輝く音を探したら   作:いひょじん

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マネージャー始めました

「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー」

今、俺は海岸でリズムを取りながら、前で踊っている高海、渡辺、桜内の3人のダンスを見ている。

「高海、ちょっとリズムずれてきてるぞ〜」

「えっ!」

リズムがずれていることを指摘するとさらにリズムがずれてダンスもめちゃくちゃになってしまった。

「うぅ〜ごめんね…」

「ううん、気にしないで。一回ここで撮った動画見てみない?」

「そうね」

俺は桜内が持ってきた譜面台の上で録画に使われてた渡辺の携帯を本人に渡す。

「はいよ、これ」

「ありがとう。将太君は何かおかしいと思ったところとかある?」

「ダンスとかはよくわからんけど、まだ全体の動きが揃ってなくて違和感はあるな」

「なるほどね…。ありがとう、参考にさせてもらうね」

そして渡辺は高海達のところに戻って行く。

というか、何故俺がこんなことをしているかというと数日前に遡る。

 

 

 

高海の家で作詞をしていた次の日。

俺は前日の作詞の時に話題に出てきたμ'sという言葉が頭から離れず、家に帰ってからライブを見たら曲を聞いたりしていると、前に聞いた時よりなんか魅力を感じて時間も忘れて夢中でμ'sのことを調べていた。

そして気づいた時には朝の5時になっていて、そのまま寝ずに学校に行くのに一番早いバスで学校に向かった。

教室に着くとまだ8時前だったので、授業が始まるまで寝ることにした。

眠りについて少し経った頃だった。

誰かが俺の体を揺さぶりながら名前を呼んでる気がした。

また、高海だろうと思って反応せず寝ていると、思ったよりもしつこく揺さぶって来るから少しイラッときたので

「あぁー、もう起きてるから揺さぶるな!」

と大きめの声で言い、顔を上げるとそこには驚いた様子の桜内がいた。

「ご、ごめんなさい。起こしちゃって…」

「いや、こっちこそ大声出してごめん。ていうかなんで桜内が?」

「ちょっと言いたいことがあるんだけど、いいかな?」

「あー、別に構わないけど」

桜内が俺に言いたいことがあるなんて珍しいな。

「あのね、私千歌達とスクールアイドルやってみることにしたの」

「えぇ、本当か!」

「うん。あの後千歌ちゃんと話しね、私が笑顔になって欲しいし、ピアノも諦めて欲しくなって言われたの」

「そっか、高海がそんなことを…」

高海なら桜内が胸に抱えてるものを消してくれると思ってたけど、本当に消してくれたんだな。

「スクールアイドルやろうって踏み出せたのは一ノ崎君が背中を押してくれたおかげだから、お礼を言いたかったの」

「お礼なんて、そんな大したことしてないぜ。俺はただ桜内はスクールアイドルをやったほうがいいと思ったから言ったまでだしよ」

「それでも私にとっては凄い勇気をもらえた言いたいの。本当にありがとうね」

そうして桜内は笑顔でお礼を言ってくれた。

「お、おう…」

俺はそれだけ言うと窓側を向いた。

この時、桜内の表情にドキッとしたのとお礼を言われて照れてしまって顔が赤くなったから窓側を向いたのは内緒だ。

 

