Fate/dragon sphere   作:小櫻遼我

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第二部の情報が公開されてから「この小説大丈夫か」と思いながら年を越した


第三節 レジスタンスキャンプ

路地を抜けると、そこには開けたキャンプがあった。

 

キャンプといえど、森の中で組むようなこぢんまりとしたものではない。

倒壊したビルに囲まれたスペースに組み立てられたテント。

休憩スペースや医療スペース、精密機械が乱立したところもある。

キャンプの中心のみ緑が広がっており、美しい花々が風に揺れる。

 

「へぇ、ここがレジスタンスキャンプか…」

「まずは、ここのリーダーに話を聞いてみましょう」

 

色んな人がいた。

ゴーグルを付けた男性。

マントを羽織った女性。

座りながら機械いじりをする男性。

機械生命体の頭部(恐らくレプリカ)を被った謎の女。

 

そして、その中でも特に惹かれるのが、機械群のそば、テーブルに寄りかかった一人の女性だ。

特徴的か、で言えばあの機械生命体頭部女がダントツだろう。

しかしあの女性は、外見ではわからないオーラ、カリスマ性を放っていた。

そして、どこか美しく、魅力的で____

 

(ぶあっ!?何考えてるんだ、俺は…!)

 

とにかく、あの女性がリーダーで間違いないだろう。

 

藤丸一行は大所帯で女性の元へと迫る。

言い方は悪いが、決して威圧感を与えるような歩き方ではない。

 

「あのー、すみません…」

 

初対面で恥ずかしいのか、9Sが控えめに声をかける。

 

「お前………」

 

女性が振り向く。

しかし女性は、何かに驚いたような顔で立ち止まった。

そして、彼女の呼びかけは____

 

「二号………?」

 

2Bに向けたものだった。

 

「?2Bを知ってるんですか?」

 

9Sが尋ねる。

 

確かに2Bの正式名称はヨルハ二号B型であり、二号である。

しかし実際の2Bの様子からすると、顔見知りというわけではなさそうだ。

 

「あ_____いや、すまない。バンカーから連絡が来てたからな」

 

(主殿)

(どうした?)

(あの反応は、連絡が来ていたから知っていたというものではありませんでした。さも、旧友に再会したかのような……)

 

小太郎が念話でこちらに話しかける。

 

だが彼女がB型なら、S型やらA型やらもいるはず。

血液型のようなものだ。

きっとこの女性は、どこかで2Bと似た二号モデルと交流があったのだろう。

 

「自己紹介が遅れたな。私の名前はアネモネ。ここら一帯のアンドロイドレジスタンスを取りまとめている」

「アンドロイドレジスタンス…え、これ全員アンドロイドなんですか!?」

「人類は月だ、当たり前だろう。二人のことはバンカーから聞いているが、君達は……?」

 

案の定、わかっていないようだ。

人類が月にいるご時世に人類がいないことに驚くアンドロイドなどいるはずもない。

 

「俺らは過去から来ました。俺は藤丸立香、この赤い髪をしたのが風魔小太郎」

「呼びにくければ、アサシンでも結構ですよ」

「俺らについてはちょっと長くなるんですけど______」

 

数分後。

 

「_____なるほど。まぁ、旧世界の人類はさぞ発達した技術を持っていたのだろうな。今ではロストテクノロジーにすぎないが。君達は信頼できそうだ。よろしく、立香、アサシン」

 

この説明で大丈夫かと思ったが、無事に理解してくれたようでよかった。

確かに遥か昔に失われたロストテクノロジーなんで疑いようがないだろう。

あのピラミッドだって、宇宙人が作ったとも言うし。

 

「情報に関しては他の連中の方が詳しいだろう。私は通さなくていいから、好きに声をかけてやってくれ。これが武器屋で、あれが道具屋。その向こうがメンテナンス屋で……あっちの仮面女はよくわからん。前から不思議なことを言うやつだ。きっと電子ドラッグでもやってるんだろう」

「は、はあ……」

 

兎にも角にも、話をしないことには変わりなさそうだ。

 

まずは武器屋に話を聞いてみる。

 

「よお、ヨルハのお二人さん。それに、人間様」

「なっ、なんでそれを!?」

「こんな開けた空間で話してたら誰にだって聞こえるさ」

 

それもそうか。

それに藤丸も、白熱して声が大きくなっていた。

 

「ここでは、何をなさっているんですか?」

「おう。過去の遺産__有り体に言えば武器だが、その整備、販売を行ってる」

「そうか。2Bはちょうど武器一本しか無いし、もう一つ買ってくか?二刀流、なんてな!」

「確かに、B型はどれも武器を二つ同時に扱えるはずです」

 

などと話しながら武器屋の方を向くと、何やら暗い顔をしている。

何か、残念そうな。

 

「あー、その……売ってやりたいのは山々なんだが、生憎機器が壊れててな。この道具箱に入ってる整備デバイスさえ直りゃいいんだが……」

「どれ、少々拝見」

 

と、9Sが道具箱の中から取り出した整備デバイスを調べる。

流石はS型、機械にはめっぽう強いのだろう。

 

「なるほど。どうやら過負荷による内部ショートが原因みたいですね。結構壊れちゃってます」

「そうなのか。参ったな、繊細な作業は得意じゃないんだよなぁ、素材もないし……」

 

頭を抱える武器屋。

そんな様子を見て居ても立ってもいられなくなった藤丸が口を挟む。

 

「あの!…その素材、俺達が集めてきてもいいですか?」

「いいのか?助かるよ!」

「では修理は僕が」

 

