戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回は主人公の嵐ちゃんも西住殿も登場しない為、番外編と成ります。
但し今後の展開のフラグとなりそうな話が出て来ますので、お楽しみに。
其れでは何時もより短めですが、どうぞ。

そして…いよいよ“水曜どうでしょう最新作2020”の放送が10月28日に迫って来ましたねぇ。
実はウチの地元の朝日系列局、先月下旬に“初めてのアフリカ”の再々放送が終わった翌週から何故か“ヨーロッパ21カ国完全制覇”を放送しているんですよ…と言う事は、此れが終わったらウチの地元でも最新作の放送と言う事になるんですかねぇ(迫真)。

※2020年10月22日に、以下の様に本文内容の一部を改訂の上、記述を追加しました。
一・新たな登場人物の名前を強調。
二・後半のプラウダ高校についての解説部分を改訂の上、記述を追加。



第42.5話「番外編~一回戦終了後の生徒会とその他の試合です!!」

 

 

 

大洗女子学園戦車道チームが、全国大会初戦でサンダース大付属高校に劇的な勝利を収めた翌日…此処は大洗女子学園・生徒会長室。

 

其処では、四人の女子高生と一人の成人女性が応接セットのソファーに座って何やら話し合って居る。

 

 

 

「明日はプラウダ高校、明後日は黒森峰女学園が其々一回戦の試合だな」

 

 

 

先ず、大洗女子学園生徒会広報にして“カメさんチーム”では車長兼砲手と言う“一人三役”を()()()()遣らされている河嶋 桃が、会長室の応接用セットの前に置かれているホワイトボードに張り出された、「第63回戦車道全国高校生大会・トーナメント表」に時折目を遣りながら今後の一回戦の日程を説明すると、学園の生徒会長・角谷 杏が興味無さそうな声で呟く。

 

 

 

「まっ、順当に勝つだろうね」

 

 

 

其の言葉に桃と副会長の小山 柚子、そして“カメさんチーム”の装填手にして生徒会では一年生ながら「戦車道担当・副会長補佐官」の肩書で柚子の補佐を担当している名取 佐智子が頷くが、此処で原園 明美の親友にして大洗女子学園戦車道チームのスポンサーの一人でもある周防ケミカル工業株式会社・社長の周防 長門が冷静な声で指摘をした。

 

 

 

「いや、戦車道は“単に勝つ”()()()()()()試合内容も重要だ」

 

 

 

其の声に杏達が注目する中、長門は話を続ける。

 

 

 

「試合内容をしっかり見て行けば、相手チームが抱えている“弱点”や“綻び”も見えて来る…其処から、君達が“次の試合で勝つ為のヒント”も見えて来るんだ」

 

 

 

鋭い視線を生徒会の面々に浴びせつつ、今後の試合に向けて必要な準備を的確に指摘する長門。

 

“本来の”彼女は、仕事の時も戦車道の時も相手に対して適度な緊張感を与えつつ、萎縮しない様に配慮しながら必要な指示やアドバイスを与える事で、部下や戦車道の後輩達を指導する術に長けているのだ…但し夫と二人の息子()()()()()()()“西住 みほ”が絡んだ途端、彼女は“危ないストーカー”へ変貌するのだが。

 

其の話を聞いた角谷会長は、不敵な表情を浮かべながら長門へ返事をする。

 

 

 

「流石は長門さん、黒森峰で副隊長をしていた人の言葉は違いますね」

 

 

 

「煽てても何も出ないぞ。其れより今、みほちゃん達は明美や嵐と一緒に冷泉さんの御婆様の入院先へお見舞いに行っているんだったな?」

 

 

 

角谷会長の発言に、長門が苦笑いを見せながらツッコミを入れつつ副会長の柚子にみほ達の様子を窺うと彼女は「そうです」と答える。

 

すると、此処迄発言をしていなかった少女・名取 佐智子が真剣な表情で長門へ質問した。

 

 

 

「其れより周防さん。()()()ですが、本当なのですね?」

 

 

 

其の時、角谷会長に向けて苦笑いを浮かべていた長門は、()()()苦い表情に変えると、佐智子へ向かって頷きながら質問に答えた。

 

 

 

「ああ…本当は、生徒会三役と嵐達“みなかみタンカーズ”組の四人以外には知られて欲しく無かったのだが」

 

 

 

「確かに、そうですね」

 

 

 

長門からの苦渋に満ちた返答を聞いて頷く佐智子だが、此処で彼女が切り出した()()()とは一体何なのだろうか?

