真剣で私に恋しなさい!X   作:テンペスト

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第三十一話 実家に泊まろう!

―――――夏の日差しが降り注ぐ、田舎道。

その中心を通る、一本の電車。ローカル線らしく、電車はガタンゴトンと揺れている。

電車の窓に広がる光景は青々と茂る山、吹き抜ける風に揺らされる水田、清く美しく流れる川。見ていて心地よいものだ。

そんな電車の中で、直江大和と黛由紀江は風景を楽しみながら駅弁を頬張っていた。

 

 

 

 

「へぇー。 これがまゆっちの故郷の景色か~」

 

 

 

 

この電車は由紀江の故郷である北陸を走っている。

一昨日、彼女から実家に遊びに来ないかという誘いを大和は受けた。

北陸地方がどのようなところであるのか純粋な興味もあり、また仲間達は一斉に県外、そして女の子の家に泊まれるというイベントに惹かれたためである。

 

 

「何もないところですけどね」

 

「いや、昔の川神も似たような感じだしな。 何だかこう……馴染めるっていうか」

 

 

由紀江の故郷は自他共に認める田舎だ。

それゆえ何もない、と彼女自身は評するが人の手が無駄に入っていないおかげでとても空気が澄んでおり、見える景色全てが美しく見える。

現在一人旅に出かけている翔一もこんな景色を味わっているのだろうか、と大和は思う。

 

 

『後しばらくはインザトレインだぜ~』

 

「松風ったら。 故郷に来たからってハイにならないでください」

 

 

久々の実家帰省ということで由紀江や松風も喜んでいるようだ。

大和も少し窓を開けて北陸の空気を取り込む。

川神とはまた違った空気に、期待を寄せていた。夏特有の暑さはあるものの、それ以上に空気が澄んでおり清涼感が駆け巡ってくる。

 

 

「そういえばまゆっちのお父さんってあの人間国宝の大成さんだってね」

 

「はい。 でも普段は機械が苦手なただのおじさんですよ」

 

 

由紀江の父親、その名を黛大成という。

黛流剣術の伝承者にしてその斬撃の美しさ、人物像から日本刀の携帯を許された人間国宝に指定されている。北陸に向かうあたり、大和が話題づくりのためにある程度調べておいたのだ。

そんな輝かしい称号に謙遜するかのような由紀江だが、父親のことは尊敬しているようだ。

普段の話や態度を見るからに彼女は家族に誇りを持っているらしく、良好な家族関係であることが窺える。

 

 

「そっか。 それじゃ大成さんの前で機械関連の話題はしない方がいいかな」

 

『後嘘にはメッチャ厳しいから間違っても嘘だけはつかないでね~』

 

「分かった。 肝に銘じとくよ」

 

 

やんわりと、タブーについての話題を振った。人付き合いにおいて大和は絶対にやってはいけないことを念頭に、人とコミュニケーションをとっている。

逆にそれをしなければある程度のコミュニケーションはとれるはず。

その考えから大成と仲良くなるためにも、機械関連と嘘だけは話さないことを心に決めた。

 

 

「でも大和さんは嘘を余りつかないですよね?」

 

「脚色しすぎ。 今までだって結構嘘ついてきたぜ」

 

「いえ、そうではなくて。 ………ここぞと言う時の大和さんは、誠実だなって」

 

 

大成は厳しい人物であると有名だ。特に嘘をつくことに関しては「怖い」と比喩されるまでに。

それでも由紀江は彼ならば心配ないと信じている。

今までの大和がどれだけ仲間のために、その信念を貫き通してきたか見てきたからだ。そんな彼が人を傷つける嘘はつかない。

誰がどう言おうと、由紀江の中ではこれは不変の真実である。

 

 

「だ、だからそんな事ないって! ……あー、お茶貰える?」

 

「くすっ………はい、ただいま」

 

 

ここまで褒められるとは思ってもいなかった大和は照れ隠しにお茶を要求、由紀江も微笑みながらお茶を手渡した。

何気ない会話が弾んでいく。由紀江にとって、そんな時間が嬉しかった。

いつもなら仲間達や周りの知人がいるため、ここまで大和と一対一の時間を過ごしたことはない。

 

 

(父上、母上……由紀江は今、幸せです! ありがとうございます伊予ちゃん、不死川さん!)

 

 

まだ告白もしていないのにも拘らず、由紀江の幸せは最高潮だった。

同時にこの計画を提案してくれた友人達に感謝する。何故、ここで伊予と心の話題が出るのか―――――それは一昨日の昼に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一昨日の昼下がり、由紀江は友人である伊予と心と共に喫茶店で寛いでいた。

恋愛トークに花を咲かせていると、見兼ねた伊予がこんな作戦を組んできたのである。

 

 

『だったらさ………まゆっちの家に招待しちゃいなよ! 直江先輩を!』

 

『えええええええええっ!?』

 

 

まさかの提案に吃驚仰天の由紀江であった。

彼女の驚きの声がまたこの喫茶店内を揺らした。また立ち上がり、注目の的になってしまったことに由紀江はひとまず周りに謝った。

謝るしぐさも益々丁寧で、家柄に拘る心を感心させる。

 

 

『ほれ落ち着かんか黛。 それで大和田よ、その真意は何じゃ?』

 

『はい、聞くからに直江先輩を狙うライバルが余りにも多すぎるんですよこの川神には』

 

 

伊予の分析は的を得ていた。

風間ファミリーでなくとも、Sクラスの榊原小雪や源義経、武蔵坊弁慶は大和に対して好感を抱いているようだ。

更には板垣達子は京に次ぐほどのベタ惚れぶりである上に、松永燕もよく大和と遊んでいるらしい。九鬼紋白も大和を気に入っており、天神館ではあるが大友焔もその一人だろう。

確かにライバルが余りにも多すぎる。そしてそれがこの川神という一点に集中している。

 

 

『だから、まゆっちと直江先輩を県外に出しちゃえば一対一の状況が多く作れるはずなんです!』

 

『なるほど。 そうなれば親密になれ、想いも伝わりやすくなる……此方も賛成じゃ』

 

 

熱弁する伊予に、心も納得の意を示す。

だが折角二人きりで出かけられるのならば無理に北陸の実家でなくても雰囲気の出る場所は存在する。

それに気付いた心が一つ提案をしてきた。

 

 

『しかし実家で良いのか? 此方が旅行をプレゼントしてやってもよいのじゃが』

 

『それは恋仲になってからの方がいいです!』

 

『むぅ………大和田は彼氏がおらぬと公言しておるが、恋愛に熱いのじゃな………』

 

『はい! 乙女と言えばお菓子と恋バナと七浜ベイスターズ!!』

 

 

聞きかじりの知識ではあるが、まず一対一のシチュエーションの方が気持ちは伝わりやすい事は明白。

また実家に泊めることで間接的に由紀江の家族にも直江大和という人物像を知ってもらうことが出来、大和も由紀江の家庭環境などを知れば更に親密になれるであろう。

ジュースを飲みながら由紀江は感心していた。

 

 

『な、なるほど………』

 

『まゆっち、直江先輩はイイ男だよ! 狙うならとことん行かないと!』

 

