デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】 作:くろわっさん
オリジナル?今更じゃねーか!って方は是非続きをどうぞ!
先輩達三人とその監督役としてMt.レディも参加して、僕らは五人で共同生活を送ることになる、騒がしくも楽しい日常と厳しい訓練の繰り返しで、あっという間に一ヶ月は過ぎていった。
オールマイトの再来ともいえる形で仮免試験に合格した僕は、電話でそれを優さんに報告する、その最中彼女にヴィランの魔の手が迫った。
急げ、みんなと優さんを救けるんだ!!
――― Mt.レディ side in ―――
―――デクから電話が来る数十分前。
「来ないわね…デクくんからの連絡…」
私はスマホを弄りながらデクくんからの合格の連絡を待っていた。もうとっくに試験は終わっててもおかしくない時間なのにまだ連絡はない、なにやってるのかしら?
「まさか落ちたってこともないでしょうし…」
私も受けた仮免試験だ、かなり楽勝な試験だったと思うのだけど…それにあのデクくんが本気で挑んだのだから落ちるはずがないわ!
「よし、ちょっと気が早いけど、買い物にいこっと!」
私は財布と買い物バッグだけを持って部屋を出る、目指すは商店街の鮮魚店、目的は勿論…蟹だ。
普段だったら行かないであろう鮮魚店、確かに品質はいい、しかしその品質と割りに合わないくらい高いのだ、コスパを求めるなら大型スーパーにいくほうが間違いない……でも今日はお祝い!奮発しましょう!!
十数分程歩くと目的の商店街のアーケードが見えてきた、少し古くさいが味のある屋根付の商店街、なんでもこのヒーローズマンションタウンができる前からこの街にあって、長年民間人の生活を支えていたそうだ。
私がそのアーケードを
「もしもし、デクくん?どうだった?」
電話はデクくんからだった、無事試験には合格して今からこっちに向かうらしい。デクくんと二人で買い物かぁ…あんまりない機会だしちょっと楽しんでしまおうかしら?
「待ってるわ、じゃあ―――」
「きゃーー!誰か助けてぇ!」
「ヴィランだ、逃げろ!」
電話切ろうとしたその瞬間、商店街の奥の方から悲鳴が聞こえてきた。ヴィラン!?タイミングの悪い…こちとらオフだってのに…!でも民間人が危ないわ、いかなきゃ!!
「悲鳴!?どうしたんですか優さん!」
「ヴィランが出たみたいね!私は行くわ!!デクくんまた後で!!」
私は電話を切って現場へと走り出す、すぐに他のヒーローが来るだろうが、それまで時間を稼がなきゃ!
現場に着くとそこには怯え惑う民間人と、その中心に一人の男がいた。
このヒーローズマンションタウンで事件を起こす癖に単独犯!?正気じゃないか、はたまたそれだけ強力な個性持ちなのか……どちらにせよ油断はできない…!
「んー?気分はどうだ?フヒヒ、苦しいか。ならもっと苦しめよ…」
男はこちらに背を向けながらなにやらぶつぶつと独り言を呟いている、不気味だわ…!それにこれだけ民間人が怯えてるのに辺りには破壊の痕が少しもない…これはいったいなに……?
「みんな逃げて!すぐにヒーローが来るわ!!走って、早く!!」
私は大声で民間人達に逃げるように指示する、破壊の痕がないからといって、ここにいては危険なのは間違いない。
「まぁたヒーローが来たのか?――って只の女じゃないか!」
「残念ながらオフのヒーローよ!この街で暴れようなんて大した度胸ね!でもヒーロー達が好き勝手はさせないんだから!!」
男がこちらを振り返り私を嘲笑う、私はそんな男に啖呵を切る。
男の身体は大きく二メートルくらいはあるだろうか?その足元にはまるでヒーロースーツのようなド派手な衣類が落ちていて、その手には人形らしきものを握りしめている。
大したことなさそうなヴィランだけど、ここは狭いアーケード街…周りにまだ民間人もいる……それにスーツも着てきていない……巨大化はできないわね…!それでも応援のヒーローが来るまで一人で持ちこたえて見せる!!
