あれから世界は2年の月日が流れ経ち、世界は変わった。
いや、変わろうとしていた。
それは世界で初めてISを動かす男性操縦者が見つかったからだ。
それにより世界はまた移り変わり新たな変革を迎える。
実際に今、男性操縦者が発見された事により世界は混乱状態に陥っている。男性は歓喜を、女性は自分達の立場の危うさを、世界各国が不安や希望で揺れ動いていた。
10年前のあの日、白騎士事件が起きISが世界に知れ渡った事で男性が世界から弾かれた様に、今回もまた何かしら不幸になる者が出てくるのだろう。
いつの時代にも変革に犠牲は付き物なのだから----
--IS学園
政府が作った組織でありいわばISを学ぶための学校。様々な難しい条件をクリアして入るいわばエリートの集まり。
そんなIS学園のとある一部の教室。そこは他のクラスと違いとても騒がしく喧騒に包まれていた。
その原因の中心、それは男性初のIS操縦者。織斑一夏と彼が自己紹介を滑らせ姉の織斑千冬が登場したからであった。
男性初のIS操縦者であり、顔も整っており尚且つブリュンヒルデこと織斑千冬の弟の織斑一夏。
かたや姉は世界でIS最強に与えられるブリュンヒルデの称号を持つ事を許されたたった一人の有名人物。
この二人が居るのだから女性達が騒ぐのも仕方がない。実際に今も皆の目を独占している織斑姉弟。
しかし、皆が手を上げ、喜び、歓喜し、熱気に包まれる一角で窓側の一番後ろ。
そこには二年前、戦場にいたであろう青年がいた。
あの時より髪が伸びており眼鏡をかけているため顔や表情が伺いしれないが、その手を見れば彼が怒りに打ち振るえているのが分かる。
彼の手からは力を入れすぎて爪が肉に食い込み血が流れ滴り落ちていた。しかしそれを一切気にする事なく織斑姉弟を睨みつけていた。
「ふざけるな……」
何故自分がこんな場所に来なければならないと彼は嘆き歯をかみ締めていた。
彼から大切な物を奪った原因を担ったIS。そんな物を扱う学園。そこに居るだけでも決して消える事のない怒りが、憎しみが心の底から湧いてくるのだ。
絶望しかない世界でやっとの思いで立ち直れたのだ。初めて友達ができ、小さな幸せを得る事が出来た。
だがそれも束の間、ISにより無理やり引き離され幸せが泡の様に消えていった。
「あぁ、どうして俺は……」
どこか諦めた視線を窓の外に向ければ、彼の心境とは裏腹に空は晴れ晴れとしており太陽の光が彼の場所を優しく照らす。
それを眼で捉えながら過去の出来事を頭に浮かべる。
そうでもしなければを今でもあの二人を殺してしまいそうだったから----
「……ここは」
彼が目を開けば純白に染まりきった白い天井が目に入る。
次に体を動かそうと力を入れるがピクリとも身体が反応せず、変わりに痛みが身体中を襲う。
痛々しい程にゴムやチューブなどが体中に張り巡らされており如何に重傷かを物語っていた。
「目が覚めたか?」
そんな中、聞き覚えのある妙齢じみた声に視線を向ければ見慣れた女性がいた。
「博士か……」
博士と呼ばれた女性。
誰もが彼女を美しいと感じられる容姿であった。特に手入れをしているわけでもないが、肩まで掛かる茶色い髪は艶があり日に照らされ切れ細やかにきらきらと輝く。
ずっと着ているのか皺が少し目立つ白衣を纏い、身長は女性にしては少しだけ高く、長いスラリとした脚が黒いストッキングに包まれ大人の魅力滲み出ていた。目に隈があるがそれを差し引いても男性を充分虜にする容姿をしていた。
「あぁ、随分と長い間眠っていたな」
「ここは……どこだ」
「ここは日本だ。因みに君が眠っていた時間は凡そ一週間だ」
「日本か……」
「あぁそうだ。君や私が生まれた場所であり、まあ……故郷と言うものだな」
彼は日本と言う言葉に何か思う事があった様だが、博士は自分の生まれた場所などどうでもいい、という感じであった。
それから互いが喋らず沈黙が病室に漂う。
しかしそれも束の間、彼がポツリと言葉を紡いだ。
。
「仲間は…………どうなった」
彼の絞り出した声に、博士は目を閉じる。
もし真実を言ってしまえば彼が壊れるかもしれない。その思いが彼女の口を開くことを許さない。
今まで彼がどれだけ血反吐を吐きながら頑張ってきたかを知っているからこそ、現実を伝えたくは無かった。しかし、博士は決意を固め目を開き残酷な真実を伝える。
「私が見たのは血を流す君を背負って来た副隊長……その一人だけだ……」
「…………そうか」
あぁやはりか、と彼はどこか呆然としながら頭では何となく理解していた。
脳裏に浮かぶは、共に戦場を生き抜いた仲間達が倒れ伏す姿。
それを目の前で嘲笑うかの様に奪っていったISに乗る女性。憎悪が彼の心を渦巻く。
--殺したい程に自分が憎い!
