戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
前回投稿した際、急いでいた為に書けなかった事を一つ。
アニメ版「ルパン三世」の初代・次元 大介役等で知られた小林清志さんが7月30日に逝去されました。
7月投稿の前々回で「ルパン三世・カリオストロの城」をモチーフにしたパロディシーンを書き上げた直後と言う事もあり、自分に取っても偶然とは思えませんでした。
更に、8月17日には「新世紀エヴァンゲリオン」の冬月 コウゾウ役等で知られた清川元夢さんも逝去されたとの事で、奇しくも昭和と平成を代表する名作のバイプレーヤー二人が鬼籍に…と思っていた処、今度はエリザベス英国女王陛下迄が9月8日(英国現地時間)に崩御されるとは。
本当に、時の流れの激しさを感じさせられました。
以上、遅くなりましたが、以上の方々の御冥福を御祈り申し上げます。
そして今回は、アンツィオ戦最終回です。
かなりの長文になっていますが、拝読頂けますと幸いです。
其れでは、どうぞ。
あっ、そうだ…今回の投稿日は9.11同時多発テロから21年じゃあないですか。
本当に時の流れは速いですね。
※2022年11月18日追記
今回のタイトルは当初「二回戦、決着です!!」でしたが、第64話のタイトルと混同し易い為、変更しました。
如何か御了承下さい。
「あっ…負けちゃったか」
第63回戦車道全国高校生大会二回戦「大洗女子学園(茨城県代表)対アンツィオ高校(栃木県代表)」の試合終了直後、試合会場中心部に在る街道近くの林の中で白旗を掲げて擱座したアンツィオ高校戦車道チーム所属・Ⅳ号戦車G後期型の車内では、戦車長“
「良かったの?嵐との勝負、
其れに対して、彼女はハッチを開けた儘の車長用キューポラから見える空を見詰め乍ら「うん…私は後悔していないよ」と答えた後、こう語った。
「まさか、嵐が“
其処へ操縦手のヘンリエッタも心配気な声で「マルゲリータ…泣いているよ?」と涙を流している彼女に向けて話し掛けると、彼女は小さく頷き乍らこう答えた。
「うん…今日、私達が大洗に負けたのは“
其の答えに、ヘンリエッタが泣きそうな顔でマルゲリータを見詰め続けていると、今度は砲手のリコが「で、此れから如何する?」と話し掛けて来た為、マルゲリータは少し考える仕草を見せた後、こう答えた。
「そうね…やっぱり、
すると皆の話を聞いて居た通信手のクラエスが微笑み乍ら「ああ…西住 みほさん!」と答えた処、マルゲリータは頷き乍ら自分の想いを語る。
「うん。サンダースの時雨と電話で話をして、“西住さんが嵐の心を変えた”事を知った時は信じられなかったけれど、今なら信じられる。彼女が嵐を此処迄変えたんだ」
そして、マルゲリータは此処で初めて自分が流した涙をハンカチで拭くと、薄っすらと笑みを浮かべつつ、再び自らの想いを語るのだった。
「みなかみタンカーズに居た時、私が如何やっても変わらなかった嵐が、何故西住さんの下であそこ迄変わったのかが知りたい。其れを知らないと、私は
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第65話「アンツィオの流儀です!!」
「やりましたね!次はいよいよベスト4ですよ!」
アンツィオ高校を降して、準決勝進出を決めたばかりの私達・大洗女子学園戦車道チームが戦車と共に待機して居る試合会場近くの広場で、秋山 優花里先輩が西住 みほ隊長へ興奮気味に二回戦を突破した喜びを語り、西住隊長も「そうだね。順当に行くと次は……」と秋山先輩に話し掛けて居ると、私の相棒兼“ニワトリさんチーム”砲手・
