戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回はタイトル通り、全国大会前最後の話となります。
それでは、どうぞ。



第34話「もう直ぐ、全国大会1回戦です!!」

 

 

 

此処は、前々回から引き続き「秋山理髪店」の店舗兼住宅の2階にある秋山 優花里先輩の部屋。

 

今日、学校に来なかった秋山先輩と私を探しに、この部屋までやって来た西住先輩達“あんこうチーム”のメンバーと瑞希は、秋山先輩と私が撮影した「実録!突撃!!サンダース大付属高校」なるタイトルの動画を部屋にあるTVで見ていた。

 

その動画の最後に、次の様なテロップが流れる。

 

 

 

出演 秋山 優花里

 

   原園 嵐

 

撮影 原園 嵐

 

編集 秋山 優花里

 

協力 みんなのコンビニ・ファミリーサンクル

 

   サンダース大学付属高校

 

協賛 秋山理髪店

 

 

 

こうして、秋山先輩と私が(命懸けで)撮影した動画の再生が終了すると、TVの前に座っている冷泉先輩が、呆れた口調で動画を見た率直な感想を語った。

 

 

 

「何という無茶を……」

 

 

 

それに対して、秋山先輩が元気一杯な声で「頑張りました!」と返事をしたが、今度は武部先輩が不安そうな声で秋山先輩へ「いいの…こんな事して?」と問い掛ける。

 

すると、秋山先輩は“心配無用”とばかりに、こう語った。

 

 

 

「“試合前の偵察行為”は、承認されています」

 

 

 

確かに…戦車道では、試合前に相手側の情報を収集する為の“偵察或いはスパイ行為”を行う事が認められている。

 

だが秋山先輩の説明には“語られていない部分”があるので、代わりに私が補足説明する事にした…私を“拉致”同然の手段で、対戦校の潜入作戦へ巻き込んだ秋山先輩に対する文句も兼ねて。

 

 

 

『でも本当に捕まるかと思いました…秋山先輩、若しも相手側に身柄を拘束されたら、()()()()()()()()()()()()のですよ!?』

 

 

 

「原園殿、ちゃんと逃げ出せたから良かったでは無いですか?」

 

 

 

『それは、そうですけど……』

 

 

 

しかし、当の秋山先輩はキョトンとした表情で答えたので、私は困惑した表情で言い返すのが精一杯だった。

 

そんな中、秋山先輩は再生が終わった動画を収めたメモリースティックを、差し込んでいたTVから抜き取ると、それを西住先輩の前に差し出して、こう語る。

 

 

 

「西住殿…オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさって下さい」

 

 

 

すると西住先輩は、嬉しそうな表情で秋山先輩が差し出したメモリースティックを受け取った後、明るい声で御礼を言った。

 

 

 

「有難う。秋山さんのお陰でフラッグ車も分かったし、頑張って戦術立ててみる!」

 

 

 

私は、西住先輩の嬉しそうな声と表情を見て、こう思った。

 

ああ、やっぱり秋山先輩は凄いよ…私も“西住先輩の為に何とかしなきゃ”とは思っていたけれど、此処迄やろうとは考えもしなかった。

 

“秋山先輩、私を拉致しただなんて文句を言って済みませんでした”と、心の中で秋山先輩へ謝罪していた所、西住先輩達の直ぐ後ろに座っている瑞希が私に向かってニヤニヤ笑っていたので、思わず私は瑞希を睨み返すが、当人は悪びれずに“てへぺろ”顔を私に見せ付けて居る。

 

すると、その様子を見ていた武部先輩と冷泉先輩が、心配そうな表情で秋山先輩と私へ声を掛けて来た。

 

 

 

「無事で良かったよ。“ゆかりん”に“らんらん()”も」

 

 

 

「2人共、怪我は無いのか?」

 

 

 

『はい…秋山先輩も私も、奇跡的に掠り傷一つ無く』

 

 

 

「ドキドキしました」

 

 

 

私は直ちに、心配を掛けた先輩達へ申し訳無い表情で返事をすると、五十鈴先輩が私達の“潜入作戦”についての感想を率直に述べた。

 

その次の瞬間である。

 

 

 

