戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回は“あのシーン”が再現されます(迫真)。
実は此の話を執筆中に意外な事実が判明した為、ラストに「余談」として纏めました。
内容については御楽しみと言う事で……
其の関係で、今回はかなりの長文になりましたが、如何か御了承下さい。
其れでは、どうぞ。



第75話「ピンチの時の“あんこう踊り”です!!」

 

 

 

此処は、東京都内・湾岸地区に在るホテルのスイートルーム。

 

其処には1時間半程前、此のホテル最上階に或る“控室兼着替え室”で突然倒れた“大洗のアイドル”にして此の日行われた「346プロダクションPresents・全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」の優勝者・磯前 那珂が運び込まれていた。

 

彼女は此のホテルの宴会場で行われた「全国ローカルアイドルバトル」の打ち上げに参加した後、所属する芸能プロの社長である赤城(あかぎ) 景子(けいこ)と一緒に其の儘一泊する予定だったが、其の前に衣装を普段着に着替える為、同じ階に在る“控室兼着替え室”に入った処、偶々部屋のTVに映し出されていた「第63回戦車道高校生全国大会準決勝・第二試合“青森県代表・プラウダ高校対茨城県代表・大洗女子学園”」の実況中継から……

 

 

 

()()()()()()()()()()()()んだぞ!」

 

 

 

と言う大洗女子学園戦車道チーム副隊長・河嶋 桃の発言(暴言)を聞かされたショックで失神、其の儘倒れてしまったのだ。

 

元々彼女は大洗女子学園の母校・大洗町の出身で在る上、戦車道を復活させた大洗女子の初陣となった“聖グロリアーナ女学院との練習試合”の際に大洗シーサイドステーションで行われたオンステージで大洗女子・戦車道チーム隊長である西住 みほ達と出会ったのが切っ掛けで自身も大洗女子のファンになり、全国大会一回戦を御忍びで観戦に行った後、二回戦では両親が勤めている児童福祉施設の子供達を連れて観戦。

 

そして準決勝は自身が出場する「全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」と試合時間が重なった為、応援に行けない分“西住さん達・大洗女子の皆と一緒に戦う!”との決意で自身の決勝戦に臨んだ結果、見事優勝してローカルアイドルの頂点に立つと共にメジャーデビューの権利も勝ち取った。

 

其の矢先に突然知らされた「大洗女子が戦車道高校生大会で負けたら廃校」と言う事実は彼女に強い衝撃を与えてしまい、其の場で倒れてしまった……

 

只、幸いにも此の時部屋には「全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」のゲストとして出演した346プロダクションのアイドルユニット“トライアドプリムス”と“ニュージェネレーションズ”のメンバーが居た。

 

特に自身も全国大会一回戦のサンダース大付属戦を見て大洗女子のファンになったと言う渋谷 凛の冷静な判断により、那珂は凛と彼女が所属するユニット“トライアドプリムス”のメンバー・神谷 奈緒と北条 加蓮の3人に介抱された。

 

更に、凛は自身も所属するユニット“ニュージェネレーションズ”のメンバー・島村 卯月・本田 未央に対して「今直ぐプロデューサー(武内P)さんを呼んで来て!」と指示を出した処、2人の報告を受けたプロデューサー(武内P)は事態を重く見て、那珂が所属する芸能プロ社長の赤城と今回「全国ローカルアイドルバトル・決勝戦」の責任者として来ていた上司の美城専務にも相談した結果、3人は打ち上げ会場に居たスタッフと本来は今回の決勝戦と打ち上げの際に急病人が出た時の為に待機して居た医師も連れて部屋へやって来たのだった。

 

そして駆け付けた医師が那珂を診察した結果「彼女は精神的なショックで気を失っているだけで他に問題は無いと思うが、念の為に今夜はゆっくり休ませた方が良いでしょう」との診断を受けた為、彼女は美城専務の判断によって本来専務が泊まる筈だった此のホテルのスイートルームに運び込まれたのだった。

 

そんな中、ベッドに寝かされていた那珂が漸く意識を回復して目を覚ますと……

 

 

 

「大丈夫ですか、磯前さん?」

 

 

 

“346プロのプロデューサー(武内P)”が那珂に呼び掛けた処、彼女は上半身を起こしてから周囲を見回す…そしてプロデューサー(武内P)の他に凛・卯月・未央・奈緒・加蓮の5人が心配気な表情で自分を見守っており、更に美城専務と赤城社長が厳しい視線を向けている事に気付いてから済まなそうな声で……

 

 

 

「はい。皆さん、先程は御迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした」

 

 

 

と謝罪した後、深々と頭を下げた。

 

 

 

其の姿を見た美城専務と赤城社長が小さく頷くと卯月も済まなそうな声で那珂に告げる。

 

 

 

「私こそ、那珂ちゃんは何も知らなかったのに“大洗女子学園が廃校になるのですか!?”って訊いてしまって御免なさい」

 

 

 

其れに対して彼女は「ううん、私も廃校の事は知らなかったんだから、気にしなくて良いよ」と告げ、卯月がホッとした表情を見せる中、凛が辛そうな声で……

 

 

 

