デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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第二章の開幕になります。

ここからさらにデクが激しくなっていくので、原作とは加速度的にかけ離れていきます。

それでもオッケーって方は続きをどうぞ!



第二章 雄英高校ヒーロー科へようこそ!
滾れ筋肉!越えろ!雄英高校入試!!


オールマイトにすべてを打ち明けた僕は、もっと強くなって彼を(たす)けるヒーローになることを目指す。そのために僕がとった手段はオールマイトへの弟子入りだった!

 

 

 

 

――――オールマイトに弟子入りして10ヶ月の日々が流れ、僕は雄英高校一般入試日の朝を迎えていた。

 

「この10ヶ月間、あっという間だったな、緑谷少年」

「ええ、本当にあっという間でしたね、オールマイト。まるでコミックなら2~3巻読み飛ばしたんじゃないかと思うくらいに」

僕とオールマイトは海浜公園の浜辺で朝日を眺めながらしみじみと語る。

 

「いやしかしこの10ヶ月間、いろいろなことがあったな、緑谷少年」

「ええ、本当にいろいろなことがありましたよ、オールマイト。ちょっとしたラノベ一冊分くらいにはなるような出来事の数々―――」

「まあそれはさておき!ほんとーに!よく頑張ったよ、君は!」

僕の言葉を遮って、オールマイトが僕を誉める。

 

あの10ヶ月間をさておきで流されちゃったよ!!いろいろあったんだよ!?マラソンとか無人島とか死ぬかと思ったし…特に後半3ヶ月は忙しすぎてヤバかった。まさか僕が―――

 

「私個人からの修行はこれでひとまずおしまいだ!おめでとう、緑谷少年!」

僕が考え事をしてる間にオールマイトは話を続ける。

 

「えっ…でもまだまだ僕は半人前で―――」

「おいおい!どこまで謙虚なんだい君は…いやマジで強くなりすぎだからね君、まだ中学三年生だからね?ときどき玄田哲章みたいな声でるようになっちゃったし。まったく、強くなりすぎちゃって私から教えられるものがもう殆んどないんだもの!」

またも僕の言葉を切って、オールマイトが矢継ぎ早に話す。

 

なんか今日のオールマイト、話聞いてくれないな…!

 

「だっていまの君の身体は…そう君の身体は!

身長 188 cm!!!

体重 113 kg!!!

体脂肪率 10 %!!

その身に纏うは筋肉!そして筋肉だあ!!筋肉は鎧となり最強の盾となる!また筋肉は拳を最強の矛へと変える!!これぞ筋肉の矛盾!!しかしそこにはなんの疑問も生まれはしない!何故って?それが筋肉だからだ!!そしてその姿はまさに!筋肉の騎士だぁ!!!!」

「オールマイト!?どうしたんですか急に!??」

「いやぁ、なんだかこう言わないといけない気がしてな」

 

「とにかく君は強くなった、これからは君自身の足でヒーローへと向かっていくんだ!」

「僕自身の…」

「そう!そのための雄英だ!そこには君と同じくたくさんのヒーローの卵達がいる、そのなかで君なりのヒーローの形を探していくんだ」

「はい!必ず見つけてみせますよ、オールマイト!」

オールマイトが不安げな僕に声をかける、その言葉に僕は力強く返事をした。

 

そうだ!学校にはみんながいる!もう10年近くあってないなぁ…

そう思うとどんどん会いたくなってきたぞ!早く雄英に入学してみんなとの再会?を果たすんだ!

 

「まあ、その前に入試を突破しなければなるまい、本当は推薦入試が良かったんだが…あのときは忙しかったからな…」

「仕方ないですよ、忙しかったから…」

僕とオールマイトはまたしみじみと語る。

 

 

「とにかく、君ならなんの問題もなく合格出来るだろう、頑張ってきたまえ!少し早いが、早いに越したことはない、いってくるといいさ!」

そんなオールマイトの激励に心が昂る。

 

おおお!やるぞぉ!身体が、筋肉が滾ってきた!

 

「ありがとうございます!全力で挑んできます!!それじゃあいってきます!」

そう言い残して僕は全力で走り出す。

 

待ってろよ!雄英高校!絶対合格してやるぞ!!

