戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
決勝戦もそろそろ終盤へ。
今回はタイトル通り、原作とは一味違う展開で参ります。
大洗女子対黒森峰の激戦は如何なって行くのか?
其れでは、どうぞ。
「此方エレファント、M3にやられました!」
其の凶報が大洗女子学園戦車道チームの隊長兼フラッグ車・
「しまった…市街地へ誘い込んでからの接近戦が、みほの狙いだったのね!」
と心の中で悔し気に呟いた後、無線で西住 まほ隊長へ呼び掛ける。
「隊長、此の儘では不味いです!一旦住宅地跡から離れるべきでは!?」
エリカは“零距離での戦闘だと彼我の火力や装甲の差が殆ど無くなる分、
「
と返信して来ただけだった。
此れにはエリカも反論出来なかったが、不安な気持ちを払拭出来ずに焦りを募らせる中、首都テレビの実況席では解説者の1人である戦車研究家・吉山 和則がヘッドホンで先程迄の無線交信を聞いた後、実況を担当する首都テレビアナウンサー・加登川 幸太へ向けて“意味深”な一言を告げる。
「黒森峰は大洗側フラッグ車の追跡に拘っている様ですが、大洗女子の狙いは正に其処かも知れませんよ!」
其れに対して、もう1人の解説者である戦車道解説者・斎森 伸之も「私もそう思います!」と告げて吉山の考えに同意する中、加登川アナウンサーは切れの良い声で……
「つまり大洗女子の西住 みほ隊長自身が囮になって、黒森峰の西住 まほ隊長のティーガーⅠ重戦車を誘い込んでいると?」
と問い掛けた時!
試合会場内の観客席に設置された超巨大モニターに“黒森峰側応援団にとっては信じ難い光景”が映し出されると同時に、場内アナウンスが“衝撃的な事実”を大音量で伝えて来た!
「黒森峰女学園・
斯くして、大洗女子による“猛攻”は最高潮に達して行く。
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第101話「アヒルさん&カバさんとニワトリさんチーム、黒森峰に襲い掛かります!!」
場内アナウンスから“衝撃的な事実”が告げられる数分前。
黒森峰女学園戦車道チームの
「大洗
彼女の
勿論ティーガーⅡも持ち前の重装甲で“
一方、大洗女子側では“
「よしっ!此の儘あの重戦車を挑発して、西住隊長の所へ行かせない様にしよう!」
と此の作戦の相棒である“
「だが、此の儘だとこっちがジリ貧だぞ?」
と返し、装填手兼チームリーダーであるカエサルも……
「火力も装甲も向こうが上だからな。下手をするとこっちが返り討ちにされるぞ?」
と諭したが、其処で典子が……
「其の事なんだけど、実は妙子が“地図を見ていて思い付いた事が有る”って……」
と語ってから“チームの通信手である近藤 妙子からのアイデア”を告げた処“
「「其れだ!」」
と叫んだ事で、妙子のアイデアは実行に移される事になったのだ。
其の直後、亜沙子の目前で八九式とⅢ突は二股の道から分かれて逃走した…因みに“カバさん=Ⅲ突”が右側で“アヒルさん=八九式”が左側である。
其処で、亜沙子は乗員に対して……
「Ⅲ突を追う!彼奴は砲塔が無いから、追い掛けているこっちは攻撃のし放題だ!」
と叫び乍ら右側へ突入したのだが、其処で突然“カバさん”のⅢ突のハッチからエルヴィンが顔を出すと発煙筒を亜沙子の
「あっ!アレは1回戦で私達と戦った時“
此の光景を見て、サンダース大付属高校戦車道チームの1年生エース候補・原 時雨が今大会で大洗女子と戦った時の事を思い出すと、彼女の隣に居るチームの副隊長でNo.3のアリサも……
「思い出した!アレで私達は酷い目に遭ったわ!」
と答えた処、同じく副隊長でチームNo.2のナオミが超大型モニターに映し出された映像に向けて指を指し乍ら鋭い声で……
「見ろ!其の隙に隣の路地を通っていた大洗の
と告げた処、今度は隊長のケイが「
「大洗のあの2チーム、しっかりユニゾンしているわ!此の状況、黒森峰にとっては
一方、亜沙子は同じ
「クソーッ!又、
と叫び、其れに対して操縦手が「何時の間にかⅢ突が居なくなってる!」と叫び返した時、突然彼女の目の前に大きな陸橋が見えた。
其れは廃線となった鉄道用線路を渡る形で架けられており、其の橋を
当然、其れを見た亜沙子は……
「待てーっ!地獄の底まで追い詰めてやる!」
と叫び乍ら、周辺警戒を怠った儘目前の陸橋を渡ってしまったが、実は此れこそが“アヒルさんチームの妙子が思い付いた作戦”の正体だった。
何故かと言うと…八九式を追い掛けるのに熱中し過ぎていた亜沙子は見落としていたのだが、陸橋の入り口には“赤丸の真ん中に青い文字で「25t」と書かれた標識”が設置されていた。
問題は其の標識の内容である。
其れは……
「重量制限・総重量25tを超える車輌は通行出来ません」
だったのだ!
