戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない 作:瀬戸の住人
今回、桃ちゃんの暴露によって嵐達が窮地に…一体、何が有ったのか!?
そして彼女達以外にも窮地に陥った少女が……
其れでは、緊迫感が増して来た今回の話をどうぞ。
此処は、東京都内・湾岸地区に在るホテル。
其の最上階に在る宴会場では、今日此のホテル近くに在るライブハウス「
其のホテル最上階の廊下を4人の少女が歩いている。
此の内、3人は“346プロダクション”のアイドルユニット“ニュージェネレーションズ”のメンバー・島村 卯月・渋谷 凛・本田 未央である。
今回、彼女達は所属プロダクションが主催する「全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」のゲストとして出演しており、決勝戦出場者によるライブパフォーマンス終了後の審査員による審査の時間を利用してライブを行ったり、優勝者や各賞受賞者へのトロフィーや副賞等の
そして彼女達と一緒に歩いている“優勝トロフィーを持った
彼女は此の決勝戦で自身の持ち歌『恋の2-4-11』を熱唱。
其のパフォーマンスで他を圧倒する
其の凄さは、此のイベントの責任者の一人として会場内の関係者席に居た“346プロダクション”専務・美城が隣に居た部下の
そして審査員と会場内の観客による投票の結果、彼女は他のライバルに圧倒的な差を付けて優勝。
優勝トロフィーと副賞が授与された他、“346プロダクション・プロデュースでのメジャーデビュー”も決定した。
と言う訳で4人は此れからホテルで一泊する予定なのだが、其の前に衣装を普段着に着替える為、ホテルの宴会場と同じ最上階に在る“控室兼着替え室”へ向かって歩き乍ら会話を交わしている内に彼女達は仲良くなっていた。
そんな中、話題が“那珂の出身地は、今年の戦車道全国高校生大会で旋風を巻き起こしている大洗女子学園・戦車道チームと同じ茨城県大洗町で在る”と言う内容で盛り上がっていた時……
「えっ、那珂ちゃんは“大洗女子学園・戦車道チーム”の皆さんと御知り合いなんですか!?」
那珂の話を聞いて居た卯月が驚きの声を上げると彼女は笑顔で頷き乍ら答える。
「うん。全国大会が始まる少し前に大洗町で“大洗女子対聖グロの練習試合”が有った時、大洗シーサイドステーションで併催された“私の単独オンステージ”で
すると凛が興奮気味の声で……
「本当ですか!? 私、一回戦の対サンダース大付属戦を事務所の皆と一緒にTVの生中継で見た時から大洗女子のファンなんです!」
と語っていると、彼女の様子を見ていた未央が……
「だから“
と語った処、凛は再びハイテンションな声でこんな事を言った。
「だって御仕事とは言え試合を生で見れた上、試合後に西住さん達へ直接インタビュー出来たから最高だった!」
其れに対して未央が「“
「其の試合なら私も見に行ったよ。実は両親が勤めている“児童養護施設”で暮らしている子供達を連れて行ったの…其れと試合後に凛さんが西住さん達へインタビューしている場面も子供達と一緒に
其れを聞いた凛が嬉し気な声で「本当!?」と答える中、今度は卯月が羨まし気な声を上げた。
「良いなあ♪私も大会一回戦の聖グロ対BC自由学園戦の実況中継でゲストに呼ばれましたけれど、聖グロのダージリン隊長さんもBC自由のアスパラガス隊長さんも凛々しくてカッコ良かったです♪」
すると那珂は不安気な声でこう語る。
「でも今、大洗女子は去年の優勝校・プラウダ高校と対戦だから…試合前に“一緒に勝とうね!”とは言ったけど、今度ばかりは大洗の皆、勝つのは難しいだろうから凄く心配なの」
其れに対して、彼女の不安を感じ取った未央が……
