戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない   作:瀬戸の住人

91 / 114

此の間、ガンダムSEED FREEDOMを見に行ったのですが、予想以上の出来栄えと音楽の良さ&展開のぶっ飛び振りで脳を焼かれました(大マジ)。
特にラストシーンを目の当たりにした時“監督、やりやがったな!”と心の中で絶叫したのは忘れません(笑)。
因みに“ニワトリさんチーム”が同作を見た反応は以下の通りです。

瑞希(SEED無印をCATVで見てから重度のガノタになった女)
「遂に…“我が世の春”がキター!19年振りの新作キター!(大興奮)」

嵐(本作ではアレクセイ・コノエが好みのオジサン好き。瑞希の影響でSEED沼にハマる)
『私や瑞希はリアルタイムで見ていないでしょ!でもバルトフェルドさんの声が聞けなかったのは残念……』

瑞希「結局、ガッツリ見てる上に微妙なネタバレ迄してるじゃん(ドヤ声)」

菫(SEEDではキララク派の為、本作では大興奮。ラストシーンでは鼻血を吹いた)
「私…キラとラクス様が夫婦しているシーンだけで、もう満足です……」

嵐&瑞希「『うわっ、私達より反応がヤバいよ!?』」

舞(意外にも瑞希の影響で、チームでは2番目のガノタ。好みはガンプラ)
「劇場版だけにMS戦が凄かったね!でも今作に出て来る新型MSのガンプラ揃えるのに御年玉何年分要るんだろう……」

瑞希「何とも切実な感想……」

良恵「遂に…シン君が…ディスティニーガンダムが……(号泣)」

嵐『良恵、貴女DESTINY推しだったんだ……(呆れ)』

瑞希「ああ、今作はある意味良恵ちゃんみたいな娘にとっては嬉しくて堪らない展開だったでしょうね(遠い目)」

嵐『そうだ、忘れてた。確か、ブラックナイトスコード・メンバーの中に会長とノンナさんが混ざって居た様な……(大ボケ)』

瑞希「嵐、其れは中の人ネタ(呆れ)」

と言う訳で、余計な前振りが付きましたが、此処から本編です。
其れでは、どうぞ。



第82話「此れにて準決勝・終了です!!」

 

 

 

此処は“第63回戦車道高校生全国大会”準決勝・第二試合『青森県代表・プラウダ高校対茨城県代表・大洗女子学園』の試合会場。

 

両校共に最後の攻撃による砲声が轟き渡った後、沈黙が支配していた観客席に場内アナウンスの声が響き渡る。

 

 

 

「試合終了!大洗女子学園の勝利!」

 

 

 

其の時、満員の観客席から大歓声が上がった。

 

 

 

「やった!」

 

 

 

「大洗女子が勝った!」

 

 

 

「良かった!」

 

 

 

「大洗女子の廃校阻止迄あと1つ!」

 

 

 

試合の実況を担当する“首都テレビ”のスクープによって“此の大会で優勝しないと大洗女子学園の廃校が決定する”と知らされて以降、試合会場に集まっていた観客達の殆ど全員が大洗女子を応援していただけに、彼女達の勝利を知った観客達は大興奮。

 

中には観客席から立ち上がって“大洗名物・あんこう踊り”を唄い乍ら踊る者迄現れ、其の姿は首都テレビのTVカメラにしっかり収められて全国に生中継されていた。

 

更には応援席から声援を送っていた大洗女子学園の生徒・父兄達にも一般の観客達が次々に声を掛けて来る。

 

 

 

「皆、やったね!」

 

 

 

「次は陸自の東富士演習場で黒森峰との決勝戦だけど、私達も応援に行くから心配しないでね!」

 

 

 

「決勝戦も一緒に応援しようぜ!東富士で待ってるぞ!」

 

 

 

観客達からの熱い声援に“大洗女子・中等部4人組”の五十鈴 華恋・武部 詩織・若狭 由良・鬼怒沢 光は付き添いの両親達と共に「「はいっ!私達も必ず東富士へ行きます!」」と大声を上げて答えた他、同じ応援席に居た秋山 淳五郎・好子夫妻や五十鈴 百合と彼女の奉公人・進三郎も観客の声援に対して手を振っていた。

 