「おい、ヒーローが来たぞ?お前も助けてもらえるかもなぁ…!フヒヒ!」
ヴィランは人形に向かって話しかける、その巨体と相まってとても不気味で気持ち悪い!!なんなのこいつ…!
「貴方わかってるの?ここには多くのヒーローがいるわ!直ぐに――」
「ヒーローが何人こようと関係ねえんだよ!!オラァ!!」
ヴィランは私の話を遮って癇癪を起こしながら、人形を壁に投げつけた。話しかけるほど大事にしてたんじゃないの!?ホントなんなのよ!!
だが、叩きつけられた人形が地面に落ちる瞬間に人ぐらいの大きさに巨大化し、そして地面に横たわる。
「――えっ!!?」
私は目の前の光景に目を疑った。人形じゃない…!?もしかしてあれは―――
「フヒヒ!!俺の縮小の個性にかかればヒーローなんざいくら来ても一捻りだ!!そいつと同じように虫ケラみたいに蹴散らせるんだよ!!」
ヴィランは得意気に叫びこちらを睨み付ける。
縮小の個性…!?巨大化の個性を持つ私だからこそよく分かる…身体大きさの違いは圧倒的な戦力差になることを…!!それならひとりでこの街に乗り込んできたのも頷けてしまうわね…
「一撃で決めてあげるっ!!」
私は駆け出して、滑り込みながらキックを放つ。多少周りに被害が出ても、個性を使われる前に仕留めなければ応援に来るヒーロー達が全滅してしまう!!
「もらっ――――!?」
巨大化して相手を蹴散らすはずが、私の身体は大きくならず、私のキックはヴィランの足にペチりとあたり、なんのダメージにもならない。
まさかこいつ…見るだけで発動する個性なの!?やられたっ…!!
「なんでちいさくならねえんだ!?―――お前…まさか巨大化の…Mt.レディか!!」
たった一度の攻撃で私の正体が暴かれてしまう、なんて察しのいいやつなの!?―――いや、もしかしたらヒーローを倒すために念入りに計画を立てたヴィランなのかも…!
「トップヒーロー以外で一番警戒してたヤツが真っ先に来るとは…でもてめえをぶっ潰せばあとは有象無象のゴミヒーローしかこの街にはいねえ!!」
「誰がアンタなんかに潰されるかっ!!」
「っ!!…軽いなぁ!まあ巨大化しないてめえなんて怖かねぇな!!」
私は素早く起き上がってハイキックを側頭部に叩き込もうとするが、ヴィランの太い腕に阻まれてしまう。そして足を捕まれて投げ飛ばされた。
地面を数回跳ねながら転がり、身体の至るところをぶつけてしまう。単純に体格差で負けてる…!こんなことなら真面目に格闘術でも学んでおけばよかったわ…
「てめえに勝ち目はねえ…!とっと潰れちまいなっ!!」
ヴィランがこちらに走りだして、体勢を崩したままの私に蹴りをくらわす、私は咄嗟に両腕でガードするも、そのガードごと吹き飛ばされる。
痛っ!!…左腕…折れたかも……
「――くっは…!」
壁に激突し、背中から走る衝撃に肺の中の空気が一気に吐き出され、呼吸もままならない。
ダメよ、気を抜いたら巨大化が解けて一撃でやられてしまう…!でも身体が…動かない……
「さて、厄介なのは片付いた!次のヒーローが来るまで……
ヴィランが笑いながら醜悪な遊びが始めようとしている。
誰かが止めなきゃ…!……誰が?―――
―――“ヒーロー”だ…!ヒーローが奴を止めなくちゃいけない。じゃあヒーローは――――
『Mt.レディ。貴女は立派なヒーローです、胸を張って名乗ってもいいと思いますよ』
―――私だ。デクくんに教えてもらった、私がヒーローだって!ならここで戦わなきゃ……みんなを
「――どこへいくのかしら……?」
「てめえ!まぁだ動けたのか!?」
私はゆらりと立ち上がり、それを見てヴィランが驚く。
「私はMt.レディ!巨大化出来なくたって…ヒーローよ!!
