戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回は短めですが、丁度良い区切りの場面で終われたので、此れで投稿してみます。
いよいよ決勝戦も終盤。
自分なりの終わり方が見えているので、何とか書き上げたい処ですが、果たして……
其れでは、今回もどうぞ。

追伸・もっとらぶらぶ作戦です!第2幕、カチューシャをストーカーするノンナとクラーラがヤバ過ぎた……(顔面蒼白・笑)



第104話「決勝戦も最終局面です!!」

 

 

 

第63回戦車道全国高校生大会決勝戦も大詰めに近づくにつれて、試合会場内の観客席からは悲鳴に近い歓声が上がる。

 

観客席前の超大型モニターの上半分には、大洗女子学園戦車道チーム隊長兼フラッグ車で西住 みほが駆るⅣ号戦車H型仕様(あんこうチーム)と黒森峰女学園戦車道チーム隊長兼フラッグ車で、みほの姉・西住 まほが駆るティーガーⅠ重戦車が廃校になった小学校内の路地を走り回っている姿が映し出されている。

 

一方、超大型モニターの下半分には運動場付近の住宅街で激しい戦闘機動を繰り返している黒森峰の副隊長補佐で1年生エース・五代 百代が駆るパンター中戦車G後期型と大洗女子の1年生エース・原園 嵐が駆るM4A3E8中戦車“イージーエイト(ニワトリさんチーム)”の姿が映し出されており、観客達の熱狂を生み出す源になっていた。

 

そんな両者の戦いだが、前者は戦闘開始直後から一貫して逃げるみほと追うまほの戦いなのに対して、後者は最初百代に追われていた嵐のイージーエイト(M4A3E8)が同車の操縦手・萩岡 菫のドライビングテクニックによって両車のポジションが頻繁に入れ替わると言う、混沌とした戦いになっていた。

 

 

 

そして、此処から試合を観戦する観客と首都テレビの実況生中継を見ていた視聴者の前に“奇妙且つ重大な光景”が繰り広げられるのである。

 

 

 

 

 

 

戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない

 

 

 

第104話「決勝戦も最終局面です!!」

 

 

 

 

 

 

“其の時”は突然訪れた。

 

夫々が駆る戦車のキューポラから顔を出し、周辺警戒をし乍ら全速走行中だったみほと百代は互いに場所が違うのに“瓜二つの状況”に直面して“同じ言葉”を叫ぶ。

 

 

 

「「榴弾!?」」

 

 

 

2人共、自分を追って来る戦車(まほと嵐)からの砲声を聞いただけで即座に弾種を言い当てたのは流石だが、更に2人の戦車乙女は目前の状況を見た途端……

 

みほが操縦手の冷泉 麻子へ向けて「止まって!」と叫ぶと、別の場所に居る百代も「停止!」と鋭い声で操縦手へ指示を出す。

 

其処に在ったのは、共に榴弾で急造された“瓦礫のバリゲード”。

 

みほの場合は廃校内の校舎の通路を塞ぐ様な形であり、百代の場合も住宅街の交差点を左へ曲がった場所の細い道路が瓦礫で塞がれていた。

 

此れで何方も“対戦相手が自分の戦車を撃破する為に罠を仕掛けて来た”と悟った為、先ずみほが「後退して下さい!」と叫ぶと、百代も「直ちに後退!」と命じて、共に其の場から離れようとしたのだが、此処で2人の耳に“戦車の()()()()()”が聞こえて来た直後、彼女達は又しても同じ指示を下した。

 

 

 

「「全速後退!」」

 

 

 

そして、此の“偶然にしては有り得無そうな現実”と言う光景を観客席前の超大型モニターで見ていた観客達と御茶の間のTVで見ていた視聴者が不思議な感覚を味わう中、戦況は更なる動きを見せた。

 

先ず、みほが駆るⅣ号戦車H型仕様(あんこうチーム)がバックで後退して通路から出ようとした時、みほのⅣ号を後面から襲おうとしたまほのティーガーⅠ重戦車が接触し乍ら56口径88㎜砲を発砲したが、みほのⅣ号は砲塔と車体部のシュルツェンが数枚吹き飛んだだけで撃破には至らない儘、其の場から離脱した。

