東方虚空伝   作:TAKAYA

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三十話 次代へ…

 僕は今、戦の爪痕を残す戦場跡に来ている。別に感傷に浸りに来た訳ではなく、少しやる事がある為一人で此処に訪れていた。あちこちに残る戦の残照に視線を泳がせながら目的地を目指す。

 辿り着いた場所は他の場所とは違い明らかに異質な光景だった。黒い霧が漂い、木々は枯れ果て、土は腐り、生物が居ないどころか生命力を一切感じない。“死の大地”こんな言葉が良く似合う、いやそうとしか言い表せないそんな光景。

 諏訪子の祟りで汚染された場所。しかも荒御霊の状態での祟りだから僕が夢で見たものより濃密な祟りだろう。あれで祟りが消えるまでかかった時間がたぶん二百年程だったから、これが自然に消えるのを待てば五百年は必要だろうな。

 そんな事を考えながら死の大地を進んで行く。本来なら霧の様に漂っている祟りに当てられそうだが強欲(マンモン)で一度取り込んだからか全く問題が無い、免疫でも出来たかな。

暫く進み足を止める、丁度此処辺りが祟りの中心地の筈だ。そして僕は一言、

 

強欲(マンモン)

 

 右手に現れた刀を逆手に持ち替えそのまま地面に突き立てる。此処に来た目的は祟りの除去。荒御霊の諏訪子と対峙した時強欲(マンモン)が有効だったからもしかしたら大地に染込んだ祟りも略奪出来るのではないかと思い立ち試しに来たのだ。

 今の状況なら大地の生命力より祟りの力の方が強いから祟りだけを吸い上げる事が出来る、と思っているが確証は無い。まぁ元手はタダだから失敗しても問題は無いのだけど。

 強欲(マンモン)を通じて伝わってくるのはあの時と同じ感覚だがあの時とは違い気持ち悪さは感じない。

予想以上に凄まじい勢いで強欲(マンモン)が祟りを吸い上げていく中ふと考えてしまう、今更だけど祟りって取り込んでも大丈夫なのかな、今の所身体に変調はないけど…まぁいいか。その時はその時だ。

 使用時間を迎えた強欲(マンモン)が音を立てて砕けた時には周囲を漂っていた黒い霧も無くなり祟りの気配もほとんど消失していた。どうやら予想以上に上手くいったらしい。あとは諏訪子に頼んで能力を使ってもらえば元通りになる。

 やる事もやったしさぁ帰ろう、とした時少し離れた場所に神奈子の神力を感じた。どうしたんだろうか、何かあったのかな、と気になった僕は気配のある場所を目指す事にした。

 

 

 

 

 

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 辿り着いた場所は大和の陣が敷かれていた所だった。そこに神奈子は一人腰を下ろし戦場になっていた一帯を見ていたが僕が来た気配を感じたのかこちらに視線を向けた。

 

「なんだ虚空か。どうしたんだいこんな所」

 

 少し笑みを浮かべながら現れた僕にそう問いかけてくる神奈子。

 

「僕はちょっと野暮用だよ。そう言う神奈子こそ一人寂しく何やってるの?」

 

 僕の問い掛けに神奈子は少し眉を吊り上げたが、僕は気にせず神奈子の隣に腰を下ろす。

 

「一人寂しくは余計だよ、……ちょっと考え事をね…」

 

 神奈子はそう言うと視線を戦場跡に戻し黙り込んでしまう。僕も言葉をかける事はせず僕達の周囲はただ微風の音だけが響く静かな空間になっていた。

 長い様で短い様な時間が流れ不意に神奈子が口を開く。

 

「早希…だったね、あの子に言われた事が何ていうか心に刺さったんだよ…いままであんな風に言われた事がなくてね…」

 

 神奈子は彼方を見つめながら独り言のようにそう呟く。早希が言った“楓様が何か悪い事したのか、私が何か悪い事したのか、諏訪子様が何か悪い事したのか”…僕の胸にも刺さった。