「でも、私もショックだよ…那珂ちゃんは倒れていたから聞いて居ないと思うけど生徒会長の角谷さんが語った“廃校の話”、今でも信じられ無い」

 

 

 

其処へ未央も「私もだよ……」と告げてから、こう語る。

 

 

 

「まさか、大洗女子が此の大会に出場した理由が“文科省から言い渡された廃校の阻止”だったなんて」

 

 

 

すると那珂は「皆さん。其の話、私は一切知らないので詳しく教えて頂けませんか?」と告げた為、卯月は「大丈夫なんですか!?」と問い掛けるが、其処へ赤城社長が「覚悟は出来ているのね?」と問うた処、那珂は「はい」と告げた為、彼女はプロデューサー(武内P)やアイドル達から“首都テレビの実況中継で流された「大洗女子の廃校問題」に関する話”を聞いた。

 

そして話が終わった後、那珂は覚悟を決めた声でこう問い掛ける。

 

 

 

「其れでプロデューサー(武内P)さん、試合は如何なりましたか?」

 

 

 

すると彼は腕時計を見てから「今、試合の実況中継は中断中ですが、後30分程で再開されるそうです」と告げる。

 

其れに対して那珂が辛そうな声で「そうですか……」と呟いて俯いた時、此処迄一切口を開かなかった美城専務が静かな声でこう告げた。

 

 

 

「磯前君。君は此の試合の行く末をちゃんと見届けた方が良いだろう」

 

 

 

其の言葉に卯月が不安を感じて「専務!?」と叫ぶが、美城は彼女に向けて「静かにしたまえ。私は磯前君と話をしている」と告げた後、那珂に向けてこう問い掛ける。

 

 

 

「君も既に覚悟が出来ていると言った…なら、地元のチームだとかチームのメンバーと親しいとか言う以前に、彼女達の運命を最後迄見届けるべきでは無いのか?」

 

 

 

其の言葉は大洗女子の運命を案じていた為に俯き加減だった那珂の心に“深く響いた”。

 

そして那珂は顔を上げると凛とした声で「はい。仰る通りです」と答える。

 

其の声を聞いた所属プロの赤城社長が微笑み乍ら頷くのに対して、卯月達アイドル陣は那珂の毅然とした態度を目の当たりにして息を飲んだ。

 

そしてプロデューサー(武内P)と美城専務・赤城社長が互いに小さく頷いて那珂の考えに同意すると彼女はハッキリとした口調でこう告げたのだった。

 

 

 

「私は大洗女子の…いえ、此の試合の行方が如何なろうと最後迄見届けます」

 

 

 

其の表情は“覚悟”に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない

 

 

 

第75話「ピンチの時の“あんこう踊り”です!!」

 

 

 

 

 

 

此処は私達・大洗女子戦車道チームが立て籠もって居る教会跡。

 

其処では私達の包囲を続けているプラウダ高校戦車道チームの偵察から帰還した秋山・エルヴィン両先輩や私の組と園・冷泉両先輩に瑞希(ののっち)の組が西住隊長に偵察結果の報告を終えた後、武部先輩達が其の情報を元に教会跡周辺の地図を描いていた。

 

そして出来上がった地図を見た西住隊長は笑顔で私達に向けて……

 

 

 

「あの雪の中でこんなに詳細に…此れで作戦が立て易くなりました!有難う御座います!」

 

 

 

と御礼を言うと、秋山先輩が「“雪の進軍”は結構楽しかったです!」と答え、エルヴィン先輩も「うん。楽しかった!」と笑顔で感想を述べた後、私も……

 

 

 

『はい!御蔭で最後迄頑張れました!』

 

 

 

と答えた処、麻子先輩が「敵に見付かって逃げ回ったのが、却って良かったな」と語った為、“敵に見付かった原因を作った当人”(麻子先輩目掛けて雪玉を投げたら木に当たって音を立てた)である園先輩(ソド子)が「何言ってるの!?見付かったのも作戦よ!」と言い返したのだけど、其処で瑞希(ののっち)が……

 

 

 

(その)先輩、其れは()()とは言えないですから」

 

 

 

と“厳しいツッコミ”を入れた為、憮然としている彼女を余所に麻子先輩が「野々坂、其のツッコミは厳し過ぎると思うぞ?」と答えた結果、瑞希(ののっち)園先輩(ソド子)に向けて「先輩、御免なさい」と頭を下げて謝った為、園先輩(ソド子)は戸惑いがちに「冷泉さん…ありがと」と呟いた。

 

其の様子を眺めて居た私はホッとした気持ちで五十鈴先輩から淹れて貰ったココアを飲んだ。

 

 

 

だけど、私達に対するプラウダ高校の()()は、実は此処からが“()()”だったのだ。

 

 

 

 

 

 

一方、此方は観客席の外れから試合を観戦して居る聖グロリアーナ女学院戦車道チーム隊長・ダージリンとボンプル高校戦車道チーム隊長・ヤイカ達。

 

 

 

彼女達の視線の先に在る超巨大モニターには「協議中」のテロップと共に大洗女子・プラウダ高両チームの配置図が映し出されており、更に会場内各所に設置されているスピーカーからは場内アナウンスが繰り返し流されている。