「先輩方、明日行われる“二回戦最後の試合”で、私達の対戦相手が決まる筈ですよ!」
彼女の言葉に、西住・秋山両先輩が笑顔で頷くと、三人の傍に居た私・原園 嵐も戸惑い気味の声で『ええと、其の試合の組み合わせは……』と“二回戦最後の試合に出る二つのチームの学校名”を思い出そうとした時。
「アイス食べたい!」
西住先輩の隣に居た冷泉 麻子先輩が疲れた表情でこう呟いたので、傍に居た武部 沙織先輩が「御菓子なら有るよ♪」と話し掛けるが、当人は不服そうな声で「え~っ!?」と答えた為、武部先輩は苦笑して居た。
其の様子を眺めて居た私は“確かに、今日は何時もよりも暑い一日だったから、麻子先輩がアイスを欲しがるのも無理無いなあ”と思った時、私も喉が渇いているのに気付いて『あっ…私も
「冷泉先輩に嵐、もう直ぐアイスやジュースを好きなだけ食べたり飲んだり出来ますよ♪」
其の一言に、周りに居た西住先輩達“あんこうチーム”の皆と“ニワトリさんチーム”で唯一、群馬みなかみタンカーズ出身では無い長沢 良恵ちゃんが“ニワトリさんチーム・群馬みなかみタンカーズ組”の瑞希と萩岡 菫・二階堂 舞が揃って笑顔を浮かべて居る姿を見て不思議そうな表情を浮かべて居た処、私達の前に一人の少女が両手を左右に広げ乍ら歩み寄った後、西住隊長に声を掛けて来た。
「いや~っ、今年こそは勝てると思ったのになあ!」
何と、アンツィオ高校戦車道チーム隊長・アンチョビさんが此方へやって来たのだ。
そして、彼女は西住隊長に握手を求めると「でも良い勝負だった!」と述べて私達の健闘を称えてくれたので、西住隊長も握手しつつ「はい!勉強させて頂きました!」と答えた処、彼女は笑顔で西住隊長をハグし乍らこう言ってくれた。
「決勝迄行けよ!我々も全力で応援するから!」
此の時、二人の会話を見ていた良恵ちゃんが感極まった声で「試合に負けた相手を此処迄称えてくれた上、決勝戦の応援迄約束してくれるなんて、凄い隊長さんです!」と語った時、私は意を決して、アンチョビ隊長の前へ歩み寄った後、小さく会釈をしてからこう告げた。
『アンチョビさん…御久し振りです。今日は本当に有難う御座います!其れと去年の学園祭の時「私はもう戦車道を続ける心算は有りません!」と言って貴女のスカウトを断ってしまい、本当に申し訳ありませんでした!』
すると、アンチョビ隊長が「おっ!嵐じゃないか!其れに、野々坂 瑞希・萩岡 菫・二階堂 舞も居るな!」
「「「『はいっ!』」」」
声を掛けられた私達四人が元気良く返事をする中、アンチョビ隊長は笑顔で私に向けてこう答えてくれた。
「嵐、去年の学園祭の時の事は気にするな…あの時は、私も御前の事情を知り乍ら“新入部員欲しさ”に無理を言ってしまって、済まなかった」
其の言葉に、私が『いえ……』と申し訳なさそうな声で答えた時、アンチョビ隊長は「おい嵐、元気が取り柄の御前がそんな顔をしていると仲間達も元気が無くなるぞ!?」と激励した後、こう言ってくれたのだ。
「其れに、やっぱり御前達“
其の言葉に、私は試合中の出来事を思い出しつつ『いえ…アンチョビさん達や“
「だよな!」
「「「おーっ!」」」
アンチョビ隊長の号令に続いて、何時の間にやって来たのか様々な
其の様子を見た菫が「凄い!SPA・TL37とTM40ガントラクターに、ブレダM42トラック迄居る!」と嬉しそうに叫び、更に舞が興奮気味の声で「もう自分達の戦車や突撃砲を回収してトレーラーに積み込んでいるよ!」と叫ぶ中、アンツィオ高校・戦車道チームのメンバー達が笑顔で次々に声を掛けて来た。
「大洗女子の皆、また試合やろうな!」
「決勝迄絶対勝ち上がろうね!
