IS-王と言う名の騎士-   作:osero

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第五話「世界の風潮」

 

 四月の下旬。入学初日から女子生徒が男子生徒を、詳しく言うと一夏目的に集まっていたのだがそれもようやく落ち着きを取り戻していた。もちろん一夏本人が近づけば嬉々満々に一夏に寄っていくだろうが。

 

 一方、零の方は相変わらず周りからは冷たい待遇であった。いや、むしろこれが今の世界の正常な反応なのだろう。むしろ一夏だけが特別と言えた。

 

 この世界の原因を担った世界最強、ブリュンヒルデの異名を持つ織斑千冬。一夏は全女性から尊敬を持たれているブリュンヒルデの弟なのだ。他の男子と違い差別を受けるはずがなかった。むしろそういう立場だからこそ、今の歪んだ世界の醜さを本当の意味で理解していないのだろう。 

 

 現に零が2年、この国に来てからはあまりにも酷い光景を見せられていた。

 

 零がいたであろう戦場は男女差別などある訳がなかった。強いものが生き弱いものが死ぬ。弱肉強食そのもで世界の心理の中で生きぬいてきた。だから日本に来て驚きを隠せない。力を持たぬただの女の弱者が、当たり前の如く強者に強い態度を取ってそれが平然と認められる現実がそこにあったのだから。

 

 そしてそれを常識として誰もが仕方ないと受け入れている現状が理解不能だった。男子に暴力を振るおうが殺そうとしようとも、圧倒的に許され、男と言うだけで平気で蹴落とす不条理。

 

 酷く歪みきった世界がそこにはあった。

 

 そんな場所に二年も居ればさすがの零も今のこの状況には慣れていた。というより元から気にしてなどいない。

 

 そんな一方的な思想を持つ者に興味すらない。

 

 同じ人間ではない、別の生き物だともはや割り切っていた。自分や仲間に害がなければ基本何もしない。ようするに人の形をした何かが喋ってるとしか思わなかったのだ。

 

 もちろん突っかかってくる女性は沢山いたにはいたが殺気を向けるだけで回避していた。

 

 戦場を知らぬ平和に育った人間が殺気など耐えられる訳無く、怯え影で彼の陰口を叩くぐらいしかしなかった。

 

 IS学園に来てからもそれは変わることはない。周りの見下す視線と陰口など目と耳に入るのは不快だが、大した事はないと気にせず平然と過ごしていた。もちろんストレスはかなり蓄積されてはいるが。

 

「やっと終わったか……」

 

 チャイムが鳴り響き、今日の授業が終わる。それを期に部活に行く生徒、雑談や一夏に集まる生徒など、それぞれが各自行動する中、零はいち早く鞄を持ち教室を出た。途中で一夏と目が合うが気にしなかった。

 

 どうせ男同士夕食を取ろうと誘われるのが目に見えていたから。悪気はないのだろうがこちらも事も考えて欲しいと思わなくもない零である。

 

 その行動がどれだけこちらの立場をより悪くさせるのを気付いてないのだろう。

 

「ふぅ」

 

 廊下を歩きながら人がいない事を確認しやっと零は肩の力を抜いた。

 

(就任パーティーには行かない方がいいだろうな……)

 

 それは一夏がクラス代表に決まったことで、盛大に祝おうと1組女子が決めたことであった。夕食後の自由時間。1組全員で織斑一夏の就任パーティーが行われる予定である。

 

 先ほどの雑談もそれに関しての事だろう。しかし零本人は行く気がない。自分が行ったとしてもあまり歓迎されないのが見て分かるからだ。わざわざ、反感を買いに行くほど暇でもなかった。

 

 寮に着いた零は部屋に入る。部屋に常備してあるパソコンは使わず、自分のPCを取り出し立ち上げる。もちろんそれは情報を見られないための処置。学園用のパソコンを使う物など自殺行為に等しい。

 

 立ち上げた零は手際よくキーボードを打ち始めた。

 

 

 

 

 

 

 「まぁ、こんなものか」

 

 椅子に寄りかかり横にあった水を飲み干す。

 

 零が打ち込んでいたのは、セシリアとの対戦したときについての操縦者としての戦闘の報告だった。

 

