学戦都市アスタリスク black trickster   作:白い鴉

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初めて書くオリ主小説ですので、見苦しい所が多々あるかと思いますが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。


序章

 明かりも無いレヴォルフ黒学院の懲罰教室の中に、一人の少女が閉じ込められていた。少女は天井を仰ぎながら、憎々し気に独り言を呟く。

「……ったく、いつまでこんな所に閉じ込めておくつもりだっての」

 少女は濃い茶色の髪の毛に、夏場だというのに首には長いマフラーをしていた。なのに着崩した制服の下にはアンダーを着用しておらず、なんともミスマッチな格好をしている。

 少女――――イレーネ・ウルサイスは壁から伸びた手枷に腕を繋がれており、制服姿のまま豪快に胡坐をかいていた。それから髪の毛をバリバリと豪快に掻いてからため息をつくと、不機嫌そうな表情から一転、どこか悲しそうな笑みを浮かべた。

「……二人共、今のあたしの姿を見たらどんな顔すんのかな……」

 自分らしくない、と思いながらも今最も会いたい二人の人間の顔を思い出す。

 一人は、唯一血が繋がった家族であり、自分が何としても護りたい妹。

 そしてもう一人は、今まで妹以外の存在などどうでも良いと思っていた自分が初めて妹と同じぐらいに大切に思ったと同時に、自分が護る事ができなかった少年。

 彼の顔を思い出すと、胸がずぐんと音を立てて痛むのが分かる。

 今思えば、変な奴だったと思う。男なのにどこか頼りなくて。女のような顔立ちなのに一度これだと決めたらてこでも動かないような意志を持っていて。

 そして……この学園の中でもかなりの実力を持っているのに、呆れるぐらい優しかった。

 彼を失ってみて分かる。彼は、自分の『光』だったのだ。どんなに自分が闇に埋もれていても、最後には自分を引きずりあげてくれる、優しい光。彼と妹の存在は、自分の『希望』だったのだと。

 なのに……護れなかった。

 レヴォルフ黒学院序列三位という力を持ちながら、彼を悪意から護る事ができなかった。だからこそ自分は、今ここにいるのかもしれない。護るべきものを護る事ができなかった、自分の罪の証明として。

「………」

 ジャラ、と手枷の鎖の音を鳴らしながら、イレーネはある光景を思い出す。

 自分が住んでいるマンションの部屋で、三人で食卓を囲んでいたあの光景を。

 できる事ならば、またあの頃のように三人で一緒に過ごしたいと思う。

 だが、それはできない。そんな事は決してあり得ない。

 その景色も、未来も、全て自分に力が無かったせいで永遠に失われてしまったのだから。

 少女は俯いたまま、少年の名を呼ぶ。

 とても愛おしそうに。それでいて、ひどく悲しそうな声と表情で。

「……朱羅(しゅら)……」

 

 

 

 

 イレーネ・ウルサイスという少女がどうしてこんな暗闇に閉じ込められる事になったのか。

 少女が呼ぶ朱羅という少年に、一体何があったのか。

 全ての始まりは、少女と少年が出会った、二か月前に遡る。 

 

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