デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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テレビアニメ三期面白いですね、早く合宿編も書きたい!




PLUS(プルス) ULTRA(ウルトラ)

オールマイトとの修行の日々は多くのヒーロー達の相棒(サイドキック)となることで目まぐるしく終わった。まあお陰で強くは成れたんだけどね。

そしてついに始まった期末試験実技演習。僕はかっちゃんの熱い想いを知り、二人でオールマイトに立ち向かうことを決めた。さあ闘いの始まりだ!!

 

 

 

 

 

 

試験会場であるビル街が再現された演習場を指定の配置に着くために、僕とかっちゃんは歩きながら作戦会議を行う。

前世のように逃げか闘いかではなく、二人で如何(いか)にしてオールマイトを打倒するかを話していたのだ。

 

「―――っとまあ作戦としてはこんな感じかな」

「デク…それ作戦って言えんのか……?」

「下手に細かく決めるより臨機応変に対応したほうが今回は良いと思うんだよね!」

僕とかっちゃんは大通りの真ん中で立ち止まる、そろそろ演習場の中心だろう。

 

「まあそうかもしれんが…でもよデク―――」

 

かっちゃんがなにか言いかけたとき遠くの方から聞こえる爆発のような破壊の音と吹き込んできた風…間違いなくオールマイトの登場だろう…!

 

「どうやら話はここまでみたいだ、僕はかっちゃんならやれるって信じてるよ!」

「ったくしょうがねえな!やってやんよ!俺はお前の相棒だからな…いってこいデク!!」

「任したよ、相棒!じゃあいってくるっ!!」

かっちゃんに見送られて僕は地面を大きく蹴って跳ねる、目指すは破壊の震源…オールマイトだっ!!

 

 

ビルの上を跳ねて暫くすると倒壊したビル群の中心に立つオールマイトの姿を見つけた。先制攻撃といこうか!

 

「92%!フロリダ・スマッシュッ!!」

僕はビルの上から飛び下りながらオールマイトへと強襲の回し蹴りを放つ、だがオールマイトは既に僕を発見しており対抗する拳を構えていた。

 

「OREGON--SMAASH!!」

オールマイトのアッパーカットが僕の蹴りと衝突する、力と力のぶつかり合いは辺りへ鈍い音と衝撃を撒き散らした。そして衝突の軍配はオールマイトに上がった。

 

オールマイトのパワーに負けた僕は弾き飛ばされて、ビルの壁面へクモの巣の様なヒビをたてて突き刺さる。

 

蹴りがパンチに力負けするなんて…!想像以上に力の差が開いてるのか!?

 

背中に走る衝撃に目を細めるが、迫る気配を感じて直ぐに目を見開く。

そこには既にオールマイトが拳を引いて迫り来ていた。

 

「まだ一合目だぞ?そんなもんじゃないだろう君の力は―――SMASH!」

握力でコンクリートの壁に指をめり込ませて慌ててその場から転がる、先程まで僕がいた場所にオールマイトの拳が振り抜かれビルの壁を吹き飛ばした。

その衝撃で僕は道路へと投げ出されて落下するが、体勢を立て直して着地する。

 

ひとつ訂正だ…オールマイトが砕いたのはビルの壁じゃなくて―――ビルそのものだった。

 

「これがオールマイトの本気……滅茶苦茶だ…!」

「君だってこれくらいは出来るはずだろう…?出来なきゃ困るんだがなぁ…」

 

立ちこめる砂ぼこりの中にうっすらとオールマイトの影が見え、こちらに向かってゆっくりと歩いて来てる。

 

「くっそ!これでどうだっ!!」

僕は路上に置いてあった軽自動車を両手で掴んで、力任せにオールマイトへと投げつける。

 

砂埃の中に軽自動車は消えていき、ゴシャリという音だけが響いた。

 

やったか…!?っと思った瞬間砂埃を吹き飛ばしながら軽自動車だったであろう鉄塊が飛んでくる。

 