 

バン、と伊予が机を叩く。

衝撃で飲みかけのオレンジジュースが僅かに零れてしまった。それは暗に「早くしないと誰かのものになってしまう」と告げていた。

 

 

『心配しなくても大丈夫だって! 私や不死川さんもいるんだから!』

 

『にょわ? そ、そうじゃ! そなたの友である此方らに任せるが良い』

 

 

自信満々に伊予は胸を叩いた。服の下に隠れている胸が揺れる。

名前を出され、慌てる心だったが彼女また友のために力になると約束した。こちらは叩いても対して揺れはしなかったが、由紀江は頼もしく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと………ふぅ、電車から降りるとさすがに暑いなー」

 

「フェーンさんが来ると40度超えることもありますが、基本は全国平均と同じくらいです」

 

 

しばらくして、大和達は電車を下りた。

田舎だけあって、自動改札等ではなくたった一人の駅員が切符を確認するだけの駅を潜り抜けた。

その先にはアブラゼミの鳴き声、降り注ぐ日光、そして吹き抜ける風。

爽やかな夏そのものが、目の前に広がっていた。

 

 

「まゆっちが夏の間平気だったわけが良く分かるわ」

 

『おいおいしっかりしてくれよ大和坊ー。 そんなんじゃまゆっちの相手は務まらないぜー』

 

「ははは、ご尤も」

 

 

松風も中々辛辣な事を吐いてくる。

が、大和は笑って流した。こうした優しさも魅力の一つ。由紀江はこの暑さよりも、大和の笑顔で顔を赤くしていた。

 

 

「こ、こほん。 駅から我が家までは近いですので頑張ってください」

 

「分かった。 この後お手伝いもしなきゃいけないしね」

 

「お手伝いと言っても父からバイト代は出るという事なので」

 

「泊めてもらう上にバイト代は贅沢すぎるけどな……でもありがたく受け取ります」

 

 

宿泊のために纏めてきた大荷物を改めて抱えながら大和が歩き出した。

折角泊めてもらうという事で、お手伝いがしたいと大和が言い出したのだ。由紀江はあくまで遊びに誘ったために当然遠慮はしたが、大和の義理堅い一面がそれを拒んだ。

そこで大成に相談した結果、道場の手伝いなどに関してはしっかり謝礼を出すという事で話は纏まった。ここまで言われては受け取らないことは失礼だと判断し、大和は承諾した。

 

 

「ところで大和さん、ヤドカリ達は大丈夫なんですか?」

 

「うん。 クッキーと橘のお姉さんに頼んできたから問題ナッシング。 分からなければ連絡寄越すよう指示してあるし」

 

 

今回の旅行に関するもう一つの懸念点が大和が愛してやまないヤドカリ達だ。三日間も寮を空けるので世話はクッキーと天衣に任せてある。

どちらも能力は優秀であるから大丈夫だろうと大和は信頼していた。万が一ヤドカリ達に失礼あろうものなら地獄絵図と化すであろうが。

そんな他愛も無い事を話しながら道を歩いていると道行く人の視線を浴びていることに気付いた。

 

 

「見て見て。 あの子、確か大成さんの娘さんじゃなかったかい?」

 

「本当だ。 確か川神市に行ってたらしいけど帰ってきたんだねぇ」

 

「見なさいな、男の子を連れてるよ。 まさかあの子、由紀江さんの彼氏さんだったり?」

 

 

特にご年配の奥様方からの視線が濃い。

何やらあらぬ噂を立てられているような気もするが、老人達はちゃんと話を聞き取られない距離を理解しているらしく、大和の聴力では聞き取れなかった。

一方剣術の達人の域に達している由紀江にはしっかり聞き取れており、会話の無いようにまた顔を赤くしてしまう。

 

 

「まゆっち? 何言われたの?」

 

「な、何でもありません!」

 

『野次馬が集まる前に我が家へゴーだぜー』

 

 

松風の言うとおりこれ以上野次馬に囲まれてはたまらない。

足早に道を歩いていくと急に上り坂になる。どうやら傾斜の緩やかな山道を歩くらしい。大和も思わず声を出してしまうも意を決して歩き出す。

さすがに坂道と夏の日差しが思った以上に体力を奪ってくる、が由紀江は反対にスイスイと進んでいく。男が女に負けているという状況を好ましく思わない大和の意地が、足を動かした。

 

 

「大和さん、大丈夫ですか?」

 

「だ、ダイジョウブ………」

 

「もうすぐ我が家ですから頑張ってください。 何でしたらお荷物を持ちますが」

 

「な、なんのこれしき! 軽い軽いハハハハハハハハ」

 

 

もはや笑い声が乾きすぎて喉を痛めそうになる。

と、その時目の前に大きな門が現れた。看板には「黛流剣道場」と銘打たれている。

由紀江の顔も懐かしさに溢れていた。どうやらここが彼女の家らしい。

 

 

「お疲れ様です大和さん。 ここが私の家になります」

 

「うひぇー………これは凄い………」

 

 

疲れていた大和も、思わず見上げてしまうほどの大きな門だった。

それがぐるりと敷地内を囲んでいる。それだけでどれほど立派な家系かが見て取れた。人間国宝とその一家、彼らが構える道場だけあって立派なものを想像していたが、それに違わぬ荘厳さである。

由紀江はその門を何の躊躇いも無く押し開けた。その先には庭園が広がっている。

 

 

「庭の木とか手入れされてるねー」

 

「庭師さんを雇っていますから。 父のたっての希望で、文化人なら庭園一つにしても風情のあるものを持ちたいって」

 

 

庭園の木やツツジなど植えられた植物は皆、枝葉が綺麗に揃えられていた。

由紀江の言うとおり腕のいい庭師が存在しているらしく、これだけ広い庭を手入れするともなれば相当な金が掛かるはず。

やはり剣聖が構える道場は潤っているのだと大和はしみじみと実感する。改めて由紀江は飛び石を渡り、玄関にまで立つ。

 

 

「父上、母上。 ただいま戻りました」

 

「お、お邪魔します」

 

 

ガラリ、と引き戸を開けた。いつもは控えめでどこか頼りない雰囲気を出している由紀江だが、実家に入る際にはさすがに何の躊躇もない。

対する大和はこれから剣聖とその娘が育った家に上がるのだといざ緊張がこみ上げてくる。そんな彼らの前には、由紀江によく似た面影を持つ、可愛らしい少女が丁寧な佇まいで立っていた。

 

 

「お帰りなさいお姉ちゃん。 そして直江大和さんですよね? ようこそお出でくださいました」

 

 

由紀江同様にとても丁寧な少女だった。

容姿から口調、仕草の一つ一つまで由紀江に似通っている。何より彼女の口からは「お姉ちゃん」と飛び出た以上、その関係性は明白だ。

 

 

「黛由紀江の妹、黛沙也佳です。 よろしくお願いしますね」

 

「どうも、改めて直江大和です。 まゆっちの友達、風間ファミリーの一員です」

 

「お話はお姉ちゃんから良く聞いています」

 

「そうなんだ。 こっちはお土産の黄粉飴とか和菓子のセットね」

 

 

