デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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※この作品には筆者の独特な解釈や設定があります。


第一章 緑谷出久:Re:オリジン
緑谷出久:Re:オリジン


「オールマイトォォォオオオオ!!」

 

僕は叫びながら起き上がった。

 

「オールマイト!オールマイト?オォォゥルゥ マァァアイット!!!!」

オールマイトは?オールマイトはどこにいるんだ?

確かオールフォーワンにオールマイトも僕もやられてしまって立ち上がれなくなったところまでは覚えている。

でもそのあとの記憶がさっぱりだ!まったく思考がまとまらない!

 

 

「い、生きてる!?というかここどこだ!?」

辺りを見回してみると、清潔感のある白い壁と灰色の長椅子、鼻にかかる消毒液の臭いがあたりに漂っているのがわかる。

 

よし、だんだんと落ち着いてきたぞ。

 

「ここは…病院の廊下かな?何がどうなったんだ?あの後いったいどうなったんだろう、僕もオールマイトも病院に運ばれたのかな?だとしてもなんで僕はベッドじゃなくて廊下の長椅子に寝かされているんだ?状況がさっぱり理解できない…」

 

「あら出久、起きたのね」

聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り返るとそこには―――

 

「母さんっ!?なんでここに?」

なんだか違和感のある母さんが優しい笑みを浮かべてそこにいた。

 

「母さん、オールマイトはどうなったの!?ここにいるの!?」

そうして食いぎみに母さんへ今一番知りたいことを尋ねた。

「オールマイトって、出久の大好きなヒーローの?いるわけないじゃない、出久ったらまだ寝ぼけてるのかしら」

「今日はお母さんと一緒に個性の診断にきたでしょう?

四歳になるんだから、そろそろ個性がでないとおかしいー周りの子はみんな個性持ってるのにー

って出久が言ったんじゃない」

えっ?四歳?母さんは何をいっているんだろう?

僕はもうそろそろ16歳になる頃だよ、四倍も違うじゃないか。

 

「かあさんなにいって――」

あれ、声がいつもより高いし、しゃべりかたもなんだか舌ったらずだ。

身体を見てみると手も小さくなってるし、なんだか子供みたいにいろんな部分がまるっこい。

 

僕は母さんを見返す、そこで違和感の正体に気が付いた。

「かあさんが…やせてるーーー!!!」

「なにいってるのよ出久!いつお母さんが太ったの!?」

僕の驚きに母さんも驚きで返す。

もしかして、僕は…

 

四歳の身体に…

 

いや、四歳の頃まで…時間が遡ってる!?

 

 

 

 

 

そこから考え込んだりボーッとしたりしてるうちに、僕は母さんに連れられ診察室にいた。

 

「足の小指の第二関節が――これは――でして―――」

病院の先生がなにか言っていたがいまいち頭に入らなかった。

次の言葉を聞くまでは…

「今どき珍しいまったくの無個性ですね」

個性!そう、個性だよ!もし時間が戻っているならこのときの僕はまったくの無個性だったはずだ。

 

よし、ならまずは個性を、オールマイトから貰ったワンフォーオールが僕の身体に宿ってるか確かめよう!

 

 

 

………よし、なんとなくだけどワンフォーオールは無くなってない、そんな気がする。

身体の奥底に確かな力を感じるぞ

 

「出久!出久、大丈夫…?個性がないって言われてショックだったわよね」

母さんが心配そうにこちらを覗きこんでいる。

 

「かあさん、これゆめじゃないよね、ほほつねってみてくれない?」

なんだか夢を見てる気分になってきたので、母さんに現実なのかを尋ねてみた。

 

「出久!」

大きな声を出しながら母さんが僕を力強く抱き締めてきた。

 

少し痛いな、よしこれはどうやら夢じゃなさそうだ。とはいえやっぱり個性を改めて確認したいな、ワンフォーオールが本当に使えるのか、オールマイトに認められた証がなくなったりしていないのかを。

 

「かあさん、ぼくこせいつかえるきがするんだ!つかってみていい?」

流石にいきなりここでぶっぱなすわけにもいかないので、母さんに聞いてみる。

 

「出久?お母さんの前では無理しなくていいのよ?出久が無個性だからってお母さん悪く思ったりしないわ」

 

完全に見栄っ張りだと思われてるーー!!