何してるの貴方達!早く逃げなさいっ!!―――あのヴィランは私が止めるわ…!」
私はヴィランと民間人の間に立ちはだかり、彼らに向かって叫ぶ。貴方達が逃げるまで、必ず持ちこたえて見せるわ…!
「お、おい!逃げるぞ!!」「ありがとう、Mt.レディ!」「頑張ってくれぇ!!」
怯えていた民間人はなんとか自分の足で立ち上がってくれた、そして私にエールを送りながら走り出す。
「ああっ!?逃がすか―――ぐへぁ!?」
民間人を追っかけようとしたヴィランに私はタックルをしてその体勢を崩す。
「邪魔すんじゃねえよっ!」
ヴィランは直ぐに体勢を立て直して、私の頭を鷲掴みにして地面へと叩きつける。その衝撃で額が割れて血が流れ出す、意識が飛びそうになるが、なんとか堪える。
まだ…まだ倒れるわけには……いかない!!
「ったくしつけえやつだな…まだ立ち上がんのか!」
「みんなのとこには行かせないわよ…!」
私は再び立ち上がり、ヴィランが呆れたように吐き捨てる。額からは血が流れ左目の視界が潰れて、痛む左腕は上がらない、それでも私は立ち上がる…少しでもみんなの逃げる時間を稼ぐため…救けるために……
「あーあ、パンピーどもみーんな逃げちまったよ。どうすんだよてめえ?」
「あら…それは残念、私の勝ちみたいね?―――ざまあないわ!!」
「…………ぶっ殺す!!!」
どうやら民間人はみんな逃げ出せたらしい、私は勝ち誇るように笑ってやる。ヴィランは怒り狂って、その太く贅肉だらけの腕を大きく引いた。
ふふ、最後の最後に言ってやったわ…!でもあれ食らったらもう立てないかも、そしたら個性が解けて……考えるのは止めよう。
―――デクくん……私、“ヒーロー”出来てたかな?褒めてくれたら、嬉しいな……
そしてヴィランの腕が私に振り下ろされ―――
―――ることはなかった。私は殴られる衝撃ではなく、暖かな太く逞しい腕に優しく包み込まれる。
「―――やめろぉおおおお!!!」
そう叫びながら、とてつもない勢いで割って入ってきた影がヴィランを足で蹴り飛ばして、腕で私を抱きしめる。
「もう大丈夫!!僕が来たよ!優さんっ!!」
その影…いやその人はデクくんだった、そしてデクくんは力強い優しい声で私に話しかけてくる。
“大丈夫”……その言葉に胸の奥が安心したように暖かくなり、途切れかけた意識がハッキリとしてくる、そして力尽きそうだった身体に再び力が籠ってきた。
「優さん、立てる?――大丈夫、あいつは僕が倒すから…!」
「ええ…なんとか立てるわ。気をつけてデクくんあいつは――」
「うおおおっ!!痛え!痛てえよおおお!!許さねえぞてんめえ!!」
デクくんが私を気遣ってくれる、しかしその目には正義の信念が燃えている。私はひとりで立ってデクくんに忠告しようとしたとき、ヴィランが大声で喚き始めた。
大きな身体してるくせにあの程度で喚くんじゃないわよ…!
「見たぞ……見たぞてめえ!!」
「ダメ!デクく―――」
デクくんの姿がヴィランに捉えられてしまった、このままでは奴の個性で小さくされてしまう…!私はデクくんの名前を叫ぶが―――
「テキサス・スマッシュ!!!」
「―――んっ!!―――えっ…?」
―――私が叫び終えるより先にデクくんはヴィランを殴り付けて地面に沈めており、殴られたヴィランは地面に横たわりながらびくびくと痙攣していた。
速すぎてなにも見えなかった…!デクくんってこんなに強かったの!!?―――まるでオールマイト……いや、デクくんは弟子だったわね…!