--殺したい程に敵が憎い!
何も出来なかった自分自身に対する無力感と怒り。敵に対する憎しみが彼を心を支配する。だが、今の状態では暴れる事も、嘆き叫ぶ事も出来ず、ただただ歯を強く噛み締める事しか出来なかった。
そんな様子を見かねたのか博士は優しく彼の手を両手で包み込む。
「余り自分を責めるな……」
「だがっ!俺のせいで……あいつらがっ!」
「君が…………レイがこうなる事は私も予測出来たし、彼女も分かっていたんだろう。伝言を預かっている。『自分を責めないで下さい。私達は貴方だったからこそ、命を懸けました……貴方だったからこそ皆が着いてきたんです。私達の事を思うのなら幸せになってください。それが部隊全員の意見です』それが伝言だ」
「そんな事言われたら……後悔なんて出来るはずないだろっ!」
馬鹿なやつらだと、彼は思った。
こんな自分の為に命を懸けていったのだから、だが、そんなバカで優しい奴らだからこそ彼は仲間を守りたかった。
ただ共に生き抜く。それだけで良かったのだ。他は何もいらない。見えない。聞こえない。あの仲間達の笑顔。それさえ有れば何もいらなかった。其れだけが彼にとっての輝かしい刹那だったのだから。
「今だけは泣けばいい。立ち止まればいい。レイは良く頑張った」
「ぁぁ……ッ!」
その博士の言葉に彼は今まで堪えていた涙が溢れ出るのを抑え切れなかった。
ベットの上で顔を隠し涙を流すレイを博士は子供をあやすみたいに背中を撫で抱きしめる。彼の悲しみが無くなる様に。
そしてこの日初めて彼は涙を流した。
「もういい……」
「ん。もういいのか」
暫く泣いていたレイだったが流石に恥ずかしくなり、博士を軽く引き離す。
「なんか……嬉しそうだな」
「まぁ、君と出会って6年経つが……初めて泣く所を見たからな。かなり得した気分だ」
「ふん……」
博士の素直な気持ちにどこか照れくさそうに視線を逸らすレイ。まだ後悔や悲しみが心に残っているがそれを出すのは今ではないと言い聞かせ話を進める。
「博士……あの後どうなった」
「そうだな……簡単に言えば名のない国は滅んだよ。ISによってな」
壁に寄り掛かり、腕をくんで話す博士。その様子はどこか残酷な光景を思い出したのか顔を歪ませていた。
「人が沢山死んださ……一般人も敵も仲間も、最早争う力も無いだろうな。復旧不可能な程、この国は死んださ。皮肉な事に紛争は終わったが国も終わったよ」
「そうか……」
「わかるだろう?この国は他の国からは国として認められていない。だから国際平和条約など意味を成さないからな……ISが攻めてきても対処するのは自分の国だけだからな……」
いつ始まったかは解らない。それくらい長い間戦っていた紛争は皮肉な事に余所のISにより終わりを迎えた。それもたった1日だけでだ。
「だが、何故ISがあんな所にいたんだ?」
「これは私の推測なんだが聞くか?」
確証もないがな、と付け足す博士だがある程度自信はあるようだった。
「あぁ、教えてくれ」
「ならまず、これを見てくれ」
「これはっ……ISが4機だと!?それとは別に同じISが複数もだと……」
レイが驚くのも無理は無かった。IS1機さえあれば軍の施設を簡単に落とせるのだ。それが4機となれば、最早戦争さえ出来る程の戦力。むしろ過剰と言っても良いほどの物なのだ。
「私が至る所にカメラを設置していたが……殆どが凄まじい速度で乗っ取られたが少しだけ残ってたのがこれだ」
画面を進めるとそれぞれが少し違う所が見受けられるIS4機が全く変わらない同じ形のISと戦闘を繰り広げられていた。
「私が見てほしいのはここだ」
「これは……無人機か?」
姿、形が同じISは頭部から一直線に切られたが、中には人が乗って居らず、オイルを撒き散らし爆散した光景が其処にはあった。
「そうだ、無人機だ。君も私の研究室に入った事があるから分かると思うが……ISには人が乗らなければ操れない。そんな当たり前をこれは覆している。そんな事が出来るのは作った本人か、よっぽどの天才でも無ければ無理だろう」
「ISの生みの親が無人機を作ったと?」
「ハッキングの手際の早さといい、常識を覆すその機体と言い私は束博士しか思いつかないのさ……」
「だが……どうしてここを戦場にした?」