 

実を言うと、此の話はサンダース大付属との一回戦の最中(さなか)に“カメさんチーム”の車内で起きた出来事が原因で佐智子が知る事になった、()()()()を巡る話なのである。

 

 

 

 

 

 

其れは、サンダース大付属との一回戦で大洗女子が追い詰められ試合を諦め掛けていた時、隊長のみほがチームの皆へこう呼び掛けた直後だった。

 

 

 

「諦めたら、負けなんです!」

 

 

 

此の時“カメさんチーム(38t軽戦車B/C型)”の車内では、みほからの必死の呼び掛けを聞いた柚子が「諦めたら…負け」と呟き、其れを聞いた角谷会長が「ウンウン」と頷いたのを見た佐智子が先輩達を鼓舞する様に「そうですよね、()()()()()()()ですもんね!」と声を掛けた…ところが此処に、一人の“()()()”が居たのである。

 

 

 

「いや、もうダメだよ柚子ちゃ~ん」

 

 

 

真っ先に戦意を喪失したのか、河嶋 桃が泣きながら弱音を吐いているではないか。

 

 

 

其れを見た柚子がすかさず「大丈夫、大丈夫……」と声を掛け、角谷会長は桃の頭を撫でて慰めていたが、其の時()()()()()()()()である事に気付いた佐智子は、思わず涙ぐんでいる桃に向かって叱咤する。

 

 

 

「河嶋先輩、何で()()()()諦めるんですか…このダメ人間(●スター)!」

 

 

 

ところが…其の時桃は、後輩の佐智子に向かって()()()()を口走ったのだ!

 

 

 

「何だと、名取!此処で我々が負けたら、我が校は()()…あっ!」

 

 

 

「「!」」

 

 

 

次の瞬間、自分達が学園生徒に対して隠して来た「秘密」を()()()()()()()()事に気付いて愕然となる生徒会三役。

 

だが、時既に遅し…桃の発言を聞いてしまった佐智子は、驚愕の表情で生徒会三役に向かって叫んだ。

 

 

 

「えっ…“()()()()()()()()()()”って、一体如何言う事ですか!?」

 

 

 

何と…有ろう事か、桃は自分達生徒会三役と原園 嵐達“群馬みなかみタンカーズ”のメンバーや明美達“チームのスポンサーとその関係者”以外には秘匿していた「この全国大会で負けたら母校は廃校になる」と言う事実を佐智子に漏らしてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

そして、舞台は再び生徒会長室に戻る。

 

 

 

「まさか文科省から今年度一杯で学園の廃校が通告されていて、其れを()()()()為の手段が“戦車道全国高校生大会で優勝する”だったなんて」

 

 

 

佐智子が試合中に聞かされた()()()()()を思い出していると、角谷会長がバツの悪そうな表情で説明をする。

 

 

 

「まあ…本当は、私達“生徒会と原園ちゃん達だけの秘密”だったんだけどね」

 

 

 

其れに対して佐智子は「分かっています。この話は墓場の中迄持って行く心算です」と答えた。

 

既に佐智子は、一回戦終了後に角谷会長達生徒会の面々から“真相”を知らされた段階で「この秘密は絶対に守ります」と宣言していたが、此処で佐智子は改めて自らの決意を語る。

 

 

 

「例えこの秘密を、仲間達にバラしたとしても良い事は何も無いし、下手をすればチームがバラバラになってしまうと思います。其れよりも、今は目の前の試合を勝って行く事の方が大事ですから、“皆で出来る事”を遣り切るべきだ、と考えます」

 

 

 

そんな佐智子からの決意を聞いて、先程迄とは表情を一変させて真面目になった角谷会長が頷きながら「済まないね、名取ちゃん。今後も、其の意気で小山の補佐を頼むよ」と答えると、佐智子と共に頷いていた長門が、一回戦の今後の試合について指摘をする。

 

 

 

「其れとさっきの話の続きになるが、首都テレビで実況中継される予定の一回戦の残り試合は全て“録画した上でチェック”した方が良い…例え一回戦でも、“異変”は()()()()()()()()()()()だからな