 本当ならばイギリスのブルーティアーズについての事を詳しく打ち込む予定だったのだが、博士はその試合について見ていたであろう台詞を口にしていたために操縦者としての意見だけを書き込んでいた。

 

「しまったな、もうこんな時間か」

 

 パソコンを閉じ時間を見れば夕食の時間が終わる頃、丁度一夏就任パーティーが始まる時間帯であった。

 

 間が悪い。そう思い今日はこのまま寝るかと思っている所に部屋のドアが開く。

 

 (こんな時間に珍しいな)

 

 ここに来て2週間近く経つが、彼女が今までこんな早い時間に帰ってくる事など一度もなかった。シャワーだけを浴びに帰るだけであり、後は皆が寝静まった夜遅くに来ることが多い。帰らない事も多々ある。

 

 そんな人物がこんな時間に訪れる事に少し驚いていた。

 

 零の同部屋の彼女、簪は驚く零を余所に部屋に入り手に持ったトレイをそっと机に置く。置かれたのは日本食をメインにした湯気を放つ夕食だった。

 

「わざわざ取ってきてくれたのか?」

 

「ん。本音が私に零は来てないって言ってたから」

 

 それは彼女にしては珍しく、IS作業を早めに切り上げ夕食を取っていた。その最中に本音が来て、零が来てない事を伝えたのだ。それを耳にした簪は食事を済ませてこうして食べ物を持ってきてくれたのである。

 

「そうか、布仏さんには明日感謝しないといけないな」

 

 そう言葉にして目の前に置かれた和食に手をつけ始める零。お腹をすかしていた零は手が進むのが早かった。その様子を椅子に座り眺める簪。

 

「ふぅ……それでどうかしたのか」

 

 食事中、ずっと自分を見ていたのが気になっていたが、特に声をかけてこないため出来るだけ急いで食事をすませた。

 

「1組は今日パーティーだけど、零は行かなくていいの?」

 

「あぁ、そのことか」

 

 首をかしげ問いかける簪に思わず苦笑いを漏らす零。あまり触れて欲しくない話題であった。

 

「あまり女子の前で言いたくはないんだが……それでも聞くか?」

 

 その問いかけにコクリと頷く簪。

 

「俺が居れば場の空気が悪くなるのが、まず一つだな。自分はブリュンヒルデの姉を持つ織斑一夏とは違って唯の一般人。自分で言いたくはないが……客観的に見ても顔もあまり冴えないからあまりいい印象をもたれてない。二つ目はISの実力だ。ニュースで見たとおり適正も皆無と言っていい。はっきり言えば乗れるだけの人物だ。そんな人物が何の努力もせず此処にくれば嫌でも女子に非難の目を食らう」

 

 IS学園に入るにはそれこそ血の滲むような努力をしないと入れない。それほど倍率は高い。IS学園に入るだけでもエリートと呼んでも遜色ないレベルであり、その為だけに小さい頃から努力している女性も中にはいる。

 

 それでもIS学園の半分が日本人を占めてるのはISを開発したのが日本人だからだろう。教材も説明も何もかも日本語が標準だから、他所の国からしたら日本語を学ぶだけでも相当の努力が必要になる。そんな難関を越えてでも居るのがIS学園の生徒なのだ。

 

 そんな中、ただISに乗れるだけの男性が入ればもちろん良い思いはしない。むしろ不愉快に感じているだろう。現にその非難の視線が多いのも事実であった。

 

「でも、そんな人が全員って訳でもないよ」

 

簪の言う事は正しい。全員が悪意を零に向けている訳ではない。中にはそれを気にせず話かけにくれた人物達がいた。本音もその中の一人。

 

「たしかに全員って訳じゃない。話して見れば優しい人達だと理解出来る。ただやはり、女尊男卑が当たり前になってしまった時代の風潮だろうな……。少なくとも対等の扱いではないな。言葉の中に無意識に下に見てる台詞がある。まぁ、対等にみてくれようとしてくれてるだけで破格な扱いなんだがな」

 

 IS学園に来てから零は数人の女性から声をかけて貰った。鷹月 静寐、夜竹 さゆか、谷本 癒子らとその他にも色々いたが、印象に残ってるのはこの三人だった。女尊男卑が特に激しい日本では珍しい程に差別意識が少ない、多少下に見てる発言はあったものの気遣う姿勢は良い人物なんだと関心させた程だった。