 

此の光景に、どよめき声を上げた観客や視聴者達が意識を引き付けられつつ「五代選手のパンターも同じ様な動きで通路から後退するのだろうな」と思い込んでいた時、百代の叫び声が響き渡る。

 

 

 

「えっ、そんな!?」

 

 

 

其の声に意表を突かれた観客や視聴者達が夫々の画面を見詰めた瞬間、全員が驚愕する。

 

みほと同様の動きでT字路から後退して来たばかりの百代の目前には、自分のパンター中戦車G後期型目掛けて突っ込んで来ると思っていた原園 嵐のM4A3E8“シャーマン・イージーエイト(ニワトリさんチーム)”がパンターの車体左側方向の路上で待ち伏せていたのだ!

 

其の距離、僅か200m足らず。

 

此の状況は、先程のみほ対まほの対決と光景が酷似していた…違いは只1つ。

 

まほはみほのⅣ号戦車の後方へ突っ込んで行ったのに対して、嵐は敢えて突っ込まずに急停止してからの“エンジン空ぶかし”と言う“ブラフ”を交え乍らの待ち伏せ。

 

其れは“まほ対みほの対決でも有り得たかも知れない光景”だった事に気付いた試合会場内の観客や首都テレビによる実況中継を見ていた視聴者達は、目の前の現実に驚きを隠せない。

 

何れにしても嵐の側は慌てずに撃てば、イージーエイト(M4A3E8)の目前に飛び出してしまった自らのパンターの車体左側側面を射抜く事が確実な状態だと悟った百代は……

 

 

 

「しまった!あの()()()()音は走行中に見せ掛けたフェイク!」

 

 

 

と悲鳴を上げるしか無かった。

 

一方“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”の車内では、此の“フェイク”の実行犯で操縦手の萩岡 菫が嬉し気な声で……

 

 

 

「やったあ♪嵐ちゃんの予想通り、こっちの()()()に相手が引っ掛かったよ!」

 

 

 

と、車長の嵐へ向けて呼び掛けて来た。

 

其れに対する嵐の返事は、たった一言。

 

 

 

『撃て!』

 

 

 

当然“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”砲手・野々坂 瑞希は嵐の声に即応して、予め装填手の二階堂 舞が装填して置いたM93HVAP-T高速徹甲弾を発射した!

 

そして……

 

 

 

 

 

 

「黒森峰女学園、パンター中戦車G後期型・走行不能!」

 

 

 

 

 

 

此のアナウンスに大洗女子学園側応援席では凄まじい歓声が上がった!

 

更に観客席からは……

 

 

 

「やった!」

 

 

 

「此れで後は、隊長同士の対決で勝つだけだ!」

 

 

 

「いや、大洗のポルシェティーガー(レオポンさんチーム)と黒森峰戦車隊の戦いが未だ続いているぞ!」

 

 

 

と口々に戦況を語り合い乍ら、黒森峰側応援団を除く観客の殆ど全員が大洗女子の勝利を祈り続ける。

 

そんな中、試合会場内に設けられた“大洗女子学園戦車道チームの撃破された車輌搭乗員の集合場所”では……

 

 

 

「クソ~ッ!」

 

 

 

百代のパンター中戦車G後期型を撃破後、小学校廃校舎目指して全開走行中の“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”の姿が映し出された観客席前の超大型モニターを見詰めて居た“アヒルさんチーム(八九式中戦車甲型)”リーダー兼車長・磯辺 典子(バレー部々長)が悔し気な声を上げると、同じチームの砲手・佐々木 あけびも……

 

 

 

「もっと火力が有ったなら……」

 

 

 

と呟き、更にチームメイトで操縦手の河西 忍が頷き乍ら……

 

 

 

「西住さんや原園だけに重荷を背負わせる様な事はさせないのに!」

 

 

 

と心情を吐露した時“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”車長・エルヴィンが確信を込めた声で……

 

 

 

「大丈夫だ。ラングカイト(原園 嵐)が居る限り、あんこうチーム(Ⅳ号戦車H型仕様)は彼女が絶対に守ってくれる!」

 

 

 

と答えた処、超大型モニターに映し出されている映像が「小学校の廃校舎入り口に陣取る“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”と逸見 エリカ副隊長率いる黒森峰戦車隊の砲撃戦」に切り替わったが…其の戦いはクライマックスを迎えようとしていた!