「梨子ちゃんおはよう!ってあれ、今日は一ノ崎君からの早いね」

朝一から元気な声で挨拶をしてくれたのは高海だった。

「おはよう、千歌ちゃん」

「おっす、高海」

「一ノ崎君がこんな早くクラスにいるなんて珍しいから」

「今日は早くきたい気分だったんだよ」

「あ、そうだ!梨子ちゃんが私達とスクールアイドルやってくれることになったんだよ!」

「知ってるよ、さっき桜内から聞いたから」

「えぇー!そうなの〜」

高海はそう言いながらガックシと音が聞こえるくらい落ち込んだ。

さっきから元気に挨拶したり、急にがっかりしたと感情が忙しい奴だな。

「あ、そうだ!一ノ崎君にお願いがあったんだ!」

「今度はなんだよ…」

「一ノ崎君にスクールアイドル部に入って欲しいの‼︎」

「は?」

高海の唐突すぎる頼みに思わず声が出てしまった。

「えっと、どう言う意味だ?」

「だから、スクールアイドル部に入部して欲しいの!」

「うん、言ってることはわかるけど…。俺男だぞ?」

「それは知ってるよ?」

高海のなに当たり前のこと言ってるんだみたいな顔がなんか負けた気がする。

「スクールアイドルは女子高生がアイドル活動を部活と言う形で行うっていうのが定義みたいなもんだぞ。そこに男の俺が参加できるわけないだろ?」

「あ、そっか!」

「あ、そっかってお前なぁ…」

高海の呑気すぎる返答に怒りがこみ上げてきたが、呆れて何も言えなくなった。

「てか、なんで俺にスクールアイドル部に勧誘なんかしたんだ?」

「それはね、生徒会長さんから部を設立するには部員が5人必要って言われたんだ」

「だから俺を部員にさせて数を増やそうと?」

「そういうこと!」

めちゃくちゃ安直な考えだけど、スクールアイドルをやるのに必死な証拠だよな。

「けど、男の俺じゃ…」

「だったら、マネージャーとかだったらいいんじゃないかな?」

「「マネージャー?」」

渡辺の提案に俺と高海は揃って疑問を投げかけた。

「マネージャーだったら男の子の一ノ崎君でも出来そうだし、部員と書いてるけどマネージャーという形式で入部でもいいんじゃない?」

確かにその案なら男の俺でも役に立てそうだな。

流石、頭の回転が早い渡辺だ。

「わかった。それだったら引き受けるよ」

「本当に⁉︎」

「あぁ、俺も作曲の手伝いをするなら普段の部活動からも参考にできるかもだし。それに俺に出来ることなら協力したいしさ」

「うぅ、一ノ崎君ありがとうぉぉ!」

高海はそのまま俺に飛び付いてくる。

「だぁぁぁ、だから急に抱きつくなってぇ!」

「そんな照れなくてもいいのに〜」

「そういうことじゃねー!」

 

 

と言うことがあって、現在に至る。

そして、俺が入部をきっかけに苗字で呼ぶのをやめて、下の名前で呼ぶ会うように決められた。

「それにしても、俺がまさかスクールアイドル部のマネージャーになるなんてね〜」

 

ブロロロロブロロロロ

 

独り言を呟いてるとヘリが俺たちの頭上を飛行していた。

 

「なにあれ?」

「小原家のヘリだねぇ」

「小原家?」

「淡島にいる経営してて、新しい理事長もそこの人らしいよ」

「へぇ〜」

小原家か。

昔からそこのホテルにうちで取れた蜜柑や野菜を配達してるなぁ。

けど、親の配達についた行ったりすると毎回そこの娘さんの遊び相手をさせられてたな…

そんなことを思っていると、ヘリがどんどんこちらに近づいてることに気づいた。

「おい、なんかあのヘリこっちに近づいてきてないか?」

「気のせいよ」

「いやまじだって…」

そう言ってる最中にもヘリは俺たちに近づいて来ている。

ぶつかるんじゃないかと思うくらいまでヘリが来たから、俺たちは急いでヘリから逃げるように砂浜へ身を投げた。

「なになに?」

ヘリは俺たちの頭上を通過した後、そのまま降下してきた。

そして着地出来そうな距離まで来たところでヘリの後部席のドアが開いた。

そして中から出てきたのは…

「チャオ〜」

よく見知った顔だった。

「げっ!鞠莉さん…」

「あらぁ〜、将太じゃない!」

まさか、ヘリから出てきたのは、昔から俺を着せ替え人形のように扱い、俺のことをあちこちへ連れ回したりした破天荒なお嬢さまだった。




みなさん、お久しぶりです
またまた半年間逃げていたいひょじんです。
いやぁ〜4thライブ最高でしたね。
僕は何回も泣いちゃいました。
それにしても久しぶりの投稿。
社会人になるとやっぱり自由に使える時間も減るものですね。
けど、それはいいわけになっちゃうね。
次回もなるべく早く投稿できるよう頑張ります。
それではまた次回

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