戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回は黒森峰も意地を見せる回。
そうで無いと“常勝復活”を目指す黒森峰らしく無いし、第一、面白く無いと思うから(苦笑)。

其れでは、どうぞ。



第102話「黒森峰の意地です!!」

 

 

 

「撃て!」

 

 

 

黒森峰女学園戦車道チーム所属のエレファント重駆逐戦車を撃破して勢いに乗る大洗女子学園戦車道チームの“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”は、リーダー兼車長・澤 梓の号令で前方を走行中のヤークトティーガーの後部目掛けて37㎜と75㎜砲を走行間射撃で撃ち込む。

 

すると、ヤークトティーガーは速度を上げて振り切ろうとした為、此の姿を見た37㎜砲々手・大野 あやが「逃げたぞ!」と叫ぶと、75㎜砲々手・山郷 あゆみも「追え!」と叫んだ為“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”は全速力で追撃に入った処、ヤークトティーガーは十字路の手前で右に曲がったので梓も其れに続こうとしたのだが、其の時“不自然な走行音(此れは実を言うと嵐の教え)”を聞いた彼女は咄嗟に……

 

 

 

「あっ!停止!」

 

 

 

と絶叫した為、操縦手の阪口 桂利奈が「えーいっ!」と叫んでM3中戦車リーを急停止させた時!

 

 

 

“ズドーン!”

 

 

 

十字路右側の道路で旋回してから隠れていた(梓が聞いた“不自然な走行音”の正体が此れである)ヤークトティーガーが十字路を通過しようとしたM3中戦車リー(ウサギさんチーム)を狙撃したのだが、梓の指示の御陰でM3中戦車リーは車体前面に掠り傷を負っただけで助かった。

 

だが、其処からヤークトティーガーがM3中戦車リー(ウサギさんチーム)を追って路地に入り込んで来た為、梓はM3中戦車リーをバックで後退させるが、ヤークトティーガーは容赦無く追撃して来た結果“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”はヤークトティーガーの55口径128㎜砲を車体前面に突き付けられた状態の儘、バック走行で逃亡を続ける事態に陥っていた。

 

先ず“ウサギさんチーム”の37㎜砲々手・大野 あやが目前に迫る巨大なヤークトティーガーの姿を見て……

 

 

 

「一寸!128㎜砲が超恐いんだけど!?」

 

 

 

と叫ぶ中、梓は車長席のキューポラから冷静に周囲を確認した後、操縦席の桂利奈へ向けて……

 

 

 

「桂利奈ちゃん、其の儘真っ直ぐバックね!」

 

 

 

と指示を出した処、あゆみが慌て声で「って言うか、如何するの此れ!?」と喚く中、桂利奈が“何か”を思い付き、大声で……

 

 

 

「あっ、そうだ!()()()()()()()()()!」

 

 

 

と答えつつ、M3中戦車リーをヤークトティーガーの正面へ軽く接触させ乍ら後退を続ける事で“ヤークトティーガーの長砲身(55口径)128㎜砲の内側へ車体を入れて砲撃されない”態勢に持ち込んだ。

 

其の光景を眺めて居た無線手の宇津木 優季は少しテンポのズレた声で……

 

 

 

「すっごーい!桂利奈ちゃん、頭良い~♪」

 

 

 

と褒めるが、今度は両車の車間が開いたのに気付いたあやが「あっ、離れる……」と声掛けした処、桂利奈は気合の入った声で……

 

 

 

「そうはさせるか!」

 

 

 

と叫び乍ら、再びM3中戦車リーをヤークトティーガーへぶつける勢いで接近させるが、ヤークトティーガーも押し返して来たのを見た優季が「今度は押されてる!」と叫んだら!

 

 

 

「1年舐めんな!」

 

 

 

「舐めんな!」

 

 

 

あゆみとあやが続けざまに啖呵を切りつつ、夫々の持ち場である75㎜と37㎜砲をヤークトティーガーへ撃ち込んで粘りを見せる。

 

だが、此の時偶然にも黒森峰のヤークトティーガー車長が気合の入った声で……

 

 

 

大洗の1年(ウサギさんチーム)!此のヤークトティーガーを舐めるな!」

 

 

 

と絶叫した後、ヤークトティーガーは一気に速度を上げてM3中戦車リー(ウサギさんチーム)を押し込み始めた為、其の迫力を感じたあやは「あっ…恐い~!」と脅え、ウサギさんチーム(M3中戦車リー)の間で緊張感が高まった時、無線手席で地図を見ていた優季が震え声で……

 

 

 