「でも、次はこっちが勝つからな!」
「特に、原園 嵐…次は覚悟しろよ!」
其の様子を見たアンチョビ隊長は笑顔で仲間達に手を振り乍ら、隣に居る西住隊長へ「ほら笑って!もっと手を振って!」と呼び掛けたので、西住隊長は恥ずかし気に小さく手を振り乍ら「あ…有難う御座います」と答えて居た。
其の様子を見た良恵ちゃんが「原園さん…すっかり目を付けられちゃいましたね♪」と話し掛ける中、私は苦笑いを浮かべつつアンツィオ高の皆へ手を振り乍ら、やっとの思いで『あっ…皆さん、ど…如何も有難う御座いました』と返事をするのだった。
ふと気が付くと、アンチョビ隊長の仲間達が乗り付けて来たトラックから、次々と大きな荷物を運び降ろしている。
其の中には大きな天幕や料理用の大釜等が多数有り、其れをアンチョビ隊長の仲間達が二人一組で広場に運び込んでいる。
其の姿を見た西住隊長が、不思議そうな表情でアンチョビ隊長に向かって「何が始まるんですか?」と問い掛けていると、瑞希&菫&舞の三人が唐突に……
「「「あっ…
『コラ、アンタ達…アンチョビさんの話をちゃんと聞きなさい!』
其の発言を聞いて“
「諸君!
すると、又しても瑞希&菫&舞の三人が大声で……
「「「アンツィオ自慢の“ビュッフェパーティー・食べ放題&飲み放題”だ!」」」
『アンタ達…其れを大声で言わない!皆ビックリしているでしょ!』
彼女達の“爆弾発言”に、私が再び大声で三人を叱り付けている光景を見た仲間達が呆気に取られていた中、“ウサギさんチーム”リーダー・澤 梓がキョトンとした表情で「えっ…嵐は食べないの?」と問い掛けたのを聞いた私は意表を突かれて一瞬固まった後、しどろもどろに成り乍らこう答える破目になった。
『あっ…いや、御免なさい。アンチョビさん!“ゴチになります”!』
「「「アハハ!」」」
こうして私は、思わぬ処で大洗女子の仲間達とアンツィオ高の戦車道チーム全員から笑われてしまったのだった…嗚呼。
こうしてアンツィオ高校・戦車道チームメンバー全員の手で、戦車道の試合終了後の名物“ビュッフェパーティー食べ放題&飲み放題”の準備が迅速に進んで行く。
其の素早さと的確さは目を見張るものが有り、特に料理は屋外での調理であるにも関わらず“
「凄い物量と…機動力!」
其の様子を見た西住隊長が感嘆の声を上げると、アンチョビ隊長が「我が校は食事の為なら、どんな労も惜しまない!」と答える姿を見た私は、ふと昔の事を思い出していた。
『ああ…
すると、私の呟きを聞いた舞が笑顔で「
「この…此の
すると話を聞いた瑞希が「そうそう。みなかみタンカーズの
「うん。皆で『アンツィオ高校が“B-1グランプリ”に出場したら上位入賞間違い無いのに!*1』って言っていたね♪」
其の発言に舞が笑顔で「うんうん♪」と語り乍ら頷くと、アンチョビ隊長が気持ちを切り替えて……
「まっ、
「「「頂きまーす!」」」
こうして、アンツィオ高校・戦車道チームによる“戦車道の試合終了後の名物・ビュッフェパーティー食べ放題&飲み放題”が始まると、私達大洗女子とアンツィオ高・両戦車道チームのメンバーや関係者が楽しそうに語り合い乍ら夕食を食べ始めた。
其の時、私の目前に一人の少女が現れる。
「嵐、楽しんでる?」
『“
彼女が笑顔で話し掛けて来たのを見て、“今日の試合で自分がやった事”を思い出した私は俯き乍ら『御免ね…あんな“
