デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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絞り出すようにゆっくりと続きが出てきます。


今回もキャラ改変ありありでいくので、皆さんそのつもりでよろしくお願いいたします!


通形ミリオ:ライバル

漢の祭典オールマイト杯、8人の近接格闘ヒーローが闘いその勝者だけが王者オールマイトへの挑戦権を得るというこの大会。

僕は渾身のヘッドバッドでデステゴロを打ち破り一回戦を突破し、オールマイトに認めてもらうため優勝目指して闘い抜くと決意したのだった。

 

 

 

 

 

「お疲れ様、熱いぶつかり合いだったね!それに君、意外と若いんだねえ…まるで学生みたいだ」

試合が終わり観客席へと戻った僕に話しかけてきたのはガンヘッドだ、そのマスクで表情はわからないが話し方から楽しそうなのが伝わってくる。

 

そうか、さっきの試合でヘルメットが割れたから……ここにいる人達に素顔を見られるのは問題ないのかな?オールマイトもサーナイトアイも特になにもいってなかったし。

 

「ハハハ、まだ15歳なもので」

「15!?まだ我の半分の年齢ではないか!」

僕のガンヘッドへの返事に大きな声で驚いたのはワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの虎さんだ。

 

僕らがそんな会話をしている間に次の試合の準備は進んでいて、もう既にリングへミリオ先輩とファットガムが上がっていた。

 

「若いのにやるじゃねえか、オールライトだったな?お前、オールマイトのなんなんだ?」

「フォースカインド!えっとそれは……」

後ろから核心をついた質問を投げたのは先程ファットガムと闘ったフォースカインドだ、僕はその答えを言ってもいいものかと悩んで言い淀む。

 

ヘルメットは無くなって顔は割れているし、技も見れば一目瞭然だし…もう言ってしまってもいいんじゃないかな?

 

「あー、僕はオールマイトの―――」

「おっとすまん、着信が入った。少し失礼する」

僕が自らの関係を明かそうとしたところでフォースカインドがスマホを取り出す、どうやら緊急の着信が入ったようだ。

 

「俺だ、今日はかけてくるなと…なに!?奴等に動きが…よし、そのまま監視を続けろ―――おっとそろそろ切るぞ、後でかけ直す!」

フォースカインドが相棒(サイドキック)と連絡をとっているが、試合は既に開始寸前だ。こんなときにも連絡が来るのか、組織が大きいプロは大変なんだな。

 

「―――レディッファイ!!」

フォースカインドとの話の途中ではあったがそんなことはリング上の二人には関係ない。そしてサーナイトアイの合図で試合が始まっていく。

 

 

終始優勢なのはやはりミリオ先輩だ、透過の個性でファットガムに打撃を加え続け、尚且つその身体は吸着に捕らわれない。

 

ファットガムは反撃を行うもそれすら透過の餌食になっていた。

しかしダメージが積み重なっていく中でも諦めることなく彼は懸命に反撃のタイミングを見計らっていた。

 

「――ここやっ!!!」

ファットガムのトトロのような身体が一瞬にして引き絞られた筋肉質の身体に変わる、なんというキレのある筋肉群!余分な脂肪が一切消えたキレの化身みたいな肉体だ!!

 

そしてファットガム最大の反撃がミリオ先輩の胴体へと放たれた、その威力は余波で生じた風が観客席にいる僕らまで届き目が開けられない程だ。

 

だが、それだけだった。ミリオ先輩の身体はその場から微動だにしていない、つまり…透過によって外されたのであった。

 

「これを躱されるとは……俺の負けや、降参する」

「勝者、ルミリオン!!」

最高の一撃を避けられたファットガムが降参し勝敗が決した、鋭く狙い済ました一撃だったがカウンターを常に受け続けてきたミリオ先輩の方が一枚上手だったようだ。

 

「決まったか……次は我々の番だな、オールライト君?」

「ギャ、ギャングオルカ、それは……」

勝負を見届けたギャングオルカは落ち着いた声色で僕に話しかけてくる、僕は笑いを堪えながら返事をしようとするも言葉がでない。

 

別にギャングオルカが話しかけてきたのが面白い訳ではない、その格好が問題なのだ。

 