すると中等部4人組の隣に居た“初戦の対サンダース大付属戦から仲良くなっている若い社会人の女性”が「私、次の決勝戦は()()()()()()を連れて応援に行くから宜しく!」と話し掛けて来た為、驚いた華恋が「水戸?」と問い掛けると其の女性はこう答えたのだ。

 

 

 

「ああ…私、普段は“J”所属の()()()()()()()()をやっているんだ」

 

 

 

其れに対して詩織が驚きの声で「そうだったんですか!?」と問い掛けると、当人は苦笑いを浮かべつつ……

 

 

 

「でも、首都テレビの“戦車道全国高校生大会開催直前スペシャル”と言う特別番組を見て、少し戦車道に興味が出て来たから一回戦のサンダース戦を見に行ったら…ね♪」

 

 

 

と答えた処、今度は由良が「贔屓のチームが有るのに先輩方の応援をしてくれて、本当に有難う御座います!」と答えてから御辞儀をしたので、若い女性は「良いのよ、気にしなくて!」と答えた後、こう続けたのだった。

 

 

 

「其れにね、此の間サポーターズクラブのリーダーが“もしも大洗女子がプラウダ戦に勝って決勝戦へ進んだら、当日は俺達も全員東富士へ行って彼女達を応援してやる!”って約束したから、決勝戦は期待してね!」

 

 

 

すると光が興奮気味の声で「凄い!“J”のサポーターが来るんだ!」と語ると、若い女性は「チームは“J2”だけど、応援のパワーなら“J1”に負けないからね!」と告げた処、中等部4人組(華恋・詩織・由良・光)や彼女達の近くで応援をしていた大洗女子学園の生徒達は一斉に「「「宜しく御願いします!」」」と答えてから御辞儀をするのだった。

 

 

 

 

 

 

そして首都テレビによる実況中継は全国の視聴者に喜びと感動を与えており、御茶の間は勿論の事、実況を流していた全国の居酒屋やスポーツバーでは此の夜の売り上げが平日よりも急上昇したとか。

 

又、東京都内・湾岸地区に在るホテルのスイートルームでは大洗女子の勝利を知った“大洗のアイドル”磯前 那珂と346プロ所属のアイドル・渋谷 凛が歓喜の余り互いに抱き合い乍ら泣きじゃくっていたし、傍に居た“ニュージェネレーションズ”の島村 卯月・本田 未央や“トライアドプリムス”の神谷 奈緒・北条 加蓮も2人の姿を見て貰い泣きしているのを那珂が所属する芸能プロダクション社長・赤城 景子や346プロ・プロデューサー(  武内P  )と美城専務が安堵の表情を浮かべ乍ら見守っていた。

 

一方、首都テレビ・実況中継部隊を指揮する大型トレーラー“中継指揮車”の車内でも大洗女子が勝った事に興奮したスタッフ達が仕事を忘れて歓声を上げた為、此の中継の総合プロデューサーとして陣頭指揮を執っている八坂 信夫が大声で……

 

 

 

「静かにしろ!御前達が興奮して仕事を放棄したら、全国の視聴者に迷惑が掛かるだろうが!

 

 

 

と叫んで、スタッフ達を諫める事態になっていたのである。

 

 

 

 

 

 

戦車道にのめり込む母に付き合わされてるけど、もう私は限界かもしれない

 

 

 

第82話「此れにて準決勝・終了です!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、私達・大洗女子学園戦車道チームも勝利の感激に酔いしれていた。

 

先ず、両チームの集結場所に到着した私・原園 嵐は乗って来たM4A3E8(イージーエイト)から降りると真っ先に“あんこうチーム(Ⅳ号戦車F2型仕様)”装填手・秋山 優花里先輩とハイタッチを決めた後、“カバさんチーム(Ⅲ号突撃砲F型)”リーダー・エルウィン先輩に抱き着いて『相手フラッグ車を仕留めてくれて、本当に有難う御座いました!』と叫んだ処、先輩も「原園達が最後迄“アヒルさんチーム(フラッグ車)”を守り抜いてくれた御陰だ!本当に感謝しているぞ!」と答えた後で……

 

 

 

「其れと褒めるなら、おりょうを褒めてやってくれ!フラッグ車を仕留める為の待ち伏せ場所に停めたⅢ突に雪を被せる為、本来は砲手の左衛門佐も手伝ったから唯一人車内に残った彼女が臨時の砲手をやってくれたんだ!」

