ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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マンション

「羽川くん。荷物これだけなの?」

「あっはい。最低限度のもの以外は全部置いてきました」

「こうちゃん。こっち手伝って。」

「あかりねぇの荷物を持ってるんだけど。死神に頼め。」

「なんでですか!!」

「誰のせいでこうなったと思ってるんだよ。さっさと働け。」

「にゅやー。」

今、予定では矢田先輩の家で全ての真相について話すはずだったのだが何故か普通のマンションに自分の荷物を入れていた。

「なんでこんなことになったんだろ。」

こうなった経緯は約三時間前に戻る。

 

「はぁ。今日も殺せなかったか。」

「仕方ないだろ。速すぎるし。」

「あはは。やっぱり暗殺のことばっかりだね。」

あかりねぇが珍しく俺の机にくる。

「どうした?」

「羽川くんは修学旅行に行けるの?」

「いけるってさ。一応お金も払ってるし。」

「それなら、同じ班にならないかな?」

「……えっ?」

「えっと、ダメかな?」

同じ班か。でも

「俺、矢田先輩に先誘われてるんだよ。班は決まってないけど多分磯貝先輩たちとなるだろうし。」

「あっ。そうなんだ。」

「……でも、一人多いしそっちにいくかもしれない。こっち側八人いるし。」

「羽川くんはいるか?」

烏間先生が呼んでいる。

「なんですか?」

「ちょっとこの施設を授業に取り入れたいんだが。」

「もうちょっと受け身をしっかりと習ってからの方がいいと思います。ロープ30mは落下してるさい打ち所悪いと死にますし。それに取り入れるんだったら少し感覚を開けた方が安全面には。」

「ちょっと羽川はいる?」

するとイリーナが呼んでる。

「イリーナ少し待ってくれませんか?後から確認しますので。」

「いいけど。何してるわけ?」

「あぁ、烏間先生と一緒に訓練施設の安全性を見てるんですよ。一応実家建設業でしたし。」

「へぇ〜。」

「うわ〜興味なさそう。」

「とりあえず。ここは。」

「羽川くんはいますか?」

すると全速力で走ってくる死神がいた。

「なんですか?テスト終わったばっかりなのになんか忙しいんですが。」

「す、すみません。あと烏間先生と矢田さんも来てください。」

「なんだ?」

「……詳しいことは教員室で話しますので。」

「ここじゃ話せないの?」

「……ちょっと羽川くんのことで話しておきたいことがあります。」

俺のことで矢田先輩も呼ばれるなんてどう言うことだ?

「……あぁそう言うことか。」

しかしすぐに納得できた。矢田先輩の方を見ると頷いている。

パニック障害についてだ

「……イリーナ。明日見ますので今日は失礼します。」

「えっ?ちょっと。」

俺はスマホを取り出しあかりねぇに後から話すって連絡する。

するとスマホを見たあかりねぇはそれを見て驚いたようにしてたがその後頷いた。

教員室に入ると緑茶とお茶請けの和菓子が置かれている。

「……長くなるのか?」

「はい。少し矢田さんにも協力してほしいので。」

「協力ってどういうこと?」

すると矢田先輩と烏間先生。そして呼んでいないイリーナが入って来る。

「……これで全員ですね。ですが」

「イリーナは呼んでないだが。」

「何よ。私が聞いたらダメっていうの?」

「……正直殺し屋には聞いて欲しくないです。自分の弱点について話すことになるので。」

「はぁ?」

「すいません。出ていってください。まだイリーナのことは信じきれていないので。」

「……」

イリーナは不満そうに見ているが仕方ない。

正直俺は信用できる人だけにしか話したくない。

「……イリーナ。すまないがこれは本当に羽川くん自身の命に関わることだ。俺もこの案件については防衛省ではなく個人的に彼に協力している。」

「……わかったわ。つまり聞かせられないことなの?」

「あぁ。」

「……すみません」

「謝ることないわ。でももし私が信用できると思ってくれたとき教えてくれないかしら。」

イリーナが言う。

「そうします。」

「そう。なら、桃花。大切な人ならきちんと守ってあげなさい。」

するとイリーナは教室のドアを開けて出ていく。

「……」

「ニヤニヤしてないで話してくれないか?」

「はい。羽川くんのことなんですが思っていたよりも軽いです。」

「「「は(えっ)?」」」

死神の言葉に少し呆気にとられる。

「軽いうつ状態になっているだけで後ろ向きになっているだけです。ちゃんと治療を受ければ治ります。」

「本当!殺せんせー。」

「はい。」

「……治療をうければか。」

「……」

烏間先生の言葉に黙り込んでしまう。

「えっ?」

「病院に行かないといけないんだよな。」

すると死神が黙り込む。

「……」

「ちょっと待って。病院に通えば治るんだよね。」

「……矢田先輩俺は病院で一度殺されかけています。」

「……えっ?」

「薬は最初は普通の睡眠薬でしたが。一月ぐらい通った後睡眠薬のイソミタールを渡されました。副作用が強いので普通の病院では軽度の睡眠障害ではまず渡されません。つまり医療としてではなく殺すつもりで。」