 

 

 

其の話を聞いた生徒会の面々は、一斉に長門に向かって頷いたが…其の後、一回戦の残り試合の“内容”が長門の指摘通りの展開になるとは、此の時は誰も想像出来ていなかったのである。

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園の生徒会長室で密談が交わされた翌日、日本国内某所の試合会場では第63回戦車道全国高校生大会の一回戦第五試合が行われていた。

 

 

 

「試合終了…青森県代表・プラウダ高校が福井県代表・ボンプル高校を破って二回戦へ進出です!」

 

 

 

試合の実況を担当する、首都テレビの加登川 幸太アナウンサーの声で試合終了が告げられる…ところが次の瞬間、加登川アナウンサーは“意外な”発言をした。

 

 

 

「しかし解説の吉山さん、ボンプル高校も良い所まで行ったんですけどね」

 

 

 

そう…プラウダ高校はボンプル高校に“圧勝”した訳では無かったのだ。

 

其れに対して、此の試合の解説を担当した軍事研究家兼戦車道解説者の吉山 和則(よしやま かずのり)が簡潔に説明する。

 

 

 

「ええ。ボンプルは一本道を進撃していたプラウダの不意を突いて、丘の上で待ち伏せていた7TP軽戦車でプラウダのフラッグ車を狙撃、()()()()()()()所までは良かったのですが…如何せん37㎜砲では、T-34/76の砲塔部装甲板を射抜く事は叶いませんでしたね」

 

 

 

此の吉山の解説に対して、加登川アナウンサーは「其れは“若しもボンプル高校に()()()()()()()が有ったなら?”と言う事でしょうか?」と指摘をすると、吉山は頷きながらこう答えた。

 

 

 

「戦車道に“若しも(IF)”は有りませんが、そう“()()()()()()()()()()内容の試合”だった事は確かです」

 

 

 

一方、試合が終わった直後のフィールドでは……

 

 

 

「フッ…原園。一矢報いる事は叶わなかったが、()()は残したぞ」

 

 

 

プラウダ高校のソ連戦車軍団の前に、一輌も撃破出来ない儘全滅した()のボンプル高校隊長・ヤイカは、“敗者”とは思えない程不敵な表情を浮かべている。

 

そんな彼女は、相手側のフラッグ車を見詰めつつ、前日初戦を突破した大洗女子の原園 嵐の顔を思い浮かべながら呟いていた。

 

そしてヤイカの周りには、副隊長のウシュカやピエロギ・マイコを始めとするボンプル高校の仲間達が“悔しそうだが納得した表情”を浮かべている。

 

何故、彼女達は「負けて悔しいのに()()()()()()()()」のだろうか?

 

其の理由は…彼女達の視線の先に在るプラウダ高校のフラッグ車・T-34/76中戦車の砲塔右側面装甲板に刻まれた()()を見れば、一目瞭然だった。

 

 

 

「ノンナ、フラッグ車は大丈夫だった?被弾したのは此方からでも分かったけれど」

 

 

 

一方、此の試合に勝利したプラウダ高校側だが、隊長のカチューシャが試合終了後真っ先に、試合の“実際の”指揮を執った副隊長のノンナを気遣う様に無線で呼び掛けると、ノンナが済まなそうな声で返信して来た。

 

 

 

「申し訳有りません、カチューシャ様。相手を“弱小校”と見て侮っておりました…まさか、ひまわり畑に隠れて此方を奇襲すると同時に、別動隊が一本道の右側に在る丘の上から“フラッグ車狙いの()()”を仕掛けるとは」

 

 

 

そう…実は此の試合、ノンナが語っている通り、プラウダ高校はボンプル高校から思わぬ()()()()を受けていたのである。

 

試合開始前、プラウダ高校はボンプル高校の戦車が“豆戦車と軽戦車のみ”である為、プラウダが誇るT-34/76とT-34/85中戦車やKV-2重戦車の()()()()()事を考慮に入れ、“(わざ)と”試合フィールド内の(ほぼ)中央に在る“『築堤上の一本道』を前進する作戦”を立てた。

 

