デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

27 / 72
未だにじわじわと伸び続けるアクセスと評価、皆様本当にありがとうございます!

それでは第五章2話スタートです!


急がず焦らず、みんなを救ける障害物競争!

ついに始まった雄英体育祭、僕は万全の準備をして挑む。途中かっちゃんとMt.レディの小競り合いがあったけど、事なきを得て開会式へと進んだ。そこで僕は宣誓を交えた宣戦布告をした、絶対に一位になるんだ!!

 

 

 

 

 

「〝おーっとぉ!?1-A緑谷ぁ!なんとスタート位置から動いていなあーーーい!!?一体どうしたんだ?あの優勝宣告はなんだったんだーーーーー!?〟」

 

プレゼントマイクの実況の通り、僕はスタート位置から一歩も動かないまま第一種目が始まった。僕のこの行動の発端は昨日の出来事に遡る――――――

 

 

 

―――――雄英体育祭の前日、僕はオールマイトにいつもの仮眠室へと呼ばれていた。

 

「失礼します、オールマイト。話ってなんです?―――って相澤先生?どうしてここに?」

僕はドアをノックしてから仮眠室へと入る、そこにいたのはオールマイトと相澤先生だった。

 

「やあ、緑谷少年。お疲れさん!」

「俺がいるのは、今日の話に俺が一枚噛んでいるからだ」

オールマイトが軽く挨拶をしてきて、相澤先生は真剣な表情で話してくる。なんの話だろうか?

 

オールマイトの態度が軽いからそこまで危険だったり、重い話ではないのかな?―――いや、オールマイトは笑顔でヤバい修行を言い渡すことがあったけな……油断は出来ない!

 

「それで、話ってなんです?」

「単刀直入に言おう、明日の体育祭、お前にはハンデを負って挑んでもらおうと考えている……」

「えっ!?ハンデを!?」

相澤先生の言葉に僕は驚いて、おうむ返ししか出来なかった。どうしてこうなった!

 

「正直、一人の生徒に負荷を与えるのは不平等で好きじゃないんだがな……お前はあまりにも規格外過ぎる…普通にやっても恐らくお前が圧倒的な一位を獲得し、優勝するだけだろう……」

「いや……そんなことは―――」

「あるだろう、お前。個性把握テストでやりたい放題やったのを忘れたのか?あの結果を見れば誰だってそう思うだろ」

「…………はい…」

「HAHAHA!!痛いとこ突かれたね、緑谷少年!」

相澤先生の正論に言葉がなくなる僕、オールマイトはそれでも豪快に笑っていた。確かにあれはやり過ぎたかもしれないと思っていたんだよね……

 

「雄英体育祭は生徒に同士を競わせて、お互いに高め合うことを目的としているが、その他にも各所メディアへの雄英のアピールの場でもある。お前一人がやりたい放題やると、他の生徒が目立てないし、雄英が弱体化したとかありもしないことを言われるかもしれん……

職員会議ではお前の参加を禁止する案も出たんだが、流石にそれは俺が蹴った、そこまでの不平等は許せん。しかしそこでハンデつけさせることが決まってしまってな……」

「そこでだ!緑谷少年にはただ競技に参加するだけでなく、雄英をアピールしながら参加をしてもらおうと思うんだよね!」

「アピールがハンデ?つまりどういうことですか?」

相澤先生の話で事情は理解した、しかしオールマイトの言ってることがよくわからない。

 

「先ずは第一種目、そこで君には出来るだけ多くの生徒を“救って”ほしい。この言葉の意味は実際競技になれば解るだろう」

「競技内容を先に漏らすわけにはいかないからな、不明瞭なのはすまないが、そういうハンデを負ってもらう。救いすぎてお前が脱落する形でも雄英のアピールにはなる、高いヒーロー精神を持った者がいるってことでな」

「第一種目で“救う”ですね、わかりました……」

僕はオールマイトと相澤先生の説明に了解した。

 

「もしそこでお前が一位になるようなら、第二種目でもハンデを用意しておく、それはこっちでやるから覚悟だけしておいてくれればいい。レクリエーションと最終種目に関しては要らないだろう、そこまでいけばあとはお前の強さを披露することが一番のアピールになる。それと……大人の都合に巻き込んでしまってすまない、緑谷……」

「いえ―――」

「緑谷少年!これは君に課せられた試練だ!つまりは久々の修行だな!!」

相澤先生のシリアスな大人の都合を吹き飛ばすようにオールマイトがそんなことを言う。なんだって?修行!?