「此の後ろの方、一寸ヤバいかも……」

 

 

 

と呟いた処、其れを聞いた桂利奈がテンパった状態の声で「何が!?」と言い返した為、優季が……

 

 

 

「今、ニワトリさん(M4A3E8)も黒森峰のパンターに追われて、其の近く迄逃げて来ているみたいだし……」

 

 

 

と答えたのを聞いた梓は心の中で“嵐が危ない!?”と思い、一瞬動揺したものの手持ちの地図をチラリと見てから気持ちを切り替えると“自身の決断”をチームの仲間達に伝えた。

 

 

 

ヤークト(ヤークトティーガー)西住隊長(勿論、嵐も(笑))の所へ絶対に向かわせちゃ行けない。此処でやっつけよう!」

 

 

 

其れに対して逃避行で手一杯の桂利奈が「如何やって!?」と叫んだのに対して、優季は落ち着いた声で「分かった、如何やるの?」と答えた処、梓は心の中で……

 

 

 

「嵐なら、きっと此れ位の事は平然とやってのける筈…なら、私だって!」

 

 

 

と呟いた後、意を決した声でこう叫んだ。

 

 

 

「合図で直ぐ左に曲がって。イチかバチかだけど!」

 

 

 

 

 

 

戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない

 

 

 

第102話「黒森峰の意地です!!」

 

 

 

 

 

 

『あっ!』

 

 

 

其の結果、私・原園 嵐は偶然にも“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)対ヤークトティーガー”の戦いの結末を目撃する事になった。

 

丁度、黒森峰女学園戦車道チームの副隊長補佐・五代 百代が駆るパンター中戦車G後期型を釣り上げつつ、M4A3E8“イージーエイト”を駆って“次の戦場”へ向かっていた私の目前に黒森峰のヤークトティーガー駆逐戦車に追われてバックで逃走中の“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”がガードレール越しに見えたと思ったら、彼女達は其処から大きな用水路沿いのT字路左側へバックの儘旋回して逃げようとした。

 

だが、彼女達は其の僅かな隙をヤークトティーガーに突かれて128㎜砲の一撃を浴びてしまい、其の儘T字路左側へ弾かれる様に横倒しになった状態で白旗を揚げてしまった。

 

因みに後日になって分かった事だけど、此の時黒森峰のヤークトティーガー車長は気持ちが舞い上がったらしく……

 

 

 

「やった!此の儘、目の前に居る原園 嵐のイージーエイト(M4A3E8)も仕留めるぞ!」

 

 

 

と叫び乍ら、こちら目掛けて突っ込んで来たのだが、其の一部始終を見ていた私とチームの装填手で私と一緒に上半身を砲塔上部のハッチから出して周辺警戒をしていた二階堂 舞は大声で……

 

 

 

「『あの…其処から先、橋は架かっていないのだけど!?』」

 

 

 

と叫んだ直後、直進中のヤークトティーガーはまるで“昭和の刑事ドラマ(西●警察)でダイビングをする白黒パトカー(日●セ●リック)”みたいな勢いでガードレールをぶち破った後、水が枯れた大きな用水路の底目掛けて落っこちてしまった。

 

しかも用水路の底に128㎜砲の砲身がぶつかった途端、其の砲身が根元から折れてしまった上、車体は其の場で転覆してエンジンルームから黒煙を上げてしまうと言う有り様。

 

当然、転覆したヤークトティーガーの車体底部から白旗が揚がったが、其の哀れな姿を見た私や舞は驚きの余り悲鳴も出せなかったし、今は私達を追う百代のパンターを釣り上げる為に逃走しなければならない為、其の儘現場から走り去る事しか出来なかった。

 

尚…此の時、黒森峰のヤークトティーガー車長は車内の車長席で自分達が置かれた状態に気付かない儘「あれっ…って、えーっ!」と絶叫したそうだが、私を追い掛けて来た為に其の様子に気付いた百代は……

 

 

 

「何で、橋が架かっていない場所からジャンプするのよー!」

 

 

 

と悲鳴を上げたそうである。

 

 

 

 

 

 

其れは兎も角、結果としてヤークトティーガーと相討ちになる形で横転した後、白旗を掲げた“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”の車内では、梓が無線で……

 

 

 

「済みません…ウサギチームやられました、御免なさい!」

 

 

 

と報告した処、其れを傍受した嵐が……

 

 

 

『梓!此方ニワトリだけど、ヤークトティーガーは用水路に落ちて白旗揚げたのを見たから安心して!』

 

 

 

