戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
いよいよ、今回でアンツィオ戦の勝敗が決まります。
そして、嵐達“ニワトリさんチーム”チームには一寸した“オチ”が…一体、彼女達に何が起きるのか?
其れでは、どうぞ。
第63回戦車道全国高校生大会・第二回戦「アンツィオ高校(栃木県)対県立大洗女子学園(茨城県)」も終盤に入り、大洗女子学園・“
試合会場・観客席正面に設けられた大型モニターが“試合の重大局面”が訪れた事を観客に伝えていた。
「アンツィオ高校、“
大洗女子戦車道チーム隊長・西住 みほがアンツィオ高の仕掛けた“マカロニ作戦”を見破った直後、大洗女子“
其処から激しい追撃戦が続いていたのだが、此処へ来て“
其れ迄、ペパロニ率いる“
しかし、其の悲鳴を無線で聞いた隊長・みほからの「落ち着いて相手のウィークポイントを狙って下さい!アヒルさんチームならきっと上手く行きます!」との激励を受けた“
続いて観客席には、ペパロニ率いる“
「何だって!?オ~イ、包囲戦は中止!」
だが其の直後、大型モニターにはアンツィオ高フラッグ車・P40重戦車の護衛をしていた“
すると、再びアンチョビ隊長の悲鳴が無線を通じて観客席に伝わって来る。
「とか言ってる
「「「やった!」」」
其の声を聞いた大洗女子学園・応援席では、五十鈴 華恋・武部 詩織・若狭 由良・鬼怒沢 光の“大洗女子学園中等部四人組”を始めとする学園生徒や大洗町から来た住人達の他、一回戦・対サンダース大付属戦での大洗女子の活躍を見て応援にやって来た一般客も一斉に歓声を上げ、大洗女子戦車道チームへの声援のボルテージを上げて行く。
逆に、アンツィオ高校側応援席ではイタリア語で“
「一同、
すると、大洗女子・“
「“
だが…彼女はいい加減な口調でこう答えるだけだった。
「ん?えーと、知らん!」
此の時、観客席の大型モニターにはペパロニの“
一方、観客席の外れで試合観戦をしている聖グロリアーナ女学院・サンダース大学付属高校の隊長達や原園 明美と其の仲間達が居る場所では、原園 嵐率いる“
「ああっ…
すると、彼女の姿を見た明美が“意味深な微笑み”を浮かべ乍ら、一言。
「“
其の“キツイツッコミ”に対して、龍江は怒り顔で「五月蠅いわ!」と叫んだが…直ぐ気を取り直すと“ボケ”とも取れる返事を呟いた。
「まあ、“
明美からの“ツッコミ”を聞いた龍江の怒り顔を見て、一瞬緊張感に包まれた聖グロ・サンダースの面々は彼女の
「“
そんな中、アンチョビ隊長からの指示で彼女の乗るフラッグ車・P40重戦車目指して集合を開始したアンツィオ高・戦車道チームの残存車輌…但し此の内、ペパロニと並ぶ副隊長“ひなちゃん”が乗るセモヴェンテM41は大洗女子“カバさんチーム”のⅢ号突撃砲F型と激しいドッグファイトを続けており、とてもアンチョビの下へ向かう事は出来ない状態だが、其れ以外の残存車輌であるセモヴェンテM41・2輌とペパロニ副隊長が乗る“
特に、ペパロニ副隊長は「待ってて下さい、
其の迫力ある光景は、ペパロニ車の車載映像や無線を通じて流れて来る彼女の叫び声と共に、試合会場の大型モニターや首都テレビの実況でも伝えられていた。
だが…此の時、大洗女子学園側の応援席に居た“大洗女子学園中等部四人組”の一人・鬼怒沢 光は其の実況を見て
「待ってて下さい、
其の発言を聞いた五十鈴 華恋が親友の光に向けて、呆れ声で問い掛ける。
「其れ…“北海道ローカルTV局の
すると、華恋の隣に居た二人の親友・武部 詩織がこう語る。
「しかも
更に、三人の共通の親友である若狭 由良が観客席の大型モニターに映って居る“ペパロニが乗る
「あの
其の頃、私達“
『アンツィオの
西住隊長からの無線連絡で入手したP40の位置を元に計算した距離を梓に伝えるが、彼女の率いる“