 

「えっ!修行はもう終わったんじゃ―――」

「私個人からの修行はな!これは世間から課せられた君への修行さ、これからプロヒーローに成れば様々な逆境やハンデが君をがんじがらめにするだろう!それに対する対応を学んでもらいたいんだよ、なにせここはヒーロー科。そのための学校だからね!!」

「なるほど……」

「それにね、相澤君はああいったが……私個人としてはハンデを負ってでも、君には一番になって欲しいんだ!そして世間に知らしめて欲しい―――誰よりも輝く次代の希望が、平和の象徴の最強の後継者が、緑谷出久が来たってことをね!!」

「オールマイト……!」

オールマイトが僕の目を見ながら力強く語る。オールマイトが期待してくれてるんだ!戸惑ってる場合じゃない!!

 

「オールマイト!僕はやりますよ!どんなに困難も逆境もこの筋肉と個性(ちから)で乗り越えて、僕が来たってことを知らしめてやりますよ!!」

そう言って僕は決意を固めたのだった―――――

 

 

 

 

 

―――――というのが昨日あったことだ。

 

みんなを救うため、僕はスタート地点で待機してるってわけさ、何故かって?それは――――

 

「うわぁ!なんだよこの氷!!」

「う、動けねぇ…!」

「A組のやつの個性だっ!」

 

――――ほら始まった、轟君の妨害。大勢の生徒が足元を氷漬けにされて動けなくなっている、さあ僕のスタートはここからだ!!

 

「大丈夫!今(たす)けるからねっ!」

僕はスタート地点から走り出して、ひとっ跳びで人混みを跳び越え、少し開けたところに着地する。

 

「アリゾナ・スマッシュ!!」

僕は地面を震脚で強く踏み込み、絶妙な力加減で氷を砕いた。生徒の足を壊さず、氷だけを壊すのはなかなか大変だな!

 

「〝ここで緑谷が、轟が氷漬けにした生徒を救出したぁ!!これを見越してスタートを遅らせていたみたいだぞ!やるぅ!!〟」

「〝競い合う中でもヒーローシップを忘れないか、これぞ雄英ヒーロー科だな〟」

プレゼントマイクが少し大袈裟に僕の救出劇を実況し、相澤先生が追撃をする。雄英のアピールってこういうことでいいんだよね!?

 

「助かったぜ!ヒーロー科のムキムキさん!」

「サンキュー、マッチョメン!」

「怪我した人は無理せず救護室へといってね!それじゃあね!」

僕は助けた生徒達にそう告げて走り出した、関門はこれからだ!

 

もう目の前には第一関門のロボインフェルノが開始しており、遠目でも巨大ロボットが氷漬けにされているのが見えた。あれはそろそろ倒れて誰か下敷きになってしまうな、急ごう!

 

「アイダホ・スマァァッシュッ!!!」

僕は一気に他の生徒を追い越すと、倒れてきてた巨大ロボットの氷塊をジャンプを加えたアッパーカットですべて砕き去る。

 

「〝ここで緑谷!バカデカイ氷のオブジェを砕き、またも生徒の窮地を救ったぁーー!!〟」

 

なんとか下敷きになりそうな人たちを救えた!まったく轟君め!彼こそがこの競技での一番の障害物なんじゃないか!?

 

「緑谷!?あれを一撃で全部こなごなとか、なんつー昇○拳だよ!」

「げえ!A組に邪魔されたと思ったらA組に助けられた!?」

潰されそうだったのは切島君と鉄哲君だった。あれ、これ助けない方が彼らの為になったのでは…?いや、たぶんこれでよかったはず…?―――おのれ轟君、なんて危険なことを!

 

「―――っと危ない!」

そうこうしてる間に他の生徒が小型ロボットと戦闘に入り、やられそうな人が目にはいる。僕はその間に割って入り、行動不能にならない程度にロボットを破壊する。

 

ヒーロー科の生徒はともかく、他の科の生徒は戦闘に慣れていないみたいで危なっかしいな。出番を奪わない程度に助けよう!