「そうか…だから“今日の那珂ちゃんのステージ、気合が入っていて凄いな!”って思った居たけど、そう言う事情が有ったんだ」
と那珂を労る様な声で話し掛けると彼女はこう答えた。
「うん。だから今は優勝出来てホッとしてる…後は大洗女子の皆が最後迄怪我無く頑張ってくれれば、例え彼女達が負けても何も言う事無いよ」
其の言葉に卯月と凛が互いに頷いて居る中、未央だけは不安を打ち明ける。
「でも…私、大洗女子の皆が心配だな」
其れに対して那珂も頷くと「未央ちゃんもそう思う?」と話し掛けた処、彼女は皆に向かってこう訴えたのだ。
「だってプラウダ高の連中、酷いんだよ!私、二回戦の対ヴァイキング水産戦の実況中継でゲストに呼ばれて試合を生で観た*2けど、相手の選手に怪我をさせて迄勝とうとするなんて…あの時は私、ショックで一言もコメント出来なかったよ!」
其れに対して凛が頷き乍らこう指摘する。
「うん。プラウダのやり方は、ネットの掲示板やSNSでもかなり非難されているよ」
すると卯月も頷いた後、こう語ったのだ。
「私も相手チームに怪我人を出して迄勝とうとするのは良く無いと思うし、しかもあの試合の所為でウチの事務所の友達の双葉 杏ちゃんとアーニャ…アナスタシアさん、最近元気が無くて」
「えっ、何故!?」
彼女の言葉を聞いた那珂が驚いていると未央が其の理由について説明をしてくれた。
「二人共、出身地がプラウダ高の
すると那珂は悲し気な声で「二人共可哀想…“出身地が同じ”と言う理由だけで
「其れだけ、プラウダ高が世間から厳しい目で見られている証拠だよね」
其処へ卯月が「皆、“控室兼着替え室”の前に来ましたよ」と告げた為、4人は一旦話を打ち切ると皆を代表して卯月が部屋の扉をノックした。
すると「如何ぞ」と返事が有った為、4人は卯月を先頭に凛・未央・那珂の順で部屋へ入る。
其処には凛も所属するアイドルユニット“トライアドプリムス”のメンバー・神谷 奈緒と北条 加蓮が控室に設置された液晶テレビに映し出されている“戦車道全国高校生大会準決勝第二試合「大洗女子学園対プラウダ高校」”の実況中継を見ていた。
実は“トライアドプリムス”のメンバーも「全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」のゲストとして出演していた為、此の打ち上げに参加していたのである*3。
すると彼女達の姿に気付いた奈緒が「あっ、凛に那珂ちゃん達」と呼び掛けると加蓮も「皆、御疲れ様。那珂ちゃん、優勝トロフィーは其処の机に置いて良いよ」と告げた為、那珂は化粧台の手前に在る机に優勝トロフィーを置いた後、御辞儀をしてから二人に向けて挨拶をした。
「神谷さん、北条さん、有難う御座います…其れで今、TVに映って居るのは戦車道全国
其れに対して奈緒と加蓮が頷いた処、凛がソワソワし乍ら「試合、如何なった?」と問い掛けると奈緒が……
「其れがね、今試合は中断中だって」
「「「?」」」
其の言葉に“ニュージェネレーションズ”の3人と那珂が戸惑っていると加蓮が補足説明をする。
「大洗女子を“教会跡”へ追い詰めたプラウダ高のカチューシャ隊長が一旦攻撃を中止した後、軍使を送って大洗女子の選手達に“降伏するか徹底抗戦かを決める迄3時間待ってやる”と告げてから“降伏するか否か”を巡って大洗女子学園戦車道チーム隊長の西住さんと副隊長の河嶋さんが口論しているみたいなの」
「えっ!?」
其れに対して那珂が驚きの声を上げた処、奈緒が心配気な声で今の状況を告げる。
「今、実況中継は教会跡に立て籠もっている大洗女子の様子をずっと映しているから彼女達の状況は手に取る様に分かるんだけど……」
其処へ加蓮も不安気な声で「其れで西住さん、河嶋さんを説得しているんだけど彼女は聞く耳持たないって感じで『負ける訳には行かない!徹底抗戦だ!』って叫んで居て……」と説明していた時だった!