「……ついでにその病院は?」

烏間先生が聞いてくる。

「潰れました。どうやら不祥事で病院が潰れかけていたらしく。殺し屋に共同暗殺を持ちかけられていたらしいです。」

「……でも日本じゃ。」

「日本政府に狙われているのにですか?」

すると矢田先輩が黙り込む。

「あ、ごめんなさい。矢田先輩を攻めてしまって。矢田先輩が悪いわけじゃ」

「ううん。こっちこそごめん。羽川くんのこと。」

「……しかしこのままでは悪化をたどる一方です。なので学校以外の間は私が羽川くんの面倒を見ようと思います。」

「えっ?」

「羽川くんの作った罠はほぼ完璧っていうほどの出来です。誰にも近づけないでしょう。私以外には。」

………ほう

「……なんかムカつくけど。」

「でも事実でしょう。」

「……」

「なので私も一緒に住めばもし暴れても抑えられますし何よりも私も安全性を確保できる。一石二鳥です。」

「…なんかムカつくけど俺はいいけど。」

「……確かに羽川くんの安全性は確保できるが…」

「…でも今考えられる中では一番いいでしょう。」

するとしばらく考えてから

「わかった。」

「それで矢田さんは羽川くんの監視役をしてくれませんか?なにかあったらすぐ私が駆けつけられるように」

「……うんいいけど。」

「……とりあえず今日から拠点にあんたが住むってことでいいな。」

「はい。」

「なら、わかった。俺は今日会議があるから先に戻るぞ。」

「さようなら。烏間先生。」

「あぁ。」

烏間先生が教室からでていく。

それを教室から見送ると死神に問いただしたいことがあった。

「……どこからだ?」

「……えっ?」

「……盗聴器だろ。小型の。」

俺が言うと死神は頷く。

「えぇ。多分放課後につけられたのでしょう。」

「まぁあんな嘘つかれたらわかるよな。」

「嘘?」

「あぁ。先生は必ずっていっていいほど俺の仕掛けた罠に引っかかるんだよ。ってか絶対に普通の道じゃいけないようになってる。隙を全く与えずに蟻一匹も入れないようにな地下道通らないといけないし。

「ちょっと待ってください羽川くんそれ飛んできたらいいっていったじゃあないですか?」

「……だから前に鳥を捕まえる用の罠に引っかかっていたのか。それでどこから。最初からではないんだろ。」

「……私と一緒に羽川くんが住むってところからです。」

ってことは軽い鬱ってことには変わりはないのか

「……そっか。よかった。」

「えっ?」

「軽い鬱なら治る可能性があるんだろ。……少し安心したよ。」

まだ、生きていられる。そのことがとてもうれしく感じる。

「……羽川くん変わりましたね。」

「……そりゃ女子から守りたいって言われて簡単に死ねるかよ。しかもビッチ先生のさっきの言葉聞く限り鈍感じゃないから流石に矢田先輩の気持ちに気づいたし。」

「えっ?」

驚かれてるけど

「気づいてなかったとでも思ってるんですか?あかりねぇとやけに張り合ってましたし。まぁ後からその話についてはちゃんとしますけど……。まぁ、俺にとっても先輩は特別な人の一人なんで嬉しいんです。」