 あの大戦で指揮を取っていた僕達にはそれ相応の責任がある。誰に怨まれても仕方が無い立場だ“戦だから仕方が無かったな”どと軽々しく言える訳も無い。

 

「“大和の為に”ただそれだけを胸に邁進していたつもりだったけど…もしかしたらあたしは責任の重圧から逃げていただけなのかもね」

 

 自虐的な笑いを浮かべながら神奈子は心の内を僕に吐露してきた。きっとそれは戦で指揮官という同じ立場に立っていたからだろう。正直そんな風に本心を見せてくれるほど気を許してくれているのは嬉しいけど同じ立場だったからこそ言わなければいけない事がある。

 

「なら懺悔でもする?後悔すれば何か変わるの?誰に許しを乞うの?奪ったものは返せないし無くしたものは取り戻せない、それは絶対だ。今更後悔した所でどうしようもないよ、それに神奈子がそれを悔いたら今までに命を落とした全ての者が無駄死になる、だから誰に何と言われようと、自分自身で後悔に焼かれ様と傲慢に胸を張って責任を背負うのが“将”の務めだよ。甘ったれないで――――なーんてね、偉そうに言ってみたけど僕も神奈子と同じなんだよね」

 

 一瞬呆けた様な顔をしていた神奈子だが、アハハハと笑う僕を見ると呆れ顔になりそして一緒になって笑い出した。

 

「あんたに説教されるなんてね―――――確りしてるのか、抜けてるのか本当に分からない奴だよ」

 

「僕は僕だからね、まぁ僕達は色々似た者同士なんだよ。だからそういう愚痴なら何時でも言ってね」

 

「……そうだね、そうさせてもらうよ」

 

 そういって再び二人とも笑い出した。気持ちを共感できる相手が居るというのはそれだけで嬉しいものだから、安心できるから、胸を貸りる事が出来るから。

 

「それじゃ帰ろうか」

 

 僕は立ち上がり気障っぽく神奈子に手を差し出すと神奈子は呆れた顔をしながら手を取った。

 

「似合わないから止めときな」

 

「非道いなー」

 

 そんな事を言い合いながら家である諏訪大社に向け帰路についた。戦で散っていった者達に恥じ無い様に、無駄にしない様に、新しい国を作っていくと眼下に見える戦場跡に誓いながら。

 

 

 

 

□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■

 

 

 

 

 諏訪大社に着くと境内に諏訪子、紫、ルーミア、早希達の他に町の住人が集まっており、本殿の前には幾つもの家具が置かれている。箪笥(タンス)に鏡台、葛篭(つづら)、針箱、下駄箱、茶道具に布団そして人形などだ、はて?この組み合わせ何処かで見たような?そんな事を考えていると帰ってきた僕達を見つけた諏訪子が大声を上げて此方に走ってきた。

 

「あたしに黙って何処行ってたのさ!何で神奈子と一緒なの!」

 

 諏訪子は不機嫌を隠そうともしないで僕の襟元を掴んで上下に揺さぶりながら詰問してくるのだが、正直そんな事をされると喋れないんだよ。そんな僕を見かねたのか変わりに神奈子が答えた。

 

「ちょっと野暮用で戦場跡に行ってたんだよ、それよりこの集まりは何なんだい?」

 

「町の皆が色々持ってきてくれたんだよ、これから必要になるだろうから、って」

 

 諏訪子は僕を揺さぶるのを止めるとそう説明してくれた。あぁそういえば町の皆には早希が説明をしに行ってたな。僕達がそんな風に話していると町の住民達が集まってきた。

 

「七枷様お帰りになったのですね、そちらが八坂様でしょうか?」

 

 此方に集まって来たのは女性達だけで男衆は遠目にこっちを見ているのだが、何故か僕に対して敵意に満ちた視線を送っている。もしかしたら今回の習合の件で僕が祭神になる事に不満があるのかもしれない。

 

「うむ、私が八坂神奈子だ。これからよろしく頼むぞ」

 