たとえそれが事実だとしても何故ここで争うのかがレイには理解出来ない。だが、博士はそれすらも検討が付いていた様だった。
「恐らく、人が乗ってるISの方は何かしていたのだろう。この国は治安も悪く、毎日が争いで危険だから他国は進んで関わって来ようとしない。だから隠れ蓑としてはうってつけの場所だからな」
「それを見つけ出したから争っていたのか?」
「多分そうなのだろうな」
映像を見ていたレイだが、尋常じゃ無いほど殺意が滲み出そうになるが、それを耐える。
「……無人ISが4機だが……それぞれ違うISも3機……よっぽどの組織じゃないと不可能だぞ」
「あぁ、この謎の組織に心当たりは私にはないな」
博士は何も手がかりが無いのか頭を振って否定したが、レイは何かが頭に引っかかっていた。そしてあの時の事を思い出す。
「そう言えば……」
「何か見に覚えがあるのか?」
「博士も知ってるはずだ……1ヶ月前に勧誘に来た二人組を」
「あぁ、あの女性二人組みか。あの時は隊員全員が殺気立っていたからすぐ思い出せるさ」
どこかやれやれと呆れの入った博士の態度にレイは思わず苦笑をこぼす。
「あれは仕方が無いさ……見張りをくぐり抜けて突然堂々と現れれば誰だって警戒する」
「だがな……一人一人が隊長を名乗れるぐらいの実力者の全員が殺気立てば私でも少しは背筋が冷えたぞ。あれだけ気楽に寛いで騒いでる中、敵が現れたと思えばすぐさま皆が敵に銃を向けるのはさすがだと思ったがな……」
それでも少しなのかと思うレイ。
「話を戻すが、その時の二人の用件は覚えているか?」
「たしか、レイを勧誘しに来たんだろう?それがどうかしたのか?勧誘ならかなりの頻度で沢山の国から来てたじゃないか」
「その時の会話さ。色々興味深い事を言っていたじゃないか」
「会話?」
レイが言った言葉に博士は顎に手をやりその時の事を思い出す。
「たしか……私達はあなたをスパイやエージェント、裏方の役として雇いたいと言っていたか?」
「重要なのはその後。俺が裏方でいいのか?と問いかけた後、彼女はこう言っただろ?主戦力はもう整ってるの。私達が欲しいのは裏方のサポート役や潜入、情報だとな……」
その言葉を聞き、博士は何かに気づいたのか目を見開く。
「まさか…………主戦力と言うのはIS操縦者達の事を指していたということか。だがそれだけではまだ確証を持つまでではないんじゃないか?」
「いや……この時代、世界を変えるには求めているのは人じゃなくISだろうな。IS1つで軍事施設を落とせるんだ。3つ4つあれば国を落とせるさ。それに今思えばあれだけ囲まれてる中で余裕でいた理由も分かった……」
ずっとあの時、レイは違和感が拭えなかった。二人組みが堂々と来た事が、何か手があるのかと思いきや周りに仲間がいる気配もなく、武器もない。ほとんど手ぶらの状態なのにこんな基地のど真ん中に恐怖もなく、あったのは余裕。だが、それにも今は納得がいった。
「何もないと思っていたが、最初からあいつらはあの状況を覆せる物を……『IS』って言う最強の兵器を持っていたんだ……だからあれほど余裕があったんだろうな」
「レイのその意見が正しいとしてもISを使って警備を突破したのなら、レーダーやら反応してるはずだが……」
「多分……味方にあいつらの仲間が紛れていた可能性が高い」
「用意周到なやつらだな……まぁ今更それが分かった所ですでに遅いな。それより奴らの事はひとまず置いといて今後の事を考えておくとしよう」
「今後?」
「そうだ。怪我の具合はかなり重症だがレイならすぐ直るさ。アレがあるからな……それが直り次第、君は高校に通ってもらうとする」
「おい……何故いきなりそんな事しないといけない」
先ほどまで真面目な話は何処に行ったのか、急な話題転換に続き学校発言をする博士にレイは頭が追い付かない。
「話はこれまでだ。暫くは安静していろ。君じゃなかったらととっくに死んでるぐらいの重症なのだからな」
「おい……話はまだ終わって……ッ!」
言いたい事だけ言い病室から出ようとする博士。それを阻止しようと手を伸ばすが、それよりも早く博士はどこから取り出したか分からない注射をレイに打つ。
「安心しろ。ただの麻酔…………のはずだ」
「お……い……」