突然、TV画面に大洗女子学園戦車道チーム副隊長・河嶋 桃の顔がアップで映し出された途端、
「何を言っている…
「「「えっ!?」」」
“余りにも
「其れって…此の試合、大洗女子学園が負けたら廃校になるって事なんですか!?」
だが其の直後、卯月は那珂の表情が凍り付いているのに気付いて“しまった!”と思ったが、時既に遅し。
彼女は震え声で……
「私…知らない!大洗女子学園が“廃校”だなんて!」
と叫んだ直後失神し、其の場に倒れ込んでしまった。
「「「那珂ちゃん!?」」」
倒れてしまった那珂の姿を目の当たりにして動揺する卯月達だったが、此処で唯一人冷静に状況を見ていた凛が皆に向けて叫んだ。
「皆、落ち着いて!奈緒と加蓮は私と一緒に那珂ちゃんを介抱するよ!其れと卯月と未央は、今直ぐ
「「「はいっ!」」」
こうして、卯月・未央・奈緒・加蓮は凛と共に那珂の介抱と
戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない
第72話「暴露です!!(其の2)」
(
其れは、余りにも“最悪なタイミング”だった。
第63回戦車道高校生全国大会・準決勝第二試合『青森県代表・プラウダ高校対茨城県代表・大洗女子学園』の最中、プラウダ高隊長・カチューシャの仕掛けた罠に嵌った私達・大洗女子学園戦車道チームはプラウダ高の軍使から提示された降伏勧告の受け入れを巡って西住 みほ隊長と河嶋 桃副隊長が対立。
あくまで徹底抗戦を主張する河嶋副隊長に対して、西住隊長は「此の儘試合を続行すると怪我人が出るかも知れない」と指摘した上で「私、此の学校へ来て、皆と出会って、初めて戦車道の楽しさを知りました…此の学校も戦車道も大好きになりました!だから、其の気持ちを大事にした儘、此の大会を終わりたいんです!」と告白し、“こうなった以上、降伏も止むを得ない”と説得していたのだが……
何と河嶋副隊長は“今迄、生徒会関係者と私達「
「えっ!? 負けたら…学校が無くなる?」
“衝撃的な告白”を聞かされた西住隊長が真っ青な顔になって河嶋副隊長に問い掛けている様子を見た私は、此の場を落ち着かせる為に……
『あの…
と話し掛けたのだが…
其の時、彼女は“鬼の様な形相”で私を睨み乍ら、こう叫んだのだ!
「オイ原園、誤魔化すな!御前やみなかみ
「「『!?』」」
“暴発”した河嶋副隊長の“告発”によって私と瑞希・菫・舞がショックを受ける中、角谷会長が鋭い声で「河嶋、もう止めろ!」と叫んだが、時既に遅かった。
其の直後、“告発”を聞いた仲間達が次々に私達“群馬
「何だって!?」
「原園達も廃校の事を知っていたのか!?」
皆の厳しい視線が私達へ向けられる中、“
更に、其の隣では……
「佐智子…まさか、生徒会役員の貴女も廃校の事を知っていたの!?」
“
「言える訳無いでしょ!こんな話!」
『ああ……』
河嶋副隊長の“告発”で、仲間達が内部崩壊しつつある姿を見た私はショックで何も考えられなくなっていたが…其処へ、エルヴィン先輩が“トドメ”となる一言を放って来た。
「まさか、原園達は生徒会の手先だったのか!?」
『私達が生徒会の手先…そんな!?』
其の瞬間、私の心は奈落の底へ落ちて行った……
河嶋副隊長の“
だが此処で、渦中に在った“
「皆聞いて!私や菫と舞は生徒会から廃校の件を事前に知らされた上で此処へ入学したから、何を言われても構わないわ!」
と叫んで“河嶋先輩の告発は事実で有る”と認めた後、更にこう告げたのだ。
