ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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悪夢

「……」

自分は時々現れるパニック障害。

泣けないからずっとストレスが溜まっていく。

ターゲットをしていると休まる時間がない。

ずっと命を狙われるという緊張感

そんなの耐えられるはずがなかった。

吐き気、寒気、精神的に不安定な状態が続きその後五時間ほど寝てしまう。

そしていつも起きてから知ってしまうのだ。

また死ねなかったんだと。

いつも一ヶ月から二ヶ月の頻度で起こる。

全てを失い、希望も何も見えず

目の先が真っ暗になる。

ドーピング薬はもう使えない。

これ以上飲んでも自殺してしまう。

臆病だから自殺もできない。

ただずっと苦しみ続けるだけ

誰も助けてはくれないし

暗闇の中でたった一人

そして声が聴こえて来る。

誰の声だかわからない。

でも怖い。

それが救いの手なのか何もわからない。でもわからないことが怖い。

「来るな。」

だから拒絶してしまう。

「「¥#$#」」

「来ないで」

「#$*#$」

「くるなぁ!!」

 

「羽川くん!!」

気がつくとそこは

「……羽川くん大丈夫?顔色悪いけど。」

矢田先輩が話しかけて来る。えっと確か烏間先生が担当の体育の授業だったからすることもないので木陰で休んでいたんだっけ。

そしたら眠気が襲ってきて

「……またこの夢か。」

俺は何があったのか知ってしまう。

「怖い夢でも見たの。」

「……まぁ。そんなところです。」

いつものことだった。

精神的にも追い詰められている時に起こる悪夢。

これを見るってことは

やっぱり昨日のことが原因か。

「……」

不安そうにこっちを見てくる矢田先輩

少したってから

「すいません。迷惑をかけてしまって。」

「ううん。大丈夫。でも殺せんせーを呼んでこようか?」

「…大丈夫です。」

さすがに死神に心配かけるわけにはいかないだろう。

「でも、さっきの羽川くん」

「大丈夫ですよ。いつものことなんで。」

俺が強引に締める。

「それでなんですか?」

「えっ?授業が終わったから呼びにきたんだけど、うなされていたから。」

「……本当にすいません。」

「謝ることじゃないと思うけど。」

……違う。謝ることなんだ。

少しでも死ななかったことを後悔するよりかはましなんだ。

「……もしかして昨日休んだのってパニック障害?」

「……誰にも言わないでください。心配をかけてしまうので。」

「なんで黙って」

「前兆に気づかなかったんですよ。今回のは。いつもなら悪夢が最初にきていたので。」

本当のことをいう。

前兆はいつも悪夢だった。

暗闇にたった一人

そして声が

「羽川くん!!」

その声はもう誰の声だかわからない

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

 

「……はぁ。はぁ。」

「……」

「……」

言葉を失っている二人の姿が見える。

「ねぇ。烏間先生どうにかならないの?」

「……」

烏間先生は口を閉ざす

「羽川くんからの要請で、国家にも生徒にも言わないでくれと言われていたんだが。」

「知っています。この状態の羽川くんを見ていたら。」

「……病院にもトラウマがあるらしく、いけないらしい。」

「……まぁ。そんな感じです。」

少し落ち着いたので返事をしておく。

「発作はどれくらい続くんだ?」

「3日間くらいですかね。」

「……明日は休日だがどうするんだ?」

「睡眠薬を摂取するしかないと思います。前の5億で薬は大量に作りましたから。」

「……ちょっと待って。睡眠薬って。」

「睡眠障害は逃亡を始めた時からずっとあったんですよ。勉強や習い事で夜遅くまでずっと習っていましたから。」

寝たのに疲れが溜まって過労になり、休むと両親に怒られる。だから休めないし休ませてはくれなかった。

するといつの間にか寝れなくなったり急に倒れて寝てしまうことが多々あった。

「ストレスばっかりかかってきたのでいつの間にかなれるもんだと思っていたんですが、ダメですね。もう体がどんどん壊れていくのがわかるんですよ。」

「……」

「烏間先生には言ったと思いますが、多分この病気はもう治りません。一生ついて回ります。だからもういつ死んでもおかしくないんです。」

暗殺者に殺されるか、精神病で自殺か発狂するかどっちにしろもう限界に近い。

それは2年前からもうわかっていた。

最後の何をしたいか考えた結果

大好きだった二人に会いたいと願い学校に行くことだった。

「だから生きれても後2〜3年。それが生きていられる最後の時間。」

だから無茶言ってこの学校に入学した。

理事長先生も俺の願いを聞き入れてくれたので本当に感謝している。

「そして話せるのは後半年持つかわからない。」

「「えっ?」」

「最近時々声が出なくなる時がある。それがいつになるかはわからないけど……多分早かったら明日にも声が出せなくなるかもしれない。」

「……」

「矢田先輩。烏間先生。狙われるってこう言うことです。殺されるっていうのは。あの先生がおかしいだけで、俺にとったら地獄でしかありません。」

苦しくて、悲しくて死ぬ覚悟もしないといけない。

「生きれる時間が本当に俺にとったら貴重なんです。」

1秒、たった1秒

これはとても重い。

だからこの一年だけはせめて学校を楽しみたい

去年は初めての学校だったからあまり戸惑っていたけど

死神の授業を受ける。

それだけでも…

「矢田先輩、心配してくれてありがとうございます。でももうどうしようもないんですよ。」

 

バチバチ

焚き火に火花が散る。

……今日も迷惑かけちゃったな。

俺はため息をつき、いつも通り体調と何があったのか日記に書く。

そして眠りにつく前に睡眠薬を飲む。

睡眠薬も最近は販売に出してたら危ないものだ。

どんどん耐性がついてしまい、少しでも弱かったら眠れない

明日殺されるかもしれない

でも起きても同じ苦しみにもがき苦しむんだろう。

次起きるのは二日後。

晩飯も残ってる物を食べ、適当な石に寝転がる。

そして睡眠薬が効き始めるのを感じる。

「……」

こんな生活が死ぬまで続くとなると気が重くなる。

でも次目が覚めた時

俺は元気なふりができると思って。


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