戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
今回は短めですが、丁度良い区切りの場面で終われたので、此れで投稿してみます。
いよいよ決勝戦も終盤。
自分なりの終わり方が見えているので、何とか書き上げたい処ですが、果たして……
其れでは、今回もどうぞ。
追伸・もっとらぶらぶ作戦です!第2幕、カチューシャをストーカーするノンナとクラーラがヤバ過ぎた……(顔面蒼白・笑)
第63回戦車道全国高校生大会決勝戦も大詰めに近づくにつれて、試合会場内の観客席からは悲鳴に近い歓声が上がる。
観客席前の超大型モニターの上半分には、大洗女子学園戦車道チーム隊長兼フラッグ車で西住 みほが駆る
一方、超大型モニターの下半分には運動場付近の住宅街で激しい戦闘機動を繰り返している黒森峰の副隊長補佐で1年生エース・五代 百代が駆るパンター中戦車G後期型と大洗女子の1年生エース・原園 嵐が駆るM4A3E8中戦車“
そんな両者の戦いだが、前者は戦闘開始直後から一貫して逃げるみほと追うまほの戦いなのに対して、後者は最初百代に追われていた嵐の
そして、此処から試合を観戦する観客と首都テレビの実況生中継を見ていた視聴者の前に“奇妙且つ重大な光景”が繰り広げられるのである。
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第104話「決勝戦も最終局面です!!」
“其の時”は突然訪れた。
夫々が駆る戦車のキューポラから顔を出し、周辺警戒をし乍ら全速走行中だったみほと百代は互いに場所が違うのに“瓜二つの状況”に直面して“同じ言葉”を叫ぶ。
「「榴弾!?」」
2人共、自分を
みほが操縦手の冷泉 麻子へ向けて「止まって!」と叫ぶと、別の場所に居る百代も「停止!」と鋭い声で操縦手へ指示を出す。
其処に在ったのは、共に榴弾で急造された“瓦礫のバリゲード”。
みほの場合は廃校内の校舎の通路を塞ぐ様な形であり、百代の場合も住宅街の交差点を左へ曲がった場所の細い道路が瓦礫で塞がれていた。
此れで何方も“対戦相手が自分の戦車を撃破する為に罠を仕掛けて来た”と悟った為、先ずみほが「後退して下さい!」と叫ぶと、百代も「直ちに後退!」と命じて、共に其の場から離れようとしたのだが、此処で2人の耳に“戦車の
「「全速後退!」」
そして、此の“偶然にしては有り得無そうな現実”と言う光景を観客席前の超大型モニターで見ていた観客達と御茶の間のTVで見ていた視聴者が不思議な感覚を味わう中、戦況は更なる動きを見せた。
先ず、みほが駆る
此の光景に、どよめき声を上げた観客や視聴者達が意識を引き付けられつつ「五代選手のパンターも同じ様な動きで通路から後退するのだろうな」と思い込んでいた時、百代の叫び声が響き渡る。
「えっ、そんな!?」
其の声に意表を突かれた観客や視聴者達が夫々の画面を見詰めた瞬間、全員が驚愕する。
みほと同様の動きでT字路から後退して来たばかりの百代の目前には、自分のパンター中戦車G後期型目掛けて突っ込んで来ると思っていた原園 嵐のM4A3E8“シャーマン・
其の距離、僅か200m足らず。
此の状況は、先程のみほ対まほの対決と光景が酷似していた…違いは只1つ。
まほはみほのⅣ号戦車の後方へ突っ込んで行ったのに対して、嵐は敢えて突っ込まずに急停止してからの“エンジン空ぶかし”と言う“ブラフ”を交え乍らの待ち伏せ。
其れは“まほ対みほの対決でも有り得たかも知れない光景”だった事に気付いた試合会場内の観客や首都テレビによる実況中継を見ていた視聴者達は、目の前の現実に驚きを隠せない。
何れにしても嵐の側は慌てずに撃てば、
「しまった!あの
と悲鳴を上げるしか無かった。
一方“ニ
「やったあ♪嵐ちゃんの予想通り、こっちの
と、車長の嵐へ向けて呼び掛けて来た。
其れに対する嵐の返事は、たった一言。
『撃て!』
当然“ニ
そして……
「黒森峰女学園、パンター中戦車G後期型・走行不能!」
此のアナウンスに大洗女子学園側応援席では凄まじい歓声が上がった!