と返信した為、本来梓からの送信を受信する相手である“あんこうチーム(大洗女子隊長兼フラッグ車)”の通信手・武部 沙織が「ニワトリさん、其れは本当ですか!」と話し掛けた処、嵐は……

 

 

 

『はいっ!其れと今、こっちは五代 百代が駆るパンターを引き付けています!』

 

 

 

と伝えた為、沙織は「了解!」と返信した後「其れとウサギさん達は怪我していない?」と梓達へ問い掛けた。

 

すると“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”メンバーから……

 

 

 

「梓、大丈夫です!」

 

 

 

「あや、元気でーす!」

 

 

 

「優季、無事でーす♪」

 

 

 

「桂利奈、絶好調!」

 

 

 

「あゆみも平気です!紗希も大丈夫って言っています!」

 

 

 

と次々に無事を伝える報告が届いた後、最後に梓が「後は先輩達……」と語ったのに続いてメンバー全員が一斉に……

 

 

 

「「宜しく御願いします!」」

 

 

 

と締め括ったのを聞いた沙織はホッとした表情を浮かべた時、彼女は嵐が梓へ向けて送信した無線を聞き取ったのだった。

 

 

 

『あっ…後、梓に一言だけ。用水路に落ちた黒森峰のヤークトティーガー、もしかしたら怪我人が出ているかも知れない位酷い落ち方をしていたから、後で様子だけでも見に行ってくれないかな?』

 

 

 

 

 

 

一方、此方は大洗女子の“アヒルさんチーム(八九式中戦車甲型)”と“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”による“ハンター・キラー戦術”に手を焼き乍ら、西住 まほ隊長と合流すべく奮闘中の逸見 エリカ副隊長率いる黒森峰女学園戦車道チーム・主力部隊。

 

 

 

市街地に多数有る路地や交差点・空き地等を利用して巧みな遅滞戦術を仕掛ける“アヒルさん”と“カバさん”のチームワークの前に、みほが駆るⅣ号戦車H型仕様(あんこうチーム)を追うまほ隊長の下へ中々部隊を進められない事に業を煮やしたエリカは遂に……

 

 

 

「私が前に出るわ!赤星は私の後ろで周辺警戒、小島(直下さん)はラング3輌を援護して!」

 

 

 

と命令した後“アヒルさん”と“カバさん”からの攻撃が途切れたタイミングで自分が駆るティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)が部隊の先頭に立つ。

 

そして前方から再び挑発攻撃を仕掛けるべく目前に飛び出して来た八九式中戦車甲型(アヒルさんチーム)目掛けて……

 

 

 

「調子に乗るな、()()()!」

 

 

 

と雄叫びを上げた後、砲手へ「撃て!」と叫んでティーガーⅡ重戦車の71口径88㎜砲を発砲!

 

其の結果、正面から88㎜砲弾を浴びた八九式中戦車甲型がスピンし乍ら道路のど真ん中で横転して白旗を掲げたのを見た赤星 小梅が……

 

 

 

「此方11号車。八九式、撃破確認!」

 

 

 

と報告した為、エリカは小さく頷くと「よしっ、今から此処を突破する!」と生き残った全車へ命令を下したが、其の時!

 

 

 

「死なば諸共、喰らえっ!」

 

 

 

エルヴィンによる裂帛の叫びと同時に、路地の陰に潜んでいた“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”が突然エリカ達の車列側面へ飛び出すと強烈な砲撃音が響き……

 

 

 

「此方ヤークトパンター、済みません!ラング18号車、撃破されました!」

 

 

 

チームでヤークトパンター車長を務める小島 エミ(直下さん)から悲痛な報告が入って来たが、エリカは敢えて心を鬼にして……

 

 

 

「報告より、反撃して!」

 

 

 

と命じた処、再び赤星から……

 

 

 

「此方11号車、Ⅲ突を撃破!」

 

 

 

との報告を受けたエリカは「よくやった赤星!」と褒めた後……

 

 

 

「全車、直ちに隊長の下へ復帰する!」

 

 

 

と命じてから、まほ隊長へ無線を送信した。

 

 

 

「西住隊長(まほ)、此方市街地南方で八九式とⅢ突を撃破!今から其方へ向かいますので、現在地を!」

 

 

 

すると、まほから「此の儘だと恐らくだがHS地点…廃校になった小学校へ向かっていると思われる。だが焦るなよ」との返信が届いた為、エリカは……

 

 

 

「了解!直ぐ馳せ参じます!」

 

 

 

と返信した後、心の中で……

 

 

 