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

廃校舎入り口で“弁慶の仁王立ち”の様な姿になって敵弾を多数浴び乍ら籠城するポルシェティーガー(レオポンさんチーム)を見て衝撃を受ける典子やエルヴィン達。

 

他の観客達も其の実況映像を見て騒然とする中、エリカ率いる黒森峰戦車隊は砲撃戦でⅣ号駆逐戦車/70(V)ラングを2輌撃破されたものの、エリカ自身が指揮するティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)小島 エミ(直下さん)が車長を務めるヤークトパンター駆逐戦車、そして赤星 小梅が駆るパンター中戦車G後期型の3輌が怯む事無く大洗女子のポルシェティーガー(レオポンさんチーム)目掛けて激しい砲撃を続けていた。

 

其のポルシェティーガー(レオポンさんチーム)の車内では、命中弾の衝撃を感じた砲手のホシノが心配気な声で……

 

 

 

「うわ~っ……」

 

 

 

と呟くと、車長兼チームリーダーのナカジマが……

 

 

 

「中々、キツイなあ……」

 

 

 

と返し乍ら“そろそろ限界が近付いて居る”と直感していた。

 

何しろ、ティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)とヤークトパンター駆逐戦車は戦車道で使える最強クラスの戦車砲・71口径88㎜戦車砲を持ち、残るパンター中戦車G後期型の70口径75㎜戦車砲もカタログデータ上ではポルシェティーガーの56口径88㎜砲を上回る装甲貫通力を誇る優秀な火砲だ。

 

此の3輌が近距離から連続射撃を続けているのだから、幾らポルシェティーガーが最大100~110㎜前後の重装甲を誇っているとは言え、耐え切れる筈が無い。

 

既に履帯が切れて被弾痕だらけの状態だったポルシェティーガーはあっと言う間にスクラップ同然の姿になって行った。

 

其れでも、最後に1発撃ち返したポルシェティーガーだったが、其の直後エリカのティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)が放った88㎜砲弾が車体正面に命中。

 

此れでポルシェティーガーの88㎜砲の俯仰機構が壊れたのか、砲身がダラリと垂れ下がった後、場内アナウンスで……

 

 

 

「大洗女子学園、ポルシェティーガー走行不能!」

 

 

 

と伝えられると、遂に黒煙を吹き上げた“レオポンさんチーム”のポルシェティーガーに白旗が掲げられたのを見た観客達から絶望的な悲鳴が上がる中、聖グロリアーナ女学院の御茶会の席ではオレンジペコが……

 

 

 

「此れで、大洗の戦車はあと……」

 

 

 

“2輌”と呟き掛けた時、彼女と同じ1年生のマルゲリータ(大姫 鳳姫)と原 時雨が鋭い声で……

 

 

 

「「西住さんだけじゃ無い!未だ嵐のイージーエイト(M4A3E8)が居る!」」

 

 

 

と叫ぶと、御茶会の主人で在る聖グロ隊長・ダージリンも無言で小さく頷く。

 

其処へボンプル高隊長・ヤイカが珍しく興奮気味の声で……

 

 

 

「原園、黒森峰にタンカスロン(強襲戦車競技)乗りの意地を見せてやれ!」

 

 

 

と叫ぶ中、隣で彼女の声を聞いて居たカチューシャも……

 

 

 

「ミホーシャにБуря(ブーリャ)*1私に勝ったんだから、絶対に優勝しなさい!」

 

 

 

と彼女らしい命令口調で叫び、其の声を肩車し乍ら聞いたノンナも小さく頷く中、試合会場内のスピーカーからは……

 

 

 

「突撃!中央広場へ急げ!」

 

 

 

と、ポルシェティーガーを撃破したエリカの声が響くが、次に入ってきたのはエミ(直下さん)からの焦り気味の報告だった!

