突に下種が言った。
「・・・はい?」
「嫌だ。決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れまわったって証拠があるの?」
「それなら彼女の石化を解いてもらえば」
「駄目だね。アイツは一度逃げ出したんだ。出荷するまで石化は解けない。
それに口裏を合わせないとも限らないじゃないか。そうだろ?元お仲間さん?」
嫌味ったらしく笑う下種。黒ウサギが言い返せないのを見ると一応筋は通っているのだろう。
「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前たちだろ?実は盗んだんじゃないの?」
「な、何を言い出すのですかッ!そんな証拠が一体何処に」
「事実、あの吸血鬼はあんたの所にいたじゃないか」
黒ウサギが黙り込む。どちらも決定的な証拠がない。
下種はヘラっと笑って黒ウサギに追い打ちを掛ける。
「まあ、どうしても決闘に持ち込みたいというならちゃんと調査しないとね。
・・・もっとも、ちゃんと調査されて一番困るのは全く別の人だろうけど」
「そ、それは・・・」
下種の言葉に黒ウサギの目線が一瞬白夜叉様へと移った。
恐らく、白夜叉様がこの脱走を助けたとかその辺だろう。
「じゃ、さっさと帰ってあの吸血鬼を外に売り払うか。愛想のない女って嫌いなんだよね、僕。
特にあいつは体もほとんどガキだしねぇ・・・だけどほら、あれも見た目は可愛いから。
その手の愛好家にはたまらないだろ?気の強い女を裸体のまま鎖で繋いでで組み伏せ啼かす、
ってのが好きなやつもいるし?太陽の光っていう天然の牢獄の下、
永遠におもちゃにされる美少女ってのもエロくない?」
その言葉に黒ウサギがうさ耳を逆立てて叫ぶ。
「あなたという人は・・・!」
「しっかし可哀想な奴だよねーあいつも。箱庭から売り払われるだけじゃなく、
恥知らずな仲間の所為でギフトまでも魔王に譲り渡すことになっちゃったんだもの」
「・・・なんですって?」
黒ウサギではなく飛鳥が声を上げた。
黒ウサギを見るとその表情にはハッキリと動揺が浮かんでいる。
「報われないやつだよ。〝恩恵〟はこの世界で生きていくのに必要不可欠な生命線。
魂の一部だ。それを馬鹿で無能な仲間の無茶を止めるために捨てて、
ようやく手に入れた自由も仮初めのもの。
他人の所有物っていう極め付けの屈辱にも耐えてまで駆け付けたってのに、
その仲間はあっさり自分を見捨ててやがる!
目を覚ましたこの女は一体どんな気分になるだろうね?」
「・・・え、な」
下種の言葉に黒ウサギは言葉をなくしたようだ。
顔は見る見るうちに蒼白に変わっていった。
下種は気持ち悪い笑顔で蒼白な黒ウサギにスッと右手を差し出す。
「ねえ、黒ウサギさん。このまま彼女を見捨てて帰ったら、コミュニティの同士として
義が立たないんじゃないか?」
「・・・どういうことですか?」
「取引をしよう。吸血鬼を〝ノーネーム〟に戻してやる。代わりに、
僕は君が欲しい。君は生涯、僕に服従するんだ」
「なっ、」
「一種の一目惚れってやつ?それに〝箱庭の貴族〟という箔も惜しいし」
再度言葉をなくす黒ウサギ。
飛鳥が耐え切れないように長机を叩いて怒鳴り声を上げた。
「外道とは思っていたけど、此処までとは思わなかったわ!
もう行きましょう黒ウサギ!こんな奴の話を聞く義理はないわ!」
「ま、待ってください飛鳥さん!」
黒ウサギが飛鳥を止める。
それは黒ウサギがこの下種の提案とも言えない脅迫紛いの言葉に迷っていることと同義だ。
それに気づいた下種は畳みかける。厭らしい顔で
「ほらほら、君は〝月の兎〟だろ?仲間の為、煉獄の炎に焼かれるのが本望だろ?
君達にとって自己犠牲ってやつは本能だもんなあ?」
「・・・・・っ」
「ねえ、どうしたの?ウサギは義理とか人情とかそういうのが好きなんだろ?
安っぽい命を安っぽい自己犠牲よろしくで帝釈天に売り込んだんだろ!?
箱庭に招かれた理由が献身なら、種の本能に従って安い喧嘩を安く買っちまうのが筋だよな!?