「心配して頂いて恐縮です…態々家まで来て貰って」

 

 

 

先輩達の声を聞いた秋山先輩が少し目を潤ませながら、嬉しそうに感謝の言葉を述べたのだ。

 

その言葉を聞いた五十鈴先輩が「いいえ、お陰で秋山さんの部屋も見れましたし」と返事をしたが、秋山先輩は目を潤ませ続けながら、話を続ける。

 

 

 

「あの…部屋に来てくれたのは、皆さんが初めてです。私、ずっと戦車が友達だったので……」

 

 

 

すると話を聞いていた武部先輩が、何時の間に持ち出したのか、秋山先輩のアルバムを眺めながら一言。

 

 

 

「ホントだ…アルバムの中、殆ど戦車の写真」

 

 

 

その姿を見た秋山先輩が、「えっ?」と不意を衝かれた表情で武部先輩へ問い掛けた所、武部先輩は不思議そうな声で、こんな事を言い出した。

 

 

 

「何で、パンチパーマ?」

 

 

 

実は、武部先輩が広げているアルバムのページの右上に、陸上自衛達の駐屯地祭で親が撮影したと思われる「赤外線投光器を装備した74式戦車をバックに、小学生時代の秋山先輩が写っている写真」が収められているのだが…確かに髪型が“パンチパーマ”である。

 

その写真を武部先輩の傍から覗き込んだ瑞希が「こ…これは!?」と絶句していると、秋山先輩が髪の毛を弄りながら、パンチパーマにしていた理由を説明した。

 

 

 

「癖毛が嫌だったし、父がしているのを見て“カッコイイ”と思って…中学からはパーマ禁止だったんで、元に戻したんですけど」

 

 

 

だが…その理由を聞いた武部先輩は、呆れた表情でこんな事を言い出す。

 

 

 

「いや…友達出来なかったの()()じゃなくて、この()()の所為じゃ?」

 

 

 

「同感です」

 

 

 

次の瞬間、同じく呆れ顔をしていた瑞希も武部先輩の意見に同調した結果、秋山先輩は意表を突かれた表情で「えっ!?」と当惑していた。

 

すると、その様子を五十鈴先輩と一緒に眺めていた冷泉先輩が、落ち着いた口調で話題を変える。

 

 

 

「何にせよ、1回戦を突破せねば」

 

 

 

その一言で、話題が戦車道全国大会初戦へ向けての話に変わると、冷泉先輩の隣に座っている五十鈴先輩がファイティングポーズを“可愛く”決めて「頑張りましょう!」と皆へ呼び掛けた。

 

 

 

『そうですね!』

 

 

 

五十鈴先輩の呼び掛けに、私も元気良く答えたが、此処で武部先輩が心配そうな表情を浮かべると、冷泉先輩へ“ある忠告”をする。

 

 

 

「一番()()()()()()()()()()のは、麻子でしょ?」

 

 

 

「何で?」

 

 

 

親友である武部先輩からの忠告に、冷泉先輩が平然とした表情で問い掛けると、武部先輩が不安そうな表情で、今後の冷泉先輩にとって“決定的な課題”を告げた。

 

 

 

「明日から、()()始まるよ!?」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

斯くして…“寝坊助にして遅刻魔”であるにも関わらず、明日から“全国大会へ向けての早朝練習”があると言う現実を理解出来ないまま、武部先輩へ一言洩らした冷泉先輩を見兼ねた私は、こうツッコまざるを得なくなった。

 

 

 

『冷泉先輩、“えっ”じゃないです!』

 

 

 

でも私は…このお陰で、潜入動画によって“みなかみタンカーズ時代の親友がサンダース大付属に居る”と言う事実を西住先輩達に知られたにも関わらず、この点について先輩達から問い詰められずに済んでいる事に、心の中で安堵していた。

 

勿論、何れは皆に告白しなければならない事を覚悟しながら……

 

 

 

 

 

 

こうして、何とか成功を収めた(?)サンダース大付属・学園艦への“潜入作戦”から数日後の放課後。

 

 

 

「それでは、本日の練習を終了する。解散!」

 

 

 

「「「お疲れ様でしたー!」」」

 

 

 