僕はそれを間一髪で躱す、だがその鉄塊の真後ろにぴったりとくっつく様にオールマイトが走り込んできていた。

 

「おいおい、搦め手にもなってないぞ?そんなもんか緑谷少年!」

「――!スマッシュッ!」

僕は反射的にオールマイトの顔面へ左のストレートを放つも、右手で受け止められてしまう。

立て続けに右のフックを打ってみてもそれすらオールマイトの大きな左手に捕らわれる。

 

「このまま力比べといくか?」

「ぐうぅううう……」

がっちりと取っ組み合うがオールマイトのパワーに僕は徐々に上から押し潰されていく、踏ん張った地面がヒビをたてて足が沈んでいった。

 

このままじゃまずい!潰される前に抜け出さなくては!!頭を使えよ緑谷出久!

 

「バーモント・スマッシュッ!!」

「VERMONT―SMAASH!!」

僕の考えは読まれていたようで、オールマイトは僕のヘッドバットにきっちりとヘッドバットを合わせてきていた。

 

オールマイトの頭はその場から動かず、弾かれたのは僕の頭だけだった。

 

「デステゴロには通用したようだが、私には効かん!地力が違うんだよ!!」

脳震盪を起こしかけている僕の頭にオールマイトの声が響く。

 

そしてオールマイトは僕の身体を片手で振り上げて、そのまま地面へと叩きつける。

僕はフラついた頭でなんとか考えて咄嗟に海老反りになって足から地面に落ちた。

 

背中から叩きつけられるのは回避出来たが脚に強烈な衝撃が加わり、地面をクレーター状に陥没させていく。

 

「うまく耐えたな!だがまだ私の攻撃は終わってないぞ!」

オールマイトは僕を振り上げて軽く上へと投げ飛ばす、しかしその勢いは大したことはなく空中にふわりと浮く程度だった。

 

だがそれこそがオールマイトの狙いの高さ。オールマイトは間髪開けず僕に向かって跳躍してきていた。

 

狙いは―――不可避の一撃…!!

 

「―――KANSAS-SMAASH!!!」

身動きの取れない空中でのオールマイトの一撃、僕は両腕を重ねて防御する他ない。

そしてその腕にオールマイトの破壊の一撃が突き刺さり、僕の身体をゴミクズのように吹き飛ばしていった。

 

建ち並ぶビル群を次々とぶち壊しながら吹き飛んでいく僕。そして四棟目のビルを倒壊させてぶち抜き、つっこんだ五棟目のビルの半ばあたりで僕の身体は勢いを止めた。

 

「こ…これが本気のオールマイト……強すぎる…!」

倒壊しかけのビルに埋まりながら、ボロボロになった僕は呟く。

 

全てが僕の上位互換、僕の全力(92%)で打ち合ったとこでラチが開かないどころが追い詰められていく。技術で…いや無理だろう。なら発想で不意をつくか、それとも100%で―――

 

―――僕の思考を遮るようにズシリとした衝撃が辺りに走り、何かに脚を掴まれる。

 

「お早いお休みだな緑谷少年!まだ寝るには早すぎるぞ!!」

オールマイトは僕を瓦礫の中から引き摺りだして自分の目の前に投げ捨てる。

 

「終わりか?全力でこれなら結構ガッカリだぜ少年?」

オールマイトは倒れたままの僕にげんなりした声で語りかける。

 

まだ、まだだ!やれることは……ある!!不意討ちみたいで悪いがこのまま攻める!

 

「――テネシー・スマッシュ!!」

僕はオールマイトに足払いをかけながら立ち上がる、オールマイトは足下を払われたせいで体勢を崩していた。これで倒れないのは流石としか言いようがない!!

 

「まだ僕は――出し切ってないっ!!」

崩れたオールマイトの腕を掴んでは、身体を起こす勢いと共に上空へとぶん投げる。そしてすかさず僕も上空のオールマイトを追いかけるように跳ねる。

 

空中なら逃げ場はない!さっきやられてわかったよ!!

