戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

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今回は少々短めですが、キリの良い所なので纏めてみました。
此れ迄長文の回が多かったので、多少は読み易くなったかも知れませんが……
其れでは、どうぞ。


第78話「“狂犬”目覚めます!!」

 

 

 

戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない

 

第78話「“狂犬”、目覚めます!!」

 

 

 

「白熱する“第63回戦車道全国高校生大会準決勝・第二試合「プラウダ高校(青森)対県立大洗女子学園(茨城)」”は、西住 みほ隊長率いる大洗女子学園戦車道チームが角谷 杏選手率いる“カメさんチーム(38(t)軽戦車B/C型)”と原園 嵐選手率いる“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”の活躍も有ってプラウダ高校の包囲網を突破した後、試合の主導権を奪い返すべく激しい機動を開始しています!」

 

 

 

試合会場内に設置された首都テレビの実況席で、此の試合の実況を担当する首都テレビアナウンサー・加登川 幸太が鋭い声で語ると解説を担当する戦史研究家兼戦車道解説者の斎森 伸之が……

 

 

 

「あの無謀と思われた教会跡からの正面攻撃が“包囲網の手薄な場所へ相手を誘導して袋叩き”にしようとしたプラウダ側の思惑を打ち砕いたのは痛快でした!」

 

 

 

と大声で語った処、もう1人の解説者である戦史研究家・吉山 和則も「そうですね!」と答えた後、大声でこう指摘する。

 

 

 

「只、此の儘だと大洗女子はプラウダ側のフラッグ車(T-34/76)から離れて行ってしまうので、もう一つ何か手を打って来る筈ですよ!」

 

 

 

すると此の実況中継のゲストで、346プロダクション所属の大学生アイドル・新田 美波がこう語る。

 

 

 

「と言う事は、大洗女子の西住さんが又何かを仕掛けて来るって事ですね…今から楽しみです!」

 

 

 

其れに対して、加登川アナウンサーが冷静な声で「新田さんの仰る通り、試合は此処から一山も二山も有りそうな展開になりそうです。目が離せません」と語った後、突然鋭い口調でこう言った。

 

 

 

「あっ、此処で大洗女子に動きが有りました!」

 

 

 

すると実況中継の音声に、大洗女子学園戦車道チーム隊長車“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”から通信手の武部 沙織がチーム全車へ向けて発信したみほの指示が飛び込んで来た。

 

 

 

「“あんこう”2時に展開します!フェイント入って難度高いです!頑張って付いて来て下さい!」

 

 

 

此れに対して、大洗女子の戦車隊7輌全車は一斉に自分達の居る低地を抜け出すべく右から左へとジグザグ走行し乍らペースを上げて爆走し始めた。

 

其のチームワークは素晴らしく、追うプラウダ側との差を徐々に引き離している様にも見える。

 

特に大洗女子の7輌の中で唯一、此の試合が初陣の“カモさんチーム(ルノーB1Bis)”も最後尾から必死になって付いて来ている。

 

其の姿を観客席前の超大型モニターで見た観客達からは……

 

 

 

「頑張れ!“カモさんチーム(ルノーB1Bis)”!」

 

 

 

「しっかり付いて行け!」

 

 

 

「振り切られるなよ!」

 

 

 

と大歓声が上がっており、観客席に居る“大洗女子学園・中等部4人組”こと五十鈴 華恋・武部 詩織・若狭 由良・鬼怒沢 光や秋山 優花里の両親である淳五郎・好子夫妻、そして五十鈴 華の母親・百合と使用人の新三郎も必死の声援を送っていた。

 

 

 

 

 

 

此の大洗女子の動きに対して、プラウダ高校戦車道チームのカチューシャ隊長は「何なの!?チマチマ軽戦車みたいに逃げ回って!」と苛立ち気味に叫んだ後、無線で友軍全車へ緊急の指示を出した。

 

 

 

「機銃、曳光弾!戦車砲は勿体無いから使っちゃ駄目!」

 

 

 

そしてプラウダ側から逃げる大洗女子の戦車隊へ向けて放たれる多数の曳光弾。

 

今は夜間の為、戦車砲に備え付けの照準器では光量不足で相手戦車を狙う事が出来ない。

 