彼女もまた名家の生まれとして応対はとても丁寧なものだった。

大和も失礼のないよう、挨拶を交わす。とは言え、年下に甘く見られないようしっかりとした姿勢を保った。

効果はあったようで、沙也佳は大和に対し少なからず好感を抱いたようである。更には小笠原千花の店で購入してきた和菓子の詰め合わせ。

沙也佳も思わずうっとりだ。最もこれは人心掌握などではなく、大和の心からの気持ちである。

 

 

「おお、由紀江。 よく帰ってきたね。 おかえり」

 

 

するとそこに落ち着いた男の声が聞こえた。

ギシ、ギシ、と床を軋ませながら、しかし娘二人と同様に無駄な動きを見せることなく一人の男が歩いてきた。

武士を思わせる袴姿に足袋、腰にかけられた真剣。静かな雰囲気の中に穏やかに見つめるその瞳。大和は今まで出会ってきた武道家の中でも違った格があると一目で分かった。

 

 

「直江大和君だね。 私が由紀江の父、黛大成です。 これから三日間ほどよろしく」

 

「はい、よろしくお願いします。 こちらは川神のお土産のくず餅です」

 

「これはどうも。 ………おお、これは美味しそうだ。 後で一句詠みながら頂くとしよう」

 

 

剣聖黛十一段、人間国宝にまで指定された男。

威圧感とはまた違う、高潔な人物という噂に違わぬその存在に大和も息を飲みかけた。だがここで臆することは失礼に値するに加え、直江大和という男を下げることになる。

普段武神やその関係者、化け物染みた九鬼家従者部隊と日々絡み合っている大和は何とか堪え、更にお土産を渡した。

これには大成も嬉しそうな顔を見せる。

 

 

「さぁ、立ち話も何だから上がりなさい。 由紀江は勿論だが、これから三日間はここが君の“家”なのだからね」

 

「ありがとうございます。 ではお言葉に甘えて」

 

 

重い荷物を改めて抱え上げ、大和は黛家に足を踏み入れた。

とは言え決して乱暴な動作ではなく、あくまで普段通りの彼である。

 

 

「沙也佳、大和君を部屋に案内して差し上げなさい。 私は門下生に稽古をつけてくる」

 

「分かりました。 大和さんのお部屋はこちらになります」

 

 

大和の仕草、態度、そして表情。特に問題なしと判断されたのか、大成は快い顔をしたまま踵を返した。

さすがに道場の師範として長く留まるわけにはいかないらしい。

後の事を沙也佳に任せ、長い廊下をそのまま歩くこととなった。由紀江の部屋と近いらしく、彼女もまたついてくる。

 

 

「そう言えば沙也佳、母上は?」

 

「今は買出し中。 お姉ちゃんが男の人連れてくるって聞いたもんだから張り切っちゃって」

 

 

歩きながら由紀江がそんな質問をした。

話に寄れば彼女の礼儀作法などは全て母親仕込だという。そんな母親が顔を出さぬのは少々違和感だと感じていたが、どうやら外出中のようだ。

納得したように由紀江も頷く。

 

 

「にしてもこんなにも早く、しかも男の人を連れてくるなんて私もびっくり。 例年通りぼっちだと思ったらかさ」

 

『ぼっちとは何だー! まゆっちにはハルイタタ並に頼れるオラがいるんだぞー!』

 

「……やっぱりまだ続けてるんだねそのマスコット。 後、その馬は連敗記録の覇者」

 

 

そしてこれも話に聞いていた通りだが、由紀江と沙也佳は似通ってこそはいるが性格こそは反対のようだ。

話し方も砕けていてフレンドリーな印象を受ける。姉と違って社交性に富んでおり、友達もたくさん存在するようだ。何より由紀江の心の支えとなっている松風をバッサリ切る辺り、リアリストである。

 

 

「まぁまぁ沙也佳ちゃん。 もう俺達、何やかんやで松風を受け入れちゃってるからさ」

 

「大和さん心が広いですね。 でも、やっぱり最初は抵抗ありました?」

 

「無かったといえば嘘にはなるけど、段々話してるとな面白いとも感じてさ」

 

 

とは言え松風の存在を否定され続けることも、由紀江の友達として少々憚られる。フォローを出すべく大和が割り込む。

沙也佳は一番気になっていたらしい、松風の存在について切り込んでくる。対して、ありのままの感情を大和は出した。

 

 

「おお。 そう言えばお姉ちゃんの話だとぶつかった際にお手を伸ばされたそうで」

 

「まぁね。 俺も前確認してなかったのも悪かったし、女の子なんだからさ」

 

 

こんな気障な台詞を素面で言える、それがこの直江大和だ。それは彼が決して嫌な人間では無いからこそ出せるもの。

沙也佳も間近で話すことで、それが深々と伝わってきたようだ。

 

 

「………なるほど、お姉ちゃんが惚れるわけですね」

 

「え? 何か言った?」

 

「いえいえ。 ところで直江さんって人脈構成が凄いらしいですね!」

 

「一応ね。 『人脈構成、これ力なり』って俺の父さんに言われ続けてね」

 

 

大和の人間性を認めたところで、早速質問の嵐が飛び込んでくる。

彼女にお願いされ、大和もとりあえず築き上げたその成果を見せる。携帯電話の画面には「川神百代」や「松永燕」、エグゾエルの「龍造寺隆正」といった有名人などのアドレスで埋め尽くされており、沙也佳も驚いている。

仲睦まじく話し込んでいる二人に由紀江は最初微笑んでいたが。

 

 

 

 

(………あれ? 沙也佳……速攻で大和さんと馴染んでません?)

 

 

 

 

とんでもない事実に気付いてしまった。

 

 

「よければ沙也佳ちゃん、メアド交換しない? 何かあれば力になれるかも」

 

「本当ですか! ありがとうございます!」

 

 

挙句の果てはメールアドレスまで交換していた。

 

 

(なななな何とー!? 私は大和さんのアドレス入手に一週間以上掛かったというのに沙也佳は5分以内に入手してしまいましたー!!)

 

(ま、負けてる場合じゃねーべやまゆっち! 姉より優れた妹など存在しねぇ!)