最後の危ない発言に文句の一つも言おうと思ったが急激に眠気に襲われ腕がベットの上に落ちる。
「良い眠りを……おやすみレイ」
最後に見たのは人を安心させるような母親の様な博士の柔らかい微笑みだった。
(……最悪だ)
思い出した記憶が全然良くなかった。むしろ自分の泣き姿という恥に、余計に神経がイラだつレイ。
あれからというのも博士の宣言どおりレイは学校に通った。そして一人だけだが友達と呼べるのも出来た。だが、色々あってIS学園に入学する事になってしまっていた。
「あの、次の……木下君。自己紹介お願いします」
そのおどおどした態度のまったく教師に見えない、胸がふくよかな女性の声でレイは意識を教室に戻す。
「はい」
返事をして立ち、辺りを見れば先ほどの騒ぎはとっくのとうに収まっていたらしい。最後の自分にまで来ているのがその証拠だった。
「木下 零……以上だ」
それだけ言って座る零。
「あれって二人目のIS操縦者だよね?かなり根暗そうだね」
「挨拶もまともに出来ないのかしら」
「ちょっと感じ悪いね」
こそこそと喋り出す女生徒。
女生徒の零への態度は織斑一夏と比べてかなり冷たい。
それもそのはず、今の零の見た目は髪が長く眼鏡を掛けているため女生徒から見ればあまり良い印象を受けない。それに今の事故紹介で余計に拍車をかけていた。
しかしここまで扱いが酷いのには特別な理由がある。
「まぁそれも仕方ないんじゃない。だって彼……『IS』をかろうじで動かせるだけでしょ?」
それが決定的な理由。織斑一夏はIS適正A、と素晴らしい数値に比べて零はFと最悪な数値。ISも一人の女生徒が言ったとおりかろうじでしか動かせない。
それはニュースで男性操縦者が発見されたときに適正も一緒に出されたため、世界の全員が知っていることだった。
現に今、零へと向けられる視線は良いものではなかった。
ISが出来た事による代償。女尊男卑社会。織斑一夏とは違い、身内が有名と言う訳でもない。世界の女性の誰もが零へ良い感情を持っていないだろう。ただかろうじでISを動かせるだけの人物を自分と同等としたくないのだ。
「静かにしろ!まだ終わっていないんだ。私語は慎め!」
千冬の一声で女生徒のレイへの視線や私語はなくなる。その様子に満足した千冬は続きを促す。
「山田君。いいぞ」
「あ、は、はい。これでショートホームルームを終わりたいと思います」
ショートホームルームが終わった後、1限目のISについての授業があった。
(やはり、最初はこんなものか……)
ISの授業は零から言わせれば簡単の一言に尽きた。それもそのはず、博士はISの研究、または実験をしていたため、 ISについては博士にびっしり教え込まれたのだからできないはずはない。
「ちょっといいか?」
横から声が聞こえ視線を移せば、同じ男の織斑一夏の姿が確認できた。
「なんだ……」
「いや……この学園に2人しかいない男だからさ、仲良くしようと思って」
気さくな感じで話す一夏。せっかくの男同士だから仲を深めていきたいのだろう。
だがそれは零からしたら迷惑極まりない行為だった。疎まれてる自分が今一番の注目を浴びてる人物に話しかけられれば、周りは良く思わない。事実。皆があまり表情がよろしくない。
構うのが面倒だがさっさと思わせようと思い声を開こうとしたが、
「……ちょっといいか」
「え……箒?」
一夏の知り合いらしい人物に言葉を渡られた。
「廊下でいいか?」
「いや……今自己紹介を……」
「知り合いなんだろう?さっさと行け」
「わ、わかった」
「すまないな」
関わるのがめんどくさい零はさっさと話を終わらせた。こちらに申し訳なさそうに教室を出る織斑と知り合いの人物を見ながら零は織斑の知り合いの人物の後ろ姿を見つめる。
(あれがISを作った篠ノ之束の妹か……)
あの自分の大切な物を奪った忌々しい人物の妹。それだけでも零の中には黒い、黒い、憎悪が渦巻く。
「……ふぅ」
しかし零は大きく息を吸い気分を落ち着かせた。厄介ごとは零も望んでいない。目立てば自分の存在がばれる可能性があるからだ。自分だけならいいが、博士が巻き込まれるのは零は良しとしてない。
だから、次の授業に向け復習も兼ねて本を開いた。
「授業を始める前にクラス代表者を決める」
三時間目の授業。織斑千冬がそう口を開いた。