 

 

 

と“相手フラッグ車を仕留めた時のエピソード”を教えてくれた為、私は勢い良くおりょう先輩にも抱き着くと『有難う御座いました!』と叫んだ処、先輩から……

 

 

 

「あ…やっぱり原園は“甘えたいタイプ”なのか?」

 

 

 

と言われたので我に返ると……

 

()()()()()(巨乳)()()()()()()()()()()()()のに気付き、顔を真っ赤にした私は慌てて……

 

 

 

「済みませんでした!」

 

 

 

と答えたが……

 

 

 

「あ~っ、嵐も憧れるよね。“()()()()()()()”には♪」

 

 

 

『“ののっち(瑞希)”!』

 

 

 

「原園殿…大胆です♪」

 

 

 

「あ…秋山先輩!此れは誤解です!」

 

 

 

「「「お~っ♪」」」

 

 

 

ののっち(瑞希)”や秋山先輩のツッコミと私の返しを聞いた仲間達が一斉に私へ好奇の視線を向ける……

 

 

 

嗚呼…又しても誤解されてしまった。

 

 

 

 

 

 

すると私達の前にプラウダ高の()()()()()…いや、カチューシャ隊長がノンナ副隊長に肩車をされてやって来ると西住隊長に向けて語り掛けて来た。

 

 

 

「折角包囲の一部を薄くして、其処に引き付けてブッ叩く心算だったのに…まさか包囲網の正面を突破出来るとは思わなかったわ!」

 

 

 

其れに対して、西住隊長は澄んだ声で……

 

 

 

「私もです」

 

 

 

と答えた処、カチューシャ隊長は……

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

と驚愕の声を上げる。

 

其れに対して西住隊長は試合を振り返り乍ら……

 

 

 

「あそこで一気に攻撃されてたら…負けてたかも」

 

 

 

と語ったので、私もカチューシャ隊長に向けて……

 

 

 

『西住隊長の言う通りです。もしも正面の防御を固めた上、私達を包囲していた周辺の部隊で十字砲火を浴びせる様な態勢を整えて居たら、私達は何も出来ずに負けていました』

 

 

 

それに対して西住隊長も頷き乍ら「そうだね、原園さん」と答えたが、カチューシャ隊長は首を横に振り乍ら……

 

 

 

「其れは如何かしら?」

 

 

 

と呟き、其れに対して意外に思った西住隊長と私が「『えっ?』」と答えた処、カチューシャ隊長は急に私へ鋭い視線を向けて来た。

 

 

 

『ええっ!?』

 

 

 

思わぬ事態に私が戸惑う中、カチューシャ隊長は静かな声でこう語る。

 

 

 

「其の時は“みなかみの狂犬”…いいえ。原園 嵐、間違い無く貴女が私達の前に立ち塞がっていたでしょうね」

 

 

 

其の言葉に副隊長のノンナさんも頷く姿を見た私は“自分が此の試合で思っていた事を話したい”と考え、2人に向けて真剣な声で話し掛けた。

 

 

 

『カチューシャさんにノンナさん。()()()()()()ですけれど』

 

 

 

するとカチューシャ隊長は突然「ヒイッ!」と叫ぶと怯える表情を見せ乍らノンナ副隊長に抱き着いたので、私は……

 

 

 

『御免なさい!もう“()()()”はしませんから!?』

 

 

 

と叫んだ為、其れを見た武部先輩が……

 

 

 

「“らんらん()”、試合中に何やったの?」

 

 

 

と問い掛けた為、私の傍に居た瑞希が……

 

 

 

「あーっ、其れはですね……」

 

 

 

と前置きしてから“私が試合中、カチューシャ隊長相手にやった事”を説明した処、武部先輩の隣に居た秋山先輩が呆れ声で……

 

 

 

「他校の隊長相手に()()を飛ばしてガチ泣きさせるとは……」

 

 

 

と呟いた為、私は思わず顔を真っ赤にしたが、直ぐ立ち直るとカチューシャ隊長に向かってこう答える。

 

 

 

『でも私…本当はずっと恐かった。今夜のカチューシャさんとプラウダ高は凄く強かったです!』

 