 

 

積み上げてきた経験や社交性が違うのは分かってはいたが、ここまで圧倒的差をつけられるとは思っても見なかった。

見た限り、まだ友達といった関係なので件の如くすぐに惚れる、などということは無いようだが。そんなハラハラした胸を押さえつつ、大和達は廊下を歩いていく。

歩く最中に廊下の窓から活気のある声が聞こえてくる。

 

 

「これは……道場から聞こえてくるのかな?」

 

「はい。 父の剣道場は川神院にこそ劣りますが門下を希望する生徒は今でも後を絶たないんです。 現在は50名ほどに教えてます」

 

「なんて言ってるけどお姉ちゃんも帰ってきた以上、後で門下生の人見てよね」

 

 

確かに道場の規模としては川神院には劣るものの、声だけでもその質が伝わってくる。

剣聖が直々に指導するという事で憧れいる門下生も真剣に打ち込んでいるようだ。

たまに川神院の練習を見ることもある大和だが、彼の目から見ても黛流剣術道場の格が窺い知れる。

 

 

「あれ? でも黛流の剣術って余り表沙汰にはしないって聞いたけど」

 

「はい。 だから人数は控えめで、黛流の太刀筋では無いんです」

 

「お父さんも教えているのは剣術ではなくあくまで剣道。 黛流になると違ってくるので」

 

 

由紀江と沙也佳は道場に耳を傾けながらそう話した。

纏めると大成はあくまで自身が継承する黛流は娘だけに受け継がせているらしい。

そんな会話を間に挟んでもまだまだ歩き続ける。と、ここで目の前に一つの部屋に突き当たる。

 

 

「お待たせしました。 こちらが大和さんのお部屋になります」

 

「道場から随分離れたね」

 

「うちの道場は夜でも稽古することがあるので、お邪魔にならないようにしています」

 

 

そう説明した沙也佳は扉を少し開ける。

既に布団は敷かれておりいつでも寛げるようになっている。机の上にはミカンやお茶も用意されており、エアコンもしっかり備わっている。

これでは旅館とほぼ同じ感覚だと大和も呆気に囚われてしまう。

 

 

「す、凄いな………」

 

「お客様用のお部屋ですから。 お手洗いは奥の突き当たり、お姉ちゃんの部屋は右隣です」

 

「どうも………って! まゆっちの隣の部屋!?」

 

 

大和はとんでもない事実に思わず振り返る。

そこには沙也佳の意地悪げな顔があった。由紀江は顔を赤くしており、何も話せない。実は由紀江の希望で、隣の部屋を貸してほしいと頼んだのである。

そんな彼女の意図を知る由も無い大和は慌てていた。

 

 

「女性の部屋が隣ってだけでその慌て様………ホントに恋人とかいないんですね」

 

「いやー。 まゆっちから聞いていると思うけど俺、結構卑劣な策とか立てるからね、頼られることはあれど惚れられることはないからなー」

 

「またまたご謙遜を」

 

 

思わず初心なところを見せてしまい、大和は咳払いを一つ。

一応彼も鈍くは無く、ある程度周りの女性陣から好意を得ていることは悟っている。が、それが恋にまで発展するとは思っていないようだ。

沙也佳は色んな意味でそれを否定した。隣にいる姉を見つめて。

 

 

「大和さん、一息つかれたようでしたら後で街の方をご案内します」

 

「OK。 俺、汗かいちゃったから着替えするわ」

 

「はい。 何かありましたら私を呼んでください。 それでは」

 

 

由紀江はそれだけ言うと扉を閉じた。

そして盛大に息を吐き、肩を撫で下ろす。実を言えば大和が家に上がったその瞬間から彼女の胸は弾んでいたのだ。

まさに心臓が飛び出そうなほどに。

 

 

「ふぅん、直江大和さんか……お姉ちゃんの言うとおり、いい人だね」

 

「でしょう?」

 

「頭はいいし、器用だし、優しい上に将来性アリ……お父さんも文句のつけようが無いと思うよ」

 

 

大和の部屋の前で、由紀江と沙也佳は話し込んだ。

客室の扉はプライバシー保護のため、防音仕様になっている。そのため気兼ねなく会話が出来るのだ。

逆を言えば大和の声も、決して廊下に漏れることは無い。

 

 

「でもあんなにいい人、早くしないと取られちゃうよ。 例えば私とか」

 

「そうですね、京さんとか………ってはい? 沙也佳、今何と言いましたカ?」

 

 

本当はしっかり聞いていた。

が、信じたくは無いその一心で聞き返してしまう。今の由紀江の顔は恥ずかしさ等ではない、恐怖に支配されていた。

そんな彼女のために、沙也佳はしっかりと言い返した。

 

 

「だーかーら! モタモタしてると私に取られるかもよって」

 

『何だとオメー! 人のモン勝手に盗ったらドロボーってゲームでやってたろ!』

 

「お姉ちゃんのものでもないでしょ」

 

 

ジト目でにらみ返された。

まさかあの5分にも満たない間に惚れてしまったのか、と由紀江は焦っている。が、妹の顔はただニコニコしているだけだ。

 

 

「安心して。 まだ恋愛感情とかじゃなくて、ただ私も結婚するなら大和さんみたいな人がいいなって思っただけ」

 

「た、確かに大和さんはいい人ですし将来性もありますしね………」

 

 

黛沙也佳は公言しているようにリアリストだ。

顔や性格は勿論だが、人物像、将来性などで相手を見定めている。高い理想と言えばそれまでだが、当然と言えば当然の観点だ。

―――――大和はその全てをクリアしている。確かに沙也佳が気に入るのも無理は無い。

 

 

「それに私でなくとも、他の人の彼氏になっちゃう可能性が高いってこと」

 

「う、ぅ………」

 

「大和さん、恋人いないって言ってるけど惚れたら一直線の人っぽいし」

 

 

剣聖の娘だけあってか、沙也佳の観察眼も中々のものだ。

的確に大和の人物像を見抜いてくる。実際、由紀江は大和のどこかに惚れたのではない。

優しいところも、頼れるところも、少し意地悪なところも、普段は卑劣な策を好むのに時に男気を見せるその姿も。

だからこそ、言い返せなかった。

 

 

「……お姉ちゃん、勝負の夏ってよく言うでしょ」

 

「は、はい」

 

「だったら頑張らないとね。 私は部屋に戻って宿題やってるから」

 

 

そういい残し、沙也佳は自室へ戻っていった。

彼女の部屋は、由紀江の更に隣。バタン、と空しい音だけがこの廊下内に響き渡る。

ポツン、と一人残された由紀江はただ掌を見つめた。

ちょこん、と乗っている相方―――――松風に。

 

 

『まゆっち………あそこまで焚きつけられて、我慢できるか?』

 

「いいえ。 腹が立ってきました。 ………無力な自分に」

 

『ダディもよく言ってたよね。 敵を斬るのではない、弱き己を斬るのだって』

 

「はい。 ………せめて、大和さんに近づけるように………」

 

 

掌で転がっている松風をぎゅっと握り締めた。

大好きなあの人に近づくために。例え一歩だけでも構わない。しかし、離れていくのは苦しい。

だから歩み寄るしかない。由紀江は、そう決意した。

 

 

 

 

 

 

 

『まゆっぢ苦じい苦じい!! うぎゅうぅぅぅぅぅっ!! ………ガクッ』

 

「ああっ! ごめんなさい松風!! 松風ーっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

その決意が固まるのは、廊下の真ん中でこの一人芝居が終わってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後、由紀江は大和に故郷の町を案内していた。

彼女の町は海に面しており、漁業も盛んであった。また酒の名産地でもあり、食に関しては全く困らない雰囲気が見受けられる。

暑い日差しが降り注ぐ街中を、二人は歩いていた。

 

 

「こちらが市場になります。 早朝になると賑わうんですよ」

 

「へぇ~。 麗子さんだったら飛びついていそうだな」

 

 

真っ先に紹介したのが市場だった。

早朝に最も活気がある、と言えど今の時刻でも商売をしている店は多く、新鮮で質の良い、尚且つ安い食材を求め老若男女問わず多くの人々が集まっている。

大和も愛するヤドカリを世話してくれている天衣や知人の土産にクール便でも頼もうかと考えていた。

 