「終わりましたよ、優さん―――っと、大丈夫ですか?」
デクくんが笑顔で振り返り私の名前を呼ぶ、私はその光景に安心して足に力が入らなくなるが、デクくんが私の身体を抱き止めて支えてくれた。
デクくんの腕の中、凄く安心する……デクくんはまるでヒーローみたいだ。いやもうヒーローなのだろう……“ヒーロー”…?
デクくんの腕の中、急に頭の中で言葉がぐるぐると回る。
“ヒーロー”、“オールマイトの弟子”、“デクくん”、“大丈夫”
―――閃いた…!これだわ!!
「ねえ、デクくん?」
「なんです?優さん」
「急なんだけど、貴方のヒーロー名を思い付いたの…!」
「それはまた…急ですね!」
私の言葉にデクくんは苦笑いをする、自分でも急だとは思う、でも閃いてしまったのだから仕方ないわ。
「デクくんの口癖……大丈夫って意味の――
“
「オール…ライト…?」
「オールマイトの弟子でとても強くて、とても優しい、そんな貴方にぴったりだと思うの。その名前で…私のヒーローに成ってくれないかな…?」
「優さん…」
私はデクくんに名前を提案してみる、デクくんはそれを聞いて少し考える。最後は泣き落としみたいになっちゃったけど…
「……いい名前ですね、名乗らせて貰います!――そういえば約束しましたよね、僕が貴方のヒーローに成るって。
僕は貴方のヒーロー、オールライトです!……なんて言ってみたり…」
デクくんは名乗りをあげた後に少しおどけながら笑う。
「ふふ、やっぱり合ってると思うわ、その名前―――救けくれてありがとう、私のヒーロー、オールライト…」
つられて私も笑ってしまった、デクくんはその笑顔で人々を安心させるヒーローにきっとなれるだろう。ううん、今日この日から―――
―――デクくんは
――― Mt.レディ side out ―――
「―――っとまあ、そんなこんなで僕のヒーロー名はオールライトになったんだよ!」
僕はそう言って話を締めくくる。
時は放課後、かっちゃんのヒーロー名の再考案のために僕とかっちゃんと麗日さんは教室に残って話をしていた。飯田君と轟君も残ろうとしてたんだけど、二人とも家族の関係のことがあるからと先に帰っていった。
その時にかっちゃんから僕のヒーロー名がどうやって決まったかを聞かれたので、暫く僕のヒーロー名誕生の話を語っていたわけだ。
「それでその後はどうなったの!?」
「その後?ああ、そのあと皆で蟹を食べたんだよね、いやあ美味しかったなぁ…あの蟹!」
「蟹はどうでもいいんだよ!事件の顛末を聞いてんだっつの!」
「ああ、そっちか…」
続きを聞きたがる麗日さんに蟹を食べたことを伝えると、かっちゃんがそれを否定しきた。蟹の件じゃなかったか…!
「そのあとヴィランを拘束してすぐに警察に引き渡したんだよ、Mt.レディのおかげで民間人への被害はゼロ、怪我をしたのはプロヒーロー2名だけだったよ。それで助けられた民間人の中にたまたま治療系の個性持ちがいてね、プロヒーロー二人も治療うけて…結果的に怪我人ゼロ。そのおかげで全然大した事件にはならなかったんだよね!んで、そのあと二人で蟹を―――」
「だから蟹はもういいって!!」
「そう……」
やっぱりかっちゃんは蟹の話を中断してくる、もう言うの止めとこう……それにしてもかなり強力な個性のヴィランの事件にしては小規模だったな、全てはヒーロー達のおかけだ。僕はたまたま駆けつけて、ヴィランをぶん殴っただけだし…
「それがデクさんのヒーロー名のきっかけかぁ……Mt.レディにつけてもらったんだ…?すっごい急に言われてそのまま名乗っちゃうんだ…?」
「う、うん。僕じゃ“デク”以外思い付かなかったし……確かに急だったけど、たぶんその時Mt.レディは頭を強く打ってたみたいで混乱気味だったんだよ―――でもまあ、それでもいい名前だと思ったからね!」
麗日さんがジトーっとした目線を送ってくるが、僕は説明しながら胸を張って答えた。なんで睨まれるんだろう……?
