戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
御待たせしました。
遂に、此の決勝戦を象徴する“あの戦車”が登場。
そして、此の大会に纏わる“ある陰謀”にも結論が。
此れ以上は、申しません…其れでは、どうぞ。
「何だって…富永
陸上自衛隊・東富士演習場で行われている「第63回戦車道高校生全国大会・決勝戦『熊本県代表・黒森峰女学園対茨城県代表・大洗女子学園』」試合会場内の大洗女子側応援席の外れで、周防 長門は自分のスマホにPDFファイルで配信されて来た“ある報告書”の内容を読んで絶叫した。
其れは、彼女の大学の後輩で現在は周防石油グループの関連団体である周防総合研究所・総合調査部の岩木 陸奥美が書いた物だが、其の内容を長門の隣で一緒に読んで居た高校時代の戦車道仲間でアンツィオ高校OG・大姫 龍江が……
「此れ、如何見ても“大洗女子の廃校を決定付ける為に富永と辻が仕組んだ陰謀”とちゃうか!?」
と指摘した処、2人の話を聞いて居た原園 鷹代・元陸将が「と言う事は……」と前置きした後、こう告げる。
「生徒会長の角谷さんが“廃校回避の為に戦車道全国高校生大会に出場する”と言ったのは、辻と黒森峰PTAの富永会長にとっては“狙い通り且つ思う壺”だった事になる!」
其れに対して、鷹代の親友である冷泉 久子が「じゃあ…鷹代ちゃん、ウチの
「辻と富永は、角谷さん達・大洗女子学園生徒会を最初から騙す心算だった…つまり廃校通知の際に辻が“昔は戦車道が盛んだった様ですが…”と角谷さん達に言ったのは、彼女達に“全国大会に出場する”と言わせる為に仕掛けた罠だった可能性が有るよ*1」
其の発言を聞いて絶句する久子の隣で、話を聞いて居た原園 明美が怒髪天を突いた声で「あの富永と辻なら、やりかねないわ!」と叫んだ時、しほが慌て声で……
「オイ、明美…大洗女子の事なら分かったが、何故其れにみほが巻き込まれなければならないんだ!?」
と問い掛けた処、事情を察した明美と長門が互いに無言で頷き合った後、口を揃えてこう断言した。
「「去年の全国大会決勝戦」」
其の言葉にしほが「何っ!」と驚愕の叫びを発したのに対して、鷹代は「そうか…謎は全て解けた!」と、まるで“何処かの漫画の名探偵”みたいな台詞を言って納得した表情を見せた為、同じく驚いている久子が……
「一寸待ってくれよ、鷹代ちゃん!一体如何言う事なのか、分かる様に説明してくれないか?」
と言った為、鷹代は頷くと“自身の推理”を説明し始めた。
「去年の全国大会決勝戦で、黒森峰の副隊長だったみほちゃんは母校の10連覇を捨てて川に流されそうになった仲間の命を助けた。だけど、其れは“犠牲無くして勝利無し”と言う“西住流の教え”に縛られた黒森峰や西住流の連中にとっては“許し難い裏切り行為”だったんだよ」
其の説明を聞いた久子は「!」と声にならない叫びを発したが、其処へ明美が頷き乍ら「鷹代さんの言う通りよ」と答えた後、当時の出来事について一言付け加えた。
「だから、あの試合でみほさんに助けられたⅢ号戦車の乗員5人は当時高等部3年だった
其の説明に居合わせた全員が絶句する中、明美は再びトンでも無い事実を暴露した。
「だけど、実を言うと富永はみほさんも毒牙に掛けようとしたのよ」
「!?」
其の話にしほが声にならない悲鳴を上げた処、長門が“事の真相”を告げる。
「ところが、幸か不幸かみほちゃんは“仲間の命を助けた為に母校の10連覇を逃した責任”に耐え切れなくなって転校を決意した結果、