 

 

すると私の言葉を聞いたカチューシャ隊長が「えっ!?」と驚きの声を上げる中、私は続けて“自分の気持ち”を語り始めた。

 

 

 

『其れに私、今夜のカチューシャさん達の戦い振りを見て気付きました。プラウダ高も“本当に勝ちたい”と思って戦っていたんだって』

 

 

 

此の言葉に対して、今度はカチューシャ隊長だけで無くとノンナ副隊長も揃って「「!?」」と驚愕の声を上げる。

 

其の様子を見た私は穏やかな声で、更に話を続けた。

 

 

 

『だから、去年の決勝戦や此の間ヴァイキング水産と戦った二回戦の時も本当は悪気が有って“あんな事”をやった訳じゃ無くて“必ず勝ちたい気持ち”が前に出過ぎてしまった結果、相手を傷つけてしまったんだなって気付いたんです』

 

 

 

此れに対して、西住隊長が頷き乍ら「うん」と答えたのを聞いた私は皆に向けてこう語った。

 

 

 

『だから今夜の試合、一騎討ちの時にカチューシャさんの“本気の表情”を見た時、“相手を傷付けてでも勝つのは本当のプラウダ高の戦い方じゃ無い!そんな事をしなくても自分達は勝てる事を証明したい!”と言う強い気持ちを感じ取りました…だから、今日のプラウダは本当に強かった!』

 

 

 

すると話を聞いて居た西住隊長や仲間達全員が一斉に「「「うん!」」」と返して来てくれたので私も頷き返した時、カチューシャ隊長が穏やかな声でこう答えてくれた。

 

 

 

「今迄“あんな汚い戦い方”を見せてしまって御免なさい…貴女の言う通りよ。私達は此処迄“フェアに戦っても強い”事を証明する為に此の大会の連覇を目指して来たわ。まあ、アンタ達には敵わなかったけど、今は不思議な位清々しい気持ちになっているわ」

 

 

 

其の言葉に西住隊長や私達・大洗女子の面々が聞き入っていた時、今度はノンナ副隊長が語り掛けて来た。

 

 

 

「でも、本当に強かったのは貴女達…特に原園 嵐、貴女からの()()()()()は本当に効いたわ」

 

 

 

「『えっ!?』」

 

 

 

彼女の言葉を聞いて驚く私達を余所に、彼女は静かな声で当時の状況説明を始めた。

 

 

 

「試合の最終局面で、私が大洗のフラッグ車・八九式(アヒルさんチーム)を狙い撃ちしようとした正に其の時…貴女達のイージーエイト(M4A3E8)が撃った76㎜砲弾が私のIS-2の砲塔上面を直撃した」

 

 

 

「「『えっ!?』」」

 

 

 

其の証言の“意味”に気付いた私達が驚愕の声を上げる中、ノンナ副隊長はこう語ったのだ。

 

 

 

「其の直撃弾でIS-2の車体が激しく揺れたのと同時に、私は122㎜砲の引き金を引いたから完璧だった筈の照準が大きく外れてしまったのよ」

 

 

 

すると、今度はカチューシャ隊長が“私達が放った最後の一撃”の意義について、こう結論付けたのだ。

 

 

 

「嵐、貴女にとっては“悪足掻き”の心算で撃ったのかも知れないけれど、私達にとって“あの一弾”は正に“痛恨の一撃”だったわ」

 

 

 

『えーっ!?』

 

 

 

其の言葉を聞いて驚きの声を上げた私は、必死になって当時の事を思い出すとカチューシャ隊長とノンナ副隊長へ向けて“当時の気持ち”を語り始めた。

 

 

 

『あの…実を言うとあの砲撃は、少しでもアヒルさんチーム(大洗女子・フラッグ車)が撃たれない様にする為の時間稼ぎが目的で、其れでノンナさんのIS-2の砲撃が遅れれば良いなって心算で撃っただけだったので……』

 

 

 

そして、ドキドキする気持ちを必死になって押さえて深呼吸した後……

 

 

 

『まさか、()()()()でそんな事になるなんて、あの時は夢にも思っていませんでした!』

 

 

 

「「「オイっ!?」」」

 

 

 