あの時の優さんは混乱していたのは間違いないだろうな、頭からかなり血も流してたし……だから事件が解決した後も抱きついてきたり、やたらと手を繋ぐことを強要してきたりしたのだろう。
ふむ、もしかしたらねじれちゃんに限らず、女の子ってのは甘えたがりな生き物なのかも知れないな…やっぱ女の子ってわからない…!
「にしてもデク、“オールライト”なんて大きく出たな!」
「そうかな?オールマイトの弟子っぽいし、それにいつか越えるってことを目標にしてるなら大きく出たって程じゃなくない?」
「いやいや、“
「えー?違うよ爆豪君、“
「ちっ違うって二人とも!!大丈夫って意味のオールライトだよ!」
かっちゃんと麗日さんがオールライトの意味を曲解していたので、慌てて訂正する。いくらなんでも大きく出すぎだろそれ…!これからは自分から意味を吹聴してかないと勘違いされるかも……
「そ、そんなことより!かっちゃん、何かヒーロー名思い付いた?」
「そうだな、いっこ思い付いたぜ―――爆殺帝!」
「爆殺から離れようか!!完全にヴィランのそれだよ… 」
爆殺から一向に進まないかっちゃんに突っ込みを入れる。もはや逆に拘ってるのかもしれないな…ってダメだろ!
「じゃあ将来成りたいヒーロー像からイメージしてみるのはどうかな?例えば僕だったらオールマイトみたいなヒーローに成りたい!って感じでさ」
「んー、それならお前の
「あ、ありがとう…!」
僕の提案に恥ずかしげもなくそう答えるかっちゃん、こっちが恥ずかしくなってしまうじゃないか!まあ嬉しいけどさ。
「なら爆豪君は憧れのヒーローとかいないの?デクさんで言うとこのオールマイトみたいな!」
「あぁ?……強いて言うなら俺もオールマイトだ。ガキの頃からデクがずーっと見せてきたからな、嫌でも好きになるわ」
「なんか…ごめん?でいいのかな?無理強いしてたつもりはなかったんだけど…」
「嫌いじゃねえっつってんだろ?気にすんなよデク」
麗日さんの質問にオールマイトと答えたかっちゃん、確かに家に遊びにきてた時はずっとオールマイトの映像みてたんもんなぁ…気がつかないうちに洗脳してたのか……?いやいや、オールマイトには誰だって憧れるだろ!
「ならよ、デクがつけてくれよ、俺のヒーロー名を!」
「ええっ!?僕がかっちゃんの……?いいのそれで……?」
「お前だって
かっちゃんはワクワクしながら僕に尋ねる、僕は自分のヒーロー名すら思い付かなかったんだけどなぁ……
うーん、かっちゃんといえば……爆破、爆発、悪人面、めんどくさいツンデレ、丸くなったとはいえすぐ怒る……まるで爆弾みたいな人間だ…爆弾?―――閃いた!!