聞けば、そのままの通り、ISのクラスの代表であり、色々とめんどくさそうな役回りのクラス長だった。
「はい。織斑君を推薦します!」
「え……俺?」
突然の候補に一夏は頭が追いついていないようだった。だが、まだ苦悩は終わっていない。
「私も推薦しまーす」
「いや、俺はそんなのやら--」
「自薦他薦は問わないと言った。拒否権はない。座れ」
「いや、でも--」
次々と女生徒が一夏を推薦するため、一夏は拒否しようとしたが自分の姉に拒否される。反論しようした一夏だったが、
「納得行きませんわ!」
セシリアオルコットがそれを許さなかった。
そこからは互いに言い合いが始まり、結局一夏は決闘と言うその勝負を買ってしまった。
「ハンデはどれぐらいつける?」
「あらさっそくのお願いかしら?」
「いや、俺がどれくらいハンデつけたらいいのかなーっと」
そこまで言った一夏の言葉だったのだが、教室がドット爆笑に包まれる。
「織斑君それは昔の話だよ」
「そうそう、本気で言ってる?」
その女生徒達の反応に一夏はしまったと顔をしかめていた。
(腐ってやがるな……)
そんな爆笑に包まれる中、零は思わず胸中でそう悪態をつく。
(ISに乗れるのがそんなに偉いのか。そんなに人を見下すのが楽しいのか)
女性の誰もが自分達が上だと思っている。男達は劣っていると、
それで勝ち誇って優越感に浸り何が楽しいのか零には理解できないし、したくも無かった。
「今ならまだ間に合うよ。セシリアに謝ってハンデを取り下げよう」
その言葉に仕方なくハンデを取り消して誤ろうとした一夏。
「ごめ--」
ドンッ!その音で全員がシーンと教室が静まり返る。音の元凶を辿れば、零が机を叩いた音だった。
「煩い。不愉快だ…………先生授業を始めてください。もういいでしょう?」
「分かった、だが次からは机は叩くな」
「はい」
世界最強に睨まれるが零にはどおってことはなく、平然な態度で返事を返した。
「と言う事だ。勝負は一週間後の月曜。放課後の代3アリーナで行う。ちなみに零。お前にもやって貰う。
「……何故ですか?」
突然の名前に零も言葉に詰まる。
「上からの命令でな。男性の貴重なデータが欲しいらしい。拒否権はない」
「分かりました」
さすがに断れないと悟った零は素直に頷く。
「じゃあ授業を始めるぞ!」
そして授業が再開された。
「やっと終わったか……」
退屈な授業が終わり放課後、夕日が照らす教室で帰ろうと鞄を取る零。
「あ、木下君。織斑君。まだ教室にいたんですね。よかったです」
「どうかしましたか?」
「いえ、寮の部屋が決まりました」
零は渡された鍵と一夏が貰った鍵を見比べふと疑問が浮かぶ。
「部屋は一緒じゃないんですか?」
「あ、ほんとだ」
一夏も気付いたらしく覗き込む様に鍵を見比べていた。
それに対して山田先生は困った風に答える。
「えっとですね…、私もあまり詳しくは分からないんです。すいません。お力になれなくて……
本人も疑問に思っていたが何故こうなった理由は分かっていない様で申し訳なさそうに顔を困らせていた。
「いえ、大丈夫です。真剣に考えてくれてありがとうございます」
「い、いえ、生徒の力になるのは先生として当たり前の事ですから」
(先生には見えないが……いい人だな。見下してる視線じゃない)
今度は慌てた様にはにかむ姿に零はそう感じた。今の会話だけでも、ちゃんと一人の生徒として向き合ってくれているのが零には理解できた。
「じゃあお先に行きます」
「あ、はい」
零は山田先生に頭を下げ、自分の部屋を探すべく歩き出す。
この部屋割りが、零にとって大切で大事な新しい一歩になる事をこの時はまだ知らない。
更新速度は気まぐれですかね。緋弾のアリアの方は1話1話の修正で忙しいため、続きの投稿はちょっと微妙な所。
久しぶりすぎて文章の書き方が分かりません。どうやって話を簡単にすればいいのか分からない。もっとすらすらと進みたいのに進まない……難しい……次の話は自分の大好きな子が出てきますね。
感想はどんどんうけつけてます。幼稚な文章なんで間違いがあれば指摘や書き方などをアドバイスくれると嬉しいです。
最後に……IS2期アニメは見た方がいいですかね?パソコン壊れてたし、携帯はガラケーだったから見れてないという事実。