私の告白に対して、其れを聞いて居た人達の内、1人だけ苦笑いを浮かべていた西住隊長を除く全員が一斉に私に向かってツッコミを入れた後、呆れ顔の瑞希が大声で……

 

 

 

「嵐!アンタ、本当に()鹿()()()の持ち主ね…呆れたわ!」

 

 

 

『御免!』

 

 

 

「御免じゃないわよ!まさか其の程度の理由で夜間に長距離射撃をやらされたらこんな事になるなんて、()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 

『いや…あの時、チームが勝つ為に出来る事を考えたら、もう此れしか思い浮かばなくて!』

 

 

 

実際に“最後の一撃”を撃った砲手・瑞希からのツッコミに対して、其れを考え付いた私が謝り続けていると言うコントじみた状況下、大洗女子の仲間達が笑顔で其の光景を見守っていると……

 

 

 

「ノンナ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

プラウダ高のカチューシャ隊長がノンナ副隊長に指示を出して肩車から降りると、西住隊長の前に立ってこう告げて来た。

 

 

 

「兎に角、貴女達中々のモノよ!」

 

 

 

「『……』」

 

 

 

カチューシャ隊長からの賛辞を聞いてハッとなる私達だったが、其の直後彼女は……

 

 

 

「言っとくけど悔しくなんか無いから!」

 

 

 

と“負け惜しみ”とも取れる発言をしたので、私は彼女の“本音”を察してこう答えた。

 

 

 

『分かってますよ、カチューシャさん!“次は絶対勝つから覚悟しなさい!”ですよね!』

 

 

 

すると、彼女は大声で「良く分かってるじゃない!」と答えた後、西住隊長に向けて……

 

 

 

「決勝戦、見に行くわ…“()()()()()”、カチューシャをガッカリさせないでよ!」

 

 

 

と宣言した。

 

其れに対して、西住隊長が“()()()()()”と言う“新たな仇名”で呼ばれた事で「あっ?」と戸惑い気味な声を上げたのを聞いたカチューシャ隊長は再び大声で「誰の事かは、決まっているでしょ!」と返した為、漸く彼女の言葉の意味が分かった西住隊長は元気良く「はいっ!」と答えて居た処……

 

 

 

「其れとБуря(ブーリャ)」

 

 

 

『えっ!?』

 

 

 

ノンナ副隊長が突然声を掛けて来たので、私が驚いていると……

 

 

 

「ロシア語で“嵐”の事をそう呼ぶのよ」

 

 

 

と語った為、“西住隊長がミホーシャなら、私の渾名はブーリャ()なのか”と理解した私は『あっ、はい』と答えると、彼女は冷静な声で……

 

 

 

「試合は貴女達が勝ったけれど、私と貴女の決着は着かなかった。だから次に戦う時は必ず決着を着けましょう!」

 

 

 

“貴女は例え後輩でも好敵手だ”と私に向かって宣言したのだ!

 

東日本最強クラスの高校生戦車乗りであるノンナさんから、そう宣言された私は嬉しくなり、心の底からの笑顔を彼女に見せると精一杯の大声でこう叫んだ。

 

 

 

『はいっ!次に戦う時を楽しみにしています!』

 

 

 

するとカチューシャ隊長との会話を終えた西住隊長が私の傍に来て……

 

 

 

「原園さんも良いライバル(好敵手)が出来たね」

 

 

 

と話し掛けてくれたので、私も元気良くこう答えたのだった。

 

 

 

『はいっ!又、負けられない理由が出来ました!』

 

 

 

 

 

 

同じ頃、試合会場内の観客席では西住 しほ・まほの母娘と嵐の母・原園 明美、そしてしほと明美の親友・周防 長門が観客席前の超大型モニターで試合の実況を見ていたが、突然しほがこう口走った。

 

 

 

「勝ったのは、相手(プラウダ高)が油断したからよ!」

 

 

 

すると長門が血相を変えて……

 

 

 

「しほ、其れは“負けたプラウダに対する侮辱”だぞ!」

 

 

 

と親友を諫める中、今度は其の様子を眺めていた明美が……

 

 

 

「まあまあ、2人共。今、まほさんが何か言いたそうよ?」

 

 

 

と語り掛けて喧嘩寸前だった2人の言い争いを止めると、まほが真面目な声で「はい、明美さん」と答えた後、こう指摘した。

 