 

 

 

「只今、試合を続行するか如何か協議しております。繰り返します……」

 

 

 

1時間半程前から試合会場内では吹雪が強まった為、観客達はアナウンスを聞き乍ら周辺の屋台で夜食を摂ったり、暖房の効いたプレハブ建築の休憩所で休息を取っている為、現在観客席はガラガラの状態だ。

 

しかし試合中の両チームは観客と違い、食事や防寒対策は自前で用意しなければならない。

 

其の事に気付いた聖グロ戦車道チームの一年生で、ダージリンが駆る隊長車・チャーチル歩兵戦車Mk.Ⅶの装填手を務めているオレンジペコがダージリンへ問い掛ける。

 

 

 

「増々大洗女子には不利ですね。敵に四方を囲まれ、此の悪天候。きっと戦意も……」

 

 

 

だが彼女は澄まし顔で「其れは如何かしらね?」と答えるが、此処でヤイカが異論を述べる。

 

 

 

「でもダージリン。貴女の後輩(オレンジペコ)の考えも一理有るわよ…恐らくカチューシャは此の時間(降伏勧告の猶予)を利用して大洗女子の心を折りに来るわ」

 

 

 

其れに対して彼女達と一緒に観戦して居るサンダース大付属高校戦車道チームの一年生・原 時雨が戸惑い気味の声で「心を折る?」とヤイカに問い掛けた処、“群馬みなかみタンカーズ”時代の時雨の同級生兼チームメイトで、今はアンツィオ高校戦車道チームに居るマルゲリータ(大姫 鳳姫)が「まさかヤイカさん、プラウダは“兵糧攻め”をやる気ですか!?」と叫んだ処…ダージリンの背後に防寒コートを着た大人の女性がやって来ると挨拶をした。

 

 

 

「失礼します、首都新聞社の北條 青葉です。聖グロリアーナ女学院のダージリン隊長でいらっしゃいますか?」

 

 

 

其れに対してオレンジペコが「済みません。試合中のインタビューは御断りしているのですが……」と話を遮った処、青葉は彼女に向けて「御免なさい」と告げた後、こう答えた。

 

 

 

「勿論、其の点に付いては弊社と日本戦車道連盟との取り決めで行いませんので、此の試合が終わった後で“試合を御覧になった感想(インタビュー)”を御聞きしたいのですが、宜しいでしょうか?」

 

 

 

するとダージリンは笑顔で「試合終了後と言う事で有れば、宜しいですわ」と答えた為、青葉は軽く会釈をした後、こう語った。

 

 

 

「有難う御座います。其の御礼と言う訳では御座いませんが、首都テレビ中継本部からの情報では『気象庁の気象衛星“ひまわり”からのデータと地元気象台からの予報を総合すると此の吹雪は後30分程で止む為、恐らく吹雪が止んだ時点で試合は再開されるだろう』との事です」

 

 

 

其れに対してダージリンは更なる笑顔で頷くと「有益な情報、有難う御座います。もし宜しければ北條さんも御一緒に紅茶でも如何(いかが)ですか?」と誘ったが、青葉は済まなそうな声で……

 

 

 

「申し訳有りません。私達は社の服務規程で“大会期間中関係者から飲食を受けるのは禁止”されておりますので、此処で失礼致します」

 

 

 

と答えた為、ダージリンも少し残念そうな声で「そうでしたか。其れでは御気を付けて」と答えた処、青葉も「はい」と答えてから頭を下げた後、其の場から立ち去って行った。

 

其の様子をずっと見ていたオレンジペコが「試合再開迄余り時間が有りませんね」と呟き、其れを聞いた時雨とマルゲリータ(大姫 鳳姫)が小さく頷いた時、超大型モニターを見詰めていたヤイカが声を上げた。

 

 

 

「皆、そう言っている内にカチューシャの()()が始まったみたいよ!」

 

 

 

すると彼女の視線の先に在る超大型モニターに、欧州風の煉瓦造りの小屋と2輌のT-34/76の周りに焚き木と温かい飲み物を飲んでリラックスしているプラウダ高校・戦車道チームメンバー達の姿が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

一方、此方は教会跡に立て籠もる大洗女子学園戦車道チーム。

 

 

 

「降伏時間迄、後何時間だ?」

 

 

 

「…1時間」

 

 

 

河嶋 桃副隊長の問い掛けに小山 柚子が不安気な声で答えると桃も「1時間を此の状態で待つのか」と呻くが、其処へ名取 佐智子が「待ち切れ無い人達も居ますけどね」と教会跡の出入り口を指差すと其の光景を見た桃と柚子が「「えっ!?」」と驚きの声を上げた。

 

其処には“ニワトリさんチーム”のメンバーの内、何かの準備をしているらしい長沢 良恵を除く4人…群馬みなかみタンカーズ出身の嵐・瑞希・菫・舞が教会跡の外で何やら動き回っていたのだ。

 

 

 

「アイツ等…此の寒さの中で何をやっているのだ?」

 

 

 

其の様子を見た桃が呆れ声で呟くが、其れを聞いた佐智子は先輩を睨み付け乍ら文句を言った。

 

 

 

