戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
本編100話が目前と言う中、遂にマウス撃破作戦発動で御座います。
えっ、もうオチは見えているって?
いえいえ、原作とは少々違う角度から語りますので、騙されたと思って読んで下さいまし。
特に今回は序盤の瑞希の台詞が「私が原作第12話のマウス撃破作戦を見た時、心の中で思い浮かべたある漫画の台詞」からのオマージュになっておりますので、気になる方はチェックしてみて下さいませ…尚、正解は後書きで解説しております。
其れでは、どうぞ。
「“
試合会場・観客席の外れで試合を観戦して居た原園 明美が黒森峰高等部時代からの親友・西住 しほに掴み掛ると観客席前の超巨大モニターに映し出されている黒森峰女学園の最終兵器“超重戦車マウス”を指差し乍ら叱り飛ばしたのに対して、しほは慌て声で「待て“
「私は富永PTA会長に『マウスを出す必要は無い』と言ったんだ!」
と釈明したが、明美は「でも、
「喰らえ、アイアン・クロー!」
「待て!“
明美によるプロレス技を喰らって悶絶するしほの叫び声を余所に、彼女達の高校時代からの親友・大姫 龍江が何時もの関西弁で「アンタら、ホンマに黒森峰時代から変わらんなー♪」と御道化て居る中、此方は真面目キャラで通っている明美としほの親友・周防 長門が慌て声で……
「明美、落ち着け!高等部時代の喧嘩じゃ無いんだぞ!」
と明美を止めようとしたが、彼女は赤鬼の様な形相で……
「落ち着いて居られる訳が無いでしょ!マウスを撃破出来る火力の無い大洗女子に勝機はもう……」
と叫び返していた中、突然黙り込むと視線を観客席前の超大型モニターに移してから、一言。
「あら?」
と、先程迄とは打って変わった冷静な声に意表を突かれたしほと長門が口を揃えて「「今度は何が有った!?」」と叫んだ処、当人は何時もの
「フラグが立ったわね♪」
と告げた為、彼女と一緒に超大型モニターを見ていた冷泉 久代が「あの“鼠”とか言うデカイ戦車が団地から出て来たね」と答えた処、明美がウインクを送る。
其れに対して、久子の隣で試合を観戦して居た原園 鷹代も微笑み乍ら試合の潮目が変わり出した事を明美達に告げた。
「黒森峰のマウスの車長、勝ち急ぐ余りに欲を掻いたみたいだね。みほちゃん達大洗女子を追って街の大通りに出ちゃったよ」
すると長門も頷き乍ら「あの儘、団地の中でみほちゃん達大洗女子の戦車隊を釘付けにしていれば、まほの率いる黒森峰本隊が来て、其処から黒森峰は力押しの展開に持ち込める筈だったが……」と告げた処、其の言葉の意味に気付いたしほがハッとなる中、明美は微笑み乍ら、こう呟いた。
「如何やら運命の女神はみほさん達に微笑みそうだわ…其れに、さっきモニターに映っていたみほさんの表情を見た?どうやら彼女は“マウスを撃破する手段を見出した”みたいね」
其の言葉に衝撃を受けたしほが「何!?」と叫んだのに対して、明美は不敵な表情を浮かべつつ、こう告げたのだ。
「流石に、如何やってマウスを撃破するのか迄は分からないけれど、此処から先は見逃せないと思うわよ」
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第99話「此れが戦車道の王道です!!」
「“カメさん”・“アヒルさん”、少々無茶な作戦ですが、今から指示通りに動いて下さい!」
無線機から入って来る西住 みほ隊長の指示に対して “
「分かりました!」
と返信したのに続いて“
「何でもするよ!」
と答えたのに対して、西住隊長は済まなそうな声で「一寸負担を掛けてしまいますが……」と語った処“
「今更何だ、良いから早く言え!」
と叫んだ為、西住隊長は私達・大洗女子学園戦車道チームメンバー全員に“超重戦車マウス撃破作戦”の概要を伝えた。
其の後、私・原園 嵐率いる“
「全く、トンでも無い隊長さんに巡り合っちゃったなぁ。此の作戦、