 

 

「今の大洗女子は“実力”が有ります」

 

 

 

長女からの“意外な指摘”を聞いたしほが「実力!?」と叫ぶが、明美は飄々とした声で「うんうん♪まほさん、話を続けて♪」と告げて、まほに話を続ける様促すと彼女はこう続ける。

 

 

 

「先ず、みほはマニュアルに囚われず臨機応変に事態に対処する力が有ります」

 

 

 

其れに対して明美と長門が無言で頷くと、まほは更にこう指摘した。

 

 

 

「そして、みほのチームメイト達も心の底からみほの判断を信じて最後迄戦いました」

 

 

 

そして、まほは一旦話を区切った後、“大洗女子の戦い振り”について話を続ける。

 

 

 

「特に、原園 嵐は絶望的な状況をひっくり返す程の集中力と破壊力を発揮しました…みほと同じ様に一度は戦車道を捨てた彼女を此処迄蘇らせたのは、みほとチームメイト達の心の賜物です

 

 

 

「!?」

 

 

 

長女からの指摘に驚愕するしほとは対照的に、長門は笑顔を浮かべ乍ら……

 

 

 

「うんうん♪大洗があそこ迄強くなったのは、みほちゃんの人柄の御陰なのは私と明美が此の目で(しっか)りと見ているからな♪」

 

 

 

と惚気ている中、まほは真面目な声でこう締め括った。

 

 

 

「今夜の試合は、みほの判断力と心を合わせて戦ったチームの勝利です」

 

 

 

其の結論に対して明美と長門は笑顔で頷いたが、其れとは対照的に終始険しい顔付きで長女の話を聞いて居たしほは鋭い声でこう言い放ったのだ。

 

 

 

「あんな物は()()!決勝戦では“王者(黒森峰)の戦い方”を見せてやりなさい!」

 

 

 

すると、まほも表情を引き締めてから「勿論です。西住流の名に懸けて…必ず叩き潰します!」と宣言したのだが、其の時……

 

 

 

「うぷぷ♪」

 

 

 

突然、明美が“今にも噴き出しそうな声”を上げて笑ったのだ!

 

其の姿を見た長門が「オイ明美!何を笑っているんだ!?」と叫ぶが、彼女はキョトンとした声で……

 

 

 

「えっ!?こんな可笑しい話、滅多に無いじゃない?」

 

 

 

と言った為、しほが怒髪天を衝く様な声で「何処が可笑しい!?」と喚き、まほは呆れ顔を浮かべて居たが、明美は先程よりは上品乍らも笑顔の儘でこう答えたのだ。

 

 

 

「みほさんと大洗女子の戦車道の何処が“()()”なのかしら?」

 

 

 

「何っ!?」

 

 

 

明美からの“謎掛けじみた反論”を聞かされて驚くしほに対して、其の様子を眺めていたまほは“何か”に気付いたらしく……

 

 

 

「明美さん、()()()()()()()()()()()()()と言いたいのですか!?」

 

 

 

と疑問を呈した処、彼女は笑顔で「まほさん、流石に察しが良いわね♪」と答えた為、今度は長門が怪訝な声でこう問い掛けた。

 

 

 

「明美…一体、何が言いたいんだ?」

 

 

 

すると明美は笑顔でこう断言した。

 

 

 

「私に言わせればね…()()()()()()()()!”

 

 

 

其の言葉に、しほとまほの母娘が「「!?」」と驚愕と戸惑いの気持ちが入り混じった呻き声を上げる一方、長門は何かに気付いたのか“ハッ”と表情を一変させて明美に視線を送っていると彼女は“自らの発言”の理由について、こう語ったのだ。

 

 

 

「そもそも戦車道に限らず、戦車戦では“例え邪道と言われようと指揮官やチームの各戦車長が編み出した創造性に富んだ戦術と作戦で、常に相手の意表を突いて翻弄しつつ勝利を目指して行く”のが一番の醍醐味だと思うんだけど?」

 

 

 

すると長門が“我が意を得たり”と言わんばかりの凛々しい表情で頷くと、こう答える。

 

 

 

「確かにそうだ!戦車道や戦車戦・機甲戦闘の歴史は指揮官や部下達が“如何に相手の作戦や戦術の裏を掻いて優位に立つか”を目指して試行錯誤を続けた結果だからな!