 

 もう一人の本音については零はよく分からない評価を下した。

 

 いきなりやってきてはレイレイよろしく~、と妙なあだ名を付けられウリウリと服の袖でペチペチと叩く。まるで犬の甘噛みみたいに甘えるようなそんな行動に戸惑う。気づいたときにはすでにいなくなっており何なんだ、と頭を抱えたのは此処だけの話。

 

 それらの出来事があってもやはりまだ信頼に足るまでには行かない。同じ目線。対等に立ってからこその友達だと零は思うのだ。

 

「気を許す相手がいないのに行っても疲れるだけだ。だからなるべく行きたくない。ただでさえこの学園に来てからずっと気を遣ってるのに、自由時間までもそれに費やしたくないんだよ」

 

 色々理由を言ったが、要するにめんどくさい。ただそれだけである。

 

「じゃあ何故……私にそんな話をしたの?」

 

 女性に対しての嫌悪の話を聞いても嫌な顔一つせず正面で真剣に聞いていた簪の疑問が出るのも当然だった。

 

 今の話を聞く限り、相当女性を忌避しているはずなのにそれを何故同じ女性である自分に話すのかが簪には分からないうのだろう。そんな彼女の疑問を零は簡潔に答えた。

 

「簡単なことだ。簪には女尊男卑の差別が無い、からだな」

 

 その言葉に納得の言ってない様子の簪に零はさらに続ける。

 

「何故そんなこと分かるのって顔しているな。だが、こちらから言わせて貰えれば当たり前に等しい。女尊男卑の差別が酷い国に生まれた男子なら、殆どが嫌でも分かる。こちらを見る目や少し程度の会話。それでこちらをどう思ってるか判断できる。特に会話はそれがよくでるからな。人間ってのは言葉に感情が乗るからな。例えるなら家族とか、良くわかるだろう?喋っていて今日は機嫌が悪いな、とか。それが差別の対象ならよく見えるんだよ。こいつは男子を良く思っていない、男子を酷い目にあわせたい。なんて奥底の感情が言葉から漏れ出てるんだ」

 

 人が持つ悪意、それを見抜く観察眼と洞察力。今の日本の男子にはこの世界で生きていくには必須のスキル。自然と身に付く物と言って良いだろう。女性に対しての限定だが。

 

 「だから簪が男子だけでこちらを一方的に嫌ってないってのは過ごしてて分かったから今こうして話した。こうして夕食も持って来てくれたしな」

 

「そ、そう」

 

 少し照れくさそうにする簪。それを眺めながら零は立とうとする。

 

「さてと、そろそろトレイを片付けてくるか」

 

「え、就任パーティー。行きたくないんじゃ……」

 

「それはそうだが、ここにずっと置いとく訳にもいかないだろ。学食で食事を作ってくれてる人達に悪いしな」

 

「そ、それなら、私が持ってくからだいじょ……」

 

 トレイを運ぼうと手を伸ばす簪だったが、それは掴むことなく空をきる。掴む直前に零が素早く右手でそれを持ち席をたったからだ。

 

「そこまでしてもらう訳には行かないな」

 

「でも……」

 

「いいから。それと、夕食は助かった。それじゃ」

 

「あ、うん。どういたしまして」

 

 右手を軽く上げ礼をいい立ち去る零。それを見送る簪であった。

 

 

 

 

 

 

 「織斑くんクラス代表決定おめでと~」

 

 時間通り夕食後の食堂で就任パーティーは既に始まっていた。

 

 今は新聞部の2年の黛薫子の質問攻めにあっていた。

 

「それで一夏くん。クラス代表のお気持ちを一つ」

 

「えぇ!?特には……しいて言うなら頑張ります」

 

「硬い、硬い、もっとかっこいいセリフないの?俺に触れると火傷するとか」

 

「自分不器用ですから」

 

「んーまぁいいでしょう。他の女子もうずうずしてそうだから、これぐらいでいいですか」

 

 もっと取材したい感じの黛副部長であったがすぐさま立ち去った。

 

 周りを見渡せば早く喋りたいのか、うずうずして震えていた女子が沢山いたから潔く引いたのであろう。

 

