デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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お待たせしました、第三章開幕です。




第三章 騒乱のUSJ
委員長は眼鏡と三つ編みがいい


僕とかっちゃんは本音のぶつけ合いをして、お互いを認め合うことが出来た。新たな目標とともに僕らのヒーローアカデミアでの生活が再び始まった。

 

 

 

――― あの時期が迫っている…僕がどうしても避けたいあのイベントが…

 

どうすれば避けられるんだ?クラスのみんなに事前に伝えておくか?それとも相澤先生に言うか…うーん、どちらもあまりうまくいく気がしない…

 

どうすればいいのか、僕が頭を悩ませていると―――

 

「学級委員長を決めてもらう」

相澤先生のその言葉が聞こえてきた。ついに来てしまった…

 

「学校っぽいの来たーーー!!!」

クラス中が沸き立つ、そしてみんな思い思いの言葉で立候補をしていく。峰田くん…膝上30cmって、もうわかめちゃん状態じゃないか!峰田さんのエッチ!

 

そして飯田君の提案により、委員長決めの投票が行われた。その結果は―――

 

「えー、緑谷5票、八百万2票、その他は1票だ。よって委員長は緑谷、副委員長に八百万で決定だな」

僕は結局、前と変わらず委員長になってしまった…そして教壇の横に立たされる。僕はクラスを見渡し、満足げな顔をしている四人と滅茶苦茶落ち込んでいる一人を見つけた。

 

おそらく僕に投票したのは、かっちゃんと麗日さん、それに砂藤君と障子君、あとは飯田君だろう。

かっちゃんは「当然だな!」とか言ってるし、麗日さんもキラキラした目でこちらを見ている……砂藤君障子君、 やったな!みたいな感じで親指を立てるんじゃない!ていうか飯田君はそんなに落ち込むくらいならなんで僕に投票したんだ!!!

 

はあぁ…やりたくないなぁ委員長。僕が委員長に向いていないってことはもうわかりきってる。前世より明るく元気になったとはいえ、僕は基本的には筋肉とヒーローの話以外口下手なクソナードだ。それにときどき空気を読めない発言をするらしい、変なところまでオールマイトに似てしまった!

 

「じゃあ委員長、なんか一言」

「えっ!?それじゃあ、えーと、その……沢山の投票ありがとう!これからも応援よろしくね!」

相澤先生に促されて僕が喋った。そして空気が死んだ―――

 

なにをいってるんだ僕はーーー!!!コミックの人気投票じゃないんだぞ!テンパり過ぎだ!!

ダメだ、やっぱり委員長を飯田君に代わってもらおう。メガネだし。あのメガネは委員長をやるためにあると言っても過言ではないだろう…

 

「あの――」

「じゃあ次、八百万」

「副委員長の八百万ですわ―――」

僕の言葉は届かず、八百万さんの挨拶が始まってしまった。そして挨拶が終わったあとはクラス中から拍手があった、僕のときにはなかったのに…!僕はそのあとの進行を八百万さんに任せて、置物と化していた。はやく辞めたい…そう思っているうちに気がついたら昼休みになっていた―――

 

 

 

「やっぱり僕に委員長なんて務まらないよ…!」

「ツトマル」「やれるさ」「いけんだろ」

僕の言葉に麗日さん、飯田君、かっちゃんの三人が返す。

 

「さっきのあれ見てたでしょ!?僕はああいうの緊張しちゃってダメなんだよ!」

「緊張って、そんな山盛りのご飯食べながら言われても説得力ないよ?」

麗日さんが僕のご飯の量に驚きながらつっこむ。体が大きくなったからご飯は多くないとダメな人間になってしまったのだ、仕方あるまい。

 

「まあさっきのあれは滅茶苦茶滑ってたけどな!」

「――っぐは!」

かっちゃんがグサリと心に刺さることを言う。僕だって言いたくて言ったんじゃないのに!

 

かっちゃんは先日の宣言通り、学校では大体一緒にいる。なにか秘訣を掴めたかはわからない。なので僕、飯田君、麗日さん、かっちゃんの四人でお昼を食べることが習慣になっていた。

 

「君はなぜわざわざ人が傷つくことをいうんだ!」

「あぁ?只の事実だろうが!それにデクは滑った程度で傷つく玉じゃねぇよ!!」

「―――っあべし!!」

「滑ったという事実をわざわざ言う必要がないと言っているんだ!どれだけ滑り倒そうと、それは悪ではない!」

「―――っひでぶ!!」

「二人ともやめたげてよ!!デクさんがいくら滑り倒しても私は友達でいるからね、安心してね!」

「―――我が人生に、一片の悔い無し…」チーン

「デクさーーーん!!」「緑谷君ーー!!」「デクぅーー!!」

 

 

―――こんな感じで僕たちの日常は過ぎていく。

そんな会話をしていると、突然校内警報が鳴り響いた。セキュリティスリーが突破されたらしい、食堂にいる生徒たちはパニックを起こしながら、一斉に出口へと逃げ出す。

 

「ちくしょう!なんだってんだ!!」

「ああ、デクさんですら人波に呑まれていっちゃう!!」

「I'll be back...!!」

僕は大丈夫というサインとして親指を立てながら人波に沈んでいく。僕が無理して耐えると周りの人が怪我しちゃうからね、仕方ないね。

 

「あぁうざってえ!黙りやがれってんだぁ!!」BOOOOM!!!