 

 

「うわぁ…もう見えなくなってしまったよ、しかし全力でって言ってたけど、やり過ぎないといいんだけどね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ…ここまで来たんだなぁ…」

僕は足を止めて、その場に立ち尽くす。

 

雄英高校校門前、なにもかも懐かしい…って感慨に耽るのは後にしよう!そう思った矢先後ろから声をかけられる。

 

「ぼさっと突っ立てんじゃねぇ!どk―――ってなんだデクか」

「かっちゃん!おはよう!」

かっちゃんが僕を見つけて挨拶をして来た。

 

挨拶に見えないって?あれは遠目から僕の姿を見つけたけど、素直に声をかけられず、とりあえず近くによってこっちから挨拶してもらおうと思っての行動だ、自称フェイバリット幼馴染の僕にはわかる。

 

「ようデク、なんかまたでかくなってねぇか?暫く学校も休みがちだったし…いったい何してきたんだ?」

「まあ、なんというかいろいろあってね…」

「そうか、しっかし背は10 cmくらい伸びてるし、ウェイトもかなり増してる」

かっちゃんが僕の身体を観察しながら、うんうんと唸っている。

 

「わかったぜ!身長 188 cm!体重 113 kg!体脂肪率10 %!!その筋肉は―――」

「そのくだりはもうやったからいいんだかっちゃん!!」

かっちゃんが僕の身体の解析を終えて叫ぶ、僕はそれをぶったぎって止める。

 

ていうか身長ならまだしもなんで体重や体脂肪率までピタリとわかるんだよ…新手の個性か!?

 

「そうなのか?まあでも当たってたろ?」

「確かに当たってたけどさ、なんなのその特技?かっちゃんの個性って爆破でしょ―――んっ?」

かっちゃん話をしていると背中になにかが当たった感触がする。

 

「っ、いったぁー。壁にぶつかっちゃった?って人ぉ!?」

そこには僕にぶつかって痛そうにしている、麗日さんの姿があった。

 

「てめぇ!ひとにぶつかっといてすいませんの一言もねぇのか!?あぁ?!」

かっちゃんが麗日さんを怒鳴り付ける。ぶつかられたのは僕なのに。

 

「ひっ…!顔こわっ!じゃなくて、すいません、すいません!」

麗日さんがかっちゃんの顔にビビりながら謝る、なぜかかっちゃんに…

 

確かにかっちゃんのあの顔は慣れるまで驚くのはわかる、ヤバい顔してるもの。かっちゃんマジヴィラン顔。

しっかし麗日さん可愛いなぁ、10年ぶりに見たからかな?―――

 

「謝る相手がちげぇだろ!丸顔ォ!!」

「ひぃっ!あ、あのすいません!ほんとにすいません!!」

 

―――いや違う…!これは…!身長差だ!!かなり高くなった僕の顔の位置と麗日さんの顔の位置、必然的に見上げる形になる!それによって生み出されるのは上目遣い…!しかも涙目の追加武装(オプション)付き!涙は女の武器というが…この破壊力はすさまじい!!

って、ちがーう!いまは僕がこの場を収めなくては!なるべく紳士的に、穏やかに、よし!いくぞ!

 

「いやぁ…怪我はないかね、う…じゃなくてキミィ…」(玄田哲章ボイス)

あわわ、ドギマギしちゃってめっちゃ低い声出ちゃった!

 

「ひいいいっ!怖い!!すいませんでしたーーー!!」

麗日さんはそう叫ぶと、ひええといいながら走り去っていった。

 

めっちゃびびられたーーー!僕の第一印象最悪じゃないか!!これもうダメかもしれないですね…

 

僕は落ち込みながらかっちゃんとともに試験会場へと向かったのだった。

 

 

筆記試験は特に問題なくおわり、僕は実技試験の説明会場に来ていた。隣にはかっちゃんが座っている。

 

「今日は俺のライブへようこそ!エビバディセイヘイ!」

「ヨーコソー!!」「………」

ボイスヒーロー、プレゼントマイクの言葉に僕だけが返す。

 

「コールがひとりとはこいつはシビィーー!それじゃあ実技試験の概要をさくっとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?YEAAAH!!!」

「イェアーーーー!」「………」

 

なんでみんなコールしないんだ!?プレゼントマイクのコールだぞ!!?…ああそうか、緊張してるんだな、初受験の人が殆んどだし。まあ僕は二回目だからなぁ…って前の方に座ってる飯田君がすっごい睨んでるーーー!!彼真面目だからなぁ、騒いでる僕が気に入らないんだろう。

 

その後、プレゼントマイクの説明(プレゼン)は淡々と進んでいった。飯田君はチラチラとこちらを睨んでいたが特になにも言っては来なかった。たぶん、僕とかっちゃんの「ダチと協力できないようなシステムになってんのか、デクとほかのやつらに目にものみせてやろうと思ってたのになぁ」「ははは、残念だね、別々だけど頑張ろう」「楽勝だっつーの」みたいな会話が聞こえていたのだろう。でも飯田君、人の話はちゃんと集中して聞かなきゃダメだぞ!