 

 

 

「入り口前のポルシェティーガー(レオポンさんチーム)が邪魔で通れません!」

 

 

 

其れに対してエリカも焦り気味の大声で「戦車回収車急げ!」と叫ぶが、偶然にもこのタイミングで撃破されたポルシェティーガーの車内に未だ残っていた“レオポンさんチーム”のメンバー達が、此の場では場違いに感じる程のんびりとした声で……

 

 

 

「「ゆっくりで良いよ~♪」」

 

 

 

と述べたので、ホッとした気分になった観客席からは笑い声が響き渡ったのだが、此処で黒森峰側の“ある動き”を見た時雨が鋭い声を上げる。

 

 

 

「あっ、黒森峰のケーニッヒティーガー(ティーガーⅡ重戦車)が!」

 

 

 

すると彼女の声を聞いて超大型モニターからの実況映像を見たマルゲリータが叫ぶ!

 

 

 

「逸見副隊長のケーニッヒティーガー(ティーガーⅡ重戦車)が、ポルシェティーガーを踏み台にして無理矢理入口へ進入しようとしている!」

 

 

 

其処へサンダース大学付属高校のケイ隊長が血相を変えて……

 

 

 

「何て事を!隊長同士の決闘の邪魔をする気なの!?」

 

 

 

と叫んだ後、彼女にしては珍しく“Fで始まる卑猥な4文字英単語”を口走った為、傍に居た時雨だけでなく副隊長のナオミとアリサ迄が驚愕する事態が起きていた。

 

一方、撃破された“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”の車内ではナカジマが“あんこうチーム(Ⅳ号戦車H型仕様)”へ向けて無線で……

 

 

 

「此方レオポン。何かね~クロ高*2が無理矢理乗り越えようとしているから、気を付けてね~」

 

 

 

と報告したが、其の直後自分達のポルシェティーガーを乗り越えて行こうとするエリカのティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)目掛けて「て言うか、アンタ達強引だって!」と叫んだ為、其れを聞いて居た観客達からは無茶な行為をするエリカ目掛けて凄まじいブーイングが轟き渡る!

 

 

 

「止めろ、黒森峰!」

 

 

 

此奴(こいつ)副隊長だろ、西住流姉妹同士の決闘に茶々を入れるな!」

 

 

 

「私達、そんな勝ち方なんて見たくないわ!みほさんとまほさん姉妹の対決を見守りなさいよ!」

 

 

 

「そうだ、止めろ!ヤ・メ・ロ!」

 

 

 

だが、観客達のブーイングも敬愛するまほ隊長を救おうとする気持ちで一杯なエリカの耳には届かない。

 

更には、ダージリンと共に御茶会をしていた後輩のオレンジペコ迄が「何て卑怯な事を!」と叫び乍ら憤激していたが、其の時会場内のスピーカーに“救いの声”が響き渡った!

 

 

 

『此方“ニワトリ”!“レオポンさん”の先輩方、直ぐ何かに掴まって衝撃に備えて下さい!』

 

 

 

そう…黒森峰戦車隊の真後ろに“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”が駆け付けて来たのだ!

 

其の声に会場内では大洗女子へ向けて大声援が送られる中“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”の車内では“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”の姿をペリスコープ*3越しに見たナカジマが「了解!」と答えた後、御道化た声でこう続けたのである。

 

 

 

「でも、此処で騎兵隊到着だなんてカッコ良いね!」

 

 

 

当然、黒森峰の選手達は此の遣り取りを聞いてはいないし、彼女達の視線は既に撃破された“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”に集中している為、自分達の真後ろに“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”が迫っている事さえ気付いていない。

 

 

 

 

 

 

五代 百代の駆るパンター中戦車G後期型を撃破後、漸く廃校舎入り口前に居る黒森峰戦車隊の後方へ辿り着いた()は“レオポンさんチーム”のポルシェティーガーを乗り越えて廃校舎内の中央広場へ突入しようとする黒森峰副隊長車・ティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)の後姿を見た後、仲間達へ“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム・此の試合最後の作戦”の指示を下した。