其の様子を見た私が思わず『ああ…あや(37㎜砲々手)もあゆみ(75㎜砲々手)も焦って居るだろうなあ』と呟くと、私の隣に在る装填手用砲塔ハッチから身を乗り出して外の様子を見ている装填手の舞が心配気な声で「砲撃って、猛特訓しても簡単には腕が上がらないもんね」と話し掛けて来たので、私も頷き乍らこう答えた。
『あゆみ、何時も私に「何で当たんないのーって、腕だよね……」って言っているもんなあ』
其処へ、砲手席に座って居る瑞希が「如何する?そろそろ“
“
「嵐、やっぱり停車して撃つよ!昨日の練習の時にやった“スポッティング・ライフル作戦”をやるから弾着観測を御願い!」
其れに対して私は『OK!』と返信すると、瑞希も「梓も肚を括ったわね!じゃあ私も弾着観測のサポートをするから嵐も弾着観測のデータをしっかり梓へ伝えるのよ!」と叫んだので、私も『勿論!梓達の為にも此処でヘマは出来ないわ!』と答えつつ車長用キューポラの外から双眼鏡で逃走を続けるアンツィオ高のセモヴェンテM41・2輌の位置を確認していた。
すると、“ウサギさんチーム”のM3リー中戦車が私達の
「嵐、今から“スポッティング・ライフル作戦”を始めるよ。あや、37㎜砲で先頭を撃って!」
私と“ウサギさんチーム”37㎜砲々手・大野 あやが同時に「『OK!』」と返信すると“
其処で、私は『あやにあゆみ、待っててね!』と思いつつ、梓へ弾着観測の結果を報告した。
『一発目、先頭車から左に1m、下に50㎝程ズレて居る』
すると、梓が「嵐、了解!」と返信した後、其の儘「あゆみ、今の射撃データから右に1m、上に50㎝修正して!」と告げるのが無線で聞こえる…つまり、梓はあやが撃った37㎜砲の弾着データを元に、“
此れが、昨日の練習で梓達“ウサギさんチーム”が編み出した“スポッティング・ライフル作戦”の全貌だ。
そして、梓が「撃て!」と号令を下したのが無線で聞こえた直後…あゆみが撃ったM3リー中戦車の75㎜砲弾が見事、先頭を走っていたセモヴェンテM41のエンジンルームを直撃して撃破した!
其の瞬間を目撃した私は興奮を抑え乍ら『梓、先頭のセモヴェンテは撃破した!』と報告すると、梓からも「了解!」と返信した後、「あや・あゆみ、次を狙って!」と指示したが、其の時生き残っていた2輌目のセモヴェンテM41が手前の坂を登り切って逃走してしまった。
だが、梓は冷静な声で「追うよ!落ち着いて冷静に!」とチームの仲間達に告げてから前進を始めたので、私が“もう一つのアドバイス”を送る。
『梓、坂を登り切る前に一旦停止して、相手の様子を見てから坂を登り切ろう…若しもセモヴェンテの車長に度胸が有るなら、私達の死角に当たる坂の下の方で
すると、梓は「有難う、嵐」と礼を述べた後、「桂利奈、坂を登り切る直前で一旦停車!」と命じて坂の下に居る筈のセモヴェンテM41の姿を双眼鏡で確認したが、其のセモヴェンテM41は反撃処か必死になって逃げているだけだった。
『あ…如何やら、セモヴェンテの車長は
梓と共に其の様子を双眼鏡で見ていた私が呟くと、梓は私に向けて「じゃあ、急いで追い掛けよう!」と話し掛けて来たので、私も気合の入った声で『了解!』と応答後、“
一方、其の時“
「『西住隊長みたい』って言われて、未だ良かった…若しも優季が『嵐みたーい♪』って言っていたら、恥ずかしくて死にそうになる処だったよ」
梓的には、つい先程“嵐に告白をして、此のアンツィオ戦に勝ったらデートする約束を取り付けた”話を聞いた仲間達に冷やかされただけに、今、嵐の事を持ち出されると、とてもでは無いが落ち着いて指揮を執れる状態では無かったのである。
同じ頃、街道近くの開けた平地で繰り広げられていた「大洗女子“
大洗女子“
「「後ろに回り込む!装填の速さで決まる!」」
そして、両車は一旦正面で撃ち合ってから相手の後ろへ回り込もうとした結果、再び相手の正面に向かう形になった直後…互いにもう一度撃ち合う!