「ううん…私の方こそ御免。
『えっ!?』
“卑怯な戦い方をしてしまった”と思っていた私を褒めてくれた彼女の言葉に戸惑っていると、彼女はこう語る。
「自分が囮となって、相手を撃破する役を仲間に任せるなんて、
『!?』
“群馬みなかみタンカーズ”で、7年間一緒に戦車道をやって来た彼女からの指摘に、私は驚き乍らも小声で自分の気持ちを彼女に伝える。
『其れは…
すると、マルゲリータは少し考える仕草をした後、笑顔でこう言ったのだ。
「ふむふむ…
彼女の指摘に『えっ!?』と驚く私を余所に、彼女はアンチョビ隊長の隣で魚料理を食べている西住隊長へ視線を向けると“トンデモ無い”事を言ったのだ。
「嵐…隠したって無駄よ♪貴女、“
『ゲッ!?』
「ふえっ!?」
マルゲリータの“爆弾発言”に衝撃を受ける私と西住隊長を余所に、彼女は西住先輩へ向けて「御食事中失礼します。初めまして西住 みほさん、私はマルゲリータと申します」と挨拶し、此れに対して西住先輩も「初めまして、西住 みほです」と答えた直後、マルゲリータがこんな事を告げた。
「嵐が何時も御世話になって居ます。突然ですが西住さん、私と同じ群馬みなかみタンカーズの同期生で、今はサンダース大付属に居る原 時雨から聞いたのですが『嵐が貴女に
「ふええっ!?」
突然の“仰天質問”に、西住先輩が驚愕の叫び声を発するのを見た私は大声で『一寸、マルゲリータ!アンタ、西住先輩に対して何て事を訊くのよ!?』と叫んだが、当人は微笑み乍ら、もっとブッ飛んだ発言を放って来た。
「嵐、嘘吐かなくても良いのよ♪去年の全国大会の決勝戦の時から嵐が西住さんに“ラブラブ”だったのは御見通しだったから♪」
『ゲッ!?』
マルゲリータの“トンデモ発言”に絶句する西住先輩、そして私とマルゲリータの会話に対して興味津々の視線を送って来る大洗女子とアンツィオ高・両戦車道チームメンバーを余所に、マルゲリータは続けてこんな事を語り出した。
「最初は、西住さんに“嵐が変わった理由”を尋ねようと思っていたのだけど、今の嵐と西住さんを見た時、私と嵐達が“群馬みなかみタンカーズ”に居た頃を思い出したの。そうしたら“嵐が変わった理由”が分かったわ…去年タンカーズの隊長だった私は、西住さんの様に皆をリードする事が出来なかった」
『マルゲリータ……』
彼女からの“予想外の告白”に、私や周囲に居る全員の視線がマルゲリータに集中する。
そして彼女はしんみりとした表情を浮かべつつ、皆の前で“みなかみタンカーズ時代の
あの頃の私は、“チーム全員が一丸となって戦うのが勝利への近道”だと思い、“チームの皆にチームプレイを徹底させる事が隊長としての責務だ”と考えて、チームの皆に接していました。
でも、嵐だけは、どんなに指導しても私の言う事を聞いてくれなかった。
嵐は、練習こそ真面目にやって居たけれど、模擬戦や試合になると隊長や副隊長の指示には従わず、常に自分の指揮する戦車だけで勝手に動き回っていたんです。
試合中、味方が狙っている戦車を横取りするのは当たり前、時には
だから最初、私を含めたチームの皆は“何で、あんな自分勝手な奴がウチのチームに居るのよ!?”と思っていました。
でも暫く経つと、チーム全員が“
彼女は、生まれ乍らの“戦車戦の天才”でした。