「河嶋先輩…あの()達に向かって“此の大会に負けたら学園が廃校になる事は知っていただろう!”と言ってチームの団結を乱したのを忘れたんですか!?」

 

 

 

「ゲッ!?」

 

 

 

自らの指摘に桃が情けない悲鳴を上げてブルブル震えている(其の原因は寒さでは無い)のを見た佐智子は「全く……」と不満げに呟き乍ら周囲を眺めたが、其の時彼女は仲間達の様子に“異変”が生じている事に気付いた。

 

 

 

「あれっ、皆、如何したの!?」

 

 

 

此れが“此の試合における大洗女子最大の危機”の始まりだったのである。

 

 

 

 

 

 

先ず教会跡の床に座って毛布に包まっていた“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”のメンバー達が弱音を吐き始めた。

 

 

 

「何時迄続くのかな…此の吹雪」

 

 

 

チームの37㎜砲々手・大野 あやが不安気に呟くと通信手を務める宇津木 優季が「寒いね~」と答える。

 

すると操縦手の阪口 桂利奈も「うん」と呟く中、75㎜砲々手・山郷 あゆみ迄が「御腹空いた」と弱音を吐く中、チームリーダー兼車長の澤 梓と装填手の丸山 紗希は仲間達を励ます処か何も言えなくなっていた…尤も紗希が黙っているのは何時もの事なのだが。

 

 

 

一方、“カモさんチーム(ルノーB1bis)”でも……

 

75㎜砲々手兼装填手の金春 希美(パゾ美)が眠り込んでしまい「グー……」と寝息を立てているのを見たチームリーダー兼戦車長の園 みどり子(ソド子)が「寝ちゃ駄目だよ、パゾ美」と注意をしていた。

 

 

 

続いて“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”では操縦手を務めるおりょうが夜空を眺め乍ら「やはり…此れは八甲田」と“縁起でも無い事”を呟くと、チームリーダー兼装填手のカエサルが「天は…我々を見放した!」と言い出し、砲手の左衛門左迄が「隊長!あの木に見覚えが有ります~!」と“悪ノリが過ぎる発言”を続ける中、実はプラウダ高校の偵察行で“仲間達と同じ(映画「八甲田山」)ネタ”を秋山 優花里とやって偵察メンバーの1人だった原園 嵐を困惑させていた車長のエルヴィンが辛そうな表情で黙っていると“思わぬ声”がした。

 

 

 

「歴女先輩方、何が悲しくて“自分達が生まれる前に上映された映画(八甲田山)”のネタをやっているんですか!?しかも縁起が悪い内容だし!そんな事ばかりやっているとレトルトカレーにココア、其れとチョコレートバーはあげませんよ!?」

 

 

 

其の声の主は“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”の副操縦手で一年生の長沢 良恵だった。

 

其れを見たエルヴィンはホッとした表情で「済まない!」と答えると仲間達3人も慌て声で……

 

 

 

「「「あっ…頂戴!」」」

 

 

 

と良恵に呼び掛けると彼女が持って来た食事を受け取り始めた…其の様子を見ていた他のチームの仲間達も集まる中、桃が柚子に対して「未だ食料があったのか!?」と問うた処、彼女は首を横に振り乍ら「いいえ」と答えた後、「こう言う事態は予測していなかったので、さっき配ったスープの他には乾パンしか無かった筈なのに!?」と語ったのに対して良恵が笑顔でこう答えたのだ。

 

 

 

「実は試合直前に明美さんが“こんな事も有ろうかと”と言って私や嵐達に渡してくれた物で、私達がイージーエイト(M4A3E8)の車体や砲塔後部の荷物入れに食料を入れたケースを括り付けて置いたんです」

 

 

 

其れに対して桃が「明美さんが……」と呟く中、柚子も「言われてみれば今日のイージーエイト(M4A3E8)、車体や砲塔後部に積んでいる荷物がやけに多いと思って居たわ」と答えると、今度は佐智子が補足説明を加えた。

 

 

 

「其れで、此の教会前での撤退戦の時に食糧を入れたケースの一部が至近弾で吹き飛ばされちゃったんですが、さっき嵐達が外に出て拾える物は全部拾って来てくれたんです」

 

 

 

其れを聞いた桃は“先程見た嵐達の行動”を思い出し、「じゃあ、さっき原園達が外で動き回っていたのは!?」と問い掛けた処、良恵が「はいっ!そして私は嵐達が集めて来たレトルトカレーを鍋で沸かしたお湯に入れて温めていました」と答えた為、其れを聞いた柚子は笑顔で「助かった!」と叫んだ。

 

只、此処で皆に用意した食事を配っていた野々坂 瑞希が「でも此れで食料は本当に最後ですけどね」と忠告した為に皆が表情を引き締める中、萩岡 菫が皆に呼び掛ける。

 

 

 

「其れと皆さん、チョコレートバーは今食べずに試合再開後の合間に食べて下さい。何時試合が終わるか分かりませんから!」

 

 

 

そして二階堂 舞が「此の寒さだと立って居るだけでカロリーを沢山消費するから、チョコレートが冬場の非常食に適しているんだ。だから“食べたら太る”なんて思わないで、一寸御腹が空いたと思った時には直ぐ食べてね!」と呼び掛けていたが、其の一方で“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”通信手・武部 沙織が寂しそうな声で……