と軽口を叩いたのに対して私が一声掛けようとした時、瑞希は不敵な笑みを私に向けて浮かべ乍ら、こう言い切った。
「だけど…面白いわ!」
其の言葉に私だけで無く、チームメンバーの萩岡 菫・二階堂 舞・長沢 良恵も呆気に取られている中、瑞希は平然とした声で……
「皆、面白いってのは大事な事よ♪」
と語った後、再び不敵な笑みを浮かべ乍らこう宣言したのだ。
「明美さんだって何時も『戦車道は楽しくてナンボ』って言っていたじゃん。だから私は今日迄戦車道を続けて来れた…よしっ、やったろうじゃない!」
其処で私は「瑞希、有難う。御陰でマウスに出会った時に思い出した“
「此の試合、絶対に勝って西住隊長や大洗の仲間達と一緒に戦車道を続けよう!」
其の叫びを聞いた瑞希・菫・舞・良恵は私と共に頷き合うと全員で……
「「オーッ!」」
と気勢を上げたのだった。
「団地街跡の大通りに出た黒森峰の超重戦車マウスの左側に在る道路から、大洗女子の戦車7輌が2列横隊で立ち向かう様です…あっ、マウスも大洗女子の戦車隊が居るのに気付いて車体を左旋回させました!」
試合会場で超大型モニターを眺め乍ら緊張感を持って試合を見守る観客やTVの実況中継を見ている視聴者の耳に、首都テレビの実況席から加登川 幸太アナウンサーの鋭い声が飛び込んで来た直後。
団地街跡の大通りに在る上下4車線道路で向き合って居た黒森峰女学園戦車道チームの超重戦車マウスと大洗女子学園戦車道チームの残存戦車7輌が一斉に前進を開始した処、マウスが行き成り55口径128㎜戦車砲を発射した!
だが、大洗女子側は其の攻撃を読んでいたかの様に
其の車内では、桃が“西住 みほ隊長からの作戦内容”を思い出しつつ愕然とした声で……
「まさか、こんな作戦とは……」
とボヤくと操縦手兼親友の小山 柚子が彼女を励ます様に……
「やるしか無いよ、桃ちゃん!」
と叫んだ処、会長が何時もの楽天的な調子で「燃えるねー♪」と語る中、チームの車長で有る1年生・名取 佐智子は心の中で……
「やっぱり西住隊長は凄い…マウスの128㎜砲は弾薬の重量が重過ぎるから弾頭と薬莢部が分離した構造になっているので発射速度が遅い。だから1発目の砲撃を
(只、佐智子は知らなかったが、マウスは128㎜砲の発射速度の遅さをカバーする為に36.5口径75㎜砲を副砲として装備しているが、黒森峰のマウスは登場してから一度も75㎜砲を撃っていなかった為、みほは「戦車道では弾薬搭載量の制限が有る事を考慮して、黒森峰のマウスは75㎜砲の砲弾を積んでいない筈」と見抜いて作戦を立てていたのである…そして、みほの考えは正解だった*1)
と呟きつつ大声で……
「目標・マウス迄300m!会長は砲を最大俯角に!」と叫んでから……
「先輩方、
と絶叫した直後!
“ガチャーン!”
周囲に衝撃的な轟音が響き渡る中、観客席の外れで御茶会をして居た聖グロリアーナ女学院戦車道チームでは1年生のオレンジペコが“大洗女子の
「あっ!?」
と叫び、観客席でも一斉に「「ああっ!?」」と悲鳴が上がる中、其の外れに居たプラウダ高校戦車道チーム隊長・カチューシャは副隊長のノンナに肩車をして貰い乍ら意表を突かれた様な驚きの声で……
「まあ!?」
と叫んだ為、隣に居たボンプル高校戦車道チーム隊長・ヤイカは憮然とした表情で彼女の声を聞いて居たものの、心の中では……
「おかしい…マウスに体当たりをするだけでは意味が無い。と言う事は、大洗は此の後に何か仕掛けて来るのか!?」
と思ったのだが…彼女の考えは間も無く的中する事になる。
「何だ!?」
突然、愛車である超重戦車マウスを襲った衝撃に驚愕した黒森峰女学園戦車道チームの戦車長・飛騨 エマが鋭く叫んだ処、マウスの操縦手が……
「大洗のヘッツァーが正面から突っ込んだ!」
と答え、続いて砲手が「大洗の戦車が周囲を包囲している!」と叫んで一気に車内の緊迫感が増した時“
「撃ってみやがれ、おりゃー!」
と気合の入った叫び声と共に37㎜砲と同軸の7.62㎜機関銃をマウスの砲塔側面に撃ち込む!