更に観客席からは……
「やった!」
「此れで後は、隊長同士の対決で勝つだけだ!」
「いや、大洗の
と口々に戦況を語り合い乍ら、黒森峰側応援団を除く観客の殆ど全員が大洗女子の勝利を祈り続ける。
そんな中、試合会場内に設けられた“大洗女子学園戦車道チームの撃破された車輌搭乗員の集合場所”では……
「クソ~ッ!」
百代のパンター中戦車G後期型を撃破後、小学校廃校舎目指して全開走行中の“ニ
「もっと火力が有ったなら……」
と呟き、更にチームメイトで操縦手の河西 忍が頷き乍ら……
「西住さんや原園だけに重荷を背負わせる様な事はさせないのに!」
と心情を吐露した時“
「大丈夫だ。
と答えた処、超大型モニターに映し出されている映像が「小学校の廃校舎入り口に陣取る“
「「!!」」
廃校舎入り口で“弁慶の仁王立ち”の様な姿になって敵弾を多数浴び乍ら籠城する
他の観客達も其の実況映像を見て騒然とする中、エリカ率いる黒森峰戦車隊は砲撃戦でⅣ号駆逐戦車/70(V)ラングを2輌撃破されたものの、エリカ自身が指揮する
其の
「うわ~っ……」
と呟くと、車長兼チームリーダーのナカジマが……
「中々、キツイなあ……」
と返し乍ら“そろそろ限界が近付いて居る”と直感していた。
何しろ、
此の3輌が近距離から連続射撃を続けているのだから、幾らポルシェティーガーが最大100~110㎜前後の重装甲を誇っているとは言え、耐え切れる筈が無い。
既に履帯が切れて被弾痕だらけの状態だったポルシェティーガーはあっと言う間にスクラップ同然の姿になって行った。
其れでも、最後に1発撃ち返したポルシェティーガーだったが、其の直後エリカの
此れでポルシェティーガーの88㎜砲の俯仰機構が壊れたのか、砲身がダラリと垂れ下がった後、場内アナウンスで……
「大洗女子学園、ポルシェティーガー走行不能!」
と伝えられると、遂に黒煙を吹き上げた“レオポンさんチーム”のポルシェティーガーに白旗が掲げられたのを見た観客達から絶望的な悲鳴が上がる中、聖グロリアーナ女学院の御茶会の席ではオレンジペコが……
「此れで、大洗の戦車はあと……」
“2輌”と呟き掛けた時、彼女と同じ1年生の
「「西住さんだけじゃ無い!未だ嵐の
と叫ぶと、御茶会の主人で在る聖グロ隊長・ダージリンも無言で小さく頷く。
其処へボンプル高隊長・ヤイカが珍しく興奮気味の声で……
「原園、黒森峰に
と叫ぶ中、隣で彼女の声を聞いて居たカチューシャも……
「ミホーシャに
と彼女らしい命令口調で叫び、其の声を肩車し乍ら聞いたノンナも小さく頷く中、試合会場内のスピーカーからは……
「突撃!中央広場へ急げ!」
と、ポルシェティーガーを撃破したエリカの声が響くが、次に入ってきたのは
「入り口前の
其れに対してエリカも焦り気味の大声で「戦車回収車急げ!」と叫ぶが、偶然にもこのタイミングで撃破されたポルシェティーガーの車内に未だ残っていた“レオポンさんチーム”のメンバー達が、此の場では場違いに感じる程のんびりとした声で……
「「ゆっくりで良いよ~♪」」
と述べたので、ホッとした気分になった観客席からは笑い声が響き渡ったのだが、此処で黒森峰側の“ある動き”を見た時雨が鋭い声を上げる。
「あっ、黒森峰の
すると彼女の声を聞いて超大型モニターからの実況映像を見たマルゲリータが叫ぶ!
「逸見副隊長の
其処へサンダース大学付属高校のケイ隊長が血相を変えて……
「何て事を!隊長同士の決闘の邪魔をする気なの!?」
と叫んだ後、彼女にしては珍しく“Fで始まる卑猥な4文字英単語”を口走った為、傍に居た時雨だけでなく副隊長のナオミとアリサ迄が驚愕する事態が起きていた。
一方、撃破された“
「此方レオポン。何かね~クロ高*2が無理矢理乗り越えようとしているから、気を付けてね~」
と報告したが、其の直後自分達のポルシェティーガーを乗り越えて行こうとするエリカの
「止めろ、黒森峰!」
「
「私達、そんな勝ち方なんて見たくないわ!みほさんとまほさん姉妹の対決を見守りなさいよ!」
「そうだ、止めろ!ヤ・メ・ロ!」
だが、観客達のブーイングも敬愛するまほ隊長を救おうとする気持ちで一杯なエリカの耳には届かない。
更には、ダージリンと共に御茶会をしていた後輩のオレンジペコ迄が「何て卑怯な事を!」と叫び乍ら憤激していたが、其の時会場内のスピーカーに“救いの声”が響き渡った!
