戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
後、個人的に今回はカメさんチーム無双回。
そして、ある少女受難の回(笑)。
と言う訳で、其れではどうぞ。
第63回戦車道高校生全国大会・決勝戦「熊本県代表・黒森峰女学園対茨城県代表・大洗女子学園」は、序盤のフラッグ車撃破の危機を脱した大洗女子学園戦車道チームが追撃する黒森峰女学園を翻弄しつつ占領した高地で迎撃戦を展開。
だが、黒森峰女学園戦車道チーム隊長・西住 まほは大洗の火力では撃破不可能な重装甲と大火力を誇る55口径128㎜砲を装備した重駆逐戦車・ヤークトティーガーを前面に押し立てて更なる力任せの攻撃を仕掛けた為、大洗女子は苦しい状況の儘、高地での戦いを続けていたのである。
そんな状況下、黒森峰の猛砲撃で降って来た土砂に半ば埋まった状態となった大洗女子“カバさんチーム”のⅢ号突撃砲F型の車内では車長のエルヴィンが憂鬱な声で……
「マルタの大包囲戦の様だな……」
と呟く中、其れを聞いた装填手兼チームリーダーを務めるカエサルが彼女を励ますべく……
「あれは囲まれたマルタ騎士団がオスマン帝国を撃退したぞ!*1」
と“自分が知っている欧州史の知識”を大声で叫ぶが、エルヴィンは憔悴気味の表情を浮かべ乍ら「だが…我々に其れが出来るか?」と零した処、砲手の左衛門佐が不敵な笑みを浮かべつつ、こう言った。
「此れが
すると操縦手のおりょうも「そして西住隊長と秋山が口を揃えて『えーっ!? 其れは違うよ!』と叫び乍ら、原園と一緒になって皆を笑わせてくれるぜよ」と語った為、話を聞いて居たカエサルとエルヴィンはクスクス笑いを始めると“カバさんチーム”の全員も笑い乍ら黒森峰からの猛砲撃に耐えていた。
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第94話「大洗対黒森峰・高地からの中央突破です!!」
其の頃、大洗女子学園戦車道チームが立て籠もる高地に対する黒森峰の猛砲撃によって生い茂っていた草花が吹き飛ばされて赤黒い土が剝き出しの状態になった高地から離れた草原では、大洗女子の“カメさんチーム”が駆る38(t)軽戦車改造のヘッツァー駆逐戦車が茂みに隠れて両チームの様子を伺っていた。
「凄い砲撃戦……」
そう呟いたのは“カメさんチーム”操縦手兼生徒会副会長の小山 柚子。
其れに対してチームの車長兼戦車道担当生徒会副会長補佐官・名取 佐智子が……
「まるで高地が噴火中の火山みたい…でも、黒森峰ってドイツがモチーフの学校なのに戦い方は“
と呆れ声で語ると、話を聞き乍ら高地の様子を眺めて居たチームの砲手兼生徒会長の角谷 杏が「サンダースのケイが、今の佐智子ちゃんの言葉を聞いたら、きっと怒り出すだろうねえ♪」と楽し気な声で答えた処、隣に居た装填手兼生徒会書記・河嶋 桃が生真面目な声で……
「ですが会長、あれでは真綿でジワジワ首を締められている様なものです」
と答えたのを聞いた会長は頷きつつ「黒森峰は、こっちがあの高地を要塞にする事を見越していた様だねえ…まあ、当然か」と呟いた処、其れを聞いた佐智子が心配気な声で……
「はい。西住さん達が無事で居てくれたら良いのですが……」
と答えた為、会長も“そろそろ、こっちも動こうかな?”と考え始めていた。
だが此の時、観客席の外れで観戦中の大人達は更に辛辣な事を語り合っていた。
「何だい、あの不細工な黒森峰の攻撃は!あの高地はモンテカッシーノ修道院か?其れ共、硫黄島の
原園 嵐の大叔母で元・陸上自衛隊陸将にして機甲部隊指揮官だった原園 鷹代が、西住流師範代で黒森峰女学園戦車道チームの実質的指導者で有ると共に、まほとみほの母親でもある西住 しほに向けて辛辣な言葉を浴びせる。
因みに鷹代が指摘した“モンテカッシーノ修道院と硫黄島の