 

「田舎と思われがちですけれど最近は色んな施設も増えてきているんです」

 

「なるほどね」

 

『故郷が変わっていく………オラの複雑な気持ち、歌に乗せます」

 

「気持ちは分かるが乗せんでいい」

 

 

地域の特色を残した上で最近は観光客を獲得するべく、新たな街づくりなる動きがあるらしい。

思えばこの街には人間国宝である黛大成が住まっている。話題としては打ってつけであり、特産品も美味しいため集客効果は高そうであるというのは大和の見解。

とは言え、大成はあくまで文化人として振舞おうとしているだけであり、このように持ち上げられるのは聊か困惑しているらしい。

 

 

「あ。 あれは九鬼のマーク………こんな所にまで九鬼の手は伸びてるのか」

 

「さすが世界最大の財閥ですね」

 

 

歩いていると更には改修予定の施設があった。

何でもビジネスホテルらしいが、その外観は旅館に近い。外装には九鬼の名が刻まれている。世界最大の財閥である九鬼財閥直々に所有するホテルという事になる。

その経済力はあらゆるジャンルを網羅しており、尚且つ優秀な人材を積極的に取り込もうとする動きがある。それがこの確固たる権力と財力を確立していた。

 

 

『あの旅館、元々オンボロだったんだけど九鬼が買収したらしいぜー』

 

「観光事業に力を入れるなら旅館と言った宿泊施設は必要だろうな。 町の景観を損なわないために旅館にする、って判断は正しいな」

 

「そうですね。 私はこのように風情の感じられる建物は嫌いではありません」 

 

 

勉強も出来る大和と由紀江は変わり行く街がどんな姿になって、どんな未来を辿るのか。そんな想像をしていた。

町を大切にする、という意思は見えるため由紀江も特に嫌悪感は示さなかった。

 

 

「おいおいまゆっちよ。 嫌い嫌いって言われたら俺様のバイトが無くなっちまうぜ」

 

「ゑ?」

 

 

その時、聞き覚えのある声が聞こえた。

品性こそは感じられないが、頼り甲斐のある男の声。振り返ると、重そうな鉄骨をも軽々と担ぐ男の姿がある。

安全のためのヘルメットとツナギの所為で一瞬判別しにくかったが、すぐに分かった。

 

 

 

「ガ、ガクトさん!? 何でここにいるんですか!?」

 

 

 

島津岳人。風間ファミリーの一員にしてその怪力は百代に次ぐほどの物を持つ男。

彼はベンチプレス190キロという脅威のパワーを誇っており、鉄骨すらもまるで空っぽのダンボールを持ち上げるかのごとく余裕を保っていた。

だが彼は先日、県外の土木工事のバイトに行くと告げたばかりだ。

 

 

『まさかまゆっちと大和の後をつけてきたってーのか!』

 

「つけてきたとは心外な。 金曜集会で言ってたバイトだよ。 大和に紹介されたのが九鬼の建設業者による道路の工事だよ」

 

 

それに心当たりを示したのは大和である。

実は九鬼紋白を通じて金になるバイトをいくつか紹介してもらった。その中に岳人にぴったりのものを見つけ、紹介したのである。

故に大和は彼の顔を見た瞬間全てを理解したような顔つきになっている。

 

 

「おぉっ、騒いでいると思ったら大和達であったか! フハハハーッ!」

 

 

そこに可愛らしい声も一つ混ざってくる。

トコトコ、と走ってくるその姿は可憐ではあるが無駄は無い。まだあどけなさは残るが、立ち振る舞いはしっかりしっている。棚引く銀髪と、そして額に刻まれた交差の傷。

大和は良く知っている、この少女を。

 

 

「紋様! こんにちは。 こんなところで会うなんて奇遇ですね」

 

「うむ、今回は兄上と共に見聞を広めるためここの視察に来ているのだ!」

 

 

九鬼紋白。大和の一年下の後輩にして九鬼財閥を纏める九鬼帝の娘。

どうやら今回は兄妹で仕事ついでの観光らしい。傍には相変わらずの威圧感を放っている従者部隊の序列零番、ヒュームが立っている。

 

 

「紋様、知人相手とは言え工事現場の近くまで来られては危険です」

 

「フハハハーッ! そんな時のためのヒュームだろう?」

 

「はい。 ………敵いませんな」

 

 

従者と主人の関係は相変わらず仲が良いようだ。

しばらく会っていなかったが紋白も変わり無いようで大和も安心する。それは紋白にとっても同様であるらしい。

ヒュームもちらり、と由紀江の方を見た。がすぐに問題ない、とでも言うかのような目つきになる。

 

 

(見た所鍛錬は怠っていない……俺がイチオシするだけあるな)

 

 

従者部隊最強の男は観察眼も優れている。

彼は他人に厳しい男であるものの、由紀江に秘められた無限の可能性を見抜いている。それを表立って口にはしないが。

 

 

「ところで赤子、休憩時間中とは言え部外者と無駄話をしているのは関心せんな」

 

「す、すいません。 その分仕事で取り返しますんで」

 

「いいだろう。 後で貴様に相応しい仕事をくれてやる」

 

 

ついでに無駄話をしていた岳人に厳しい言葉を投げかける。

岳人は大和から教えられていたミスした場合の対処法を活用し、とりあえずその場を凌ぐ。周りを赤子と見下すヒュームが科す仕事は相当苦しそうだがパワーとバイタリティが自慢の岳人なら心配ないと大和は安心した。

 

 

「ところで黛よ、ここはお前の故郷であったな」

 

「は、はい。 本日は実家帰省している最中です」

 

「なるほどな。 実は後で兄上達と共にお前の家を訪れる予定なのだ!」

 

「そうなのですか。 ではお待ちしております」

 

 

有名人の家に堂々と訪問することも、九鬼家の人間として備えておかなければいけないスキルらしい。

相手が九鬼なら失礼は出来ないと由紀江は相変わらずの礼儀正しさで応える。紋白も気持ちよさそうな顔をして踵を返した。

 

 

「ではまたな! 行くぞヒューム!」

 

「はい。 …………心配しなくても顔見せ程度だ。 無論、失礼があれば串刺しだがな」

 

 

明るい顔を構えたまま紋白は兄である英雄の元に戻っていく。

執事としてヒュームも後を追いかけるが、去り際に身の毛もよだつような低音でそんな台詞を残していく。

いつものように、瞬間移動よろしく消えた後には、押し潰されそうな威圧感は消えていた。

 

 

「ふーっ、心臓に悪い殺気だぜ………。 んで、お前らはどうしてここに?」

 

「まゆっちの実家へようこそ! ………かな?」

 

「実家ヘ………ヨウコソ………? ホウホウ、大和ガ………女ノ家ニ……」

 

 

刹那、岳人の目つきが変わった。彼は年下には興味なしと公言しているが、だからと言って目の前で逢引されることを容認するほど心は広くなかった。

友人を見る目から、まるで裏切り者を見たかのような容赦のない目つきだ。彼は担いでいた鉄骨をその場に下ろすと懐から携帯電話を取り出す。

更には物凄い速度でメール作成するとどこかに転送したようだ。

 