此れにより、築堤の左右に広がる背の高いひまわり畑に隠れて前進するであろうボンプル高校の全戦車を、“距離300mの地点迄誘き寄せてから一網打尽にする”つもりだったのだが…ボンプル高校隊長・ヤイカは、プラウダの策に乗りつつも()()()を仕掛けていたのだ。

 

其れは、築堤上の一本道からやや離れた場所に在る丘の上に37㎜砲装備の7TP軽戦車を潜ませ、チームの主力が“突撃”をするタイミングでプラウダのフラッグ車を狙撃する、と言う()()()()だった。

 

そして…()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

丘の上に潜んでいた37㎜砲装備の7TP軽戦車からの狙撃は、ヤイカの狙い通りプラウダのフラッグ車・T-34/76の砲塔右側面に命中弾を与えたのである。

 

尤も、狙撃地点からプラウダのフラッグ車迄距離が有った為、発射された37㎜砲弾は52㎜の装甲厚を持つT-34/76の砲塔側面装甲板で弾かれただけに終わり、その直後にボンプル高校の戦車隊は、プラウダ側の砲撃によって丘の上に居た7TP軽戦車も含めて全て撃破されたが、“自軍フラッグ車の被弾”が勝利を収めた()のプラウダ側に“予想外の衝撃”を与えたのも事実だった。

 

其れに対して、プラウダのカチューシャ隊長は、努めて冷静な口調でノンナへ語り掛ける。

 

 

 

「貴女達の責任では無いわ。私が“ボンプルの豆戦車なら大した事は無い”と読んで、()()()無警戒を装ってボンプルを誘い出そうとしたら、相手は“其の裏を掻こうとした”迄の事よ」

 

 

 

「はい。ですが、試合に勝ったにも関わらず、隊員達には動揺が広がっています」

 

 

 

カチューシャからの言葉に対して、ノンナは同意しつつもチーム内の動揺を指摘したが、此れに対してカチューシャは冷静さを失う事無く、“試合後にやるべき事”をノンナに指示した。

 

 

 

「うん。だから、今日は反省会を行って“問題点”をキチンと整理しましょう。やってしまった事は仕方が無いけれど、()()()()()()()()()()()のは“同じ失敗を繰り返す事”よ。皆にはその点を徹底して、次の二回戦はピシッと決めましょう」

 

 

 

「はい、カチューシャ様」

 

 

 

敬愛する隊長からの指示に、ノンナは安堵しながら返答を終えた。

 

だが其の頃、試合会場の大型モニターと首都テレビの実況中継放送では、実況担当の加登川アナウンサーが試合内容をこう締め括っていた。

 

 

 

「今年連覇が懸かっているプラウダ高校ですが、初戦は大勝したとは言え、若干不安の残る内容だった様です。次の二回戦では、盤石な試合運びを見せる事が出来るでしょうか?」

 

 

 

其の実況を聞いていた試合会場の観客達の中からは、こんな声が聞こえて来る。

 

 

 

「ボンプル高校、あの儘勝てば面白かったのにな」

 

 

 

「プラウダ、やっぱり大した事無いんじゃない?去年の優勝が()()だったから……」

 

 

 

「そうそう。プラウダが連覇したら、日本の戦車道は()()()だもんな

 

 

 

観客達の多くは口々に、昨年の覇者・プラウダ高校の戦い振りを批判していた。

 

実の処、昨年の全国大会決勝戦で起きた()()で当事者となったプラウダ高校への()()は同高校の地元・青森県を始めとする東北地方の人々による感情論によって()()()()にされていたのだが…其の経緯を知っている戦車道ファンは当時の事を覚えていたし、更に今大会の実況中継放送を担当する首都テレビが大会開始前から、“視聴率UP”の為に放送した特別番組やニュース番組のスポーツコーナーでこの事件を蒸し返した結果、此れ等の番組や実況中継を見て“初めて戦車道に興味を持った視聴者”や戦車道ファンの中には、昨年の覇者・プラウダを()()と見做している者が少なく無く、其の事が観客達の反応にも影響しているのだ。

 

果たして次の二回戦…プラウダ高校は、その本領を発揮出来るのであろうか?