 

「お返しです!カンザス・スマァァッシュッ!!」

僕は身動きの取れなくなったオールマイトに反撃の拳を振り抜いた。

 

だがその拳は空を切る、避けられない筈の一撃を躱されたのだ。

 

「――NEWHAMPSHIREーSMASH!!」

何が起きたか理解する前に僕の背中に激しい衝撃が走り、対空ミサイルに撃ち落とされたかの如く地面へと墜落していく。

 

両腕をついて地面に着地した僕、そしてその目の前に軽やかに着地するオールマイトが現れた。

 

「空中に打ち上げたのに…」

「あー、緑谷少年にはまだ空中での移動の仕方を教えていなかったか。もう教えることないと思っていたが……ホントに私は教育者としては三流だな!」

オールマイトは笑いながらゆっくりと近付いてくる。

 

空中での移動……からくりはたぶんわかった。空中で微調整を加えたスマッシュを放ってその反動と暴風を使って移動するのだろう。今わかったとこで後の祭りだが……

 

 

「いよいよ打ち止めかな?さあどうする…もう止めるか?というか爆豪少年はどうした?」

「まだ終わりじゃないっ!!」

僕は跳ね起きてオールマイトから距離をおく、オールマイトは敢えてその行動を見逃して自らも体勢を整える。

 

やはり100%でしかオールマイトには対抗できない…!今こそ特訓の成果を発揮する時だ。

 

ワン・フォー・オール―――()()()()()()()……!!

 

「100%ォォォオオ!!!―――」

「まあ、そうくるだろうな!―――」

僕とオールマイトは同時に駆け出して右腕を引いて拳を構える、狙いも技もおそらく同じ…!

 

「「―――DELAWARE-SMAASH!!!」」

二人の拳が寸分の狂いなく正面から衝突する。その力は完璧に拮抗しており、すべての衝撃が空に舞う。

 

 

「これで右腕が使えなくなったわけだが、次は―――」

「―――ワシントン・スマッシュ!!」

僕はオールマイトの左胸に向かって()()を振り抜く、だがその拳はすばやく構えられたオールマイトの両の腕に遮られて上から叩く形になる。

 

衝撃はオールマイトの身体を突き飛ばすも、その脚は地面から離れることなくアスファルトに二本の深い(わだち)を刻んだ。

 

「ほう…これは……」

オールマイトは両腕のダメージを確認しながら感心したような声を出す。

 

 

ワン・フォー・オール・プルスウルトラ。オールマイトに対抗するため僕が編み出した新技だ。

 

ワン・フォー・オールで個性(チカラ)の通り道である自身を筋肉を……その血管一本一本までも強化していき、100%のチカラが流れ込んでも大丈夫な最強の筋道へと昇華させてく。

ワン・フォー・オールのMPをとてつもなく消費しまうが、100%を反動無しで撃てるようになった。もちろん……無制限ではないが。

ちなみにMPってのは……マッスルポイントの略だ。

 

 

「―――まだまだこれからですよ、オールマイトッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

――― 爆豪 side in ―――

 

「はぁ……」

デクとオールマイトの闘いを遠目で観察しながら俺はため息を洩らす。

 

破壊による波がビル群が倒壊させ、その欠片が四方八方へと飛散してまた破壊を生み出す。

そして戦場の中心には二人の巻き起こす暴風とそれで舞う破壊の残骸が吹き荒れており、とても人間が近付いていいような場所ではなくなっていた。

 

「アイツらホントに人間かよ……」

俺は想像を絶するスペクタクルな光景に呆然としてしまう。

危険すぎるのは分かっていたつもりだったし、覚悟もある。しかし目の前に起こるとここまで現実外れなものだとは思ってはいなかった。

 

あ、またビルぶっ壊れた。

 

 

 

俺は先程までのデクとの作戦会議を思い出す。

 