常に直感で“戦いの全貌”を把握し、“味方が危機に陥りそうなポイント”や“此処を押さえると勝利に繋がるポイント”を誰よりも早く察知すると、素早く其のポイントに駆け付けて相手を確実に倒す…彼女は、まるで“試合会場を天空から見渡している様な感覚”で戦っていて、しかも人並み外れた洞察力と実行力を併せ持っていたのです。
それに、嵐は上級生や隊長・副隊長、其れに態度が横柄な人の言う事は聞かなかったけれど、下級生や同級生でもチームのレギュラーになれなくて辛い思いをしている
後で知ったのだけど、其れは『自分は
こうして…気が付くと、私を含めたチーム全員が嵐の力に頼る様になっていました。
“嵐が居てくれれば、どんなピンチも切り抜けられる。絶対に勝てる!”って…事実、其れで私達のチームも自然と強くなりました。
そして、一年前のあの日。
中学三年生になった私と嵐達“群馬みなかみタンカーズ”は、“戦車道全国中学生大会”の関東地区予選で優勝して全国大会に初出場すると、其の儘の勢いで決勝戦迄進みました。
そして迎えた決勝戦では、序盤から私達は対戦相手である“黒森峰女学園中等部”と正面からぶつかり合う試合展開になり、膠着状態になったんです。
だから、焦った私は“如何やって戦うべきか?”を見失ってしまい、頭の中が真っ白になってしまいました。
でも其の時、嵐が何時もの様に“威勢の良い声”でこう叫んだんです。
『“
其の時、私は「待って!」とは言えなかった。
こう言う時、何時もチームのピンチを救って来たのが嵐の“
だから…嵐が左翼から黒森峰中等部の陣列に突入して彼女達を混乱状態に陥れようとした時、正面から私の乗るフラッグ車に襲い掛かって来た黒森峰のフラッグ車・五代 百代の駆るⅣ号戦車H型に対応するのが遅れてしまい、私は百代に撃破されてチームは負けたのです。
其れから暫く経って、私や仲間達は漸く“或る事”に気付きました。
“負けたのは、嵐が勝手な行動をしたからじゃない。チームプレイをしろと言い乍ら嵐の力に頼り切って彼女をサポートする事さえしなかった私達に責任が有る”って。
そして私達のチームが一丸となって戦う為に必要だったのは「チームプレイを徹底する前に、チームの皆が互いを理解し信頼出来る環境を作るべきだった」事に…嵐がチームプレイをしなかった様に、私達も互いを理解しようとせず結局嵐一人に全てを押し付けてしまって居たんです。
でも、其の事に私や仲間達が気付いたのは、あの“第62回戦車道全国高校生大会・決勝戦”から暫く経った後、戦車道に絶望した嵐が『戦車道を辞める』と言った後の事でした。
以上の事を語り終わった後、悲しい表情を浮かべ乍ら俯いてしまったマルゲリータの姿を見た私は、皆に向けてこう語った。
『そう。去年の第61回戦車道全国中学生大会で“チームプレイをしなければ試合には勝てない”と思い知った私が“本当のチームプレイとは何か”を悟ったのは、其の翌週に行われた第62回戦車道全国高校生大会の決勝戦で“西住先輩が黒森峰の十連覇よりも仲間達を助ける事を優先した”時だった。だけどその後、西住先輩が黒森峰で酷い仕打ちを受けて転校させられたと知った時“もう戦車道はやりたくない”と思ったんだ』
マルゲリータと私の“告白”を聞いた皆が胸を締め付けられる様な表情で私達を見守っていると、俯いていた顔を上げたマルゲリータが私に問い掛けて来た。
「嵐…今、戦車道が好き?」
『うん!』
私の答えを聞いたマルゲリータは、微笑み乍らこう語る。