「でも、嵐だけは許してあげて!だって大洗の学園艦は此の
「「「ええっ!?」」」
此の時、瑞希の告白で“嵐達が「此の大会で負けたら、大洗女子学園は廃校になる」と言う秘密を生徒会と共有していた理由”を知った仲間達は一斉に驚きの声を上げると同時に“此の事で嵐を問い詰めたのは間違いだった”と気付いた。
特に嵐達を「生徒会の手先だったのか!?」と詰問してしまった“
「しまった…言い過ぎた!」
と後悔の念を呟いて居た。
そんな中、角谷会長が皆の前に立つと「済まない、野々坂ちゃん…そして皆、今迄隠していて済まなかった」と語った後、こう話した。
「先ず、学園の廃校に付いては河嶋の言う通りだ。此の全国大会で優勝しなければ我が校は廃校になる」
続けて彼女は“何故、此の大会で優勝しなければ大洗女子学園が廃校になるのか?”についての説明を始めるのだった。
あれは、今年1月初め頃の出来事だった。
突然、私と小山と河嶋が文科省・学園艦教育局へ呼び出されるといきなり“辻”って言う名の担当者から「学園艦は維持費も運営費も掛かりますので、全体数を見直し統廃合する事に決定しました。特に
勿論私達は「納得出来ない!」と反発したけど担当者は「今、納得出来なかったとしても今年度中に納得して頂ければ此方としては結構です」と返すだけだった。
でも其の時、担当者が「昔、此の学校は戦車道が盛んだった様ですが……」と言ったのを聞いた私は咄嗟にこう切り返したんだ。
「じゃあ、戦車道やろうか?
「其れで戦車道を復活させたんですか……」
角谷会長の説明を聞いたみほが戸惑い気味に答えると会長は淡々とした声で話を続けた。
「戦車道をやれば助成金も出るって聞いていたし、其れに学園運営費にも回せるしね」
其れに対して梓が「じゃあ、世界大会と言うのは嘘だったんですか!?」と会長を問い詰めるが、其処へ瑞希が口を挟む。
「大丈夫。其れは嘘じゃ無いから…只、二年後の日本開催は未だ“内定”の段階だけど」
すると典子が「でも、行き成り優勝なんて無理ですよ~」と悲鳴を上げると会長は半ば御道化た声でこう答えた。
「いや~昔盛んだったんなら、もっと良い戦車が有ると思っていたんだけど…予算が無くて良いのは皆売っちゃたらしいんだよね~」
其処へ菫が「あのスポーツカーマニアの理事長がスポーツカーを買う為に戦車を売った御金を不正流用とか?」と述べた処、会長は苦笑しつつ「いや、流石に其れは無いから。本当だったら犯罪だし」と語って彼女の推理を否定したが、今度は優花里が「では、此処に有る戦車は?」と問い掛けると会長は御道化た声でこう答えた。
「ああ、明美さんが無償でリースしてくれた
此れに対してカエサルが「其れでは、優勝など到底不可能では?」とツッコむが、其処へ河嶋が悲し気な声で“当時の事情”を述べるのだった。
「だが、他に考え付かなかったんだ。古いだけで何の特徴も無い学校が生き残るには……」
すると会長が真面目な声でこう語る。
「だから戦車道を復活させると決めた直後、明美さんから“スポンサーになりたい”との申し出が有った時、迷わず乗ったんだよ。
此処でみほが「明美さんが私の事を……」と呟いて“自分が再び戦車道を履修する事になった経緯”を思い出していると、会長が何とも言えない表情を浮かべ乍ら戦車道を復活させる事を決めた当時の心情を語った。
「無謀だったかもしれないけどさ、後一年泣いて学校生活を送るより、希望を持ちたかったんだよ」
其の後、会長の隣に居た柚子が「そして長沢さん」と告げた後、こう説明した。