 

「な、何をしたのかね島津さん家のガクト君?」

 

「楽しいイベントのお知らせをしたのさ直江さん家の大和君。 じゃぁな」

 

 

それだけを言うと岳人は置いた鉄骨を再び担ぎ上げ、作業に戻っていった。

当然あれだけの言葉で何が起こるのか理解できるはずも無く、大和と由紀江は困惑している。

 

 

「な、何でしょうか」

 

「さぁ? ま、気にせず次の場所に行こうか」

 

「で、ですね! 次はあちらになります―――――」

 

 

そう言って由紀江は西を指した。

西に名所があるのか、と大和は振り返る。途端に、大和は柔らかいものに包まれた。

しかし、彼はこの感覚を知っている。何せ、時々味わっているものなのだから。この最大級の“抱擁”は、あの女性にしか出せない。

 

 

 

 

 

「お~大和。 そんなにお姉ちゃんの胸が恋しかったのか~?」

 

 

 

 

 

彼の姉貴分、川神百代による最大級の胸の歓迎だった。

 

 

「なぁっ!? も、モモ先輩!?」

 

『ど、どういうことなの………』

 

 

相次ぐ友人の登場に由紀江は戸惑っている。こんな場所で再会出来て嬉しいとは思っている。が、今回はあくまで大和と二人きりになるための実家帰省。

なのに何故この二人がここにいるのか、理解できなかった。

 

 

「まゆっち、これが名所か………。 最高の名所をアリガトウ……!」

 

「ち、違いますから!! 大和さん、離れてください!!!」

 

「ご、ごめんごめん………グフォッ!!?」

 

 

このような不意打ちを食らっては自称鉄壁の理性を持つ直江大和と言えどもときめかぬはずが無い。

思わず率直な感想を言ってしまう。

百代にとっては嬉しい一言だが、由紀江にとっては面白くも無い一言。誤解を解くため、大和を引き剥がした。

と、同時に大和は背中からタックルを食らう。

 

 

「やーまとっ! 見つけた~~~!!」

 

「ワン子!? 姉さんと一緒に修行に行ってるじゃなかったのか?」

 

 

何とそれは川神一子のものだった。

遠くから大好きな人の姿を見つけたらしい、一子は嬉しさの余り大和に飛びついてしまったようだ。時たまあるスキンシップだが、大和はダメージよりもこんな所にまで川神姉妹と再会するこの状況に驚きを隠せない。

 

 

「だから来てるのよ。 この町に」

 

「と、いう事はモモ先輩達と合同稽古をするという道場はこの町の?」

 

「そうだ。 と、行っても黛流道場ではない。 私達もさっきガクト達と会ってきたばかりだ」

 

 

まさに偶然、という事らしい。

もし始めから全て知っていたのであれば、もっと早くに接触してくるはず。

由紀江も驚きながら納得するしかない。が、百代の言葉に一つ違和感があった。

 

 

「姉さん、さっきガクト“達”って言わなかった?」

 

「ふっふっふ~。 言ったぞ、ホラ」

 

 

百代が指差した先は大和の背後。

何か見たことのある顔と体つき。しかも二人組みの男だ。向こうもこちらを知っているらしく、スタスタと歩いてい来る。

 

 

「ゲンさん!? それにヒゲ先生!」

 

「よぉ。 ……島津から連絡を受けてまさか、とは思ったが」

 

「よ、直江。 こんな所でもお会いできるとは」

 

 

風間ファミリーの一員でもあり、ぶっきら棒な優しい不良こと源忠勝である。

彼は隣に立つ、宇佐美巨人が経営する代行センターに勤めており、巨人の事をオヤジと呼んで顔にこそは出さないが慕っている。

今回は仕事で県外に出る、と言っていたはずだが岳人と同じくここがその出張先だったらしい。

 

 

「ゲンさん、仕事は?」

 

「護衛の仕事は一旦終わりだ。 次はトラックが引き返すときに同行する」

 

「オジサン達もそれまで休憩ってワケだ。 ここ景色もいいし料理も美味いし」

 

「はい、私の故郷の魅力でもあります」

 

 

えへん、と言わんばかりに由紀江も自信満々だ。

普段は奥手な彼女もそれだけ郷土愛に溢れている、という事だろう。

 

 

「へぇ、ここって黛の実家のあるところだったのか」

 

「なるほどな。 さて、オヤジ。 さっさと宿に行ってチェックイン済ませっぞ」

 

 

どうやら忠勝達は大和達に挨拶がてら宿に行こうとしていた。

しばらく川神を空ける、と言っていたが確かに岳人と同じく泊り込みの仕事である模様だ。

 

 

「ゲンさんホテルに泊まるの?」

 

「ホテルっつっても格安のカプセルホテルだな」

 

「何でしたら私のところに泊まっていかれますか?」

 

「ありがたい申し出だけどな、こっちもまだこっちで仕事が残ってるからな」

 

 

カプセルホテルとはその名の通り、カプセルのように横になれるスペースが揃っている宿泊施設のことである。

食事も出してくれないところが多く、故に安上がりで宿泊できるというものなのだが当然寝心地は悪いはず。由紀江も自分の家に泊めようかと提案したが、断られてしまった。

 

 

「おーゲンゲンだけズルいぞー。 まゆまゆ、私も泊まりに行ってやろうか?」

 

「えぇぇっ!?」

 

「ダメよお姉様。 じーちゃん達が指定した宿に泊まれってお達しがあったでしょ」

 

「だよなー。 まーいいやー。 クリ達で遊ぶもーん」

 

 

便乗して美女好きである百代も紛れ込もうとした。

が、修行の一環であるためか夜の自由時間と行動も制限されているようで一子に止められてしまう。と、ここで百代はその場にいないはずのクリスの名を口にする。

目線にあわせて振り返るとそこには金髪と赤毛の、綺麗な外国人美女がいた。が、どうも見たことのある顔だ。

 

 

「く、クリスさんにマルギッテさん!?」

 

「おお! ガクトから連絡を受けて来てみれば本当に大和とまゆっちだ! 奇遇だな!」

 

 

間違いない、クリスティアーネ・フリードリヒその人だ。

傍には姉貴分でもあるマルギッテが大量の荷物を抱えている。どうやら彼女達への知人に対するお土産らしい。

大量の袋を見て、改めてブルジョワだと認識せざるを得ない一同だった。

 

 

「お嬢様との旅行中にお前達と出くわすとは………数奇なものですね」

 

「ほう、クリスやマルさんは俺のために会いに来てくれたらしい。 泣けるねぇ」

 

「っ! お、お嬢様はともかく私はそんなものではないと知りなさい!!」

 

 

折角なのでからかうことも忘れない大和の一言が、マルギッテを紅く染めさせる。

そんな顔をする彼女が可愛い、とは彼の主観である。が、周りの女性は面白く思うわけが無い。

 

 

「大和! お前のために土産はたっぷり買ってきてやってるからな!」

 

「お、ナイス騎士。 ハイタッチ」

 

「イェイ!!」

 

 