武器屋が喜んでくれて、藤丸もどこか誇らしげだった。

 

とりあえず皆の話を聞いてから素材集めに移ろう。

次は道具屋の元へ。

 

「こんにちは〜…」

「ああ、アンタらがヨルハ部隊と、過去から飛んできた人間にその相棒か。何をお探しだい?」

 

気さくな道具屋の足元を見ると、いろいろな商品が乱立している。

だが、どれも変わった形をしていた。

回復薬ならまだわかるが、それでも形が全く薬とはかけ離れているし、射撃攻撃力UPやら物理ダメージ軽減なんかは形も相まってなんのことかさっぱりだ。

 

「ああ、アンタらの時代じゃこんな形じゃないのか。アンドロイド専用の回復薬とドーピングアイテムさ。旧世界の言葉を借りて言うなれば『わくちん』が近いかな」

「なるほど…体内に注射することでプログラムを解析して、機体の性能を向上させるんですね」

「一時的だがな」

 

すると、小太郎が変わった袋を二つ手に取る。

 

「おお、お目が高い。それは匂い袋と動物の餌さ。匂い袋を使えば動物がわじゃわじゃやってくる。そこでこの餌さ。コイツで手懐ければ、イノシシだろうがアンタらを受け入れてくれるだろうさ」

「この形状ならば……我々でも使用はできるのでしょうか」

「ああ、多分な。前例がねぇもんだから保証はできないぜ」

 

一通り物色した9Sが道具屋に声をかける。

 

「プラグインチップ、とかは置いてないんですか?」

「プラグインチップ…?」

 

聞きなれない言葉に藤丸は首を傾げる。

 

話によれば、アンドロイドの体内にはチップをはめるストレージがあり、基本機能などはそこで管理されているらしい。

プラグインチップは、このストレージに追加セッティングすることで機体の性能を向上させる装備品のようだ。

先程のドーピングアイテムとは違い、装備している限りは永続らしい。

 

と説明を聞き終わったところで、道具屋が口を開いた。

 

「悪い、チップ関連は機材不調で休業中だ。足が良くなくてな、資材を探しに行んのだ」

 

どうやら座っているのではなくて、足の調子が良くないらしい。

ここまで来たら、することはひとつしか無い。

 

「では、僕らが回収してきます」

「おお、恩に着るよ!『壊れたゼンマイ』、『小さな歯車』、『壊れた回路』、こんくらいあれば修理できるはずだ」

 

依頼が二つになったが、幸いこちらは四人だ、二人ずつ探索すればなんとかなるだろう。

と、ここで藤丸は気になっていたことを道具屋に聞いた。

 

「あの、自分の足は修理しないんですか?そうすれば自分で探しに行けると思うんですけど…」

「そんなんは後回しだ。戦力になる奴を優先して修理してかないとな」

 

非戦闘員には非戦闘員なりの心掛けがあるようだ。

では、次にメンテナンス屋の話を聞いてみよう。

 

「あなた方がヨルハ部隊に、人間の方々ですね。こちらではポッドの強化やポッド・プログラムの販売を行っております」

「ポッド・プログラムって?」

「ポッド・プログラム:先程使用したブレードやミラージュ等の特殊技能」

 

親切にもポッド042自ら説明してくれた。

 

「ポッドの強化って、具体的にはどんな強化をするんですか?」

「そうですね…威力が上がったり、弾丸が跳弾したりでしょうか」

「感想:素敵」

「同意:胸アツ」

 

042と153が夫婦のような掛け合いを披露してくれたおかげで場が和んだ。

やっぱり感情があるじゃないか。

 

そして最後に残ったのはあのヘンテコ頭だが……

 

「おや、やっと私の番かい?私は……まあ、変な女レジスタンスとでも呼んでくれ」

「長い…」

「変な女でもいいよ?」

「アンタはそれでいいのか!?」

 

こんな頭部だが、中身はちゃんとアンドロイドのようだ。

ダ・ヴィンチのように天然で、どこか親しみやすさを感じる。

 

「……で、その頭は…」

「ああ、これ?これは、俗世間の不必要な情報を遮断するための電磁波遮断装置さ」

「おお、そんなのもあるのか!」

「うそだよ」

 

ズッコケた。

 

「ところで、何か私に聞きたいことはあるかい?私はなんでも知っているんだ。いや、知りすぎているのか。機械生命体の種類、電子ドラッグのプログラム構造、マップのいい見方、長距離ジャンプの方法、隠しトロフィーの獲得条件、『EXTELLA』の一部ミッションにおけるアルトリア出現方法、『EXTRA』のMONSTER攻略、Fateシリーズ最新アニメの特報、月姫リメイクの進行状況、奈須きのこの正体、なんでもござれさ!」

 

うむ、わからん。

アネモネが手を引いたのも理解できる。

 

「あー……また今度、訪ねます」

「それでもいいよ。じゃ!」

 

と挨拶を交わし、キャンプの外に出た。

 

「俺と小太郎、2Bと9Sで別れよう。どっちを担当する?」

「道具屋さんの依頼で指名されたエリアには敵性機械生命体が複数存在するようです。武器屋さんの依頼のエリアにもいますが、こちらほどではないかと。あまり無理をさせるわけにもいかないので、道具屋さんの依頼は僕らが担当します」

「わかった。じゃあ俺達は武器屋さんに頼まれた素材を集めてくる」

 

軽く話をしてから、二組は別れた。

敵性機械生命体との戦闘は藤丸達にとっては初めてなので、いい練習になりそうだ。




短めで淡白な回が多くなるかも
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