この日も戦車道全国大会へ向けての練習が終わり、集合場所の戦車格納庫の前で生徒会広報の河嶋 桃から練習終了の号令と皆の挨拶が終わると、各チームのメンバーは其々、この後の予定や下校中の帰り道に何処へ寄るかの話題で盛り上がっていた。

 

勿論、西住 みほ隊長率いる“あんこうチーム”も例外では無い。

 

 

 

「お疲れ様」

 

 

 

みほが皆へ声を掛けると、沙織がホッとした表情で答える。

 

 

 

「疲れた~“みなかみ戦車堂”の喫茶店で甘い物が食べたい!」

 

 

 

其処で、みほは「何か食べて帰る?」と問い掛けた所、沙織も「うん♪」と返事をしたのだが…次の瞬間、沙織の後ろに居た華がみほに気付かれない様に沙織の背中を押すと、彼女は“何か”を思い出したらしく、慌てて約束をキャンセルした。

 

 

 

「あっ…私達、一寸用事があるから“みぽりん”、先に帰って良いよ?」

 

 

 

「えっ…うん」

 

 

 

沙織の急な“心変わり”を目の当たりにしたみほは、その様子を不思議がりながらもチームの仲間達と別れて、戦車格納庫から立ち去った。

 

 

 

しかし…この直後。

 

何処からともなく戦車道履修生メンバーの内、生徒会三役を除く全員が隊長であるみほに気付かれない様に、再び戦車格納庫の前に集合したのだ。

 

そして、集まった皆の前に“ニワトリさんチーム”の天才砲手・野々坂瑞希が姿を現すと、彼女は真剣な表情で皆の様子を確認した後、鋭い口調で皆へ呼び掛けた。

 

 

 

「皆さん、集まりましたね。では、これより…!」

 

 

 

 

 

 

それから暫く経った、夕暮れ時。

 

“あんこうチーム”の皆と別れて下校した筈の西住 みほは、自分のクラスである普通Ⅰ科2年A組の教室に戻っていた。

 

実は下校中、戦車道全国大会1回戦・サンダース大付属との試合に勝つ為の情報やアイデア等を纏めた“作戦ノート”を教室の自分の机に置き忘れてしまった事に気付いた為、教室へ戻って来たのである。

 

 

 

「良かった……」

 

 

 

幸い、みほの予想通り“作戦ノート”は自分の机の中に在ったので、ホッとした彼女はそれを回収して教室を出ようとした時。

 

 

 

「あれっ?」

 

 

 

自分の席の右後ろにある沙織と華の席に視線を向けたみほは、2人の鞄が机の左側のフックに掛けられたままである事に気付いて不思議に思った。

 

 

 

「2人共、未だ帰っていないのかな?」

 

 

 

もう夕暮れ時だと言うのに、沙織や華は学校で何をしているのだろう?

 

みほがその様に考えていた次の瞬間。

 

校庭から()()()()()戦車のエンジン音が響いて来た。

 

それも“あんこうチーム”のⅣ号戦車D型だけでは無く、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「!?」

 

 

 

驚いたみほは直ぐ様教室を飛び出すと、校庭目指して走り始めた。

 

 

 

 

 

 

西住隊長が、教室から駆け足で戦車格納庫前へ向かっていた頃。

 

私は戦車格納庫の前で、“あんこうチーム”のⅣ号戦車D型がスラローム走行の練習をしている様子を見守っていた。

 

其処へ、今日の放課後の()()として何度目かのスラローム走行の練習を終えたⅣ号戦車が私の前で停車すると、私の隣で走行タイムをストップウォッチで計測していた名取 佐智子ちゃんが嬉しそうな表情で、今のスラローム走行に要した時間を報告した。

 

 

 

「9秒16!さっきよりコンマ4秒も短縮出来ましたよ!」

 

 

 

“あんこうチーム”が、前回よりタイムを更新した事を我が事の様に喜ぶ佐智子ちゃん。

 

彼女の笑顔を見た私も嬉しくなって微笑むと、“あんこうチーム”のメンバーがⅣ号戦車のハッチを開けて其々顔を出すと同時に、秋山先輩が「やった!」と歓声を上げる。

 

 

 