 神奈子は何というのか尊大な感じで女性陣と会話をしていた。そういえば僕が最初に合った時もこんな態度だったな、諏訪子が態度を変えたりしないから忘れがちだけど神は人に対してこういう態度の方がいいんだろうか?まぁ人それぞれ…じゃないな神それぞれなんだろう。神奈子達が話している間に紫たちも此方の方に来ていた。

 

「お帰りなさいお父様、何処に行ってたの?」

 

「ちょっと掃除にね」

 

 僕がそう言うと紫達は疑問の表情を浮かべるが、まぁ細かい説明は後ですればいいだろうしね。

 

「これから何かと大変かと思いますが「何かあったら遠慮なく相談してください「本当に大変そう「七枷様だからね「神様の世界も色々あるのね「あたし等の経験が役に立つかも「頼りないかもしれませんが愚痴位は聞けますから「心情は複雑でしょうが「まさかこんな事になるなんてね「いえ私はこんな事になる気がしてたわ「来るもの拒まずって感じ「まぁ責任はちゃんと取るようだし・・・・・

 

 女性達の会話が聞こえるが何かこう違和感がある。会話をしている神奈子のと諏訪子もその違和感に気付いている様でいまいち話が噛み合っていないようだ。

 

「そうそう今夜は町の皆で祝いの宴を開かせて頂きますね。準備が整いましたらお呼びに上がりますので」

 

 そう言うと女性陣は踵を返し境内を後にしようとしたが、何かを思い出したように再び此方に戻って来た。

 

「申し訳ありません、肝心な事を言うのを忘れていました」

 

 そう言うと横一列に並び声を揃えて、

 

『七枷様、諏訪子様、八坂様、この度は御結婚おめでとうございます!!』

 

 「「「「「 は? 」」」」」

 

 女性陣はその言葉で呆気に取られている僕達に気付かずそのまま境内を後にし、それに追随する形で男衆も境内を後にする。去り際まで僕を睨みつけながら。

 残された僕達は今だ呆気に取られたままで境内にはさっきまでの姦しさが噓の様に静寂が満ちていく。無音の空間に一陣の風が吹き抜けた時、漸くルーミアが静寂を破り隣りにいる紫に問いかけた。

 

「……どういう事?」

 

 問われた紫は横に居た神奈子に、

 

「……どういう事?」

 

 問われた神奈子は隣りに居る諏訪子に、

 

「……どういう事だい?」

 

 そして諏訪子は隣に居た僕に、

 

「……ねぇどういう事?」

 

 と、聞いてきたので僕は、

 

「僕も知らないけど知ってそうな人物には心当たりがあるよ。…何処に行くんだい早希?」

 

 僕はゆっくりとこの場から逃げようとしていた早希の襟を掴み逃走を阻止する。捕まった早希は擬音が鳴りそうな感じに僕達の方を振り返った。

 

「……ちょっとお茶を淹れてこようかなーと思いましてー…」

 

 早希は視線を泳がせながらそんな言い訳を口にする。

 

「そういえば町の人達に説明をしたのはあんたよね?」

 

 ルーミアがそう言うと神奈子と諏訪子、紫が早希に詰め寄っていく。

 

「早希~町の皆にどんな説明をしたのかな?怒らないから言ってごらん?」

「どういう事か説明しなさいよ!」

「納得のいく説明をしてもらおうか」

 

 三人に詰め寄られ早希は観念したようにポツポツと喋りだした。

 

「えーとなんと言いますか…町に今回の習合の事を説明はしたんですー、けど私…よく分かってなくて掻い摘んで説明したら…『結局どういう事?』と聞かれましてー……つい『つまり虚空様が諏訪子様と大和の神様に二股かけて責任を取って結婚する事になったですー!!』と言っちゃったんですー!テヘッ☆」

 

 早希は説明の最後に可愛く笑って見せたが聞いていた三人は、

 

「「「 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 」」」

 

 と大声を上げ、僕とルーミアは、

 

「「 アーハハハハハハハハハッ!!!! 」」

 