前者は欧州のイタリア戦線で米英軍を主力とする連合軍とドイツ軍がイタリア国内の山岳地を舞台に戦い、後者は太平洋戦線で米海兵隊と海軍が日本軍相手に戦った島嶼攻略戦の一幕だが、此の2つの戦いは「連合軍側が圧倒的な火力で相手を撃滅しようとしたが、山に立て籠もったドイツ・日本軍が驚異的な防御戦を展開した結果、連合軍側は共に攻略に手間取って大損害を被った」と言う共通点が有る。
其の為、鷹代は高地に立て籠もった大洗女子相手に正面から火力で叩き潰そうとした黒森峰の戦い方について“そんな事をしても勝つ事は出来ない”と批判したのだ。
其れに対して、黒森峰時代のしほの同級生・周防 長門も冷静な声で「そうですね」と答えた処、嵐の母でしほと長門の同級生でも有る原園 明美が不敵な笑みを浮かべつつ、こんな言葉を口にした。
「確か“優れた将軍は機動によって勝利し、劣った将軍は破壊・敵の消滅によって勝利する”*3と語った元・陸将補の方が居たわね」
無論、明美が黒森峰をどう評価しているのかについては、言うまでもない。
其れに対して鷹代が微笑み乍ら……
「そうだよ。戦車戦も戦車道も相手戦車を撃破するだけじゃあ相手は倒せない。其れよりも速度と策略によって相手チームを窮地に陥れ、相手指揮官と其の仲間達の心のバランスを打ち砕いて的確な戦いが出来なくなる様に仕向ける事こそが、勝利への近道なんだ」
と語った処、しほが鷹代達を睨み付け乍ら……
「ですが…モンテカッシーノと硫黄島、
と言い返した為、隣に居たアンツィオ高校OGの大姫 龍江が呆れ声で……
「“
とツッコミを入れた時、試合会場に設置された超大型モニターに視線を向けていた冷泉 麻子の祖母・久子がこう告げた。
「如何やら、大洗女子が動いたみたいだね」
其の頃、黒森峰の砲撃で荒地同然となった高地の頂に布陣する“あんこうチーム”のⅣ号戦車H型仕様の車内では、西住 みほ隊長が小声で「
彼女は“此の高地で2輌撃破出来れば上出来”と考えていた為、3輌撃破出来た上に其の内の2輌が黒森峰の主力戦車であるパンター中戦車G後期型だった事は“予想以上の大戦果”だと判断していた。
何故なら、現在黒森峰の手元に残っている戦車の大半は機動力や足回りの耐久性に難の有る重戦車か固定式戦闘室で旋回砲塔を持たない駆逐戦車の為、機動力では此方が優位に立った形なのだ。
此の事を確信したみほは無線を使って仲間達へ……
「此処から撤退します!」
と指示を出したが、其処で“あんこうチーム”装填手の秋山 優花里が「でも、退路は塞がれちゃってます!」と告げ、其の声に
「西住ちゃん、例の“
“
其れを聞いて笑顔になった彼女が明るい声で指示を出す。
「はい!“おちょくり作戦”始めて下さい!」
其れに対する“
先ず角谷会長が「準備良い?」と仲間達に声を掛けると柚子・桃・佐智子が一斉に「「はいっ!」」と答えた為、会長は不敵な笑みを浮かべ乍ら威勢の良い声で指示を飛ばす。
「“おちょくり”開始!」
こうして“
さて…世の中には“妙な因縁”で有名になる人が居るものである。
此の時、進撃中の“
其のヤークトパンターの車体後部ハッチから車長である“おでこが広いショートヘア”の少女が外の景色を眺め乍ら、ホッとした声で一言呟く。
「は~っ、間に合った!」
此の少女の名は、小島 エミ。
実は、彼女が駆るヤークトパンターは試合の序盤で“
其の為、彼女は“此れで、皆の所へ戻って戦える!”と思っていたのだが…!
「えっ…あーっ!? またあんな所に!」
何と味方の居る場所迄あと一息と言う所で、因縁の
丁度自車の後方を横切ろうとしたヘッツァーの出現に慌てた彼女は、自車の操縦手へ向けて「7時の方向、例のヘッツァーよ!」と叫ぶが、其処は回転砲塔の無いヤークトパンター駆逐戦車の悲しさ。
自分の真後ろにやって来たヘッツァーを攻撃するには、其の場で旋回しなければならないのだが…先に旋回と照準を終えて撃ったのは、又しても大洗女子の
斯くして、今回もエミのヤークトパンターの車体左端にヘッツァーの砲弾が命中。
今度は履帯と遊動輪*5が吹っ飛んで走行不能になってしまったのである。
「うわーっ!