すると龍江が心配気な声で「せやけど、其れは富永にとっては“大会の戦犯で最大の
「同じ頃、辻と河波造船所の社長がやって来た“学園艦統廃合計画を利用した不正な手段による学園艦解体と其れに関連する贈収賄や利益供与”がバレそうになったのよ」
すると長門も怒りを堪え乍ら、当時の状況を説明した。
「其処で、以前から辻と河波造船所の悪行を知り乍ら彼らの悪事の隠蔽迄行って来た富永は国会議員である夫の力も借りて、不正の揉み消しと引き換えに辻を抱き込み、次の彼の狙いだった“大洗女子学園の廃校”を実現させる条件として“全国大会でみほちゃんに恥を掻かせる”事に協力する様、仕向けたんだ」
其処迄話を聞いたしほが呆然とする中、久子は震え声で「何で、そんな手の込んだ悪行を……」と問い掛けた処、明美は「決まっているじゃないですか」と前置きした後、こう語った。
「先ずは全国大会で大洗女子を惨敗させ、西住流本家の一員で有るみほさんに大恥を掻かせる。其の上で彼女の責任を親である“
其処迄語ってから、明美は一呼吸置くとこう断言した。
「要は“西住流の乗っ取り”が富永の狙いよ!」
すると長門が大きく頷いてから「陸奥美の報告書にも同じ内容が書かれてあった。富永と辻の最終目的は其処だと!」との結論を聞いた女性達は未だ呆然となっているしほを除いて怒りに震えていたが、其処へ明美が……
「あら…“
と語ると「悪いけれど、一寸良いかな?」と長門に告げてから彼女のスマホに配信されたPDFを読み始めると「何々、此れは菊代さんからのレポートじゃない……」と呟いてから少しだけ文書を読んだ直後……
「何よ!此の“
と顔を真っ赤にしつつ大声を上げた為、其れが自分の使用人である井手上 菊代からの物で有る事を聞いたしほが「あっ!」と叫び声を上げた処、明美が鬼の様な形相を彼女へ向けた時!
試合会場内に明美の1人娘・嵐の悲鳴が響き渡ったのだ。
『やっぱり…あの
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第97話「急転直下です!!」
此処で一旦、物語の時間を巻き戻す。
黒森峰女学園戦車道チームの追撃を振り切って川を渡り、新たな戦場を目指してひた走る私達・大洗女子学園戦車道チーム。
其の道中、私達は渓谷内に在る……
「
と書かれた石橋の前に集結し、別行動中の“
「
と身も蓋も無いツッコミをカマして来た為、私も……
『抑々、橋の正式な名前も「ルーデンドルフ橋」*4だもんね』
と返したら、チームの副操縦手・長沢 良恵が「其れって、いい加減な命名だよね……」と話し掛けて来た処へチームの操縦手・萩岡 菫が……
「元ネタの橋は第2次世界大戦末期に崩落して以降再建されていないから、現地には両岸の橋桁しか残っていないんだよ*5」
と説明した処、良恵が……
「あっ、其の橋を舞台にした映画なら“
と答えたので、舞も笑顔で頷いた時……
「御待たせ~♪」
漸く現場に到着した“
『あれっ?』
何故か“
『ナカジマ先輩、又トラブルですか?』
と伝えた処、彼女から……
「いや、そうじゃないんだけど…まあ、先に橋を渡ってから様子を見てよ♪」
との返信が来た為、私は“一体、何をする気なのかな?”と不思議がり乍らも先に橋を渡って“
此の後、私達は彼女達による“トンでも無い行動”を目撃する事となる。
斯くして橋を渡り始めた“
「此処が腕の見せ所!」
と叫んでからレバーを操作した時、ポルシェティーガーの後部から甲高いモーター音が力強く響いたかと思った途端、最大戦闘重量59tとは思えない程のウイリー&加速で一気に「玲萬言橋」を渡り出した!