 

 

 

「でも、此れで私達の食べる物は最後なんだよね……」

 

 

 

と語るとチームメイトの装填手・秋山 優花里が……

 

 

 

「さっき偵察中、プラウダ高は焚き木をし乍らボルシチとか食べていました」

 

 

 

と語った処、操縦手の冷泉 麻子が……

 

 

 

「美味しそうだな……」

 

 

 

と呟いた為、傍に居た砲手の五十鈴 華は……

 

 

 

「其れに温かそうです」

 

 

 

と語った為、折角食事を貰った他の皆も元気が無くなって沈んだ気持ちになってしまった。

 

すると優花里が「やっぱり、あれだけの戦車を揃えている学校ですからね……」と呟くが其処へ“ニワトリさんチーム”の瑞希・菫・舞の3人が優花里達の傍へやって来ると突然、瑞希が憤懣遣る方無い表情でプラウダ側の陣地を睨み乍ら、こう言い放った。

 

 

 

「ああ…あれはプラウダの奴等の()()ですよ!」

 

 

 

「「「作戦!?」」」

 

 

 

“思いも寄らぬ発言”を聞かされて驚く優花里達4人に対して、今度は舞が憤る。

 

 

 

「ああやって“自分(プラウダ)達は食事を食べられるし、焚き木で温まる事も出来る”って自慢して私達の心を折りに来ているんだよ!」

 

 

 

其処へ菫が舞の発言に対して頷き乍ら、こう語った。

 

 

 

「多分、降伏勧告の軍使が私達の様子を見て“食料や防寒の準備をしていない”事を見抜いた上でカチューシャ隊長に報告したんだと思う」

 

 

 

此の時、大洗女子・戦車道チームの仲間達は“或る事”に気付いた。

 

プラウダ高校の()()は試合中断中も続いていたのだ。

 

勿論、試合ルールに反しない形(食事や焚き木を見せ付ける)で大洗女子の心を折りに来ているのだ。

 

そんなプラウダ高の“()()()()()”を知り、大洗女子のメンバー達は絶望的な表情を浮かべる……

 

 

 

 

 

 

其の時、“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”のリーダー兼車長・原園 嵐が優花里達の近くに居るチームメイトに向けて声を掛けて来た。

 

 

 

『三人共、一寸話が有るから向こうの方に集まって』

 

 

 

其の指示に従って瑞希・菫・舞の三人が嵐の下に集まる。

 

只、此の時皆に配ったレトルトカレーを“ウサギさんチーム(M3中戦車リー)”と一緒に食べている良恵は“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”の一員で有るにも関わらず呼ばれていなかったが、“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”のメンバー4人は其の不自然さに気付かない儘、今後の不安を語り合って居た。

 

 

 

「学校…無くなっちゃうのかな?」

 

 

 

沙織が寂し気な声で語ると優花里が「そんなの嫌です…私はずっと此の学校に居たい!皆と一緒に居たいです!」と叫ぶが、沙織も沈んだ声で「そんなの分かって居るよ!」と言い返す。

 

其処へ華が……

 

 

 

「如何して廃校になってしまうんでしょうね…此処でしか咲けない花も有るのに」

 

 

 

と語った時……

 

 

 

「……」

 

 

 

麻子は言葉こそ発しないものの、コサックダンスに興じているプラウダ高の面々を睨み付け乍ら憤りを隠せない表情を浮かべて居た。

 

こうして“負けたら母校が廃校になる”と言う現実の前に大洗女子の士気はどん底に落ち込んでいた…筈だった。

 

隊長である西住 みほと“もう1人(原園 嵐)”を除いて。

 

 

 

 

 

 

あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”の先輩方には悪いけれど、彼女達の声は私の耳にもしっかり届いていた。

 

 

 

其れだけで無く、仲間達が“此の試合に負けたら母校・大洗女子学園が廃校になる”と言う現実の前に押し潰されている事にも気付いていた。

 

だから私は“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”のメンバー中“群馬みなかみタンカーズ”からの仲間でも有る瑞希・菫・舞を呼んで“此の苦境を脱する為の作戦”を伝える事にした。

 

但し“群馬みなかみタンカーズ”出身では無い長沢 良恵だけは此の場には呼んでいない。

 

此れから伝える()()()()()に彼女を巻き込みたくなかったからだ。

 

 

 

『皆聞いて。仲間達の士気がどん底の状態にある今、此の儘では試合が再開されても勝負にならない。其処で私達が……』

 

 

 

そして3人に“私が立てた作戦”を伝えると……

 

 

 

瑞希が小声で「()()をやるの!?」と口走り、続いて菫は真っ青な顔で「無茶過ぎない!?」と喋ると舞も驚きの表情を浮かべ乍ら「私達だけでやるの!?西住隊長達は如何するの!?」と問うが、私は敢えて能面の様な表情で仲間達の反論を受け流すと静かな声でこう告げた。

 

 

 