其処で車載機銃から曳光弾を撃って“アタリ”と付けてから戦車砲を発砲しようと言うのがプラウダ側の狙いだったが、慌てて居る所為か彼女達が走行し乍ら撃った曳光弾の弾道は目標に対して上向き過ぎて居た為、夜空を照らすだけに終わっていた。

 

大洗女子戦車道チーム隊長車・Ⅳ号戦車F2型仕様(あんこうチーム)の車長用キューポラから上半身を出した状態で此の様子を直に見たみほの目には、曳光弾がまるで“冬の花火”の様に見えている。

 

其の時、みほが被っている通信用ヘッドホンにチームの操縦手・冷泉 麻子の声が飛び込んで来た。

 

 

 

「見えたぞ」

 

 

 

其の声に反応したみほが前方を確認すると雪に覆われた上り斜面が見えて来た。

 

其処で、みほは沙織に対して無線発信の指示を出す。

 

 

 

「“カモさーん”、追い掛けて来ているのは何輌ですか!?」

 

 

 

沙織からの無線に対して“カモさんチーム(ルノーB1Bis)”のリーダー(と車長兼47㎜砲々手&装填手兼通信手)・園 みどり子(ソド子)が「えーと、全部で6輌です!」と応答すると、再び沙織が「フラッグ車は居ますか!?」と訪ねた処……

 

 

 

みどり子(ソド子)は「見当たりません!」と答えて来た。

 

 

 

其の時、みほの脳裏に天啓が走る。

 

 

 

「と言う事は…プラウダのフラッグ車(T-34/76)は最低限の護衛だけで教会跡の在った廃村内に居る筈!

 

 

 

そう確信した彼女は()()()()()を仕掛けるべく新たな指示を出す。

 

 

 

「“カバさん”、“あんこう”と一緒に坂を乗り越えた直後に敵を遣り過ごして下さい!主力が居ない内に敵フラッグ車を叩きます!」

 

 

 

続いて……

 

 

 

「“ウサギさん”“カモさん”“カメさん”……」

 

 

 

と伝えた後、みほは一瞬だけ指示を出すのを躊躇ったが、直ぐ表情を引き締めると続きの指示を出した。

 

 

 

「そして“ニワトリさん”は“アヒルさん(フラッグ車)”を守りつつ逃げて下さい!此の暗さに紛れる為、出来るだけ撃ち返さないで!」

 

 

 

みほとしては本来戦闘力の高い“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”をフラッグ車(アヒルさん)の護衛に回すのは“勿体無い”と思ったのだが、敵を遣り過ごして相手フラッグ車を叩くには“敵に発見されるのを避ける為に攻撃参加する車輌の数を絞りたい”と言う考えが有った為、咄嗟に自分達“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”と“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”で相手フラッグ車を攻撃する事にした結果、消去法で“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”はフラッグ車たるアヒルさんチーム(八九式中戦車甲型)の護衛に回す事にしたのである。

 

因みに、みほが“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”を攻撃部隊に回した理由は大会一回戦の対サンダース大付属戦の時“Ⅲ突は砲塔が無いので後方への砲撃が出来ない”為、試合後半でサンダース大付属に追われた際にフラッグ車(此の時は“カメさんチーム(38(t)軽戦車B/C型)”だった)を充分護衛出来なかったと言う苦い経験が有った為である。

 

だが同時に、みほは“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”のリーダー・原園 嵐に対して“()()()()()”を抱いていた。

 

すると…彼女の懸念通り、嵐からの無線が飛び込んで来たのである。

 

 

 

『隊長、其れだったら私達“ニワトリさん”は坂を乗り越えた直後に反転した後、敵を待ち伏せします!』

 

 

 

そう…みほが懸念していたのが、正に此れだった。

 

思わず彼女は無線でこう叫ぶ。

 

 

 

「原園さん、待って下さい!其れじゃあ“ニワトリさん”は!?」

 

 

 

此の時、みほは「嵐が“ニワトリさん”の仲間達と共に自らを犠牲にしてプラウダ高の追手を待ち伏せして、相手と刺し違える作戦」を決行する心算だと判断し、其れを思い止まらせようと考えていた。

 