「そうか…じゃあ、試合前に電話で、時雨が私に『嵐ちゃんは、大洗で初めて“本当に信じられる戦車道の隊長さんと仲間達”に巡り会えた』と話していたのは本当だったんだね」
其れに対して、私は笑顔で『うん…私は、西住隊長と大洗女子の皆と出会えた御陰で、初めて戦車道が好きになれたよ』と答えた処、マルゲリータは納得した表情でこう語った。
「そうか…だから嵐は変わる事が出来たんだね。時雨から話を聞いた時は信じられなかったけれど、今の話を聞いて漸く納得出来たわ」
『えへへ♪』
笑顔で御道化る私の声を聞いたマルゲリータは、再び西住隊長へ向かって「西住さん、一回戦が終わった時に、時雨からも聞かされたと思いますが、嵐は結構乱暴でスタンドプレーに走る
其の姿を見た私が笑顔を浮かべて居ると、其の姿を見たマルゲリータが“意味深”な声で……
「此の西住さんと嵐の表情は…と言う事は、やっぱり時雨が言った通り“嵐は西住さんにラブラブ”なんだ!」
「ふえっ!?」
再度の“爆弾発言”に西住隊長が動揺する中、私は顔を真っ赤にし乍らマルゲリータ目掛けて……
『いや、其れは違う!其れに
「「「ええっ!?」」」
其の瞬間、会場に居た大洗女子&アンツィオ高の戦車道チームメンバーからの驚愕の叫びを聞いて、“自爆発言”をやった事に気付いた私が頭を抱え込んだ処、マルゲリータが「えっ!?秋山先輩って、時雨が言っていた“オッドボール三等軍曹”の事!?」と、私にツッコンだ処、二人の“チームメイト”が……
「ピンポーン!」
「其の通りであります!」
『秋山先輩は兎も角、“
話を更なる混沌へ導こうとする二人目掛けて、私が牽制をするが其処へマルゲリータが“腹黒い笑み”を浮かべつつ「あら~。嵐の“初恋”も、もう終わりかあ!?」と“余計なツッコミ”を入れて来た為、話に巻き込まれた西住隊長が動揺し乍ら「はわっ!?」と口走るのを見た私は『三人共、誤解を招くだけじゃなくて、西住隊長を巻き込む様な事を言わないで!?』と叫んだが、其処へ瑞希がマルゲリータに“更にトンデモ無い事”を耳打ちしたのだ。
「でも、マルゲリータ。実はね、嵐はもう新たな彼女を作っていて……」
『其れも言うな、“
“腹黒い笑み”を浮かべ乍ら話をしている二人目掛けて叫んだ私だったが、其れに構わず瑞希が近くに居た私達の仲間の一人を指差すと、マルゲリータに向けて更なる耳打ちをしたのだ!
「あそこに居る
すると、マルゲリータが目を見開いて「あら!?流石は“みなかみの美少女キラー*2”!此の娘、嵐の好みにピッタリじゃない!?」と呟いた為、彼女の視線の先に居た梓が顔を真っ赤にして「ええっ!?」と叫び、周りに居た“ウサギさんチーム”メンバーは(何も語らない紗季を除く全員が)「「「ヒューヒュー!」」」と囃し立てる有様。
其の姿を見た私は恥ずかしさの余り『嗚呼っ!?其れを言わないでーっ!?』と絶叫し、其れが皆の笑いを誘っていたのだが…其処へマルゲリータがふと視線を会場の外れに移すとこんな事を言った。
「あっ…あそこにも戦車道が好きな“
『ぶっ!?』
マルゲリータの発言を聞いて思わず会場の外へ視線を向けた私は、其の光景を見て噴き出した。
其処には、カエサル先輩とアンツィオ高の副隊長の一人である“ひなちゃん”が何やら語り合っており、其の先には…エルヴィン・左衛門佐・おりょう先輩が盗み聞き!?
先輩方、一体何をして居るんですか!