『無茶は承知の上よ…皆の心が折れてしまって居る状況下でプラウダの大軍を相手取るには()()()()()()()()()。其れに私達は望んで居なかったとは言え“生徒会の手先”になっていた以上、此処で仲間達に対して()()()を着けるしか無いわ!』

 

 

 

「「「……」」」

 

 

 

私の“宣告”を聞いた3人が悲壮感溢れる表情で俯いた儘、何も言えなくなったのを見た私は『じゃあ……』と自らの決断を彼女達に伝えようとした時だった。

 

突然、西住隊長が皆に呼び掛けて来たのだ。

 

 

 

「皆如何したの!?元気出して行きましょう!」

 

 

 

でも士気がどん底に迄落ち込んでしまって居る仲間達に隊長の声は響かない。

 

漸く武部先輩が擦れ声で「…うん」と答えただけだ。

 

其れに対して西住隊長は大声で「さっき皆で決めたじゃないですか!?降伏しないで最後迄戦うって!」と叫ぶが、皆は疲れ切った声で「「「は~い……」」」「分かってま~す……」と答えるのが精一杯。

 

最早、仲間達に戦う気力が残されていないのは明らかだ。

 

其処で私は瑞希・菫・舞に向けて小声で告げる。

 

 

 

『皆、今の会話を聞いたよね…西住隊長がやる気でも皆の心が折れてしまっている以上、戦い続ける為には私達が“()()”になるしか無いわ。“生徒会の手先”となって仲間達を裏切った私達が!』

 

 

 

其れに対して3人は表情を強張らせ乍ら頷く…其の様子を見届けた私が『じゃあ、皆の覚悟が出来た処で西住隊長に意見具申するわ』と言った時。

 

 

 

「おい、もっと士気を高めないと!」

 

 

 

仲間達の士気をどん底に迄突き落とした元凶(桃ちゃん)が、己の過去の発言を棚に上げる形で西住隊長に注文を付けて来た。

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

其れに対して隊長が当惑気味に答える中、元凶(桃ちゃん)は追い討ちを掛ける様に「此の儘じゃ戦えんだろ!何とかしろ、隊長だろ!」と言った処、隊長が「あっ、はいっ!」と答えた瞬間、私は頭に来た。

 

 

 

あの女(桃ちゃん)…廃校の件をバラして()()()()()()()()()()()()()と思って居るのよ!?』

 

 

 

西住隊長、河嶋先輩の文句に答える必要は有りません。

 

今から私が彼女をぶっ飛ばしますから…と思って歩き出そうとした時、瑞希(ののっち)が私の肩を掴み乍ら……

 

 

 

「一寸嵐、此処で河嶋先輩を殴っちゃ駄目!」

 

 

 

と言い出したから、つい私も言い返す。

 

 

 

『離してよ瑞希、一遍あの女には…って、ええっ!?

 

 

 

其の時だった。

 

目の前で、突然西住隊長が大声を上げ乍ら踊り始めたのだ。

 

しかも其の踊りは妙にテンションが高い上に体をくねらせる様に動かす為、如何見ても正体不明且つ“エロい”としか言い様が無い。

 

そう…西住隊長が踊っているのは“大洗名物・あんこう踊り”だった。

 

 

 

「皆も歌って下さい!私も踊りますから!」

 

 

 

あの“恥ずかし過ぎる”事で大洗の乙女達の間では()()()()()()を踊り乍ら“皆も歌って欲しい!”と呼び掛ける西住隊長に対して仲間達が唖然とする中、河嶋先輩が慌て声で「逆効果だぞ、おい!?」と叫ぶ中、私は即座に答えた。

 

 

 

『西住隊長!私も踊らせて頂きます!』

 

 

 

隊長が皆の士気を上げる為に踊るのなら、私が真っ先に踊らなくて如何するの!

 

其れに私は“西住隊長を独りにはさせない”と誓った以上、あの“あんこう踊り”を隊長と一緒に踊らない理由なんて無かった。

 

そんな決意で西住隊長の隣に来た時、秋山先輩も「ああっ、原園殿に先を越された…私も踊ります!」と叫び乍ら駈け込んで来たので、私は直ぐ様……

 

 

 

『秋山先輩!西住先輩の隣へどうぞ!』

 

 

 

と叫ぶと共に先輩を隊長の隣へ呼び込み、私は秋山先輩の隣で踊り出す。

 

やっぱり秋山先輩が西住先輩の…って、何を言っているのだ、私は!?(赤面)

 

等と思って居る間に秋山先輩から「有難いです!一緒に踊りましょう!」と呼び掛けられたので私も『はいっ!』と答えると“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”の五十鈴・武部・麻子先輩も次々に私達の目の前にやって来て踊り始めた。

 

 

 

そして、遂には大洗女子学園戦車道チームのメンバー全員が“あんこう踊り”を踊る場面が試合会場内の超大型モニターだけで無く、再開された首都テレビの実況中継でも全国放送されたのである。

 

 

 

 

 

 

其の時、試合会場内の観客席では……

 

 

 

「アハハ!大ピンチの最中に皆で“あんこう踊り”を踊るなんて最高じゃない!」

 

 

 

会場内の超巨大モニターに映し出された光景を見た明美が大声で笑い乍ら西住 しほに呼び掛けると彼女は……

 