実際、嵐は先程迄「“母校廃校の秘密”を生徒会と共有して、生徒会の手先になっていた事に対するケジメを付ける為、自分達がカチューシャ達とタイマンを張っている間に皆は教会跡から逃げて下さい」と提案していたのだから。

 

心の中で“仲間達が「自分を犠牲にする作戦」を実行する事だけは止めて欲しい”と願うみほ。

 

だが、其れに対して嵐は先程の提案時の時に見せた“悲壮な雰囲気”は一切見せず、明るい声でこう答えて来た。

 

 

 

『大丈夫です!“1対多数の戦車戦”は私達の得意分野です!絶対にやられません!』

 

 

 

其の声を聞いたみほは“ハッ”となる。

 

 

 

「此れは何時もの原園さんだ!どんなに困難な状況下でも()()()()()()()()と言う決意で何でもやってくれる彼女に戻っている!」

 

 

 

そう実感した彼女は“此れ以上、原園さんの気持ちを疑う訳には行かない!”と心の中で呟くと気持ちを切り替えて、こう返答したのだった。

 

 

 

「じゃあ“ニワトリさん”、武運を祈ります…気を付けて!」

 

 

 

『はいっ!』

 

 

 

無線で嵐からの元気一杯な声を聞いたみほはもう迷いが無くなっていた。

 

 

 

「こうなったら、後は原園さんや皆を信じて、プラウダのフラッグ車を絶対にやっつけます!」

 

 

 

みほはそう呟くと自らが率いる“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”・そして“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”と共にプラウダのフラッグ車が居るであろう廃村付近を目指して進撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

こうして大洗女子学園・戦車道チームの戦車7輌が一斉に斜面を登って行く中、“カメさんチーム(38(t)軽戦車B/C型)”の車内ではチームリーダーの角谷 杏生徒会長がチームの仲間達に対して“()()()()”を始めていた。

 

 

 

「皆…さっきの無線を聞く限り、私達を逃がす為に残る原園ちゃんの実力を疑う心算は無いけれど、如何も“()()()()”がするんだ」

 

 

 

其の問い掛けにチームメンバーで有る河嶋 桃・小山 柚子・名取 佐智子の3人が無言で頷くと会長はこう問い掛ける。

 

 

 

「悪いけど皆、此の私に“チームの運命”を預けてくれないかな?」

 

 

 

すると……

 

 

 

「了解です、会長!」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

「了解!」

 

 

 

桃・柚子・佐智子の順で皆が会長の意見に同意すると彼女は皆に向けて“新たな指示”を出した。

 

 

 

「じゃあ、今から私達は()()()()にはなるけど原園ちゃん達(ニワトリさんチーム)を援護する為に反転するよ!名取ちゃん、今から無線で『“ウサギさん”“カモさん”と“アヒルさん”に「悪いけど後を宜しく!」』って伝えといて!」

 

 

 

其の指示を聞いた佐智子は「了解!」と叫んだ後、無線機を操作し始めた。

 

 

 

此の角谷会長による“独断専行(命令違反)”が、其の後の試合展開に()()()()()を与える事になる。

 

 

 

 

 

 

そして私達“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”は斜面を乗り越えてから反転し、斜面の下で私達を追って来るプラウダ高の戦車隊を待ち伏せする態勢に入った。

 

 

 

『さあ皆、直ちに砲戦用意!こっちは斜面の下に居るから斜面を登ろうとしているプラウダ側はこっちに対して車体底部を見せる形になる!だから相手の数が多くても私達の方が有利に戦えるわ!』

 

 

 

私が皆に“自分が考えた迎撃作戦の方法”を伝えると瑞希(ののっち)が嬉し気な声でこう叫ぶ。

 

 

 

「つまり、即席版の“反斜面陣地”ね!」

 

 

 

『流石は“ののっち(瑞希)”、其の通り!』

 

 

 

と答え乍ら、私も笑顔で叫び返したので、皆が笑顔で私を見詰めている。

 

さて、此処で私が此処で立てた作戦は瑞希(ののっち)の指摘通り“反斜面陣地”の応用だ。

 

つまり、プラウダ側から見ると私達は斜面の下に居る為、斜面を登り切る迄は私達を直接視認する事が出来ない。

 

しかも、プラウダ側が私達を攻撃する為には斜面を登らないと行けないが…そうなると斜面を登る時に戦車砲の砲身が此方側から丸見えになって待ち伏せされ易くなる。

 