再び被弾、擱座してしまった愛車の哀れな姿を目の当たりにしたエミは悲鳴を上げた後、まんまと此の場から離れて行く
「このーっ!ウチの履帯は重いんだぞ!」
と叫んだのだが…彼女にとっては不幸にも、此の発言の一部始終が首都テレビのカメラを通じて試合会場内の超大型モニターとTVに流されてしまった結果、其の様子を見た試合会場内の観客と御茶の間は大爆笑。
そして大洗女子側応援席に居る応援団達は、一斉にこう叫んだのだ……
「
其の結果…小島 エミは黒森峰卒業後にプロの戦車道選手となり、戦車道日本代表として活躍する程の人気選手となったのだが、此の出来事の所為で全国の戦車道ファンから“直下さん”の綽名で親しまれただけで無く、所属したプロ戦車道チームの方針で登録選手名も“直下 直子*6”とされて、長年“ファンから本名で名前を覚えて貰えない”破目になったのである。
其れは兎も角、黒森峰のヤークトパンターを再び退けた“
そして不敵な笑みを浮かべた会長が大声で……
「突撃!」
と叫ぶと、黒森峰戦車隊目掛けて後方から突入を開始。
ある意味、無謀極まりない作戦に操縦手の柚子が震え声で……
「こんな凄い戦車ばかりの所に突っ込むなんて、生きた心地がしない~!」
と叫び、装填手の桃は半ば諦め気味の表情を浮かべつつ小声で……
「今更乍ら、無謀な作戦だな……」
と呟くが、其処へ会長が左手に『萌え萌え戦車道!!』なる戦車道解説書(大洗女子で戦車道が復活した当初、戦車探しをした時にウサギさんチームの丸山 紗希が大洗女子学園の図書館で読んでいた本である)*7を持って、一言……
「敢えて突っ込んだ方が安全なんだってよ♪」
と語った後、車長の佐智子がやや不安げな声乍ら、こう付け加えた。
「原園さん直伝の“
其の言葉に柚子と桃は“本当か?”と訝しむが…此の無謀と思われた会長の作戦が実は“大当たり”だったのだから、世の中は分からない。
何故なら高地への攻撃に集中していた黒森峰は、ヘッツァーによる真後ろからの突入作戦を全く予想していなかったのだ。
其の為、黒森峰が此の作戦に気付いたのは、一旦攻囲陣の後方に下がって長距離砲撃を行っていた1輌のパンターの傍にヘッツァーが並んで来た時だった。
「ん…えっ、何っ!?」
砲塔内のキューポラの視察窓から車外の様子を監視していたパンターの車長・バウアー*9が自車の隣に並んだヘッツァーの姿を見て驚愕すると……
「11号車・15号車、脇にヘッツァーが居るぞ!」
と叫んで周囲に警報を出す。
そして自らも砲手の背中に蹴りを入れ乍ら、砲撃を指示しようとするバウアーだったが、車外の状況を見た途端……
「クソっ!同士討ちになるから撃てない!」
と叫ぶ。
其れも其の筈、大洗女子の
しかも、此処で砲手が“トンデモ無い事実”に気付いて絶叫する。
「おまけに相手が小さい上に至近距離での砲撃では、砲に俯角を掛けても照準がし辛いです!」
此れにはバウアーも苦い表情を浮かべつつ……
「クソッ…小柄で背も低いヘッツァーの特徴をこんな場面で生かして来るなんて!」
と
何故なら、ヘッツァー駆逐戦車は基本待ち伏せ攻撃で戦う為、砲塔を持たない代わりに車体が小柄且つ車高も低い。
特に車高はパンター中戦車の車体部分とほぼ同じだが、今回の様に至近距離での混戦状態になると“ヘッツァーを砲撃しようにも車高が低過ぎる為、此方は砲を最大俯角で撃とうにも照準を合わせ切れない”と言う場面が起きたのだ。
実は、戦車の持つ火砲の仰角は比較的大きいので長距離射撃なら有る程度熟せるのだが、俯角は小さい*10。
其の為、ヘッツァーの様な車高の低い戦闘車輌と接近戦になった場合、俯角を掛けても近過ぎると上手く当たらない事が有るのだ。
しかも、パンター中戦車の70口径75㎜砲は砲身が長いので其れがヘッツァーに当たってしまい、砲撃出来ないと言う問題も有った。
勿論、こんな状況を黒森峰の僚車が見逃す訳が無く、大洗女子との砲撃戦の最前線に居たⅣ号駆逐戦車/70(V)“ラング”の車長が無線を通じて……
「こちら17号車、自分がやります!」
と叫び、車体を
「申し訳ありません、やられました!」
被弾して白旗を揚げた黒森峰の“ラング”車長が悲鳴を上げる中、周囲に居た別の戦車の車長が加勢するべく「私が!」と無線で叫び乍ら行動を起こすが、其の結果黒森峰の攻囲陣に居た戦車が
其処へ、周囲の様子をキューポラ内の視察窓から監視していたバウアーが……
「待て!Ⅲ突が向かって来るぞ!」
と警告した直後!