 

 

 

其れに対して明美は長門に向かって「そうよ♪」と答えた後、しほに向かって……

 

 

 

「だから“しぽりん”、此処でアンタに宣戦布告して置くわね♪」

 

 

 

と言った為、意表を突かれたしほが「何っ!?」と叫ぶと……

 

 

 

明美は笑顔でこう言い放ったのだ。

 

 

 

「次の決勝戦で…西住流、そして黒森峰の全てを否定してやるわ!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

明美から“途方も無い挑発”を受けて頭がフリーズしているしほとまほの母娘。

 

だが、明美は真面目な声に切り替えて話を続ける。

 

 

 

「今の大洗女子には“低迷する日本の戦車道を打開する力”が有るわ。其れは今夜の試合に集まった観客の殆どが大洗女子の味方になって応援した姿を見れば明らかよ」

 

 

 

其処で一旦言葉を区切ると、彼女は呆然とした表情を浮かべているしほへ向かってこう断言した。

 

 

 

「其れ程の力を大洗女子の()達や嵐、そして今夜の試合に集まった観客達に与えたのは間違い無くみほさんだわ。だから私は彼女達大洗女子の皆を絶対見捨てないと心に決めた!」

 

 

 

「明美!」

 

 

 

しほが“自分に敵対する意思を明確に示した嘗ての親友・明美”に対して糾弾の叫び声を上げた処、明美は其の機先を制するかの様に落ち着いた声でこう答えたのだ。

 

 

 

「私の考えが間違いだと思うなら、次の決勝戦でまほさんが率いる黒森峰を指導して、大洗女子を倒して見せなさい…でも、みほさん達大洗女子は黙って倒される程弱くは無いわよ♪」

 

 

 

其れに対して、しほは漸く落ち着きを取り戻すと……

 

 

 

「分かったわ…其の代わり、決勝戦には貴女も試合会場に来なさい」

 

 

 

と告げた処、明美も……

 

 

 

「勿論。決勝戦は2人で結末を見届けようじゃない」

 

 

 

と答えた為、しほは「分かった」と返事をしてから其の場を立ち去って行く。

 

そして、まほも覚悟を決めた表情で「明美さん、みほにこう伝えて下さい」と前置きしてから……

 

 

 

「母校廃校の件は承知したが、決勝戦では全力で貴女達大洗女子を倒しに行くと」

 

 

 

と告げた為、明美も真面目な声で「分かったわ、まほさん。みほさんには必ず伝えて置くわ」と答えた処、彼女もしほの後を追って立ち去って行ったのだった。

 

そして明美は真面目な表情を浮かべると小声で……

 

 

 

「遂に“姉妹対決”か…“しぽりん(しほ)”には悪いけれど、此れは西住流だけで無く日本の戦車道にとっても“運命の一戦”だわ」

 

 

 

と呟いた時、こんな“声”が……

 

 

 

「オイ明美!?」

 

 

 

「あっ、“ながもん(長門)”。ひょっとして怒ってる?」

 

 

 

「そうじゃない…さっき御前(明美)がしほに言った『西住流、そして黒森峰の全てを否定してやるわ!』と言う台詞、元ネタが有るだろ!?」

 

 

 

「バレた?」

 

 

 

長門からの“思わぬ指摘”に明美が“悪戯がバレた子供”の様な御道化た声で答えた処、長門は呆れ声で、こんな事を……

 

 

 

「バレバレだ!アレは御前が黒森峰時代に愛読していた『る●うに●心』で一番好きだった斎●一が言った名言『御前の全てを否定してやる』のパロディだな!?」

 

 

 

すると明美は悪びれもせず、こんな事を……

 

 

 

「えへへ…だって『剣●』の●藤さんってダンディだから大好きだったもん♪」

 

 

 

其の言葉に対して、長門は呆れ顔でこうツッコんだのだった。

 

 

 

「全く…御前は喧嘩腰になる時に限って、何故“一発ギャグ”を放つのが上手いんだ!?」

 

 

 

 

 

 

そんな長門のツッコミに対して、明美が何か答えようとした時、観客席前の超大型モニターから眼鏡を掛けた若い女性の声が響いた。

 

 

 

「其れでは今日の勝利チームインタビューです!」

 