 

 

 

『皆、此処で私達の最後の戦いを行うから、指示を聞き逃さないで!』

 

 

 

続けて、装填手・二階堂 舞へ向けて……

 

 

 

『舞、弾種・HVAP(高速徹甲弾)!』

 

 

 

其の指示に対して舞が即座に「了解!」と叫んだのを聞き乍ら、長年の相棒である砲手・野々坂 瑞希(ののっち)へ……

 

 

 

『瑞希、目標は正面入り口前の“ケーニッヒティーガー(ティーガーⅡ重戦車)”!』

 

 

 

「任せて!」

 

 

 

瑞希からの心強い返事を聞き乍ら、私は“最後の戦いを如何締め括るか”について“覚悟”を決めていた。

 

 

 

『恐らく、此れを撃ったら間違い無く黒森峰の生き残りに反撃されて、こっちは間違い無く撃破される…だけど、此処であの逸見 エリカのティーガーⅡを討ち取れば西住先輩と御姉さん(まほ)の対決を()()()()()は居なくなる!』

 

 

 

 

 

 

一方、エリカはまさか自分が“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”車長兼リーダー・原園 嵐から狙われているとは露知らず、狂気じみた目を浮かべ乍ら……

 

 

 

「今行きます!待っていて下さい、隊長!」

 

 

 

と叫んだが…もう遅かった。

 

実は此の時、エリカのティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)は無理矢理“レオポンさんチーム(ポルシェティーガー)”を乗り越えようとした為、車体後方上面のエンジングリル部分がやや角度の付いた状態乍ら“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”の目前で丸見えの状態になっていた。

 

其れを見た砲手の瑞希が此のチャンスを見逃す筈も無く……

 

 

 

「人の恋路…いや、先輩方の対決を邪魔する奴は!」

 

 

 

と小声で呟いてから一呼吸置いた後、再び小声で……

 

 

 

「馬に蹴られて地獄へ落ちろー!!」

 

 

 

と、まるで“何処かのロボットアニメの主人公(機動●闘伝Gガ●ダムのド●ン・カ●シュ)みたいな台詞”を呟いた直後、車長の嵐が吠えた!

 

 

 

『撃て!』

 

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

突如背中から“予想外のプレッシャー”を感じたエリカが後ろを振り向いた途端、目の前にM4A3E8(イージーエイト)の姿を見た彼女は“危険”を直感して車内へ入り、車長用キューポラのハッチを閉めた直後、ティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)のエンジングリルにイージーエイト(M4A3E8)の76.2㎜HVAP(高速徹甲弾)が飛び込むと瞬時に赤い炎と黒い煙がティーガーⅡの車体後部から吹き上がり、続けて白旗が掲げられた!

 

 

 

「黒森峰副隊長車、行動不能!」

 

 

 

其の時“西住流姉妹対決の邪魔者(エリカ)を仕留めた嵐”に対して観客席から歓喜の絶叫が響き、逆に副隊長車(ティーガーⅡ)を撃破されたのに気付いた黒森峰戦車隊の生き残りの戦車長であるエミと小梅が思わず後ろを振り返ったのと同時に、覚悟を決めた嵐が仲間達に向かって叫ぶ!

 

 

 

『相手に気付かれた以上、残り2輌を1遍に撃破するのは無理だから、右側のヤークトパンターを狙って!此れで本当に最後!』

 

 

 

そして“ニワトリさんチー(M4A3E8)ム”から発射された最後の76.2㎜HVAP(高速徹甲弾)は固定砲塔で有るが故に、即座に反撃が出来ないエミのヤークトパンター後部に命中。

 

ヤークトパンターから白旗が揚がると、エミが車長用キューポラから顔を出し……

 

 

 

「あ~っ、今度こそ本当にやられた!」

 

 

 

との叫び声を聞いた黒森峰応援団からは“たかがシャーマン1輌でチームが全滅する!”と言う恐怖を味わい掛けていたが、其処へ1人の少女の叫びがスピーカーからこだまする。

 

 

 

「撃て!」

 

 

 