 

 

「“あけみっち(明美)”…御前と言う奴は!」

 

 

 

と文句を言うが、其処で隣に居た長門が笑顔でこんな事を言い出した。

 

 

 

「良いじゃ無いか!黒森峰に入学してから何かと引っ込み思案だったみほちゃんが“あのあんこう踊り”を自分から踊るなんて!私も一緒に踊りたくなったぞ!」

 

 

 

そんな彼女の姿にしほはドン引きし、明美もジト目で「“ながもん(長門)”…其れは遣り過ぎだって」と呟くが、其の表情は笑顔である事に気付いた西住 まほは視線を超巨大モニターに映って居る“妹・みほの踊る姿”に移してから、小声で呟いた。

 

 

 

「ピンチの時に皆で踊って皆を盛り上げる…其れが“みほの戦車道”なのか!?」

 

 

 

更に観客席の別の場所では“異変”が起きていた。

 

五十鈴 華の母・百合が“あんこう踊り”を踊る娘の姿を見て呆然となり、奉公人の新三郎が「御嬢が!?」と驚愕の叫びを発する中、観客席からも“あんこう踊り”の歌声と手拍子が響いて来たのだ。

 

しかも吹雪の影響で観客席を離れていた観客達がSNS等で“大洗女子があんこう踊りを踊っている”と知って観客席に戻りつつあり、次第に彼らの歌声と手拍子が会場全体に轟き渡って行った。

 

今や、観客達は絶体絶命の戦況下にある大洗女子の味方になっていた。

 

其の様子を目の当たりにした百合と新三郎は、華と彼女の仲間達が起こした“奇跡”の凄さを知って何も言えなくなっていた。

 

そして、其処から少し離れた観客席では“大洗女子学園・中等部4人組”こと五十鈴 華恋・武部 詩織・若狭 由良・鬼怒沢 光や秋山 優花里の両親である淳五郎・好子夫妻が観客席からの声援交じりの歌声と手拍子付きとなった“大洗女子によるあんこう踊り”を見て涙ぐんでいた。

 

 

 

一方、試合会場の外れで観戦して居た少女達も驚くやら呆れるやら、其々の表情でみほ達の踊りを眺めて居る中、ヤイカが驚愕の声でこう叫ぶ。

 

 

 

「“あんこう踊り”って…ダージリン、まさか貴女達聖グロとの練習試合に負けた時の大洗女子が踊った“あのエロ過ぎる踊り”か!?」

 

 

 

だが、其れに対して答えたのは映像を見ながら微笑んでいるダージリンでは無く、両目からハイライトが消えた状態になっているオレンジペコだ。

 

 

 

「はい…そして、もしもあの試合で大洗女子が勝っていたら、私達が()()を踊る筈でした」

 

 

 

と答えた処、ヤイカは戦慄の表情を浮かべ乍ら「練習試合の後、動画配信サイトの明美さんのアカウントで世界中に流された“あの踊り”を!?」と叫ぶと、唐突にダージリンが快哉を発していた。

 

 

 

「“ハラショー”ですわ!」

 

 

 

其の一言でヤイカが絶句する中、彼女達と共に観戦していた嵐の元チームメイト・原 時雨とマルゲリータ(大姫 鳳姫)は微笑み乍ら、羨まし気な声でこう語り合って居た。

 

 

 

マルゲリータ(鳳姫)、嵐も笑顔で踊っているね」

 

 

 

「うん、時雨。私、漸く分かったわ…嵐や直之さんがやりたかった戦車道って、きっとあんな形だったんだろうなって

 

 

 

 

 

 

そして大洗女子の“あんこう踊り”を見詰めていたのは観客だけでは無い。

 

丁度此の少し前のタイミングで再開された首都テレビの実況中継では、実況席で彼女達の踊りを見た346プロダクションのアイドル・新田 美波が涙声で……

 

 

 

「こんな大変な時なのに、此れだけ踊れるなんて…私、今凄く感動しています!」

 

 

 

と語った処、解説担当の斎森 伸之と吉山 和則も「「私もです!」」と答えた為、其れを聞いていた実況の加登川 幸太アナウンサー迄が……

 

 

 

「私も同感です。今、大洗女子学園が想像も付かない程の絶望的な状況下で“もう一度、戦おう!”と言う気持ちをあの踊りで蘇らせようとする姿は“奇跡”としか言い様が有りません!」

 

 

 

と全国の視聴者に向けて語り掛けていた。

 

無論、全国の視聴者達も固唾を飲んで一連の場面を見詰めており…そして皆が大洗女子の選手達の踊りに感動していた。

 

当然、東京都内・湾岸地区に在るホテルのスイートルームで実況中継を見ていた那珂や346プロダクションのアイドルや関係者達も例外では無い。

 

特に那珂はスイートルームの大画面TVの前で涙を零し乍らも笑顔で「皆…私も踊りたい!」と叫ぶと……

 

 

 

「はいっ!私もです!」

 

 

 

と卯月も笑顔で答え、次いで凛がこう語る。

 

 

 

「そうだね!大ピンチの時に此れだけ気合の入った踊りが出来るなんて、私達(アイドル)の目から見ても凄い!」

 