 食堂全体を見渡せばその女子の数は1組だけではなく2組の女子の姿も見えた。女子の花園といっても遜色ではない光景がそこに存在していた。

 

「一夏くん一緒に写真取ろうよ」

 

「あぁーずるいよ!私が先!」

 

「い、いや、そんないっぺんには相手出来ない」

 

 ぞろぞろと蟻のように寄ってくる女子。

 

「……嬉しそうだな」

 

「どこがだ!マスコット扱いされてるだけだ」

 

 ふん、とふてくされる箒を他所に一夏はこの状況に疲れていた。

 

「なんで自分しかいないんだ……零は何で来ないんだよ」

 

 辺りを見渡しても零の姿が見えないことに溜め息と共に不満が漏れる。それも仕方がない。入学して数週間経った今でも零との関係はあまり良い関係とは言い難かった。

 

 こちらから声をかけているのだが、なんと言うか対応がぎこちないと言うか避けてるのが一夏自身も理解出来た。

 

「俺は織斑一夏。同じ男子同士仲良くしようぜ」

 

「ん?あぁ、こちらは木下零だ。それより、隣の奴がそちらに用がある様子だぞ?」

 

 又は

 

「零、食堂一緒に行こうぜ」

 

「すまない。あまり人目が多いのは苦手なんだ。自分は一人の方がいい、じゃあな」

 

 そう言いそそくさと立ち去る零。それからも色々と誘うが全て何かにつけてすべて断られていた。

 

「俺何かしたっけな……」

 

「木下のこと考えてるのか?」

 

「え……」

 

「お前はすぐ顔に出るからな」

 

 図星を付かれて慌てる自分を他所に冷静に意見を述べる箒。幼馴染のこういう所は便利であり、不便だ、と思いながらもそのことに関しての意見が欲しいのが正直な気持ちだった。

 

「実はそうなんだよ。何回か、声をかけたり学食に誘うんだけど……全部断られるんだ。俺が何かしたとは思えないんだが……」

 

 思い当たる節がない。

 

「そうだな……私も木下のことはあまり知らないんだが、もしかしたら一人が楽なんじゃないか?」

 

「いや……箒じゃないんだから、それは違うんじゃ……グッ」

 

 箒の意見を一蹴。しかしお返しとばかりに鳩尾にパンチがつき刺さっていた。悶絶するほどの痛さにお腹を押さえる。

 

「……ごほん。考え方は人それぞれだ。無理に誘うと逆に嫌がられるぞ」

 

 余計なことを、そんな表情が見て取れる。

 

「同じ男子同士仲良くしたいんだけどなー」

 

 なんとかならないか。そんなことを試行錯誤していると、人ごみの外にトレイを持った零が食堂に入ってくるのが見えた。

 

 これは仲良くなるチャンス。

 

「おぉ、零来てたのか。こっちこっち」

 

 呼ばれた零は何故か顔を引きつらせていた。周りのがやがやと言った騒音も少し静かになる。

 

「あれ、皆どうしたんだ?」

 

 どうして静かになったか分からず、首を傾げる。

 

「あれがもう一人の男子操縦者の木下零?」

 

「あれが適正Fの……」

 

「あんまりぱっとしないね」

 

 ひそひそ声が食堂に広がる。不穏な空気が辺りに漂う。

 

「おい、織斑一夏。そんな大声で呼ばなくても聞こえてるぞ。何か用か?」

 

 さっきまでの表情はなりを潜め無表情を浮かべながらいつの間にか目の前にいた。

 

「おぉ、いつの間に……零も今来たのか?」

 

「そうだが……まぁトレイを戻しにきただけだ。すぐ部屋に戻るがな」

 

「零も同じ一組同士だし少しは楽しんだらどうだ?」

 

「いや……わざと言ってるのか?」

 

「ん?何がだ?」

 

 零が何のことを言ってるのか良く分からない。そんな自分の態度に零が溜め息を吐く。

 

 自分が何かしたか?そんな考えごとも向こうには伝わったようだ。

 

「いや……なんでもない。俺はすぐ出るよ」

 

「おい!ちょっ」

 

「一夏くん、早く写真とろう」

 

「私は一夏くんの趣味が聞きたいなー」

 