彼は携帯用のプールに寝そべって顔だけを水上に出しながら試合を観ていたのだ。

その姿はさながら幼児用プールに浮かぶシャチのおもちゃフロートのようだった、というかそれにしか見えない。

 

「これか?お前は強い、間違いなく今まで闘ってきた中でもかなりの強者の部類だ…よって出来うる限りの水分を取り込んでおく必要がある。理解できたか?」

「ええ…り、理由は……」

ギャングオルカは真剣な眼差しと渋い声で僕に語る、だが僕はその光景とのギャップに更にこみ上げる笑いを堪えるのに必死だった。

 

駄目だ、笑っちゃいけない…!ギャングオルカは真剣に僕との勝負に備えているんだ!

決してふざけてるわけじゃないし、僕を和ませようとしてるわけじゃないんだ!!だから笑ってはいけない……!!

 

「さあ!死合おうぞ、若き強者よ!!」

渋い声のギャングオルカが辺りに水を撒き散らしながらビッチャビチャのスーツ姿で立ち上がる。

 

僕はそれが止めとなり、ついに吹き出して笑ってしまったのだった――――

 

 

 

 

 

 

「第二回戦、第二試合!レディィィイファイトォ!!!」

サーナイトアイの気合いの入った合図で試合が始まる、気まずさが心に有るが全力で試合に挑まなきゃな。

 

 

 

「――オ゛オ˝オ˝オ˝ォォォーーー!!!」

身体の芯まで響くような低い低い咆哮をギャングオルカが放つ、その眼は大きく見開かれ鋭い牙を見せつけながらその身に宿す野生を全開にして僕へとぶつけてきた。

 

肌身に感じる野生、僕は一瞬にしてスイッチを入れ換える。

 

あの力は侮ることなど出来ない、小さな相棒と過ごした一ヶ月間の無人島生活での経験がそうさせた。

 

「ウオォォォーーー!!」

負けじと僕も雄叫びを上げる、その野生に呑み込まれないため、自らの生きるという意思を引き出すため。

 

―――野生動物に対して人間が同じ土俵に立つのは愚かだと殆どの人が思うことだろう。

だがそれは人間が培ってきた叡知を使い、罠を張り、狡猾に、一方的に、一歩引いた立ち位置から、獲物として相手を仕留めるときの考え方だ。

 

お互いにステゴロで、更に逃げることが叶わないとき、その時は引いたものから淘汰されていく。故に―――

 

「スマァッシュ!!!」

叫びと共に僕は拳を振り抜く、狙いはヴィランっぽいヒーローランキングに名を連ねる元凶の凶悪な顔面だ。

 

―――正面から闘うしかない。

 

 

「重く鋭い一撃…まさしく強者の拳だ……面白い!!」

ギャングオルカは僕の拳を片腕で受け止め不敵に笑っていた、強力な膂力と研ぎ澄まされた戦闘センス…やはり強い!水を得た魚とまさにこのことだろう。

 

「時間は掛けんッ!」

ギャングオルカの腕が僕の顔に向けて振り下ろされる、僕もそれを片腕で受け止めその場に留まった。

 

重く勢いが乗った一撃、いつかの日に対峙した熊を思い出させるような野生の一撃だ。

膂力は互いにほぼ互角、この勝敗を分けるのは―――

 

「ハァッ!!」

僕が考える間もなくギャングオルカは次の一撃を放ってくる、僕はそれを受け止めつつ反撃をしていく。

 

頭で細かく作戦を考えている暇はどうやらなさそうだ、なら正面から一直線にこの身をもって彼を打ち破るのみ!

 

繰り出されていく互いの野生、それらは致命傷になること無くそのペースを上げていき激しさだけが増していく。

 

一撃では足りない…ギャングオルカの纏っている(水気)を吹き飛ばせるような嵐を、僕の拳で作り出してやる!!