其の上、プラウダ側の戦車は斜面を登り切る直前に装甲が比較的薄い車体底部を私達に見せる事になる為、此方はプラウダから撃たれる前に相手を叩く事が出来るのだ。

 

その為、“プラウダ側が数を頼みに押して来ても私達は互角以上に渡り合える”と私は考えていた。

 

こうして待ち伏せ態勢に入った私は無線で、こう叫ぶ。

 

 

 

『じゃあ、“あんこう”と“カバさん”、直ちに斜面を抜けて下さい!追手は此処で私達が叩きます!』

 

 

 

其れに対して、両チームから「「了解!」」と応答が有ったのを聞いた私は笑顔を浮かべ乍ら、心の中で一言呟いた。

 

 

 

『待ってて下さい、西住隊長…カチューシャ達は此処で叩いて、アヒルさん(フラッグ車)を守り抜いて見せます!』

 

 

 

だが…此の時、プラウダ側にも“動き”が有ったのだ。

 

 

 

 

 

 

此の時迄、大洗女子を追っていたプラウダ高校戦車道チームでは彼女達を率いるカチューシャ隊長が終始無線で「追えっ、追えーっ!永久凍土の果て迄追いなさい!」と叫んでいたが、大洗女子が目の前の斜面を登って行く光景を見た時、突如異なる命令を仲間達に下したのだ。

 

 

 

()()()()()()()()!全車一旦停止!今から斜面の頂上へ向けて煙幕を張った後、一列横隊になって一気に前進するわよ!」

 

 

 

すると彼女の腹心でT-34/85の戦車長でもあるクラーラが「待ち伏せですね!」と応答すると乗車をT-34/85からIS-2スターリン重戦車に乗り換えた為に仲間達よりもやや遅れて来ているノンナ副隊長も隊長の考えに同意する。

 

 

 

「カチューシャ様、“みなかみの狂犬( 原園 嵐 )”ならば、其れ位やりかねません!」

 

 

 

其れに対してカチューシャも「私もそう思うわ!」と答えた後、こう語る。

 

 

 

「斜面頂上に煙幕を張れば、此方も斜面を登り切る迄の間は前方が見えなくなるけど、其のリスクよりも此方を狙っている“みなかみの狂犬( 原園 嵐 )”からの攻撃を煙幕で妨げるメリットの方を優先するわ!そうやって一列横隊で斜面を登り切ってからの接近戦で勝負した方が確実にあの“狂犬()”を始末出来る筈!」

 

 

 

其れに対して、ノンナとクラーラが同時に「「はい、カチューシャ様!」」と同意の無線を発信した直後、カチューシャは無線で仲間達全員へ向けて新たな命令を下した。

 

 

 

「あの“狂犬()”の思い通りにはさせないわ!皆、此処で勝負を仕掛けるわよ!今から煙幕を展開!斜面頂上に煙幕を張ってから一列横隊で前進、原園の“イージーエイト(M4A3E8)”を見つけ次第、一斉射撃で仕留めるわよ!」

 

 

 

 

 

 

斜面の下で待ち伏せていた私が“異変”に気付いたのは、戦場でのふとした出来事が切っ掛けだった。

 

 

 

『おかしい…追手(プラウダ)の走行音が止まった?』

 

 

 

車長用キューポラから顔を出して外の様子を見て居た私が訝し気な声で呟いた時、副操縦手の良恵が叫び声を上げる。

 

 

 

「斜面から煙幕が上がっています!前方が見えません!」

 

 

 

更に砲手の瑞希(ののっち)からも切迫した声で……

 

 

 

「此れじゃあ、斜面頂上が煙幕で隠れているから相手戦車の腹を狙い撃ち出来ない!」

 

 

 

と叫んだのを聞いた私も歯噛みし乍ら……

 

 

 

『しまった!プラウダの奴等、此処から煙幕に紛れて一列横隊で進んで来る!』

 

 

 

と呟いた後、頭が真っ白になった。

 

流石の私も“カチューシャが此方の待ち伏せを見抜いて対応策を採って来る”事は予想外だった。

 