“
「うわぁーっ!」
「きゃあーっ!」
此の結果、
此の様な醜態は黒森峰女学園戦車道チームの歴史でも初めてだった。
「面白―い! 次から次へとよくこんな作戦を考えるわねぇ…おっと!」
試合会場内・観客席の外れでは、試合を観戦していたプラウダ高校のカチューシャ隊長が(ノンナ副隊長に肩車をして貰った儘)、今迄の戦車道の試合では有り得なかった展開を見て、嬉し気な声で
「此れで、16対8ですね」
と語った処、今大会の1回戦で彼女達と戦ったボンプル高校のヤイカ隊長が2人の隣にやって来ると不敵な表情を浮かべつつ……
「しかも大洗女子が撃破した4輌の内の2輌は、黒森峰が6輌しか用意していないパンター中戦車。此れで黒森峰は大洗に対して機動力では不利な戦いを強いられる事になるわ」
と話し掛けるとカチューシャが何時もの尊大な態度(但し、ノンナの肩車に乗った儘である)で「あら…ヤイカじゃない?」と答えた為、彼女は嫌そうな表情を浮かべたが、其処でカチューシャは意外にも素直な声で「私も貴女と同じ考えよ」と答えてから、自分の考えを語る。
「確かに残り4輌のパンターでは大洗を抑えられないわね。だって大洗には原園 嵐が駆る
するとヤイカも不敵な笑みを浮かべつつ「其の通りよ…珍しいわね、貴女と意見が合うなんて」と答えた処、カチューシャは「私も準決勝で嵐と戦って、彼女の恐ろしさを実感したからよ」と語った為、ヤイカも「確かに…互いに嵐と
「こうなれば、例え黒森峰のパンターの車長に“戦車道の神童”・五代 百代が居るとしても“伝統校・黒森峰の戦車道”に縛られている限り、今の大洗には勝てない!」
其の言葉にカチューシャも頷いて同意した処、2人の会話を聞いて居たノンナは驚愕の表情を浮かべつつ、こう問いかけた。
「ヤイカ…黒森峰が自身の戦車道に縛られているとは、如何言う事なのですか!?」
一方、カチューシャ達の近くで試合観戦をしていたサンダース大付属高校戦車道チームでは、アリサ副隊長が“今迄見た事の無い試合展開”を目の当たりにして……
「あんなに混乱した黒森峰を見たのは、初めてです!」
と驚きの声を上げた処、ケイ隊長が右手人差し指を立て乍ら“其の原因”について……
「黒森峰は隊列を組んで正確に攻撃する訓練は積んでいるけど、其の分突発的な事に対処出来ない」
と述べた為、アリサが「マニュアルが崩れて、パニックになっている訳ですね」と答えた処、話を聞いて居た時雨がこう付け加えた。
「更に言うなら、黒森峰は西住 みほさんが実践する“
其の意見に対して、ケイは「Yes!
「時雨、其れって若しかすると大洗を支援している“明美さんの戦車道”と関係が有るのか?」
と問うた処、時雨は「はい」と答えた後、こう付け加えた。
「恐らくですが、西住さんの戦車道は私の師匠…原園 明美さんの戦車道に限り無く近いと思います。私の目から見ても西住さんの戦車道は明美さんから一切教えて貰っていない筈なのに、群馬みなかみタンカーズが目指している戦車道に近いのです」
其の話を聞いたケイとナオミが互いに頷く中、アリサは「一寸待って!」と叫ぶと……
「時雨、其れって…西住 みほの戦車道は西住流とは違うって事なの!?」
と問い掛けた処、時雨はアリサに向けて頷いた後、こう答えたのだ。
「はい。全く違います」
「右側が滅茶苦茶だよ!」
其の頃、高地を巡る攻防戦は大洗女子を攻囲していた黒森峰が大洗女子の“
「右方向に突っ込みます!」
とチームの全車へ指示を送る!