 

 

「―――85%!ハワイアン・アイランド・ラッシュ!!!」

僕は一撃一撃に全力のチカラを込めて乱打の拳を放つ、拳ひとつひとつから生じる風が嵐となっていくのだ。

 

「ラッシュの速さ対決か!面白い、面白いぞォォォォ!!!」

ギャングオルカも僕に合わせて乱打を放ち対抗してくる。

その強さも速さも拮抗しており、はじけ飛ぶ水しぶきと血しぶきが風に乗ってリングの上には本当に嵐が巻き起こっていた。

 

「スマッシュ! スマッシュ! スマッシュ! スマッシュ! スマッシュ! スマッシュ! スマッシュ!―――」

「フハハハハハハハハハハハハハッ―――」

 

激しさを増しながら吹き荒れる嵐、長くも短いそのチカラのやり取りの勝者は――――――

 

 

 

 

「勝者、オールライト!!」

―――僕だ。目の前には吹き荒れた暴風によって渇き切ったギャングオルカが倒れていた、勝負の分け目はここが水場ではなく固い鋼鉄のリングの上だったという他ないだろうな。

 

「素晴らしい死合いだった…強者(オールライト)…」

「ギャングオルカ…ありがとうございました…!!」

「勝てよ、次もな…」

「…はい!」

ふらふらと立ち上がるギャングオルカと短く言葉を交わす、この試合に勝てたということは次がオールマイトへの挑戦権を賭けた最後の戦いとなる。

 

 

 

休憩を挟んであっという間に時は過ぎ、僕は再びリングの上にいる。

 

 

 

「準決勝!ここまで無傷の圧倒的な勝利を掴んできた脅威の新人、ルミリオォォォンッ!!」

 

対戦相手はトーナメントの反対側を勝ち抜いてきたルミリオンこと、ミリオ先輩だ。

 

「まさかの二人目、こちらも新人!ここまで血と汗を流し勝ち進んだ男、オールッライトォォ!!」

 

ミリオ先輩達と過ごした一ヶ月間の共同生活が今や遠い昔に感じる…たった二ヶ月前のことだってのに。

これまでにもミリオ先輩とは戦闘訓練という形で何度も拳を交えてきた、勝つこともあれば負けることもあったが、どちらが強いかという明確な勝敗を着けた勝負はしたことがなかったっけな。

 

「ルミリオン…まさかこんなところで先輩と決着がつけられるなんて思っても見なかったですよ」

「俺もだよね、でもまあ折角のタイマンでやりあえる機会だから……全開でいく!勝つのは俺だ―――来いよ、オールライト!!」

「絶対に負けませんッ!!」

バイザーの中から僕の目を見据えるミリオ先輩と言葉を交えて火をつけ合う、僕はこの人に勝ちたい…!

 

「オールマイト杯準決勝!レディィィイ―――」

 

四人で行ってきた戦闘訓練と共に過ごしてきた日常、互いの癖や弱点などは既に分かりきっている。

だからこそ序盤の様子見とか分析だとか牽制などは一切なく……勝負は一瞬、いや一撃で決まるだろう。あれらの全てが僕らにとっての探り合いに他ならないのだから。

 

「―――ファイッ!!!」

「必殺―――ファントム・メナスッ!!」

ミリオ先輩はなんの容赦も躊躇いもなく最初の一手から必殺技で仕掛けてきた。ミリオ先輩の身体は鉄塊のフロア、ロープ、コーナーポスト、リング上のあらゆるところに透過しては反発し縦横無尽に跳ね回り狙いを絞らせてくれない。

 

考えていることすら同じだったようだ…やはりカウンターを合わせて倒すしかない。だが訓練の時とは違う。

 

 

『―――今だよ、デクくん!!』

 

波動で動きを止めるねじれちゃんも……

 

 

『―――いけ!デク!!』

 

多種多様な手足で翻弄する環先輩も……いない。僕独りだ。

 

 

「裏の裏のは表……と見せかけてその裏だっ!!!」

だから僕は狙いを研ぎ澄まし、予測に予測を重ねて拳を振りかぶる。

 

そこには僕と同じく拳を振りかぶり必殺の一撃を放とうとするミリオ先輩がワープしていた。

 

タイミングと狙いはバッチリ、だかミリオ先輩もそこまでは予想済みだろう…だからこそ予想の一歩先をいかなくては!

 

ワン・フォー・オール―――フルカウル……()()()!!!!

 

僕はミリオ先輩の知る僕の力(85%)よりその先へ(3%)踏み込んでいく、まだだ!まだ予測を振りきれないっ!!

