ターゲットの暗殺教室 作:クローバー
「さて、始めましょうか」
分身した死神を見て全員が思った。
……何を?
「学校の中間テストが近づいてきました。」
「そうそう」
「こんなわけでこの時間は。」
「高速強化テスト勉強をおこないます。」
「……」
そういえば中間テストが近かったな。
俺は少しため息をつく。苦手科目はほとんどないのであまり関係のない。
適当にすませるか。
「羽川くんは矢田さんを教えてください。」
「……」
俺は少し固まる。
「……なんで?」
「羽川くんにはこの程度の問題油断しなければ大丈夫でしょう。最近羽川くんと矢田さんは仲がいいので。」
「……」
確かにそうなのだが。
「矢田先輩は先生じゃなくていいのか?」
「えっ?大丈夫だと思う。羽川くん教えるの上手いから。」
「……ならいいけど。俺やりたいことあるんだけど同時進行でいいか?」
「やりたいことですか?」
「あぁ。少し久しぶりに研究するから。」
すると死神は少し驚いたような顔をしてる。
それもそのはず
「……何を作るつもりですか?」
「大丈夫。今のところは何も作らないから。化学式を弄るだけ。」
「……」
「ってか多分これから必要になる。多分この教室にとってもこの選択をする人は少なからずいるはずだから。」
すると死神はハッとする。俺が言ったことがわかったのだろう。
「……わかりました。それが君の選択ですね。」
「あぁ。俺しかできないし、これは俺のけじめだ。元の薬はできてるんだ。使っちゃったけど。」
「……」
あかりねぇに使った薬、あれを改良したら
もしかしたら
「……しかし今回はテスト勉強に集中してくれませんか?」
「…」
しかし答えは否だった。
多分色々な感情があるのだろう。先生としての責任。
色々考えた結果そういう選択になった。
「……」
信用できるし信頼できる。
そんな死神からの言葉だ。
俺は先生として死神を見ていない。
ターゲットとターゲットの関係。同じ立場を体験し、殺し屋とターゲットの関係、あんたに殺されそうになったこともある。
あんたはどう思ってるかわからない。だけど俺はできることなら一年後、二人とも生きていたい。
俺があんたを救いたい。
これが償いになるとは思わない
でももう大切な人を失うのは嫌だ。
自分の技術でもう人を傷つけるのは嫌なんだ。
「…了解。」
だからあんたを信じる。
後一週間じっくり考えろ
自分のやれることを全てこの教室に
「……えっと結局何が言いたかったんだ?」
「磯貝くんはわからないでいいですよ。」
「え〜羽川くん。」
「先輩には多分わかりません。」
死神と顔をあわせるとくすりと笑ってしまう。
するとみんながこっちを見る。
あれ?
「……なんですか?」
「いや、今笑ったよな?」
「……まるで俺が笑わないみたいな。」
「だって羽川が笑ったとこなんて見たことがないぞ。」
岡島先輩が言うとみんなが頷く。
そういえば俺最後に笑ったのっていつだっけ?
……辛いことばかりでずっと苦しんでいた思いしかないな
「まぁ。さすがに笑うこともありますよ。」
「そ、そうだよな。ご、ごめん。」
そっか。笑ってたのか。
笑わないのが普通の生活に慣れてたことにすら気づいてなかったんだな。
「そっか。笑ってたのか。」
ちょっとだけ嬉しくなってしまう。
「……羽川くん?」
「なんでもない。」
「……」
死神が笑う。でもわかっていた。こんな幸せが続かないことは。
帰る直前異変に気付く
バタバタと鳥が飛び立ち木がいつもよりしなっている。
「……」
「羽川くんどうしましたか?」
「……そっか。今日は俺か。」
「どうしたの?」
「先生。今すぐ全員を帰らせてくれないか?多分スナイパーが山にいる。持ってるのが実銃だしあんたが狙われてるわけじゃなさそうだな。」
少し目を凝らすと俺の方に銃口が向かっている。そして微かながら赤い髪とスナイパーライフル
「……スカイだな。最近この街に来てることは知ってたけど俺目当てだとは思わなかった。」
「……殺し屋ですか?」
「あぁ。日本政府が俺目当てで雇ったな。仕事実績は105人。多分イリーナ・イェラビッチと関連づけるとログロが推薦した可能性が高いな。」
日本政府はロヴロを味方につけたのか。
「仕方ないか。ちょっと制圧してくる。」
「……気をつけて。」
「あぁ。」
そっか。久しぶりだから忘れてた。
命懸けでこの教室に参加したんだった。
楽しかったからすっかり忘れてた。
忘れたままなら良かった。
でもあんな分かりやすいやつに殺されるのはごめんだ。
ここじゃ逃げるよりも制圧したほうがいい。
経験からそうわかった。
校舎の裏に周り気配を薄くする。
んじゃ行こうか。
「……羽川くん久しぶりだね。」
戻ってきたら浅野理事長がいた。
「お久しぶりです。理事長先生。」
「……ところでその引きづられてる男性は?」
「俺を狙った殺し屋ですよ。政府への脅しになるので引き渡しましょうか?」
「えぇ。いいんですか?」
「もちろん。俺が入学した経緯にそういうことも含まれてるしな。ちゃんと証拠もあるし。」
スナイパーライフルのバレットM82を渡す。
「……」
「どうした?」
「いえ。体調面は大丈夫ですか?」
俺は少し戸惑ってしまう。
唯一俺の体調について知っていた人だ。
「なんとも言えないって感じです。去年は一度も狙われませんでしたが今年はもう場所が露見してしまってるので。」
「ではこの学校には今年で最後になりますか?」
「……はい。」
「そうですか。」
少し悲しそうな顔をしている理事長に戸惑う。
「……なにかあったんですか?」
「いえ。私じゃあ君を守れないのかって思いまして。」
「……気持ちはありがたいですが。正直なところ無理ですね。あんたまで巻き込んでしまうことになってしまう。」
「そうですか。」
すると悔しさ、後悔、寂しさが浅野理事長に含まれる。
顔は笑顔だからこそ
「本当に何があったんですか?」
心配してしまう。
悲しそうな笑顔。
孤独でどこか辛そうな笑顔
俺と似ている
俺の絶望していた時と似ている。
「……まぁ、話すことはないと思いますが。あなたも俺の恩人の一人です。巻き込まれてほしくありません。生きていて欲しいんです。」
「……まぁ私は益のために君を通わせているんですよ。でも、君ならいい教師になれたと思います。」
最初は嘘で最後のは本当のことだな。
この人は感情が伝わりにくい。
でも確かに明確な強さがあり、それを守り抜くことができている
「……もし君が生きていたらこの学校で先生として働いてくれませんか?」
「懐かしいですね。」
「……あぁ。最初にあんたが言ってくれたよな。」
少し笑って
「何年かかるかわからないけどもし生きてたらここで働きますよ。雑用でもなんでも。」
「それは楽しみですね。」
「あぁ。」
「生きてください、羽川くん。」
すると浅野理事長は帰っていく。
本当理事長先生には感謝し尽くせないな。
そして教員室に入ると
「死神何やってるの?」
小さな鉄の輪っかに絡まっている死神がいた。