「名取さんはね、サンダースとの一回戦で私達が大ピンチになった時、桃ちゃんが“廃校”の事を口走ったのを聞いてしまったの。其れで試合後、彼女には事情を説明した上で口止めしたのよ」
其処へ佐智子も……
「もしも廃校の事実が皆に知られたらチームがバラバラになると思い、此の事は墓の中迄持って行く心算でした…そして良恵、本当に御免ね」
と謝罪した後、柚子も「皆…黙っていて、御免なさい」と述べた上で謝罪した。
だが…謝罪したからと言って、“此の試合に負けたら母校が無くなる”と言う事実を告げられた皆の心が落ち着く筈が無い。
先ず“
其の傍らでは“
更に“
「此の学校が無くなったら私達、バラバラになるんでしょうか?」
其れに対して同じチームの通信手・武部 沙織が「そんなの嫌だよ!」と叫ぶ中、彼女達から少し離れた場所に居たチームの操縦手・冷泉 麻子が天を仰ぎ乍ら「単位修得は夢の又夢か……」と呟いた処、彼女の隣に居た“
「冷泉さん…って、一寸皆!」
と叫んだのを聞いた麻子が「如何した?」と
「原園さんの様子がおかしいわ!」
其れを聞いた皆が「「「えっ!?」」」と叫んで、嵐へ視線を向けた時!
『アハハ…私、何もかも無くしちゃった』
「「「ええっ!?」」」
嵐の姿と発言を目の当たりにして衝撃を受ける仲間達。
其れも其の筈、彼女の瞳からはハイライトが消えており、声も普段の元気の良さが全く無い。
其の姿はまるで死人の様な雰囲気で精神的に不安定な状態に陥っているのが明らかだった。
『私も此の学校に来て、生まれて初めて“戦車道は楽しい”と思って、此の学校も戦車道も皆大好きになれたのに…学校は廃校。私は“生徒会の手先”にされて全部失っちゃった』
其の声を聞いたカエサルは震え声で「は…原園が壊れた!?」と叫び、周囲の仲間達も如何すれば良いか分からず其の場で震え上がっていたが、嵐は仲間達の様子に気付かない儘不気味な声で……
『やっぱり、私は
と喋っていた時、行き成り彼女の前にみほが現れると両手で彼女の肩を摑んでからこう叫んだのだ。
「原園さん!未だ試合は終わっていません!」
『……先輩?』
隊長の声に反応した嵐が戸惑い気味の声で答えると再びみほが叫ぶ。
「私達、未だ負けた訳じゃ無いんです!」
『!?』
みほの呼び掛けに“死人”の様な雰囲気だった嵐が“ハッ!?”となって意識を取り戻し、瞳から輝きが戻ったのを見たみほは大きく頷くと彼女に向けて更なる呼び掛けを続ける。
「原園さん!私、来年も此の学校で皆と一緒に戦車道がやりたいんです!原園さんもそうですよね!」
『は…はい!』
自らの呼び掛けに対して、嵐がハッキリと肯定の返事を返すのを見たみほは涙を浮かべて大きく頷いた。
此の時、みほは声に出さなかったが、“死人”の様な雰囲気だった嵐の口から“やっぱり、私は
そして……
「私が止めないと原園さんの心が“
と直感したみほは、嵐の心を守ろうと必死に呼び掛けたのだ。
其の様子を見ていた角谷会長は、みほの心の内迄は分からなかったが、明美から嵐の過去を知らされていた為、大体の事情を察して“誰にも聞こえない程の小声”で呟いた。
「西住ちゃん…御免」
更に仲間達も“あんこうチーム”や梓の様に嵐から過去を知らされている者も居ればそうで無い者達も居たが、皆「「「良かった…原園さんが元気を取り戻してくれて」」」と思い乍ら安堵する中、真っ先に優花里が「西住殿に原園殿、私も同じ気持ちです!」と呼び掛けると、続けて……