『え…ええっ!?』
橋を渡り切ってから直ぐ近くの場所で様子を見ていた私は“レオポンさんチーム” のポルシェティーガーが急加速して橋を渡り切った
其処へ砲手席から様子を見ていた
「見事に橋が崩落したわね♪」
と“レオポンさん”が
更に操縦席に座って居る菫も
「今の…まるで“風の●のナ●シカ”の1シーンみたい!」
すると私が居る車長用キューポラの隣に在る装填手用ハッチから身を乗り出して外を見ていた舞が車内無線を使って「ト●メキアの突撃砲が●の谷の石橋を走って壊す場面だね!*7」と言った途端、私を含めた“ニワトリさんチーム”全員が大声で……
「『其れだ!』」
と“
「原園さん…未だ動き出していないけれど、大丈夫?もしかして“ニワトリさん”にトラブルが起きたの?」
と西住隊長が心配気な声で問い掛けて来た為、大慌てになった私は『御免なさい隊長!直ちに隊列へ復帰します!』と謝罪の返信をしてから、皆に『直ちに此の場から離れて隊列に戻るよ!』と号令を下す破目になったのでした…まあ、あれはアレで面白かったなあ(苦笑)。
一方、「玲萬言橋」から若干離れた林の中で大洗女子の動きを探っていた黒森峰女学園戦車道チーム所属・Ⅲ号戦車J型の車長・勝矢 メグから「橋が崩落しました!大洗女子の
「橋が!?」
と叫んだが、直ぐ冷静さを取り戻すと「分かった。橋は迂回して追う!御前は先回りしろ!」と指示を出した後、心の中で……
「橋を渡っていると聞いた時は“戦ってるより逃げてる方が多いんじゃないの?”と思っていたけれど、本当は時間稼ぎがみほの狙いだったのね!」
と“実は見当違いの推測”をしていた…前述の通り、玲萬言橋の破壊を思い付いた人物はみほでは無く“
其の時、エリカ副隊長の補佐を務める1年生・五代 百代が、彼女にしては珍しく慌て声で……
「副隊長、橋を迂回した場合、約30分は余計に掛かります!」
と無線を通じて叫んだのを聞いたエリカは天を仰ぎ、隊長の西住 まほは険しい表情を浮かべつつ、心の中で……
「やはり、此処は“
と呟いた後、無線で“
「エマ、今の通信は聞いたな?此れから我々が市街地に到着する迄の間、そっちとメグのⅢ号で大洗の足止めを頼む!」
「良かった、原園さん。橋を渡った後、“
『御免なさい。実は“
「玲萬言橋」を渡った後、私達は“新たな戦場”である試合フィールド内の市街地跡目指して山道をひた走っている。
そんな中、私達“ニ
「そうだね。私もあれには驚いちゃった」
と答えた為、私も『はい』と同意した後、ふと
『其れより隊長…有難う御座います』
其の言葉を聞いた隊長が「えっ?」と戸惑いの声を上げたのを聞いた私は、隊長へ向けて“今抱いている気持ち”を伝える事にした。
『私、隊長と一緒に“
「原園さん……」
『
「うん」
『同時に、
「……」
其処で、隊長が心配気な表情で話を聞いて居るのに気付いた私は明るい声で、こう語り続けた。
『そして、私は隊長が“ウサギさんチーム”を助けに行く姿を見た時に見付けました…“自分だけの戦車道*8”を』
其処で一旦言葉を区切ると、私は笑顔を浮かべつつ、こう告げた。
『“戦車道は皆で楽しんで、皆が仲良くなって、そして皆が幸せになる為にやるものなんだ”って…此れが私にとっての戦車道です!』
其れに対して、隊長は私に向かって微笑むと「原園さん、私もそう思う」と答えた為、私も『はい』と答えた後、こう続けた。
『だから戦車道で誰かが犠牲になるのは、生死を問わずどんな形であれ絶対にダメだと思います…そうなったら、必ず誰かが悲しむから』