何やら不機嫌である事を感じ取った大和はとりあえず機嫌を直してもらうべく、まずは褒める。更には彼女の行動を賞賛するためのアクションを起こせば、クリスもそれに乗ってくれる。

数秒間のやり取りであっという間に彼女のご機嫌は元に戻った。ハハハ、と乾いた笑いを出す大和だがそこに愛用の携帯電話が震える。

だがこの着メロは知人ではなく、風間ファミリー専用のもの。開けてみると案の定、「師岡卓也」その人の名があった。

 

 

「おっと、モロからだ。 演劇の合宿でこっちに来るってさ、明日に」

 

「あ、あはははは…………」

 

 

ここまで集結しては、由紀江も引きつった笑顔を貼り付けることしか出来ない。

何せ大和と二人きりになる目的で来たのにここまで集まっては普段と変わらない生活だ。無論それは嬉しくもあるが、反応に困ってしまう。

 

 

『まさかクリ吉達にまで出会うなんてねー』

 

「ですね。 ……これでは何のために大和さんをお連れしたのか……っ!!?」

 

 

再会こそは素直に嬉しいが、それでも手放しでは喜べない。

松風と由紀江は少しは鳴れてため息をつくが、その瞬間背筋が凍った。ヒュームとはまた違った威圧感。それは愛の成せる業だと、彼女は知っている。

振り返ればやはりそこにいた。大和を愛してやまない少女が。

 

 

「………大和、まゆっち。 ヤッホー」

 

「み、京? や、ヤッホー」

 

 

青いショートカットの少女。椎名京が今日も実った肢体を大和の腕にこすり付けてくる。

挨拶しながらも大和はとりあえず引き離す。気持ちいいこの感覚に身を置き続けていると本当に彼女と一線を越えてしまいそうになるからだ。

 

 

「み、京さんまでどうしてここに!?」

 

「言ってなかったっけ? 私は弓道部の合宿で北陸に来るって」

 

『北陸は広いはずなのにどうしてピンポイントで来れるんだ……』

 

 

確かに彼女は北陸に来ると前回の金曜集会で宣言していた。由紀江もひょっとしたらバッタリと出会うのでは無いか、とは思っていた。

が、そこまで本気にしていなかっただけに驚きは大きい。

 

 

「ひょっとして会いたくなかった?」

 

「いえ! そ、そんな………」

 

「安心して。 私は邪魔はしないよ。 大和に嫌われたくも、まゆっちに嫌われたくも無い」

 

 

勿論京は彼女の目論見を見抜いている。

邪魔をするつもりは無いが、かと言って易々と黙認するわけでもないらしい。

 

 

「その代わり………自由時間とかには遊んで貰うかもね」

 

「……はい。 是非!」

 

 

大和との時間も大切だが、由紀江にとっては友達との時間も大切だ。

彼女からの誘いは、素直に嬉しいものだった。だからこそ快くOKを出す。

一方、忠勝は揃った面々を見てため息をつく。疲れもあり、かつ安心感もあるようなため息だった。

 

 

「何だ何だ。 結局風間ファミリー集結かよ」

 

「いいじゃないタッちゃん。 アタシ達、いつでも一緒ってことでしょ?」

 

「そうだな! 我々はいつでも一緒だ!」

 

 

どんなに離れていようと、すぐに集まれる。

風間ファミリーの絆は最早強いを通り越すレベルであった。敢えて言うならばキャップこと風間翔一がいないが、これだけ揃っていれば問題は無い。

いや、問題が無いことが問題なのであった。

 

 

「お嬢様、そろそろ行きましょう。 この町の温泉は人気らしいですから」

 

「そうだな。 では自分はそろそろ行く。 またなー!」

 

「おう」

 

 

マルギッテに促され、クリスがいち早くその場から抜けた。彼女は元々旅行に来ていたのだ、当然といえば当然である。

元より、各々の目的があってここに来たのだ。それを放り出すことは出来ない。

 

 

「お姉様、アタシ達もそろそろ行こ」

 

「うー。 もう少し弟弄りしていたいなー」

 

「ダメダメ。 大和、まゆっち! それじゃーね!」

 

 

合同稽古に戻るべく一子も姉の背中を押して行った。

文句垂れる百代であったが、自由時間さえあればまた合流することも出来るだろう。大和はそう考え、特に何も言わず彼女達を見送っていった。

 

 

「椎名は大丈夫なのか?」

 

「お、私もそろそろ行かないと。 主将に心配されちゃう」

 

『次は多少空気呼んできてくれよなー!』

 

「松風には言われたくないかも。 それじゃね皆」

 

 

京も自分の居場所に戻っていった。

あれ以来、京も毎度毎度というわけではないが弓道部にも熱心に顔を出しているようで、弓道部も彼女の大切な居場所となりつつある。

年を重ねるにつれ大和も彼女の閉鎖症を心配していたが、それも杞憂である。ここ最近そんな杞憂を繰り返しているというのに、京を心配する癖は治っていないようだ。

 

 

「世話好きも大概にしろよ直江。 椎名はもうガキじゃねぇ」

 

「うん、だってゲンさんが世話してくれるんだもんね」

 

「違うわボケ! 何で俺がテメェらの面倒見なくちゃなんねぇんだよ!」

 

「はっはっは。 いい友達を持ったな忠勝。 んじゃ俺らも“お邪魔”にならねぇうちに行くか」

 

 

そして忠勝と巨人もその場を去っていく。巨人は何気に由紀江の気持ちを察したようで去り際に「頑張れよ」と言葉を残してくれた。

本来、彼女だけでなく風間ファミリーの居場所といえば川神であったのに。この北陸に移っても、まるで変わらなかったことに大和は感慨深いものを抱いていた。

 

 

「大和さん、どうしました?」

 

「あ、何でもないよ。 それよりそろそろ戻ろうか。 」

 

「そうですね」

 

 

気がつけば、そろそろ日が傾こうとしている。余り遅くなりすぎるのも大成達に心配をかけてしまうと大和の言葉を受け、歩を進める。

当初の目的である「二人きり」は叶わなくなってしまったが、そんな時こそ胸に響く言葉がある。

大和と忠勝、そして宇佐美巨人を引き連れながら由紀江は呟いた。

 

 

 

 

 

「勇往邁進、ですね」

 

 

 

 

 

そう、誰にも聞き取れないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父上、ただいま戻りました」

 

 

すらり、と無駄な音を立てずに由紀江は玄関の扉を開けた。

夕暮れが近づくにつれ、北陸の町は徐々に涼しくなってくる。耳を澄ませば鈴虫らが鳴き始めており、大和も夕暮れの空と虫の音、そして澄んだ空気を楽しみながら戻って来れた。

玄関では相変わらず大成が待ってくれている。娘の帰宅に顔をちゃんと出す辺り、娘思いの優しい父親だと大和は感じる。

 

 

「おお由紀江、大和君。 お帰りなさい。 さ、お友達が待っているよ」

 

「え?」

 

 

大成は帰宅の挨拶を交わしてくれたが、もう一つ解せない言葉を出した。彼の言う「友達」は当然大和のことではない。

つまり別の人物が待っているという事になる。動揺しつつも礼儀正しさを崩さず二人は奥の居間に案内される。そこにはバンダナにノースリーブのシャツを着込んだ、あの風来坊が米をかき込んでいた。