因みに、黒森峰の
当然、此の陸橋を渡る事は出来ない。
其の結果“
「あ…あ~れ~!?」
斯くして…砲塔の中で悲鳴を上げる亜沙子を余所に彼女達の
幸い、亜沙子達はカーボンの内張りが張ってある車内に居た為に軽い打撲をした程度で済んだが、此れで亜沙子車は行動不能…そして白旗がひっくり返った状態の車体底部から掲げられたのである。
此の結果、黒森峰女学園戦車道チームはわずか20分足らずの間に4輌の戦車を失い、残存戦車数は10輌となった。
「西住隊長、此方“カバさん”。“アヒルさん”がティーガーⅡを陸橋から落とす罠に掛けて撃破。此れより我々は“ニワトリさん”の援護に向かう!」
「此方ティーガーⅡ2号車…申し訳有りません。陸橋から転落して行動不能です!」
試合会場内のスピーカーから両チームの無線交信が飛び交った直後、黒森峰女学園側の応援席は沈黙し、大洗女子学園側応援席では大歓声が轟き渡る中“大洗女子学園・中等部4人組”の面々がヒソヒソ話を始めていた。
「皆、思い切って“あの踊り”で先輩達を応援しようよ!」
と中等部4人組のリーダー格・武部 詩織が仲間達に告げると五十鈴 華恋が……
「良いんじゃない?西住先輩達も準決勝でやったし!」
と答えると、再び詩織が……
「うん!準決勝の時は西住先輩達の踊りで私達も勇気を貰ったから、今度は私達が勇気を贈る番だよ!」
と語った為、其の話を聞いた若狭 由良が驚きの声で……
「えっ…まさか“アレ”をやるの!?」
と詩織に問い掛けたが、其処へ鬼怒沢 光が元気の良い声で……
「大丈夫!
と“
「「じゃあ、皆で踊ろうか!」」
との返事が返って来た為、驚いた詩織・華恋・由良・光が後ろを振り返った処…其処には自分達と同じ制服を着た少女達が集まっていた。
其の結果、大洗女子学園側応援席の中央部に学園の中・高等部の生徒達が集まると即興で“大洗名物・あんこう踊り”を踊り始めたのだ!
其の姿を見た観客達のボルテージは急上昇し、踊る生徒達へ大歓声が響く中、何と……
「よーしっ!皆の為に那珂ちゃんも踊っちゃうんだから!」
と叫び乍ら彼女達の下へやって来た“大洗のアイドル”磯前 那珂ちゃんがあんこう踊りをキレキレの動きで踊り始めたから、観客達はおろか実況生中継を行っている首都テレビのカメラ迄が彼女の動きに注目すると、其の周りには……
「「私も踊る!大洗女子の御姉ちゃん達頑張れ!」」
「「僕も!」」
那珂ちゃんと一緒に試合を観戦している児童養護施設(那珂の両親の勤め先である)の子供達も一緒に踊り出した為、観客達や御茶の間でTV観戦中の視聴者は其の光景に釘付けになり乍ら……
「頑張れ、大洗女子学園!頑張れ、大洗女子応援団!」
と声援を送ったり、一緒に踊り出したり、果ては感動して涙を流したりで、試合会場内や全国の御茶の間は時ならぬ“あんこう踊り”で大フィーバーとなった。
此れには実況席の加登川アナウンサーも……
「今、大洗女子の応援が凄い事になっています!今や“大洗名物・あんこう踊り”で大洗女子の選手達や応援団の気持ちが一つになったと言っても良いでしょう!」
と感嘆の声を上げる中、実況のゲストである“トライアドプリムス”のメンバーから、先ず渋谷 凛が……
「私も今からあの応援席へ飛んで行きたい位、大洗の皆さんの応援が楽しいです!」
と答え、続いて神谷 奈緒も……
「私もです!飛び入りで“あんこう踊り”を踊る那珂ちゃんもキレキレの動きだし、周りに居る子供達や大洗女子の生徒達も楽しそうで、私も踊りたいな♪」
とコメントすると、北条 加蓮が御道化た声で……
「只、流石にピンクのタイツ姿で踊ったら駄目だと
と答えた後“準決勝の大洗女子対プラウダ高戦をTV観戦した時のエピソード*1”を語った処、実況席は当時の話で盛り上がり、其の直後からネット掲示板やSNSでは加蓮の発言が盛大にバズった挙句、一部の掲示板やSNSではサーバーがダウンする騒ぎになった。
一方、大洗女子応援団による“あんこう踊り”の勢いに圧倒された黒森峰女学園応援団の間からは……
「見ず知らずの一般人も多いのに、こんなに凄い応援をやるなんて!」
との思いが広がって行く中、試合中の黒森峰戦車道チームにも其の思いが伝染したのか、必死になって冷静さを保っていたエリカ副隊長が……
「なっ…安達先輩迄やられたの!? しかも八九式とⅢ突相手に!?」
と叫んだ為、西住 まほ隊長が「落ち着け、エリカ!