其の言葉に隊長が頷くのを見た私は“此の試合で自分がやり遂げたい事”を宣言した。
『此の試合で私は其の事を皆に伝えたい…特に“犠牲なくして、大きな勝利を得る事は出来ないのです”と言う教えに、今も縛られている黒森峰や西住流の人達に!』
其れに対して隊長が笑顔を見せ乍ら明るい声で「そうだね、原園さん!」と答えたのを聞いた私が彼女に向けて頷いた直後、操縦席に居る菫から……
「嵐ちゃん、舗装路に出たよ!」
との無線連絡が来た為、私も“
「何とか、時間が稼げた…此れで市街戦に持ち込める!」
と告げられたので、私も元気一杯の声で……
『任せて下さい!市街地に入れば接近戦になるから、火力や装甲の差が無くなる筈……』
と話し掛けた時、突然目の前に在る団地の角から“黒森峰の戦車らしき車体”が火砲を此方へ向けている姿を目撃した隊長と私が同時に……
「『あっ!』」
と叫んだ途端“
「…つか、一目で戦車の種類が分かっちゃう私って、如何なの?」
との武部先輩からのぼやきが無線に入って来た為、私は苦笑いを浮かべつつ、先輩へ説明する事にした。
『武部先輩、黒森峰のⅢ号戦車は大抵J型ですよ。公式戦には必ず1輌は偵察や警戒任務で出て来るのです』
処が、其処へ
「其れと武部先輩。一目で戦車の種類が分かる様になったら、
『ぶっ!?』
「“
と責め立てて来た為、気を取り直した私も……
『そうだよ“
と告げた処、流石の瑞希も“自分の発言は不味かった”事に気付いて「あの…武部先輩、済みません」と謝罪した為、武部先輩も真面目な声で……
「宜しい」
と答えて“試合中の一触即発な事態”は
すると西住隊長が無線で各車へ向けて……
「Ⅲ号なら突破出来ます。後続が来る前に撃破しましょう!」
と指示を出した為、各チーム車長も……
「「はいっ!」」
と応答して、単独行動中の黒森峰のⅢ号戦車J型を追撃するべく急加速しつつ市街地跡の団地街へ突入して行ったのだが、私は無線で『了解』と応答しつつも……
『でも、妙だな?』
と呟き乍ら“黒森峰のⅢ号戦車J型の行動の意図”について“違和感”を感じていた。
事実、黒森峰のⅢ号は追撃する私達からの走行間射撃を巧みなジグザグ走行で回避し乍ら逃げ回っており、其の動きには“意図的な誘い”を仕掛けている様な印象が感じられた。
更に、操縦手の菫からも……
「そうだね。Ⅲ号は団地の角から出て来た時に砲撃をしなかったし、其の後も単独で逃げ回るなんて“何時もの黒森峰の戦車道”とは一寸違うよね?」
彼女からの的確な指摘に対して、私も『うん』と応答しつつ“確かに偵察や連絡が主任務のⅢ号だからとは言え、集団行動が基本の黒森峰が単独行動を許すのは、何らかの意図が有るとしか思えない”と考えつつも相手の意図を読み切れずに不安を抱いて居た時、私の隣に居た装填手の舞から報告が来た。
「嵐ちゃん…実は黒森峰の戦車の事で、一寸変な事が分かったんだけど?」
『言ってみて』
「私、試合開始からずっと黒森峰の戦車の数をチェックしていたんだけど…黒森峰には既に撃破された4輌を含めて20輌の戦車が居る筈なのに、未だ1輌だけ姿を見せていないんだ」
其の報告を聞いた私が『成程……』と呟き乍ら考えを巡らせていると菫が……
「でも、其れって黒森峰は此処迄全力を出して来なかったって事!?」
と驚きの声を上げた直後、瑞希が首を横に振り乍ら……
「いや…Ⅲ号戦車の動きを見ていると、此の先の交差点の何処かに罠を仕掛けている感じがするわ。多分、交差点の角で待ち伏せている戦車が居る筈よ」
