デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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マッチョなデクの物語になっていく!

…予定です。


かわったようで変わってない少し変わった筋書き

僕がこの10年会いたくても会えなかった、ずっと探し続けていた人、オールマイトがいきなり現れた。

 

 

 

「もう大丈夫だ!少年!私が来た!」

 

僕の聞きたかった声が聞こえる。

 

「ん?思っていたより大丈夫そうな状況だな!」

 

僕の見たかった姿が見える。

 

「オール…マイト…?」

 

僕の頬を一筋の涙が伝う、感情が不規則に荒ぶる、頭のなかが真っ白になっていく…

 

―――感極まった僕はそのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぉ…ぃ…」

 

頭の中に遠くから声が聞こえる。

 

「…オーイ!」

 

オールマイトの呼ぶ声が聞こえてくる。

 

 

「っは!?オールマイト!?」

僕が目を覚ますと目の前には――

 

「よかったー!そう、私がオールマイトだ!」

相変わらず画風の違う、いい笑顔を浮かべたオールマイトがいた。

 

「えっ!あっ!?ふぁ!??オ、オールマイト!?本物?!」

僕はまだまだ混乱していた。

 

「ハッハッハ!熱烈なファンかな!でもその様子なら怪我とかなさそうだし大丈夫だね!」

オールマイトは豪快に笑う、人々に安心を与える最高の声だ。

 

「じゃあ私は忙しいのでこれで失礼するよ!」

オールマイトは踵を返してしゃがみこむ。

 

「ちょっ、ちょっと待って!伝えないと!そう、貴方に伝えなくちゃいけないことが―――」

僕は慌てて言葉を紡ぐ、しかしその言葉はオールマイトには伝わらない。

 

「液晶の向こうでも応援、よろしくねーーーーーー!!」

そうしてオールマイトは飛び立った。

 

 

ダメだ!オールマイトに伝えないと!話をしないと!

 

そう思ったときには僕の足は地を蹴っていて、僕の身体を宙へと飛ばし…僕の手は実に10年振りにオールマイトを掴んでいた。

 

 

「オイオーイ!熱狂が過ぎるぞ、君ぃ!離しなさい!」

いきなり足に抱きつかれたオールマイトは、足をじたばたしながら僕に言う。

 

「離しません!貴方に伝えなくちゃいけないことがあるから!!!あとこの高さから落ちたら普通の人間は死にます!!」

僕はオールマイトへ叫ぶ。10年待ったんだ、この程度で離すもんか!

 

「君ならわりと大丈夫な気もするが…まあそれもそうだな、その辺のビルで降ろしてあげるからしっかり掴まっていなさい!」

 

そうして僕とオールマイトの攻防は終わった。

 

 

 

 

―― 爆豪 side in ――

 

「あー、デクのやつひとりでさっさと帰りやがって!」BOOM!!

俺はこの場にいない友人、緑谷出久への怒りを爆発で撒き散らす。

 

 

『――ってな、わけよ。よし!そろそろ帰るか、行こうぜデク!』

『緑谷なら大分前にこそこそと帰ってたぞ』

『なにぃー!?デクのヤロー!置いてきやがって!』

 

 

やっぱ思い返しても腹が立つ、帰るなら俺に一言くらい声をかけるべきだろうが!

 

苛立つ俺の少し前の方に、ペットボトルが降ってきた。

 

ペットボトルが地面に当たり、中味が溢れてくる。

 

「いい個性の…隠れミノ…!」

中味のヘドロのようなものが喋りながら襲いかかって来やがった。

 

俺は咄嗟に横へ転がりヘドロを避ける。

 

「………」

「………」

ヘドロが無言でこっちを見ている、俺もヘドロにガンをくれてやる。

 

「いい個性の…隠れミノ…!」

「それ、毎回言わなきゃいけねぇのか!!」

再び襲いかかるヘドロ、だが俺もまたそれを横へ飛び避ける。

 

「何度も俺に…同じ事を言うんじゃねえ!!」

「まだ一回しか言ってねぇだろうが!脳ミソくさってんのか!」

訳のわからないことを言うヘドロを罵倒してやる。

 

ひとがイライラしてるときに、更に苛つかせてくれやがって…このヴィラン風情が!

 

「まあちょうどいい、俺のストレス解消に付き合ってもらうぜ!!」

俺は適当に怒りの矛先を目の前のヴィランへ向ける。

 

「オラァ!吹き飛べや!!」BOOO――

 

 

『ダメだよかっちゃん!』

 

『なんだよデク、とめんなよな』

 

『かっちゃん、個性を人に向けて使ったりしちゃダメだ』

 

『…なんでだよ』

 

『ヒーローの資格を持ってない人が勝手に個性を使って人を傷つけたりすると、その資格がとれなくなっちゃうんだ!かっちゃんはヒーローに成りたいんでしょう?』

 

『そうか…まあものしりなデクがいうならほんとのことなんだろうな、わかった!ヒーローになるまではひとにむけてこせいをつかったりしねぇ!』

 

『よし、一緒に立派なヒーローになろうね!』

 

『ああ、やくそくだ!』

 

『うん、約束だよ』

 

 

 

――――目の前のヘドロヤローを爆破してやろうと、その手を構えたときに思い出した幼い日の約束。

 

構えた俺の手から個性がでることはなかった。

 

くっそ!なんでこんなときに思い出しちまうかなぁ…

 

俺の目の前にウザったい顔を浮かべたヘドロが、すでに視界を覆い尽くすように広がっていた。

 

―― 爆豪 side out ――

 

 

 

 

「よし、あそこでいいかな」

僕とオールマイトは数分近く飛び回り、オールマイトが手頃なビルの屋上を見付けた。

 

「それで私に伝えたいこととはなにかな?少年!時間がないので手短に頼むよ!」

オールマイトはビルの上に着地したあと、急かすように僕に言う。

 

やっぱり活動制限があるんだ、オールフォーワンにつけられた傷のせいで。

 

「手短にって言われても、いったいどこから話せばいいのやら。えーと、僕は貴方のー、いや違うな、僕は――あれ?」

言葉がうまく纏まらないなか、僕は()()()()に気が付いた。

 

「マジで時間がないんだ!もういくからね!」

オールマイトが少し声をあらげて言う、でも僕の視線はその顔ではなく、オールマイトのズボンのポケットに向けられていた。

 

「オールマイト!ちょっと待って!」

「No!待たないよ!」

オールマイトはいますぐにでも飛び立とうとしているが、僕はそのポケットの中身が無いことに気が付いてしまったのだ。

 

「あのヴィランを詰めたボトルはどこに…?」

「君、気絶してたのになんでわかるのさ?まあそれならこのズボンのポケットに―――」

「「ない!!!」」

僕とオールマイトがハモる。

 

僕たちはさっき飛んできた方向に目を向ける。

 

それとほぼ同時に遠くから聞こえてくる爆発音、そして遠くで上がる黒煙が見えたのだった―――

 




UAが増えたり、お気に入り登録が増えるのって嬉しいですね。

皆様には感謝です、これからも頑張って書いていきます。

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