 

「ふんっ!せいっ!とりゃ!いぃぃやあっ!!」

僕は流れるようにロボットの間をすり抜け、手足などの一部のみを破壊して回る。うーむ、手加減って難しいな!

 

「うおお、はええ!筋肉さんすげえな!」

「危ないとこだったぜ、ありがとう!」

「戦闘に自信がない人は無理に一人で戦わず、協力して数で押すんだ!冷静になればそんなに強いロボットじゃないよ!それじゃ頑張ってね!」

僕は苦戦している生徒達に呼び掛け、先を急ぐ。結構時間を食ってしまったな……!

 

そして第二関門の地獄の綱渡り、ザ・フォールについた。すでにトップの轟君は渡り終えそうだ、そして他の生徒もそのあとを追って綱を渡っていた。

それぞれの個性をうまく使ってみんな綱を渡っていく、しかし中には気持ちが焦ってしまう人もいるだろうな――――あっ、ひとり落ちた。

 

「きゃあーーーー!―――」

「どっこいしょーー!――――っと!キャッチ!アンドダッシュ!!―――――っと、大丈夫?」

「―――…ありがとう、死んだかと思ったわ…!」

僕は助走を着けてかっとび、落ちそうになった生徒をキャッチして、壁を走って登る。そして足場に下ろしてあげた。スパイクシューズが靴として認められててよかった。

 

「〝緑谷またしても生徒を救出ー!救助ポイントはないが、これはこれで応援したくなるぜー!!〟」

「〝彼がどれほどの生徒を救助できるか、見物(みもの)ですね〟」

プレゼントマイクの感情丸出しの実況と相澤先生の感情の籠ってない解説、温度差激しすぎだろ!

しっかし、今の救出劇でここでもすっかり注目の的になったな…!

 

「筋肉の人、凄い目立ってますねー、あんまり目立たれると私のドッ可愛いベイビー達が目立たないんですど、フフフフ―――」

サポート科の発目さんがこちらを見ながらワイヤーを使って滑空していた、これこれあんまり余所見してると―――

 

「――フフ、ふぁーー!?滑る、滑りますよこの足場ぁぁぁ!!―――」

滑空から着地した発目さんが、凍った足場に足をとられてそのまま滑り落ちていく。言わんこっちゃない!というかまた轟君の仕業か!どんだけ妨害上手なんだよ!!

 

「あぁぁあ――――っわぁ!?―――筋肉の人!?」

「大丈夫?ちゃんと前見て進まないと危ないよ!」

落ちる発目さんを飛び込みながら両腕で抱えてそのまま足場を目指す、僕は注意をしてから発目さんを足場に下ろす。きりがないな……

 

「おーい、みんな自分の個性や能力に合った渡り方をするんだ!落ちたら元も子もないからね!!それじゃ僕はいくから、気をつけてね!!」

大声でこれから綱を渡ろうとする生徒達に注意喚起をして、僕は足場を一歩ずつ跳びながら進む、綱?そんなものは僕には関係ないね!

 

「凄いですねぇ筋肉の人……あの人と一緒に居れば目立てますねぇ、フフフフフ……」

 

 

ザ・フォールを抜けると、最終関門の一面地雷原、怒りのアフガンが見えた、既にトップは地雷原の終盤に差し掛かっているようだった――――

 

――――しかし、トップの争いが激しすぎる……かっちゃんと轟君が足を引っ張り合いながらお互いの個性を存分に撒き散らし、辺りに爆破と氷塊をばらまいて、後続の生徒を吹き飛ばしていた。

 

ここにきても轟君!まぁた君か!!ヴィランか?ヴィランなのか轟君?―――よし!これ以上好きにはさせない!轟君を、いやあの二人を止めてやる!!