 

 

「おー大和にまゆっち! お邪魔してまーす!!」

 

「キャップ!?」

『キャップさん!?』

「なんでキャップまでこっちに来てんだよ!」

 

 

それは風間翔一、ファミリーのリーダーだった。

今は愛用のバイクと共にぶらり一人旅に出かけているはずだったが。

 

 

「落ち着けよ。 それにまゆっちと松風、逆転してなかったか?」

 

「そ、そんな事はありません! それよりどうしてこちらに?」

 

「ああ、それな。 いやー何か俺組織っぽいのに追っかけられちゃって」

 

「本当に何を冒険してきたんだお前は!!」

 

 

中二病である那須与一とは違い、彼の言う組織はまさしく現実のものとなってしまう。大和も気が気でなくなってしまい、冷や汗が止まる事を知らない。

しかもそれを笑い飛ばしてしまう、という離れ業をやってのける。これだけの経験は川神百代であろうとヒューム・ヘルシングであろうと中々出来ないだろう。

 

 

「で、逃げてきたのはいいんだけどバイクがガス欠しちゃってさー!」

 

「その最中に散歩中の私と出会った、という事だ」

 

 

偶然向かった先がこちらだとのことらしい。

更にはその先で大成と出くわす辺り、やはり翔一は「持っている」のだと大和は肩を竦めてしまう。

そんな彼らに、配膳を手伝っている沙也佳もくすり、と笑いつつ新たに白米を持った茶碗を翔一に手渡した。

 

 

「キャップさん、どうぞ」

 

「お、サンキュな沙也佳ちゃん! もぐもぐ」

 

(さ、沙也佳!? 大和さんのみならずキャップさんとまでももう打ち解けてしまったのですか!?)

(敵は身内にありだぜまゆっち……!)

 

 

そして当たり前のように沙也佳と翔一は馴染んでいた。

しかも自分の愛称である「キャップ」の名を呼ばせている状況である。由紀江も、大和の連絡先の時ほどではないにしろ、翔一の愛称を呼ぶのにどれだけ時間をかけたことか。

 

 

「由紀江に大和君も席に座って。 由紀江の友達を囲みながらの食事……いいものではないか。 後で九鬼の人達も来るというし、今日は楽しくなりそうだな」

 

 

にっこり、と微笑む大成。

無論この状況も、友達を欲しがっていた由紀江にとっては嬉しいシチュエーションだ。しかし今回は大和と二人きりに――――……と思い続けてもう何回目か。

由紀江ももう、疲れきった笑い声しか出なかった。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、前途多難だなぁ………」

 

 

 

 

 

姉を思う沙也佳もやれやれ、とため息をつく。

その数秒後に九鬼家の人間が従者を引き連れ、フハハハという笑い声と共に参上することは言うまでも無く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ここはどこにあるかも分からない廃ビル。

大和達が使う廃ビルとは違い、廃れに廃れ、コケは生え、壁には亀裂も走っているまさに廃墟。周りの景色はいつ雨が振り出しても可笑しくない暗雲で覆われており、時々雷すら鳴る。

そんな廃ビルの一室で男はタバコを吹かしていた。綿の飛び出たソファに寝転がり、蓄音機から流れるジャズを聴いては煙を吐き出している。

 

 

「…………何の用だ? “過去の亡霊”が」

 

 

男は唐突に声を出した。

独り言ではない、ドアも剥がれた入り口に向かって。“来客”を感じ取った男は愛用のテロガンハットとコートを取り出し、一瞬にして着込む。

するとその入り口から二人の影が現れる。一人は和服を着込んだ老人、もう一人はまさに忍者と言うべき格好をしている女。

 

 

「ドッペルは告げた。 拙者の望みを、今こそ叶えても良いとな」

 

「んで、俺にその手伝いをしろと?」

 

「そうよ。 それで私も遣わされたの」

 

「そりゃぁ災難なこった。 ドッペルの旦那も人使いの荒い荒い」

 

 

彼の用件を大体悟った男は咥えていた煙草を地面に落とし、その足で踏みにじった。

隣に立つ女も、非常にうんざりしているようだ。

 

 

「ちゃんと金は出るんだろうな?」

 

「お主は相変わらず金にがめついな」

 

「金無くして生きられない性分なんでねぇ。 んで、どうなのよその辺り」

 

「ちゃんと前払いで出すって。 ホラ、ここに」

 

 

女はそう言いながらアタッシェケースを取り出し、彼に放り投げる。

開ける前に拳でコンコンと軽く叩き、耳を押し当てる。爆薬などの可能性は無い、と悟り、それを開けた。

中にはこれでもかと言うくらいの札束がギッシリと詰まっている。

 

 

「へぇへぇ。 これはこれは……旦那が荒いのは人使いだけでなく金遣いもらしいなぁ」

 

「軽口はいい。 承ったのなら早速拙者の手助けをせよ」

 

「ったく、相変わらず堅苦しいお侍さんなこった………ターゲットは?」

 

「ターゲットは拙者と刃を交える。 お主らにはその邪魔立てをせぬよう取り計らって欲しい」

 

 

鞘から僅かに引き抜かれた刃が老人の腰に指されている。

刃の美しさは雷光を浴び、輝いている。目に焼きつかんばかりのその眩しさに女は一瞬眼が眩んだが、男はそうは行かない。

 

 

「ああ、はいはい。 んで、場所はどこだ?」

 

「日本の北陸地方にある田舎町。 そこには剣聖黛十一段とその娘が今そこにいるらしいのだ」

 

「んで、俺とその小娘はアンタのために最高のシチュエーションを作れと?」

 

「小娘って呼ばないで頂戴」

 

 

物言いが気に食わなかったのか、女は袖から大量のクナイを取り出す。

「おー怖ぇ」などとおどけてみせる男は、一切の動揺もしていないどころか寧ろこの状況を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ行くとしますか。 “伊東一刀斎様”に“霧隠才蔵様”よォ」

 

 

 

 

 

 

 

 

自分に依頼してきた二人組みに向かって、男はその名で呼んだ。

刹那、外ではまた雷鳴が轟き、雷光がこの部屋を満たした。

 

 

 

 

 

続く




実家帰省こそ年に一回の楽しみ。どうもテンペストです。
今回はまゆっちと大和のin北陸地方、なお話です。具体的な県名は出せませんが私が過去行ったことのある地方をベースに執筆しています。
田舎も都会とは違った雰囲気があって伸び伸びと過ごせます。きっとまゆっちはそんなところで育ったんだろうなぁ。
……と、その矢先に風間ファミリーと再会。一対一のシチュエーションはまだ遠いようです。何だかんだで風間ファミリーいると話の展開がしやすいですね。
そして黛ファミリーも登場。まゆっちのお母さんは中々話題に上がらないので思い切って出せなくて悶々としておりますがそこはご了承を。
……みなとそふとよ、まゆっちルートの結婚までの後日談を出してください……!


さて、終盤にまたもや不穏な影。彼らがどう動くのかもお楽しみに。
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