 

「――POWEEEERRRRR!!!!!!」

「――ワシントン・スマァッァァシュッ!!!」

僕とミリオ先輩の拳が同時に伸びていく、ミリオ先輩の狙いは僕の顎で一撃で意識を刈り取るつもりだろう。

 

僕の狙いは急所である顔面の顎や胴体の鳩尾……ではなく僕に向かって伸びてくるその拳だ。

 

拳と拳が正面から激突した、そこには透過で透かされるような感触はなく衝撃が腕に走った。

だが僕の腕に加わった衝撃はあくまで副産物、ほぼ全ての衝撃はミリオ先輩の腕へと流れていく。

つまり僕とミリオ先輩のパワーのぶつかり合いは僕に軍配が上がったということだ。

 

ミリオ先輩の身体に衝撃が駆け巡り、そのままリング外へと弾き飛ばされる。

ドサッとした音と共にミリオ先輩は地面に落下し、辺りには静寂が流れた。

 

「……俺の負けか…」

地面に仰向けに倒れたままミリオ先輩が静かに呟く。

 

「勝者、オールライト!!」

サーナイトアイの勝利宣告が響き渡り、ついに勝敗が決した。

 

オールマイトの修行の中でも一番のライバルだったミリオ先輩への勝利、拳を合わせた右腕に残る痛みが何よりもそれを実感させてくれた。

 

 

―――こうして僕はオールマイトと闘う資格を掴みとったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 通形 side in ―――

 

 

「負けたなぁー……」

治療を終えた俺はベッドの上で独り言を呟く、他のヒーロー達のように終わり次第すぐにでも会場に戻るべきなんだろうけどなぜだか身体が動かない。

試合が終わってから大分時間が経つ、もうデクはオールマイトと闘っている頃だろうか?

 

デク、緑谷出久、オールライト……雄英での後輩になる予定の中学生で、みんなで暮らした一ヶ月間の訓練生活での大事な仲間で…オールマイトの弟子、そして俺の……最高のライバルだ。

 

「勝ちたかったなぁ…!ちくしょうっ……!!」

悔しさが心の奥底から一気に込み上げてきて、望んでもないのに眼からは涙がポロポロと流れ落ちる。

 

勝ちたいと思っていた。オールマイトの弟子とかサーナイトアイの弟子とか、仲間とか後輩とか、そういうことなんか関係無しに…ただただライバルであるアイツに勝ちたかったんだ。

 

「ミリオ、起きているか?入るぞ」

急にドアがノックされサーの声が飛び込んでくる、俺は急いで鼻をすすって涙を乱暴に袖で拭った。

 

「はい、起きてますよサー。もうデクの試合は終わったんですか?」

「いや今は奴の休憩とオールマイトの準備の途中だ……どうして会場に戻らない?まだ傷が深いか?」

「いえ、傷の方はほぼ治してもらいました。最後の試合も一撃でケリが着いちゃいましたし……」

俺の体調を気遣うサーに話をしながら最後は自虐的に締める、おかけで体力だけは余っているしな。

 

「開始10秒でカウンターパンチでの一発K.O.。正に瞬殺としか言いようがない試合だった」

「…すいません、サー。俺はサーの弟子として闘ってたのに…あんな無様な…負け方を……」

「まあ確かに最後のあれは端から見れば無様だが、お前らの訓練を知っている者が見れば――――ミリオ、お前泣いているのか?」

サーの問いかけにより俺は自分が再び悔し涙を流していたことに気が付く、よりにもよってサーに涙を見られてしまうとは……

 

「すいません、本当に…俺、アイツに勝ちたくてっ!でも…」

「謝ることはない、悔しさは次に繋がる。その気持ちは強くなるためのバネになるからな。ただなミリオ、強くなる目的を違えてはいけないからな」

「……目的」

サーの言葉を思わずおうむ返しにしてしまう、俺が強くなる目的ってなんだったか。

 

「そう、目的だ。目的と手段、よく似たそれらを一緒にしてはダメだ。ミリオ…いやルミリオン!お前はなんだ?その名の意味はなんだ!?百万の敵を倒す者か!?……違うだろう?」

サーの問いが俺の忘れかけていた目的を思い出させる、こんなことをサーに言わせてしまうなんて俺はまだまだだな。

 

「サー…俺は…俺はルミリオン、百万を救う―――ルミリオンです!!」

俺は未だに涙目のままだがしっかりとサーの目を見て宣言する。

 