と自らの推理を披露したのに対して、此処迄の話を聞いて居た良恵が不思議そうな声で……
「でも黒森峰の本隊は橋を迂回している筈だから、未だ此処には来ていないんですよね?」
と問い掛けて来た為、私も頭を捻り乍ら……
『そうだよ…だから相手の意図が分からないんだ』
と返答した処、良恵も頷き乍ら……
「確かに、仮に待ち伏せているとしたら其処に居るのは1輌の戦車だけ…其れって意味が有るのですか?」
と疑念の声を上げたのに対して、瑞希も「そうね…確かに、待ち伏せにしては数が少な過ぎるわ」と指摘すると、良恵は少しだけ考える素振りを見せた後、こんな問い掛けを発したのだ。
「もしかして、黒森峰には高地の戦いに出て来た
其の直後、話を聞いて居た瑞希・菫・舞が黙り込む中、考えを巡らせていた私が良恵の問いに答えようとした時……
『其れは…あっ!』
私の脳裏に“過去の光景”が鮮明に浮かび上がって来た。
「嵐~♪御母さんはね、黒森峰高等部3年の学園祭の時に“
其れは、私が未だ保育園児だったある秋の日の出来事。
自宅で夕食を終えた後、炊事を終えた母・明美が私と父・直之に向けて“黒森峰女学園・高等部時代の自慢話”を披露する中で“聞いただけでは信じ難い話”を始めたのだ。
其の為、私は大声で……
『嘘吐き!』
と叫んで母を糾弾した処、母と仲が良かった父も疑い深い声で……
「明美…其れ本当なのか?」
と問い掛けたら、母は何故か涙目を浮かべつつ……
「嘘じゃ無いわよ!夏休みの後、黒森峰機甲科の仲間達と一緒に“あの戦車”をレストアしたんだから!」
と反論したが、私は以前から母の事を“胡散臭い話しかしない”と思っていたので……
『幾ら何でも、其れはオカシイよ』
と言い返したら、父も頷き乍ら……
「明美…悪いけど、俺も信じられない」
と私の味方をした為、母は悲し気な声で……
「え~っ!直之さんも信じてくれないの!?」
と叫んだ処、父は真面目な声で……
「だって“
と指摘した為、母は「分かったわよ!じゃあ高等部時代のアルバムから証拠写真を見せるから!」と叫んだ後、一旦自分の部屋へ行ってからアルバムを持って来て私達に“証拠写真”を見せた処、私と父は顔色を一変させた。
『あっ…本当に“
「驚いた…本当に
すると母は大袈裟な声で「えっへん!」と喋ると、当時の事情を語り出した。
「戦車道全国高校生大会3連覇を成し遂げた年の夏休みの登校日に、黒森峰機甲科の全員で倉庫整理をやって居た時、私が倉庫の隅で埃を被っていた“
其の話を聞かされた私と父は“信じられない事実”の前に呆気に取られていた……
そして今、全てを思い出した私は、叫び声を聞かされて驚いている良恵や瑞希・菫・舞に向かって再び叫んだ。
『私…分かっちゃった。“黒森峰・最後の戦車”の正体が!』
其の叫びに仲間達全員が「「えっ!?」」と叫び返す中、私が正面に視線を向けると…其処には、団地街の交差点を渡り切った直後に突然停車した黒森峰のⅢ号戦車J型の姿が。
そして、私の目の前に停車している“
『“ニワトリさん”より全車、直ちに前方のⅢ号戦車から離れろ!交差点で待ち伏せている“
其の直後…凄まじい地響きが響く中、交差点の左側から余りにも巨大な重戦車がバックで現れた。
其の姿を見た私は“両親との思い出”と“絶望的な現実”が頭の中で入り混じった状態で、再び絶叫したのだ。
『やっぱり…あの
試合会場内に嵐の絶叫が響いた時、会場内の外れで其の声を聞いた嵐の母・原園 明美は鬼の様な形相でしほの胸倉を掴むと……
「“