「それって。」

明るい顔してる矢田先輩。あってるんだけどさすがにこっちも恥ずかしいんだが。

「まぁその話は後にして。なら、俺が住む場所は?って矢田先輩をよんだってことはそういうことだよな。」

「……えっ?もしかして殺せんせー。」

「……はい。羽川くんを卒業まで匿ってくれませんか?」

だろうな。相変わらず結構危険な賭けに出たな。

「候補は2つあったはずだ。なんで矢田先輩を選んだんだ?」

「……ふたつ?」

「あかりねぇの家だよ。俺が信頼している二人だから自然とその二つに絞られるんだよ」

「……羽川くん。もしかして矢田さんに私たちの過去について話したんですか?」

死神は俺に聞いてくる。

「いや。今日話すつもりだったんだよ。ってか俺と関わっていくのに避けては通れないだろ。あんたと俺がどんな関係で…俺が何を作ったのかは。」

「……そうですね。でも茅野さんの家はあり得ませんよ。」

「……なんでだ?」

「あぐりさんの家だからです。」

意味が分からない。

「なんであぐりさんの家ならダメなんだ?」

「……もしかして知らないんですか?」

「なにを?」

「…あぐりさんが柳沢の婚約者だったこと。」

一瞬思考が止まる。

信じられなかった。

「……それ、本当か?」

「もしかして雪村製薬が営業破綻になったことも。」

「……知らない。ってか俺アメリカに亡命したから日本の情報がほとんど入ってきてないんだよ。」

「そうですか。でも今の状態だと羽川くんだと。」

「会わない方がいいな。もしあったら抑えが効かなくなりそうだし」

殺意が湧いてくる。

そんな屑は真面目に殺したくなる

「……」

「あの矢田さんが震えてるので殺意をしまってください。」

「あ、悪い怖がらせちゃったか?」

「う、うん。」

「……」

「……でも俺のことバレたら色々まずくないか?矢田先輩の安全は保証できないし最悪矢田先輩の家族にも。」

「あっ!」

……こいつ

「考えてなかったの?」

矢田先輩の言葉に頷く死神

「……俺が言える立場じゃないけどそれは…ひでぇな。」

「最低。」

「……すみません。」

ってか

「……これ絶対どちらかの危険を侵さないといけないんだよな。矢田先輩か俺か。」

「う、うん。でも烏間先生に言ったことは。」

「二人合わせて200億の賞金首だぞ。最悪核爆弾落とされて俺だけ死ぬだろ。こいつは逃げられるけど。」

「羽川くんも逃げられそうな」

「「先生」」

「すみませんでした!!」

流石にキレているらしく矢田先輩も先生のことを睨みつける。

「あ〜どうすんだよ。流石に手詰まりにもいいところだぞ。こればっかは烏間先生もイリーナも頼れないし。」

「……どうするの?」

「少し考える。あかりねぇにも事情聞かせて。……いや、イリーナにも事情を話そうこれはさすがに俺らでも無理だ。さすがに追い詰められてるのに誰構わず。」

……まてよ

「……いた。あの人なら。」

「…えっ?」

「ちょっと連絡する。多分助けになってくれるはず。リスクも大きいと思うけど。なんとかなるはず。」

「……えっと誰にですか」

「浅野先生。」

すると俺はスマホを取り出す。

あの人ならきっといい案を出してくれるはずだ。

 

「羽川くん荷物は入れ終わりましたか?」

理事長先生がこっちにくる。

「えぇ。流石に助かりました。あのバカがやらかしまして。生徒の安全を考えてくれたのはいいんですが、他のことに目が回ってなく。」

「本来なら解雇すべしなんでしょうが。」

「いた方が国から情報を得れるので一年間の減給ぐらいでいいんじゃないでしょうか。それに俺でもお金儲けできるじゃないですか。」

「そうですね。使えるものはなんでも使いますし、今回はちゃんと羽川くんからちゃんと謝礼も受け取りましたので不問とさせてもらいます。」

「そうしてください。」

でも、

「こんないいとこ使わせてもらっていいんですか?ここ都内の一等地ですし。さっき確認したんですが防音や防犯施設もしっかりしてる。しかも国が対応できない有名人までいるじゃないですか?」

「えぇ。ですが君にはちょうどいいと思ったのですが……なぜ彼女たちも住むことになってるんですか?」

「さぁ?あかりねぇはまだわかるんですが。死神が男女二人だと不健全とか言って矢田先輩まで巻き込んだんですよ。」

「しかもさっきから私を避けているのですが?」

「……本当にすいません。」

でも気持ちはわかるなぁ。最初あったとき結構怖かったし

「でも少し安心しました。君は私生活に関してだけはひどいですから。家庭科のテストだけ全て0点ですし。」

「……本当にすみません。」

「まぁ、ちゃんと節度のあるお付き合いをしてくださいね。」

「当たり前です。ってかまだ付き合ってませんが。」

「まだと言う限り理解はしてるんですね。」

「まぁ。あのふたり結構分かりやすいですしね。」

まぁそのことに気づいてる浅野理事長もさすがとしかいいようがない。

「じゃあ、私は帰ります。矢田さんのご両親にも話は通しておいたほうがいいので。」

「本当にご迷惑をおかけしてすみませんでした。お礼に今度美味しそうな情報があったらまた連絡しますよ。」

「えぇ。その時はA5ランクのステーキでもご馳走しますね。」

「いや、普通のステーキでいいですよ。流石にA5ランクステーキをガツガツ食べるのは気がひけますし。」

「えぇ。そうしましょう。ならまた。」

「えぇまた。」

浅野理事長はさっていくのを見送ってから、俺は少しため息をつく。

「さすがだな。あの人。」

「えっと、羽川くんってもしかして理事長先生と仲いいの?」

「まぁ、一応俺も学年主席だし離したくないんだろうな。ここ一ヶ月で家賃普通なら何百万はするぞ。多分一月の先生の給料より高いんじゃないのか?」

「うそ。」

「いや。マジで。しかもこう言うマンションは信用が大切だから簡単にはプライバシーは明かさない。……俺でも安心して暮らせるくらいに。」

本当にありえないくらいにいい物件だ。金があったのならこう言う物件にすんでいる。

「まぁ一番怖いのは殺し屋だけどさすがにここを追い出されると世界中の施設に追放されるだろうし、すぐに警察に売られる。逆にいえば何もしなかったら安心して暮らせるって。」

ガタンっと音がなる。

「……ん?」

「な、な、なんであんたたちが」

金髪の女の人が俺たちの方を見ていた。

「あ、ビッチ先生。」

「……な、安全だろ。」

殺し屋が国から借りるくらいの物件。

正直やりすぎだと思っていた。


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