 呼び止めようと肩を掴もうとしたが、女子の大群に囲まれた。零はすでにトレイを返して食堂を出る所だった。

 

 またはぐらかされた。そう思い苦笑いを浮かべて一夏は女子の相手に務めるのであった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ、災難だったな。まさかあの人数で見つかるとは」

 

 食堂での一件。まさか、気づかれるとは少しも思っていなかった。

 

 そうぼんやり思考しながら寮に向かって歩いていると夜の時間帯にも関らず忙しくキョロキョロと動いている一人の少女が目に入った。

 

 あちらも気づいたのか見つけるなり、寄ってきた。

 

「ちょうどいい所に。本校舎一階総合事務受付ってどこにあるか分かる?」

 

「ん?あっちだな。ここに初めて来たのか?」

 

「そう。今日から……まぁ、明日から入ることになる凰鈴音よ。よろしく」

 

「この時期に転校生か……ということは言わずとも専用機持ちか?」

 

 この時期に一般生徒が転入はない、男子でもない限り。

 

「あら、鋭いわね。そういうことよ。暗くてよく見えないけど……あんたってもしかして男?」

 

 辺りは暗闇のため、見にくいのだろう。近づいてやっと零が男だとようやく気づいた少女。

 

「あぁ、まぁ知ってると思うが木下零だ。じゃあ俺はこれで」

 

 余計なことは言われたくないためそそくさと立ち去ろうとする零だったが、裾を掴まれる。

 

「なんだ?」

 

「そう。それよりこの暗闇じゃ方向だけだと場所分かりにくいから案内して」

 

「俺でいいのか?」

 

 零の問いかけに首を傾げる少女だったがやがて意味が分かったのか、

 

「え?あぁ、あたしはそういう差別だとか気にしないから大丈夫よ」

 

「それはまた珍しいな」

 

「年を取ってるだけで偉そうにしてる大人や、力が強いって威張ってるだけの男よりマシって所かしら」

 

 はっきりとしてる物言いである。だからこそ単純明快で分かりやすい少女であった。

 

「なるほど、良い答えだな。単純であるがそれがいい」

 

「褒めてるのか馬鹿にしてるの?」

 

 こうも清々しい少女に拍手を送りたい物である。好感が持てた。だが少女本人に至ってはその笑みが馬鹿にされたと思ったらしい。ポキポキと指をならしている。逆立つツインテールが暴れていた。

 

「違う。今のこの世界にそんな考えの奴はなかなかいなくてな……」

 

「あぁ、なるほどね。自分が学も地位も力もないのにただ女性だけで威張ってるのに苦労してると?」

 

 面白いほどに的確に当ててくるから、零も普段より表情が和らぐ。

 

「面白いな。その通りではあるが、そんなこと言っても良いのか?」

 

「あぁいいのよ。何も持ってないのに威張るのは違うじゃない?それにそういう女子ってさっき言った私の嫌いなことと似てるじゃない。自分で得た力ならいいけどね!」

 

 そう言ってアクセサリーを突き出す少女。おそらくそれがISなのだろうとすぐ予測できた。ドヤ顔を浮かべているが、あまり似合ってはいなかった。

 

「なるほど。専用機を持つのにはなかなかの努力じゃ難しいからな……」

 

「そうでしょ。そうでしょ」

 

 褒められて嬉しいのか、スキップを刻みながら先を歩き出す少女。ツインテールが揺れてそれがまた笑顔と良く似合っていた。

 

だが、

 

「そっちは違うぞ。あっちだ」

 

「そ、それを早くいいなさいよ!」

 

 すぐさま顔を真っ赤にし耳まで赤くなり、零が指差す方向にすぐ歩き出す。

 

 それからは普通の会話を少しかわし別れた。途中でクラス代表がもう一人の男子、織斑一夏と伝えたとき、おかしな動きをしていたがもしかしたら知り合いだったのかも知れない。

 

 そんなことを思いながらツインテールの似合う少女を見送った零はそのまま帰るべく寮へと引き返して行った。




更新は1月か2月をめやすに投稿出来ればいいなぁーと思います。

簪。いつまでたっても可愛い。もじもじする姿がね……

 なんか発言が変態のおっさんぽくて、きもいと自分でも思ってしまった……

 楽しんでいただければ幸いです。

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