遂に今日ラブライブ!サンシャイン!!の二期が始まるという事で投稿させていただきました!!
2回目のプロローグ、果たして誰が来るのでしょうか・・・?
それではどうぞお楽しみください!!
「ここが浦の星女学院か・・・。」
ある日の朝、1人の男が浦の星女学院の校門で感慨深そうに呟いた。
男の名前は吉田輝久。男にしては長いと思われる肩までかかりそうな髪を後ろで結んで下ろし、顔立ちはそこそこ整っており、彼が掛けている眼鏡と相まって知的な印象を感じ取ることが出来る。だが・・・、
「あああ、なんと言う事だ・・・。やっと教師になれたと思ったら赴任先が女子高なんてハードルが高すぎる・・・!何かやらかしたらどうしよう、あああ不安だ・・・。う、胃が痛い。」
そう、輝久はかなりの小心者であった。それなりに優秀なのではあるが、だいたい大事な場面が来るとこんな風に怖気づいてしまうほど気が小さい男なのだ。高校入試、大学入試、教育実習等々・・・、同じような状態に何度か陥っている。
「こんな時
輝久は頭を抱え込むと誰に言い聞かせるわけでもなくそう呟いた。
『安心せい、お主は教師となるために切磋琢磨してきたのじゃろう?』
『だったら教師らしく胸を張りゃあいいじゃねえか。』
『いくらお前でもそこまでやらかしたりはしないでしょう。』
『みんなの言う通りだ、お前は自分を信じて進めばいい。そうだろう幸鶴丸・・・いや、輝元。』
輝久の中に4人の男の声が響いた。1人は老人、もう1人は少し粗暴な雰囲気で、3人目は2人目の男とは対照的に冷静でどこか治世を感じる声、そして最後に彼に語り掛けた声は穏やかでありながら厳かで優しく包み込むような声で輝久の事を輝元と呼びかけた。
(・・・そうだ。私は教師になるために自分のできる事を全力でやって来た・・・。だから恐れる必要はない、教師らしく胸を張ればいいんだ。もう私は無能な毛利輝元ではなく、教師としての一歩を踏み出す吉田輝久なのだから!)
意を決し、胸を張って校舎に向かって歩き出した男の名は吉田輝久。しかしその正体は普通の人間とは少し違う。
彼はかつて群雄ひしめく戦国の世であった400年前の日本において、『
輝元はそんな偉大な祖父と父を持ちながらも、関ヶ原の戦いで優柔不断な行動をとって毛利家の領土の4分の3をも失う失態を犯したことから凡将と後世の人物からも責められ続ける末路を辿った。
しかし、吉田輝久として生まれ変わってからはもう昔のようにはならんと何事にも全力で取り組むようになった。そして高校時代に塾の講師のアルバイトをしていた時に、彼から教わった生徒から「分かりやすい」と喜ばれたことをきっかけに教師になる決意を固めた。
そして困難や挫折に苦しむこと幾数年・・・。彼は遂に教員免許を手にし、この学校に教師として赴任することになったのだ。
心の中から輝元改め輝久を励ましたり叱責したり、そして背中を押してきた祖父たちもきっと喜んでくれているだろうと考えながら輝久は職員室へと向かってキビキビと歩みを進めた。
「はじめまして、本日よりこの浦の星女学院に赴任してきました吉田輝久と申します。」
「こんな小さい学校ですが、こちらこそよろしくお願いしますね。」
職員室にて、輝久は教師たちに挨拶をしていた。
(小さい学校だとは話に聞いてはいたけど、やっぱり先生も全然いないものなんですねえ・・・。)
輝久は教師が普通の学校よりも少ない事に対して、そこまで深く気にも留めていなかった。
「吉田先生は確か東京の大学で学んでらしたんですよね?東京の学校に比べるとこんな田舎の学校は大変じゃないですか?」
「いえいえ、ここは自然が豊かな上に丘の上にあるので景色もよくいい学校だと思います。そう言えば、理事長先生はいらっしゃらないのですか?」
世間話ついでに輝久は主任の教師に理事長がどこにいるのかをたずねた。本当なら先に理事長に挨拶をするはずなのだが、先に職員室に通されたことを輝久は不思議に思っていた。