 

 

説明も終わり、僕達受験生はそれぞれの会場へと向かった。

 

みんなが試験前の準備をしている、そのなかに麗日さんの姿を見つけた。さっきのことを謝らなきゃ!印象回復!さっそく声をかけよう―――

 

「君!その女子は精神統一を図ってるのではないか?」

飯田君が僕に注意する。

 

「先程の説明会でもそうだったが君は迷惑行為を繰り返すのか!余裕があるのかなにか知らないが、人の邪魔をするんじゃない!」

 

うわっ飯田君怒ってるよ!傍目から見ると迷惑だったのかなぁ。でもプレゼントマイクにテンション上がるのは許して欲しいなぁ。

 

「あの異形型みたいなマッチョに絡んでるよ、あの眼鏡すげぇな…」

周りが僕と飯田君のやり取りにざわついている。

 

「はいスタート!!」

そんな中、急にスタートの声が響いた。プレゼントマイクの試験開始の合図だ。周りがまだざわついているなか、僕は一目散に駆け出す。

 

「悪いね!試験開始だ!おいとまさせてもらうよ!!」

僕は後ろに手を振りながら、先へと進む。

 

よし!いまの僕なら仮想ヴィランも楽勝だ!今度こそたくさんポイント稼ごう!!

 

 

「ニンゲンメ、ブチコロシテヤルゼー!!」

「スクラップにしてやる!!この!メタルのゴミめ!!」

僕は試験会場の外周あたりを周りながら次々とロボを破壊していく。

 

ついつい勝ちなどにこだわるとドスを利かせて口が悪くなってしまう、確かに玄田哲章みたいな声だな。でもこれはきっと前世から続くかっちゃんの影響だろうなぁ、やっぱり変わらないところは変わらないんだな!

 

「来いよ、ロボット!銃なんか捨ててかかってこい!」

「テメーナンカ、コワクネェ!」「ヤローブッコロシテヤル!!」

「地獄へ落ちろ、ロボット!」

僕はさらにロボットを破壊していく―――

 

 

―――これで99ポイント目!そろそろ撃破ポイントはいいかな、中央も人が集まってきたようだ。救助活動(レスキュー)ポイントも稼ごう!!

 

僕はビルの上を跳ねていき会場の中央へと向う、中央では多くの受験生がすでにロボットと戦闘を繰り広げていた。

 

危なそうな人はいないかな?―――っと見つけた!

 

「危ない!!」

僕は金髪の受験生に後ろから襲いかかっていたロボットを受け止める。その直後、彼の腹からレーザーが発射され、ロボを貫き破壊する。

 

「メルスィ、いい連携ができたね。君とはまた会いそうだ」

レーザーの個性、青山君だ!前と言ってることが真逆だけど!

 

―――それからも僕は次々と受験生達を庇っていった。

 

「あぶなーい!」

「うお!?まさか上から来るとは、助かったぜ!」

 

「アブなーーい!!」

「きゃあ、まさか倒したと思って油断したところで首に噛みついてこようとするなんて、助かったわ!」

 

「危険が危ない!!」

「ふう、飛んでいるところに襲いかかってきて、身体を飲み込もうとするなんて、助かったよ」

 

―――こんな感じで救助活動ポイントを稼いでいると、ついにあれが動き出した。

 

「見ろ!なんだあのバカでかいのは!?」「お邪魔ギミックってやつか…!」「にげろー!!」

0ポイント仮想ヴィラン、超巨大ロボットが現れた、他の受験生が逃げだしていく。僕はその足元を見る、そこには瓦礫に足を挟まれた麗日さんの姿があった。

 

「麗日さんは瓦礫に挟まれる運命にあるのな?―――っと!!」

僕は超巨大ロボットへむかって走り出す。麗日さんを(たす)けるために。

 

「もう大丈夫!救けに来たよ!」

僕はそう言って笑う、そして瓦礫をどかして麗日さんを引っ張り出した。

 

「ありが―――」

「気をつけろー!きてるぞー!!」

後ろから誰かの声が聞こえる。ふと見上げると、0ポイント仮想ヴィランの巨大な足が僕らを踏み潰そうとしていた。

 

「ちょっと失礼するね!ごめん!」

「ひゃああああ!!」

麗日さんを左腕で抱えてそのまま巨大ロボットの顔の方へと大きく跳躍する。

 

「しっかり掴まっててね!!」

麗日さんにそう告げて、僕は大きく腕を引いた。

 

いま僕が反動なしで打てる全力の一撃…!くらえ―――

 

8()8()()!オレゴン・スマァッシュ!!」

力一杯振り抜いた僕の腕は、巨大ロボットの顔面を破壊しつくし、その巨体を地面へと沈めた。

 