まあそりゃそうか、ここまで何の個性もなかった子供に言われてもそうとしか思えないものなぁ。

でも諦めないぞ、僕は今すぐにでも確かめたいんだ!

 

「かあさん、せんせー、おねがいします。すこしだけでいいんです!」

「出久、だからね――」

「まあまあ、お母さんいいじゃあないですか、試すくらいなら。出久君、じゃあ向こうに個性測定用の部屋があるからそこへ行こうか?」

母さんの言葉を遮って、先生が提案してくれた。

 

なかなか話がわかる先生じゃないか!まぁ無個性だって、ばっさり切られてたけど。

 

「でも先生――」

「まあまあ、自分でやってみて駄目なら本人も納得しやすくなりますよ」

先生が小声で母さんにアドバイスをしている。

 

あっ、これ完全にだだっ子だと思われてるーーー!!

くそう、早いとこワンフォーオールを発動させて、先生も母さんも見返してやる!

 

そうして僕らは測定室へと移動した。

 

 

 

「じゃあ出久君、あの的に向かって個性を使ってみてくれるかい?」

先生が測定用の的を指さして言う。周りの計測機器には電源が入っていないのが見てわかる。

 

うわぁ…子供だましだなぁ、少しくらい真面目にやってくれてもいいのに…

いや、今は個性を使える場を用意してくれただけでも感謝しよう。僕の目的は数値をだすことじゃないんだ!

 

「わかりました!」

そう言って僕はワンフォーオールの感覚を思い浮かべる。

 

 

…いける、右腕の力が高まっているのを感じるぞ!

でもどれだけ反動があるか分からないし、できるだけ最小限にだ!

 

小さく、ちいさく、小さく!!

 

よしいくぞ!オールマイト直伝!

 

「すまーーーっしゅ!!!」

甲高い掛け声とともに超スピードで右腕を的に向かって振り抜いた。

 

ビュンッという風を切る音と同時に的が跡形もなく砕け散った。

 

先生と母さんの目がテンになっているのが見える。

 

ハッハッハ!どんなもんだい!

 

 

―――まあ、反動で僕の右腕も砕け散ったんですけどね…どうやらパワーの制御に失敗したみたいだ!

 

 

…いや、正確には砕け散るくらい痛い!めちゃくちゃ痛いぞ!!

 

そうして僕はその強烈な痛みを感じながらも、同じくらいにこれは現実なんだなぁっと感じながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜六ヶ月後〜

 

ようやく腕が治ったぞ!リカバリーガールの治療がないとここまで長引くものなんだな…

子供だったからか変な後遺症もなく無事に完全復活だ!

 

あのときのワンフォーオールの出力は5%ぐらいにうまく調整できたと思う、しかしそれでもまったく鍛えていない子供の身体には大きすぎる力だったのだろう。

 

なぜ時間が戻ってしまったかはさっぱりわからないままだが、これはチャンスだ!今度こそ僕の手でオールマイトを救けよう!

 

まずは身体を鍛えて、ワンフォーオールの制御の精度も上げよう。前よりももっと個性をうまく使えるようにならなくちゃいけない。

 

ヒーローやヴィランについても詳しく研究していこう、特にオールフォーワンは危険すぎる。複合する個性…それに対応するには兎に角たくさんの個性のメリットやデメリットを知って、それに対策を立てるしかないだろう。

 

それに…なによりも…オールマイトに会おう…

 

子供の僕に何ができるのかはまだわからないけれども、僕の知っている前世でのことを全部伝えないと!

 

特にあの胸のキズがつけられた5年前の、いや今からだと約5年後になるのか、オールマイトの弱体化の原因となった事件の日までには、会わなくては。

 

やらなければいけないことは多いけど、幸いにも時間はたくさんある。Plus Ultra(更に 向こうへ) の精神で頑張るぞ!

待っていて下さい、オールマイト!僕が必ずあなたを救けてみせます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、僕はオールマイトに会えないまま、10年の時が過ぎた―――

 

 

 





一話との温度差が大きくてすまない…

こういう感じで進めていこうと思います。

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