「そうだミリオ!お前は救うために強くなれ、緑谷出久に負けても構わない、いつか救けたい誰かを救けられるならそれでいいんだ!」

「はいっ……サー。サーナイトアイっ!」

俺は見失いかけた道を示してくれたサーに感謝の気持ちを込めて名前を呼ぶ。

 

「ん…?でもやっぱり弟子としては強い方がいいんじゃないんですか?そのためにサーは俺を鍛えてくれたんでしょう?」

「それは強い方がいいに決まっているだろう……そういえばお前には私がお前をスカウトした理由を話していなかったか。私がユーモアを大切にしているのは理解しているな?」

「ええ、“元気とユーモアのない社会に明るい未来はない”、サーの理念ですものね」

「そうだ、私がお前をスカウトした理由…それはお前が強かったから()()()()

「えっ!?」

坦々と語るサーの言葉に驚きが隠せない、じゃあなんだ?強くなりそうだったから…とかか?

 

「お前を最初に見付けたのはお前が一年の頃の雄英体育祭だ、所々で全裸になり悪目立ちしつつも大した成績は残せていなかった」

「……」

「だがお前の周りには常に仲間や競っていた筈の生徒までもが集まっていた。その中心には笑顔のお前がいたんだ。

私はその光景を見て思ったんだこいつは私の求めるユーモアを持った社会を守れるヒーローに成れるとな。だから私はお前をスカウトし育てた、はじめはオールマイトの弟子にしようと思っていたんだがな」

「オールマイトの!?」

「ああ、お前にはオールマイトの後を継げるくらいのユーモアがあると思っていたからな。まあ結果としては緑谷出久の登場によってそれは無くなったのだが……それでもお前のその笑顔はオールマイトにも劣らない、人々を導く眩い光を持ったヒーローのそれだと私は確信している。

未来を予知するまでもなく、お前は必ず立派なヒーローに成れる―――」

サーはそこまで言うと一呼吸して改めて俺の目を見据える。

 

「―――だから笑ってろ、ミリオ。」

 

サーは優しく微笑みながら俺にそう言ってくれた。

 

「――はいっ!サー、ナイトアイ!」

俺は精一杯の笑顔でその言葉に答えたのだった。

 

 

 

「さあ戻るぞミリオ、私も仕事が残っているし。お前もオールマイトの勇姿を目に刻め!」

「はい、デクとオールマイトの一戦!見逃すなんて出来ませんね!……そういえばデクにもユーモアを感じて育てようと思ったんですか?」

「いや?アイツにはユーモアのセンスが無い―――」

「ハハッ、確かにそうかもですね―――」

「たぶん人気投票とかでも万年3位とかだろう――――」

「万年3位って――――」

 

 

 

俺は必ず“立派なヒーロー”に成る、サーの下でならそれが叶うと俺は信じられるから。

 

―――だから俺は、その日まで笑顔を絶やさずいてみせるさ!

 

 

――― 通形 side out ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついにこの時がやって参りました、オールマイト杯決勝戦っ!!選ばれた精鋭の漢達の中で勝ち抜いてきたニュービー!挑戦者、オールッ!ライトォォォ!!」

僕はサーナイトアイの紹介と共に右腕を掲げながらリングへ上がっていく。

 

「そしてそしてぇ!満を持してのご登場!!日本ヒーロー界最強にして最高の漢!!トップオブトップ!王者(チャンピオン)!オーーールッ!マイトォォォォォ!!!!」

「私が――――挑戦を受けに来た!!」

オールマイトはどこからか飛んできてリングへと着地し、画風の違うオーラを纏いながら立ち上がり胸を張る。

 

「約束通り来たな……緑谷少年…いや“ヒーロー”オールライト!!さあその力私にも存分に見せつけたまえよ!!!」

オールマイトは僕を指差しながら力強く話しかけてくる。

 

 

 

 

 

―――――人生26年目…僕とオールマイト、一対一での初めての真剣勝負が今、始まろうとしている。

 

 

 

 

 

 

 




緑谷出久、ユーモアを絶賛勉強中!!―――――


じわじわ伸びてUAが35万にまで…皆様お読みいただきありがとうございます!これをモチベーションにして頑張ります!




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