「次は、もっと速く動いて見せます!」

 

 

 

続いて、西住隊長の代理として臨時の車長を務めている五十鈴先輩が、砲塔上のキューポラから気合の入った宣言をしたのを聞いた私は、先輩方へこう告げた。

 

 

 

『先輩方は、最初の時よりも着実に速くなっていますから…じゃあ、今度は9秒切りを目指しましょう!』

 

 

 

すると“あんこうチーム”の先輩方は私に向かって一斉に「「「「うん!」」」」と、大きな声で返事をしてくれた。

 

戦車道では、私の方が経験者とは言え後輩から“指導”を受けるのは、先輩方にとって決して面白くない筈なのに“あんこうチーム”の皆さんは、私からの指導を素直に聞いてくれている。

 

これ、責任重大だよ…と、我ながらプレッシャーを感じていた時だった。

 

 

 

「皆?」

 

 

 

そこへ、先程武部先輩に薦められて下校した筈の西住隊長が私達の前に現れたのだ。

 

 

 

「「「『あっ!?』」」」

 

 

 

「未だ練習していたんだ…それに、()()()()()()()()()!?」

 

 

 

西住隊長に隠していた()()の様子がバレて慌てる私達だが、隊長も私達の様子を見て驚いている。

 

それも其の筈…この場には、あんこうチームのⅣ号戦車D型だけでなく、アヒルさんチームの八九式中戦車甲型、カバさんチームのⅢ号突撃砲F型、ウサギさんチームのM3中戦車リーの合計4チームの戦車とメンバーが揃っており、其々テーマを決めた()()を行っていたのだ。

 

しかも特訓中の各チームには、“教官”役として唯一の戦車道履修経験者のチームである、私達“ニワトリさんチーム”のメンバーが1人ずつ付いて指導している。

 

“アヒルさんチーム”には萩岡 菫が付いて、基本操縦の訓練。

 

“カバさんチーム”には野々坂 瑞希が付いて、発砲こそ行わないものの射撃動作や移動等の反復訓練。

 

“ウサギさんチーム”は、二階堂 舞の指導の下、基本的な動作を叩き込んでいる。

 

そして“あんこうチーム”は、私・原園 嵐の指導で、スラローム走行等の“操縦の応用動作”をテーマに練習をしており、私の補佐として本来は“カメさんチーム”の装填手である名取 佐智子ちゃんが付いて“あんこうチーム”の走行タイムを計測していた。

 

そこへ我らが“ニワトリさんチーム”の副操縦手である長沢 良恵ちゃんが、クーラーボックスを積んだリヤカーを牽いて西住隊長の前にやって来る…これは生徒会の計らいで、この特訓に参加した履修生達の為に用意された、冷たい飲み物を持って来たのだ。

 

 

 

「皆さん、生徒会からの差し入れです…あっ、西住隊長!?」

 

 

 

「皆…如何したの?」

 

 

 

目の前に西住隊長が居るのに気付いた佐智子ちゃんが驚きの声を上げる中、西住隊長は不思議そうな表情で私達に向かって、“自分に内緒で特訓していた理由”を問い掛ける。

 

すると、武部先輩が済まなそうな表情を浮かべながら、釈明を始めた。

 

 

 

「私達、“みぽりん”の足を引っ張らない様にしなきゃと思って……」

 

 

 

続いて、Ⅳ号戦車のキューポラから顔を出している五十鈴先輩が、両手で握り拳を作りつつ、事情を語る。

 

 

 

「“みほさんのお姉さん達を見返してやりましょうね”って“あんこうチーム”の皆で話していたのです」

 

 

 

其処へ、何時の間にか私の隣までやって来ていた瑞希が、気合の入った表情で説明を続けた。

 

 

 

「で…その先輩方の話を偶然通り掛かった私が聞き付けて『ならば、メンバー全員を巻き込んで放課後に特訓をしましょう!』って、提案したのです!」

 

 

 

「それで、皆で特訓を?」

 

 

 

皆の話を聞いていた西住隊長が、驚いた表情で更に問い掛けると、「放課後特訓の()()()である瑞希が、“それ”を提案した理由について語った。

 

 

 