だが…此の砲撃で、“カバさんチーム”のⅢ号突撃砲F型は車体左側の工具箱やスコップ等の工具類が丸ごと吹き飛ばされ、“ひなちゃん”のセモヴェンテM41も車体右側に備え付けられているヘッドライトやジェリカンがバラバラに飛散したが、未だ互いに白旗を揚げるには至らない!
其の時、カエサルと“ひなちゃん”は、又しても同じ言葉を叫んだのだ。
「「もう、回り込む暇は無い!もう一回撃つ!」」
其の直後、両車は事実上の零距離から必殺の砲撃を撃ち合ったのだ!
果たして…其の結果は如何なるのだろうか!?
一方、此方はアンツィオ高・フラッグ兼隊長車のP40重戦車。
先程迄大洗女子の隊長車・
此の状況に、P40の車長兼アンツィオ高戦車道チーム隊長・アンチョビは「追って来ないぞ…
流石に、アンチョビ隊長も“
「囮かと思ったが…考え過ぎか?」
アンチョビがそう呟くと、続けて彼女は車内の乗員に向けて、そして自らを鼓舞するべく大声で号令を掛ける。
「良いか、見せ付けてやれ!アンツィオは弱くない…じゃ無かった、
そして、更に気合の入った一言を付け加えた。
「目指せ悲願のベスト4…じゃ無かった、優勝だぁ!」
其れと同時に、アンチョビが指揮するP40と大洗女子フラッグ車・“
「外れー♪」
此の時、大洗女子フラッグ車・“
「済みません…今、砲手は
「「えっ、
何と、本来なら装填手兼“何時も試合中は干し芋しか食べない角谷会長に仕事をさせる役”を務めている筈の名取 佐智子が“思わぬ事実”を告げた為、角谷会長と柚子が驚愕の叫び声を上げた処、今は38(t)軽戦車B/C型の37㎜砲弾の装填作業をしている桃が“ポジションを変えた理由”について説明する。
「もう、
桃からの“意外な告白”を聞かされた角谷会長が感心した表情で「かーしま…やるねぇ」と呟くと、柚子も呆気に取られた表情で「桃ちゃん…賢くなったね」と話し掛けたが、彼女は必死の形相で「勝つ為に当然の判断をした迄だ!」と叫んでいた。
そんな桃の様子を見て、我に返った角谷会長は無線で隊長のみほを呼び出し、「西住ちゃん、そっちは如何?」と尋ねると、彼女から「
そして…遂に、“其の時”が来た!
「よーし、追い詰めたぞ!」
アンツィオ高フラッグ車・P40で切り立った崖の下に大洗女子フラッグ車“
何しろ柚子は、昨日大洗女子が行った全体練習中、車長兼砲手の桃がやらかした“
そうとは知らないアンチョビ隊長は悔し気な声で「アッ、糞…装填急げ!」と叫んだが装填手が「はいっ!」と応答する間も無く、ふと視線を切り立った崖の上にある高台へ向けると…!