「ボンバー◯ンなんてどうかな!」
「バーイ、ハドソンっ!!」「あいた!?」
僕は閃いた名前をかっちゃんに提案したら、なぜか肩をどつかれてしまった。
「デク…それはダメだろ…!なんか常に裏声で喋らなきゃいけなくなる名前な気がする……悪いが却下だ!」
「ダメかぁ……うーん、どうしようか……」
僕らは二人してアカン予感のするその名前をやめておくことにした。どうしようかと悩んでいると、麗日さんがずいっとこちらに身を乗り出してくる。
「私、思い付いたよ!爆豪君のヒーロー名!!」
「却下だ、丸顔」
「まだなんもいってないじゃん!!それに私は麗日!こないだみたいに名前で呼んでよ!!」
麗日さんがなにか思い付いたようだが、かっちゃんは即座に拒否する、そしていつもの言い合いが始まってしまった!どんな名前か気になる!僕よりは遥かにいいネーミングに違いないしな。
「まあまあかっちゃん、そう言わずに聞いてみようよ!で、麗日さんが思い付いた名前って?」
「ありがとうデクさん!爆豪君の爆破とオールマイトからもじって―――“ダイナマイト”なんてどうかな!?」
「ふーん……」
麗日さんの提案した名前にかっちゃんの表情が変わる。あの顔は……いい名前だって思ったけど、さっき即答で否定してしまったもんだから素直にいいと言えないからどうするべきか……とか考えてる顔だ。
もう何回も気まずい雰囲気を作り出してはなんやかんやで解消する…みたいなことを繰り返してきた幼なじみの僕にはわかる。
「オールマイトっぽさとかっちゃんらしさが合わさっていて、なおかつすぐにどんなヒーローか分かりやすくて、さらに覚えやすい。凄くいい名前だと思うよ!」
「デクがそれでいいなら、その名前でいいぜ…!」
「判断基準デクさんなんだ……」
僕がフォローするとかっちゃんは直ぐ様乗ってきた、それを見て麗日さんが少しだけ呆れている。
大丈夫、麗日さん。かっちゃんはちょっと素直じゃないだけでいいと思ってるから認めたんだよ。まあこれいうと「そんなことねぇわ!別の名前にしろぉ!」とか騒ぎだすだろうから言わないけど!
「きっとその名前ならミッドナイトもオーケーしてくれると思うよ!決まってよかったね、かっちゃん!」
「おう、これならあのババアも納得するな!―――それと一応礼を言う……麗日…」
「ふふーん、どういたしまして!」
こうしてかっちゃんのヒーロー名も無事に決まった。まったくかっちゃんは丸くなったな…!
「つーことでだ、これからはオールライトの相棒、ダイナマイトとしてやってく―――よろしくな、オールライト!」
「うん!よろしくね、ダイナマイト!」
―――僕とかっちゃんはそう言って拳を合わせた。
「じゃあ私もデクさんの相棒、ウラビティだよ!」
「はあ?デクの相棒は俺ひとりで十分なんだよ、丸顔ォ!」
「なんでよ!こないだは認めてくれたじゃん!!―――」
「それはしたっぱとしてだ!!―――」
「ひどーい!!ねえ酷いよねデクさん!私も相棒でいいよね!?―――」
「勿論さ!麗日さんには助けられてばっかりだし、これからもよろしくね!―――」
「おい、デクゥ!勝手に決めんなよ―――」
―――これから先の未来、僕らはオールライト、ダイナマイト、ウラビティとして、共に平和を守るヒーローとして活動する……そんな楽しい未来がその時の僕には見えていたのだった。
第六章もこれで終わりです、ヒーロー名つけるだけのはずが、いきなりの過去編で四話も使ってしまいましたね。さくっとまとめるはずだったのに…!
これからはもう少しテンポよくいきたいですね!
とか言いつつ、次回は番外編の予定です、みんな大好きなあの娘が帰ってきますよ!
作者急病につき、今年のクリスマスは中止になりました。番外編はどっかの機会で書きます(震え声)
ひとまず、ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!
これからも応援よろしくお願いします!!
折角のオリジナルヴィランを出したのでここで設定の供養をさせて貰います。読み飛ばしてオッケーです!
ヴィラン名 ミニマムビッグボディ
本名
身長 205cm 体重 200kg
個性 縮小眼
見た相手の身体を13分の1に縮小する個性、発動には相手を10秒以上見る必要がある。一度発動すれば10秒間効果を発揮する、その後見続けることで効果時間を伸ばし続けることが可能。但し人間以外は小さくすることが出来ない。
連続誘拐犯でヒーローズマンションタウンを襲撃したのは、好みの女性が住んでいる町だったため。街には若手ヒーローしか居ないことを知り、自分の個性に絶対の自信を持ち、下調べを入念に行ってから犯行に及ぶ。
デクさんの姿を見ることは出来たが、ワンパンでK.O.10秒以上見ることはかなわなかった。
かなりの肥満体質で生活習慣病のほぼすべてを患っている。