「私の手元に残った戦車は5輌*1…其れだけでも大洗を仕留める事は難しくない筈。隊長は焦るなと言ったが、何が起きるか分からない以上、今は兎に角先を急ごう!」

 

 

 

と呟いた後「全車、HS地点へ向けて前進!」と叫んだのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、撃破された“カバさんチーム”のⅢ号突撃砲F型の車内では、チームリーダー兼装填手のカエサルが……

 

 

 

「我らの歴史に……」

 

 

 

と呟くと操縦手の左衛門左が……

 

 

 

「今、幕が……」

 

 

 

と続けてから砲手・おりょうが……

 

 

 

「降りた」

 

 

 

と語って話を締め括ったが、其処へ車長兼通信手・エルヴィンが……

 

 

 

「だが、確かに爪痕は残したぞ」

 

 

 

と付け加えて仲間達を微笑ませた後、隊長車である“あんこうチーム(Ⅳ号戦車H型仕様)”へ向けて無線で……

 

 

 

「此方“カバさん”。今から言う内容を西住隊長とラングカイト(原園 嵐)に伝えて欲しい……」

 

 

 

と告げた後、こう続けたのだ。

 

 

 

「やられはしたが、ラングを1輌道連れにした。後は頼んだぞ!」

 

 

 

 

 

 

「間も無くHS地点、レオポンさんは今何処ですか?」

 

 

 

エルヴィンからの報告を受けたみほは「了解!」と返信し乍ら優勝へ向けての決意を新たにすると、無線で“フラフラ作戦”の要である“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”へ向けて現在地を確認した処、チームリーダー兼車長・通信手のナカジマから……

 

 

 

「此方レオポン。HS入りました」

 

 

 

との報告を受けた為、みほは地図を確認してから「地図座標0017に移動して下さい」と告げた処、ナカジマは元気良く「はーい!」と返信後、ポルシェティーガー(レオポンさんチーム)は旧小学校の裏手に在る入口から運動場へ入った後、土手を軽々と乗り越えて旧小学校の廃校舎へ侵入する。

 

だが、其の背後から黒森峰の1年生エース・五代 百代が駆るパンター中戦車G後期型が追い掛けて来たのだ。

 

此の時、自分が追っていた“ニワトリさんチーム”のM4A3E8(イージーエイト)を旧小学校の手前で見失っていた百代は、ポルシェティーガーの姿を見て……

 

 

 

「みほ先輩の援護の心算か…そうはさせるか!」

 

 

 

と心の中で叫んでからポルシェティーガーを仕留めようと砲撃の準備をしたのだが、其処へ!

 

 

 

『悪いけれど、レオポンさん(ポルシェティーガー)はやらせないよ!』

 

 

 

気合の入った大声で“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”リーダー兼車長の嵐が吠えると百代のパンターの正面に立ちはだかる!

 

其の様子を見た百代は苦い声で……

 

 

 

「やっぱり…此方の動きが読まれている!」

 

 

 

と呟いた後“さっき嵐が姿を消したのは、事前にこうなる事を予測していたからか!”と考えてから……

 

 

 

「こうなったら腹を括って、嵐を倒す事に集中するしか無い!」

 

 

 

と決断したのだった。

 

其の直後、旧小学校の廃校舎に在る入り口にみほが駆るⅣ号戦車H型仕様(あんこうチーム)が入り、続いてまほが駆るティーガーⅠ重戦車がみほのⅣ号を追って走り込んで来た。

 

こうして大洗女子と黒森峰の隊長兼フラッグ車が廃校舎の入り口を通過した後、大洗女子のポルシェティーガー(レオポンさんチーム)がバックで入り口に進入すると、まるで“弁慶の仁王立ち”の様な姿で其の場に陣取った。

 

すると、黒森峰のエリカ副隊長が率いる5輌の戦車と駆逐戦車が、まほ隊長の下へ馳せ参じるべく、入り口に陣取るポルシェティーガー(レオポンさんチーム)の前に展開する。

 

此処で、観客席の外れで一連の光景を見た元黒森峰OGの周防 長門が……

 

 

 

「成程、みほちゃんは自ら退路を断って、まほとの勝負に全てを賭けたのか!」

 

 

 

と叫ぶと、隣りで微笑む嵐の母・原園 明美が……

 

 

 

「遂にみほさん、最後の勝負の御膳立てを整えたわね…此れで勝率は5分5分になったわ」

 

 

 

と呟いた為、其の隣に居たみほとまほの母・西住 しほは怪訝な声で……

 

 

 

「5分5分ですって!?」

 

 

 

と問い返したが、其れを聞いた明美はニヤリと笑い乍ら、こう告げたのである。

 