其の少女の名は、今や西住 まほのティーガーⅠ重戦車以外では唯一の黒森峰戦車道チームの生き残りとなったパンター中戦車G後期型の車長・赤星 小梅。

 

試合開始前に嵐と自己紹介をし合った彼女は後先考えず必死の思いで嵐のM4A3E8(イージーエイト)目掛けて反撃の1発を撃った結果……

 

 

 

「大洗女子学園、イージーエイト(M4A3E8)走行不能!」

 

 

 

審判団からの報告を無線で聞いて、自分がエリカ副隊長を仕留めた相手を撃破したと知った小梅は必死に戦った結果、前後の記憶が抜け落ちていた為に「えっ…私、撃破したの?」と当惑の声を上げたのだが…其処から周囲を確認しつつポルシェティーガー(レオポンさんチーム)を乗り越えようとして嵐に撃破されたエリカのティーガーⅡ重戦車(ケーニッヒティーガー)の姿を見た彼女は、状況の深刻さに気付いて絶望の叫び声を上げる。

 

 

 

「ポルシェティーガーの上にエリカさんのティーガーⅡが乗っていて、中央広場への入り口を完全に塞いでいる…此れじゃあ、西住隊長やみほさん達の居る場所へ行く事が出来ない!」

 

 

 

そして、此の光景を見ていた試合会場内の観客とTVの実況中継を見ている視聴者達の前に、実況を担当する首都テレビの加登川 幸太アナウンサーの声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「もう、此処から先は誰も西住姉妹の対決に割って入る者は居ません!」

 

 

 

 

 

 

斯くして“西住姉妹同士の対決で決勝戦の勝敗が決まる”と知った観客席から大歓声が上がる中、加登川アナウンサーの実況を大洗女子学園側応援席で聞いた1人の少女…五十鈴 華恋の脳裏に“天啓と覚悟”が閃く。

 

 

 

「そうだ!西住さんも原園さんも必死になって戦ったんだ…じゃあ、私も今から必死になって“みんなが知っているあの歌”を歌おう!あの歌なら日本中の人達が知っているし、西住さん達への応援にもなる筈!」

 

 

 

そして此の後、華恋が歌う“或る歌”が、此の試合“最大の伝説”を生み出す事になる。

 

 

 

(第104話、終わり)

 

*1
ロシア語で「嵐」。此の綽名の経緯については第82話「此れにて準決勝・終了です!!」を参照の事。

*2
勿論、クロマティ高校の略ではない。黒森峰である(苦笑)。

*3
一種の覗き窓。




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第104話をお送りしました。

唐突ですが、今回の“アレンジ”は如何だったでしょうか。
みほと百代が指揮する戦車の動きが、まるで合わせ鏡の様に同じと言う状況下、何と嵐ちゃんはまほの攻め方とは違ってフェイントを仕掛ける事で百代を撃破。
此の場面、本作中でも書きましたが“有り得たかもしれない、みほ対まほの対決のもう1つの結末”を意図して書いており、裏を返せば原作アニメ版の西住姉妹対決は其の様な妄想が浮かぶ位に“どちらも紙一重の戦いだった”のだと言う思いを込めています。
そして、嵐ちゃんは其処から廃校舎入り口へ向かい、レオポンさんを乗り越えてみほとまほの対決に茶々を入れようとしたエリカをも撃破!
実は此れ、自分が本作を始めた当初から“絶対にやりたかった場面”でした。
ハッキリ言って、あそこでのエリカの行動は感情的乍ら“許しがたい”一面が有ったので、本作で思い切りシバキ倒した次第。
そして暴れ回った嵐ちゃんは直下さん(迫真)を倒した後、小梅ちゃん(本作での彼女は、作者の独断による優遇枠です)に倒される訳ですが、時既に遅く、廃校舎の入り口は撃破されたポルシェティーガーとエリカのティーガーⅡで完全に塞がれ、もう誰もみほとまほの対決に入って来れない。
此れで、本作の決勝戦は完全に西住姉妹の対決に全てが託された事になりますが、次回は其の前に嵐達と観客席で動きが有りますので、もう少しだけ御待ち下さい。

其れでは、次回をお楽しみに。

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