 

 

 

 

 

 

其れから約24時間後。

 

昨日の試合とは別の会場で行われた一回戦第六試合では、観客や戦車道関係者を戦慄させる光景が展開されていた。

 

 

 

「今、試合が終わりました!熊本県代表・黒森峰女学園、開始から僅か15分足らずで千葉県代表・知波単学園の戦車10輌による突撃を隊長車(西住 まほ)のティーガーⅠ・()()()()で殲滅し、二回戦進出です!」

 

 

 

此の試合の実況を担当する、首都テレビの若手スポーツアナウンサー・飯塚 武司(いいづか たけし)が、まるでプロレス中継の様な“絶叫”で試合終了を告げる。

 

其の時フィールド内中央に在る高地では、黒森峰女学園戦車道チームの隊長・西住 まほが愛車であるティーガーⅠ重戦車の車長用キューポラから身を乗り出して前方の平原を見詰めており、其処には試合開始直後から自分達のチーム目掛けて突撃を仕掛けた知波単学園の九七式中戦車(旧砲塔)4輌、九七式中戦車(新砲塔)5輌、九五式軽戦車1輌の合計10輌が揃って白旗を上げていた。

 

此の様子を見た実況中継の解説者も、興奮気味の口調で試合内容を簡潔に語る。

 

 

 

「いや、正直驚きました。確かに、知波単学園は日本製の九七式中戦車が主力で、ティーガーⅠ相手では非力なのですが、其れにしても“()()()()()()()で知波単得意の突撃を殲滅する”なんて、長い大会の歴史の中でも前代未聞ですよ!」

 

 

 

此れに対して、飯塚アナウンサーは解説者の言葉が終わったタイミングで、先程とは打って変わった冷静な口調で解説者に話し掛けた。

 

 

 

「そうなると、今大会では“王者復活”が掛かっている黒森峰ですが、隊長の西住 まほ選手は次の試合も“凄い事”をやってくれそうですね?」

 

 

 

他局のスポーツアナウンサーに有りがちな、“()()()()()()()”とは異なり、TPOに応じた緩急の付け方が上手い飯塚アナウンサーの実況は、若手ながら既に多くの戦車道ファンや視聴者の心を摑んでいる。

 

其の飯塚アナウンサーから話を振られた解説者も、落ち着いた口調で答えるのだった。

 

 

 

「はい。きっと彼女が、黒森峰の“絶対王者復活”を成し遂げてくれると思います」

 

 

 

同じ頃試合会場内では、黒森峰による余りの圧勝劇に観戦していた観客だけでは無く、()()()()()()()までもが全員沈黙している。

 

敗れた知波単学園は元より、勝った黒森峰女学園戦車道チームのメンバーも()()()()()()()()で決着が着いてしまった”事実に圧倒されていたのだ。

 

其の証拠に、黒森峰の副隊長を務める逸見 エリカでさえ、愛車であるケーニッヒ・ティーガー(ティーガーⅡ)の車長用キューポラから呆然とした表情で仲間達や敬愛するまほ隊長を見ているだけで、声を掛ける事さえ出来ない。

 

しかしそんな中で、エリカ(副隊長)の補佐役を務める五代 百代だけは、真剣な表情でまほの後ろ姿を見詰めながら試合を振り返っていた。

 

 

 

「私達、()()()()()()()()()()()()()()()()()。西住流の稽古でなら兎も角、試合で此処迄()()を出した隊長の姿は初めて見る」

 

 

 

心の中でそう呟きながら「次の試合は私達も隊長以上に頑張らねば!」と決意する百代。

 

 

 

一方、西住 まほは何時も以上に毅然とした表情で、自らの手で殲滅した知波単学園戦車隊を眺めていた。

 

 

 

(第42.5話、終わり)

 




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
今回は番外編、第42.5話をお送りしました。
実は今回、TV版第6話のラスト1分程のシーンを膨らませたのですが…いやあ膨らみましたわ(笑)。
大洗女子学園廃校の話を知ってしまった佐智子ちゃんと教えてしまった桃ちゃん(爆)。
実は圧勝じゃなかったプラウダ。
そして、まほ殿が駆るティーガーⅠだけで知波単の突撃を全滅させた黒森峰。
原作とは一味違った展開を目指しましたが、如何だったでしょうか。
この意気で次回以降も…頑張れれば良いな(弱気)。

次回ですが、勿論冷泉殿のおばあの入院先へ行く話から始まりますのでお楽しみに。

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