かっちゃんが上に向かって爆破を放ち、その爆音に辺りが静まりかえる。その隙に飯田君が麗日さんと連携して、ドアの上に非常口マークみたいなポーズで張り付いていた。

 

「大丈ーー夫!!ただのマスコミです!!慌てるようなことはありません!!落ち着いて避難してください!!!」

騒動の正体がマスコミの侵入であると看破した飯田君が、みんなを落ち着かせたことによって、この騒動は終結した。前世よりバタバタしてたけど、やったね飯田君!

 

―――その後、僕はその活躍をきっかけに、無事に委員長を飯田君に押し付けることに成功した。

 

 

 

 

 

―――それから数日後、僕は仮眠室でオールマイトと密談していた。

 

「今度行われる救助訓練、それにヴィランが乱入してきます。この間のマスコミ騒動はその予告みたいなものでしょう」

僕はオールマイトに進言する。僕とヴィランの初めての戦闘が行われた前世での救助訓練、あれは危険すぎる。

 

「なぜ君が救助訓練のことを!?―――そうか、前世での経験というやつかね?」

オールマイトは少し驚いたあと、神妙な面持ちで尋ねてくる。

 

「そうです、ヴィランとの戦闘が起こり、相澤先生と13号先生が重症を負い、生徒達もほぼ全員がヴィランとの戦闘になりました。奇跡的にも生徒達は自爆した僕以外無傷か軽傷で済みましたが、あまりにもリスキー過ぎます。得られるものは多かったかもしれないですが、一歩間違えば誰かが死んでいましたよ…」

僕は起こったこととその結果をかいつまんで話し、その危険性を説く。

 

「まさかそんなことが起こりうるとは…経験を積めるからといって、生徒達を危険に晒していい理由などないな。やはり?―――」

「ええ、中止または大幅な延期をするべきだと思います。僕がここに来たのはその事をオールマイトから相澤先生達に伝えてほしかったからなんですよ!」

僕とオールマイトの意見が合致する。信じてくれて良かった、これで先生やみんなが傷つくことがなくなるだろう。

 

「そういうことなら私に任せたまえ!!相澤君にはバシィっと言っておくよ!」

「オールマイト!ありがとうございます!流石No.1ヒーローだ!!」

「HAHAHA!そうかそうか我が後継よ!なにせ私はNo.1だからね!」

「ですよねお師匠!ハッハッハ!」

「HAHAHA!―――」

「ハーハッハッ!―――」

 

―――いま思えばあのときの僕らは順調すぎる学園生活に対して()()()調子にのっていた気がする。

 

 

 

 

―――その晩のことだった、オールマイトから僕の携帯に連絡が入った。

 

「もしもし、オールマイト?」

「すまん、緑谷少年!相澤君の説得に失敗してしまった!!」

そっかーオールマイトは相澤先生の説得に失敗したのかー、まあオールマイトなら当然……ってなにーー!?失敗しただとぉ!?オールマイトが!?

 

「どどどど、どういうことですか!?オールマイト?!」

「いやそれがな――――」

 

 

「相澤君、今度の救助訓練の件で話があるのだが」

「救助訓練?USJでのあれのことですか?」

「ああ、まずはこの間のマスコミ騒動、あれはヴィランが裏で手を引いてるではないかと考えているのだよ。そこでだ、そのUSJでの訓練なのだが―――」

「オールマイト、あなたも同じ意見でしたか。あれはきな臭い事件でしたからね。」

「おお!気が合うね相澤君!つまりはそういうことだね?」

「ええ、ですから今度の救助訓練には念には念を入れて、オールマイトにも参加してもらおうと考えていたんですよ。まさかそちらから声がかかるとは―――流石はNo.1ヒーローですね」

「エッ?」

「私に13号、そしてNo.1ヒーローオールマイト。並の侵入者なら余裕で返り討ちに出来る布陣だ、これで問題ないでしょう」

「いや、私達は大丈夫でも生徒達が危険な目に遭うことも想定しなければならないだろう?」

「生徒達の中には轟、爆豪などといった俺より火力のある者もいる、そしてなによりもうちの最強生徒の緑谷がいるじゃないですか、貴方の弟子でしょう。俺よりよっぽどあいつの方が強い、ヴィランが束になっても負けないですよ」

「それは…そうかもしれんが…しかしヴィランの襲撃があるかもしれんし…」

「そこまで警戒しますか…じゃあこうしましょう。授業の時間をヴィランの活動が統計的に少ない午前中に変更するんです。うん、合理的だ」

「たしかにそれは合理的だ…」

「でしょう?それとも自分の弟子の力を信頼してないんですか?」

「そんなわけがないだろう!彼はほんとに強くなったのだから!!」

「そうでしょう、まあそこに念押しで貴方がいるんだから大丈夫でしょう。頼みましたよNo.1ヒーロー」

「うむ、任せておきたまえ!HAHAHA!」

 

 

 

「―――みたいな、感じになってしまってな!」

「なにやってんですかNo.1ヒーロー!うっかりNo.1ですか!?頭の中までワンフォーオールになっちゃったんですか!?」

僕はオールマイトに対して叫ぶ、それは心からの叫びだった。

 

「なかなかひどいこと言うなぁ……まあ私達が居れば問題ないさ!君も強くなったしね!」

オールマイトが楽観的に言う。そういえばやつらがオールマイトを狙って来てるってことを言い忘れてた…!僕も脳ミソワンフォーオールかよ!!

 

このままだと救助訓練にヴィランが殴り込んできてしまう! どうしよう!…ほんとどうしよう―――――

 




二章のラストのかっちゃんの反響が大きかったのは予想通りだったのですが、かっちゃんヒロイン説がかなりあったのは意外でした!

でも皆様が楽しんでくれるなら僕はそれが一番です!


三章でも応援よろしくお願いします!

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