つまり、“カバさんチーム”のメンバー三人がリーダーであるカエサル先輩と彼女の幼馴染である“ひなちゃん”の事が気になるのか、盗み聞きをして居る処がバレている光景が繰り広げられていたのだった。
丁度其の時、河嶋先輩が「各チームのリーダーは集まれ!パーティーの後片付けを手伝う手筈を決めるぞ!」と私達に呼び掛けたので、私は『マルゲリータ、色々と言いたい事はあるけど、そろそろ行かないと』とマルゲリータに話すと、彼女は頷き乍らこう答えた。
「嵐、さっきは変な事を言って御免。此の大会が終わったら、必ず練習試合をやろう!」
『うん!』
「あっ…其れと漸く気付いてくれたね。今の私は“マルゲリータ”だって事!」
『だって、自分で言っていたじゃん!』
「そうだったね!でも今の名前で呼んでくれて有難う!」
そしてマルゲリータは嵐と別れた後、同じ様に幼馴染のカエサルと別れた“ひなちゃん”の所へやって来た。
「先輩、漸く皆に“マルゲリータ”の名前を覚えて貰える様になりました」
マルゲリータが安堵し乍ら呟くと“ひなちゃん”はこう答える。
「そうね…じゃあ、私は“カルパッチョ”で!」
するとマルゲリータが“驚きの表情”を浮かべ乍ら先輩へ問い掛けた。
「あれ?“カルパッチョ”先輩。其の
其れに対して、彼女は笑顔でこう返す。
「うふふ…でも、“たかちゃん”も今は“カエサル”だって言っていたから。其れに貴女も“マルゲリータなんて
先輩からの問い掛けに、マルゲリータも笑顔で「入学した頃は、そう思った事もありましたね。でも、今は気に入っています」と答えると、カルパッチョも「私もよ。御互い、漸く此のチームの一員になった気がするね♪」と語った処、マルゲリータが「
だが其処へ、アンチョビ隊長が声を掛けて来る。
「おい、マルゲリータ!ペパロニが
そして、彼女が連れて来たもう一人の副隊長・ペパロニの姿を見たマルゲリータは“自分が試合中、隊長へ言った事”を思い出し、震え上がった。
「不味い…私試合中、
思わず、其の事を口に出してしまった彼女の言葉を聞いて、カルパッチョは「其れ…ペパロニにキチンと謝らないと不味いわよ?」と小声でアドバイスすると、マルゲリータは大きく首を縦に振ると、ペパロニ先輩の前で謝罪した。
「ペパロニ先輩、
処が、当のペパロニは…
「いや、其の事なんだが……」
と、済まなそうな声でマルゲリータに話し掛けて来た為、彼女と隣に居るカルパッチョは互いに「「えっ!?」」と呟き乍ら当惑気味の表情で話を聞いて居ると、何とペパロニはマルゲリータの前で土下座をしてから、大声で“
「“マルゲリータ”、アタシこそ済まなかった!実は御前の言う通り、アタシはロクに地図が読めないから十字路にデコイを置く時、一緒に“
「「ええっ!?」」
ペパロニが語る“まさかの真実”に二人が驚愕する中、今度はアンチョビ隊長が“此処へペパロニを連れて来た理由”を説明する。
「其れにな…ペパロニは“マカロニ作戦”がバレた時も直ぐ報告しなかったから、さっき迄私が説教していたんだ」
「「ええ……」」
“余りにも情け無いペパロニの所業”を知って呆然とするカルパッチョとマルゲリータを余所に、当人は土下座をした儘、こう叫ぶのだった。
「だから、“マルゲリータ”!御願いが有る!私にも地図が読める様に教えて欲しいんだ!頼む!」
其れに対して、マルゲリータは当惑気味の声でこう答えるのだった。
「あの…私、
すると、ペパロニは目を輝かせ乍らマルゲリータの両手を握って、礼を述べた。
「有難う!恩に着る!」
そして笑顔を浮かべるペパロニに対して、マルゲリータは不安気な表情を浮かべつつ小声で呟いた。
「良いのかなあ…?」
すると、“
「良いんだよ…と言うか、
其れに対して、敬愛する隊長からもペパロニの件を頼まれたマルゲリータは、小さく溜め息を吐き乍ら、小声でこう答えたのだった。
「
如何やら、大会後もアンツィオ高校は色々と多難山積の様である……。