 

 

其れに対して卯月達のプロデューサー(武内P)が無言で頷くと隣に居た美城専務も「此ればかりは才能やプロの技術だけでは表現し切れない領域…だが団結力だけで此処迄やるとは」と感嘆し、其れを聞いていた那珂の所属プロ社長・赤城迄が「正直、プロの目から見ても脱帽ものだわ」と羨まし気な声で呟いた時、首都テレビの中継映像からこんな声が……

 

 

 

「菫ちゃんに良恵ちゃん、此れってまるで346プロダクションの“シンデレラの舞踏会”みたいだね!」

 

 

 

「舞!御願いだから、其れを言うのは止めて~!」

 

 

 

「2人共!其の話を聞くと普通に踊る時よりも余計に恥ずかしいよ!」

 

 

 

偶然、3人の選手の会話が実況中継に流れて来た為、其れを聞いた那珂が笑顔で「皆さんの事を話題にしていますよ!」と話し掛けると、其れを聞いた未央が冗談半分で……

 

 

 

「ねえ皆、次のライブのアンコールで“あんこう踊り”を踊ってみない?」

 

 

 

と語り掛けた処、奈緒が「其れ、良いね!」と乗って来た為、加蓮が何を思ったのか……

 

 

 

「まさか“()()()()()()()()姿()で”って事は無いよね?」

 

 

 

と言った瞬間、発言者を含めた那珂達アイドル勢は一斉に「「「アハハ!」」」と笑ったが、此処で“流石に其れはプロダクション的に不味い!”と思った美城専務が「コホン!」と咳払いをした為、アイドル達は神妙な顔で「美城専務、()()()を言って済みません」と謝罪したのを聞いた美城専務とプロデューサー(武内P)や赤城社長が揃って頷いた時、画面から新たな声が響いて来た。

 

 

 

 

 

 

「あのっ!」

 

 

 

 

 

 

最高潮に達していた私達の“あんこう踊り”を止めたのは、教会跡の玄関にやって来た少女の声だった。

 

其れに対して“アヒルさんチーム(八九式中戦車甲型)”の操縦手・河西 忍と私の相棒の1人である舞が相手の正体に気付いて……

 

 

 

「プラウダ高の……」

 

 

 

「軍使さんだ」

 

 

 

と呟いた…そう、3時間前に降伏勧告の軍使としてやって来ていたプラウダ高校戦車道チームの選手2人の内の1人だ。

 

そして彼女は、私達の中心に居る西住隊長に向けて“最後通告”を行う。

 

 

 

「もう直ぐタイムリミットです。降伏は?」

 

 

 

其れに対して西住隊長はキッパリと答えた。

 

 

 

「しません!最後迄戦います!」

 

 

 

(第75話・本編終わり)

 

 

 

<余談>

 

前書きでも書きましたが、今回“ある事実”が判明した為、ガルパン原作TV版第9話からカットしたシーンを事情説明も兼ねて台本形式で披露します。

 

其れは大洗女子が酷寒の教会跡で籠城中、バレー部の面々が……

 

 

 

忍「良い事考えた…ビーチバレーじゃ無くて“スノーバレー”って如何ですかね?」

 

部長「良いんじゃない?知らないけど?」

 

其処へやって来た嵐『忍に部長…知らないんですか?“スノーバレー”って実在しますよ!?』

 

バレー部全員「「「はいっ!?」」」

 

嵐『厳密に言うと、忍と部長さんがガルパン原作TV版第9話で此の話をした2012年当時は無かったのですが、2019年になってFIVB(国際バレーボール連盟)が冬季オリンピックを目指した“新たなイベントビジネス”としてスノーバレーをスタートさせたんです。基本ルールは「4人1チームの3人制、メンバーチェンジが可能」で、既にワールドツアーも開催されていて日本代表の公式HPも有るんですよ』

 

忍「マジで有ったの!?」

 

部長「よしっ、其れなら私達もスノーバレーを!」

 

バレー部全員「「「オーッ!」」」

 

嵐『あの~其の前に此の戦いを勝ち抜いて母校の廃校を回避するのが先だと思うんですが?』

 

バレー部全員「「「サーセン」」」

 

 

 

作者「こっちも『まさか実在しないだろう』と思って“スノーバレー”でググった結果が此れだよ!」(悲鳴)

 

 

 

(第75話、此れで本当に終わり)




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第75話をお送りしました。
今回は執筆中に“スノーバレーが実在していた”と言う事実が判明した為、一部ストーリーを手直ししましたが(苦笑)、如何だったでしょうか。
其れはさて置き、カチューシャが仕掛けた“心理戦”によって心を折られそうになった西住殿達。
しかし西住殿による“あんこう踊り”に嵐が即座に反応、仲間達も一緒に踊り始めた事から士気が上がり、窮地を脱する事に成功しただけで無く此の試合を観ていた観客や実況中継の視聴者迄も感動させる事に。
しかし其の裏では嵐が仲間達と共に“過酷な作戦”を実行する計画が…此の作戦の正体については次回説明しますが、其れに対して西住殿は如何反応するのか?

其れでは、次回をお楽しみに。

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