「エリカ、其処の十字路手前で急停止!」
と警告を発した為、エリカは驚き乍らも「はいっ!」と叫びつつ操縦士に停車を命じた結果、砲塔正面に……
「ガキーン!」
と徹甲弾が当たった事を示す鈍い金属音が響き渡った。
幸い、
「一体…誰が!?」
彼女の叫びに対して、ティーガーⅡの右隣りに並んだパンター中戦車G後期型を駆る副隊長補佐・五代 百代が75㎜砲を路地に向けて1発撃ち返した後、警告を発する。
「副隊長大丈夫ですか!? 今のは、
其の声を聞いたエリカが正面を見据えると…目前を通り過ぎる戦車と車長用キューポラから見えた“不敵な笑みを浮かべた赤毛の少女”の姿を見て、驚愕の呟きを発したのである。
「まさか!我々黒森峰の車列の中に
だが、其処へ彼女の呟きを無線で聞いた百代が“或る重大な事態”に気付く。
「しまった!此の間に、みほ先輩を追う
其の声に対して、エリカは「やられた!」と叫んだ後、こう続けたのだ。
「此れが、あの
だが、突然の戦車戦で動揺するエリカと百代達を翻弄するかの様に、大洗女子の“ニ
『流石はティーガーⅡ。正面から撃っても撃破は出来ないか♪』
市街地内の大通りで、黒森峰戦車隊に対する何度目かの襲撃を終えた私・原園 嵐は
「嵐…楽しんでいるでしょ。黒森峰相手に1輌だけでカチコミ仕掛けるだけでも無謀なのに」
と返した為、私は照れ隠しの心算で……
『いや…相手の能力を試してみようかなと』
と弁解したのだが、其処へ装填手の二階堂 舞が笑顔を見せつつ……
「嵐ちゃん、余裕だね♪」
と答えてから、瑞希は憮然とした声で「ホント、嵐と一緒に居ると心臓に悪い事ばかりが起きるわ……」と呟いた後、操縦手の萩岡 菫と副操縦手の長沢 良恵へ向けて「菫に良恵、前方は大丈夫なの?」と問い掛けた処、菫が凛とした声でこう返して来た。
「急がないと黒森峰の戦車8輌*2相手に大立ち回りする事になるよ?」
そして彼女の隣に座って居る良恵からも「何時撃たれてもおかしく無い位、相手の動きも素早いです!」との答えが寄せられた為、状況を整理出来た私は小さく頷くと皆に向けて……
『皆、此処で一旦黒森峰の車列から離れて……』
と言い掛けた時、前方に向かって来る黒森峰の戦車に気付いて……
『おや、誰か来た様だ』
と呟いた処、良恵が慌て声で……
「嵐、そんな時にネットスラングをカマしている場合じゃ無いでしょ!?」
とツッコんで来た為、私は冷静な声で……。
『違うわよ…パンターが1輌、こっちに向かって来る!』
と返した時、其のパンター中戦車G後期型の車長用キューポラから色白で小柄な少女が私を睨み付けているのに気付いた為、私は皆には聞こえない程の小声で一言呟いた。
『五代 百代…遂に来たか!』
「やってくれたわね、原園 嵐!只では帰さないから覚悟なさい!」
嵐が率いる“ニ
事実上、此の主力部隊を率いるエリカ副隊長の補佐を務める1年生・五代 百代は此の難局を作り出した嵐の顔を見た瞬間、怒りの声を上げつつ彼女の駆る
そんな百代の姿は、常に冷静で感情を抑えている普段の姿とは真逆であり、其の分彼女から余裕が失われている事が明白となっていた。
其れに気付いたエリカは“何時もは私が冷静さを欠いた時、彼女がブレーキ役になってくれているのに、今は立場が逆になっている!”と感じつつ“此の儘では百代が危うい!”と感じて……
「待ちなさい、百代!今は隊長と一緒にみほのⅣ号を追って……」
と諫めようとしたが、其処へ新たな砲撃音と共に2つの黒い影が黒森峰の車列目掛けて襲い掛かる!