「着地いくよ!気をつけて!」

「ひゃっ…うわぁああぁぁ!!」

僕は両手で抱えるとそのまま地面へと落下していく。そして着地の瞬間地面を強く蹴り、落下の衝撃を相殺した。地面はひび割れて陥没し、あたりに土煙が立ち込める。

 

ちょっと派手にやり過ぎたかな…?周りがかなり騒がしい。

 

「終わったよ、怪我とかしてない?大丈夫?」

「あっ…あの…はいぃ…大丈夫です…」

僕の腕の中で呆然としている麗日さんに声をかける、なんだか声に元気がない、怖い思いをさせてしまっただろうか。その顔は俯いていて、表情を見ることができない。

 

「試験終了ーーーー!」

土煙が晴れると同時に試験終了の合図が響き渡った。

 

「さっきからぼーっとしてるけどほんとに大丈夫?怪我とかあったら治療してもらって帰るといいよ、それじゃあ僕はこれで―――」

腕の中で動かない麗日さんをゆっくりと地面に下ろし、声をかける。

 

試験前に怖がらせてしまったし、きっといまも僕が怖いのだろう…結構凹む。その場を去ろうと歩き始めたときに麗日さんに声をかけられた。

 

「あの!…えっと、ありがとう!」

「どういたしまして!」

麗日さんが感謝の言葉をくれる、僕はそれに笑顔と親指を立てて答えた。

 

やったー!麗日さんが微笑んでくれたぞ!!怖がらせてばっかりだったけど、嫌われてはなさそうだ!!麗日さんマジ天使!!

 

僕は上機嫌になり、小走りして帰っていった。家までの間の記憶はなかった―――

 

 

 

 

―――一週間後、僕は日課のランニングを終えて、家に向かっていた。

 

うわぁ、完全にやり過ぎちゃったよぉ…撃破ポイント99Pってアホか!獲りすぎだ!他の人の妨害だって言われてもおかしくない…!救助活動もやり過ぎて妨害扱いになってるかもしれない…!ヤバい!ヤバいヤバい!!

考え込むほど不安になってくる、もしかしたら失格になってるかもしれない…

 

そうしてるうちに家に帰りついていた。

 

「母さんーただいまー!」

「おかえり、出久ー」

母さんはリビングでテレビを見ながら返事をする。

 

緑谷引子、僕の母親で物を引き寄せる個性の持ち主だ。前世とちがって僕が個性を持ち、ゴリゴリと健康的に育っていったため、ストレスで太るようなこともなく、いまでも痩身麗人な奥さんになっている。

 

「そういえば出久―――」

「なに?母さん」

 

 

 

 

「雄英から合否通知の郵便が来てたわ、合格だってね!おめでとう!」

「えっ…!えーーっ!!なんで勝手に見ちゃうんだよ母さん!しかもしれっと合格だったとか言わないでよ!!」

母さんがおせんべいを食べながらなんでもなさげにいう。

 

合格!?なんでそんなに当たり前のように言うかなぁしかし!僕はこの一週間、失格かも知れないってずっとドキドキしてたってのに!!ひどいや!

 

「えー、だって出久なら絶対合格だってわかってたしいいかなーって、ごめんね!」

「うーん、素直に言われるともうなにも言えないよ…」

母さんが自信満々に言う、すっかり肝っ玉お母さんになってしまったようだ。

 

まあぐちぐち言ってても仕方ないし、僕も素直に喜ぶとしよう!切り替えが大切だよね!

 

「今夜はご馳走にしましょう!」

「やったね!なにがいいかな―――」

 

 

あとで手紙を開けてみると、僕の結果は撃破ポイント99P、救助活動ポイント99Pで、ぶっちぎりの一位合格だったらしい。春から教師になるというオールマイトがややウンザリ顔で言ってたので間違いないだろう。

 

 

 

 

 

 

それからの日々はあっという間だった―――

 

 

残りの中学生活を過ごし―――

 

 

卒業式を経て―――

 

 

 

 

そして雄英高校入学の朝を迎えた―――

 

 




筋肉ぅ…ですかねぇ…

ちなみにこのデクの身長体重はシュワちゃんと同じになってます。

タグに「筋肉」と「玄田哲章」を加えました。

追記:デクの体脂肪率を15%から10%に修正しました。詳細は感想欄にて…



UA通算10000越えました!当初の目的だったので達成できてとても嬉しいです!

しかも日間(加点式)ランキング18位!日間ルーキーランキング10位!!
トップテン!トップテン入りですよプロ…読者さん!!

ビックリしすぎて、リロードして二度見しましたよ!

この結果も読んで下さっている皆様のお陰です。

本当にありがとうございます、そしてこれからもよろしくお願いします!

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