「先日の組み合わせ抽選会の後、戦車喫茶ルクレールで隊長と“あんこうチーム”の先輩方が、黒森峰女学園の副隊長(逸見 エリカ)から無礼極まりない仕打ちを受けたじゃないですか…私もあれは、正直許せなくて!」

 

 

 

「それで、今朝の朝練が終わった後、野々坂殿が西住殿には内緒で皆に呼び掛けて、昼休みにこの格納庫の前に集まった皆の前で凄い演説をぶったのですよ!」

 

 

 

瑞希の話の後を受けて、秋山先輩が皆に“秘密の特訓”の事を伝えた時の瑞希の行動を説明した途端、瑞希本人がその時の演説の一節を再現する。

 

 

 

「黒森峰女学園の無礼なる者共(逸見 エリカと五代 百代)に思い知らせ、西住隊長や先輩方の名誉と母校の未来の為に、我が大洗女子学園は立たねばならんのである!」

 

 

 

だが…その演説が「某・宇宙世紀を舞台にしたロボットアニメの名場面」()()()()である点を知る私は、即座にツッコミを入れた。

 

 

 

『ののっち…昼休みの時も言ったけれど、そこは“ア・バオア・クーでのギレン総帥の演説”からのパクリでしょ!?』

 

 

 

「あっ、バレてた?」

 

 

 

『バレバレよ!』

 

 

 

呆れた表情を浮かべる私と“てへぺろ”顔で()()()瑞希による掛け合いで、緊張していた皆の表情が和んだ後、他のチームのリーダー達が次々と()()に参加した理由を語り始めた。

 

「それで、私達は野々坂の演説を聞いて、全員()()に参加する事にしたんだよ」と語るのは、“アヒルさんチーム”のリーダーにしてバレー部キャプテンでもある磯辺先輩。

 

「私達もまだまだ未熟だから、もっと鍛えなければと思ってな」と腕組みしながら答えたのは、“カバさんチーム”のリーダーで、Ⅲ号突撃砲F型の装填手を務めるカエサル先輩だ。

 

そして“ウサギさんチーム”のリーダーである梓も握り拳を作りながら「私達も、もう二度と試合中に逃げ出したくないから、()()に参加しようって、皆で決めたんです!」と、大声で西住隊長に告げた。

 

各チームの仲間達も其々のリーダーの話を聞きながら、真剣な表情で頷いている者もいれば、梓と同じチームのあゆみの様に「私もです!」と、決意を語る者もいる。

 

そんな各チームのリーダー達の“決意表明”を聞いた西住隊長が目を見開いていると、更に瑞希がこんな事を語り出す。

 

 

 

「勿論…私達“ニワトリさんチーム”も、此の儘引き下がっちゃあ居られません!」

 

 

 

それに続いて、今度は菫、舞の順で、みなかみタンカーズ組のメンバーが()()でやっている事についての説明を始めた。

 

 

 

「そこで、()()()の私達が、隊長の代わりに皆へ戦車の動かし方や戦い方を教える事にしたんです!」

 

 

 

「私達も去年の中学生大会の決勝戦では、黒森峰の中等部(百代達)相手に悔しい思いをしているから、皆と一緒に頑張ろうと思って…知っている事は全部教えるつもりです!」

 

 

 

此処で、仲間2人の発言を聞いて頷いた瑞希が説明を続ける。

 

 

 

「あと、生徒会三役は生徒会の業務があるので、今日の特訓には参加出来ませんが、明日は参加してくれるそうです」

 

 

 

すると此処で、瑞希は言葉を切ると私に目配せをして来たので、私は西住隊長に視線を合わせてから、この()()を黙っていた理由を告げた。

 

 

 

『そして…西住隊長には、今度の全国大会へ向けての作戦立案に専念して貰おうと思って、私達だけで()()をやろうって話になったのです…隊長、黙っていて済みませんでした!』

 

 

 

「「「「「済みませんでした!」」」」」

 

 

 

話の最後に、私が深々と頭を下げて謝罪したのに続いて、この場にいた仲間達全員も一斉に頭を下げて謝罪すると、西住隊長は一瞬戸惑いの表情を浮かべたが、次の瞬間薄っすらと目に涙を浮かべながら、笑顔で私達に御礼を言ってくれた。