 大爆笑だった。漸く合点がいったよ、会話の違和感は最初から話が噛み合っていないからだし、置いてある家具をもう一度良く見てみれば嫁入り道具だし、男衆の視線の正体は嫉妬の眼差しだった訳か!そんな風に笑う僕を見て諏訪子達三人の矛先が此方に向いた。

 

「笑ってる場合じゃないでしょう!どうすんのさ!」

「すぐに誤解を解きに行かないといけないね!ほら行くよ!」

「私母親なんていらない!」

 

 今度は僕が三人に詰め寄られ次々に言葉を投げつけられるが僕はそんな三人に冷静に言葉を返した。

 

「落ち着きなよ、夜に町の皆が宴を開いてくれるって言ってたよね?誤解を解きたければその時でいいじゃないか。それにもしもの時は大丈夫だよ、それ位の甲斐性はあるつもりだから」

 

 僕がそう言うとルーミアがからかう様に、

 

「あら流石、神を二股にかける奴は言う事が違うわね」

 

「何?ルーミアヤキモチ?大丈夫だよ、僕は来る者拒まずだから!ルーミアも入れて三股だって…ごめんなさいルーミアさん図に乗りました謝りますから首筋に刃を当てないで、って痛い痛い刺さってるッ!刺さってるッ!」

 

 その後も諏訪大社の境内は大騒ぎだった。

 

 

 

 

□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■

 

 

 

 

 太陽も沈み暗闇が大地を支配する頃、諏訪の都の広場はそんな暗闇を退けるように明るく騒がしかった。少し前に始まった宴は既にドンチャン騒ぎに変わり町の住人達は好き勝手に楽しんでいた。まぁ最初に僕が無礼講、と言ったからだけど。

 諏訪子と神奈子は住人達に広まった結婚話の誤解を解く為にあっちこっち動き回っていたが、今ではすっかり酒が回りドンチャン騒ぎの一員と化していた。

 紫は早々に早希に捕まり未だに離して貰えない様だまぁあの子もまだ早希を気遣って甘えさせているのかもしれない。

 僕はというとちょっとした理由でルーミアを探していて漸く見つけた所だ。ルーミアはボロボロになった赤いリボンを見ながら溜息を吐いていた。あれは確か女の子から貰ったあのリボンかな、そういえば戦の時に付けたままだった気がする。ルーミアは僕が近付いてきた事に気付き視線を送ってきた。

 

「なんだあんたか、何か用かしら?」

 

「まぁ用はあるんだけど…良かったらそのリボン修繕してあげようか?」

 

 僕がそう言うとルーミアは弾かれる様に僕に詰め寄ってくる。

 

「直せるの!本当に!」

 

「直せるよ、何なら丈夫にする事もできるし」

 

「じゃぁお願いするわ!頼んだわよ!」

 

 本当に普段からは考えられない位素直に僕を頼ってきたな、それだけ大切な物になったんだろうな。身に付けている事を忘れて戦に出向く位に。これを本人に言ったら殺されそうだ。

 僕はルーミアからリボンを受け取るとそれを懐に仕舞いこっちの本題を切り出す。丁度いい交渉材料も手に入ったしね。

 

「それで交換条件で、お願いがあるんだけど」

 

 それを聞いた瞬間、ルーミアはしまった、みたいな顔をしたが諦めた様に言葉を搾り出す。

 

「――――何よ、とりあえず言ってみなさい…」

 

 次に僕が何を言うか警戒しながらルーミアはそう問い掛けてきた。そこまで警戒しなくてもいいのに。

 

「ルーミアと約束は終わったんだけどこれから何かする事とかある?」

 

 僕とルーミアの契約は戦が終わるまで、実際はもうここにいる理由は無い。

 

「別に何もないけど……」

 

「じゃぁさ――――寺小屋の先生をしてみない?」

 

 そう言った瞬間ルーミアは「はぁ?」みたいな顔をしたが僕は構わず続けた。

 

「いやさ今、寺小屋をしてる先生が結構な高齢でね次の人を探してるんだよ。そしたら子供達がルーミアがいい、って言ってるんだ。どうせやる事もないんでしょ?試しにやってごらんよ。あぁちなみに引き受けてくれない時はリボンの修繕はしないから」