『かっちゃん、まず始めに言っておくけど、この闘いはかっちゃんが入る余地はほぼないと思っていてくれ。理由はわかるよね…?』

『……俺がオールマイトの攻撃に耐えられねえってことだろ』

『そうなんだよ。オールマイトの本気の一撃、いくらかっちゃんのタフネスといえど、かすれば行動不能になるし、当たれば間違いなく死ぬ。かっちゃんと僕が肩を並べて闘おうとすれば―――』

『お前は俺を庇わざるをえない、んでデクがやられちまえば俺に勝ち目はねぇってことだな……』

 

『そういうこと、でも大丈夫!モチロンふたりで闘う作戦を考えみたんだ!

んで今回の作戦なんだけど君には僕が止めを刺すための隙を作ってもらいたいんだ』

『おう、いいぜデク!そんでどうするつもりだ?』

 

『僕が編み出した新技があるんだ。それを使えばオールマイトと同等の一撃を10発だけ放てる……いや、拘束や移動も考えると9発が現実的な限界になるかな。

とにかくそれを使って僕がオールマイトに一瞬の隙を作り出す、かっちゃんはその隙を見計らって最大級の攻撃を与えて欲しいんだ!

そうすればオールマイトの隙は限りなく大きくなるはずだから、僕がそこに止めを打ち込めれば……きっと勝てる!!』

『なるほどな…んでその隙っての作る合図はどうする?』

『ない』

『ねえのかよ!!なんかあんだろ叫ぶとか名前を呼ぶとかよ!』

 

『ああそういう……でもそこじゃないんだよ問題は。オールマイトに対して僕がどれだけやれて、いつ隙が作れるか僕にも分からないんだ…』

『マジかよ……』

『でも必ずやりとげる。だからかっちゃんとには僕を信じてその瞬間を見極めて欲しい、そしてここだっ!って思うタイミングで飛び出してきて欲しい。

滅茶苦茶なこと言ってるってのは分かってる―――でもかっちゃんにしか出来ないことだと僕は思う……信じてるよ、かっちゃん!』

『デク…』

『っとまあ作戦としてはこんな感じかな!』

 

そのあとやってやるっていった以上はやってやるけどよお…この状況は予想外過ぎるぜ。

 

そんなことを考えていると遠くの方から何かが飛んでくるのが見える、それは真っ直ぐにこちらに飛んでくる人の影…

 

そしてその人影が俺の真横のビルにぶち当たった。

 

「―――痛たた…」

「おい!大丈夫かデク!!?」

その人影の正体はデクだった。デクはよろよろと立ち上がると再び元いた場所へ戻るために跳躍の準備に入っていた。

 

「ボロボロじゃねーか!ホントに大丈夫か!?」

「大丈夫だよかっちゃん。そろそろ終わりが近い、準備しておいてくれ!頼むよ、相棒!!じゃあよろしくっ――――――」

俺の心配を余所にデクは言いたいことだけいって跳んでいってしまった。

 

「ったく……あんな風に言われちゃやるっきゃねえよなぁ!!」

俺は掌から爆破を放ちながら飛んでいく、目指すは破壊の嵐の中心部。

 

 

―――デクの待つ命懸けの戦場の真っ只中だ。

 

 

 

――― 爆豪 side out ―――

 

 

 

 

 

「「――CAROLINA-SMAASH!!!」」

僕とオールマイトの袈裟斬りの手刀が交差して弾き合う、吹き荒れててく風に乗って僕はオールマイトから距離をとった。

 

これで八発目…!後二発は撃てるけど次で決めなきゃ後がなくなる。

 

オールマイトとの激闘によりOFA-PU(プルスウルトラ)の制限回数10回のうち既に8回を使いきっている。オールマイトにダメージや疲労を与えることは出来ているだろうが、まだ決定的な隙を作れていなかった。

 

 

「強くなったな緑谷少年。修行生活の中でも、雄英に入学してからも君は努力を絶やさなかった。それが如実に表れた結果がこれだ、こうして私と同等に打ち合い今もなお闘い続けている。

