デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】 作:くろわっさん
かっちゃんが言った衝撃の言葉、それはこの雄英高校からの退学だった。いったいどうしたんだよかっちゃん!?
―――かっちゃんが雄英をやめる?ヒーローを諦める?僕はかっちゃんを問い詰める。
「なんで!?どうしてだよ、かっちゃん!!」
「どうして?…どうしてだと!?そんなの、お前に勝てなかったからに決まってんだろうが!!!」
僕の叫びにそれ以上の叫びで返すかっちゃん、僕は言葉が出なかった。
「それだけじゃねえ、あの氷のやつにも勝てないかもしれねぇって思っちまった!ポニーテールの言うことにも納得しちまった!!あぁくそが!!」
自身の思いを吐き出すかっちゃん、その顔は苦悶の色を浮かべていた。
「俺が…
「そんなっ…!僕は―――」
「昔っからそうだったんじゃねぇのか?俺はなにをやっても、何度挑んでもお前に勝てなかったじゃねぇか!!お前にとっては俺なんて道端の石ころと変わらねぇじゃねぇか!!!」
かっちゃんは言葉を続ける、そこに僕の入る余地はない。
「だから俺はそんな自分を認めたくなくて、本気の本気でお前に勝負を挑んだ。殺してしまってもおかしくない、それぐらい本気で戦ったんだ!!なのに…なのに俺はお前に傷ひとつつけられなかった!俺の本気はなにひとつ通用しなかった!!」
「俺はもう特別でいられねぇ…お前の横に並び立って歩けねぇんだよ……だから―――」
「俺は、雄英をやめ―――」
「ふざけたこといってんじゃないよ!!!」
かっちゃんの言葉を遮ったのは僕の叫びだった。
「自分は特別じゃない?僕に本気でやっても勝てないから諦めて雄英をやめる?さっきから聞いてればなにを自分勝手なこといってんだよ!!」
「みんな…みんな本気でやってるんだ!それでも挫折して、そして立ち上がって強くなるんだ!!なんでそんなこともわかんないんだよ!自分の才能に胡座かいてた君の怠慢だろう、それは!!!」
僕の叫びは止まらない。僕は溢れかえる感情をかっちゃんにぶつける。
「それに僕が君のことを見てないだって?かっちゃんは僕のなにを見てきたんだよ!おい!!」
僕はかっちゃんの胸ぐらを掴んで話を続ける。
「かっちゃん、僕の目標がなにかわかるかい?」
「……オールマイトみたいなヒーローに成ることだろ」
かっちゃんは僕の目を見ず、俯きながら答える。
「そうだ、でもそれは最大の目標だ!僕がいっつも意識してる目標が別にあるんだ!!」
僕はかっちゃんを突き放し、指を指しながら叫ぶ。
「それは君だ!かっちゃんに勝つことこそが僕の一番身近な目標なんだよ!」
「はぁ?なにを―――」
「僕が当たり前のように君に勝ってきたと思っていたのか!?そんなの君の勘違いだ!僕はいつだって…そうどんな勝負の時でも本気だった!君より何倍も勉強して、君より何十倍も鍛練してきたんだ!!」
そうだ、僕は元々ダメダメな人間だった、
「それに今日の対決のことだってそうだ!僕だってずっと本気だったんだぞ!攻撃は当たらない、避けられない、だから必死で耐えた!勿論普通は耐えられない、けど耐えられるように対策だってしたんだぞ!!」
「なんであのマントを僕がつけてたか知ってるか!?あれは耐火性に特化した特別製だ、火災現場に飛び込めるくらいにね。でもそれはおまけでしかない!あれの本来の目的は君への対策さ!わかるか?かっちゃんの強力な爆破に対抗するためにあのマントを作って貰ったんだよ!!」
僕の叫びにかっちゃんが反応する、そうしてこちらを見上げてくる。僕とかっちゃんと視線が交差する。
「お前は、俺を見てたのか…?」
「そんなの当たり前だろ!君には分からないだろうけど、僕はずっと昔から君の背中を追いかけてたんだよ。追い付きたくて、前に行きたくて、だからこそずっと頑張ってこれたんだ」
そう、僕は前世からずっとかっちゃんを追いかけていた、何度勝っても変わらずに…
「かっちゃんがいたから僕は強くなれたんだよ」
「俺が…いたから?デク…お前は、ずっと前から俺を認めてくれていたのか?」
そう尋ねるかっちゃんの頬には一筋の涙が流れていた。
「もちろんさ、だって僕たちは…友だちでライバルだろ?」
僕は笑顔で答える。
「なんだよ…俺がひとりで勝手に期待して失望して……バカみてぇだな」
かっちゃんが泣きながら笑う。
「さあ、もう一度聞くよ?かっちゃんはたった一度本気を破られたからって諦めるのかい?」
「俺は…俺は諦めない!」
かっちゃんの目に希望の光が宿る。
「そうだ…俺はここからだ。俺は
「そうさかっちゃん、
「ああ、俺はここからお前の一番側にいく、氷のやつにもポニーテールにも…誰にも負けないくらい強くなってみせる!」
かっちゃんは力強く宣言をする。かっちゃんがようやく僕をみてくれた気がする。
「かっちゃん、僕はこの雄英で、そして将来はヒーローとして、一番上に立つよ。オールマイトを超えてね」
僕は自分を奮い立たせる、そのための目標を口にした。
「ああ、俺はその一番近くでお前を支えてやるよ。きっとそれは俺にしか出来ねぇことだ!だから俺は…俺は!!―――」
「―――ヒーローに成りたい、そしてデクの最高の
かっちゃんがこちらに拳を向けてくる。
「ああ、約束だ!」
僕はかっちゃんと拳を合わせる。
「また約束増えちまったな―――」
「だね、いま何個目だっけ―――」
「――個目だよ、忘れんなよ――」
「―――ごめんごめん―――」
―――こうして僕らはようやくほんとの意味でお互いを認め合う友達になった。きっと僕とかっちゃんならどこまでもいけるだろう、そう思った。
―――次の日の朝、インターホンが鳴ったので僕は玄関に向かう、そこいたのは―――
「ようデク、わざわざ迎えに来たぞ。さっさと学校いくぞ!」
「かっちゃん!?どうして?いままでこんなこと無かったじゃないか!」
そこには気だるそうに立つかっちゃんがいた、僕は疑問を隠すことなく伝える。なんのドッキリだよこれ…
「お前の強さの秘訣を知ろうと思ってな…とりあえず学校では大体観察してるからな、よろしく!」
「えっ?えええええーー!!」
かっちゃんがなにを言っているかいまいちよく分からない!てか誰だよこれ!僕の知ってるかっちゃんはどこへ……?
「ぼさっとしてんなよ!早く準備して来いよ、先いくからなぁデクゥ!!」
「勝手に来といて先にいくのか!?ちょっと待ってよーー!」
ああ、この理不尽さ…かっちゃんだわ!―――
――――こうして少しだけ前と変わった僕のヒーローアカデミアでの生活がここから始まるのだった。
第二章、これにて完結です!
リアルタイムで更新を待ってる人が結構いたみたいなので、2話連続投稿というかたちで締めてみました。
楽しんで頂けたのであれば幸いです。
ストックが尽きたので、第三章は暫く経ってから投稿します!
ひとまず、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
これからも応援よろしくお願いします!!