 

 

其の声の主で、首都テレビアナウンサー・真鍋 和が、彼女の後ろに並んでいる今夜の試合の勝者・大洗女子学園戦車道チームメンバー達へ向けて声を掛ける。

 

 

 

「先ずは、大洗女子学園の西住 みほ隊長から…と行きたい処なのですが、其の前に今夜の試合でも活躍した“カメさんチーム”リーダーで生徒会長でもある角谷 杏さんに御伺いしたい事が有ります」

 

 

 

其れに対して角谷会長がハッキリした声で「はい」と答えると、大洗女子の廃校問題を今夜の実況で知った観客達の(どよ)めき声が聞こえる中、真鍋アナウンサーが真剣な声で質問を始める。

 

 

 

「角谷さん、吹雪で試合が中断中に『今大会で大洗女子学園が優勝しないと廃校になると文部科学省から通告されている』と仰っておられたと思いますが、此の事は事実なのでしょうか?」

 

 

 

此の質問は試合終了直後、試合の実況を陣頭指揮していた八坂 信夫・総合プロデューサーからの指示による物であったが、其れに対して角谷会長はキッパリとした声で……

 

 

 

「はい。其の通りです」

 

 

 

と明言した。

 

 

 

彼女の発言で再び観客席が騒然となる中、真鍋アナウンサーが角谷会長へのインタビューを続ける。

 

 

 

「有難う御座います。其れでは改めまして、今夜会場に御越しの皆様とTVで此の試合を御覧になられている皆様に一言御願いします」

 

 

 

すると角谷会長はTVカメラの前で会釈した後、普段のふざけた態度とは真逆の真面目な声で、こう語った。

 

 

 

「先ずは今回の大会、私達の所為で()()()()になってしまい、大変申し訳無く思っています」

 

 

 

其処で角谷会長はTVカメラの前で深々と頭を下げた後、大声でこう続けた。

 

 

 

「でも、私達が此の大会を戦う目的が“学園を守る為”なのは勿論ですが、同時に私達や学園の生徒全員も最後迄戦車道を楽しみたいと心の底から思っているので、次の決勝戦も応援を宜しくお願いします!」

 

 

 

其の言葉に対して観客達から熱狂的な歓声が上がったのを聞いた角谷会長は、其の歓声が静まったタイミングで表情を和らげると普段通りの御道化た声に戻って、真鍋アナウンサーに向けてこう答えた。

 

 

 

「じゃあ真鍋さん、此処からは西住ちゃんへのインタビューを御願い出来るかな?」

 

 

 

其の時、観客席前の超大型モニターに字幕が表示された。

 

 

 

「首都テレビニュース速報:第63回戦車道全国高校生大会で決勝に進出した茨城県代表・県立大洗女子学園、文部科学省から“本大会で優勝しなければ今年度一杯で廃校になる”との通告を受けている事を文科省の複数の関係者が認める。首都テレビと首都新聞の独自取材による」

 

 

 

首都テレビのニュース速報を見て再び騒然となる観客席。

 

其の姿を見た原園 明美は、不敵な表情を浮かべつつ小声で独り言を言った。

 

 

 

「さあ…日本の戦車道の夜明けの始まりよ!」

 

 

 

其の言葉通り…此の夜の試合は日本の戦車道の歴史が大きく変わる第一歩となるのだった。

 

 

 

(第82話、終わり)

 

 

 




此処迄読んで下さり、有難う御座います。
第82話をお送りしました。

劇的な形で決勝戦へ進出した大洗女子学園。
プラウダ高の隊長&副隊長コンビも西住殿達も互いの強さを認め合って、両校の関係については一件落着となりました。

一方、首都テレビのインタビューで角谷会長が“学園の廃校問題”の存在を認め、更にニュース速報で文科省関係者からの証言迄公にされた事で、全国大会決勝戦は只の決勝戦では無くなって行きます。
さあ…次回からは“ヤバイ時間”の始まりだ(狂気の笑み)。

そして、最後に本話投稿直前に逝去が公表された漫画家・鳥山 明さんへ哀悼の意を込めて。
鳥山先生と言えばドラゴンボールと言う人が多いでしょうが、私はDr.スランプ直撃世代なので……

次回迄、“バイちゃ”。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。