『此方“ニワトリ”!“レオポンさん”の先輩方、直ぐ何かに掴まって衝撃に備えて下さい!』
そう…黒森峰戦車隊の真後ろに“ニ
其の声に会場内では大洗女子へ向けて大声援が送られる中“
「でも、此処で騎兵隊到着だなんてカッコ良いね!」
当然、黒森峰の選手達は此の遣り取りを聞いてはいないし、彼女達の視線は既に撃破された“
五代 百代の駆るパンター中戦車G後期型を撃破後、漸く廃校舎入り口前に居る黒森峰戦車隊の後方へ辿り着いた
『皆、此処で私達の最後の戦いを行うから、指示を聞き逃さないで!』
続けて、装填手・二階堂 舞へ向けて……
『舞、弾種・
其の指示に対して舞が即座に「了解!」と叫んだのを聞き乍ら、長年の相棒である砲手・
『瑞希、目標は正面入り口前の“
「任せて!」
瑞希からの心強い返事を聞き乍ら、私は“最後の戦いを如何締め括るか”について“覚悟”を決めていた。
『恐らく、此れを撃ったら間違い無く黒森峰の生き残りに反撃されて、こっちは間違い無く撃破される…だけど、此処であの逸見 エリカのティーガーⅡを討ち取れば西住先輩と
一方、エリカはまさか自分が“ニ
「今行きます!待っていて下さい、隊長!」
と叫んだが…もう遅かった。
実は此の時、エリカの
其れを見た砲手の瑞希が此のチャンスを見逃す筈も無く……
「人の恋路…いや、先輩方の対決を邪魔する奴は!」
と小声で呟いてから一呼吸置いた後、再び小声で……
「馬に蹴られて地獄へ落ちろー!!」
と、まるで“
『撃て!』
「えっ!?」
突如背中から“予想外のプレッシャー”を感じたエリカが後ろを振り向いた途端、目の前に
「黒森峰副隊長車、行動不能!」
其の時“西住流姉妹対決の
『相手に気付かれた以上、残り2輌を1遍に撃破するのは無理だから、右側のヤークトパンターを狙って!此れで本当に最後!』
そして“ニ
ヤークトパンターから白旗が揚がると、エミが車長用キューポラから顔を出し……
「あ~っ、今度こそ本当にやられた!」
との叫び声を聞いた黒森峰応援団からは“たかがシャーマン1輌でチームが全滅する!”と言う恐怖を味わい掛けていたが、其処へ1人の少女の叫びがスピーカーからこだまする。
「撃て!」
其の少女の名は、今や西住 まほのティーガーⅠ重戦車以外では唯一の黒森峰戦車道チームの生き残りとなったパンター中戦車G後期型の車長・赤星 小梅。
試合開始前に嵐と自己紹介をし合った彼女は後先考えず必死の思いで嵐の
「大洗女子学園、
審判団からの報告を無線で聞いて、自分がエリカ副隊長を仕留めた相手を撃破したと知った小梅は必死に戦った結果、前後の記憶が抜け落ちていた為に「えっ…私、撃破したの?」と当惑の声を上げたのだが…其処から周囲を確認しつつ
「ポルシェティーガーの上にエリカさんのティーガーⅡが乗っていて、中央広場への入り口を完全に塞いでいる…此れじゃあ、西住隊長やみほさん達の居る場所へ行く事が出来ない!」
そして、此の光景を見ていた試合会場内の観客とTVの実況中継を見ている視聴者達の前に、実況を担当する首都テレビの加登川 幸太アナウンサーの声が響き渡った。
「もう、此処から先は誰も西住姉妹の対決に割って入る者は居ません!」
斯くして“西住姉妹同士の対決で決勝戦の勝敗が決まる”と知った観客席から大歓声が上がる中、加登川アナウンサーの実況を大洗女子学園側応援席で聞いた1人の少女…五十鈴 華恋の脳裏に“天啓と覚悟”が閃く。
「そうだ!西住さんも原園さんも必死になって戦ったんだ…じゃあ、私も今から必死になって“みんなが知っているあの歌”を歌おう!あの歌なら日本中の人達が知っているし、西住さん達への応援にもなる筈!」
そして此の後、華恋が歌う“或る歌”が、此の試合“最大の伝説”を生み出す事になる。
(第104話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第104話をお送りしました。
唐突ですが、今回の“アレンジ”は如何だったでしょうか。
みほと百代が指揮する戦車の動きが、まるで合わせ鏡の様に同じと言う状況下、何と嵐ちゃんはまほの攻め方とは違ってフェイントを仕掛ける事で百代を撃破。
此の場面、本作中でも書きましたが“有り得たかもしれない、みほ対まほの対決のもう1つの結末”を意図して書いており、裏を返せば原作アニメ版の西住姉妹対決は其の様な妄想が浮かぶ位に“どちらも紙一重の戦いだった”のだと言う思いを込めています。
そして、嵐ちゃんは其処から廃校舎入り口へ向かい、レオポンさんを乗り越えてみほとまほの対決に茶々を入れようとしたエリカをも撃破!
実は此れ、自分が本作を始めた当初から“絶対にやりたかった場面”でした。
ハッキリ言って、あそこでのエリカの行動は感情的乍ら“許しがたい”一面が有ったので、本作で思い切りシバキ倒した次第。
そして暴れ回った嵐ちゃんは直下さん(迫真)を倒した後、小梅ちゃん(本作での彼女は、作者の独断による優遇枠です)に倒される訳ですが、時既に遅く、廃校舎の入り口は撃破されたポルシェティーガーとエリカのティーガーⅡで完全に塞がれ、もう誰もみほとまほの対決に入って来れない。
此れで、本作の決勝戦は完全に西住姉妹の対決に全てが託された事になりますが、次回は其の前に嵐達と観客席で動きが有りますので、もう少しだけ御待ち下さい。
其れでは、次回をお楽しみに。