「そうだよ!トコトンやろうよ!諦めたら終わりじゃん、戦車も恋も!」
「未だ戦えます!」
と、沙織と華が二人に呼び掛ける。
其処へ、麻子が「其れより嵐、本当に大丈夫なんだな?」と語り掛けると、彼女は先程迄の様子が嘘の様に元気な声で……
『はいっ、皆さん御迷惑を御掛けして申し訳有りませんでした。もう大丈夫です!』
と返事をすると、みほが皆へ指示を出した。
「降伏はしません!最後迄戦い抜きます…但し皆が怪我しない様、冷静に判断し乍ら」
其れを聞いた会長が「うん」と答えて頷くと、みほが更に詳しい指示を出す。
「戦車の修理を続けて下さい!Ⅲ突は足回り、M3は副砲、寒さでエンジンの掛かりが悪くなっている車輌はエンジンルームを温めて下さい!」
其処でみほは一旦言葉を切ると、最後に……
「時間は有りませんが、落ち着いて!」
と号令を掛けた処、仲間達全員が……
「「『はいっ!』」」
と答えてから、一斉に行動に移った。
すると柚子と共に彼女達の様子を見ていた桃が必死に涙を堪え乍ら、みほと“カメさんチーム”の面々に向けて「我々は作戦会議……」と呼び掛けようとした時。
佐智子が……
「河嶋先輩。其の前に原園さん達“
「ゲッ!?」
後輩からの“痛い指摘”を受けて絶句する桃を余所に、会長がニヤリと笑い乍らツッコミを入れる。
「そうだねえ、河嶋…此処は“ビール瓶で殴られる覚悟”で謝った方が良いよ?」
更に柚子迄が「そうだね、桃ちゃん♪」と追い討ちを掛けると、観念した桃は“ニワトリさんチーム”全員に向けて……
「は…原園・野々坂・萩岡・二階堂に長沢。“秘密”を暴露してしまい、本当に済まなかった!」
すると皆を代表して瑞希が一言……
「私達は兎も角、嵐がねえ…皆は如何思う?」
其れに対して、菫・舞・良恵の三人は……
「「「嵐ちゃん(註・良恵のみ「原園さん」)、如何思う?」」」
と呼び掛けられた嵐は腕組みをし乍ら、不敵な表情で先輩の桃を見詰めつつ……
『本来なら、此の場でプロレス技を三つ位仕掛けたいのだけど……』
と告げた処、桃は泣きべそを搔き乍ら「ひええ!?」と悲鳴を上げる破目に陥った。
しかし、此処で嵐は一瞬だけみほに視線を送ってから桃へ向き直ると……
『でも、
と言った結果、桃は目に涙を浮かべ乍ら……
「本当に済まない!」
と答えてから頭を下げたのだった。
尤も…此の後、嵐は瑞希から「あれっ!? あんな酷い目に遭ったのに、河嶋先輩を許しちゃうの?」と問い掛けられた処、不敵な笑みを浮かべつつ、こう答えたのだが。
「言ったでしょ?『今其れをやったら西住隊長が悲しむから、
(第72話、終わり)
此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第72話をお送りしました。
桃ちゃんの“暴発”の所為で、内部崩壊の上に嵐ちゃんの心に致命的なダメージが生じる危機に見舞われた大洗女子の面々。
しかし、瑞希による咄嗟の行動と会長の説明、そして嵐ちゃんの危機を察した西住殿の行動で、再び試合に臨む準備を進める事となりました。
まあ試合後の桃ちゃんの運命に関しても御察しと言う処ですが(苦笑)。
一方、ローカルアイドル日本一の栄冠を勝ち取った夜に、桃ちゃんの“暴発”を知って倒れてしまった那珂ちゃんの運命は…?
そして次回ですが、首都テレビによる実況中継による様々な影響を書いて行きます。
特に明美さんがしぽりんに対して…?
勿論、大洗女子にも動きが出て来ます。
其れでは、次回をお楽しみに。