 

 

 

「皆…有難う!」

 

 

 

 

 

 

こうして…私達はこの日から、“通常の”戦車道の授業とは別に、毎日朝練と放課後の2回の“特訓”を1時間ずつ熟す事になった。

 

最初、私達タンカーズ組は「練習時間が長くなる分、皆の疲労が溜まって逆効果になるのでは?」と心配していたが、やってみると意外な事に、皆が自発的且つ“楽しそう”に練習に取り組んでいたので、仲間達の疲労の問題は杞憂に終わった。

 

そんなある日、私達戦車道履修生全員は体育館に呼ばれて、風紀委員の園先輩から「被服科の協力で、戦車道用のパンツァージャケットを制作する事になったわ」と告げられた後、風紀委員によって全員の体のサイズを採寸された。

 

因みに、その時秋山先輩は、園先輩が後輩の風紀委員に報告している西住先輩の3サイズを聞いて興奮していたが…秋山先輩、まさかそんな(百合の)趣味があるのですか?

 

それは兎も角、()()を重ねる内に各チームの技量は聖グロとの練習(親善)試合時に比べても格段に進歩し、練習の指導に来ている鷹代さんが「ほんの少しの練習期間で、これだけ上手くなるとは…凄いじゃないか!」と驚きの声を上げ、陸自の機甲教導連隊から再び視察にやって来た蝶野教官も満足する程の出来栄えになった。

 

こうして、チームの雰囲気が全国大会へ向けて盛り上がる中、風紀委員によって採寸されたサイズに従って新調された“パンツァージャケット”が私達の手元に届く日がやって来た。

 

 

 

「「「わーっ!」」」

 

 

 

“あんこうチーム”を始め“パンツァージャケット”を着用した全員が喜びの声を上げる中、五十鈴先輩が“あんこうチーム”の仲間達に話し掛ける。

 

 

 

「皆さん、とってもお似合いです♪」

 

 

 

すると、武部先輩が頷きながらこう語った。

 

 

 

「いーじゃん、気に入っちゃった!」

 

 

 

そこへ、二人の会話を聞いた瑞希も笑顔でこう語る。

 

 

 

「他のどの高校とも違うデザインなのが良いですね。私も気に入りました!」

 

 

 

その言葉を聞いた菫と舞が「「私も!」」も元気良く返事をすると、良恵ちゃんが私へ「私もそう思うけど、原園さんはどう思います?」と問い掛けて来たので、私も笑顔を浮かべながらこう答えた。

 

 

 

『うん!私も瑞希の言う通り、良いデザインだと思うな♪』

 

 

 

実は…戦車道をやっている高校の“パンツァージャケット”のデザインは「自分達の学校がリスペクトしている国の軍隊の制服」、つまり“軍服”をモチーフにしているのが常識なのである。

 

その為、“どの国の軍服とも異なるデザイン”を用いている大洗女子のパンツァージャケットは、私や瑞希達戦車道経験者にとっては非常に新鮮であり、同時にそれが嬉しかったのだ。

 

 

 

 

 

 

そして遂に、大洗女子学園戦車道チームは「第63回戦車道全国高校生大会」の第1回戦・対サンダース大付属戦を迎える事になったのだ。

 

 

 

(第34話、終わり)

 





此処まで読んで下さり、ありがとうございます。
第34話をお送りしました。

まず、今回のネタですが…「実録!突撃!!サンダース大付属高校」のスタッフロール、協力のコンビニの名称がアニメ版と変わっているのは、察して下さい。
そのコンビニも現在は合併により、存在しませんし(苦笑)。
次に特訓のシーンですが、本作では瑞希達が他のチームも巻き込んだ全体練習の形にしてみました。
こう言うのは、皆が揃ってやった方が“熱い”じゃないですか。
そして、原作とは異なる特訓の成果も試合の中で出るかも…?

そして次回から、全国大会の初戦が始まります。
前回予告した通り、試合に臨む嵐ちゃんの前にサンダース大付属へ行った“嘗ての親友”が現れますが…そこでまた、一触即発の事態が。
どうなる、嵐ちゃん!?

それでは、次回をお楽しみに。

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