其の頃、此処は観客席の外れに在る広場。
応援団と別れた“中等部四人組”や“大洗のアイドル”磯前 那珂ちゃんに引率されて来た大洗町の児童養護施設の子供達も合流して明美の秘書・淀川 清恵やサンダース大付属・聖グロ・マジノ女学院の隊長達と話している中、“
「ああ…アンツィオ高校の悲願“ベスト4への夢”は、又来年迄御預けかあ!」
其の姿を見た明美が「まあまあ“
「そや、“
其れに対して明美が「うん、其の試合は明日行われるけど?」と返すと、龍江は吹っ切れた声で「じゃあ、ウチも明日は首都テレビの実況生中継を……」と言い掛けた時、近くで長門が自分のスマホの画面を見乍ら難しい顔をして居るのに気付き、声を掛けた。
「如何したんや、“
すると、長門は複雑な表情を浮かべた儘、周りに居る明美や龍江達に向けて“今、気になって居る事”を告げた。
「其のプラウダ対ヴァイキング水産の試合なんだが…
長門の言葉に、先ず明美が心配気な声で「如何したの?まさかプラウダが負けるとか?」と問うが、彼女は首を横に振り乍ら「いや、
すると、其の画面を見た者達は一斉に「「「えっ!?」」」と驚きの声を上げる。
其れには、幾つかの画像とセットで「首都新聞Web・スポーツ特集」と書かれた記事が映っており、一番上の見出しには「第63回戦車道全国高校生大会二回戦第四試合・プラウダ高校(青森県代表)対ヴァイキング水産(岩手県代表)戦展望」と書かれていたが、其の直ぐ下に、大きな文字でこう書かれてあったのだ。
「前回大会優勝校・プラウダ高校の
其の記事を見た全員が驚く中、長門は厳しい表情でこう語る。
「此の特集記事にも詳しく書かれているんだが…昨年の大会覇者であるプラウダは、一回戦でボンプル高校に勝ったものの“フラッグ車を狙撃される”と言う“失態”を犯した為、周囲から『連覇に黄信号が点灯した』と言われているんだ」
其れに対して、明美が納得した表情を浮かべると「つまり、“去年の決勝戦の内容”が内容なだけに“あれは
「“首都テレビの戦車道高校生大会特番”でも、プラウダ高校は去年の決勝戦で起きた出来事の所為で“今大会の
すると、長門が二人の発言に頷き乍ら話を続ける。
「其の上、二回戦の相手であるヴァイキング水産はプラウダの本籍地青森県の隣県・岩手県の学校…つまり、プラウダは
其処で話を聞いて居た龍江が「“
「“
すると、其れ迄“大洗女子学園中等部四人組”や那珂ちゃん達と談笑していた清恵が心配気な声でこう語ったのだ。
「私も
其の言葉に、此の場に居合わせた者達は皆「「「若しかすると……」」」と思い、明日の試合が無事に終わる事を心から祈ったのだが…其れも虚しく、翌日行われた「プラウダ高校対ヴァイキング水産」の試合で、長門が懸念した通りの“
(第65話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第65話をお送りしました。
と言う訳で、今回は試合後の“アンツィオ名物・ビュッフェパーティー・食べ放題&飲み放題”で御座いました。
そして、嵐とマルゲリータの間の蟠りも解消され、群馬みなかみタンカーズ時代の嵐のエピソードと共に“大洗女子へ進学した事による嵐の変化”も語られて、大洗女子とアンツィオの皆も打ち解ける中……
今回も“女の子にモテる嵐”の性格がドえらい事態を招く結果に(爆笑)。
まあ、嵐ちゃん主人公だもの、ちかた無いね(迫真)。
一方、マルゲリータも“試合中の発言(笑)”でペパロニから怒られると思ったら、逆に先輩達から頼られる事態に…まあ、彼女は良い意味でアンツィオの校風に染まり切っていない“真面目な娘”なので、今後もこう言う場面が増えるでしょうね。
まあ、マルゲリータは苦労人なんです。ちかた無いね(キリッ)。
しかし此の後、大洗女子を待ち受けている準決勝の相手を決める試合で“想定外の事態”が!
一体、其の試合で何が起きたのか!?
其れでは、次回をお楽しみに。