そんなことが出来る人間はこの日本には()()いないだろう。

もう一度言おう緑谷少年、強くなったな!」

オールマイトは少しだけ笑いながら軽く手を叩いて僕を賞賛する。

 

オールマイトに認められるのは嬉しいけど今この場じゃなくても…

 

「――だが緑谷少年……私の全力に対抗するためのその“技”、かなり無理して使っているな?」

「――ッ!!」

オールマイトは僕のOFA-PU(プルスウルトラ)の弱点をしっかりと見抜いていた。

この技は反動こそ無くせるものの異常なまでの消耗を生み出す、故に普段の全力(92%)に比べるとかなり無理をしてる状態なのだ。

 

「何を焦っている少年?君の成長速度を鑑みるに卒業するまでには……いや今年の終わり頃には私の力を超えるだろうってのに……」

オールマイトは呆れたような声で僕に問いかける。

 

確かにそうなるかもしれない、オールマイトの言っていることは正しい。でもそれじゃ駄目だ、卒業まで?今年の終わり?遅すぎるっ!!

 

「オールマイト…そんな悠長なこと言ってられない、僕には…僕らには無いんですよ!貴方だってわかってるんでしょ?

―――僕らの命はあと数週間後に終わるかもしれない!時間が無いんだオールマイト!!」

 

僕らの制限時間(タイムリミット)、神野町でのオール・フォー・ワンとの決戦の日。僕らはそこで死ぬ。

 

「かもしれないな…だかしかし君はその運命を乗り越えるために強くなった。今の君なら前世と違う、未来を……君一人なら余裕で生き残れるだろう」

「それじゃ駄目なんだ!!僕ひとりが生き残っても……僕はあなたを救けたい!!そのためだけに僕はここにいる!!」

 

僕はオールマイトを救けかった、だからあの時僕は駆け出した。文字通り死ぬほどの思いで。そして今も走り続けている、オールマイトを救うために…!

 

「だから超えます……オールマイト…!!」

僕はそれだけ呟いて拳を握り、オールマイトへ向かって駆け出す。同時に駆け出してオールマイトも僕へと駆け出してきていた。

 

ワン・フォー・オール!プルスウルトラッ!!!―――

 

「「DETROITTTT!!!!―――」」

オールマイトと僕、またしても同時に拳を引いて飛び出す。速さも力も気迫も全てが同等、対等な技のぶつけ合いとなる。

 

それじゃ駄目だ!!オールマイトを超えるために……もっと先へ――――()()()%ォォォオオオ!!

 

「「―――SMAAAAASH!!!!!」」

 

この闘いが始まってから幾度目か分からないほどあった展開、同時に振り抜かれ激突する二つの拳が破壊の衝撃波を放つ。

 

だが今回だけはその結果が変わる。

 

僕の拳がオールマイトの拳を撥ね飛ばし、彼の身体を数十センチほど宙に浮かした。

 

次の一撃を叩き込めるかどうかのギリギリ隙、だがそれはこの闘いで初めて生じたオールマイトの明確な隙だった。

 

溜めが必要なOFA-PU(プルスウルトラ)を捩じ込むには時間が足りない、ギリギリ僕の全力(92%)の一撃を叩き込めるかの隙。でも僕らにとっては十分な隙だ。

 

足りない分(残り8%)は相棒が埋めてくれる―――

 

 

「―――徹甲榴弾・着弾(APHE・インパクト)ォォ!!!」

 

僕の背後から超高速で飛び込んできたかっちゃんが、爆破範囲を極端に絞った最大火力の爆破をオールマイトへと炸裂させる。

爆炎がオールマイトの身体を呑み込んでいく、だが僕はオールマイトがかっちゃんの急襲にも反応し腕で防御をしようとしていたのを見逃さなかった。

 

自らの爆破の反動で真後ろにぶっ飛ぶかっちゃんと入れ替わるように僕がオールマイトへ向かって飛び出していく。僕はかっちゃんの一撃を信じてその拳を再度引き絞る。

 

