ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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限界

「……はぁ。」

俺はいつも通り屋根の上で寝転がる。

行きたくねぇなぁ

昨日あんなことあったばかりの教室に行きたくなかった。

あの後、予想通り赤羽先輩も暗殺に失敗したと、潮田先輩がLAIMで送ってきた。

それは死神の手柄だろう。俺は何もしていない。

でも、多分死神にも伝わったのだろう。

誰も信用せず。物として人を見ていた俺に呆れてるだろうか?

失望するだろうか

知っているのに答えを濁してしまう。

助けようとするだろうな。

あぐりさんもそうだったから

ちゃんと見てくれる

それだけだ。

いつからこんな生活を送ってきたのだろう。

知っているのに覚えてるのに気持ちが悪くなってくる。

自分の中で拒絶し無意識に助けを求めている。

だから、自分が嫌い。

たった一言言えばいいのに

その一言が言えなくて

自分で自分を傷つける。

そんな俺が嫌いだ。

 

「……羽川くん。ちょっといいか?」

「……なんですか?」

朝のHR中屋根上にいると烏間先生に話しかけられる。

「……ひどいな。」

「そりゃ。自己嫌悪中ですから。」

「そうか。」

烏間先生が辛そうにこっちを見る。

「すまない。」

「…は?」

「国も、仕事も関係ない。烏間惟臣として謝罪させてもらう。すまなかった。」

頭をさげる烏間先生に少し驚くが

「……今更何言ってるんですか。謝罪も過去のことだし気にしてねぇよ。」

本音を言う。

「……それに謝るんだったらあかりねぇに謝れ。あいつもねぇさんを国に囮にされた挙句、殺されたんだ。あいつも少なからず、国に恨みを持っているはずだ。」

冷たい言葉に烏間先生は少し納得がいったように頷く。

「なんだよ。」

「いや。もう少し早く気づいておけばよかった。」

「……」

俺は殺意がないかだけ調べてみると真っ白。本心で話していることが分かった。

「あかりねぇはあんたが守ってくれ。俺はあいつを守れる自信がない。」

「……それは君がこの国を去った後もか?」

「もちろん。これはあんたにしか頼めない。俺にも、死神でもな。」

「……君はやっぱり。」

すると何か言いたげだったが

「あぁ。分かった。」

あっさり了承してくれた

「……ごめん。本当なら俺が守りたかった。でもいつ殺されても仕方ない。だからあんたにしか頼むしかないんだ。」

「……」

「死神も殺されてしまったら、俺も多分追われて二度と日本に来ることはない。第一俺は日本以外は追われていないしな。」

「……なら、なんで君は日本に戻ってきたんだ。」

烏間先生の言う通りだ。

日本よりも海外にいた方が安全なのに俺は日本に戻ってきた。

そんなのはわかりきっていた

「あかりねぇとあぐりさんに会いたかったから。」

好きな人がどうしているか

自分を弟のように一人の小学生として見てくれた人に会いたかったから

俺が大好きだった二人に会いたかったのだ。

「……だけども結局あぐりさんにはあえず。あかりねぇは一番会いたくない場所で会ってしまった。」

しかも一目見た時にあかりねぇは気づいてしまった。

俺が生きていることを

「会いたかったけど、こんなことになるんだったら会いたくなかった。死んだことになってるんだったら戻って来るんじゃなかった。地球を滅びる物を作ってまたあかりねぇを悲しませるんだったら俺なんか。」

「……それ以上はダメだ。」

「産まれてこなければよかった。」

俺が烏間先生に止められることも知っていたが口に出してしまった。

「烏間先生、俺が生きているってそんなにダメなことなんですか?何もしてないのに、ただ俺は好きなことを調べていただけなのに。危険だと忠告していたのに勝手に人の研究を使われて、国から裏切られ、家族は全員殺された。俺ってなんで死なないといけないんですか?なんで佳奈は、あぐりさんは死なないといけなかったんですか?」

「すまない。」

「……あかりねぇにも久しぶりに会えたのに。会えなくなるなんて嫌だよ。」

「……」

「なんで。」

目が熱く水滴が流れる。

「なんで生きているんだろう。」

 

「……」

目がさめると木の天井が見える。

「……起きましたか?」

そして黄色いタコが目に入る。そっかあんたそんな姿になってたんだな。

「……ここは?」

「学校の職員室です。」

すると烏間先生が目に入る。

「…そっか。またいつものか。」

「……やっぱり初めてではないんですね。」

「……あぁ。」

俺は頷く。

「4年前、佳奈が死んでからは薬を飲まないと定期的に発作が起こっている。」

「……すまない。本当にすまない。」

烏間先生が悪いわけじゃないのに謝って来る。

「……病院には?」

「行ってない。一度睡眠障害で毒を薬と言って渡してきたのがトラウマになって。」

すると二人の動きが止まる。

「……ごめん。黙っていて。」

「先生は君のことを強い人だと思っていました。でも間違っていたんですね。」

「中は普通だよ。もともと体だってそんなに強くないし精神だって強くない。力とかはドーピングで強くなるけど精神的は強くなれない。」

「ドーピングってどう言うことだ?」

「俺が作った薬で筋肉や皮膚などを強化しているんです。異次元みたいな身体能力は模擬戦で戦ったあなたならわかると思いますが。」

「……。」

烏間先生は言葉を失いかけている。それも当たり前だろう。

「でも、薬なんて飲むそぶりはしてなかったぞ。」

「……簡単ですよ。効果は永続。飲んだ数だけ強くなれる。……これが俺が追われている理由の一つです。」

「……確かにその薬があれば今の戦争は一気に変わるな。」

「でも大量接収を続けると血管が血圧に耐えきれなくなって内出血を起こし最悪死にます。それに、反対の薬がないんで一度飲んでしまえば後には引けません。」

「羽川くんは今20錠近く飲んでいるらしいです。彼曰く15錠以上飲めば命の保証はないらしいです。」

「……それはつまり」

「今後その薬を飲む時は羽川くんは死ぬ可能性があります。」

「もしレシピが奪われようならその国は大きな利益を生みます。多分殺し屋を雇うってことは他国に漏れるのを阻止したかっただと思います。」

すると今の日本の現状に驚いているのだろうか

「……そして、二つ目は反物質生体内によるエネルギーの生成方法。烏間先生も死神も知っていると思いますが」

俺は息を吸い

「触手を生み出した最初の人間です。」


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