其の上、相手が“煙幕を張る事で斜面を登り切る迄前方が見えないと言うリスクを負って迄、此方からの砲撃を封じた上で数の有利を活かした正面対決を仕掛けよう”等と言う“博打”を打って来るとは思わなかった為、咄嗟の対応が思い付かない。

 

 

 

『之が“地吹雪のカチューシャ”の実力…此処迄容赦の無い攻撃を仕掛けて来るなんて!』

 

 

 

彼女の凄まじい攻撃に対して、私は戦車道で初めて“ある種の恐怖(体の震え)”を感じる。

 

其処へ装填手の舞が大声で「嵐ちゃん!」と叫んだのを聞いた私は“ハッ!?”となって前方を見た時は既に遅く、煙幕の中からプラウダ高の戦車6輌が一列横隊で此方へ向けて突き進んでいた。

 

 

 

失敗(しま)った!此れでは回避出来ない!』

 

 

 

そして、戦車砲が発射される光が見えた瞬間……

 

 

 

『之迄か…って、ええっ!?』

 

 

 

だが此の時、絶望的な状況に突き落とされる筈だった私達の目前で…()()()()()()()が起きた。

 

私達の目の前に1台の()()()が飛び込んで来たかと思うと、私達“ニワトリさんチーム(M4A3E8)”の身代わりとなってプラウダからの攻撃を全弾受け止めたのだ!

 

 

 

『ああっ!?』

 

 

 

私達の身代わりになって被弾し、其の勢いの儘転覆してから白旗を揚げた()()()の姿を見た私が悲鳴を上げた時…突然、無線に聞き慣れた声が飛び込んで来た。

 

 

 

「いや~っ、原園ちゃんが“危ない事になっているかも知れない”と直感して後を追って来たけど、大正解だったよ。こっちはやられちゃったけどね~」

 

 

 

其の時“私達の身代わりになったのはカメさんチーム(38(t)軽戦車B/C型)だ”と知った私は無線で……

 

 

 

『えっ…会長?そんな!?』

 

 

 

と叫んだ処、再び会長は一言伝えて来た。

 

 

 

「原園ちゃん…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。悪いけど後、宜しくね♪」

 

 

 

『ああ……』

 

 

 

其の瞬間、私は理解した。

 

会長や“カメさんチーム(生徒会役員達)”は此の行動で“結果的に生徒会の手先になっていた私達への謝罪”をしたのだろうと。

 

そして目の前に居るプラウダ高の戦車6輌の中に、去年の戦車道全国高校生大会決勝戦終了後からずっと意識していた西()()()()()()であるカチューシャ隊長の顔が見えた時。

 

 

 

『よくも…西住先輩だけで無く“かめさん”迄!カチューシャ、アンタだけは許さない!』

 

 

 

去年の秋の日、西住 しほと出会って心を折られてから、私の中でずっと眠っていた“()”が目覚めた。

 

 

 

()()()()()()()、プラウダ!そんなに私の力が見てぇか!』

 

 

 

そして私はプラウダ側からの2度目の砲撃を急発進で躱した後、大声で吼えた。

 

 

 

全員(プラウダ)仲良く、()()()()を踏みやがれ!*1

 

 

 

(第78話、終わり)

 

 

*1
十万億土とは極楽浄土の事。其処から転じて喧嘩等で「手前等全員ぶっ殺してやる!」と言う意味で使われるのが「十万億土を踏みやがれ!」であるが、此処で嵐は「全滅させてやる!」と言う意味で使っている。




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第78話をお送りしました。

白熱する戦いが続く準決勝。
其の中で嵐ちゃんは待ち伏せを狙うが、カチューシャも其れを見抜いて煙幕で待ち伏せを躱してから接近戦を挑んた為、“ニワトリさんチーム”は大ピンチに!
処が、其処へ会長の独断専行によって割って入った“カメさんチーム”が“ニワトリさんチーム”の身代わりになって犠牲に……
其の結果、遂に原園 嵐の“本性”が目覚めた!
そして次回。
仲間を倒されて怒りに燃える嵐、準決勝の後半戦で何が起きるのか!?

…あっ、そうだ。
ラストの嵐ちゃんの台詞は元ネタが有るのですが、分かった方は感想欄へ一言どうぞ。
何も出ませんが、返信はします。

其れでは、次回をお楽しみに。


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