ホラどうなんだよ黒ウサギ「黙りなさい!」
飛鳥が聞くに堪えなくなり力を使った。
だがその力は格下のものにしか使えない。
これでもサウザンドアイズの幹部に名を連ねるものがその程度では止められない。
「・・・っ・・・!!?」
「あなたは不快だわ。そのまま地に頭を伏せてなさい!」
混乱した様子で口を押えた下種は体を前のめりに歪める。
だが、その命令に逆らい強引に体を起こす。何が起こったのかを理解した下種は強引に口を開く。
「おい、おんな。そんなのが、つうじるのは・・・格下だけだ、馬鹿が!!」
激怒した下種が取り出したギフトカードから、光とともに鎌が現れた。
そして鎌を飛鳥めがけて振り下ろす。それと同時に十六夜が
飛鳥から庇いに行こうとする。
二人の間に瞬時に入り、鎌を受け止め、十六夜の腕を抑える。
見かねた白夜叉様が声を荒げる。
「ええい、やめんか戯け共!話し合いで解決できぬなら門前に放り出すぞ!」
「・・・。ちっ。けどその女が先に手を出したんだけどね?」
「ええ。分かってます。これで今日の一件は互いに不問という事にしましょう。
・・・後、先ほどの話ですが・・・少しだけお時間をください」
「ま、待ちなさい黒ウサギ!貴女、この男の物になっていいというの!?」
飛鳥が黒ウサギの返事に驚いている様子だ。
「・・・仲間に相談するためにも、どうかお時間を」
「オッケーオッケー。こっちの取引ギリギリ日程・・・一週間だけ待ってあげる」
下種の言葉を聞くと黒ウサギは足早に屋敷を出た。
飛鳥はそのあとを追いかけて出て行った。
一人残った十六夜は呆れたように肩を竦ませた。
「白夜叉は恵まれてるな。気難しい友人とゲスイ部下に挟まれるなんてそう経験出来ないぞ」
「全くだの。羨ましいなら変わってやるぞ」
「今はいいや。・・・ところで〝ペルセウス〟のリーダーってお前か?」
「あぁ?そうだけど、今さら何聞いてんの?」
十六夜はしばし下種を見つめた後、落胆したようにため息をついて踵を返す。
「・・・ちょっと待てよ。今のため息は何?」
「名前負けしすぎ。期待した俺が馬鹿だった。・・・そういう意味さ」
「はっ。今なら安い喧嘩でも安く買うぜ?」
下種は鎌を構えた。確かに下種は並みの人間よりは力が上だろう。
しかし、先ほど十六夜と下種の攻撃を受けたが、
下種は鎌で遠心力含めた力でも十六夜より下だった。
十六夜は見ただけで見抜いたのだろう。
鎌の攻撃自体、とても雑だった、
確かに十六夜からすればあのペルセウスがこの程度かと期待外れになるのも仕方がないだろう。
十六夜は肩眉を上げて下種を見つめなおし、だがやはり興味がないとばかりに座敷に背を向けた。
十六夜に一つだけ伝言を頼みたい。
「十六夜」
その背中に声をかけ十六夜の脚を止める
「ん?なんだ」
「黒ウサギに、昨日の今日で頼んだことを忘れるなと伝えてくれ」
「分かった」
十六夜は私の伝言を聞くと今度こそ座敷を出た。
「それじゃ僕もそろそろ帰るよ。ふふ、〝月の兎〟が来るか楽しみだな」
「はよ、帰れ」
下種は〝サウザンドアイズ〟支店から立ち去った。
下種がいなくなったのを見て、私は白夜叉様にお願いをする、
「白夜叉様」
「なんだ、紫香楽?」
「近いうち〝ノーネーム〟が〝ペルセウス〟にギフトゲームを起こすでしょうから、
それに〝ノーネーム〟側のゲストとして参加していいですか?」
「あ奴らの支援の為なら許可は・・・」
私の目的はそんなことではない。あれは今の〝ノーネーム〟だけで何とか出来る。
「いえ、あいつを1回ぶん殴る為です」
アイツを、あの下種を一回ぶん殴ってやらなければ気が済まない。
白夜叉様もあれには苦い思いをさせられている。
恐らく許可してもらえるだろう。
「・・・あれが参加を認めるのであれば私は何も言わんよ」
「ありがとうございます」
「もう如月の護衛に戻るが良い」
「分かりました。失礼します白夜叉様」
私は白夜叉様に一礼して客間から出る。
すると出てすぐの廊下に如月さんが居た。
「お疲れ様です、紫香楽さん」
「ありがとうございます、ずっと待って下さったのですか?」
「いえ、先ほど皆様がお帰りになった後からです」
「如月さん、今日残っている仕事は有りますか?」
「いえ、今日はもう何もありません。帰って頂いて構いません。
また、明日からよろしくお願いします」
「はい、朝何時くらいに此処へ来れば良いですか?」
「明日は朝の8時です。通常時は毎朝8時です。
ああ、それとこれが今日の給料です。
白夜叉様からあなたの給料を最初のほうは1日ごとで渡すように言われました」
「分かりました、それでは失礼します」
「お疲れ様でした」
私は如月さんに一礼して〝サウザンドアイズ〟支店を後にした。
・・・〝サウザンドアイズ〟支店を出た俺は、家に帰った。
帰り道、すでに日は沈んでいた。
今日は本当に疲れた。
いや、今日もか・・・
正直腹は減っているが、睡魔のほうが強いので
このまま寝よう。玄関にカギをかけ、ふらついた足取りで階段を上り、部屋に入る。
押し入れの布団を畳に敷き布団に入る。
そのまま眠気に襲われるまま、俺は眠りについた。
ちなみに基本、紫香楽の一人称は、
仕事の時は私、それ以外は俺で通します。
誤字脱字ありましたら、
報告していただければ幸いです。