勿論、機関銃程度でマウスが撃破される訳は無いが、今のマウスは突っ込んで来たヘッツァーの所為で身動きが取れない為、小癪なM3中戦車リーとポルシェティーガー・
「来た、来た~♪」
と思惑通りの展開を見て嬉し気に叫ぶと操縦手の阪口 桂利奈もノリノリの声で「逃げろ~!」と叫び乍ら其の場から離れた結果、マウスの攻撃は何の効果も無く地面を掘り返すだけの結果に終わったが、其処へ!
「さあ、行くよ!」
車長兼チームリーダーである典子の号令と共にマウスの前に現れた“アヒルさんチーム”の八九式中戦車甲型が勢い良く突入しつつ、チームメンバーであるバレー部全員が……
「「はいっ、そーれっ!」」
と此れ又気合の入った声で叫ぶと同時に、マウスの車体に食い込んだ状態になった“カメさんチーム”のヘッツァーの後部車体(しかも都合の良い事に、此の部分は緩やかな傾斜になっていた)を一気に登り切ってマウスの車体前面部迄登った後、非常に器用な操縦で場所の微調整を
其れは、まるでプロレスや格闘技で言う所の「関節技を極めた」様な状態だった。
其の早業を見せられた黒森峰・マウス車長のエマは驚愕の余り……
「あっ…まさか、ヘッツァーを踏み台にしたぁ!?」
とまるで“何処かの黒い
「此れじゃあ、何も出来ません!せめて八九式を排除しないと!」
と叫んだ時 “
斯くして作戦の準備段階が成功したと知ったみほは典子へ「了解!頑張って何とか踏み止まって下さい!」と告げると愛車であるⅣ号戦車H型仕様を急発進させる。
其の最中、
「おいっ、
と怒鳴ったが、其の様子を砲塔内の視察窓から見ていた典子は憮然とした声で「嫌です」と答えた後……
「其れに八九式は
と返した上、砲手の佐々木 あけびも「
「糞っ、振り落としてやる!このーっ!」
と叫んでマウスの車内へ戻ると自車の砲塔を旋回させたのに対して、
首都テレビの実況席では、其の様子を実況担当の加登川アナウンサーが丁寧な声で……
「此処でマウスの砲塔と八九式が腕相撲…いえ、
と述べた処、解説担当の吉山 和則が“意外な事”を語る。
「でも、さっきのマウスと八九式の乗員の問答で思い出したのですが、実を言うと大洗女子が使っている八九式、日本陸軍に制式採用された当時は“
此の発言に、ゲストの“トライアドプリムス”
「簡単に言うと八九式が昭和4年に制式化された当時の日本陸軍には“軽戦車と重戦車”と言う区分が有るだけで“中戦車”と言う区分は無かった為、八九式は軽戦車と呼ばれていたのですが、後により軽くて機動性も高い九五式軽戦車*2が開発された影響も有って昭和10年5月31日に中戦車へ呼び変えられたのです*3」
と解説した為、実況席に居た加登川アナウンサーやゲストの“トライアドプリムス”メンバーが頷き合っていた時、実況席に居るもう1人の解説者・斎森 伸之が緊迫した声で……
「加登川さん、黒森峰のマウスを足止めしている
と叫んだ為、
此の時“
「マウスは例外なのかもね♪」
と言った為、頭に来た佐智子は「な訳無いでしょ!」とツッコんだ後……
「188トンもあるマウスとの重量差に耐えられなくなっているんです!」
と叫んでから、無線で「西住隊長、早く助けてー!」と絶叫するのだった。
勿論、佐智子からの悲鳴を聞いたみほは小さく頷くと愛車・Ⅳ号戦車H型仕様の車長用キューポラから身を乗り出して前方を見詰める…既に彼女達のⅣ号は4車線道路の進行方向右側に在る土手を斜めに登った後、何と土手の斜面へ強引に停車し、其処からマウスの後部を狙撃出来る態勢を整えたのだ。
其のアクロバティックな動きを見た観客から「「ウォー!」」とのどよめきが上がる中、みほは砲手の華へ向けて……
「後ろのスリットを狙って下さい!」
と叫ぶと華も覚悟を決めた声で「はい!」と答える!