 

 お願い半分、脅迫半分で頼む僕をルーミアは冷めた目で睨にながら逡巡している。そして少し考えた末に、

 

「……はぁいいわよ、引き受けてあげるわ。でも無理だと思ったらすぐ「よし!言質は取ったよ!よかったね皆!」ってはぁッ!」

 

 僕がそう言った瞬間ルーミアの背後に隠れていた子供達が一斉に彼女に群がってきた。

 

「やった!「よろしくねルーミアお姉ちゃん「違うよ!ルーミア先生だよ「ルーミア先生!「すぐに先生の所に紹介しに行こうよ!「賛成!「ほら早く早く!「いっそげー!―――――

 

「ちょっと!あんた達!待ちなさい!虚空!後で憶えときなさいよ!」

 

 ルーミアは最後にそういい残し子供達に拉致されていった。きっと次に会う時はルーミア先生として生まれ変わった姿だろうな……ないか。僕は遠ざかって行くルーミアと子供達に手を振りながらそんな事を考えていた。

 宴の騒ぎは深夜まで収まらず日付が変わっても続いた。空には御柱が飛び回り、地上には石で出来た動物達が音楽に合わせ町の民達を背中に乗せて行進し、図に乗りすぎた早希は紫にスキマで諏訪大社の風呂場に落とされ、僕は戻ってきたルーミアに張り倒され、空が白むまで宴は終わることは無かった。

 ちなみに、飲みすぎた諏訪子と神奈子が仲良く二日酔いになっていた。

 

 

 

□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■

 

 

 

 

 神々の最後の大戦、人々が『諏訪大戦』と呼ぶあの戦から早二年の月日が流れ季節は春、恒例となった諏訪湖での大花見大会が今年も開かれている。大会といっても只飲んで、歌って、奏でて、楽しむだけだ。この日は人も、友好的な妖怪も、周辺の神達も垣根を越えて無礼講で楽しんでいる。

 僕達は会場が見渡せる場所で今は喧騒から離れゆっくりしていた。桜の木に背中を預けている僕の両膝には眠り姫が二人、右膝には紫が、左膝には諏訪子がそれぞれ寝息を立てていて、こうして見ると二人とも金髪なので姉妹にも見えるな。なんて事を思ってしまう。

 神奈子とルーミアは二人で酒盛りをして盛り上がっていた。ちなみにルーミアは意外と教師に向いていた様で今では立派にルーミア先生である。里の男衆も個人授業をしてほしい!と懇願する位だ。間違いなく下心だけど。

 二人から少し離れた所には早希が赤子を抱いてあやしている。春先に生まれたばかりの早希の子供だ。名前は“楓”、春生まれなのにその名前にするのかと聞かれた時に早希が頑として譲らなかったのだ。まぁ僕達も反対する事はなかったけど。

 余談だけど諏訪子、神奈子、ルーミアが楓を猫可愛がりしていて甘やかそうとするので違う意味で子育ては難航している。

 僕は会場の方に視線を戻した。失ったものは取り戻せないけどこうして新しいものは生まれてくる。永遠なんてものは無い、うつろい儚いからこそ大切なものだと強く思うのだ。だから守りたいと願う。いや守っていこう、僕が此処に居る限り。

 

 

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 かつて諏訪大社と呼ばれた所は今は名を変えていた。新しい体系になる事に伴い改名を命じられたからである。

 しかし改名は大きな混乱を呼ぶ事は無かった。新たな名前は都の住民達にとって慣れ親しんだものだったからだ。鳥居に大きくその名が掲げられ、入り口には色取り取りに装飾された手作り感バリバリの幟(のぼり)が立てられ、その幟にはこう書かれている。

 

≪ おいでませ!ようこそ七枷神社へ! ≫

 

 

  第二章   [ 神 鳴 ] 完

 




初投稿からもうすぐ半年、早いものですね。そして改めまして読んでくださった方やお気に入りしてくださった方に感謝です!本当にありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います!

EDイメージ曲 「嘆きの音」KOKIA
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