此れに対して、先ず“ニ
他のチームからも「「了解!」」との返信が届くと高地に居た大洗女子学園戦車道チームの7輌(此の時、カメさんチームは敵陣内の攪乱任務を終えて、一足先に戦場から離脱しつつあった)全てが一斉に縦1列になって高地の斜面を全速力で下る。
そして、列の先頭に“レ
「しまった!こっちの砲撃を躱す為にポルシェティーガーを先頭にしたのか!」
すると彼女の予測通り、大洗女子の車列先頭に立った
しかも大洗女子の車列は御丁寧にもⅣ号駆逐戦車/70(V)“ラング”が2輌並んでいる場所の隙間を通り抜けつつ、車列最後尾に位置した“
其の結果……
「申し訳ありません!突破されました!」
黒森峰は攻囲陣を突破した大洗女子を即座に追跡する機会を逃してしまった。
一方、此の逃走劇に成功した大洗女子の方では……
「イヤッホー!」
“
「やりました!」
と喜ぶ中、彼女のチームメイトで操縦手の麻子は相変わらずの無愛想な声で、こう呟いた。
「やれやれ…スリル満点だな」
一方、攻囲陣を突破された黒森峰側では……
「申し訳ありません!逃げられました!」
自分の補佐役である百代からの通信を聞いたエリカ副隊長は腸煮えくり返る思いだったが、一度深呼吸してから、心の中で……
「本当は“何やっているの!?”って言いたいけれど、一度相手が使った煙幕をまた使って来た事を予想出来なかったのは、副隊長である私のミスよね」
と思い直すと改めて無線で……
「全車、悔しがる暇なんて無いわ!直ちに態勢を立て直して追撃するわよ!」
と命じた処、まほ隊長から無線で……
「エリカ、其れで良いぞ。直ぐ怒らずに良く我慢した。此方も直ちに向かう!」
と“思わぬ言葉”を聞かされた為、エリカは元気の良い声で……
「分かりました!追撃隊の先頭は私が!」
と答えた後、心の中で「副隊長になってから、初めて隊長に褒められた!」と明るい気持ちになった後で……
「よしっ、此処からもう暫く辛抱してチャンスを掴んだら、みほも原園も一網打尽にしてやるわ!」
と勝利への決意を新たにしていた。
一方、まほもエリカからの返信を聞いた後……
「漸く、逸見も副隊長としての自覚が出て来たな。百代を補佐役に付けて人の意見を聞く耳を持つ様に仕向けて来た甲斐が有った」
と呟くと、心の中で……
「待っていろ、みほ。私達黒森峰の真価を発揮するのは此処からだ!」
と彼女も決意を新たにするのだった。
(第94話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第94話をお送りしました。
決勝戦は高地攻防戦が終結。
其れと共に、大洗女子と黒森峰の戦い方の違いが鮮明になって行く……
原作の放送から10年以上を経て、此の決勝戦を振り返り乍ら執筆をする内、あの試合は“自由な発想で仲間達と一丸になって戦う大洗女子”と“戦車道と西住流の伝統に囚われて予想外の展開に戸惑いつつ目前の戦闘に気を取られている黒森峰”の戦いだったんだなと感じていますが、未だ朧げにしか見えていない部分も有るので、今後は此の辺りをはっきり書けて行けばと思っています。
そんな今回の見せ場は、やはり高地からの撤退を援護するカメさんチーム…やはり、生徒会は最高だぜ!(エロの要素無し・笑)
其れと忘れてはいけないのが、小島…じゃ無かった、直下さん爆誕(苦笑)。
個人的には最終章第2話で「何故、スタッフは直下さんを本名にしなかったの!?」と号泣した思い出が有るので、本作ではこう言うオチで行きます。
いいね?(個人的信念)
そして、今回は地味にエリカ救済回。
彼女も黒森峰の副隊長で、更に本作では百代と言う補佐役も居るから原作よりは多少なりとも成長していないとね(意味深)。
但し、彼女については次回オチが有る(笑)。
其れでは、次回をお楽しみに。