 

 

「そうよ。そして此れこそが、みほさん達大洗女子の得意技なの」

 

 

 

其れに対して、しほは彼女の発言に驚愕しつつ大声で……

 

 

 

「明美!“みほの得意技”って、一体如何言う事なの!?」

 

 

 

と問い掛けた直後、観客席正面の超大型モニターに大洗女子学園の“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”が廃校舎入り口に陣取った姿が映し出されると車長兼チームリーダーのナカジマが余裕のある声で……

 

 

 

「此処から先は行かせないよ~♪」

 

 

 

との声が会場内のスピーカーから流れた途端、廃校舎入り口に陣取っていたポルシェティーガー(レオポンさんチーム)がエリカ率いる5輌の戦車と駆逐戦車目掛けて砲撃を開始した!

 

すると、不意を突かれた黒森峰側のⅣ号駆逐戦車/70(V)“ラング”1輌が正面装甲をポルシェティーガーの56口径88㎜砲に撃ち抜かれて白旗を揚げるのを見たエリカ副隊長は無線で各車へ対して……

 

 

 

「何やってるの!試作止まりの兵器相手に!直ちに撃ち返しなさい!」

 

 

 

と叫んだ後、まほ隊長へ向けて「隊長、我々が行く迄待っていて下さい!」と絶叫したのだが。

 

まほは待たなかった。

 

何故なら、既に彼女の目前には自分との決闘を望む妹がⅣ号戦車に乗って自分と対峙していたからである。

 

 

 

 

 

 

さて…此の“第63回戦車道高校生全国大会決勝戦”の中でも最大の名場面と言えば、旧小学校の廃校舎内の中庭で交わされた“西住姉妹の会話”を挙げる人は少なく無いと思われる。

 

此れは、廃校舎内の中庭に入り込んだ大洗女子学園(Ⅳ号戦車H型仕様)黒森峰女学園(ティーガー1重戦車)の隊長兼フラッグ車が対峙する状況下、黒森峰女学園戦車道チーム隊長で西住家長女・まほが母親(しほ)譲りの冷徹な声で……

 

 

 

「西住流に()()()と言う道は無い…こうなったら此処で決着を着けるしか無いな」

 

 

 

と告げた処、不安気な表情を浮かべていた大洗女子学園戦車道チーム隊長で西住家次女・みほが覚悟を決めた声で……

 

 

 

「受けて立ちます」

 

 

 

と答えた結果、戦車道全国高校生大会史上初となる“西住流姉妹対決”が始まる場面なのだが。

 

実は其れと同時刻、旧小学校の運動場跡で彼我の立場を逆転した様な会話が交わされていた事を知る人も少なく無いだろう。

 

 

 

此方は、黒森峰女学園戦車道チーム副隊長補佐の五代 百代が自分の前に立ち塞がった大洗女子学園戦車道チームの1年生エース・原園 嵐に向かって……

 

 

 

「如何やら此処で決着を着けない限り、御互いの隊長の下へは行けないみたいね」

 

 

 

と告げた処、不敵な表情を浮かべた嵐が冷静な声で……

 

 

 

『西住流の辞書に“()()()”と言う言葉は無いのでしょ?』

 

 

 

と“明らかな挑発”とも取れる返答をした為、思わず“カチン”と来た百代は大声で……

 

 

 

「受けて立つわ!」

 

 

 

と宣言したのだ。

 

こうして、後年“西住流姉妹同士の決闘と其の姉妹直系の後輩同士による決闘”と語り継がれる事になる、此の試合の最終局面が始まった。

 

 

 

(第102話、終わり)

 

 

*1
内訳は、エリカ自身が駆るティーガーⅡ重戦車に赤星のパンターG後期型、小島のヤークトパンターとⅣ号駆逐戦車/70(V)ラングが2輌。




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第102話をお送りしました。

此処迄、みほ殿の作戦と嵐ちゃんや大洗女子の面々による戦いに押されていた黒森峰も最終局面で奮戦した結果、大洗女子の手元に残った戦車は僅か3輌に。
此れに対して黒森峰は未だ7輌を残しているものの、まほのフラッグ車はみほのⅣ号を追った結果、エリカ達から孤立する事態に。
しかも、此の事態は明美さんによると「みほ達大洗女子の得意技」が炸裂した結果だと…一体、明美さんは大洗女子の「強さ」を如何分析していたのか?
果たして、本作における決勝戦の結末は如何なるのか?(勝敗は兎も角・苦笑)

其れでは、次回をお楽しみに。

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