何と、高台の上から大洗女子隊長車・
「えっ…えーと!?」
其の時、アンチョビ隊長は当初自身が危惧した“フラッグ車を囮にした
当時、私達“
西住隊長達“
私は
でも“試合は試合”…其の直後、高台の端へやって来た“
『此れで…残るは、ペパロニ副隊長の乗る“
“
「アンチョビ姐さん~!姐さん!」
ペパロニ副隊長の乗る“
しかも、ペパロニ副隊長がアンチョビ隊長を呼ぶ声は、高台に居た私達に迄聞こえる程だった…ホント、あの時のペパロニさんの“絶叫”は凄かったよ。
でも此の時迄、ペパロニさんはずっとジグザグ走行をして“
そして“
其の直後、アンツィオ高フラッグ車・P40が“
『梓、大丈夫だよ。P40は慌てているから、先ず当たらない…其れに、こう言う時に五十鈴先輩が砲撃を外すと思う?』
私の声掛けに、梓が五十鈴先輩の砲撃の腕前を思い出して「あっ!?」と叫んだ時…全ては私が梓に語った通りとなった。
“
「アンツィオ高校フラッグ車・P40、走行不能!よって大洗女子学園の勝利!」
そして、撃破されたアンツィオ高の各戦車から乗員がガッカリした表情で降りてくる中、ペパロニ副隊長が何を慌てて居るのか「うわぁ…助けてくれえ!?」と叫び乍ら、撃破されたセモヴェンテM41に寄り掛かって縦に立った状態の“
更に、アンツィオ高フラッグ車・P40が撃破される少し前に“
此の結果、私達大洗女子学園・戦車道チームは全国大会の二回戦を“予想外の大勝利”と言う結果で突破したのだった。
『良かった…勝った!』
私は、
「一寸、嵐…此処で一言云っても良い?」
『何、“
瑞希の恨めし気な表情を見た私は、少し不安気な声で問い掛けると瑞希は“私に取って思わぬ事”を告げたのだ。
「今日の試合…私達“
『えっ…あーっ!そうだった!』
私達、今日の試合前半は“
其の事を思い出した私は、頭を抱えつつ瑞希に向かって「あの…その、今日は御免ね」と呟くのが精一杯だったが、気が付くと車体前方の操縦手用と副操縦手用のハッチから操縦手の菫と副操縦手の良恵ちゃんが私の顔を見乍らクスクス笑っているし、車内からは装填手の舞の笑い声も聞こえて来る。
其の事に気付いた私が恥ずかしさで顔を真っ赤にして居ると、瑞希が微笑み乍ら私にこう言ってくれた。
「ウフフ…嵐も成長したわね。みなかみタンカーズに居た頃は“仲間が狙っていた戦車も平気で横取りして撃破していた”のに、今日は“仲間達のアシストに徹するプレー”が出来る様になったんだから」
瑞希からの“思わぬメッセージ”に、私は少し嬉しそうな気持ちで『“
「其の代わり、次の準決勝では私達にも相手戦車を撃破するチャンスを頂戴ね?」
『うん!』
瑞希の言葉に、私は心の底から“有難う!”の気持ちを籠めて返事をすると、其の様子を“あんこうチーム”の西住隊長と秋山先輩が嬉しそうな表情で見て居るのに気付いた。
其処で私は、二人に向かって飛び切りの笑顔を見せ乍ら右手を振るのだった。
(第64話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第64話をお送りしました。
と言う訳で、此れにて対アンツィオ戦は決着しましたが、今回は色々と有りました。
先ずは、嵐ちゃん…主人公なのに、アンツィオ戦では1輌も撃破出来ませんでした!(苦笑)
勿論、チームのアシストに徹して勝利に貢献したのですが、此れは嵐に取って結構な一大事だった様です。
次の試合、嵐達“ニワトリさんチーム”は相手戦車を撃破出来るのか?(さり気無く、フラグ)
そして、何と今回、桃ちゃんが砲手を佐智子ちゃんに譲って自分は原作よりも一足早く装填手に!
果たして、次の試合の“あの名場面”は如何なってしまうのか!?(ガクブル)
と、今回は色々と小ネタ(と言う名の試行錯誤)を重ねてみましたが、今後も色々仕込んで行く心算ですので、宜しく御願い致します。
と言う訳で、次回は…勿論、アンツィオ高校名物の“アレ”をやりますよ!
更に、嵐とマルゲリータが試合後に再会した時、果たして何を語るのか…御期待下さい。
其れでは、次回をお楽しみに。