こうして緊迫感が高まる中、マウスに潰される危機に在る“
「もう駄目だー!」
と絶叫し、柚子も「もう持ち堪えられない!」と叫ぶ中、覚悟を決めたかの様な表情で無言になっている会長の姿を見た佐智子が“会長が何も言わないと言う事は、今度こそ本当に危ない!”と悟って無線で……
「西住隊長、早く!」
と大声を上げた時、黒森峰のマウスの砲塔部と押し合いへし合いをやっていた “
「根性で押せー!」
と叫ぶと隣で彼女と一緒に八九式の砲塔内部の壁を押しているあけびも「はい!」と答え、操縦手の河西 忍迄が気合を入れてマウスの砲塔の動きを止めるべく操縦用レバーを押し込んでいる中、通信手の近藤 妙子が……
「気持ちは分かるけど、意味無いですから!」
と正しい指摘だが、ある意味では“身も蓋も無いツッコミ”をカマしていた…しかし、敢えて言おう!
彼女達・アヒルさんチームの“根性”は決して無駄では無かったと!(えっ?)
何故なら、此の直後にみほが……
「撃て!」
と叫ぶと同時に華が放ったⅣ号の75㎜徹甲弾がマウスの後部車体スリット部を直撃し、其の下に在った駆動用電動モーター*4を破壊すると其処から激しい爆炎が吹き上がったのだ。
其の光景に試合会場内の観客席が息を飲んだ直後…マウスから白旗が揚がり、大洗女子側の観客席からは大歓声が上がった!
中でも華の母・百合の使用人である進三郎が「奥様、御嬢がやりました!」と絶叫し、百合の隣に座って居た優花里の父・淳五郎も興奮気味に観客席正面の超大型モニターに映し出されている実況映像をカメラで何枚も撮影している中、観客席からは……
「マジで、あの
「凄い!私達皆諦めていたのに、本当にあの悪魔みたいな超重戦車をやっつけたわ!」
「もう恐い物は無い!こうなったら一気に優勝迄突き進め!」
との歓声が上がる中、大洗女子学園の応援席では
「「西住隊長と大洗女子の皆、行けーっ!」」
と声を限りに声援を送り出し、更には“大洗のアイドル”磯前 那珂が彼女の両親が勤めている“児童養護施設”で暮らしている子供達と一緒に……
「「大洗女子の御姉ちゃん達、頑張れーっ!」」
と絶叫し、其れに一般客達も呼応して大声援を送り出した。
其の声援を観客席の外れで御茶会をし乍ら聞いて居る聖グロリアーナ女学院戦車道チームでは1年生のオレンジペコが興奮気味の声で「凄い!マウスを仕留めました!」と隣に座るダージリン隊長へ語ると、当人も目を見開きつつ……
「私達も今度やろうかしら…Mk.Ⅵで」
と語った為、オレンジペコの隣に座って居たアンツィオ高校1年生の
「えっ…八九式中戦車の半分足らずの重量しか無い
一方、其処から更に離れた場所では試合を観戦して居た大人達の内、先ず“みほによるマウス撃破作戦の全貌”に気付いた明美が……
「そうか…“トップアタック”!」
と叫び乍ら親友・しほの後ろに忍び寄ると首目掛けてスリーパーホールドを仕掛けた為、頸動脈を締め上げられたしほは「オイ…マジで必殺技は止めろ!ギブだギブ!」と呻き声を上げる中、其の様子を見た長門が呆れ声で……
「明美…気持ちは分かるが、しほの首を絞めるのは止めて、みほちゃんが立てたマウス撃破作戦の説明をしてくれないか?」
と言い返した処、明美はニヤリと笑い乍らしほの首から腕を放すと「“
「西住流の戦車道にどっぷりハマっているしほには分からんやろうけど、火力が弱い弱小校の場合、強豪校の重戦車を倒す為には“
此れに対して、しほが苦い声で「うっ……」と口籠った処、此処迄の話を聞いて居た冷泉 麻子の祖母・久子が「鷹代さん、さっき明美さんが言った“トップアタック”とは何か、私にも分かる様に説明してくれないかい?」と問い掛けた為、彼女の隣に居た元・陸上自衛隊陸将・原園 鷹代は笑顔で頷いた後「ああ。其れはね……」と前置きしてから、久子の問いに答えたのである。
戦車の防御力の要である装甲板は、上下左右全てがぶ厚い訳じゃ無い。
仮にそんな戦車が有ったとすれば余りにも重くなり過ぎて、動く事さえ出来ないだろうね…実際、あの超重戦車マウスも実戦では188tもの重量が災いしてマトモに動けなかったって言われている位だからね。