 

「いい加減にぃいいっ!!!――――」

僕は助走をつけて両足で地面を踏み込む、その瞬間全身に力をみなぎらせる。

 

ワンフォーオール、フルカウル!88%!!―――

 

「――――しろおおおぉぉぉ!!!」

そして両足で地面を蹴り飛ばし、加速しながら低空飛行で真っ直ぐと飛び跳ねる。

 

「〝おお!!緑谷ここで一気に猛追ぃーー!地雷原をワンジャンプで飛び越えていくつもりかーー!?〟」

 

「かっちゃぁぁんっ!!轟くぅぅうんっ!!―――」

「なっ!?デク!いつの間に―――」

「緑谷!?っはやっ―――」

僕は二人の名前を叫びながら飛ぶ、そして二人が僕に気が付きこちらを向いて驚く。僕はその頭を両手で一つずつ鷲掴みにして―――

 

「―――ステイっ!!!」

―――地面へとめり込むように叩きつけた。これで悪は滅びた…!

 

結果、二人は地雷を踏み抜き、爆発で上へと飛ばされた。僕はその爆風にのってそのまま地雷原を飛び越える。

 

「〝ここでトップ二人が吹き飛び順位が大きく入れ替わるかぁ!!?そしてトップに躍り出たのは1-A緑谷だぁ!!〟」

 

僕はそのままゴールへと全力で駆け抜けて―――

 

「〝そして緑谷、独走状態でそのままゴールへと向かうぅーー!!!このレース一位で通過したのは、途中多くの生徒を救出しながらも、その圧倒的な力を見せつけた男!!緑谷出久だぁーーー!!!〟」

 

―――無事に一位でゴールすることができた。

 

僕がゴールしてから少しして、後続の人達がゴールしてくる。

二位につけたのは、なんとかっちゃんだった。あの爆発で飛ばされてから体勢を立て直して後続を振り切ったのか……すごいな、流石は才能マンと呼ばれるだけはある……

そして三位は轟君だった、彼もまた才能マンだ……そうだね、もう特に言うことはないね。

そのあとの順位はだいたい前世と変わらないものだったと思う、そして上位42名が揃った。

 

ミッドナイトが壇上に上がり、上位42名の紹介をしたのちに次の種目の発表を勿体ぶる、そして―――

 

「次の種目はこれ!騎馬戦よ!!」

次の種目をミッドナイトが発表し、周囲にどよめきが起こるも。ミッドナイトは説明を続けていく。確か、下位から段々と持ちポイントが増えていって、そして一位のポイントは―――

 

「―――1000万ポイントよ!!」

そう、ずば抜けて高い驚異の1000万ポイントだ、やはり前世と同じだ、でも今の僕なら1000万のハチマキも守りきれるだろう!さあ、かかってこいみんな!!

 

「そして、一位のハチマキはなんと特別製よ!」

「えっ!?」

ミッドナイトの説明の続きに驚きの声がでてしまった。なんだそれ、聞いてないぞっ!!

 

「長さ15mの超極長ハチマキ!!奪われないようにするのは困難よぉ~、さあ頑張りまくりなさい、一位の緑谷君?」

「―――っ~!!」

僕はもう驚きで声がでなくなる。そんな長いハチマキ踏んだり引っ張られたりですぐちぎれちゃうんじゃないのか!?いいのか!?

 

「〝そのハチマキは俺の拘束具と同じ素材で出来ている、軽さと強度は俺のお墨付きだ。存分に奪い合うといい、頑張れよ、先程やりたい放題やって一位の緑谷…!〟」

そんな僕の心を読んだかのように、相澤先生がハチマキの説明を始める。

 

ちくしょう!第二種目のハンデってこれかよ!!なにが「覚悟だけしておいてくれればいい」だよ!覚悟じゃどうにもなんないだろこれぇ!!あれか、やりたい放題やるなって言われたのにやりたい放題やったからか!?

 

「〝さぁ障害物競争一位の緑谷、始まる前から大ピンチだぞ~!!これからどういう戦いを見せるのか、ヒッジョーに楽しみだぁ!! 〟」

 

プレゼントマイク……僕はぜんっぜん、楽しみじゃないよ…!どうすりゃいんだよっ!!助けて、オールマイトオオオオ!!!

 

 

 

――――こうして僕は雄英教師陣の期待(悪意)によって、前世より更に追い詰められた騎馬戦へと挑むことになった。

 

 

 

 

 

 

 




余談ですが、デクの母親とかっちゃんの母親は一緒にテレビで体育祭を観ているという設定です。描写するか悩みましたが、テンポよくいきたかったのでカットしました。

次回もよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。