「援軍参上!」
先ず、大洗女子の“
「原園、こっちは私達に任せろ!」
今度は“
『了解!先輩方も気を付けて下さい!』
と返信した処、エルヴィンと典子が一斉に「「了解!」」と返して来たのを聞き届けてから……
『さあ五代 百代、こっちにおいで!』
と叫び乍ら、前方に迫る百代へ向けて手招きをしつつ、彼女のパンター中戦車G後期型を市街地の中へ誘い始めていた。
其れに乗せられて嵐の
「クソッ、私達を隊長の所へは行かせないって目論見ね!」
と悔し気な声を上げたが、其処へ大洗女子のⅢ号突撃砲F型と八九式中戦車甲型が路地に隠れ乍ら攻撃を仕掛けて来る!
「御前の相手は私達だ!」
“
「さあ、此処から新たなラリー*3を始めるよ!」
と檄を飛ばしたのに対して、バレー部メンバー全員が気合の入った声で「「はいっ!」」と答えた後、Ⅲ突と八九式は格上の戦車相手でも臆せずに黒森峰の車列へ突っ込んで行く。
其の姿を見たエリカは闘志剥き出しの表情を浮かべつつ……
「アレが安達先輩を倒した奴ら!じゃあ此処は仇を討って隊長の下へ行かせて貰うわ!」
と吠え乍ら、大洗からの襲撃者達を正面から迎え撃つのだった。
一方、嵐からの挑発に乗って彼女の駆る
「さあ、原園 嵐!此処からは1対1の決闘と行きましょうか!」
と叫び乍ら進撃を始めたが、嵐の
「待て、五代!こっちも援護する……」
との声が入って来た為、百代は相手が先輩の2年か3年生か否かを確かめる事もせずに「こっちに来ないで!相手もそんな事は百も承知で……」と叫び返していた時!
「狭苦しい市街地の路地では、固定砲塔の“ラング”じゃあ役不足よ♪」
其れを見た百代は苦い表情を浮かべつつ「だから来ないでって、言ったのに!」と呟いたが、其処から怒りの表情に変わると鋭い声で……
「嵐!逃げずに戦え!」
と叫びつつ、嵐の
斯くして、黒森峰女学園戦車道チームは3つに分断されてしまった。
そして、今M4A3E8“
…いや、もう1つ有った。
1年生チーム乍ら優れたチームワークと咄嗟の判断力で重駆逐戦車エレファントを倒した後、ヤークトティーガー駆逐戦車を追撃中の大洗女子“
斯くして、此処から決勝戦は更なる興奮へ向けて加速する。
(第101話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第101話をお送りしました。
前回と今回に渡り、大洗女子のカバさん&アヒルさんが嵐ちゃん達ニワトリさんと組んで黒森峰の部隊を襲撃すると言う、原作では有り得なかった戦闘が展開されましたが、実は一寸した理由が有りまして……
作者「と言う訳で、歴女とバレー部諸君!遂に本作オリジナルの見せ場を用意したぞ!(ドヤ顔)」
カエサル「確かにパンターを1輌撃破出来たな…前回だったけどな」
作者「サーセン。バレー部のアレと一緒に語りたかったので……」
左衛門佐「確かに、此れで第70話(「カチューシャの罠に落ちて行く、大洗女子学園です!!」)でカットされたT-34/85の埋め合わせは出来たな」
おりょう「あっ、そう言っている間にバレー部達がパニクっているぜよ?」
典子「えっ、私達がティーガーⅡを撃破!?」
妙子「しかも、私が作戦を思い付いた事になっているなんて!?」
あけび「これが本作のアンツィオ戦でカットされたCV33・1輌分の埋め合わせですか!? 嬉し過ぎます!」
忍「部長、私達の時代が来ています!」
典子「よしっ、此の勢いで、先ずは本作世界でバレー部復活……」
作者「いや…其れ、夢を見過ぎ(白目)」
典子「あっ…やっぱり!?(残念そうに)」
エルヴィン「しかし、橋の重量制限を利用してティーガーⅡを陸橋から落とした訳か。此れは此れで原作のエピソードと被るか被らないかの瀬戸際だから、作者も苦労しただろう?」
作者も「其れはもう、如何しようかと…でも、次回も色々と捻りますので御楽しみに」
カバさん&アヒルさん一同「On楽しみに~♪」
作者「あっ、俺が言いたかった台詞を取られた(大洗女子もあの“移動番組”を知っていたか…)」
と言う訳で、次回も宜しく御願いします。