其の為、戦車の装甲板は相手の戦車砲弾が命中する確率が高い砲塔と車体正面が一番ぶ厚く作られていて、次いで車体と砲塔の左右側面・車体と砲塔の後面・車体の下面と続くにつれて厚みが薄くなって行き、最後に残った車体や砲塔の上面の装甲板が一番薄くなっているんだよ。
すると話を聞いて居た久子が頷き乍ら「成程。つまり相手の攻撃が命中する確率が低くなる場所程装甲板の厚みを薄くする事で、戦車は其の重量を軽く出来る様に設計されている訳だね…只、何故車体の上部よりも下部の装甲板がぶ厚く出来ているんだい?」と問い掛けた処、今度は龍江が微笑み乍ら、こう説明した。
「其れはなあ…戦車道では無視されがちなんやけど、車体下部の装甲板は実際の戦闘で使う対戦車地雷の爆発に耐える防御力が必要やから、ある程度の厚みが必要なんや。そして砲弾が直接照準では先ず当たらない車体や砲塔上面の装甲板はぶ厚くしても意味無いから、結果的に一番薄く作るしか無いんや」
其れに対して久子が「成程。勉強になるね」と答えた処、長門がこう付け加えた。
「だからこそ、戦車にとっては車体や砲塔上面部の装甲板を直接狙える航空機が昔から最大の天敵とされて来たし、最近の対戦車ミサイルや攻撃用ドローンでは発射直後意図的に上昇飛行してから目標の手前で急降下して相手戦車の砲塔や車体上面を狙い撃ち出来る様に作られた物が有る…此の攻撃方法を軍事用語では“トップアタック”と呼んでいるんだ*6」
すると久子は驚きの声で……
「じゃあ…みほさんが乗った戦車が土手からマウスの後部に在った隙間(後部車体スリット部)を狙い撃ちしたのも其れと同じ理由かい!
と語り乍ら感嘆する中、明美が笑顔で「其の通り!」と答えた後……
「しかも、みほさんは此の“トップアタック”を決める為、
と語ってから、こう続ける。
「でもね、今の黒森峰の様に“強力な重戦車を集めて力で相手を踏み潰す”戦車道なんて素人以下の発想で何の面白味も無いわ!」
其の主張にしほが「くっ!」と苦虫を嚙み潰す様な声を上げる中、明美は話し続ける。
「其れに対して、みほさんの戦車道は見た目こそ突飛かも知れないけれど、実は“知恵と緻密な戦術に支えられたリーダーシップとチームの団結力で限り有る力を最大限に発揮する事によって強敵と渡り合う”と言う“本当の戦車道の戦い方”を此れ以上無く表現しているわ」
そして、明美は此れ以上無い笑顔で話を締め括った。
「私に言わせれば、みほさんの戦車道こそが“戦車道の王道”よ!」
勿論、此の言葉を聞かされたしほの表情が真っ青になって居たのは言う迄も無い。
(第99話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第99話をお送りしました。
今回はみほ殿達・大洗女子によるマウス撃破作戦をやや違う角度から書いてみた結果、かなりの長文になってしまいましたが、如何だったでしょうか。
実の処、あの作戦は見た目の奇策さとは裏腹に“強力な戦車の弱点=上面を狙い撃ちする”と言う“弱者による対戦車戦闘の王道”であり、決して邪道では無かったと言うのが自分の結論です。
実際、有力な対戦車火器を持たない側が対戦車戦闘をする時は少しでも戦車の弱点になりそうな場所を狙い撃ちするのが定番なのですが、実は其の中に「砲塔上面のキューポラから頭を出している戦車長の顔面を狙撃する」と言うのが有りまして…ええ、戦車道では反則ですが(爆笑)。
そして、此の作戦の前段階に当たる“マウスの動きをカメさんとアヒルさんで止める”作戦も色々と考えていたら緻密に出来ていて、嵐ちゃん達ニワトリさんチームが介入したらマウスの砲塔が八九式を振り落とす可能性に思い当たったので、手を加えられないと分かってしまったと言うオマケ付き…スゲエよ、ガルパンスタッフとみほ殿は(滝汗)。
因みに原作第12話を見た時、私は心の中で思い浮かべたある漫画の台詞は此れ。
…まったく、とんでもねえ野郎を拾っちまったなァ。
イカれてるとしか思えねえぜ。
だが面白え。
面白えってのは大事なことだぜ、ロック。
やったろうじゃねえか。
―「BLACK LAGOON」第1巻より(広江 礼威/サンデーGXコミックス)
ラグーン商会の元締め・ダッチの台詞からのオマージュを艦これの野分がモデルの瑞希が語ると言う点が一番笑う所(オイ)。
と言う訳で、次回は“フラフラ作戦”へと話は続きます。
其れでは、次回をお楽しみに。