「はああぁぁぁ!!!―――」

 

僕の突進じみた飛び出しの勢いは暴風を巻き起こし、オールマイトの姿を隠していた爆炎を振り払っていく。

そしてそこに見えたのはかっちゃんの一撃によって防御を崩されて無防備になったオールマイト姿だった。

 

「―――スマァァァッシュッッ!!!!」

 

僕は無防備になったオールマイトの胴体、その左脇腹……宿敵の残滓(AFOの傷痕)へ狙いを済ました拳を捩じ込む。

 

ごめん、オールマイト!ごめんなさい!!これしかなかったんだ!!

 

僕は捩じ込んだ拳を振り抜いて、オールマイトをアスファルトへと叩き落とす。

背中から叩きつけられたオールマイトは地面に大きなクレーターを作りながら沈んでいく。

 

僕はそのクレーターの縁へと降り立ち、中心に沈むオールマイトの姿を確認した。

 

頼む、もう立たないでくれよオールマイト……これ以上は…!

 

だかそんな僕の祈りとは裏腹に、ボロボロに成りながらもオールマイトはクレーターの中でよろつきながら立ち上がる。その眼は平和の象徴として強い光を宿したままだ。

 

まだ…!まだ闘えるのか…!?やめてくれ…!オールマイト……もうこれ以上やったら死んでしまう!!!

 

「本当に強くなったなぁ……緑谷少年…!そして爆豪少年も素晴らしい一撃だった―――」

オールマイトはボロボロの右手で僕といつの間にか横に駆けつけていたかっちゃんを指差す。

 

「―――君たちの、勝ちだっ……」

オールマイトが僕らの勝利を告げ……そして吐血しながらその場に前のめりに倒れていく。

 

「「オールマイト!!」」

僕とかっちゃんは倒れたオールマイトへ駆け寄るためにクレーターを滑り降りていく。

 

その瞬間、オールマイトの身体から煙が吹き出して辺りを包み込みその姿を隠した。

 

急に重たくなった身体を引き摺りながら失われた視界の中でオールマイトを探すが見当たらない。

 

 

「おいおい、なんだよこれ!!」

少しだけ煙が晴れていったその矢先、かっちゃんの叫びが響く。

 

「だ、誰だてめえは!?オールマイトは?まさか偽者か!!?」

 

どうやらかっちゃんがオールマイトの姿を発見してしまったらしい……見られてしまいましたか、オールマイト。

 

「かっちゃん、それもオールマイトなんだ。真の姿(トゥルーフォーム)のね」

僕は説明をしながらかっちゃんの声のする方へと歩く。こうなった以上、オールマイトの真実をかっちゃんにも教えなきゃな。

 

煙が晴れた先には口元から血を流しながら苦笑いをするトゥルーフォームのオールマイトと警戒しながら掌をむけて構えるかっちゃんが見えた。

 

「かっちゃん!ちょっと待って!」

「こりゃなんなんだよデk―――誰だてめえは!!?」

「えっ!?」

 

かっちゃんを止めなくては!そう思って声をかけた僕だったが、かっちゃんの返事は予想外のものだった。

 

「緑谷少年……君もトゥルーフォームになっちゃってるよ」

「えっーーーーー!!!!」

 

よくみると低くなった視界と小さくなった手足、前世での僕の矮小な身体。力を使い果たした僕もトゥルーフォームに変身してしまっていた。

 

どうしよう!オールマイトだけじゃなく僕の秘密もかっちゃんばれてしまった!!

 

 

 

「おい!誰か説明しろぉーーーーー!!!!」

 

――――――かっちゃん叫び声だけが破壊の痕が残る演習場に響き渡ったのだった。

 

 

 

 




ついにバレてしまった二人の秘密!!―――――


じわじわと伸びてきてテレビアニメ三期の力を感じます…!僕のやる気もじわじわと伸びてきているのでこの勢いにのって完結までいきたいですね。


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