と叫んだ為、其の態度と声に怯んだしほは「如何した明美!落ち着け!」と叫び返した処、明美は恨めし気な声でこう問い掛けて来た。
「黒森峰高等部の卒業式当日、私は機甲科卒業生全員を代表して“
それに対して、しほは当時を思い出して「其れなら、勿論……」と答え掛けた処で“心当たり”がある事に気付いて「あっ!」と叫び、同じ事に気付いた長門も「まさか!?」と2人に向けて問い掛けた処、明美が「やっぱり!」と叫んだ後、こう続けたのだ。
「あの時“
其の最中、彼女達の口論に取り残された格好の冷泉 久子が「鷹代ちゃん、私には話が見えて来ないんだけど、何やらトンでも無い事になっているみたいだね?」と問い掛けた処、彼女は鷹代が上の空で一言呟いたのを聞いた。
「まさか、以前明美さんが言っていた……」
其処へ元・アンツィオ高OGの大姫 龍江が血相を変えて「“あの超重戦車のレストア・マニュアル”か!?」叫んだのを聞いたしほと鷹代が黙って頷くと長門が真っ青な顔になって「何て事を!」と叫んだ後……
「あの“超重戦車”は私達が高等部3年の時の学園祭で走らせる為だけにレストアした代物で、実際学園祭ではデモ走行に成功した代わりに学園艦の運動場の土が酷く掘り返されたので、私達は学園祭後に先生方からこっ酷く叱られた後、機甲科の倉庫に封印された筈だぞ!」
と、しほに向かって問い詰める中、龍江が彼女へ向けて……
「其の後“
と尋ねた処、しほは今度こそ観念した表情と声で「黙っていて済まなかった!」と叫んで頭を下げた後“事の真相”を告白したのである。
「実は1年半程前、富永PTA会長が“勝つ為に必要だ”と言って、其のマニュアルを預けて欲しいと頼まれて渡していた。マニュアル自体は此の決勝戦の直前に返して貰ったのだが、其の時に“レストアの費用は莫大な金額になっている筈だが、一体何処から調達したのか”と聞いた処“其れを知る必要は有りません*10”と釘を刺されたのだ」
其れに対して、鷹代が「じゃあ、其の“超重戦車”の正体は、やっぱり
「そうよ…フェルディナント・ポルシェ博士が“
と前置きすると、其の言葉の意味が分からず頭を傾げている久子を除く全員が苦い表情を浮かべる中、明美は絶叫した!
「其の名も“
其の直後、激しい砲撃が試合会場内に設置されたスピーカーから轟いた……
(第97話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第97話をお送りしました。
遂に語られた、富永・黒森峰PTA会長の“陰謀”の中身。
其の最終目的は“戦車道全国高校生大会を利用した西住流の乗っ取り”だった!
其れと同時に、富永はみほ殿も毒牙に掛ける心算だった事も発覚!
しかし、みほ殿が大洗女子学園へ転校した事を知った富永は、大洗女子の廃校を画策していた役人の不正を揉み消す代わりに、彼を利用して大洗女子を戦車道全国高校生大会へ出場させ、強豪校相手に惨敗する事でみほ殿に大恥を掻かせる事を考え付く。
更に、其の責任を母親のしほに被せた上で次期西住流家元候補から彼女を降ろし、其の後釜に富永の息の掛った人物を据えると言う、極めて卑劣な策謀を進めていたのだった。
そして、其の策謀の“最後の切り札”が、かつて高等部時代の明美が中心となってレストア走行に成功した事の有る“超重戦車・マウス”の復活だった!
かくして、余りにも卑劣な策謀に巻き込まれた大洗女子の運命は!?
と言う訳で次回、大洗女子の前に立ち塞がったマウスの姿を見た嵐が……
其れでは、次回をお楽しみに。