「ええ、実は理事長はついこの前に退職されちゃいましてね。新しい理事長はまだいらっしゃってないんですよ。」
「そうなんですか。」
ガラガラ・・・。
「おはようございます。」
職員室の後ろの扉から1人男が入って来た。
「あの方は?」
「ああ、あの人は去年入って来た情報担当の熊田広樹先生ですよ。外見が厳めしいせいか最初の頃は生徒たちがあまり寄り付きませんでしたが、慣れてからはそれなりに生徒からも慕われてるいい先生なんですよ。」
「え!?」
輝久は主任の教師の口から出てきた名前を聞いて自分の耳を疑った。何故なら輝久と広樹は友人関係にあり、互いの経歴を知っていたからだ。そしてもちろん、互いの正体も把握している。
「な・・・!なんでお前がここにいやがる!?」
広樹も輝久の姿を見て驚きを隠せない様子であった。
「それはこっちのセリフですよ広樹!広樹は確かムグ!?」
「おっとそれ以上はここでは言わないでもらおうか・・・。」
広樹は輝久の口を押さえた。
「どうしたんですか熊田先生?」
「あーいや、なんでも無いっすよ。こいつとは昔っからの腐れ縁でして・・・。」
「あら、そうなんですか。それだったら吉田先生に校舎を案内してあげてください!」
「分かりました。じゃあ早速案内してきますんで!」
広樹はそう言うと輝久の口を押さえたまま2人一緒にササッと職員室から出て行った。
「どういうことか説明してくださいよ広樹!」
「それはこっちのセリフだぜ輝。お前東京にいたのになんでわざわざこんな
廊下を歩きながら2人は互いにどういうことなのかをたずね合った。
「それは・・・。実はちょっとした手違いなんですよ・・・。」
「ハァ!?」
「実は私は違う学校に赴任するはずだったんですが、どうも手違いで別の方と書類が入れ替わってこの学校に来ることになっちゃったんですよね・・・。」
輝久は苦笑いしながら自分がどうして浦の星女学院に来たのかを説明した。
「手違いって・・・。んなアホな事があるかよ。」
「実際あるんだからしょうがないじゃないでしょ・・・。むしろ解せないのはこっちの方ですよ!なんで教員免許を持ってない広樹が教師なんてやってるんですか!それに2年前にニューヨークに行ったんじゃないんですか!?」
「あー・・・。そいつは尤もなんだがな、実はちょっとした事情があるんだよ・・・。」
「事情ですか?」
「ここだけの話なんだが、実は去年にお嬢からこの学校に教師として入り込めって言われてな。」
「お嬢?ああ、確か6年前からお目付け役をしてるって言う・・・。」
「そうだ、そのお嬢から突然言われたのよ。目的も結局聞けずじまいさ。」
広樹はそう言ってため息をついた。
「そうなんですか・・・。」
「このお嬢からの密命が漏れたら面倒だって事で情報が漏れないように誰にも言わないようにしてたんだ。そこら辺は済まねえと思ってる。」
「いえいえ、そう言う事だったら頭を下げないでください。そのお嬢様の為にやってることなんですから胸を張ってくださいよ。」
輝久は頭を下げる広樹に対してそのように諭して頭を上げさせた。
「とにかく、これからこの学校で教師として働く以上全力で勤めるつもりなのでよろしく頼みますよ広樹!」
「ああ、こっちもよろしく頼むぜ輝。」
2人はそう言って握手を交わし、吉田輝久の奇妙な教師生活が幕を開けた。
これは浦の星女学院に通う9人の少女たちと、彼女たちが住まう内浦に偶然か必然か投錨された三本の矢と、身を焦がすほどの享楽を求める少年が輝きを求めて走りだす物語・・・。
その、前日譚である。
いかがでしたでしょうか?
この物語に登場する転生者の2人目は、毛利輝元こと吉田輝久!彼は拙作『若虎と女神たちの物語』にもチョイ役で登場しているので、そちらも読んでいただけると彼の人となりがほんの少しだけ更にわかるかもしれません。
果たして、彼の教師生活は一体どうなるのか・・・!?そして次回は3話目にして最後のプロローグになります!またまた新しいキャラが出てくるのでお楽しみに!!
それでは次回もまたお楽しみください!!